哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2010年3月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2010年3月1日(月曜日)
 なんか昨日の津波の件で、気象庁謝罪とか
 えーと、どこら辺に謝罪の必要性が?
 予報が的中しなかったことは確かですが、しかし予想到達時刻より1時間遅れでの津波到達と、最大3mの予想が最大1.45mだったという話で、予報は充分にその役割を果たしています。もしこれが津波の到着が1時間早く、最大波高が1.5m実際の方が高かったら、今頃人死が出ていてもおかしくありません。
 予報の目的は予報値の的中ではなく、災害被害を軽減することですから、今回の外れ方は「良い外れ方」であったと判断できます。恐らく予報における各種計算も、過少より過大になる方向に計算誤差が出るよう設計すると思います。
 総じて、今回のチリ地震に伴う津波に関して言えば、物損は生じましたが人的被害は生じず、避難も比較的円滑に進み、良かったと評して良いと思います。
 しかし勿論、満点だったわけではなく、予報値の比較的大きなズレについては、数値計算による予測値と各地の観測値とのズレを確認し、シミュレーションモデルの検討や観測点の更なる増加、計算機の増強などに反省として活かされるべきでしょう。

 2006年に起きた、分娩中の妊婦が意識不明に陥り、19病院から転送を断られた挙句亡くなった大淀病院事件について、遺族による損害賠償請求訴訟が一審棄却となったそうな
 妥当な判決かと。(参考12
 当初の段階で脳内出血を疑えるか、疑い得たとして、救命が可能であったか、については、ありえない「たら」「れば」を追求しても始まらず、過失が無く、各員が最善を尽くしていたのであれば、最早死は天命であったとしか言いようがない。
 忘れられがちな話であるが、人は死ぬものであって、医療技術によって死ぬべきものの裡いくたりかが救われているに過ぎない。人の手が及ばないこともある。
 せめて、判決で触れられているように、医療崩壊を考える一助になればと思わずにはいられない。


2010年3月2日(火曜日)
  昨日大淀病院事件について、毎日新聞の朝刊を確認した。27面(社会面)の半分程も使って本件を報じていたが、本件をスクープし、「医療ミス」「たらい回し」と報じ、結果として奈良県南部における周産期医療を崩壊させた自紙の責任については一言も触れていない。それどころか、自分たちの報道が医療システム全体の問題点に一石を投じたと自画自贊している始末。
 毎日新聞にこそ、猛省を促したいところ。

 フィリピンから来ている看護師について「外国人看護師の国家試験、英訳の試験でも合格4割弱とかいう絶望的な記事。
 言語の問題ならともかく、根本的に看護師としての能力を有しないのであればどうにもならない。医療現場ではなく看護学校にでも放り込むべき問題であって、これでは事前の選拔でも行わなければなるまい。
 問題はややこしくなるばかりだ。

 以前、船舶のハイブリッド化/電動化には余りメリットがない、と書きましたが、「急速充電できる「電池推進船」 東京海洋大など開発へとかいう記事が。
 港湾内で使うタクシーボートで、出力変動が比較的大きい用途ですね、やはり。


2010年3月3日(水曜日)
 「国家試験で難解な漢字に読み仮名 政府はNOとか記事があって、困ったもんだねぇ、と。
 昨日の記事によって、そもそも派遣元の資格が日本の資格を満たさない可能性が示されてしまったわけで、日本語だけどうにかすりゃOKってわけではなくなってしまったのが。
 看護師国家試験に英語やインドネシア語の試験を作っても、全員が受かるわけじゃない、というところがなんともはや。
 看護師と日本語の、二段階選拔にしても良いんじゃないかね。

 WIREDに「Eurocopter Moves One Step Closer to ‘Whisper Mode’」なる記事があって、興が惹かれた。
 ヘリコプターの騷音大部分はエンジンではなくBlade-vortex interaction、つまり回転翼と空気の渦の干渉(ブレード/渦干渉)によって発生する(参考)そうですが、Eurocopter社の新技術・Blue Edge rotorでは、ブレード形状によってBVIを軽減した上に、さらにBlue Pulse systemと呼ばれる各ロータのエッジに3つのフラップ機構を追加することによって、BVIを一層軽減することに成功した、ということのようです。
 コックピットで録音されたという騷音は確かに有意に小さいですよね。
 BVIは単なる騷音の問題だけではなく、音が発生しないことによる損失の低減、即ちエネルギー效率の向上にも貢献していると思われます。
 JAXAでも「アクティブフラップ付きブレードロータのBVI騒音風洞試験」「ヘリコプタ騒音低減用アクティブ・タブの研究」などの研究がありましたが、実用化してしまうとはねぇ。もうちょっと先だと思ってた。


2010年3月4日(木曜日)
 モナコ公国が提唱している、大西洋クロマグロのワシントン条約による禁輸措置ですが、米国が贊同する意向とか。世界の鮪の8割を消費すると言われる日本としては、なかなかに苦しい事態ですね。
 完全養殖技術は確立され、一部商業化もされてるとは言うものの、日本の需要を賄う程ではなく、もし保護動物となれば鮪の高騰もあり得る事態です。
 誰も彼もが鮪を食べ始めたからなんでしょうが……日本の文化の輸出が、不幸を招いた例として記憶されることになるんでしょうか。

 小川一水の「天冥の標II」を買ってきて読み終えて、どうしてもIの内容と繋がらなくて(でも作品自体はとても楽しめた)、どうしてだろうと頭を捻っていたら、なんのことはない、Iの下卷をまだ読んでなかった。


2010年3月5日(金曜日)
 小川一水の「天冥の標I〈下〉」を読んでも話が「天冥の標II」に殆ど繋がらない件について(苦笑)。
 こんな調子で全10巻とか、ついて行けるだろうか……。

2010年3月6日(土曜日)
 漸くCG-NUH04Gを入手。
 早速繋いでみる。最初DHCPサーバからIP取得してくれなくて困ったのだが、初期化して電源再投入したら直った。なんだったんだろう。しかし固定IPを振ることができない……やむなく暫くの間、DHCPで運用することにする。
 スキャナを繋いで少し遊んでみたところ、直結時と殆ど速度差は感じない。
 USB機器の配置の自由度が格段に増すので、良い買い物だったなぁ。

2010年3月7日(日曜日)
 さとみくんの厚意により、大橋ジャンクションのトンネルウォークに同行させて貰う。何度か申し込んだのだが、一度も受からなかったので、ラストチャンスだったので、実に有り難かった。
 しかし何故か会場はフリーパス……。
 何のための申し込み受付だったのか!?
 それはともかく、実際の運用が月末に始まってしまえば、あとは通過することしかできないJCTの中を堪能できた。
 消火設備がかなり念入りに設置されているのが記憶に残った。

2010年3月8日(月曜日)
 日本アカデミー賞で「劔岳 点の記」が最優秀監督賞他6部門受賞とか。え? 「劔岳 撮影の記」の方と違うの?!
 おお、そう言えば「アイガー北壁」が来週末公開だな。
 最初映画の話を聞いたとき、てっきり1938年の登頂成功した方の話かと思っていたのだが、なんと1936年の全滅した時の話だったとは。これは是非観に行かねばなるまい。ハリウッドだったら間違いなく38年の方を映像化しただろうことを思うと、ドイツ映画で良かったと思わずにはいられない
 どうでも良いけど、昔藤岡弘、が出演していた映画・K2では、アタック隊が遭難、藤岡演じる日本人登山家シミズは一人キャンプに生還するもテントの中で凍死、とかいう役割だったなー。
 なお、私は別に山岳映画好きではない。「」の実写化には木村大作にメガホンを取らせろ、とか思ってはいても。

 以前、民族とは文化的集団だと書きましたが、北海道新聞に「縄文人、多様な起源 山梨大教授ら、遺伝子分析で解明という興味深い記事が。
 これまで、繩紋人は形質的特徴から比較的遺伝的にまとまった集団だろうと漠然と信じられていたわけですが、この結果が正しいとすると、また繩紋時代の姿が書き換えられることになりますね。もっとも、現代日本人も遺伝的にはかなり多様なのですが。
 あと、繩紋時代と一言で言っても、その長さは最近の研究では1万年を超えてしまっています。なんと、“日本の歴史”の大部分が繩紋時代になってしまうという(笑)。ですから、その間に色んなことがあったであろうことは疑いなく、多くの遺伝的集団を内包しながら、ある程度纏まった文化的集団を構築していたことにこそ注目すべきなのかも知れません。


2010年3月9日(火曜日)
 今日は寒いね、なんて話してたら、夜には雪になっていた。

 街を自転車で走っていると、i-MiEVと遭遇することが珍しくなくなりました。行動範囲の中でよく見かけるのはLAWSON社用車ですが、東電の「Switch!」と書かれた車輛も見かけます。
 この季節、右隣の車輛のエンジンが発する熱は路肩にいる自転車にも感じられるわけですが、i-MiEVに関しては熱を感じることがありません。エンジン音も無く、文字通り滑るように走っていきます。赤信号で並んだりすると、「お、i-MiEVだ」とついつい観察してしまいます。
 ちなみに、i-MiEVからは、パソコンのような冷却ファンの音がします。恐らく電池や電装系を冷やすためのものだと思うのですが、他の音がしないので余計目立つんです。
 でも危険だと感じることはないですねぇ。i-MiEV自体は軽自動車規格なので、見た目以上に小さく纏まっていますしね。
 そのi-MiEVですが、PSAへの提供が本決まりになったとプレスリリースが出ていました。10万台とのことですが、一体どこから電池が出てくるんでしょうかねぇ……。度々増産の報は出ていますけど……。

 とうとう月軌道の内側、しかも地球側を突っ切る軌道に入った「はやぶさ」ですが、川口プロマネからのメッセージが公開されています。

 今や電波の往復時間は僅かに3分。1.5光分の距離です。
 川口PMが仰るように、問題は山積、あと何か一つでも壊れればおしまい、の綱渡り運用を続けていますが、あと3箇月、なんとか地球までたどり着いて欲しい!

2010年3月10日(水曜日)
 図書館情報大学時代にお世話になった和光信也先生(wikipedia)が特発性間質性肺炎にてお亡くなりになられた由。享年72歳。
 研究室に所属しているわけでもないのに研究室に入り浸り、雑談に耽っていた私を追い出すでもなく迎えて頂き、時には呑み会にまで連れて行って下さった、懐の広い先生でした。
 図情大卒業後にも連絡を頂き、RTOSの話などをしたことも、良い思い出です。
 謹んでその死に哀悼の意を表します。

 「道内NPOとロケット打ち上げ計画 ホリエモン、年内にもとかいう記事を見て、何をやってる会社かいなと思ったら、あさりよしとおの「なつのロケット」に出てきたロケットを実現しようというなつのロケット団の会社かよ……。
 馬鹿っぽくて大好きだよ、こういうの。


2010年3月11日(木曜日)
 「快適な日本語入力の価値を知ってほしい」とかいうインタビュー記事があって、何寝惚けたこと吐かしやがるか、と。
 ATOKを使っていて快適なんて感じたことない。「きちがい」すら変換できない制約語にイライラさせられ、簡単な語も変換できない辞書の貧弱さに絶望し、登録単語数は万の単位を数え、アホみたいなバグには悩まされ続ける。
 ATOKに価値があるとすれば、Windowsで唯一残った商用かな漢字変換ソフトだという一点だけだ。
 快適なんて言葉は、俺を満足させてから言いやがれ。

 食品安全委員会の作業部会が「こんにゃく入りゼリー、危険度「あめ程度」と結論づけたそうです。
 規制を叫んだ大臣がおりましたが、結果を見る限り、規制するなら餅から規制するのが順当というのは間違いないでしょう。蒟蒻ゼリーが規制されるなら飴玉も規制されるべきです。そのような規制だらけの生活で安全が担保されるのか言われれば、人間の気道が食道と一部を共有している以上、何かしら誤嚥による事故は発生しうるわけで、效果は限定的でしょうね。(喉頭気管分離術でもするならともかく←健常者にするものではありません)
 どちらかと言えば、效能に対しての悪影響の方が大きいと思います。
 この程度のことに思いも巡らせられなかった当時の大臣は、その資質に欠けていたと思います。

 なんかEUとカナダがアザラシ猟のことで揉めているとか
 どうしてこう、他所の文化圏の食文化にいちゃもん付けようという馬鹿が絶えないんでしょうかね、この世界からは。
 絶滅の危機に瀕している、というのであれば生物資源保護の観点から我慢も妥協もできますが、残酷だの非人道的だとか言われたら納得できませんがな。お前ら人様のこと言えるほど人道的なのか。


2010年3月12日(金曜日)
 家の中で行方不明になる本が増えた。
 探し回る不毛に飽いて、再度購入してきた後になって見つかったりする。
 井上陽水は良いこと言ったなっ。
 まったく、どうしたものか……。

2010年3月13日(土曜日)
 IT Mediaの「図書館の本をネットで一括検索できる「カーリル」」という記事を見て思い出したのだが、東大職員組合図書館職員部会が「国立大学図書館業務への「官民競争入札」(市場化テスト)導入の動きに関する要望書」を出していたっけ。
 私として絶望したのは、大学図書館がこのような民間委託の対象になることのみならず、一般競争入札を行いうるサービスだと認識されていることですね。大学図書館は大学における学習、研究の下支えをする間接部門でもありますが、同時に図書館学を研究、実践する直接部門でもあります。ぶっちゃけ、研究室を民間委託するくらい馬鹿気ていると私は思いますが、世間一般での認識はそんなものなのかな、と。
 公共図書館にしても図書館員が館長になることもなく、貸出冊数や利用者数といった数値による評価が定着してきている昨今、大学図書館でも似たようなシステムが採り入れられることになるのでしょうか……。
 結果として研究基盤の荒廃を招きそうな気がしますが。

2010年3月14日(日曜日)
 地震があったらしいのだが、丁度その時間帯、自転車で走っていたもので、気付かなかった。

 NHKスペシャルMEGAQUAKE」シリーズ見てて思うんだけど、なんでどうでもいいドラマが間に挾まってるのかね?
 もっと質実剛健に、科学的考察と実験と検証だけで纏めてくれた方が、見る方として情報量が多くて良いのだが。
 最近のNHKって、どうもこの手の科学番組の間にドラマ入れてみたりスタジオでのタレントトークを入れてみたりするのが好きなようなのだけど、見る方としてはその間何の情報も得られないので苦痛。1.5倍速で見ていても苦痛。
 NHKでは現在、地上波の「ワンダー×ワンダー」とBSハイビジョンでの「ハイビジョン特集」で時折、素材・取材を同一とする番組を造り分けています。例えば、13日放送のワンダー×ワンダー「めざせ!駅弁日本一」(44分)に対して21日放送予定のハイビジョン特集「目指せ!駅弁日本一」(90分)などです。
 地上波の「ワンダー×ワンダー」ではスタジオにキャスターとタレントを揃えて、時折スタジオで漫談をしながら番組が進みますが、「ハイビジョン特集」ではナレーションと映像だけで番組が進行し、しかも尺が長いため地上波では使われなかった映像素材が使用されることも度々。見終わった後の充足感も圧倒的に後者が上です。
 どちらを観るべきかなど、考えるまでもありません。
 しかし残念なことに、BSハイビジョンチャンネルは閉鎖が決定しており、ハイビジョン特集もまた共に滅びる運命なのでありました……。


2010年3月15日(月曜日)
 ギズモード・ジャパン経由、東京大学大学院情報理工学系研究科で開発されている筋骨格型ヒューマノイド小次郎

 これまでのヒューマノイドロボットは基本的に外骨格でしたが、この小次郎は内骨格なところが素晴らしいですね。
 士郎正宗が昔描いた「ブラックマジック」に出てくるM66とかがこんな感じでしたか。

 鳩山邦夫元総務相が自民党を離党、新党旗揚げへ、ですか。
 や、どうでもいいですな。そこまでの意気があるなら、総裁選に出れば良かったんだ。


2010年3月16日(火曜日)
 TEPCOと自動車会社が集まってチャデモ協議会なる組織を立ち上げたそうな。去年の8月に報じられていたものが、やっと立ち上がった、という話のようです。
 情報を集めて見る限り、三相200Vによる急速充電器の統一規格を提案するようですね。
 内国的には事実上三相200V 50kWの規格で統一されているのですが、問題は世界です。今のところ日本/米国とドイツ(欧州)がそれぞれ別の方式を提案していた筈。ドイツは確か400Vとか言っていた気が。
 日本は国内での電気自動車の研究で先行していたこともあり、接続が容易な充電ガン(普通/急速。しかもCAN付)などの開発でも先行していますが、欧州では規格化を先行させて日本の先行者利益を潰そうという魂胆ですかね。
 規格よりも物を作る方が先行する辺り日本らしいのですが。

 柔道界で、国際試合での柔道着の規制が話題になっているらしい。要は、今後IJF主催の国際大会では、Green HillミズノDouble DSFJAM‐NORISの四社の柔道着以外は着てはいかん、ということらしい。
 調べてみると、元々は摑みにくい襟とか解けやすい帯など、柔道着によって技を制限するようなものがあったため、日本主導で柔道着の統一規格を打ち立てようとしたことが2008年にあったらしい。日本の柔道着を元にした提案はIJFでも好意的に受容れられ、柔道着は公認制となり、幾つもの柔道着メーカがIJFの公認を得た。
 ところがいつの間にか雲行きが怪しくなってきて、昨年12月にIJFは、今後はIJFと契約したメーカの道着しか試合では着てはいけないようにすると発言、今回の規制に至った、と。しかも選ばれたメーカの中には柔道着メーカとしての実績がないところまで含まれている(OEMか?)。
 確かに用具を使うスポーツに於いては、用具の規格の規格は難しい問題として常に付きまとっている。特定の用具を使う者が一方的に有利になるようなものはルール上排除されねばならない。しかし、メーカを指定しての規制というのは珍しいように思う。
 しかも、特定条件を満たせばOKというのではなく、IJFに金を積んで……という話となると、話は一気にキナ臭くなる。
 もっとも、今やIJFには議決権のある日本人理事もおらず、ある意味既にJUDOは日本の手を離れてしまっている。如何ともし難し、と慨嘆するのみか。


2010年3月17日(水曜日)
 「ロシア旅客機墜落、原因は機長の飲酒という報道を見ての感想。
 ロシアなら仕方ない。

 読売に「「死刑廃止派」千葉法相、半年で執行ゼロという記事が。
 論評については以前書いたことの繰り返しになります。国会議員としての主張と、国務大臣としての職責をきちんと別けられないような方は、大臣たる資質に欠けるのではないかと思います。
 死刑執行命令書への署名という職務は、控え目に言っても非常に辛い判断を強いられるものだと思いますが、現行日本法に於いて死刑が存在し、司法に於いてその判断が下されている以上、行政の責任者としてはその執行を行うことが職責です。
 職責を全うすることは、褒められこそすれ、指弾されることはありません。千葉法相の政治的主張に瑕を付けることにもならないと思料します。むしろ、手を汚してこそ光る主張になるのではないかと。

 「30年経過の外交文書を自動公開 外務省、規則に明記へとかいう記事。
 学生時代、外交史料館へ足げく通って資料を渉猟していた身としては、歓迎すべき決定。
 できればこれに依って收蔵資料が増加する外交史料館の拡充をお願いしたいところ。というか、国立公文書館に統合するとか、無理かしらん?

 漸く情勢が定まりつつある、東京都青少年の健全な育成に関する条例改正問題参考)ですが、理解できないのは、都知事が規制推進派ってことです。
 こんな作品を書いた人なのに。
 一応改正案では「視覚的」に描写したものとされているので小説そのものは対象外でしょうが、何分映画化されてる作品ですからねぇ
 もし条例案が可決したら、当て付けに漫画化でもしてみれば良かったんだ。
 私は言論表現の自由を妨げる、あらゆる規制に反対する。


2010年3月18日(木曜日)
 PlayStation 3用地デジキット「torne」の発売日だったのですが、都内はどこも開店直後に瞬殺だった模様。
 帰り道ちょっと電器屋に寄って店頭のデモを触ってみたのですが、実に素晴らしいユーザ・インタフェースの出来映えで、正直、これを一度体験したら、普通のビデオレコーダには戻れんかもしれん。
 いっそSCEは、PS3の基盤を流用してデジタルビデオレコーダを作って売るべきなのではないか。ゲーム機能を外した、torne専用機として。ゲーム機能を外した分、ドライブはBD-RE対応にして、HDDを3.5inch化すれば、結構良い感じのブツに仕上がりそうな気がするけど。

 先週末から米HBOで放映が始まったスピルバーグ監督「The Pacific」ですが、見逃しサービスがあるというので行ってみたら「おめぇの地域は見れねぇよ」と言われた。
 悲しいことだ。日本放映はいつになるのだろうか。
 ところで、この作品は太平洋戦線での米海兵隊が主人公だそうですが、初期の太平洋戦線といえば「我々は捕虜を取らない」をモットーにして投降してきた日本兵をぶち殺してみたり、前線を視察したチャールズ・リンドバーグが日本兵の頭蓋骨を「トロフィー」にする兵のことを書き残したりしていますが、その辺までリアルに再現してくれていると嬉しいですね、歴史学徒としては。ビスマルク海海戦の後に何をやったか、とかね(というか、漂流者への機銃掃射は当時連合軍が一般的に行なっていた戦争犯罪)。
 戦争の悲惨さを伝えるなら、そこまでやらんと駄目でしょ。


2010年3月19日(金曜日)
 京都行。
 毎年この季節なんだけど、今年は昨年より約一週間早く、去年は咲いていた桜もまだ見れず。
 とはいえ、京都駅と京都大学の間を往復しているだけなんだけど。
 そういえば、往路の新幹線がN700系だった。
 確かに居住性は良かったなぁ。

2010年3月20日(土曜日)
 風が強い日。
 買ったまま放置していたKalafinaの新譜を漸く聴いたり、コートをクリーニングに出してきたり。

 昨日継続審議が決まった東京都の「非実在青少年」のアレですが、継続審議ってことは「続く」なんだよなぁと思いつつ、北区選出の民主党議員の所に、簡単なペーパでも書いて送った方が良いかなぁとか考える。
 青少年条例の改正案は東京都産業振興指針と真っ向から対立するものであることを指摘し、経済的側面から考え直すように促すことなら、私にもできるかも知れん。
 まあ、あとは犯罪統計やら研究やらを引っ張ってきて、性表現の抑圧が性犯罪の減少に寄与しないことを説明することくらいかなぁ。
 ちなみに私が都議選で共産党に投票している理由は、この条例に真っ向から反対しているから。


2010年3月21日(日曜日)
 今日も風が強い日。

 普天間移設問題が、全てご破算になりそうな勢いですね。
 まあ、初めから分かっていたことですが。
 県外移設なんて出来もしないことを公約に掲げ、政権奪取後に棚上げするならともかく、愚かにも実施に走った与党の頭の悪さは、結局は沖縄に負担を強いることになるでしょうね。沖縄の人達も隨分民主党を推していたようですから、実は普天間に居残って満足なのかも知れません。

 軍事ネタと言えば、JSFのF-35BがとうとうSTOVLに成功したそうで。ハリアーの寿命が刻々と近づく中、最優先で開発されているB型ですが、この調子でいけば2012年末と言われる配備(not 戦力化)も夢ではないかも知れません。
 A、Cについては開発の遅延と大幅な予算超過が伝えられるF-35ですが、流石にこれが日本のF-Xに間に合うと考えている人は最早居ないでしょう。
 現防相は就任以来言行がマトモになった閣僚の最右翼ですが、彼の人の任期中にF-Xが決まるのかどうか、興味深い所です。


2010年3月22日(月曜日)
 「アイガー北壁」を観賞。
 素晴らしく救いようのない山岳映画。
 1936年、ベルリン五輪を前に沸くドイツでは、アイガー北壁の霸者に金メダルを贈ることが決まり、マスメディアは登山熱を煽っていた。山岳猟兵の傍ら登山家としても名を馳せるアンディ・ヒンターシュトイサーとトニー・クルツは一旦はアイガーを諦めるも熱は止まず、とうとう山岳猟兵を辞めてスイスへと入る。折しも二人の幼馴染みでベルリンの新聞社に勤めるルイーゼ・フェルトナーがオーストリア人チームの取材に訪れる中、二人は北壁に挑む……。
 とまあ、そんな感じで始まるわけですが、たった一つの判断で全員死亡、という結末を迎えるわけです。その判断すら、トラバースに使ったザイルを回收するという、別に何ともない判断。実はこのヒンターシュトイサー・トラバースは、登ることはできても下りることができないルートであることが現在では分かっているのですが、初めてここを攻略した彼らに知る由もなく。
 かくして落石雪崩れ悪天候に見舞われ敢えなく全滅の憂き目に。その悲惨な最期は語り草になってしまったと。
 やはり山岳映画はかくあらねばならん。
 ただ、安っぽいCG合成が見えたのが残念だった。木村大作みたいにやれとは言わないが、もう少し気を配ってくれたらなぁとか。
 しかし、映画館に登山用のザックを担いで入ってくる奴がいたりする映画ってなんなんだろうな……。
 ちなみに、アイガー北壁も相当な難所なのですが、世界で一番遭難者が多い山は日本の谷川岳だったりします。

 映画の前にビデオショップに寄ったら、レニ・リーフェンシュタール監督の「意志の勝利」がDVD化されて並んでいたもので、うっかり買ってきてしまった。
 超素ン晴らしいナチの宣伝映画。

 家に帰り着くと、「剱岳 撮影の記」が届いていた。


2010年3月23日(火曜日)
 Googleが中国本土から撤退とか。
 色んな立場からの色んな意見があると思いますが、取り敢えず一企業でありながら中国に対して喧嘩を売ったことには称讚を。
 ただ、この問題がGoogle一社の問題に納まり続ける限り、Googleには勝ち目はないと思われます。

 NHKがまた変な番組「プロジェクト WISDOM」を始めるそうな。
 なんか10年くらい前に似たようなことやってたような記憶が……。
 しかし、お題が「アフリカの子供に希望を」とか言われても、本当のことを言っていいのか?という話にしかならんと思うけど。
 失敗国家にはどれだけ金注ぎ込んでも無駄、という、身も蓋もない結論が待っているようにしか思えない。

 i-MiEVのOEMになるプジョーiOnですが、YouTubeにプロモーションビデオがあるそうで。

 微妙にごまかそうとしているけど、撮影に使っているのは日本仕様の右ハンドルモデルですねぇ。まだ左ハンドル仕様の車できあがってないのかしらん。
 元々が軽自動車というJDMモデルなんで、左ハンドル仕様の設計も部品も無いんでしょうが、2006年発売モデルの左ハンドルを今さら作るというのが色々アレですよねぇ。普通ならそろそろモデルチェンジを考えないといけない頃だし。
 というか、設計リソースとか社内で分捕り合いになってたりして(苦笑)。

 それは分かりましたから、FSSの続きを……。


2010年3月24日(水曜日)
 次に画伯は「エデン」をネタにする……!

 日韓歴史共同研究第二期の報告書が出たとか。
 ざっくり目次だけ眺めてみても、第3分科会が素晴らしいねぇ。いや、私の専門分野ってこともあるんだけど、批評文と批評文へのコメントがあるのが非常に宜しい。しかもそれが日韓両言語で。
 そういえば先に「任那日本府」がどうこうと別報で報じられていたけど、どの論考のことだろうか。金泰植「古代王権の成長と韓日関係 —任那問題を含んで—」かなぁ? 内容的にはそれ程おかしくない。というか、最近の研究の成果を踏まえているし、解釈に多少強引な所はあるけど、無理はない。つまり「そういう解釈もできるね」というレベルで妥当性はある。(無論正史がどうこうという問題ではない)
 個人的にはこの論文は文化伝達の方向を半島→日本の一方向に固定しすぎている嫌いがあって、もう少し双方向的な文物の交流があったと考える方が妥当かと思うな。例えば、水稲が日本を通じて半島に伝わったのは遺伝子解析等の成果からほぼ明らかにされているところ。任那に倭人の定住地域があり、日本本土と文化的相似性を強く維持していたことを考えれば、一方的に百済の文物が日本に流れ込んだと考えるのは無理がある。単に日本側に多くの遺物が残っているためにそのように見えるだけではないかと思う。
 森公章・濱田耕策「古代王権の成長と日韓関係 —4〜6世紀—」にも任那日本府についての一節があるけど、要するに記紀記述に基づいた半島統治機関としての「任那日本府」というものは否定されているけれど、その他史料との突き合わせの上での半島在住の倭人の代表者、外交担当者としての「在安羅諸倭臣等」の存在は現在も肯定されているわけよ。大和王権の出先機関としての存在ではなかったにしろ半島側からは「倭臣」として認識されていたわけで、少なく見積もっても地方豪族くらいの立場はあったんではなかろうか。
 あと、近代の国家観を以て当時の国家を判断しては、やはり危ういと思う。朝鮮半島が一体的な文化的位相を古代に持っていたように錯覚するのは、危険だろう。同様に日本もまた。
 だからまあ、専門家がやってることをマスコミが面白おかしく採り上げても、理解はされないんだけどね……。


2010年3月25日(木曜日)
 「私の主戦場はtwitter」とか言われても、「blog? なにそれ?」な私からすると、httpでアクセスできるんだからどこでも変わらんだろう?くらいにしか。
 まあ、多分twitterってケータイの小さい画面と親和性が高いんじゃないでしょうかね。普段からケータイ使っていないので、想像なんですけど。
 私はほら、オールドタイマーだから、HTMLを手書きしかできませんもので。

 先日の一件が、徐々に洒落にならなくなってきている
 軍人が政治的な発言を行う危険性は言うまでもありませんが、このような発言が飛び出す政治情勢は危惧されて然るべきです。
 日米関係が「トラストミー」だけで維持されないように、文民統制もまた掛け声だけでは維持できません。政権担当者は最高指揮官としての能力があることを示さねばなりません

 言論の不自由が日本において進行中ですが、福岡から「福岡、暴力団雑誌の販売中止要請 「表現の自由制限」指摘もなんて話題。
 成人雑誌同様のゾーニングを求めた位ならまだ理解もできますが、警察が販売中止を要請するのはまずどのような権原に基づいているのか。そしてそれに従ったコンビニ各社の判断は、誰が下したのか。
 警察が「この雑誌は売るな」と言ってそれがまかり通るなら、それは言論統制社会以外の何者でもありません。明白な権力による言論の自由の侵害です。
 多様な表現を制限したい気持ちは分からなくもないのですが、それを我慢することこそが、民主主義の道です。言論の自由は、民主社会の公民の、覚悟を示すバロメータなのだと、私は思っています。

「私はあなたの意見には反対だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

ヴォルテール

 日本図書館協会は何をしているんだ。ALAと違ってJLAはこの手の問題について実に不甲斐ない。

2010年3月26日(金曜日)
 足利事件の無罪判決下りる。
 個人的には、当時の弁護士の責任について、日弁連の意見が聞きたいところ。
 冤罪は警察・検察と判事だけで作るのではなく、弁護士をも含めた司法の責任であると私は思うから。

 やはり、二度目の起訴議決は出たか
 被告を有罪にすることが主目的ではない、法廷で真実を明らかにするための起訴、と捉えればよいのか。

 僕らの偉大なチャベスたんがまた金字塔を打ち立てました。
節電のため来週は政府業務停止、ベネズエラ
 とても真似できない政策です。
 記事にもありますが、実はチャベスたんは「節電令」を出していまして、従わない会社には電力供給を止めるという荒業を今週見せたばかり。次は政府が一週間のお休みを頂くと言う、日本だったら経済がどうにかしてしまいそうな話ですが、チャベスたんの威光遍しベネズエラでは、この程度では無問題なのでしょう。

 読売に「電池電車、走る…スペースの半分は蓄電池ですがなんてニュースがあった。多分、去年の10月にJR東日本が報道発表していた奴だと思う。
 発表資料によれば電池は600V、163kWhだそうで、写真を見た限りGSユアサの電池のように見えます。
 現時点では実験車両なのでとやかく言っても始まらないのですが、どっちの方へ進化するか、興味深いところです。
 例えばキャパシタ利用のように充電時間を短縮する方向へ進めば、駅間の架線を取っ払って、駅で充電して駅間は電池駆動なんて運用も考えられます。その場合、架線設備の整備補修費用が削減できる可能性があります。路面電車や路線バスなどで期待されている方法ですね。
 山手線なんて一周35kmほどですから、一充電で一周できるようにして、山手線内2〜3箇所に充電ポイントを、という方法もあるでしょうし。
 逆に今回のJR東日本の考え方を推し進めて、電化/非電化区間を直通させ、車輛を共用してトータルコストを下げるという運用思想もありでしょう。
 まあ、どっちにしろ蓄電池の進化は必要なんですけど。今の状態では客なんか載せられませんからね!

 自動車の方では「「排ガスゼロ」電気自動車タクシー、東京デビューとかいう記事が。
 前から書いてますが、電気自動車は、少なくとも現時点では、内燃機関自動車を置き換えるものではありません。しかし有望な技術であり、特にエネルギー效率に優れるところから、電気自動車が適する用途からの浸透が期待されるところです。
 現在の技術的限界から考えると、近距離移動を専らとするシティコミュータや営業車、一日辺りの走行距離がある程度決まっていて加減速が多い郵便や宅配便の集配車、そして路線バスなどが有力な用途です。
 タクシーについては実は一日辺りの営業走行距離の上限が決まっているので(360kmくらいだった筈)、路線バスの次位には有望だと思われます。各種制限を緩めた「近距離タクシー」のような新区分を作れば、導入も容易になるかも知れません。


2010年3月27日(土曜日)
 はやぶさ軌道変換を終了。あと残る軌道変更は、地球へ突っ込む軌道への変更だけ。
 しかし、気を緩めてはいけません。
高名の木登りといひし男、人を掟てて高き木に登せて、梢を切らせしに、いと危く見えしほどは言ふ事もなくて、降るゝ時に、軒長ばかりに成りて、「あやまちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりになりては、飛び降るとも降りなん。如何にかく言ふぞ」と申し侍りしかば、「その事に候ふ。目くるめき枝危きほどは、己れが恐れ侍れば、申さず。あやまちは安き所に成りて、必ず仕る事に候ふ」と言ふ。
あやしき下臈なれども、聖人の戒めにかなへり。鞠も、難き所を蹴出して後、安く思へば必ず落つと侍るやらん。

兼好法師『徒然草』第百九段

 物事は九割九分を半ばとせよ、と言いますからね。

 なんか黄海で韓国の哨戒艦が謎の沈没事故を起こしたそうで。
 沈没したのはPCC-772 천안(天安)で、포항(浦項)級コルベット1,220tである、と。
 wikipediaによる諸元を表に纏めてみると、

PCC-772 천안(天安) 参考:護衛艦いしかり(DE-226)
排水量 1,220t 1,290t
全長 88.3m 85.0m
全幅 10m 10.61m
喫水 2.9m 3.5m
武装 OTO Melara 76mm/62 compact ×2
Breda 40mm/70 ×2
ハープーンミサイル
魚雷発射管×6
Otobreda 76mm ×1
375mm対潜ロケットランチャー ×1
ハープーンミサイル
三連装魚雷発射管 ×2
就役 1989年 1981年
(2007年退役)
 うーん……。
 艦のサイズに対して隨分な重武装艦、という印象を受けます。
 もっとも、今回は別に転覆事故というわけではありませんから、バランスがどうこうというのはあまり関係がないでしょう。報道によれば、特に戦鬪中と言うことでもなかったようですが、艦尾で爆発があり、艦が沈没した、と。104名の乗員の内、艦長を含む58名が救助されたが、残る46名は現在もなお生死不明。
 無事の救助を願いたい所です。

 「毎日新聞 日薬連・評議員に医療報道への「理解」求める文書だそうな。
 自業自得としか。
 自分たちが正しいと思うのであれば、このようなことをするまでもなかろう。

 はくほー氏によると明日はプリンの日らしいので、今日はプリン製造日だった。




2010年3月28日(日曜日)
 はくほーさんに誘われて、今日はプリンの日。



2010年3月29日(月曜日)
 2008年1月に発生した「毒入り冷凍餃子事件」ですが、先日中国から容疑者を拘束した旨、発表があったんですが……私の周囲で発表を鵜呑みにしている人が一人もいません(苦笑)。
 単なる生け贄じゃないのかとか、犯人グループに一人に過ぎないのではとか、二年間も一体どんな捜査してたんだとか。
 いちおー容疑者が捕まったことについては安堵の念を抱くものの、この先の展開を思うと頭が痛い所です。
 報道に拠れば中国における「危険物質投入罪」とやらは最高刑が死刑なんだそうで、先年の毒ミルク事件では実際に死刑判決が下っているそうです。ちなみに日本では「流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法」に基づいて、今回のケースですと被害者が出ているので最高刑は無期懲役になりますか。
 国家間で量刑に開きがある場合、国境を越えた犯罪処罰は難しい問題を孕むのですよねぇ。(日伯間の代理処罰問題など)

 「痛いニュース」から「女性専用車両に、『反対する会』のオッサンが乗り込んで乱闘騒ぎ→電車が一時停止」とかなんとか。
 当該エントリからリンクされている音声を聞いていると、阿鼻叫喚の地獄絵図。
 正直、抗議している女性が気狂い過ぎて、引く。
 これはもう、男性差別、人権侵害として法務局に訴えられるレベル。
 女性の側の意識の低さが、問題を複雑化させている一因なんだよなー。


2010年3月30日(火曜日)
 モスクワで起きた自爆テロ事件の被害者に、謹んで哀悼の意を捧ぐ。

 NBオンラインに山根一眞の新連載「未来への扉を閉ざされた科学技術——「事業仕分け」が奪った日本力」があって、第一回「失ったのは「カネ」ではなく、「熱意」だった」を読んで落ち込む。
 この国は明治以来、手に入れた金を濫費せず、将来へと投資し続けることによって成長してきた。
 例えば、日清戦争の賠償として得た金2億両を用いて軍拡や戦費の償還を行っただけではなく、八幡製鉄所の建設や京都帝大の設置、台湾経営への投資、災害準備基金の設立などを行っている。
 それ以前の日本がどのくらい貧乏だったかと言うと、1973(明治6)年に火災で焼失した西の丸御殿(明治天皇の御所)の代わりの御所の建築が内政優先のために見送られ続け、1888(明治21)年の明治宮殿完成まで旧紀州藩邸を仮御所としていたくらい。ちなみに、この決定は明治天皇自身の意向であり、政府が天皇に強いたわけではない。
 ともあれ、そんな財政状況の中、学校を整備し、鉄道を敷設したりしていたのだ。
 さらにこの後の台湾経営などを見ていれば、日本人の基盤設備への投資熱は一種信仰の域に達しているのではないかと思わずにはいられない。
 米百俵の逸話ではないが、当時日本が未来のためと投じた金を、当時の国民で分けてしまえば数杯の銀シャリとなって終わっただろうことは想像に難くない。
 一兆円を研究開発に投じるのと、一億人に一万円配給して使わせるのと、数字の上では同じ歳出だろうが、その違いが生み出すものは遙かに大きいのだと、私たちは知っているはずなのだが……。

 最終的に訴訟沙汰にまで発展してしまった昨年の「プロジェクトJAPAN」第一期シリーズですが、いよいよ来る4月18日から第二期シリーズがスタート。第一回のお題は「「韓国併合への道」〜伊藤博文とアン・ジュングン〜(仮)」と、今回も大荒れの予感。
 題名に突っ込みを入れれば、個人的にはアン・ジュングンは「安重根」と書いて「あんじゅうこん」と読むべきだと思います。歴史的にも、学術的にも、その方が正当性がありますし、番組中で紹介されるであろう当時の資料が全て漢字書きであろうことは疑いないからです。
 古来、漢字圏においては固有名詞は相互に漢字でやり取りし、読みは各国に任せることが通例でした。韓国においては漢字の廃止により、報道協定で音写へと変更されましたが、それは戦後も大分経ってからの話で、歴史上の人物である安重根に適用される事例だとは思いません。
 大体、안중근って綴り見ればわかるけど「ジュン」の最後は[ŋ]音だし、「グン」の母音は[ɯ]音だべや。大抵の日本人にきちんと発音できるわけでもなし。

 そういえば日産Leafが4月1日から予約開始とか。実際の供給は12月からということですが、予価376万円よりというかなり豪儀な値段付けが話題になってますね。以前から日産が言っているように、バッテリはリースとしてこの価格なのでしょうが……そのバッテリのリース料がプレスリリースに載ってないんだよな。
 大丈夫なんかいな。
 一方先行する三菱i-MiEVは4月1日より一般販売を開始。誰が買うのか知らないけれど、一応エポックだろうなぁ。


2010年3月31日(水曜日)
 WIRED Japanに「トヨタ車の誤作動に宇宙線が関与?:チップ小型化で耐放射性が減少」とかいう記事が。「面白おかしい」のモデでも付ければよいのか……。
 高度10万mを飛ぶ航空機だとか、高度360kmをカッ飛ぶ人工衛星だとかの場合、この問題は確かに色々問題にはなるのですが、それでもヴァン・アレン帯の内側ならそれほど問題にはなりません。静止衛星や惑星間探査機の場合は、厳重に対策がとられます。
 しかし、深い深い大気の底、地べたの話ですからねぇ……。
 暴走車両の近くに線源がある方がまだ現実性が高いような気がします。
 ちなみに日本では2003年に三菱ふそうが「高出力無線を近距離で食らうとABSが異常動作する」という理由でリコールをしております。3500W以上の無線を数メートルの距離から喰らった場合、ということなんですが、アマチュア無線一級でも1000Wなのに一体どこからそんな電波が?と思うわけですが、実際に事故が起きていると言うのだから侮れません。

 ハイブリッド車輛の普及が留まる所を知りませんが、今度は機関車ですか。
 でもJRFってディーゼル・エレクトリックの機関車作ってなかったっけ?と思って調べてみたら、DF200(wikipedia)という機関車があるらしい。こいつはディーゼル・エレクトリック、つまりエンジンで発電してモータで走るだけで、蓄電池は持ちません。つまり流体継手や変速機を可変電圧・可変周波数インバータとモータで置き換えたような構造ですね。パワーエレクトロニクスの進歩によって、機械的な動力伝達装置より電気化した方が効率が良くなってきているのです。(特に低速・高トルクが必要な場合においては)
 以前も書きましたが、これにバッテリを追加してハイブリッド化する利点は、パワーストレージを擁することによる出力変動の平滑化と、回生ブレーキによるエネルギーの回收にあります。当たり前ですが、ディーゼル・エレクトリックの場合、大出力が必要になればエンジン回転数を上げねばならず、この変動が急激であれば燃費の低下に繫がります。エネルギーストレージを持つことによって、一時的に大エネルギーが必要となったときにそこからエネルギーを供給し、エンジンはゆっくりと效率良く出力を上げる、といった用法が可能になります。
 しかし逆を言えば、出力変動が殆どなく、一定の出力を出し続ければ良い用途においては、ハイブリッド化は重量増という不利を背負うことになります。
 これらの条件から、ハイブリッド化の利得が大きい用途は、発進停止を比較的短い距離で繰り返す用途や、上り下りの変化が激しい道を走る用途などということになります。
 機関車と一言で言っても、長距離をほぼ一定の速度で延々と走り続ける、コンテナ輸送用の機関車などではハイブリッド化のメリットは殆どありませんが、今回のHD300は貨物駅での入替用途とのことで、ハイブリッド化のメリットが大きい用途ではありますね。
 置換え元のDE-10がV型12気筒1,250PS(919.4kW)で最大引張力が19,500kgf(191.2kN)に対して、HD300はエンジンの出力は250kWクラスながら最大引張力約20tf(約196kN)なんだそうな
 效率が良いというのは素晴らしいですな。

 数日前からネットを騷がせていた話題が、「アニメ批判「原爆2個では不十分」 ネットに米州議員と朝日が報じていて、いよいよ朝日もネットからネタを漁る時代か、と。
 既に発言は削除されているとのことで元ネタを拾うことはできませんが、Wikipediaのエントリにはしっかり書かれてますな。anime is a prime example of why two nukes wasn't enoughですか。
 ニューハンプシャー州下院議会は定数400で任期は2年のようですね。現在は民主党が多数党のようです。
 下院があるということは上院があるわけで、こちらは定数24ですが2年改選は同じようですねぇ……。
 住人じゃないので、向こうの上下院がどのような役割分担を持っているかまではわかりませんでした。
 しかし、調べてみるとネブラスカ州以外は州議会ってみんな二院制なんですね。
 個人的には東京都議会も二院制でもいいくらいのサイズだと思わないでもないですね。もっとも、その場合分権とか面倒臭そうですが。