哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2010年6月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月


2010年6月1日(火曜日)
 これまで気がつかなかったけど、ヨミウリ・オンラインってrubyタグ使ってるんだな。(

 日本の防空識別圏が与那国島の2/3をカバーしていない(米軍占領下で引かれた境界線を未だに引きずっている)というのは、防衛問題に興味のある人にとっては周知の事実ですが、これの引き直しは長年の懸案として政権に引き継がれてきました。で、鳩山政権がこれの引き直しを決定、台湾に通知したのですが……。

 台湾との事前協議をすっ飛ばして遺憾の意を表明されましたとさ。
 どうしてこう、手際が悪いんだろう。

 またまた岡崎市立中央図書館の件。(過去日記1,2,3
 高木浩光先生が27日に岡崎警察署へ電話したことがtwitterに書いてあった。非常に読みにくいので、問答を書き直してみた。

Q1: 産業の発展に萎縮効果が出ると懸念するのですが。
A1: 捜査中なので新聞発表通りのことしかお伝えできない。やみくもにサーバの機能が低下したからと逮捕したわけではなく、そこまでに至るものはお話しできないですが。
Q2: 何かあるんですね。
A2: そういうことです。おっしゃる通りそういうこと(悪意のない連続アクセスでサーバが落ちたりする)はあると思う。それだけで逮捕できるものではない。
Q3: 過失でこういう結果を起こしても逮捕されるのかと世間で広がっていて産業の発展に萎縮が出かねないと思う。過去にも事例がなかったと思う。
A3: 過去にもサーバに負荷がかかって停止に追い込まれ、業務妨害という起訴事例はある。
Q4: その場合、嫌がらせするとか恨みがあってとか、最初に報道される時点でそういう情報が出ていたと思う。今回は何もない。連続してアクセスするプログラムを作って動かしていたという報道。報道は警察の発表に従って出ているものですよね。業務妨害の意図を持ってやったと疑わせるのに十分なだけの何かポイントが、発表になかったのでは?報道されていないということは。
A4: 報道のあり方ですよね。
Q5: 報道は警察発表に基づいて…
A5: もちろんです。それが産業の発展に萎縮効果をもたらすということですね。
Q6: 記者に対する発表で、業務妨害の意図を持ったものという肝心なポイントを付けた上で、今回発表されたのでしょうか?記者がそこを抜かして書いちゃったのならマスコミの問題ですが。
A5: 私は一捜査員なのでその点は把握していない。上層部が検討の上マスコミ発表している。こういった意見が多々あることを上層部にあげて今後検討していかなければならないと思う。捜査自体は故意が認められるという情報を持っているので進めていくが、発表のしかたについては、産業の発展を阻害するのではないか、不安感を煽って萎縮させるのではないかという意見が複数あるということは上層部に伝えたい。
Q6: ありがとうございます。
 twitterのままだと、整理しないとよく分からなかった。
 余り情報のない問答なのですが、それでも岡崎警察署が容疑者の悪意性を確信している様子であることは窺えます。高木先生も感想。肝心のポイントを発表できない理由があったのだとすれば、この段階で報道させる必要があったのか。記者も言われたままに書いてて疑問を持たないのかね。呟いていたように、どうも発表された情報だけでは判断付かない事情があったように推察され、その点について記者が全く思い至っていないことは危惧されます。

2010年6月2日(水曜日)
 午前中からいきなり首相の辞意表明とか。
 てっきり参院選後に敗戦の責任を取って辞めるものだとばかり思っていたので、民主党も大変だなぁ、と。
 次期内閣は選挙管理内閣になるのが想定されるため、きちんと与党内の意向を纏めておかないと、またもや短命内閣が繰り返されることになります。
 そのことが内外政に齎すであろう悪影響を考えれば、参院選まで首相を務める方が良かったと思うのですが。選挙には勝てないでしょうが、政局の混乱は最小限で済みます。
 とまれ、首相交代によって一時的に支持率は戻るでしょうが、それとて一時的なもので参院選の予想を覆すには至らないと思われます。負ける戦いに挑まねばならない選挙管理内閣を引き受けるのは一体誰なんでしょうか。
 次期代表選には菅さんが出馬の意向とのことですが、参院選で参院過半数割れとなれば引責辞任が見え隠れするだけに、オッズの高い(というか高すぎる)賭けだと思いますね。

 時期が時期なんで、テロの警戒を厳にしないとね。

 首相退陣の蔭にすっかり隠れてしまった感がありますが、朝一番のニュースは、野口宇宙飛行士地球帰還、でした。
 日本人として初めてソユーズでISSに行き、ソユーズで帰って来た宇宙飛行士になります。(秋山さんは宇宙飛行士ではない)
 スペースシャトルは予定通りなら今年11月のエンデバーによるSTS-134で任務を終了し、退役することになります。その後、ISSとの間の人間の輸送は、ソユーズ宇宙船に頼ることになります。
 ソユーズは、1960年代から運用されている宇宙船で、お世辞にも技術的に新味があるとは言いかねますし、直径2.72メートルの帰還船では3名の人間を運ぶのがやっとで、7名の乗員と20t以上の貨物を低軌道まで持って行けるスペースシャトルとは、輸送能力は比べものになりません。しかし使い捨ての強みで毎回細かいアップデートを繰り返し、基礎設計こそ古いものの電子機器などは新しいものを積んでいますし、安全性については70年代以降一人の死者も出していません。
 しかし、いかにも古いことは否めません。
 実を言えば、60年代のソユーズ、80年代のスペースシャトル以降、世界の宇宙開発に於いて新しい有人宇宙船は誕生していません。ソユーズの後継はソビエト経済の悪化から崩壊の過程で、有翼往還機“ブラン”を開発したものの一度の無人射上げ実験で終わり、中国の神舟はソユーズのコピーです。米国はスペースシャトルに頼りすぎてそれ以後の現実的なプランが全くと言って良いほどありませんでした。
 そして全てが老朽化してしまったわけです。
 個人的には日本も有人宇宙船への挑戦を行っても良いと思います。要素要素については、なんとか手の届く範囲にあると思います。また、前回の宇宙飛行士選拔に於いて現役パイロットを2名選出したのは、恐らくその意志があるとの暗示でしょう。
 難しい時代ではありますが、今こそ宇宙へ人を送り込むチャンスだと思って、遅々としても良いから、着実に歩んで欲しいと思います。
参考:宙の会 有人宇宙論壇シリーズ

  1. 有人宇宙システムの構築に向けて(1)宇宙船概要
  2. 有人宇宙システムの構築に向けて(2)各モジュールの機能
  3. 有人宇宙システムの構築に向けて(3)ロケットとアボートシステム
  4. 有人宇宙システムの構築に向けて(4)海上回収
  5. 有人宇宙システムの構築に向けて(5)開発シナリオ

2010年6月3日(木曜日)
 今年のル・マン24時間レースマツダレーシングの水素ロータリーエンジン搭載RX-8が出走するそうな
 ただし、デモンストレーション走行。
 マツダが総合優勝を果たした91年を最後に、ル・マンにはロータリーエンジン車の出場はレギュレーション上出来なくなっているのですが、昨今のエコブームに乗ってまたレギュレーションが変わりつつあって、レース界隈ではあれこれ動きがありますな。
 それはともかく、変速機としてのハイブリッドシステムは近い将来レースに持ち込まれる可能性があると思われます。トヨタのTHSなどが典型ですが、エンジン・モータ・発電機が無段階のスプリッタを介して結合されるシステムにおいては、制御系のデキが良ければエンジンのレスポンスの悪さを無視できる(レスポンスラグをモータによるアシストなどでカバーできる)ようになるため、ターボはドッカンターボでも構いませんし、低速でのエンジントルクも考えなくて済みます。というか「低速から高速までフラットにトルクが出る」必要がそもそもなくなってしまいます。エンジンは周回に必要な平均エネルギーを出す帯域で最も效率がよくなるように設計され、レース中ずっと定速回転なんてことも、夢ではないわけです。悪夢のような気もしますが。
 ともあれ、この潮流がいつまで続くのか、それなりに楽しみです。

 「トルコ軍艦遭難120年で追悼式典 串本町だそうな。
 こういう交流は続けていきたいものですが……トルコってオスマン帝国の後継国家という扱いでいいんだっけ? いや、そんな指摘は無粋か。


2010年6月4日(金曜日)
 鳩山内閣総が辞職し、菅直人が次の首相に選ばれた……んだが、親任式・認証式は8日になるそうな。それまでは鳩山内閣が引き続き職務を執行する。所謂職務執行内閣。
 この辺の段取りの悪さは民主党のお家芸となりつつある感あり。
 ただ、そのお蔭で鳩山首相の在任期間がかの細川内閣を拔いて短さ戦後7番目になったらしい。
 しかし細川内閣と鳩山内閣の類似性は就任当初から指摘されていたことですが、何も日数まで似せることはなかったのにと思いますな。
 ということは後を継ぐ菅内閣も、羽田内閣ばりに短命になるかも知れない。
 ま、どっちにしろ菅内閣は最大限に見積もっても今年の9月(民主党代表の任期満了)には終わるわけですが。

 アカデミー賞受賞映画「ザ・コーヴ」が今月末に公開予定だったのですが、何やら妨害活動に遭って上映中止とか
 なんということか。
 映画「靖国 YASUKUNI」の時も書きましたが、言論表現の自由は、それが何であれ、守られるべきです。他者との私権の衝突があるというなら、それは司法の場で解決すべきであり、威力や権力、ましてや暴力などを用いることは、言論表現の自由への敵対行動であり、民主主義の理念を踏みにじる悪行であると私は断じます。
 相手の主張がおかしくても耳を傾ける忍耐こそが、民主主義社会の公民として求められるものです。
 大体、このような活動で上映が中止になって、喜ぶのは向こうじゃないか。
 内容に誤りがあるというなら、見た上で指摘するのが正当なやり方だと思いますね!


2010年6月5日(土曜日)
 小惑星探査機「はやぶさ」の軌道修正TCM-3が終了したとの
 これで探査機は豪洲ウーメラ砂漠へと誘導された。最後の微調整となるTCM-4はカプセル分離前。そしてはやぶさは燃え尽きる事になる。

 宇宙ネタというと、米スペースX社のファルコン9ロケットが初射上げ成功しました。
 民間資本での新規ロケット開発・射上げ、さらにはドラゴン宇宙船の開発と気宇壮大なプロジェクトですが、取り敢えずは有人ロケットのベースになる(筈)のファルコン9が予定より遅れたとはいえ射ち上がったことは素直に壽ぎたいと思います。
 このロケットの特徴は、マーリンエンジンにあります。
 ケロシン/液酸によるこのマーリンエンジンは、小型ながらそこそこの比推力を持っていまして、何より下段と上段で同じ基本設計のエンジンを使います。今回のファルコン9では、下段にマーリン1Cを9発クラスターで、上段にはマーリンバキュームを1機積みます。
 上下段のエンジンを同一設計のバリエーションエンジンとすることでトータルの開発・製造コストを下げ、またクラスター化することで初段は二発まで故障しても軌道に上がれる能力を持つとされています。
 まだまだ有人化には信頼性の向上などの問題がありますが、小さくとも着実な進歩を遂げているファルコンロケットの将来には注目しておきたいと思います。


2010年6月6日(日曜日)
 もじもじカフェ
 ゲストのトークは面白かったのだが、質疑応答がイマイチ嚙み合ってなかったのは残念。とはいえ、これだけジャンルが違う人間が対面すると、嚙み合う議論も難しいが……。

2010年6月7日(月曜日)
 改定常用漢字表の答申が文化審議会で通ったそうな。
 流石に前回の国語分科会での案からの変更はないだろうと、今回は行かなかったが、予定通りしゃんしゃんで終わったようでなにより。これで年末に向けて内閣告示を目指すことになる。内閣告示になるときに誰の名前になるか、多少興味深い。

 Slashdot.jpをはじめあちこちで報じられている、「LHA32.DLLの開発停止」「使用停止の注意喚起」の話題。
 LZH書庫のヘッダ情報に脆弱性があるのだが、IPA/JVNに報告しても却下されるし、セキュリティソフトベンダは対応してくれないしで、開発者のモチベーションが折れた、という悲しい次第。
 開発停止は已む無くも、大きく報じられることで、IPA/JVNの審査課程が明らかになることが望ましい。
 現実問題としてLHAが用いられるケースは国内においてはまだ多く、Vector窓の杜などでのフリーソフトの配布にも数多く用いられている。私自身は実は数年前からZIPを中心にするように方針を変えているのだけれども、それでもファイルサーバの中には大量のLZHファイルが蓄積されていて、これらを今更どうにかするのは難しい。
 最近でも某社との音楽データのやり取りで、相手側からLZHを指定されたことがあった。
 誰かがメンテナンスをしなければならないとは思うのだけど、フリーソフトだけに開発者に無理強いもできず、痛し痒しだね。


2010年6月8日(火曜日)
 昨日の文化審議会総会を受けて、朝刊は各紙共に常用漢字改訂のことを採り上げていた。
 論調はどこも大して変わらないのだけれど、朝日産経毎日読売が全部「教育の苦悩」を採り上げていたのには、苦笑いするしかない。お前ら他に突っ込むところないのかと。
 取り敢えず各紙を横断してわかったことといえば、文科省は教育専門家による会議を設置して教育現場での対応を検討することくらい。一応内閣告示までに学年配当を決めたりするっぽい。
 どういう結論が出るのか興味は尽きないが、短期集中型になるだろうし、追いかけるのは難しいな……。

 電子書籍関係の話題も二つほど紙面を賑わせていましたが、一つ目は、国会図書館が電子図書も納本対象とするという。いわゆる電子ブックだけではなく、「完結した形でネットワーク上で「発行」される資料」を対象としているので結構範囲は広いものの、blogやtwitterのような変化し続けるものは対象にならない、と。IT Mediaの記事によればTwitterやブログなども保存したいが、人員も予算もないらしいので、残念ながら致し方ないのだろう。
 個人的には、国会図書館の中でどのように保存されるのかも興味があるところです。

 で、もう一つは「電子書籍に統一規格とかいうの。
 なんだかなぁ。
 現状日本での電子ブックのフォーマットとしてはシャープのXMDFとボイジャーの.book(T-Time)がメジャーどころで、あとはpdfになるのかな。EPUBについては日本電子出版協会にて日本語対応が進められているところ。
 しかしなぁ、日本語って結局の所日本語固有の問題を引きずりまくるので、国際標準とか目指す必要って特にないんじゃないかと、最近思うようになった……。どうせ書くのも読むのも日本人なんだし。

 「なぜ私は救急患者の受け入れを拒否したのか 北海道・夕張の村上医師が救急対応の報道に反論」を読んだ感想。
 マスコミは何のために医療崩壊報道を行っているのだろうか。
 現状、医療崩壊を促進させるために報道しているようにしか見えない。

 菅内閣、成立。


2010年6月9日(水曜日)
 はやぶさの最終軌道修正TCM-4、完了
 泣いても笑っても、あとはカプセル分離の時を待つばかり。

 昨日の菅内閣の成立を受けて、沖縄タイムスが飛ばしています。
 「[菅新内閣発足]日米合意は無効である
 最早標題から内容まで突っ込みどころしかないわけですが、なんとこれ、社説なんですよね。ちょっと信じがたいのですけども。
 政府間の合意を反故にできる訳ないじゃん、という当たり前ことを8箇月の無駄な努力の果てに大きな授業料を払って学んだばかりじゃないですか。ねえ?
 にも拘らずこれだけのことが書けるというのは、沖縄タイムス社ってのは、学習能力が欠如した新聞社だってことでいいんでしょうかね。
 沖縄二大紙の一方がこんな感じなので、もう一方の琉球新報はどんな具合かね、と思ってみれば「菅内閣発足/対米追従からの転換を 「古い外交」と決別する時てな感じ。
 沖縄タイムスよりは幾分ソフトな筆調とはいえ、主張している内容にはさほどの違いはない。
 沖縄二大紙が揃ってこんな感じでは、沖縄県民も読む新聞がなくて困るだろうなぁ。
 実現の方途も考えずに夢や希望を語ってもいいのは中学生まで。いやしくも新聞社を名乗るのであれば、実現不可能な空想は脳内に留めるべきであって、紙面を賑わすのであれば新聞小説の形にするのが適切だと思います。
 別に沖縄二大紙に限りませんが、新聞を含む各種報道の役目ってのは、実現可能性を検討した痕跡もないような空手形が政党の公約とされた時に、これを指弾することではないのかと思うのだけど、どうもそのような報道機関は日本には存在しないようなので、もしかしたら私の思い違いなのかも知れない。


2010年6月10日(木曜日)
 一昨日の電子書籍の記事について、もう少し詳しい内容が日経PCオンラインに「電子書籍の3省懇談会、日本語フォーマットなどの経過を公表として出ていました。
 デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会での配布資料はまだ公開されていないようですが、中間フォーマットってのがどんなものになるのか、多少興味はありますね。
 あと、記事を読んでいて、何故か「リストラなう」を思い出しました。

 「シー・シェパード、公判中の元船長除名 裁判支援は継続とかなんとか。
 SSの「非暴力政策」とやらがどのようなものなのか是非ご説明頂きたい——可能であれば私に理解可能な形で——ところなのですが、それはともかく、本日の公判での求刑は懲役2年だったそうな。
 そう言えば被告並びに弁護人は酪酸は無害(少なくともそう信じていた)と主張しているようなのですが、あれって腐食性ありますよねぇ……。

 昨年の失敗から10ヶ月。本日韓国から打ち上げられたKLSV-1二号機は再び射上げに失敗したことが確認されました。
 前回はフェアリングの分離に失敗しての軌道投入失敗で、実際にはロケットはほぼ完全に動作したことが分かっているのですが、今回は射上げ後137秒後、高度70km付近で通信が途絶、北緯約30度、東経約128度の公海上に墜落したもと推測されています。
 現時点では墜落原因等は全く分かっていませんが、Max-qも超えていますから、空力等による構造破壊とは考えにくく、一段目のエンジン、あるいは制御系の問題が疑われる所です。
 しかし、ロシアの次世代を担うアンガラロケットのテストベッドが連続して失敗してしまったことで、ロシアの宇宙開発に暗雲が立ちこめてきましたね……。


2010年6月11日(金曜日)
 国民新党政権離脱か……と思われたが、選挙対策で亀井さんの辞任に終わったようだ。
 ここで離脱した方が国民新党の支持率的には良かったのではないかと思うのだけど、やはり選挙協力は捨て難かったか。
 しかしグダグダ感は出たな。
 菅内閣としては、とにかくご祝儀支持率の裡に選挙で逃げ切りたいところ。戦術的にはアリだと思うのだけど、そういう選挙戦術を否定していたのが民主党なんじゃないの?というツッコミは無粋なんだろうな、きっと。

2010年6月12日(土曜日)
 横須賀へ、DD-102はるさめの一般公開へ。この2月にアデン湾から帰ってきた艦。
 しかし、初夏の日射しに照りつけられた横須賀の新埠頭には6,000人もの人出が押し寄せ、艦にはいるのに行列一時間とか……。
 しんどかった。

2010年6月13日(日曜日)
 今日はもう、「はやぶさ」帰還。これに尽きるでしょう。
 22時くらいから始まる各種インターネット中継は軒並み接続が不安定。
 ぶつ切りになったりサーバが停止したりとひどい有様。やはりこのようなケースでは電波による放送の強みがよく分かる。
 7年の時を経て帰ってきたはやぶさは、そして大気圏に突入し、火球となってオーストラリアの夜空に消えた。

 日産Leafの報道向け試乗会があったらしく、記事や動画が。


2010年6月14日(月曜日)
 関東入梅。

 昨夜は午前二時までチャットしてて、その後も一時間以上「はやぶさ」情報をサーベイし続けていた。会社有給取っとけば良かったと思いつつも出社。
 昨夜とうとうダウンしてしまった宇宙作家クラブのサイトも復活し、川口プロマネの会見の速報も出ていた。流れて行ってしまいそうなので、全文引用してみる。

5月14日0時より行われた再突入に関する記者会見
(※敬称を略させていただきます)

相模原
川口淳一郎プロジェクトマネージャ

※ウーメラからの生中継あり
長谷川、西田

川口プロマネ
本日、NASAの支援を受け、昨夜からはやぶさの最後の運用を行ってきた。
カプセルを分離する姿勢の制御、カプセルの中のパラメータを設定し、時間はかかったがなんとか夜8時に分離することが出来た。
7年間も宇宙空間に晒された一次電池や火工品は問題なく動作した。
カプセルの分離はドップラー計測、探査機の速度変化、片側40度くらいの大きな姿勢変化があり確認できた。
その後の探査機の運用は、カメラで地球を撮像した他、いくつかの機器の動作確認を行った。
夜10時28分頃、内之浦局から地平線・水平線に隠れたことで電波の途絶となり交信の終了を迎えた。
打ち上げから7年間に及ぶ、はやぶさの最後だった。
その後、オーストラリアに最終落下点の情報を伝えた。
再突入が計画通り行われ、
日本時間22時52分頃、最大発光を迎えた。
高度200キロメートルは22時51分頃。
各種メデイアとボランティアによる中継が行われた。
現地でかなりの方々が再突入を確認できた。
23時少し前、ビーコン発信が確認された。
23時7〜8分頃、ビーコン途絶で着地が確認された。
23時20分にヘリが離陸し、ビーコンを確認。
現地からの情報ではヘリがカプセルを目視確認した。
夜間なので回収は行わずGPSを記録し、明朝から回収が始まる。
カプセル分離後の地球撮像は辛うじて白黒のカメラで撮影できた。
カラー撮影は出来なかった。
概要は以上です。

現地オーストラリアより
※30分時差あり。

長谷川・西田
現地時間23時21分頃にファイアーボール(※火球)を1〜2分確認できた。
探査機が後ろについてきたので途中で二つに分かれた。
現地時間23時26分頃ビーコンを確認。4局全てで受信確認できた。
風がなかったこともあり、ほぼ予報の真ん中の位置。
パラシュート展開は軍のレーダーで確認できた。
23時20分にヘリ離陸、ビーコン確認している。
ヘリは投光によりカプセルを視認している。
以上です。


質疑応答
NHK
着地は何時だったのか。目視確認は行ったのか。

川口・着地がいつかを特定するのは難しい。(※見えないためと思われる)
仰角が低くなって途切れた後。恐らく23時7〜8分頃。
長谷川・ライトを当てて目視で確認しています。

読売新聞
7年間を成功で終えた感想は。

川口・まず申し上げたいのは、これらは諸先輩が築いた宇宙開発技術・科学の上に成り立っている。
我々は、その中でたまたまこの任務についている。
まず諸先輩にお祝いが向けられるべきだろう。
声援を受けてここまでやってこられた。はやぶさにも助けられた。
チームの皆が献身的だった。

共同通信
当初、欧米でも実現していない先進技術を組み合わせたことをやると言っていたが。

川口・本当に幸運だった。背伸びした計画だったが挑戦しないと裾が広がらない。

毎日新聞
今まではやぶさはトラブルが多くあったが、今日に限って非常に順調だった。これについてどう思われるか。

川口・その通りだった。今日までずっと指令を健気にこなしてくれた。
今日もカプセルのために犠牲になって身をもって成し遂げさせた。

東京新聞
ミッションの達成で見えたこと。
はやぶさに願いは?

川口・あらためて申し上げるまでもないが、太陽系の大航海時代を開いた。
プロジェクトが大きな自信と希望を与えた。次の探査のガイドラインを与えることができた。
はやぶさには声もない。7年間というものは、もう自分の子供みたいなもの。
さっきまで運用していたのだが、明日からは無いというのが受け入れられない。
プロジェクトの皆がそう思っているだろう。

不明
世の中に影響を与えたことについて。
今まで大変だったこと。

川口・パブリックビューイングには出ていないが沢山の人に来ていただいてありがたい。
自信と希望が伝わったとしたら、プロジェクトの面々も願っていたこと。
次の世代を育てるのが大事。
プロジェクトが始まって15年。小学生なら就職してしまう、娘も大学生になるほど。

一番大変だったのは、2つある。
ひとつは、通信が途絶し、2ヶ月近く非常に苦しい運用をした。殆どプロジェクトが終わりかけた。
二つ目は、イオンエンジンが寿命を迎えたとき。

日本経済新聞
世界初の快挙だが、日本企業の高い技術について。
はやぶさは130億円だが、他の国の惑星探査より安くて成果が出ている。これは何故か。

川口・我が国の技術は潜在的に高い。
もっと自信を持って良いが、なかなか場が与えられていない。今後もっと進められるのでは。
ローコストの件は、率直に言って冗長性の無い計画はうまく転がる方が珍しい。
節約して成果を出せというのは無理がある。然るべき投資をしなければならない。
はやぶさが出来たからといってローコストを保証するのは誤り。

フリー今村
計画当初ははやぶさに対してドライだったが、最近の心境の変化はどういったものか。

川口・行方不明になった時、運用をオカルトやサイコロを転がしている訳では無く科学的にやっているが、あるところの先から判らない世界があった。
行方不明のときから神頼みをやっている。5年分ある。神懸かり的に困難を乗り越えてきている。
イオンエンジンの復旧は神懸かり的で、とても超えられなさそうな事を超えてきた。
今でもこの会見を開けることが夢のようだ。
6月で使命を全うして無くなってしまうという事から印象として強くなった。

不明
今回の経験を受けて、今後に伝えたいこと。

次の世代が担うしかない。自分はあと7〜8年あるが惑星探査は完結しない。次を立ち上げるのが最後の仕事だろう。
挑戦することにためらいを持たないでほしい、これだけは言っておきたい。
今日ではやぶさは終わるが、技術の風化と拡散が始まっている。伝承する機会がもう失われているかもしれない。
これを理解してもらい、将来につなげるミッションを立ち上げる必要がある。

不明
はやぶさ2を実現するためには。

川口・まず皆さんに応援ありがとうという機会を設けたい。

不明
はやぶさ2だが、アメリカも小惑星探査に力を入れている。こちらの意気込みは?

川口・意気込みはもう強い、としか言いようがない。
アメリカの計画は、はやぶさが火をつけた。
身を引くような宇宙機関はあってはならないと声を大にして言いたい。

赤旗新聞
今後はどういったミッションを立ち上げるか、またプライベートでは何をやりたいか。

川口・もし自分に時間があるなら、もっと違うこと。秘密です(笑)。
打ち上げ前から含めて8年間、休日らしい休日が無かった。少し充電したい。具体的には差し控えたい。

※ここでオーストラリアから、ヘリでの目視確認時間が入る。
現地時間14日12時26分、日本時間13日23時56分です。

フリー
88万人への報告は。(※ターゲットマーカー搭載の名前)
南アフリカの川口さんについて。

川口・88万人の人に、全ての方にミッションが完遂できたと報告したい。
W杯についてだと思いますが、決してあきらめるな(笑)。

産経新聞
はやぶさの経験から学ぶもの。

川口・最後まであきらめないことである。
どうやってうまくいっているのかと聞かれるが、私自身はそういうことはない。
チームの一人一人がとても高いモチベーションを持っている。
良い提案を積極的に取り入れている。
みんな執念深いのだろう。

不明
ヘリは何機か。
ビーコンは何キロ範囲か。

オーストラリア・ヘリは1機、ビーコンは1キロメートル程度の精度。

 色々と思わされる所のある記者会見です。
 “はやぶさ”はそれ単体の成功でもありますが、これまで宇宙研が脈々と続けてきた宇宙機実験の裔にあるものでもあります。かつて失敗に終わった火星探査機“のぞみ”の経験が活かされていたりすることはよく知られたところで、そういう意味でも、先人あっての“はやぶさ”と川口PMが仰るのもよく分かります。また、単純な成功/失敗の二元論ではなく、経験を、研究を繋いで行くことの大切さ、重要さを訴える言葉にも現れています。
 宇宙への挑戦は、一刻予算を付ければ上手くいくと言うものではないことは、いみじくも隣国が証明しています。足りない技術は買ってこい、では衛星すら射上げられないのが現実です。たとえ失敗に終わることがあっても、自分たちの手足を動かして小さくとも着実に歩みを続けることが、宇宙へ挑むために必要なものであり、その精神こそが、世界の発展を支えているものなのではないでしょうか。
 この成功を成功で終わらせるのではなく、ひとつの経験としてまた次のプロジェクトに繋げて行く責任と義務が、私たちにはあると、このはやぶさの物語に感動した人たちが考えるようになって欲しいと思いました。

 それにしても成果が大きすぎて、次に何に繋げようかと、目移りしちゃうよね……。
 ウーメラ砂漠からの報告ではカプセルに続いて耐熱シールドも発見できたと言うことなので、日本の再突入体研究にも大きな知見が齎されるでしょうね。なんせ秒速12kmで大気圏に突入した、稀有な物体ですので……。(過去にNASAの彗星探査機Stardustのサンプル・リターンで12.9km/sで再突入体が地球に突っ込んだことがあるが、それ以来)
 アブレータのエロージョンをチェックするだけでも、事前のシミュレーションの精度が確認できますし、ISSからのサンプル持ち帰り計画にも弾みが付こうと言うものです。
 ただ、どのような後継プロジェクトを実施するにしても、予算だけは必要なだけ付けて欲しいと思います。
 川口プロマネも述べておられましたが、節約して成果を出せというのは無理がある。然るべき投資をしなければならないのです。
 はやぶさが幾多の困難を克服したことは賞賛に値しますが、一方でどうしてあれほどのトラブルに見舞われたのかを考えたときに、予算と規模の不足、という言葉がどうしてもちらつきます。リアクションホイールに冗長系があれば、とか、太陽電池パネルが可動式であれば、とか、ハイゲインアンテナが可動式であれば、とか、思いつくことは少なからずあります。
 運用者の神がかり的な職人芸と幸運に頼るようなプロジェクトは、今回を最後にするくらいの意気で、政策担当者は事業を評価して欲しいものです。


2010年6月15日(火曜日)
 陸自の新型戦車として開発が進められていたTK-Xが「10式戦車」として制式化され報道向けに公開されたそうですが、共同時事しか伝えていません。
 何か報道を抑制すべき事情があるのかも知れませんけど……。

 「こんにゃくゼリー「規制難しい」=対策チーム、7月にも結論—消費者庁とまあ、馬鹿を大臣にすると碌なことにならないという話。(過去日記1,2,3
 白猫でも黒猫でも、頭が悪い奴は大臣にすべきではない。

 Appleの新Mac miniが良いなぁ。メモリも8GB積めるようになったし、サーバに使うのにもってこいだ。SSDを選択できないのが玉に瑕だけど。


2010年6月16日(水曜日)
 問責決議が通りそうだから、参院本会議を開催せずに国会閉会ですか……いや、いいんですよ、そういうのも戦術ですから。でもそういった選挙向けの国会戦術を批難していたのが、野党時代の民主党ではなかったかな、と。
 選挙は勝つことが目的ではなく、政権を取るための過程に過ぎません。それ故に、「与党になった時にどうするつもりだ?」と思われるような戦術は野党時代にとるべきではないですし、そのような手法で与党になって掌を返せば、道徳の低下を生みます。政治は、明文法/規則だけで動くものではなく、様々な慣習や合意、阿吽の呼吸などによって複雑に紡ぎ上げられているものですから、そう言ったものを勝つために破壊するのは、その後の政権運営を考えていない行為だと指弾されるわけです。

 Ustream配信なんぞ試す機会があったのですが、画質を上げようとすると結構CPUパワー食うもんだな。
 本来なら汎用のCPUじゃなくてストリームプロセッサでも使えば良いんだろうけど。


2010年6月17日(木曜日)
 昨日は電車を乗り過ごして、今日は寢坊。
 うーむ。
 もしかして体調悪いんだろうか。

2010年6月18日(金曜日)
 丁度一年程前に報じられた都内地下鉄の統合について、猪瀬副知事が乗り気、という報道が「『統合で利便性上がる』 猪瀬副知事、九段下駅など視察 地下鉄一元化を強調都:地下鉄一元化へ本腰 不便な「九段下の壁」 /東京と二つほど。
 一都民としては基本的に歓迎なのですが、問題は東京メトロ最大株主の国ですよね。最近漸く黒字化したとはいえ、都営地下鉄の累積債務は相当なものなので、おいそれと抱え込みにくいという事情もあります。
 あと、4路線で軌間が3種類で一つは鉄輪リニア、結局全線で乗り入れ不能という相互運用性の悪さも相当なもの。別に営業運転をするわけではなくて、検査基地などが別々になるのが不效率なのですよね。もっとも、東京メトロにも銀座線と丸ノ内線という戦前の落とし子がおりますけどね

 ベネズエラのチャベスたん。
 先日反政府系放送局グロボビシオンの社主が国外脱出したと報道があったのですが、同氏が会長を勤めるバンコ・フェデラル銀行がこの度国にお召し上げになったらしい。勿論亡命した元会長他経営陣には逮捕状。元会長氏には、同氏が経営する自動車販売会社についてもなにやら拘束命令が出ているそうで、国外脱出は事実上の亡命と見られているそうな。
 ただし、記事にもあるように、経営に失敗したというよりはチャベスたんの苛めが酷かったみたいですね。
 まあ、チャベスたんもいい感じに醗酵してきましたので、もう暫くすると腐敗臭が鼻を突くようになるのではないかな。

 ニコニコ動画での「ザ・コーヴ」の試写会見たんだけど……この映画作った連中とPETAをぶつけて、争いあってくれんかねぇ、とか思った。
 私は漁業の町の育ちですから、鯨やイルカを食べることに抵抗はありませんし、それこそ商業捕鯨禁止以前は食卓にも上がっていました。ですので、捕鯨禁止についても本質は資源保護のための漁獲制限と捉えています。
 しかるにこのフィルムを撮った人達は、鯨類を漁の対象とすることにそもそも反対しているようでした。
 真面目な話、そんなことに反対されてもな、と。
 感情のぶつけ合いの不毛なことこの上ない映画でした。


2010年6月19日(土曜日)
 自転車の尾燈に使っていた充電池が寿命を迎えたっぽい。充電してもあっという間に放電していく。
 正確な所は憶えていないのだけど、5年くらい使っていると思う。
 寿命ってこんなもんなんかなぁ?
 一回フル放電してみるか?

2010年6月20日(日曜日)
 NHKスペシャルのプロジェクトJAPAN「シリーズ 朝鮮半島 第3回 戦争に動員された人々 〜皇民化政策の時代〜」を視聴。
 なんというかこのシリーズ、韓国側の視点を垂れ流しって感じなんだけど、大丈夫なんかなぁ。
 韓国の皇民化政策を語るとき、日本内地における教育・政策との対比が不可欠なんだけど、なんというか、大和民族は皇民で当然、どのような激戦地で悲惨な死に方をしてもそれは帝国臣民の務め、特攻隊に志願するのも当たり前、といった視点が見え隠れするのですよね。ああ、これは沖縄でも言えるのですが。
 当時の大日本帝国という大きな枠組みの中で問題を見ようとしないのは、物事を極限化し、見誤ることにならないかと気になります。
 もっと言うと、「皇民化」とは何だったのか?という定見がない状態で話をされてもな……ということになります。皇民化はそれ自体は日本独特なものではありますが、類型的には19世紀以後の国民国家形成時における「国民」の創世事業の日本版という位置づけになります。近代国家の形成期に於いては、同じ言語を話し、同じ価値観を有する「国民」という集団をいかに作り上げるかに多大な労力が注がれておりまして、それは日本のみならず、欧米列強も苦心惨憺していました。
 そういう視点から見れば日本における皇民化も国民国家創設のための道程でしかなかったわけで、韓国民が現在もそれに悩んでいるのは、彼らが日本国民ではなくなってしまったから、というその一点に尽きてしまいます。何と身も蓋もない。
 そう言った奧行を敢えて切り捨てて、韓国の悲哀だけを描くというのは、どういうもんかなぁと私は思うのですが。

2010年6月21日(月曜日)
 先月の岡崎市立図書館事件(過去日記1,2,3,4)。
 容疑者氏が自身説明のためにblogを開設していた。twitterにもアカウントができて、#librahackトピックが出来ている。
 実に興味深い。
 blogの記事を読む限り、この容疑者氏はサーバをダウンさせているという自覚がなかったようだ。また、図書館側からの接触は事前になかったっぽい。結局、起訴猶予処分だったようなので、岡崎警察署の言う「そこまでに至るもの」は有罪とするに足りるものではなかったと検察が判断したと言うことなんだろうな。
 にも拘らず起訴猶予処分については全く報道がないのは頂けない。容疑者の実名まで報道したんだから、報道の責任を果たすべく、追跡報道が欲しいところ。あと、岡崎市立中央図書館や岡崎警察署、名古屋地方検察庁(のたぶん岡崎支部)からの説明もあると良いのだが……。

2010年6月22日(火曜日)
 岡崎市立図書館事件について、技術的な記事を幾つか。
 岡崎市立中央図書館のWeb OPACのシステムがクソだというのは良く分かりますが、それは問題の本質ではないと私は考えます。また、岡崎警察署が逮捕勾留に至った捜査経緯にも疑問がありますが、ある程度は已むを得ない仕儀であったろうかと思います(当初岡崎警察署は相当な悪意性を疑っていたようなので)。
 本件について最大の説明責任を果たさなければいけないのは、岡崎市立中央図書館です。
 図書館論的には本件は「問題利用者の排除」という図書館安全学的見地から検討されることになりますが、Web OPACを停止させ、その都度再起動を迫られ、その間のサービス停止を余儀なくされた点において、容疑者氏を岡崎市立中央図書館が問題利用者と看做したことは理解の範疇にあります。図書館は等しく全ての利用者に開かれた機関ですが、同時にそのサービス提供に障碍を齎すような利用者は鄭重にお引き取り願わなければなりません。例えば、図書を故意に汚損したり、館内で暴行傷害事件を起こすような輩は言うに及ばず、公共財である端末を長時間占有するような行為も問題行動と看做され得ます。今回のようなケースでは実図書館空間における問題行動ではなかったにしろ、図書館の提供するサービスへの攻撃と看做される面があったのですから、岡崎市立中央図書館が排除を決定したこと自体には、合理性があると思います。
 問題は、その意思決定から実際に行われた対処の間に相当な隔絶が見られることです。
 以前にも書きましたが、途中にすべきことをすっ飛ばしてないか?と。
 上にもリンクしてある「サーバ管理者日誌」の「岡崎市立中央図書館に電話してみた」によると、管理会社の調査で、外部からの攻撃が判明警察に被害届を提出という流れらしいので、どうも岡崎市立中央図書館自身が非常に短絡的に行動した虞が強いと感じられます。
 図書館には通常の利用者を守る義務があるんですけど、その中には図書館の自由を守ったり利用者の秘密を守ったりする義務もあるのです。警察が令状を取って捜査に踏み出せば、それらが冒される危険性があります。今回の件では利用者情報を含むサーバログが警察に提出されている虞があるわけで、その点を考慮しなかったというのなら、岡崎市立中央図書館には咎めを受けるべき瑕疵があるかと。
 上記blogによれば図書館の自由に関する宣言をご存じでなかったということなので、日本図書館協会あたりは岡崎市立中央図書館の対処を検証して何らかのステートメントを出す必要があるのではないかと思います。

 「雑記帳:飛脚スタイルで京情緒 佐川急便」とかいう記事の見出しを見て、さっと頭に北斎の「富嶽百撰 暁ノ不二」だとか広重の「東海道五十三次之内平塚」が思い浮かび、「それ、公然猥褻にならないか?」と思ってしまうのは、歴史学徒の性というものであろうか。
 まあ、幾ら何でもそれはなかろうが、かつての佐川急便2007年まで丁髷赤褌の飛脚マークをトラックに描いて走っていた前歴があるので……。
 江戸時代の浮世絵・錦絵なんぞを見ていると、江戸時代の男性ってのは諸肌脱いでいたり、着物を尻絡げにしていたり、褌一丁で天秤棒を担いでいたりと、なかなかに風紀的にアレであります。幕末以後、明治にかけて色々頑張ったわけです。
 現在私たちがテレビで見る時代劇なんぞは、色々修正された姿なのですな。

 WIREDに「シマノの電動自転車コンポ『STEPS』」って記事があったのですが、これ多分日本では不可だな。
 あるいは、日本法に合わせた国内モデルが出るか。
 間違っても海外モデルを個人輸入して装着してはいけない。


2010年6月23日(水曜日)
 体調悪ぃ……。

 8月にH-IIA F18で射上げ予定だった準天頂衞星「みちびき」が、リアクションホイールの不良で延期となったそうな
 潤滑油に不純物が混入した旨、米社から連絡があって四機とも交換とのことですが、まあ、射上る前に分かって良かったとしか。軌道に乗った後では、とてもじゃないけど交換できる物ではないしね。
 国産品もあるのですがコストと信頼性では中々米製に太刀打ちできないようで、元々が数のでない物だけに一度不良が出ると大事になりやすく。


2010年6月24日(木曜日)
 参院選告示。
 東京選挙区、定数5に対して立候補者24名とか何事かと……。
 まあとにかく落ちて欲しい現職も中にいるので、頑張って検討したいものです。
 あと、比例の方はどうするかなぁ。前回みたいにこの人!という人がいればいいんだけど。

 「はやぶさ:カプセルの試料容器開封 気体採取に成功とか。
 まだ現時点では気体の正体は不明なので、単に採取された、という以上の意味はない。
 しかし、これが記事になることを素直に喜びたい。


2010年6月25日(金曜日)
 岡崎市立中央図書館の件(過去日記1,2,3,4,5,6)で愛知県警に電話をかけた「岡崎市立中央図書館事件 #librahack について愛知県警に電話して聞いてみた」というblog。
 「岡崎市立中央図書館に電話してみた」の情報と併せて考えると、岡崎市立中央図書館の被害届を以て“犯行”を認知し、被害が発生していることを確認した上で、管理会社からログの供出を受けるか、あるいは押収するかして容疑者を特定し、逮捕した。この時点で警察は悪意性の存在を、確信していた。(そうでなければ25日の家宅捜索&逮捕の前に任意の事情聴取などを行っていただろうから)
 私は容疑者氏の行動は業務妨害を構成するに足る、という姿勢。岡崎警察署の捜査行動は、多少疑問はあるものの、已む方ないところもある、というところ。(私だったらこの事案で「相当な悪意性」は認識しないだろうが)
 問題は被害者たる岡崎市立中央図書館と、システム納入&保守点検を請け負う三菱電機インフォメーションシステムズで、特に被害届を出して捜査の端緒を与えた岡崎市立中央図書館の行動に疑問を抱いているのは既述の通り。
 ところで、文科省から「図書館におけるリスクマネージメンントガイドブック」が公開されたのだが、今回のようなネットワーク・トラブルについては何も記述していない。
 図書館安全学において、この種の問題はまだ殆ど研究が進んでいないのだろうか。
 日図協の行動が求められるところなのだが、望み薄かも知れない。

2010年6月26日(土曜日)
 なんか「次期戦闘機の予算計上へ 来年度防衛費、数機分とかいう記事が。
 中日新聞だと記事の信憑性を評価するのも大変ですけど……取り敢えず候補が三機種ってのは確定と見ていいのかね。
 しかし、議会で予算超過が炎上しつつあるF-35は間に合わないし、F/A-18E/Fは鈍足の艦載機で邀撃機としての運用に似うとは言い難い面があるのが難点です。となると消去法でEF-2000と言うことになりそうなんですが、航空自衛隊が欧州機を採用しますかねぇ……?

2010年6月27日(日曜日)
 都選管に参院の比例代表名簿がなくて、一体どこに行けば見れるのかとネットをうろついて、漸く総務省のサイトで見つけた。
 まあ、最初から投票しない政党を外して、ざっとプロフィールを確認するのに何日かかるかな……。

2010年6月28日(月曜日)
 恵比寿駅での山手線ホームドアの運用が始まったためか、朝の山手線が妙に混雑していた。
 単なる気のせいかも知れないし、停車位置を直すために時間がかかったからかも知れない。

 ShowTimeコミック配信を始めたというので観に行ってみたが、悪名高き韓国テルテン社製WebShellをインストールしろというので、早々に見捨てた。
 やるのは良いけどプラットホーム少し考えろよな。


2010年6月29日(火曜日)
 JR恵比寿駅での山手線ホームドアの運用開始について、東京新聞が「恵比寿 ホームドア部分発進 JR在来線 初の転落防止柵と少し詳しめに報じていました。
 個人的にはホームドアの設置には賛成しています。転落事故や接触事故の防止については、決定打となりうる対策だからです。
 事故情報によれば、平成20年に発生した人身障害事故死傷者445人(うち死亡198人)のうち、53人(同23人)がホームからの転落、168人(同10人)がホーム上で接触して死傷しているとあります。ホームドアがあればこの221人は確実に事故を防止できたはずです。また線路内立ち入りの199人(同158人)についても、数の減少が見込めます。
 ホームドアを早い段階から設置し、現在も精力的に設置を推進している東京メトロ安全報告書によれば、同社では自殺を除く鉄道人身障害事故が15件起きていますが、
ほとんどが飲酒をされたお客様のホーム上での列車との接触、ホームからの転落であり、有責事故は発生していません。
 なお、ホームドア及び可動式ホーム柵設置のホームでの事故は起きていないため、今後もホームの安全対策として可動式ホーム柵の設置などを進めてまいります。
とあり、その效果の程が明らかになっています。東京メトロでは南北線、丸ノ内線、副都心線に続き、有楽町線へのホームドアの導入作業を行っています。
 所謂“人身事故”で最多となる鉄道自殺については明確な情報がなかなか見つかりにくかったのですが、2000年に乗り入れの関係からホームゲートの運用を始めた都営地下鉄三田線では、以来芝公園駅での自殺が一件と志村三丁目駅‐志村坂上駅間の地上区間での自殺が一件あったとあります。それ以前の情報がないので比較は難しいのですが、10年で2件なら少ないと見て良いのではないでしょうか。開業時からホームドアのある南北線と副都心線では自殺者はゼロ(南北線のあのドアに対して自殺を敢行する人間がいたらそれはそれで大したものだが……)。
 都営地下鉄でも現在大江戸線へのホームドアの設置を進めているところからみても、自殺はともかく、転落防止の效果は大と判断されているのでしょう。
 視覚障害者の転落事故経験が多いことを考えても、導入は望ましいものと考えられます。今後も導入が進むことを望んで已みません。

2010年6月30日(水曜日)
 はやぶさの再突入体展示は良いんだけど、8月15日一日だけってのは、いくらなんでも無茶だろ。

 英Gordon Murray Designs社が開発していたマイクロカー「T.25」と「T.27」がお披露目なったそうで
 McLaren F1のデザイナらしく、運転席は前中央に、後ろ二人の三人乗りで車重550kgの軽量車。
 T.25のエンジンは660cc 3気筒、出力38kW、トルク57Nmで、ダイハツのEFエンジンではないかとの未確認情報。でもEF系はKF型に置き換えが進んでいるので、ダイハツならKFじゃないかなぁ。ただ、EF型にはスペックが一致するエンジンがないので、他社品である可能性もあり。660ccという半端な排気量から見て、日本の軽自動車用のエンジンを流用しているのは間違いないでしょうけど。
 T.27はT.25の電気自動車版ということですが、出力25kWのモータと容量12kWhのリチウム・イオンバッテリを積んで、車重は680Kgになる、と。
 ボディの前部分がガバッと前側に向かって開くスタイルは面白いと思いますけど、ゴードン先生のやることなので、金に糸目を付けない悪夢の車に仕上がりそうで今からドキムネっす。