哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2006年8月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2006年8月1日(火曜日)
 本日より、緊急地震速報が、本サービス入り
 原理というか構想そのものは20年くらい前からあった筈で、確か子供の頃、科学雑誌で紹介されていたのを憶えている。営々と開発を重ね、実証実験を続け、本運用と相成ったもの。
 原理そのものは、中学校の理科の時間で習う「P波」と「S波」の速度差から、P波をキャッチしてS波が到達する前に警報を出そうというもの。しかし凄いのは、今やP波の観測から震源の距離や深さ、地震の規模を推測できてしまうところですね。
 勿論、都市直下型などでは対処のしようもありませんが、震源がある程度離れていれば、これは充分に活用可能な技術であると考えます。
 ところでこの「推測」にはプレスリリースにもある通り「経験式」が使用されており、場所によっては経験の蓄積が充分ではないため、精度が出ない可能性があることが指摘されています。逆にいえば、これだけの精度で推測できるほど観測データの蓄積があるわけで、日本の地震研究の積み重ねに、頭が下がる思いです。

 先月の奇矯なニュースが素頓狂なニュースにグレードアップして帰ってきた。
 「亡命申請した日本人学生逮捕、裁判所職員へ殺害脅迫」……。
 言葉もない
 居たたまれなくなって来るね。

 吉村昭氏の訃報。
 理事長代行として江藤淳後の日本文藝家協会を支え、その後も常任理事として活躍しておられ、職務上色々とお世話になりました。また、「戦艦武蔵」を始めとする作品には、大きな感銘を受けました。
 深く哀悼の意を表します。


2006年8月2日(水曜日)
 最近、曜日感覚が磨滅し始めている……。

 いい加減、サークルチェックを始めなければ……と思いつつも、多忙にかまけて後回しになってしまう例年の悲しさ。
 取り敢えず、これまでの巡回データからサークル名一致で自動チェックをかける所までは終わった。あと、今回初参加の某サークルなんかは優先的にチェックしとく(笑)。
 それより、自分の作品を完成させねば。コピー誌とはいえ、今週末くらいには原稿は完成させたいなー。


2006年8月3日(木曜日)
 何故か技術文書と睨めっ子していた一日。
 ワタシ文系なんですが……。

 冗談拔きで危険性を訴えた方が良い内容だったので。
 コミケットにて子供向けイベントが企画されていますが、コミケットは子供向けイベントではありません
 企画した連中は阿呆ではなかろうか。
 三日目の企業ブースがどんな状況か考えてからモノを言えってんだ。あんな、成人男性でも逃げ出したくなるような環境下に、児童を呼ぶような真似をするな!

 「時をかける少女」が、12日から、テアトル池袋に。なお、テアトル池袋は31日閉館予定。
 マイナーアニメ映画を何本も観に行った、あのビルの8Fのシアターもお別れか……。


2006年8月5日(土曜日)
 家に帰って来るまでは走るつもり満々だったのに、家に帰り着いてご飯を食べたら一気に気が拔けてしまい、それどころか日付が変わる前に寝てしまう体たらく。
 お蔭で昨日は日記も書かずに寝てしまったよ。

 なんか既視感のあるニュースなんだけど、「猛暑のNYで一部停電 ビジネスに影響もとか。
 僕の拙い記憶が正しければ、NY市では先月末にクイーンズ区で原因不明停電が10日間続き26日になってようやく復旧したなんつー話があったばかりなんだが……。
 2003年の大停電なんて記憶もまだそれほど色褪せてはいないわけですが、その後の政策が何をやっていたのか、多少興味があります。
 電力供給という観点に立つと、実は発電所を作ることは重要ではあるんですが全てではなく、むしろある程度インフラが整ってきた場合、送電網や変電設備の維持整備、需給バランスの調整等の技術開発などが重要であることを見過ごしてはいけません。
 当たり前ですが、発電所を作っても送電設備が旧態依然であれば、送電途中での電力ロスが無視できず、結果的にエネルギー集約度の悪化を招きます。そもそも送電網が発電量を搬送しきれない等というのは論外ですが……
 日本では現在太陽電池による発電や風力発電が色々採り上げられていますが、送電網の維持整備技術開発を含めて議論されることが少ないのが、気になります。
 とりあえずTEPCOのでんき予報にリンクを張っておく。


2006年8月6日(日曜日)
 広島原爆記念日。

 15日放送のNHKスペシャル「日本のこれから」の意見募集が行われているのですが、質問項目が、変。

  1. 中国、韓国との外交姿勢について、日本の将来にとって重要なのは、日本の立場の主張をより強くしていくことだと思いますか?あるいは、他国の主張に耳を傾けることだと思いますか?理由とともにご記入下さい。
  2. 首相が靖国神社を参拝することに賛成ですか? 反対ですか? 理由とともにご記入下さい。
  3. 北朝鮮に対して、日本はどのように対処していくべきだと思いますか?
  4. 今後、中国は日本にとって脅威となる存在だと思いますか?それとも友人となれる存在だと思いますか?また、日本としては中国とどのような姿勢で向きあっていくのが良いと思いますか?
 マトモな設問はQ3だけで、あとは残らず駄問とも言うべき質問。
 まずQ1だが、併記されている二つの内容は対立しない。自己主張しつつ他国の主張に耳を傾けることは、当然。そのために外交というものが存在するんだから。
 Q2。賛成も反対もない。そんなもの信教の自由の範囲内だから賛成・反対の意志を示すことがそもそも問題。
 Q4。脅威となる国と、友人となれる存在は対立しない。お互い大きな国なので、近くにあれば互いに脅威を感じて当然だし、だからといって友人になれないというのでは問題がある。既述だが、そのために外交というものが存在する。
 こういう非対称的な設問の立て方は、質問紙調査における回答誘導としては典型的な手法である。つまり、設問を立てた人間がどのような回答を希望しているかが反映される。そういう視点でアンケート項目を眺めると、色々面白いものが見えて来たりするわけだが、その辺については言及せずに終わらせておく。

 まあ、この手の、実は前提が間違っている設問、というのは世の中に結構転がっています。
 例えば「歴史認識問題」なんかもそうで、「日中韓は歴史認識を共有できるか?」という設問は、「そもそも共有する意味あんの?」という辺りで味噌糞な設問だったりして。大体、歴史認識なんか共有する意味は全くない。そんなもの共有できなくても友好関係は結べるし、軍事同盟だって結べる。むしろそっちの方が多数派。
 日米関係が全くそのとおりだし、もうちょっとスケールの小さな例で言えば日豪関係がそれに当たります。
 豪洲は近年積極的に日本の軍事的プレゼンス増大を歓迎する意向を示していて、特にPIF(Pacific Islands Forum)における日本の役割増大を訴えていたりします。それどころか日米豪による軍事同盟まで提案していたり。
 しかし一方で豪洲から見ると日本は史上唯一豪洲本土を爆撃した元敵国であり、太平洋戦線に於いて豪洲軍は連合国軍の一員として日本軍と戦ったなんて歴史があります。最近でも「日本軍によって沈没させられた鉄鉱石運搬船、海洋遺産リストに加えられる」とかなんとか、水に流すとか忘れてやるとかそういう雰囲気はなさそーです。
 別にそれでも良いわけですよ。過去は過去、歴史は歴史、現在は現在で未来は未来。過去干戈を交えたからといって、現在そして未来における利益を共有できないわけでなし、人間にとって重要なのは現在から未来の展望であることは言うまでもありません。
 歴史認識が片付かなければ〜などという連中は、歴史認識が片付いても先に進めないんじゃないかと思います。

 そう言えば新聞の見出しなどに「核廃絶」の文字が踊っていたりするわけですが、私が子供の頃にも「核廃絶」を叫んでいて、未だに叫んでいると言うことは、主張か方法論のどちらかに致命的な問題があるのではないかと推測されます。
 一番の問題は、それに思い至らず百年一日の如くお題目を唱えていることなんでしょうけど。


2006年8月7日(月曜日)
 「ロケフリ利用の遠隔視聴サービス、中止求めるテレビ局の申し立て却下」とな。
 以前、東京キー局の放送を見るとかの用途にしか使えないんじゃね?とか書いていたもんですが、実際やってみたら録画ネット裁判とは真逆の判断。
 結局の所、需要を無視して規制をかければ、地下に潜って非合法化するだけなんだよねぇ、この手のものって。

 長野県の知事選の結果なんぞ見て思った。
 革新系の政権は天災に弱いのかもしれない。

 なんか米国から輸入再々開された牛肉の第一弾が届いたとかで、なんか隨分慎重に検疫しているとか報じられていますな。
 ところで、米国の方では「数カ月の協議を経て、日本は米国の食品安全システムがどの国にも劣らないことを学んだ」「日本の消費者がようやく高品質の米国産牛肉を楽しめることを喜んでいる」と報じられているそうなんですが、玉虫色の外交的妥結って素晴らしいですよね。
 この世界には唯一無二の真実なんて存在しないのだと良く分かります(おい)。


2006年8月8日(火曜日)
 最近はニュースの振りして妄想垂れ流しても怒られないんだね。
 こういった媒体で流言蜚語を飛ばすのは犯罪ではないのだろうか。

 とはいえ、最近ではreutersレタッチした写真を報道したりしているらしいですけど。
 良い時代だなぁ。

 梅雨が明けたと思ったら、すぐ颱風か。
 なんか凄い時代だなぁ。


2006年8月9日(水曜日)
 昨夜突如タオさんからFAXが入り、「竫」という漢字が家の漢和辞典に載ってなかったから教えろと強要される。
 仕事で一日漢字を見ている人間に向かって、プライベートで漢字のことを訊ねようとはいい性格している。よく誤解されるが、私は別に漢字の専門家でもないし、漢字をこよなく愛しているわけでもない。一介の歴史学徒であるというのが、過去現在通じて変わらない私の身上なのだが、どうも誤解を受けやすい体質が災いしているらしい。
 取り敢えず大漢和の当該ページをコピーしてFAXで送り付けて事無きを得る。
 一家に一セット大漢和を常備するようになれば、このような質問を受けることがなくなって「私が」幸せになれるのではないかと思った。

 なんでまたそんな字を調べようと思ったのかと思ったら、なんでもタオさんの姉上のケータイに、友人からその字が使われたメールが送られてきたんだそうな。JIS X 0208に收録されていない字を送り付けるとは、それもまた変わった特技を持ったご友人だ。
 まあ、奇特なタオさんの家族の友人ということなので、それほど驚くことではないのかもしれない。

 ジュヴナイル好きの怪人が絶賛しているとかで話題の時かけ(蕎麦に非ず)が好評らしく、一安心。

 日本ではパチンコにハマった親が乳幼児を車に放置して殺しちゃう事件が起こる夏ですが、豪洲では「新生児が禁断症状を起こし死亡」だとな。
 なんっつーか……新生児が生まれながらに薬物中毒ってのも想像しがたいけど、その幼児が禁断症状で死亡するって、どうすりゃいいんだか。


2006年8月10日(木曜日)
 夏コミを明日に控え、やっていることはいつものことながら……。
 一度、余裕しゃくしゃくで本持って会場入りとかやってみたいね。

 見果てぬ夢か。

2006年8月11日(金曜日)
 夏コミ初日。
 重役出勤(笑)。フリー入場になる頃を見計らって出かけていくが、ちと早く、最後の行列が入場中だった。それはいいとして、会場が比較的閑散としてたなー。凄い人出だったのは企業ブースの方みたいだし。企業ブースは何枚か本日初売りのCDがあったので出かけていったのですが、うち2枚を諦めました(笑)。あんな馬鹿みたいな行列には並べません。
 必要ならどうせ後でなんとでも手に入るし。
 同人誌の方も、今日はパロディ系なので、あまりチェックはない。
 委託ブースを見て帰途に着く。

 もしかしたら、コミケは衰退期に入っているのかもしれない。

 有楽町線での帰り道に銀座一丁目で降りて、シネパトスへ。
 観るのは勿論「太陽(英題:The Sun)」。“人間”昭和天皇を描いたロシア映画(!)。2005年公開の映画なのですが、日本での公開は不可能とまで言われた作品。主要俳優は全て日本人で、昭和天皇を演ずるはイッセー尾形
 これはもう観なきゃ嘘だろ、という映画。
 ただ、単館上映の映画で宣伝らしい宣伝も行っていないようなので、まあ予約なんぞ要らないだろうと思って出かけていったら、なんだこりゃ! 行列が出来てるじゃないか!
 それも、昭和天皇の人間宣言をリアルタイムで体験しましたって感じの世代の方々がごっそりと。
 うわー。
 まじったかー。
 チケット売り場の行列に並ぶと、既に満席立ち見のアナウンスが次回、次々回と並んでいる。そん次なら指定席が取れる? でもそんな時間まで時間潰せないよ銀座では。
 ということで、立ち見覚悟でチケットを購入。整理番号は120番台。
 運良く、諦めた人がいたのか、席に空きを見つけて滑り込むことに成功。角度は悪かったが矯正視力0.3の私でも見れる距離だったのが嬉しい。
 内容は……なるほど、これは日本人には撮れない映画だ。
 人間・昭和天皇が戦争末期から占領初期に於いて人間宣言を出すまでの移り変わりをモザイク模様に描いた作品で、ハリウッド映画に慣れた人には退屈な作品だろう。事実、館内からは鼾が聞こえていたくらいだ。
 しかし、僕はこの作品を愛すべき作品だと思う。
 日本人にも、米国人にも、この作品は撮ることができなかったろう。
 日本人にとって、ここまで人間として昭和天皇を描くことは不可能に近い。映画の最初に、イッセー尾形扮する昭和天皇が一人で食事をしているシーンがある。食事を運ぶ従僕の手は緊張で震えている。佐野史郎扮する侍従は壁際で直立不動。人間・昭和天皇は余りにも孤独だった。人ならぬ現人神としての孤独が良く描けている。日本人にはとても描けないだろう。
 イッセー尾形の演技は終始素晴らしい。決して顏立ちは似ていないイッセー尾形が「あ、そう」と言った途端、脳裏に刻まれた御仁の姿とイッセー尾形の姿が見事に重なった。圧巻は、マッカーサーとの会見を終えて帰る時、昭和天皇が自らの手で扉を開ける場面。これまで昭和天皇は一度も扉というものを自分で開けたことがないのではないかとさえ思えるイッセー尾形の演技が光る。この扉を開けるシーンは非常に象徴的で、現人神が人間に変わることを強く印象付ける。
 私は打ちのめされた。自らの想像力の貧困さにではなく、日本人という軛がかくも強固なものであることを思い知らされたからだ。この作品は退屈かもしれない。美術的で商業的には失敗作といわれるかもしれない。だがしかし、私たち日本人が想像もできない“人間として描かれる昭和天皇”を観せてくれる。それだけでも観る価値のある映画だと思う。

 貧困な想像力というのはどういうことかというと、以前ちらっと書いたことがありますが、皇族には私有財産がないことになっていますが、納税の義務はあります。昭和天皇は学術書(「日本産1新属1新種の記載をともなうカゴメウミヒドラ科Clathrozonidaeのヒドロ虫類の検討」など)を著したことがありまして、まあ当時はそんなことなかったでしょうが、もし印税など発生していれば、課税対象になります。
 さてここで「天皇陛下が著作で印税収入ができたので納税する」という場面を想像して欲しい。
 確定申告の時期に税務署の前に建てられるプレハブ小屋の受付に、確定申告書を持って並ぶ天皇陛下の姿を想像できるだろうか。私には無理だ。もしそんな場面に出くわしてしまったら、自分の目を疑って、きっとそっくりさんに違いないとか自己完結するだろう。
 私の想像力では、こうなる。
 確定申告の期間中に宮内庁から指定された日に、麴町税務署長が燕尾服に白手袋で正装して宮中に参内し、謁見の間で壇上の天皇陛下に拝謁。深々と一礼した後粛々と歩を進め、陛下が侍従の持つ漆盆の上から取り上げた確定申告書を下賜するのを両手で恭しく受け取り、一歩下がって最敬礼。そのまま後退して退室。
 こんな感じである。これなら想像できる。
 ギャグのようだが、普段着の陛下が麹町税務署の受付に現れるよりも余程説得力があるように思わないだろうか? 氏名欄に「日本国天皇」とか書いてあったり、押印欄に「天皇御璽」とか捺されていたりしたら、完璧だ。きっと税務署の中では菊の紋章が金箔押しされた漆塗の桐の書類箱に納められるに違いない。
 私の限界なんてこんなもんである。

 なんかもうこの作品について語り始めると切りがないような気もするけど、面白かったのはマッカーサーの通訳官。多分日系米国人という設定なんだろうけど、「体はアメリカ人ですが、魂は日本人です」とか発言しちゃう。でも多分そういう日系米国人は少なからずいたんだろうと思う。
 タイムリーなことに、14日にNHKで「日本と戦った日系人〜GHQ通訳・苦悩の歳月〜」なんて番組が流される。必見だろう。
 前大戦における米軍の日系人部隊といえば、欧州戦線に投入された第100大隊や第442聯隊などが有名だが、太平洋戦線に投入された日系米国人兵士については、殆ど語られていない。
 一体何を語ってくれるのか、実に興味深い。

 「太陽」は元々話題作ではあったわけだが、あまり宣伝は行われていない。
 同じように派手な宣伝もないのにヒットを飛ばしていると、「時をかける少女」が記事になるようになってきた。
 しかし、事前の映画評などよりネットの評判でヒットしたといえば、「ほしのこえ」などがあるわけで何も今更採り上げるほどでもなかろうと思う。
 無論、ジュヴナイル好きの怪人などの暗躍があったとしても、その原点には間違いなく「良い作品」であることがあるからだ。
 電網社会上に於ける評価の影響力は、増し続けている。個人のマスメディアであるネット上のwebページやblogは、淘汰圧が高い反面、連鎖することによって大きな世論を形成しうることは、ほぼ同意されよう。
 問題は、これに対する既存の媒体の態度であるが、これを利用するのか敵対するのか、未だに腰が座っていないように感じる所がある。別に利用せんでもいいけどな。
 私たちは粛々と、自分達の価値観だけで動くようになる。

 逆説的な話になるが、個人が個人の集合体を相手にするインターネット媒体に於いて、その意図があるのにムーブメントを作り出せない意見というのは、結局の所説得力がないのではないかと思う。
 どの辺の意見とは敢えては言わんが。


2006年8月12日(土曜日)
 それ画伯の心が擦り切れてしまってゐるからに違ひありませむ。
 現代人の心は画伯が思つてゐるより遙かに純真なのであります。

 ゲド戦記を絶賛するくらいには。(「純真」って必ずしも良いことじゃないよねェ)

 コミケ二日目サークル参加。
 色々あったんだけど、それはmixiの方に書くとして、感じたのは、明らかに参加者の足が企業ブースに集中していること。
 コミケの各種費用を賄うため、必要悪として始まった企業ブースだけど、今や企業ブースがコミケそのものを飲み込みつつあるんじゃないか、なんて思った。
 友人は「企業ブースだけ一日独立してやりゃいいんじゃね?」とか言ってたけど、それじゃただのキャラフェス……。

 Sio姐御経由、「超神ネイガー」。
 そうか……秋田県ってそういう県だったのか。私の秋田県への認識は本日大きく変化しました(笑)。
 そう言えば予備校時代の友人Cが秋田県立大で助教授やってるな。さもありなん。


2006年8月13日(日曜日)
 コミケ三日目。
 から西から。
 スタジオmaruanの今夏の新刊は「時をかけるMac少女」で、キレの良いMacギャグが炸裂していました。タイムリープして「そのiMacは来月6万値下がりしてスマートローン続くよー」とか(笑)。Appleの販売戦略に右往左往するMacショップを救って歩いて……これが笑える人ってどのくらいいるんだろう……(苦笑)。
 ふと、あの辺とかこの辺とかから欲しいという声が上がりそうだったので、2冊ほど余分に買っておいてみた。

 「「ブリキの太鼓」グラス氏、ナチス親衛隊所属を告白などなど。
 早くその問題の自伝が日本語訳されないものかねぇ。
 私個人の意見ですが、別に構わないと思いますけども。とっくに時効でしょうし……って、あれ? ナチの罪には時効ないんだっけ。
 ただね、これで戦後世界におけるナチの位置付けが少しでも変わってくれたらいいなとは思います。


2006年8月15日(火曜日)
 敗戦記念日。

 13日に新幹線に飛び乗って帰省、14日に祖母、祖父の新盆の法事を終えて、14日の夜行寝台で帰って来る強行スケジュール(笑)。明日から仕事だもん(爆)。

 というわけで、実は昨日の停電は偶然東京不在だったのですよ。
 田舎でニュースを見ながら、「丁度その時間、地下鉄に乗ってるよ……」とか思っていました。職場の皆さんは大丈夫だったでしょうかね。
 そしてその後……。
 自宅の冷蔵庫は一体どのような有り様になっているだろうかと……
 帰京してすぐに冷蔵庫を確認した結果、ちょっとアレな感じになったものが何点か。
 それほど被害が大きくなくて良かった。

 最近炎上事件の多発で話題になっていたDell製ノートPCですが、リコールが正式に発表された模様。ソニーエナジー・デバイス製バッテリーセルを使っているものがヤバいそうで。
 ここんとこソニーは製造工程の問題をちょこちょこ出してますなぁ。
 大丈夫か?

 そういえば昨日のNHKニュースで気になった報道。
 港区で6月に起きたシンドラー製エレベータの死亡事故の捜査で「ブレーキコイルの装置に異常という見解が。
 これが事実だとすると、“この事件に限っては”メンテナンス会社の責任が問われそうな予感。
 じゃあその後巻き起こされた狂想曲は一体何だったのかと……。


2006年8月16日(水曜日)
 仕事の資料になりそうな本を2冊程、見つける。終業後に三省堂に寄って……と思って検索するも在庫なし。ならば紀伊國屋でどうだ!……って、これも在庫なし。おかしいなぁ。いくら専門書とは言え、今年出た本なんだが……。
 ええい、困った時のジュンク堂だ! ……あった! 流石ジュンク堂。
 というわけで、終業後そそくさと池袋へ移動するのであった。

 さて、池袋ジュンク堂はテアトル池袋のすぐ近く。ここまで来てしまったからには「時をかける少女」のレイトショーを観ねばなるまい。
 そそくさとビルの8Fまでエレベータで上昇し、チケットを買ったら忠告される。
「本館は全席自由席ですので、来場順にご入場となります」
 整理券じゃないのか!
「四日間満席で立ち見となっておりますので、時間にはご注意下さい」
 マ ジ で す か 。
 このお盆の東京のレイトショーで4日間満席立ち見ですか。
 怪人恐るべし……!
「どのくらい前から並んでます?」
「早いお客さんは1時間前くらいから並んでおられます」
 ……。
 結局時間を潰して45分前に現着したのですが、既に50人程が列を作っていました。

 映画が終わって明かりが点く時に、拍手が。
 素晴らしい。


2006年8月17日(木曜日)
 仕事に出ているけど世間様はまだ夏休み中らしく、静かに仕事ができる。
 とはいえ、何かが進んでいるわけじゃないけど。
 言うなれば、全力で鼠車を回しているような感じ。

2006年8月18日(金曜日)
 「北朝鮮、核実験準備?」とかきな臭い記事が。
 現段階ではなんとも言えませんが……この調子なら、生きている間に北の崩壊が見れるかも知れないなー。

 振り上げた拳の下ろし場所に困るような報道のしかたは良くないと思うのよ。
 というわけで、ロシアによる日本漁船の拿捕とその間の銃撃によって盛田光広氏が亡くなった件については、故人の冥福を祈るにとどめる。
 現在入手可能な情報を総合する限りに於いては、ロシア国境警備隊に大きな過失があるようには見えない。
 人が死んだのは痛恨事だが……。

 米会計監査院国務省職員の外国語能力についての報告書で、日本語がsuperhard languageと言われたとかなんとか。
 日本語の他には、中国語、韓国語、アラビア語がsuperhard指定されてますな。
 習得にコストがかかる言語という分類は分からんでもないのですが、しかしかつて米国は大々的に日本語技能者を速成栽培した過去があるので、その気になれば数年で数千人規模の人員を擁してくるであろうこともまた想定されるわけです。
 自分達の弱点を把握しようという姿勢にこそ、学ぶべきものがあると思います。


2006年8月19日(土曜日)
 「「古文暗唱」小学国語に 中教審検討、漢文指導もとな? 素晴らしい。是非やりましょう。
 できれば現代文も、誦読することをお奨めします。
 ついでに外国語も。

 この2週間ほどひたすらHDDビデオレコーダに撮り貯めていた戦争関連のドキュメンタリーをいくつか観たんですが、玉石混淆は致し方ないにしても、もう少し番組作りを考えれば良い作品になったのにと惜しい作品も幾つかありましたな。箸にも棒にもかからんのもあったけど……。
 興味深かったのが「日中は歴史にどう向きあえばいいのか」の前半部。何を意図してこんな番組を作ったのか知らんけど、中国側が国内向けに用意した、日本国民を「加害者としての軍国主義者」と「被害者としての一般国民」に分ける“二分論”が、いつの間にか内国を逸脱して外交に露呈していく様が描かれていて興味深かった。
 日本側からすると二分論なんか詭弁もいいところで、明確な境界線なんてないことが実感として分かっている。戦前の日本が絶対君主制の帝国だったとでも言うのならそれもアリだろうけど、実際には立憲君主制国家であり、政府もあれば議会もあった。マスコミだってそれなりに機能していた。昭和天皇は自らが天皇機関説の支持者で、自らを絶対権力を持たぬ立憲君主であると位置付けていた。そういう中で軍部が暴走していった背景には、単純ではない複雑な経緯があり、そしてそこには少なからず国民大衆の支持があった。
 どこの国とは言わんけど、自分達が選んだ総統とその政党に全ての罪を被せた国とは事情が異なる。
 本来内国向けの説得材料に過ぎなかった二分論がいつの間にか「真実」となって外交の現場に持ちだされた結果、日中の対立は極めて大きくなっていったわけだが、結局のところ嘘を吐いてでも妥協せざるをえなかった中国首脳自らの判断を糊塗しようとした所に問題の源泉があったのではないかと思わざるを得ない。
 この構図は日韓関係でも良く似ている。
 ちなみに、番組そのものが何を意図していたのかは分からない。特に後半になるとわけが分からなかった。


2006年8月20日(日曜日)
 15日の停電を引き起こした三国屋建設が「今回の接触事故による弊社の賠償責任について」という文書を公開しているそうな。
 まあ、言っていることは至極もっともではあるんだよね。ついでに言えば、電気料金は一定時間の停電があると割引されるハズなので、個々人の損害はそれで補填という形になるんではなかろうかと。
 正直、責任とか言っても、こんなの責任取れるわけないやん、とか思いますわな。世の中、取れる責任と取れない責任ってものがありますがな。責任取ってもしょうがないというか。
 でも、書き方ってものはあるんじゃないかと。

 国民が害されたという点では憤ることに一定の理解がないでもないのだが、どうも報道が煽りたてるような方向に向かっているように見える。>根室沖漁船拿捕事件
 ロシア側に一切の非がないとは思わないんだけど、是々非々で言えば日本側に問題が多くあるように見えるんだが。


2006年8月21日(月曜日)
 つまり、「医療関係者は少なからず変な人間がいる」ということか。
 もっとも、私は変な人ではないけれども。
2006年8月22日(火曜日)
 コメントしようかと思ったけど、しないでおくことにした>文字 「〜」 問題
 なんというかこの世界には問題がのようにあって、例えばU+005C「\」とU+00A5「¥」は何故か日本語Windows環境では区別できないよねとか、メイリオでU+3020「〠」を叩いたらナンバー君じゃなくてポストンが出てくるよね、とか、思わず世界皇帝(以下省略)ので、関ると健康によろしくない。
 ただでさえ仕事が健康に良くないので、私事でこのような問題には首を突っ込まないように気をつけているのだ。

 自民党総裁選の候補者がそろそろ出揃ってきたようですが、個人的には麻生さんが総裁になれば「面白い」と思う。安倍さんは些か主体性に欠ける印象があるし、谷垣さんはアジア外交姿勢に問題がある。
 勿論面白ければいい問題じゃないけど。


2006年8月23日(水曜日)
 今年は明日から閏七月なんだっけっか?

 なんか冥王星が太陽を巡る惑星の座から滑り落ちそうだという話。まあ、前々から「アレ小惑星ぢゃん」とか「アレが惑星ならコレだって惑星ぢゃん」とかいう意見があったわけで、この度惑星の定義を明確化すると同時に冥王星を小惑星に格下げしようとか言う話らしい。
 まあ、流石に月より小さいとなるとな。

 レバノンに派遣される国連軍の指揮をイタリアが執ることになるらしいと聞いて、耳を疑う。
 イタリア人に軍を指揮させるなんて無謀もいいところだ


2006年8月24日(木曜日)
 昨年構想が発表されたNASAの宇宙船の名称が「オリオン」となったとか。ロケットの方はアレス(アレスIとアレスV)。
 そういえばアレスVの方ですが、第1段はSSMEという話だったのですが、RS-68に変わってますな。
 結局SSMEのような高価極まりないエンジンは、やっぱり使い捨てにはできなかったということですか……。

 IAU総会に於いて冥王星が惑星から外されることになりました。国立天文台による速報解説をどうぞ。


2006年8月25日(金曜日)
 Dellに続いてAppleもリコールを始めましたが、ご当家Sonyも火を噴いたとか。
 バッテリが軒並み危険な時代なのでしょうかね。

2006年8月26日(土曜日)
 そ、そうか! 「汚れているのはヒトなんです!」©某王女様なんですね!

 冗談はさておき、最近のノートPC用バッテリの容量を確認してみたら、85W時とか書いてあって何の冗談かと。300kJ以上ですか? TNT火薬約75gの爆発力に匹敵(おい)。これは弱装の手榴弾並み。他には7.62mm NATO弾93発分のエネルギーに該当。人間死にますな。(参考

 うーん。やっぱり44.1kHzのPCMの方が160kbpsのogg vorbisよりきちんと歌詞が聞き取れるわ。
 最近、低ビットレートの圧縮音声って本当に「聴けたもんじゃない」とか感じるようになってCDの購入量が増えっぱなしなんですが、どうしましょう。
 奥華子もアルバム買ってきてるし……orz。

 うっわー。露骨ー。


2006年8月27日(日曜日)
 「第二の国歌をつくろう」とかいうネタが。
 御歳94歳ということであれば、「われら愛す」をリアルタイムに知ってるんじゃないのか? それこそ新憲法下の日本に相応しい国民歌をという狙いで全国からの応募を受けて選ばれた歌じゃないか。
 それが広まっていないということは、何か歌に致命的な問題があるのか、方法に誤りがあったのか、君が代を凌駕するものではなかったのか……ともあれ、前車の轍を踏もうという提案には私は反対です。

2006年8月28日(月曜日)
 ピカッ! ゴロゴロゴロゴロ……(稲光と雷鳴)
 画伯は次に、「マジカルバケーション 5つの星がならぶとき」をネタにする……?!

 春頃話題になっていたA-Bikeが、いよいよ売りに出されるとかで記事になっていた。
 コンパクトっていうだけなら日本にもエクスウォーカーとかあるんだけど、こいつは重さが13kgもあって、軽快に運ぶというわけにはいかないのがネック。5kgとは言わんけど、10kgは切れないものだろうか。
 しかし自転車に乗るのは良いことですよ。都会のど真ん中でも季節を感じながら移動することができます。私も早く自転車通勤に切替えたいなー。
 とりあえず荷台を付けてリアサイドバッグを用意しないと。

 某サークルの同人誌をただで貰ってラッキーとか思っていたら、おかしな所を直してくれと言われた。
 「そのためにタダであげたんじゃないか」とは曰った。
 早速送り付けられたInDesignのファイルを開いて……絶句する。
 一体これはどこから手を付ければいいのか……。
 直すより一から作り直した方が早いと判断し、文章だけ流用する方向でなんとか作業。
 いつも思うわけだが、終わってからこんなこと訊かれても困る。事前に相談しろ、こういうことは。

 どーすんだよ、これ……。
 事実だとしても、虚偽だとしても、どちらにしろ問題になるだけじゃないか。


2006年8月29日(火曜日)
 Nyちゃん邪神占いをやれというのでやってみたら「あなたのタイプはツァトグァです」とか言われる。
 「怠惰」などと言うから聞こえが悪いのだ。「隠居」と言えば良いのに。

 エレベータの非常停止に遭遇する。
 21時頃にマンションのエレベータに自転車ごと乗ったら、途中で上層からの異音と軽い衝撃と共にカーゴが停止。「暫くお待ち下さい」と音声が流れて、すぐにカーゴは1階下へと移動して止まった。
 珍しい経験をしたのはともかく、自転車を抱えて途方に暮れた。


2006年8月30日(水曜日)
 私は一番混んでいる時に行ったのだろうか?>「太陽」空いてた

 そういえば「太陽」でどうしても気になったのが、廃墟東京が描かれるシーン。あの廃墟の感じは、サラエボなんだよなー。どこがどう、とは言えないんだけど、敗戦直後の東京の写真をかなり見ている人間からしてみると、あの壁面が崩れて床が露出しているタイプの建物って、あまりないんだわ、日本では。日本では天井が崩落して窓が全部破れていても、壁はしっかり残っていることが多い。これは原爆を喰らった広島/長崎でもそう。
 多分耐震強度の関係で、日本のビル建造物の柱が太く間隔が細かいせいではないかと思うのだけれども。

 もの凄い低能な記事を見た。
 「【走る曲がる止まる】駐車規制強化にもう一つの側面,左ハンドル車に商機あり」という記事なのだが、「右でも左でも,どっちでもいいじゃん」と、いやもう、なんともはや。
 百歩譲って運転席の位置が左で問題なく運転できたとしても、レンズカットの問題などが残ります。自分一人の問題じゃないので、むしろ左ハンドル仕様車の走行を禁止すべきなんですけどねぇ。
 この人本当に元自動車エンジニアなのか?

 えー。15DDGは「あしがら」? あたごと音数が違うじゃないか!
 見事に外されました。
 ちなみに旧足柄は妙高級重巡三番艦ね。


2006年8月31日(木曜日)
 「低床電池駆動路面電車(LRV)「SWIMO」の開発に向けた電池駆動路面電車走行試験に成功」とかいう報道を見て、あれ? 以前鉄道総研似たような発表をしていたような、と。
 個人的にはバッテリとキャパシタを複合させて回生などによるエネルギーの回收を効率化していけば、もっと効率良く走る架線レス電車ができるんではないかと期待しています。都電荒川線の王子駅前‐飛鳥山間などを見ていると、やはり架線が気になりますものでね。
 まあ、個人的には自転車を考えて線路をもうちょっと渡りやすくしてくれとか言いたいところがないでもないですが。

 エネルギー問題といえば、興味深い記事がUS Frontlineに。「石油を海外で精製〜精製業界、長距離輸送でも採算取れると」とかとか。
 原油を直に輸入するのではなく、原油を精製し、精油の段階で輸送するとなると、産油国が自国に精油所を造るなんてことも考えられるようになり、それは産油国の産業構造の変化や、雇用の改善に繋がるのではないか、との期待があります。
 中東の産油国では慢性的な失業率の高さから職のない若者があぶれ、過激派組織やイスラム原理主義組織、テロ組織などがそれら労働力の受け皿になってしまっているという構造的問題があったことを考えれば、これは一つの朗報なのかもしれないと思わなくもない。
 王侯支配が弱まれば、結果的にあの辺は(長期的に見て)平和になるんじゃないかと思う。

 なんかさとみくん吠えている
 歴史をきちんと勉強すれば、陰謀史観なんかアホらしくて冗談にしかならないことが良く分かる。
 ていうか、歴史を勉強してると、時々、実はは実在するんじゃないかと怖くなることがある。少なくとも小熊は運命論者だ。時代の流れに矛先を向けられた時の事象の奔流など、人間が抗える類のものじゃない。
 陰謀史観に染まる人は、人間の力がいかにちっぽけなものなのか、良く分かってないんじゃないかと思うね。