哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2009年11月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2009年11月1日(日曜日)
 神保町でお買い物。紙の塊をお買い物。

 「「よく当たるもんやな」 裁判員呼び出し状3回連続、確率6万4千分の1」という記事はどの辺に突っ込んだらいいのか……。
 それは乱数の代わりに疑似乱数を使った馬鹿プログラムなんじゃないか?

 家に帰ってきて、日本シリーズを見ているうちに、倒れるように寝てしまう。


2009年11月2日(月曜日)
 HTVが全ミッションを終了。
 大気圏に再突入して燃え尽きた。

 悶死しそうな文章を見た。

 古来から、月と人間の間には深い関係があると考えられてきました。たとえば、身体に関わる漢字を見てみると、「肘」「膝」「腰」「胸」「脳」「腸」「肝」「臓」「肩」「腎」など、多くの漢字に「月」という文字が入っています。

[コラム]月の周期と女性の関係

 それは「肉」の字が変形した「にくづき」だッ!!!!
 漢字の構成部品としての「月」には、天体の月、肉月、舟月、丹月、冃月などがあり、それぞれ由来が違う。かつてはこれらは微妙に字体が変えられていて、区別がつくようになっていた。
 天体の月はのように、中の横棒の右側が開いている。肉月は両方接触している。舟月はのように点々。丹は円で、冃は左右共に非接触。
 「朋」はかつてはと作ったから、これは舟が二艘並んだ会意文字であろうと推測が付く。
 これらを区別不能にした戦後の漢字政策について私は良い印象を持っていないのだが、ここら辺まで来ると、もう色々駄目かもしれないと絶望的にならざるを得ない。
 ともあれ、まっとうな漢字の知識に不自由する筆者が得々と解説してこれを読む奴信じる奴がいることを考えると、一言ツッコミを入れた方が良いのだろうかと思案に暮れるところではある。

 USB接続のラジオで短波が聞ける奴が出たそうな。

 5月に話題になっていた、NHKの映像ライブラリがNHKクリエイティブ・ライブラリーとして31日に発足していた由。
 もうちょっとライセンスが緩いといいんだけどなぁ……。
 でも、これは小さいけども偉大な一歩だと思います。


2009年11月3日(火曜日)
 文化の日、ということで、文化的生活を送るべく、西洋美術館に「古代ローマ帝国の遺産」展を観に行く。
 お前ポンペイが好きなだけだろうというツッコミは無用に願いたい。
 主催が美術館なんで、視点も美術的な側面が強く、今ひとつ物足りなさが残ったことは一応秘密。

 続いて竹橋へと移動し、国立公文書館の秋の特別展「天皇陛下御在位20年記念公文書特別展示会」を観賞。
 御親筆の筆跡からありありと伺える陛下の衰えなんぞを悲しく思ったり。

 そして竹橋から神保町へ歩いて移動し、最終日の神田古本まつりに突入。
 実に文化的一日であった。
 巨人も勝ったし、言うことなしだ。


2009年11月4日(水曜日)
 「「薬剤師も最優先に」ワクチン接種で不満の声とか。
 にも書いたけど、病院ってのは医者と看護師だけで回ってるわけではないんだけどなぁ。
 一人でも多くの国民にワクチンを届けたい、という気持ちも分からなくはないけど、そこをぐっと堪えて罵声を浴びてでも必要な人から接種させねばならないのが、政治家の仕事だと私は思うけど。
 こんな調子で、強毒性になった時に対応を誤らずにおられるのだろうか。

 某工作者が某所で「エコフィン」なる製品を紹介していた。
 要するに、段ボール製の棺桶。
 棺桶を段ボールで作ることがエコなのかどうかについては議論がありそうだが、どうせ燃やしてしまうものなのだから簡素で構わないという人はいるだろうな。
 まあ、私のように墓も要らん、という人は少数派にしろ。


2009年11月5日(木曜日)
 以前から話題になっていたハイブリッド車・電気自動車への擬音装置の搭載ですが、パブリック・コメントの募集が開始されました。
 さあて。資料を読んで頑張って書くか。
 ……べ、別に職場がやってる研究とは関係ないんだからね!

 8月に韓国から射上げに失敗したKSLV-1ロケットですが、失敗原因調査の中間報告が出たそうな
 失敗直後から取り沙汰されていたように、フェアリングの分離失敗による重量増加のため、所定の速度を得られなかったということみたいです。
 まあ、フェアリングの失敗というのは他の国でもあることなのですが、気になったのは、二つ考えられている原因の一つ片側の分離火薬だけが216秒後に正常爆発し、もう片方の火薬は衛星分離540秒後に遅延爆発という奴ですね。
 日本のH-II系のフェアリングの場合、火工品は確かに2系統なんですが、これは冗長系を含めての話で、どちらか片方が着火すればボルトは分断され、フェアリングは分離します(片側着火でのフェアリング分離放擲試験もやってる)。
 なので、片側が着火しなかったから片側が分離しなかった、というのは、些か腑に落ちないのですよね。そういう設計だったのかもしれませんけど、どっちかというと機械的な問題の方がありそうな気がする。
 ま、なにはともあれ、宇宙開発にはこういった失敗は付きものです。
 経験を積むためにも、失敗を乗り越えて進むことが重要ですし、他所様の失敗は他山の石にする必要もあります。


2009年11月6日(金曜日)
 混乱が続くアフガニスタンから、多くの国連職員が離脱することになった。安全が確保できなければ、民政などできはしない。
 そのアフガニスタンへの支援だが、閣内で意見が食い違っている様子。北澤防相がISAFへの司令部要員派遣を検討と発言すれば、即平野官房長官、鳩山首相が是を否定する有様。
 では何をするのかと言えば、警察官の装備・給料などを出すのだという。また、訓練のために日本の警官を派遣とか言っているが、上記の通り、実現が可能とはとても思えない。高田晴行警視は何故死んだのか、死なねばならなかったのか、思い致すが良い。
 インド洋での給油活動は撤退するが、代わりの支援策は小切手外交では、大きく後退した感が否めない。というか、実質的に後退してるだろう。
 現政権になってから、「朝三暮四」という故事成句が頭から離れない。

2009年11月8日(日曜日)
 えーと。
 昨日の16時から、今日の18時まで、某所にてPCのお傅り。
 無茶苦茶微妙なハードウェア環境を選ぶソフトとか、どうにかしてくれんものか。しかもそんなソフトが業界で地位を確立しているとか、もうどこのAdobeかと。いや、今回相手にしたのはAdobeより酷いんだけどさ。
 もう泣きが入りそうになって、18時頃には魂半分拔けてました。
 巨人優勝したけど、祝う気力もない。
 明日、仕事行けるんかいな、俺……。

2009年11月9日(月曜日)
 疲れた体を引きずるようにして、出勤。

 slashdot経由、『「35過ぎて独身でいること」の限界とはなにか』。気が付くと来年三度目の年男なわけですが、私の場合はちと仕事内容がアレなので一般化は難しいですが、私の周りには「いい歳こいて独身」の友人知人が溢れていますので、独身だから〜という感覚はないですね。というか、結婚して子供生まれると負担は上がるんと違うか?とか思ってたり。
 子孫を残す、という生物としての根本的な機能を放棄している点については申し開きもできないのだけど、まあ、妹は子供3人いるし、弟も今度結婚するし、血族という視点なら問題なかろうとか。

 「小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジン異常について
 ぎょえー。
 ここまで来て、ここまで来て!


2009年11月10日(火曜日)
 昨日はベルリンの壁崩壊20周年と言うことで、ベルリンでは記念祝典があったようですが、思えばもう20年ですか。
 平成元年、私は高校1年生で、その年末発行の学校新聞(魚高新聞)で本件をネタに論説を書いたことを憶えています。その時はまさか翌年には東ドイツがなくなってしまうとは、思いもよりませんでした。
 その翌年にはソ連までなくなったしなー。
 ある意味、冷戦時代を肌で知る最後の世代に属しているわけですが、時は移ろい、世は変わり、そして地球は今日も回っています。あの頃より世界は良くなったかと言われて即答できないのが些か悲しいところではあります。

 退役・除籍後、行く手を失い、横須賀に係留されたまま漂流していた砕氷艦しらせ(初代)(AGB-5002)ですが、ウェザーニュース社に引き取られることとなった模様
 イマイチ色物的な印象が拭えないプレスリリースなんですが……。
 どうせなら洋上観測船として運用すれば良いのにと思わないでもない。


2009年11月11日(水曜日)
 話振られちゃったので。
 まずお断りしておくと、私は日本語教育小委員会を傍聴もしていませんし、議事録も読んでいないため、日本語小委員会の活動に言を呈する資格はありません。その上で、感じたことを感想として書き連ねてみます。ですので、小委員会に於いて既に検討されたことや、対象外とされていることについて言及するかもしれませんが、ご承知置き下さい。
 まず気になったのは「生活者としての外国人」という表記で、対象は分かるのですが、“外国人”という表記がどうにかならんかったものかと。意外と忘れられているのですが、日本国民のなかにも日本語を母語としない人たちがいるのです。
 有名なところでは、先のフィギュアスケートNHK杯アイスダンスで7位に入ったキャシー・リード/クリス・リード姉弟のような例が挙げられましょうか。女子100mハードルの日本記録保持者・金沢イボンヌなんて例もありましたっけ。
 この日記でも何度か触れている私のイトコ達については、紛れもなく日本国籍なのですが日系二世のデカセギで母語はポルトガル語です(日本国籍だからデカセギというのも正確ではないような)。
 今回の日本語教育法のターゲットにこう言った人たちが入ることは間違いないと思うのですが、外国人ではないのですよねぇ……。
 もっとも、厳密な表記を求めると果てしなく分けが分からなくなる問題なので、標題はともかく、前書き辺りに書いといて貰えば済むことかも知れません。
 それと、今回の「学習項目の要素」について、最終的には学習者の母語で提供される、という話が西原副会長からあったのですが、母語と簡単に言っちゃって良いのかな、と。
 母語と母国語の違いという話は今更なのですが、例えばスペイン国民でもバスク語を母語とするバスク人がいますが、国籍はスペインなので母国語はスペイン語になります。
 現代日本でも、上記のように母語が英語やポルトガル語で、母国語が日本語、という人は存在します。
 “母語で提供”というのはこの点基本的に正解なのですが、ではインドネシアやインドのような場合はどうするのか、という問題があります。インドネシアの国語は「インドネシア語」ですが、これはインドネシア建国後に公用語として定められた半人工言語であり、“ネイティブスピーカーのいない言語”でした。元は海峡マレー語と言われる洋上交易言語です。
 では個別の言語は、と言われると、それはもう、500以上の言語が存在しています。そんなの一々対応してられませんがな。
 インドもそうで、「国語」に当たるものはヒンディー語なんでしょうが、準公用語として英語があり、公用語が22、主要言語が少なくとも35、方言(といっても、通じないレベル)を含めると何千あるのかわかりゃしません。とても対応は不可能です。
 言うは易し、行うは難しなんじゃないかなぁ……。
 来日外国人が日本においては日本語を使って生活する、というのは、全く望ましいことであり、さればこそ、その学習のための方途を用意することも、受け入れる日本側の責務であろうかとは思います。しかしその点について、教育体制の未整備状態が20年も放置されてきていることは、深く思い致すべきことだと思います。
 今始まった問題じゃないんですよ。

 「少年のワイセツ画像DLで有罪に」という記事は、見出しだけを見ると普通の児童ポルノ事件のようにも見えますが本文を読むと画像は日本のアニメ絵で、虚構の子供達に苦痛を与えることも大きな罪であるとされたとあって、これはなんぞや、と。
 虚構の子供達に苦痛を与えるのが罪であるならば、虚構の人間を殺すFPS(First Person Shooting)ゲーム類はやっぱり殺人罪に問われるのだろうか。
 正直、頭がおかしいんじゃねぇのか、と。

 「慶應大とガリバー、インホイールモーターEVを完成」と清水教授のところのニュース。
 既存自動車をIn-Wheel Motor改造してしまうというところが面白いですね。バッテリが鉛蓄電池ですけど。
 こういった改造のノウハウが蓄積すれば、出資会社としても益になると言うことなんでしょうね。ゼロスポーツのような改造電気自動車販売でもするのかしらん。


2009年11月12日(木曜日)
 ベルリンの壁崩壊20周年ということで、韓国メディアには東西ドイツ統合に自身の統一問題を投影した記事が幾本も載っていた。しかしこう言っては失礼だが、当時西側陣営有数の経済力を持った西ドイツと、東側の優等生と言われていた東ドイツの統合ばかりを見るのは如何なものか。
 多くの人は忘れているかもしれないが、時を同じくして、もう一つの“分断国家”が統一を成し遂げている。
 イエメンだ。
 イエメン・アラブ共和国(北イエメン)とイエメン人民共和国(南イエメン)は1990年に合併し現在のイエメン共和国となったが、その後旧南イエメン残党を中心としたイエメン内戦などを経て、現在もなお政情不安が続いている。
 南北朝鮮が統合した後、薔薇色の未来が開けていると考える人はいないにしても、最悪、イエメン状態になることを想定しない人は想像力に欠陥があろうかと思う。

2009年11月13日(金曜日)
 熱出して寝込む。

 えーと、民主党のすなる事業仕分けなる行為ですが、真っ先に議論すべきものが拔けてますよね。“母子加算”とか、“子ども手当”とか。
 Spring8や京速計算機は、確かに国民生活を直接豊かにするものではありませんが、国(という経済圏)の競争力を将来に亙って維持するためには必要な投資です。
 来年の種籾を今食ったら、来年の実りは得られなくなります。民主党の行為は、その手の愚行を思わせます。
 “今”よりも“将来”のことを考えて、今ある富をみんなで分けるのではなく、将来へと投資し続けてきたからこそ、この国の発展はあるのです。


2009年11月14日(土曜日)
 今日は一日体を休め、体力の回復に努める。

 「ざんぼう」と入力して変換キーを押しても、「讒謗」は出なかった。ATOKの辞書ってどうしてこうも貧弱なんだろう? 一般ユーザを馬鹿にしているとしか思えない。


2009年11月15日(日曜日)
 コミティア

 10日に、ブラジルで国の南半分が停電に襲われるという、大停電があったのですが、そろそろ原因が判っているかしらん、と思って調べてみたが、未だ情報が錯綜しているのか、確たる原因は判明していないようだった。一応、変電/送電あたりが原因っぽいが。
 送電網、というのは見過ごされがちなのだけど、これに十全な投資を行うことが、電力網の維持や高效率化(=省エネ)には不可欠なのですが、そのことを訴えたら、一体どのくらいの人が研究開発投資に賛同してくれますかね。特に、仕分け人とか言う人達は……。


2009年11月16日(月曜日)
 nyちゃんから教えられたのだが、仙谷由人行政刷新担当相曰く、政治の文化大革命が始まったんだそうである。
 自らの行いを文化大革命に準えるなど、狂気の沙汰だと思いますが。
 おっと。こんなこと言っていると、粛清、もとい、矯正施設へ送られて思想教育を受けることになりますかね。

 京速計算機の予算が“仕分け人”とか言う人たちの手によって凍結される中、Top 500の更新がありました。今回のトップはクレイのJaguarで、IBMのRoadrunnerを躱しての奪首。
 5位には中国の天河一号がランクイン。Radeonによるベクトル演算を行うマシンですね。
 日本のものを探すと、SX-9に更新された地球シミュレータが31位に居るのが最上位。一位とは計算能力で一桁落ちてますね。
 これで良いとはとても思えないのですが、民主党の人たちは日本の科学技術政策をどうするつもりなんでしょうか。
 首相閣下はAPECにて「移民にとってもっと魅力的な国にするよう取り組むべき」と曰ったそうですが、まずは日本人にとって魅力的な国家であって欲しいのですよ、私としては。


2009年11月17日(火曜日)
 事業仕分けによって色々予算を切られた文科省が、意見募集を開始したそうな。
 個人的には9、10、11番あたりについて意見を述べられようか。

 ふくしま海洋科学館の調査隊が、インドネシアでシーラカンスの稚魚の撮影に成功した由
 綺麗に写っとりますなぁ。
 成魚に比べると各鰭の比率が相対的に大きいのが特徴でしょうか。

 NECエレから「電池が不要な家電用リモコンを実現」という面白おかしいニュース。
 前々から試作していたけど、いよいよ実働品となった模様。


2009年11月18日(水曜日)
 なんか6日のNHKの放送で画像が乱れるトラブルがあったらしく、NHKから発表が出ていた。
 「デジタル放送の映像乱れの調査結果について
 Sonyの一部製品に於いて、メモリ不足を発症したためで、NHK側に瑕疵はなし。別報によると、ソフトのバグのようですね。
 他のメーカ、他の製品でも起こりうる現象ではあるのですが、最近の製品では顕在化しにくいんだろうなぁ。

 TLDの国際化が承認されたのは記憶に新しいところで、日本でも「.日本」とか言う漢字表記のTLDを導入するそうですが、エジプトではアラビア語表記のTLDを導入するそうで
 正直、誰が得するんだこんなのと思わないでもないのですが。特に、それが読めない人にとってセキュリティホールになりやすいところなんか。
 そういう意味で、ローマンアルファベット26+数字10字少々というのは、最大公約数としては悪くない選択だと思うのですよね。
 これを期に、世界の文字を読めるようになりましょう、あなたも!というわけにもいかないでしょうからね、ええ。

 日本特有っぽい話ですが「IEとGoogle Chrome、振り仮名をサポート」というネタ。
 ルビを指定するrubyタグ自体はXHTML 1.1でRuby Annotationとして勧告されたタグで、IEには先行して実装されていました。
 此度RubyタグがHTML 5入ったこととRequirements for Japanese Text Layoutの公開によって実際にどうインプリメントすれば良いのか英語の参照文献ができたことが大きかったのではないかと思います。
 今後の展開次第ですが、FirefoxやOperaでの採用が続くと嬉しいですね。


2009年11月19日(木曜日)
 昨年12月にキアヌ・リーブス主演で映画化されることが発表された忠臣蔵ですが、今度は監督が決まったとの報
 なんというか、不安だらけの本作ですが、果たして見れるモノになるんでしょうかね。
 しかし……キアヌが大石内蔵助か……いや、何も言うまい。

 忠臣蔵を映画化するにしても、国外での赤穗浪士の知名度はどんなもんかと思って、Wikipediaの英語版を覗いてみたりして。
 英語では「Forty-seven Ronin」というエントリが作られていて、松の廊下の刃傷事件から仇討ちに至る顚末が一遍通り記されておりました。流石に47人全員の名前とかは載ってませんでしたが。
 ところが吃驚したのが、討ち入りの日付がGenroku 15, on the 26th day of the 10th month (元禄十五年十月二十六日, Thursday, December 14, 1702)となっていたこと。
 大凡日本人であればこれが間違いであることはすぐに分かろうかと思います。討ち入りの日付は、元禄15年12月14日、グレゴリオ暦では1703年1月30日、ユリウス暦であれば1703年1月19日になります。
 つまりこれは、元禄15年を1702年として「1702年12月14日」を和暦に再度換算したものです。誰だこんな馬鹿なことした奴は。
 とりあえず英語力に自信がないのできしもと君Genroku 15, on the 14th day of the 12th month (元禄十五年十二月十四日, Tuesday, January 30, 1703)に修正して貰って、一方では他の言語版はどうなっとるかと思ったわけです。
 とはいえ、「Forty-seven Ronin」に他言語としてリンクされている16言語(日本語含む)全てが読めるわけではないので、分かる範囲で。

  • ドイツ語:暦法換算なし。ただ14. Dezember(12月14日)とだけ。
  • スペイン語:文中に日付の記載なし。
  • フランス語14 décembre 1702(1702年12月14日)ならびにGenroku 15, le 19e jour du 12e mois (元禄十五年十二月十九日, Genroku 15, le 19e jour du 12e mois? Dimanche, 4 février, 1703)(これは切腹の沙汰が下りた日、元禄16年2月4日を誤記している)などの誤りがあり、英語同様の誤りを犯している。
  • イタリア語:文中に日付の記載なし。
  • ポルトガル語No 15 Genroku, 26º dia do 10º mês (元禄十五年十月二十六日) (Quinta feira, 14 de dezembro de 1702)と英語版と同じ誤り。
  • ロシア語15 декабря 1702 годаとあり、1702年12月15日を指していますが、討ち入りは14日深夜〜15日未明のことなので、「15日」はアリ。ただし暦法上別の問題があります(後述)。
  • 中国語:正しい
 ドイツ語は豪快ですね。暦の違いを無視しているのか、認識していないのか。(敢えて避けている可能性もあり)
 フランス語は痛々しいです。内容が詳細なだけに、暦の誤りが痛切であります。これがジャポニズムの限界なのか。
 ポルトガル語は、英語からの翻訳のようです。
 ロシア語の場合、何が問題かというと、この当時ロシアはまだユリウス暦を使っていた筈なんですね。というかグレゴリオ暦はローマカトリックの暦法ということで、非カトリック圈での導入には時期的なばらつきが大きく、例えばイギリスでは1752年ですし、ロシアに至ってはソビエト革命後の1918年です。こういう国の場合は暦法をきちんと書かないと、一体何のために暦を変換しているのか分からなくなります。
 この辺は大学で歴史を学んだ人間からすると、当然押さえるべき常識なのですが、残念ながら一般社会での認知度は低く、また日本の高校までの歴史教育に於いては「年号だけ西暦に直して、月日は旧暦のまま」という表記が罷り通っていることもあり、このような間違いを世界に波及させる下地があるのですよね。
 困ったものだ。

 ちなみにその「下地」を作っているものなのですが、実は現在もなお有效とされる、日本におけるグレゴリオ暦導入にまつわる法令だったりして。
 明治5年太政官布告第337号「改暦ノ布告」という奴で、この中の諸祭典等舊曆月日ヲ新曆月日ニ相當シ施行可致事という一文に拠ります。つまり、祭典等は旧暦の日付を新暦月日に読み替えて実施します、と。
 なので本来夏の行事である七夕は梅雨時になったり、新暦の12月14日に泉岳寺で法要が営まれたりするわけであります。この辺、多分、外国には上手く伝わってないんでしょうね……。
 中国韓国などは、今でも春節(新年の祝い)は旧暦でやりますものねぇ。

 先日新たな障害が発生していた小惑星探査機はやぶさですが、2機のスラスタ回路を使って1機分の推力を確保するという裏技によって、地球帰還への目処を付けた模様。
 どうにかしてるぜISASのやることはよ!(激賞)
 補遺:松浦晋也のL/D「はやぶさリンク:はやぶさ、帰還に向けてイオンエンジン再起動」


2009年11月20日(金曜日)
 国会にて与党のみによる法案の強行採決が相次いでいる件。
 報道では野党の審議拒否となっていますが、一昨日提出された法案を昨日2時間審議して本日裁決しにかかれば、そりゃぁ裁決をボイコットするでしょ。対案がどうこうじゃなくて、実質的に審議してないじゃん。
 民主党の自己無謬性に対する強固な信念は、一体何処から出てくるんでしょうかね。

2009年11月22日(日曜日)
 昨日帰郷して、実家のネットワークのお守り作業をこなす。しかし、なんど見ても歪なシステムだ……。そしてその歪さに、自分が新たな一頁を書き加えるのだ。
 仕様書もないデータファイルの中身をうんうんと解読しつつ、処理スクリプトを書いて、今日の午後に一段落。仕様書があればもっと早く終わっただろうが……問い合わせても無駄だろうと、部外者の私にすら思わせる販社の技術力に絶望する。
 医療機器のデジタル化、ネットワーク化に、既存の医療機器メーカの技術力が追いついていないため、わけのわからないシステムが構築される。当然医師も一部の特殊例を除けばマニュアル以上のことは出来ないわけで。
 この上レセプト(診療報酬)オンライン化とか、無理だって、無茶だって。

2009年11月23日(月曜日)新嘗祭
 特殊な人に限って自分は普通だと主張している件について。
 そりゃぁ多くのスタッフが働く病院だの診療所だのでの複雑な業務システムに比べりゃレセプトオンラインなんて屁でもないでしょうが、個人経営の医院でご老体院長以下略なところではどーしよーもないのでは。一部特殊なお医者さんがいないところでは、そのそれほど難しいことじゃないことでも充分大変だと思うのですよ。
 うちの親父などは比較的早い段階からコンピュータに触れていて、多分そこそこ詳しい部類に入るのだろうが、それでもIPがどうのとかサブネットマスクが云々と言い出すとお手上げになる。そこへ持ってきてVPNで処理センターと接続して……という話になれば、東京から息子を呼び付ける羽目になるわけだ。なんかもう、実家と自宅の間にVPN張ろうかと考えてしまうね。
 別件として気になったのは、医療側の負担の増大に対して、このシステムで最大の利益を得るであろう、健康保険組合が何を負担しているのか見えないところ。こういう言い方はなんだけど、健康保険組合が面倒見ればいいんじゃないか?

2009年11月24日(火曜日)
 実家での作業が長引いた時のための予備日として有休を取得していたが、そちらが早仕舞いできたので、今日は映画を観に行くことに。
 で、観に行ったのが、「劔岳 撮影の記」。
 6月に観に行った本編「劔岳 点の記」のメイキングだけが独立したドキュメンタリになっているというシロモノ。
 本編は今一感が強かった映画でしたが、こっちは凄い。はっきり言って、本編よりよっぽど面白い。
 大体、監督が最初にスタッフを集めて「撮影に行くんじゃない。苦行に行くんだ」とか言い放ってる。僅か20人程のスタッフに加え、俳優までもが立山を縦横に徒歩で移動(=登山)しては撮影、移動しては撮影の連続。そしてとんでもないことに順撮りなもんだから、現地へ到着しても天候が良くなければそのまま下山。一つのカットが撮れないと、次のカットに移れない。
 そんなことを山小屋に泊まり込んで延々二年に亙って続ける。
 スタッフが少ないのは、それ以上の人員ではとても山で行動できないから。全ての機材はスタッフが背負って登山。エキストラもスタッフが兼ねる。山岳ガイドはスタンドを兼ねる。俳優に脱落者が出ると、本編でも脱落者として描かれる(おい)。
 苦行の果てに俳優達は役に没入と言うより、役と一体化していく。
 出てくる言葉は「あんたらアホだろう?」(褒め言葉)。
 いやぁ、このドキュメンタリは、是非ともBD化して頂きたい。(Blu-ray版に附属するメイキングはDVDらしい)
 予告編の代わりにこのメイキング流せば良かったのに。

2009年11月25日(水曜日)
 理研の京速計算機への予算が“仕分け”されたり、復活が示唆されたり、モザイク模様を描いておりますな。問題が元々複雑だというのもありますが、賛成反対、意見多様です。
 私個人としては、スーパーコンピュータを一から建造する技術を蓄積・発展させるためにも、公共事業としてのスーパーコンピュータ開発はあっても良いと思います。それが今回の「京速計算機」という形であるべきか、と問われると疑問なのですが……。
 単にハイパフォーマンスコンピューティングというなら、IBMなりHPなりから機械を購入してもできますが、そうではなく、チップからスーパーコンピュータを自分たちで作る、というのは実際問題米国を除けばもはや日本くらいにしかできないんじゃなかろうか。日本でも、NECのSXか、富士通のSPARCか。
 TOP500を見ても分かるとおり、プロセッサを見ればIBMのPOWERだったり、AMDのOpteronだったり、IntelのXeonだったりするわけで、これに比肩しうるスーパーコンピュータを自前でチップから用意する、というのは、一つの目標たりうるわけです。
 これをして大艦巨砲主義と呼ぶ人もいるようですが、大艦巨砲でなきゃできないこともあるんですよ、世の中にゃ。
 勿論、そのような技術を持たなくて良い、というなら話は違ってきますが、その場合はやはりそれなりに計算機工学分野での日本の競争力低下を招く(今更という気もしますが)わけですので、野依先生の言う「歴史の法廷に立つ覚悟」が必要になろうかとは思います。

 POMERA新型が12月に出るらしい。
 前々から興味はあるのだが、テキストファイルの文字コードがShift-JISのみ、JIS第1第2水準漢字のみ使用可能、というあまりの制限の厳しさに、これは使い物にならないと匙を投げている。せめて補助漢字くらいは使えないと、テキスト入力装置としては物の役に立たない。
 あと、かな漢字変換がATOKというのがなぁ。ATOKは規制語が非常に多く、標準状態では使い物にならないからな結果、数千語単位で単語登録をしないといけないというのに、POMERAでは約500語しか登録できない。
 しかし、人によっては使い道もあろうかと。モバイルギア使いだった親父などにはちょうど良いかも知れん。


2009年11月26日(木曜日)
 2007年から運用されている“赤ちゃんポスト”こと熊本慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」ですが、熊本県の検証会議による最終報告が出たと報じられていました
 現物は何処で読めるんだろうか。
 個人的には、各都道府県に一つくらいはこういう施設があって良いと思うのです。

 産経に「【事業仕分け】「仕分け人」との議論かみ合わず 薄いスポーツ行政への認識」とありまして、マイナーな競技には金は出せないと仕分け人は仰るようです。
 まあ別にスポーツしなくても死ぬわけじゃないですけどね、言わせて貰いますと、それなら全部ゼロにしろと。競技人口別で重み付けが違うのは仕方ないにしても、マイナー競技が差別されるなんて、屈辱モノですよ。メジャーな競技は、最初からメジャーだったんかい、と。
 勝つことは尊いけど、勝つことだけが目的じゃぁないし、ましてやそれがメジャーであることは理由じゃない。
 どうも民主党には未来を見据えて物事を育てていくという観点が決定的に欠落してるんじゃないか?


2009年11月27日(金曜日)
 BLACK LAGOONがBlu-ray化されるそうだけど、なんで音声が日本語だけなん?
 あの作品は英語で見てこそ見応えのあるアニメだと思うんだけど。

 Genesisさんの解説を読みつつ、やっぱ大変だよなーとか思う。一割が廃業検討ってのは酷い話だ。
 これまで紙ベースでやっていたものを電算化しようっていうのだから、作業手順等の変更は不可避なんだけど、その敷居を下げる努力ってのはどの程度行なわれているのだろうかと疑問には思うな。
 個人的には、新規開業から徐々に攻めて行って、移行に10年くらいかけても良いじゃないか、とは思うのだが。
 もっとも、仕分け人に後ろから囁いて「レセプトオンライン化なんて無駄です」と言わせる方が早いような気もする今日この頃ではある。

 そう言えば実家では実際のオンライン接続を行うのにVPNとIPsecとISDNのダイヤルアップがあると聞いてきたのだが、実家の場合はISDNによるダイヤルアップが適当だろうなぁ。医院のネットワークは外部(実家の家庭内LANを含む)と物理的に遮断されているクローズドLANなので、これを改めて外部のネットワークとルータ経由で24時間繋げる理由がない。必要な時にレセコン機からダイヤルアップすりゃ充分だべ。電話回線はISDNになってるから、TAが一台あれば済む。確かどっかに転がってたと記憶するところなので、流用すればよろし。
 でもなんかISDN接続はあまりきちんと説明されないとぼやいていたが。

 日記に書くのを忘れていたが、25日から「改訂常用漢字表」の意見募集が始まっている。
 手拔きで、小形さんのblogへのリンクを貼っておく。
 印刷して眺めている段階。

 NHKオンデマンドの会員なんで、毎週メールが届きます。

 さて今週は、見逃し番組でいよいよスペシャルドラマ「坂の上の雲」第1部 第1回を
 配信スタートします。司馬リョウ太郎(遼・しんにょうへんの点が二つ)さんの
 代表作の1つで、初めて映像化が実現。近代国家へと歩み出す明治時代を舞台にした
 青春群像に乞うご期待!

NHKオンデマンド メルマガ vol.52 2009年11月27日号

 ……。
 司馬リョウ太郎(遼・しんにょうへんの点が二つ)ってのは斬新な表記法だな!
 あまりの斬新さに、俺はもう目の前が真っ黒になったよ!
 もういい加減、この手の問題については最終的な解決をして欲しい。マジで。

2009年11月28日(土曜日)
 ロシアで鉄道脱線事故。テロの疑いありとの報。

 H-IIA F16が無事打ち上がった模様。乗ってたのが情報收集衛星のため、情報は極めて限定的。
 いい加減、情報統制の無意味さを悟るべきだと思うがなぁ……。


2009年11月29日(日曜日)
 伝えられるところに拠ると、厚労相が言うに厚労官僚には説明能力が不足しているらしい。
 前任者からはそのような発言を聞いた覚えがなく、また立派に職責を務めていたと記憶するところ。
 前任現任間で官僚の面子が大幅に入れ替わったという話も聞かないので、考えるに、その「説明能力不足」とやらの原因は、前任現任間で最も大きく変わった所に原因が求められるのではないか。
 つまり、その説明を聞く人物の知的水準の著しい違いであり、それが原因と考えるのが合理的であろう。

 先日、千歳のF-15からエンジンパーツが落下したんですが、今日は築城のF-15の尾翼の部品が落下したそうな。
 原因はまだ発表されておりませんが、F-15Jも導入してから大分経ってますからね……。整備には万全を期して欲しいものの、「次」を考えねばならない時期でもあるのでしょう。

 その昔、ドバイで雨が降って交通事故500件、死者発生などというニュースがありましたが、此度はサウジアラビアの地方都市ジッダで集中豪雨による洪水が発生し、死者が106名とか。どんなに降ったんだよ、と思って調べてみたら最大雨量90mmとか。
 まあ、その位降れば日本でも死者が出ることはあるが……。
 防災対策の不備を訴える記事があれこれ目に着くんですが、天災なのか人災なのか、地球の果てからでは分かりかねますな。


2009年11月30日(月曜日)
 千円高速に対抗するためにJR東では「ふるさと行きの乗車券」なるキャンペーンを実施中らしい。
 それってなんて中島みゆきの「ホームにて」?と突っ込みを入れてしまうのは一部特殊な人なんだろうな。私は勿論スルーですが。

 スイスの国民投票に於いてミナレット建築を禁止するイニシアチブが承認された
 スイスの歴史を考えると、こんなもんかなぁ、と。
 スイスはかつてプロテスタントが勃興した頃に国内における布教活動の結果内戦(カペル戦争)をやらかした過去があったりします。その後、プロテスタント州とカトリック州は相互に不可侵を取り決め、現在でも相手方での布教活動は御法度だった筈です。
 移住した場合なども役所に届ける書類に宗教欄があったりして、宗教に鈍感な日本人からすると、ぎすぎすした感じを受けないでもないです。
 スイスの歴史ってのは対立と鬪争の歴史なので、新たな一ページが加わることになるのか、興味深いところです。
 翻って日本ですが、モスクはあれども、ミナレットはなかったような……。
 もっとも、住宅地では高さの制限があるでしょうし、スピーカからアザーンを流せば騷音条例かなにかにひっかかりそうではあります。