哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2007年7月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2007年7月1日(日曜日)
 はくほー氏はN700を観に東京駅へ行ったに違いない。

 6月29日の朝日新聞に、戸籍氏名にまつわる裁判の記事が載っているとエルマンソー氏に教えられて、図書館へ行ってきました。
 以下、コピーより起こしたテキスト。

同姓同名 保険金受取人は…
菊地? 菊地?
仙台地裁 草冠の切れ目 決め手

 亡母の保険金を受け取るのは米国在住の娘なのか、仙台市に住む息子の妻なのか。同姓同名の2人の「菊地和子」さんが争った損害賠償請求訴訟の判決が28日、仙台地裁であった。潮見直之裁判官は実の娘を受領人と認定し、保険金を受け取っていた息子の妻に対し、約170万円を娘に支払うよう命じた。判決の決め手は、苗字の「草冠の切れ目」だった。
 裁判では、22年前に母親が保険契約を結ぶ際、書類に書き込んだ受領人欄の氏名はどちらを指すのかが争点となった。潮見裁判官は「菊地の『菊』の字体は草冠が中央で二つに分かれた旧字体になっている」と指摘。戸籍上、草冠が繋がっている息子の妻ではなく、米国に住む娘の戸籍上の表記と一致すると判断した。

朝日新聞 2007年6月29日 東京第14版 38面

 仙台地裁のページには詳細なし。判例検索システムにも掲載はないようだ。
 文字学的に言えば草冠が4画の菊だろうと3画の菊だろうと意味や音訓が変わるわけではないのですが、こと日本国における人定においては、このように「意味を持つ」のであります。
 今回はたまたま草冠で識別できたわけですが、これがもし「職権で訂正」なんぞされていた日には裁判が泥沼化した可能性すらありますなぁ。
 こんなのレア・ケースだろうと思われるかもしれませんが、何万人分かの人物データを集積すると、こういう事例がそれほどレアでもないことがわかると思います。
 ちなみに、同一選挙区から同姓同名の候補者が立候補なんて事態も日本で過去複数回起きています。
 戸籍があれば人定ができる、なんていうのは素朴な思い込みというもので、人間の流動がそれほど多くなく、村や町の単位で顏見知りだらけなんていう時代であればこそ人定に過不足なかったでしょうが、現代の複雑化した行政サービスを展開するのには、些かならず力不足の面があるのです。
 それにしても……人定を疎かにし続けてきたこの国も謎の多い国だ。

2007年7月2日(月曜日)
 朝礼が無くて平和な月曜日。

 先日の久間発言について、詳しい発言内容がこちらにあった。
 多少、事実関係の認識に疑義はあるが、大筋で問題のある発言ではないと思った。
 ただ、舌禍の人だな、この人も。
 もう少し、脇の堅い人を登用してはどうか?


2007年7月3日(火曜日)
 結局久間防衛相は辞任。後任は小池百合子氏。
 日本の防衛相の地位を考えると難しい所だなぁ……。
 どっちにしろ、参院戦後までの繋ぎか?

2007年7月4日(水曜日)
 2001年から開発が続けられてきた次期輸送機“C-X”と、次期哨戒機“P-X”のロールアウト式典が催された。不幸にも、主務大臣たる防衛相がいない式典になってしまったが……。
 開発当初は国産化する意味があるのかとか言われていた両機ですが、蓋を開けてみると、C-130J、A400M、P-8など、対抗機種が悉く開発難航の中、僅かなスケジュール遅延だけでロールアウトに漕ぎ着けてしまいました。もっとも、この後の試験だって、決して楽観はできませんが、少なくともまだ形にすらなっていない連中よりはマシであろうかと。

 先月30日に北海道から、「札幌の道立高 「胸触られた」120人苦情 女生徒 内科検診終了できずという困惑させられる記事があったのだが、続報が「道立高健診女生徒から苦情 学校医、誤解に泣く 説明不足で「触診イヤ」として掲載されて、更に当惑する。
 ぶっちゃけると、この学校は校長から生徒まで馬鹿ばっかりだな、と。
 どうせ「触診がイヤ」とか言っていながらも、いざ突然死とかいう事態になれば「健診が不十分だった」とか言って訴訟に持ち込まれるのは目に見えているわけで、なんで医師だけがそんなクソミソなリスクを負わねばならんのかと、激昂しても良いくらいだ。学校医は辞表を提出したそうですが、むべなるかな。
 医療にはリスクが付き物で、下は“恥ずかしい”から上は“命の選択”まで様々なレベルのリスクがあるのに、ノーリスク・フルリターンを求めるようなやり方はおかしいと、それこそ教育してくれと言いたい。

 とはいえ、北海道では無理だろうな、という諦めも同時にあったりする。
 北海道といえば、北教組がAED(除細動器)の学校への設置に反対していることで知られており、教師からして医療に対して無知な自治体だと私は認識しています。そのような土地柄のことですから、医療的に必要な診断方法が「民主的」に否定されることもありえるだろうと思えます。
 勿論その結果は彼ら自身が引き受けなければいけないのですが、不幸にもその辺の自覚にも乏しそうなんだよな。


2007年7月5日(木曜日)
 いよいよニューマシンで日記を書いてみる。
 実は、とうとうIMEをATOKにしてみた。本当はWX3 for Windows 95で踏ん張りたかったのだが、諸般の事情から諦めることにした。
 しかしそうなると、もはや選択肢はATOKしか残っていないわけで、否応なく導入することになった。登録できる単語の種類がWX3に比べて大幅に減ることと、キーバインドの自由度が僅かにWX3に劣り、痒いところに手が届かないところがあるところなど、多少の問題はあるが、概ね動いてはいる。
 MS-IMEは職場で使ってはいるが、統制語が多すぎて話にならん。猥語だろうが差蔑語だろうが、必要なときには入力できなければ、道具としては意味がない。

 先週日曜日に始めた新マシンへの移行作業も、これでほぼ一段落かな。まあ、アプリケーション類は片っ端から再インストールしなきゃなんないんだけど、それは追々でも構わない。メールとブラウザと最低限度のエディタ類が使えるようになれば、概ね何とかなってしまう。
 データストレージをNASにしとくって、本当に便利だなぁ。


2007年7月6日(金曜日)
 「ゆきゆきて、神軍」のDVDがリニューアル発売されたらしい。奥崎謙三も今頃あの世で何をやっていることやら。

 朝のNHKニュースで突然警察のSATの訓練風景が映った。北海道洞爺湖畔で来年催されるサミットの警備に関係して、マスコミに公開されたものらしい。
 しかし思うのだが、SATが出動する事態が起きた時点で、警備としては失敗なのではないだろうかと。
 こういった会場警備においては、事が起きないようにするのが第一であり、事が起きたならば迅速に事態を收拾することは重要だが、サミット警備についての情報公開というのであれば、SATを見せることに意味があるようには思えない。勿論、公安部の仕事を公開することはできない、というのは理解できるのだが……。
 それよりも、先日のロンドン・グラスゴーで起きた事件を考察するならば、事件発覚後の迅速な容疑者確保をこそ見習うべきではなかろうかと思う。イギリスは監視カメラ社会として知られていますが、それがこの様な社会を対象としたテロの捜査には非常に有效なことが証明されつつあるように思う。


2007年7月7日(土曜日)
 土曜日だというのに坂村城へ出掛けてBTRON Club

 坂村城へ登城がてら、秋葉原の鈴商でパーツを買う。最初幾つか自作系の店を回ったのだが目的の物が見付からず、それならと思って部品屋へ出向いたら見事に見付かった次第。

 街のあちこちに、参院選の掲示板を見かけるようになった。先日は五反田駅前に朝からツルネン氏が立っていた。大橋巨泉辞任による繰上げ当選からもう5年か。是非二期目も頑張って欲しい。
 ただ、私は比例での候補者を既に決めているので、ツルネン氏に票を投じることはないのだが。
 ちなみに私が投票する予定なのは、佐藤正久元一等陸佐。自衛隊サマワ派遣部隊の隊長として、一時期は連日テレビに映っていた御仁。
 この人は国会に送り込む価値がある。私はそう思った。


2007年7月8日(日曜日)
 梅雨に入ってから久し振りとなる自転車で川口まで往復。思ったより足が回った。

 毎日新聞のサイト毎日ボートマッチとかやっていたので、挑戦してみる。
Boardmatch Result
 ……。
 既存政党のマッチ率は最高でも46%ですか。
 殆どどの政党とも適合しないと言われているようなもんだな。


2007年7月9日(月曜日)
 ボーイング787がロールアウトしたらしい。
 機体の35%を日本が製造担当、とかいう文字が躍っていますが、要するにそれって「ボーイングの下請け」以上ではないって話じゃないか……。
 飛行機だけじゃないけど、部品だけ作れても、それだけじゃ下請けからは脱却できない。自ら設計して製造して販売して始めて、飛行機を作ったといえるのだ。

 かなりマズいことに、痰に血が混じるようになった。
 真剣に結核を疑わねばなるまい。


2007年7月10日(火曜日)
 パキスタンのイスラマバードで3日に発生したイスラム教過激派と治安部隊との衝突は、モスクへの籠城から投降交渉を経て強行突入へと至り、ほぼ鎮圧されつつあるという。ムシャラフ大統領も最後の最後まで交渉で粘ったんだがねぇ。
 それにしてもパキスタンも政情不安が改善しないな。国内では中国人が故も無く次々と襲撃され殺されていたりするわけで、治安の悪化に歯止めがかからないと国内への投資が冷え込んで……という悪循環に陥ってしまう。それ故に最後は強攻策となったんだろうけど、イスラム教を国教とする宗教国家でモスクへの攻撃となればかなり大きな政治リスクなんだよね。
 所詮政治は世俗だよな。

 参院選も間近に迫り、世間は騒がしくなってきたわけですが、なんと現時点で投票すべき人が、比例も選挙区も決まってしまいました(笑)。
 後は投票日まで待つばかり……。
 公示後にとっとと期日前投票ってのもアリなんだけど、前の長崎市長選みたいなことが起きたら嫌だから、できるだけ投票日に投票したいよね。


2007年7月11日(水曜日)
 「ロボットが荷物を仕分けするデモシステムを安川電機と三井物産が構築」という記事を見て思うわけですが、人間のやる仕分け作業を模するのだから二本腕というのは理解できるのですが、なぜ胴があれほど人間を模しているのかと。そしてなぜそこまでしておきながら首から上がないのかと!
 未来の物流拠点で人間に混じってこういうロボットが働いていたりする情景を想像するに、なぜか日本の労働者たちはこのロボットにダミーの頭と顏を付けてみたり、自分たちと同じ制服を着せたりするのではないかと……。
 日本の未来には「ロボットに職を奪われた人間が報復に……」とかいうシナリオは描きづらいですなっ(笑)。

 ATOK2007の謎の挙動に悩まされている。
 まず、適当に語を入力する。ここでは例として「さいき」と入力してみる。
ATOK2007 Fig.1
 [変換/次候補]キーを押すと、当たり前だが最初の変換候補が表示される。ここでは「再起」。
ATOK2007 Fig.2
 もう一度[変換/次候補]キーを押すと、二番目の候補が表示される。この例では「再帰」。
ATOK2007 Fig.3
 ここで[変換/前候補]キーを押す。当然のように期待される表示は「再起」なのに、なぜか全く違う単語「齊喜」が表示される。
ATOK2007 Fig.4
 「再帰」はどこへ行った?
 さらにここから[変換/次候補]キーを押すと、一覧ウィンドウが表示される。
ATOK2007 Fig.5
 この一覧の中の3番は飛ばされてしまい、候補に出てきていない。ていうか、「齊喜」はどこから出てきたのだろう?
 この挙動はおかしいと思うのだが、あるいは阿波徳島だけに、これが正しい動作なのか……。
 なおこの現象は再現性があり、すべての語の変換において発生している。


2007年7月12日(木曜日)
 参院選公示。
 投票日は29日。

 昨日ATOKの挙動だが、どういう動きをしているのかは、ほぼ理解した。
 ある未変換文字列に対する変換候補がn箇ある時、それぞれの候補をlist[0]〜list[n-1]とする。変換キーの押された回数をtとする。
 未変換状態から[変換/次候補]キーを押すと、t=1となり、list[t-1]=list[0]の候補、即ち先頭の候補が表示される。
 再度[変換/次候補]キーを押すと、t=2で、2番目の候補list[1]が表示される。
 ここで[変換/前候補]キーを押すと、t=t+1が行なわれt=3、かつlist[n-t]の候補が表示される。
 この状態から更に[変換/次候補]キーを押すと、t=4で、list[t-1]の候補が表示される。
 もうちょっと分かりやすく表現すれば、
list[±(t-1)(modn)]
[変換/次候補]キー押下時:+
[変換/前候補]キー押下時:-
……ということだ。
 追試の結果、これでATOKの挙動はきちんと説明がついた。なぜこのような仕様になっているのかは全く理解できないが、流石ははくほー氏が愛して已まないだけのことはあるとの感想を懷いた。
後日訂正
 上記の説明は不正確でした。
 未変換状態から[変換/次候補]を押しても、[変換/前候補]を押しても、必ずlist[0]が表示されるので、未変換状態から変換中状態への遷移時には、変換キーの押された回数をカウントしたらまずい。
 ですんで、上記の説明を以下のように訂正します。

  • ある未変換文字列に対する変換候補がn箇ある時、それぞれの候補をlist[0]〜list[n-1]とする。
  • 変換中状態への遷移後に変換キーの押された回数をtとする。tの初期値は0。
  • 未変換状態から[変換/次候補]キーもしくは[変換/前候補]を押すと、変換中状態へ遷移し、t=0なのでlist[0]の候補、即ち先頭の候補が表示される。
  • この状態から[変換/次候補]キーを押すと、t=1で、2番目の候補list[1]が表示される。
  • ここで[変換/前候補]キーを押すと、t=t+1が行なわれt=2、かつlist[n-t]の候補が表示される。ここが大きく食い違う
  • list[±t(modn)]
    [変換/次候補]キー押下時:+
    [変換/前候補]キー押下時:-
 なので、変換中状態に遷移してから、[変換/次候補]もしくは[変換/前候補]だけを連続して押下している限りこの現象は顕在化しない。「おっと行き過ぎた前候補!」というキー操作を行った際に、この仕様は顕在化する。
訂正ここまで(2007-07-13)

 上記の件をジャストシステムに問い合わせてみた。

■回答
  ご指摘の現象は、現在のところATOK2007の制限となっております。
 ATOKの[変換/前候補]については、候補ウィンドウ表示を前提に動作
 する機能となっており、候補ウィンドウ表示までの変換回数によっては、
 今回のご指摘のような現象が発生いたします。
  ご迷惑をお掛けし、申し訳ございません。今回のご指摘につきましては、
 弊社技術部に申し伝え、今後の製品作りの際に、役立てたいと存じます。
 どうやらマジでそういう仕様らしい。
 理解しがたい。

2007年7月13日(金曜日)
 朝日に「30代はキレやすい? 暴行事件が増加、10代の3倍にという記事があったわけですが、この手の調査って「年代」よりも「出生年」で判断しないとおかしくないかね?
 「この10年で5倍」とは言うが、10年前の30代は今は40代になっているわけで、比較するなら10年前の20代と比べないと意味がないように思う。私の知る限り、通常の人間は一年に一歳ずつ年を取っていくので、「前年同期比13%増」というなら、私だったら「新たに30代に入った層と、30代から出て行った層の差分の問題ではないか?」とまず疑う。
 統計をちょっと弄れば、そういうデータって手に入ると思うんだけど、やっても余り見たくないような現象しか見えてこないのかな。

 三菱自工が次期ランエボにAMTを投入するそうな。
 技術的には嫌いじゃないんだが、AMTに乗るくらいならMTに乗れよと思わんでもない。んでなければシーケンシャルトランスミッションとか。市販車には無理か……。
 自動車技術の進歩は面白いんだけど、何となく最後は電気自動車に行き着いちゃう流れにあるようで、ちょっと寂しかったり。

 昨日一昨日と書いたATOKバグ仕様だけど、発生条件をもう少し丁寧に書けとの指摘があったので、覚え書き。

  1. [変換/前候補]機能を、変換中に使えるようにキーバインドを変更する
  2. 「候補ウィンドウ表示までの変換回数」をデフォルト値(2)より多くする
 以上2点。
 なので、ジャストシステムからの回答ATOKの[変換/前候補]については、候補ウィンドウ表示を前提に動作する機能とか候補ウィンドウ表示までの変換回数によってはいう文言が出てくるわけですな。
 ネットを漁ってみたところ、2chのATOK板過去ログの2003年7月13日に同様の指摘があった。つまり少なくとも4年間はこの仕様で通している。ジャストシステム内でこの仕様を設計した人間は、一般人とはかけ離れた思考回路を持っていたいに違いないと確信するに足る状態ですな。
 ところで、「候補ウィンドウ表示までの変換回数」≧候補数 の場合候補ウィンドウそのものが表示されなくなるという素敵な現象も発見しているのですが、恐らくこれも謎仕様なんだろう。そしてその場合[変換/前候補]は既述の通りの動きをする。
 まさか「候補ウィンドウ表示までの変換回数」をデフォルト値より多くした状態でのテストを一切やっていなかったなんてオチじゃないだろうなぁ。
 正直、どれほど辞書が良かろうが、こんなクソミソなバグ仕様が4年も残っている製品を使うのは、かなりストレス。

2007年7月15日(日曜日)
 連休に合わせて、実家へと帰省。弟と二人で、力仕事があるから、と。
 というわけで、昨日は移動日で、本日は昼間から、今年何度目かになる力仕事。
 さらに、帰省前日に親父殿のPCがクラッシュしたとかで、リカバリー作業。まずはWindows PEを使ってデータだけを退避させ、その上で原因究明と、対策。
 NTシグネチャ回りだったので、HDDのNTシグネチャを飛ばしてMBRを書き戻して終了。
 どこへ行っても似たようなことしてるなぁ……>自分
2007年7月16日(月曜日)
 海の日だけれども、関係なく肉体労働は続く。

 朝、長い前兆微動の後、震度3の地震。「また能登か?」「いや、新潟だろう」とか言いながらテレビを見れば、新潟県の柏崎の方で震度6強との報道。
 そんなわけで、富山のほうでは全くといっていいほど被害はなかったのですが、新潟県内で鉄道・高速道路が途絶してしまい、東京へ戻るに戻れない。まあ、実は明日明後日と有給休暇を取ってあるので、余裕はあるんだけどね。
 果たして私は、どのようなルートで東京に戻ることになるのであろうか。


2007年7月17日(火曜日)
 有給休暇を取り、故郷での最後の一日。
 思ったより早く弟と二人で力仕事を片付けたため、今日は比較的暇だった。そこで、昔馴染みの床屋で散髮など。

 平成19年新潟県中越沖地震によって交通網が寸断されてしまい、帰路がどうなるか、朝まで判らなかったのだが、朝の段階でほくほく線が動いていることが確認でき、上越新幹線は前夜の裡に復旧していたので、遅延がないかだけを確認して、特急はくたか→新幹線の通常ルートでの帰京を撰択した。
 ところがはくたかが越後湯沢に近づく頃になって、上越新幹線の方に架線トラブルが発生し、乗り継ぎ予定の列車がなくなってしまった。全くこのルートでは毎回のようにトラブルに見舞われる……。
 結局、各驛停車の新幹線に乗って、予定より30分ほど遅れて上野に到着したのだった。

 はくほー氏が「不具合発見能力」とか奇拔なことを言っていたが、通常、ソフトウェアにはバグが憑きもの付きものであり、使い込んでいればソフトウェアの奇矯な振る舞いに遭遇することは珍しくも何ともない。そこで「そういうものだ」と自分を納得させて終わるか、より良い未来のために敢えて指摘を行うかくらいの違いではないか。
 どういう訳か年に数件程度、この手の報告をあちこちの企業に対して行うことになるわけだが、対応は様々だ。
 AdobeのPhotoshop CS2で見つけたウィンドウ位置保存についてのバグは、CS3では直っていた。実はIllustrator CS2にも似たようなバグがあり、報告していなかったのだが、CS3で修正されていた。Adobe内部の開発体制を思わせる。
 MicrosoftのOffice 2000で見つけたバグは、SP1で修正された。別件については、報告以来3年、未だに直っていないものもある。全体として、直せるものと直せないものについての切り分けが良くできていると言うべきなのか。
 最初に報告したら「お客樣の環境依存」などと阿呆なことを言ってきたので、「になっていないからだ」などとバグの場所を指摘したらやっと直してくれたなんて会社もあった。ここまで指摘することは、正直珍しい。
 どうしようもなくてデバッガとバイナリエディタで直すことだってある。
 今回、個人的にはかなり詳細な情報まで提示したという意識がある。Adobeの時はもっと突き放した報告をしたがバージョンアップで直してきた。果たしてジャストシステムはどのように対応するだろうか。

 ATOKについて、雑感。
 抑制単語が多すぎやしないか? 「気違い」すら変換されないというのは、一体どういう了簡だろうか? 逐一総て登録しろと言うのか? 只でさえ現時点で登録単語数が2万を超えているのだが、何処まで増やさせれば気が済むのか……。
 あと、変換モードの切り替えは、小説書きのように頻繁に口語や一般が混淆する文章を書く人間にとっては、キー操作が煩雜なだけ。口語だろうが文語だろうが、シームレスに入力できて欲しい。
 ユーザ辞書については、登録できる品詞数が少なすぎて話にならない。
 たとえば「—染〔じ〕みる」という語を登録したいと考える。この語は一段動詞だが、あくまで「染〔し〕みる」の音便変化であって、単体で使うわけではない。名詞、あるいは動詞の連体形に接続する一段動詞だ。しかし、その樣な品詞はATOKにはない。これがWXIIIであれば、「連体形+ 一段動詞」などの登録が可能だったのに、と、歯痒くて仕方がない。
 ATOKの変換傾向を眺めるに、この様な語は、連結する語と一緒にして長い単語として登録しているらしい。つまり「気違い染み(る)」などは「きちがいじみ(る)」と登録しておくようだ。こんなことをしたら順列組合わせで辞書サイズが爆発だろうと思うのだが、考えてみればATOKは変換アルゴリズムの改良より辞書の強化で変換効率を上げてきた伝統があるので、そんなものなのかも知れない。
 その割にはユーザ辞書の一覧は5万語までしか一度に表示できないんだよな。
 ATOKを使ったのはATOK 6以来なのだけれど、他の日本語入力ソフトが絶滅して、こいつが生残ったことに疑問を強く覚えた。

 過去に使ったことがある日本語入力ソフトをつらつらと思い出す。
 VJE-Σ、VJE-β、VJE-Delta、ATOK 6、NEC-AI、DFJ/2、WXII/II+/WXIII、WXG/2/3、MS-IME各種。使ったことがなかったものとしては、katana、VJE-γ、松茸辺りが有名所だろうか。
 百花繚乱絢爛豪華たる栄光の日々を思い、現在の多様性の失われた世界を哀しむ。


2007年7月18日(水曜日)
 年休消費日。

 前々からおかしかった眼鏡のフレームが本格的に壞れたので、修理に出す。
 過去ログによると、前のフレームが壞れたのが2003年4月のことだったようだ。
 当時も精神に負担がかかる仕事をしていたが、今もまた同じような仕事をしていることを考えると、この仕事はきっと眼鏡の寿命に悪影響を与えるのだろう。あるいは、眼鏡が私への悪影響を吸收して先に壞れるのやも知れぬ。

 TEACDV-W28SLCというDVDドライブを購入して、ケースに放り込んで接続したら、認識しない。あれこれ試してみると、どうもIDEのMaster/Slaveが逆になっているっぽい。
 調べてみると、TEACの光学ドライブはCable Selectが逆になっていて、普通に突っ込むと動かないことがあるらしい。
 スリムドライブ用コネクタの仕様を調べたりして、どうやら47番ピンをマスクすれば、通常ドライブならSlaveにできるらしい。つまりこの場合はMasterにできるわけだ。
 さて。どうやってマスクしようかと思案すること数分。
 ピンを折っちまいましたとさ。
 そんで正常に動いてんだから、まあ良しとしようやな。
 あとはPlextorのドライブを入手しておかねばなぁ……。

 やや旧聞になるが、「ドクターヘリ 救急車より合理的 入院日数短く治療費削減という記事があり、興味深く眺めた。
 治療費の削減分はヘリの運航費用を上回るってのは画期的な結論ではないかね。


2007年7月19日(木曜日)
 宮本顕治元共産党議長が昨日亡くなったそうな。
 一報を聞いて最初の感想は「まだ生きてたのか……?」だった。享年98歳。戦前からの筋金入りの共産主義者で、特高に逮捕され投獄されても転向しなかったことで戦後の共産党の実権を握り、ある意味、ソ連とも中国とも違う独自の共産党文化を作り上げた点で、日本の政治史には欠かすことのできない人物であり、毀誉褒貶を受ける人物である。
 合掌。

 先日の中越沖地震で、柏崎刈羽原発に想定以上の搖れが加わり、火災や放射能漏れを起こした。このニュースは国外でも報じられ、周辺国では寧ろ地震よりも扱いが大きかった。特にロシアではしつこいくらい放射能漏れのことを繰り返していた。
 元々、あの辺りは活断層が多く……というか、フォッサマグナの直上なので、原発を造るのに適した土地なのか議論はあった。今回、680Gal=6.8Gという想定以上といわれる加速度を計測したことは、驚くに値しない。
 今更動かせるわけもないので、せめて点検だけは厳にして頂きたいものだ。

 今年3000本安打を達成したヒューストン・アストロスクレイグ・ビジオ選手は主に二塁を守る(メジャーリーガーとしては)小柄なリードオフマンだが、選手生活の始まりは捕手だった。その後チーム事情から外野へ回ったりしながら、41歳になる今年までプレーを続けている。
 さて、キャッチャーで右投げ右打ち、というと別に珍しくもなんともないわけだが、実はこのビジオ、左利きではないかと思われる節がある。なにせ、サインを左で書いている
 ここで思い出されるのは往年の名選手(?)金森栄治。ライオンズタイガーススワローズと渡り歩き、タイガース時代に甲子園のラッキーゾーンに落ちた男として日本プロ野球界に永遠の金字塔を打ち立てた選手だ。
 彼は選手生活の殆どを外野手(一番長いのはベンチじゃないか、という指摘はこの際却下)として過ごしたが、入団当初は捕手だった。ただし同年のドラフト一位が伊東勤であることと、右投左打であったこともあり、捕手としての出場は僅かしかない。
 ここまで来れば大凡先が読めると思うが、実はこの金森は左利き。つまり、左利きで右投げの左打ち、という選手だった。
 私の記憶する限り、左投げの捕手が日本のプロ野球に出場した記録はなかったと思うが、「左利きの捕手」は存在したというお話。そしてたぶんビジオもそうなんだろうな。
 あれ? 衣笠祥雄も左利き右投げで入団時は捕手だなー。

 調べてみると、利き手と投げ手が逆、という野球選手はちらほら存在するようだ。珍しいことは珍しいが、一時代に何人もいる程度でしかない。理由は様々で、星飛雄馬のような話もあれば、本田吾郎の如き事情もある。道具がなかったとか、野球に興味がない親が逆のグラブを買ってきたなんていう冗談みたいなケースも存在するらしい。
 いやぁ、野球は面白い。


2007年7月20日(金曜日)
 眼鏡が直ってきた。同じフレームを取り寄せて部品交換したらしく、私の眼鏡の奧にバラされたフレームが……。共食い整備かよ。
 眼鏡のフレームって規格化されておらず、テンプル一本交換できないとは知っていたが、酷いもんだな。
 お代は廉かったのだが、眼鏡屋からしてみればフレーム一組を消費したわけで、大赤字だろう。

 様々な危機経てなんとか建造に漕ぎ付けた次期砕氷艦の艦名を来月から募集するそうです。

 名所旧跡(例えば山や氷河)の名称となっているのは、自衛艦命名規則に従ったものですな。
 よし、じゃあ南極にある「大和雪原」から「やまと」と命名……(PAM! PAM!!)

 朝日に「ローマ字、パソコン普及で脚光という記事があったのだが、ヘボン式で「しんぶんしゃ」の綴りは「shimbunsha」になる(ヘボン式ではB、M、Pの前の撥音はMで表記する)のではなかろうかと、内心ツッコんだ。
 それはともかく、日本語入力においてローマ字入力が主流であることは疑いないところではあるが、その入力方式は必ずしも訓令式、ヘボン式には囚われていないと思うな。どこの会社とは言わないが、「la」に「ぁ」を割り当てて、デファクトスタンダードにしちまった悪例があるしね。「ゐ」と「ゑ」が「wi」「we」に割り振られていないことも多いし。
 そういえばはくほー氏は親指シフターで、画伯はμTRONキーボード仮名入力であったかのう。どちらもナチュラルボーン少数派みたいな連中なので、慮外の異星人みたいなもんだなや。
 しかし、多数派というのであれば、現在の日本語入力の最多数派は、携帯電話のダイヤルキー入力ではないかと思われるのだが、それは教育せんのかね?

 ローマ字論ってのはそれこそ幕末からあるわけだけど、面白いくらい議論で拔けている視点が、非日本語母語話者への日本語教育におけるローマ字の有用性なんだよね。訓令式とヘボン式のどちらが優れているかなどはこの視点からすると傍論も良いところで、日本語学習者のためには綴り方は統一されていた方が良いに決まっている。
 日本語には音節文字の平假名と片假名があって、更に表語文字の漢字があって、おまけにローマ字表記も複数ありますとか言われると、折角日本語を学ぼうと思っている人たちの学習意欲を削ぎかねませんし、学習效率にも影響するのではないでしょうかね。
 しかし、日本においては日本語学習についての議論が薄いねぇ。なんでなんでしょ。


2007年7月21日(土曜日)
 余った部品で友人のPCを一台組む話になって、予備パーツの中からAthlon XPとか引っ張り出してきてマシンを一台組んだのに、起動しやがりません(涙)。電源は入るのにPOSTしやがらねぇ。
 もう自作なんて嫌だ。次からは止めよう。

 スロットローディング式の光学ドライブは始めて買ったんだけど、使ってみると存外勝手が良いな。特に縦置きに不自由しないのが良い。
 5インチベイ用光学ドライブでスロットローディングのものって少ないように思えるのだけど、何か理由があるのだろうか。

 内蔵FDDも止めてUSB接続FDDにしてしまおうと思ったわけだが、オートイジェクトのFDDって今市場にないのね。


2007年7月22日(日曜日)
 22.2インチで3840×2400ピクセル、おおよそ200dpiか……>超高精細液晶ディスプレイ
 実に望ましい一品だが、一体幾らになるのやら。

 昨日の件では各方面から助言を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
 しかしこれまで、これほどまでに自作でトラブった記憶がないんだけどねぇ。

 とりあえず全掲載誌持ってるよ>それ
 というか、Genesisさんともあろうお方がラジヲマンを知らなかったことに驚いた。


2007年7月23日(月曜日)
 職場のPanasonic CF-R4超漢字Vをネイティブインストールすることに成功した。
 超漢字Vは超漢字4.2で対応したUSB CD-ROMからの起動が外されてしまったので、内蔵光学ドライブを持たない機種でのインストールが困難になっていた。Yashiromannくんはqemuからのインストールを行っていたが、nyちゃんによって新たなインストール方法が怪発された。
 超漢字4.2の起動FDと、超漢字Vのリカバリーディスク、そしてそれから作った超漢字V起動FDを使用する。
 まずは超漢字Vのリカバリーディスクから起動イメージを拔き出して、FDに焼く。ISO Busterなどを利用してイメージを拔き出し、rawriteなどを使用してFDに焼き込む。これで超漢字V起動FDができあがる。
 機種によってはこの“超漢字V起動FD”だけでUSB CD-ROMを認識する場合があるようだが、CF-R4は駄目だった。
 で、どうなったかというと、CF-R4にUSB FDDとUSB CD-ROMを繫ぎ、USB FDDから超漢字4.2起動FDで起動。CD-ROMには超漢字Vリカバリーディスクを入れておく。
 インストーラ画面に至ったところでFDを拔き、“超漢字V起動FD”へ入れ替える
 適当なパーティションを選んでインストールを実行。
 これでバージョンチェックを通ってしまった。
 この方法を編み出したnyちゃんに幾万の感謝を。

 まーなんか起動時に途中で考え込んだりするようになって、起動は少々遲くなったが、新版の文字検索小物が使えるようになったのはありがたい。


2007年7月24日(火曜日)
 先日紹介した安川電機の双腕ロボットだが、やはりダミーヘッドと服は欠かせないようだ

 梅雨明けも間近に迫って、扇風機が売り場で目に付くようになってきたわけですが、多少、不満に思う点が。
 とりわけデザインに力を入れている扇風機に多いのですが、ファンの形状がいい加減なものが少なくないように思います。
 航空機のプロペラなどは高效率を追及するあまり、Hamilton Sundstrand NP2000プロペラなんて代物まで登場しているというのに、それに比して扇風機の翼のなんと原始的なことか! 風洞実験もしてないんじゃないか? どこかに機能美を感じさせるプロペラを持った扇風機はないものだろうか。三菱電機の奴がプロペラが美しいんだけど、ボックス型がないのが痛い。


2007年7月25日(水曜日)
 人のせいにするのは良くないと思います
 イトノ氏もそうですが、私は悪魔あくまでそっと目の前に好きそうなネタをぶら下げただけで、食いついたのは本人の自由意志というものです。私は自己決定を大事にする人間なのです。

2007年7月26日(木曜日)
 ひのきいでろうの新刊出てたのか! って何年ぶりだ!?

 F-22の禁輸措置の解除はなされなかった模樣。
 こりゃぁいよいよ日の丸EF-2000かね?

 産経に16DDHの写真入り記事が載ったとか
 でかいなー。


2007年7月27日(金曜日)
 「自爆攻撃を支持するイスラム教徒が急減=国際世論調査という記事を読んで、そりゃまあ、自殺攻撃に積極的な連中は勝手に減っていくだろうからなぁ、と思った。

 昨日F-22禁輸継続の件だが、報道では、選定時期を遅らせるとか報じられている。

 個人的には、そこまでF-22に拘らなきゃいけないのかな?と思う。いくらなんでも、調達に対する敷居が高すぎやしないか。
 特に、F-22を求める余り、玉突き現象でC-Xの調達が遅れるというのはどうかと。C-Xは確かに空自の所属だけど、運ぶ物に関しては陸自の機材人員だったりするわけで、影響の及ぶ範囲が小さくない。今後のPKOにも影響してくる。EF-2000という選択肢を蹴ってまで背負い込むに値する負荷なんだろうか。
 もし答えが是であるならば、F-22ってのは想像を絶するような戦鬪能力があるんだろうなぁ。
 ただ、こんな風に米国に振り回されるのはこれを最後にして欲しいわ。

 私は歴史学徒なので、政治が歴史に容喙することに、正直、嫌悪感があります。
 歴史上の多くの史実には劇物指定がなされなければならない程度の毒が含まれていて、専門家でない人間が気軽に扱うには危険が過ぎます。従って、学校教育などに於いては毒拔きをしてから当り障りのない部分を適当に教えるわけです。当然その辺の匙加減には政治的な思惑も絡んできますので、“正史”が必ずしも正確なものではなかったりするわけですな。
 政治なんてのは歴史研究に対して金だけ出してりゃいいんであって、間違っても歴史そのものについて言及すべきではないと思うのだけれどもねぇ。恥かくだけだぜ。


2007年7月29日(日曜日)
 参院選投票日。
 なんというか、思ったより楽しい政局になりそうだな。
 衆院単独でも重要法案を通しうる与党と、重要でない法案なら参院で止めうる野党かぁ。

 全国高校野球神奈川県大会準決勝、東海大相模横浜高校の試合で、振り逃げ3ランホームランという珍記録が生じた模樣。

 しかもこのランニングホームランが決勝点となり、東海大相模が決勝へ駒を進めた。
 ビデオが消されたときのために説明しておくと、4回の表、東海大相模の攻撃。この回3点を取ってなおも2死1・3塁。カウント2ストライク2ボールからバッター菅野がハーフスイング。主審は一塁塁審にリクエスト。塁審によってスイングが認められ、この時点でスイングが確認され三振が成立した。
 ここからは細かい野球のルールの話になってしまうが、野球においては三振=アウトではない。
 細かい条件はややこしいのだが、「投球をノーバウンドで正常捕球できなかった場合」でかつ、「無死・一死の場合は一塁が空いている場合」もしくは「二死の場合は常に」、バッターはランナーとなって一塁進塁を試みることができる。これを防ぐため、捕手はバッターランナーにタッチするか、一塁へ送球することになる。
 今回のケースは「投球をノーバウンドで正常捕球できなかった場合」で「二死の場合」だったため、振り逃げが成立。3アウトだと勘違いした横浜高校ナインがベンチに引き上げる中、悠々とランニングホームランを決めるという椿事となった。
 今回の原因は捕手の見落としが一番だが、それに加えて審判団が振り逃げの成立に気付いていなかった様子があることなど、今後に課題を残したと言えよう。


2007年7月30日(月曜日)
 昼間東京は大雨洪水警報。しかるに、朝と夕は曇り。通勤時間の傘は、用無しであった。

 韓国から「「柳・羅・李」氏、「リュ・ラ・リ」と読むのも容認」という記事。これは今年4月の地裁判決を受けてのものだろう。
 韓国語は、語頭にR音が来るのを忌む。これは古い日本語でも同様で、国語辞典のら行を見てもらえば分かるが、大和言葉は含まれない。余談になるが、語頭にR音が来ないのはアルタイ諸語に広く見られる特徴で、モンゴル語などにも見られる。
 日本語ではとっくに崩壞した規則ではあるが、韓国語では未だに守られている部分があり、そのために語頭の「李($(C軒)」の発音が「$(C戚」になることが一汎的である。
 まあその程度なら多くの世界の住人にとっては理解の範疇だろう。その程度の音韻規則を持った言語はザラであるし、特に忌むべきものでもない。また、此度の決定についても、一汎則に当て填らない例外があるというだけの話である。
 が、文字コードについて多少なりとも常識的な知識を持ち合わせている人間にとっては、話はここでは終わらない。
 良く知られているように、韓国の基本文字コード規格「KS X 1001」の漢字排列は音韻順であり、二つ以上の音を持つ漢字は意図的に多重登録されている。「李」について言えば、$(C軒音の$(C忿(55区61点)と$(C戚音の$(C谿(76区16点)がある。上記記事に取り上げられている漢字は、殆どが二重登録の対象である。
 この辺まで来れば察しの良い方はオチが見えてくると思うが、韓国の文字コード系に於いては、斯様な事情によって姓の音が変更された場合、漢字の方の文字コードが変わってしまうのである。これは「ちょっと読みを変更する」という話には止まらない。
 一見すると「ちょっと良い話」のようでありながら、その実IT業者の阿鼻叫喚を感じさせる、中々に味わい深いニュースであった。

 映画「善き人のためのソナタ」でシュタージ役で絶賛を浴びたウルリッヒ・ミューエ氏が胃癌で22日に亡くなっていたらしい享年54歳。余りにも惜しまれる、その死。


2007年7月31日(火曜日)
 終業後に渋谷で「特攻」(英題:Wings of Defeat)を観る。日系二世の監督と、日本の公教育を受けて育った米国人プロデューサによる、話題の作品。実は本日は監督とプロデューサのティーチインがあったので、それも目当てで。
 500円のプログラムや、国内配給担当のシネカノンはこれを反戦映画と位置づけたかったようだけど、映画の作り手の意識は、明らかに違うところにあった。それは理解への欲求だ。
 日本人の両親を持ちながらも米国で生まれ育ち米国の教育を受けて育ったJapanese Americanである監督は、10年前、自分の叔父が特攻隊員であることを知り、大きな衝撃を受けた。本日の監督の言葉を借りるならば、「身内に犯罪者がいたと知らされたような」心境になった。しかし彼女が知る叔父は、米国で認識されているような“狂信者”ではなく、ごく普通の人間だった。
 そこから彼女の、理解への旅が始まったのだ。
 この作品が語りかけてくるのは、(米国人から見ると)「理解不能な狂気の攻撃」とされる「カミカゼ」が、自分たちと同じ感情を持った人間による、理解しうる行動であったと咀嚼するまでの課程である。
 この作品を日本人が観たときに、多くは単純な反戦観に基づいて解釈するのだろうと思うと、些か悲しくなった。この作品が日本人にとって真実意味があるとすれば、それは恐らく、「我々日本人は、同じ境遇に置かれれば、きっとまた同じことを繰り返す」という確信を持つことだと思う。
 それは特攻を受けて沈んだ米軍艦の生存者がいみじくも言ったように、「我々も同じだ」と。
 歴史を学んだものとして、その言葉は途轍もなく重い。