哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2010年7月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2010年7月1日(木曜日)
 国立公文書館「小学校令ヲ改正ス」(公文類聚・第二十四編・明治三十三年・第二十三巻・学事・学制)の最期のページがギャグになっている件について。
 見るからにマイクロフィルムのスキャンなわけで、マイクロ化した時点で問題があったんだろうなぁ。
 私が学生だった90年代ですら、マイクロ化資料の役に立たなさ、駄目さ加減は語り草になっていたので、デジタル化に際してはマイクロ資料を信用しない、という姿勢は重要だと思う。
 この資料に付いて言えば、恐らく不定形(大判)の表図面が最期に貼付されていたんじゃないかと推測されるところ。

 「左利きはマイナスじゃない 右手使用 強制しないでとかいう記事があったんだが、今日日利き手を矯正する親なんているのかね、本当に。
 確かに、世の中ユニバーサル・デザインの考え方が浸透して来てはいるものの、相変わらずカメラのシャッターボタンは右側にしかないし、自動改札の読取機も右側にしかない。鋏や包丁、フライ返しといった細かいところでは、左利き用品は探さないとなかなか手に入らない。左利き用摺鉢ってのは見たことがない。実在するのだろうか。
 しかしだからといって左利きを矯正するほどのことではなくて、必要に応じて右手も使えるように訓練すれば済む話でしかない。私は生来右利きだが、職場のテンキーは左手で打つし、左手で箸も使えりゃ字も書ける。勿論、そのように訓練したわけ。その方が便利だから。右利きでもホルン奏者は当たり前のように左手でバルブを操る。当然だな。
 両利きというほどではないにしろ、必要に応じて適宜逆腕も使えるように適当な訓練をしておくことは、悪いことではないと思う。特に社会が右利き前提にできてしまっている以上、生来左利きの人にとっては。
 ただ、それは別に子供の頃にやらなきゃいけないことだとは思わない。ある程度大きくなってからでも遅くはないと思うけどね。
 もっとも、社会全体としてはもう少し利き手に依存しないデザインを推奨して欲しいと、マウスを選びながら思ったりする。週末に「DESIGN for LEFTY」でも観に行くか。
 そう言えば記事中でスポーツには優れるとか書いてあったけど、一方では「サウスポー、右投げ投手より骨への負担大きい=米研究なんて話もあって、その手の有利さも一面的なものでしかないんじゃないかと。ちなみにサウスポーが骨への負担が大きい理由はよくわからない。内蔵・骨格配置の問題か、トレーニングが右利き向けになってるのか、野球のルール上逆モーション動作が多くなるためなのか。

 ISASの相模原キャンパス特別公開のページがオープン。
 でもはやぶさのカプセルについては言及なし。
 本当に丸ノ内で一日だけの公開になるのか……?


2010年7月2日(金曜日)
 左利き用のバイオリンは、実在はするんだけど、実際に弾いているのを見たことはないな。ただ……オケでバイオリンの列の中に一人だけ逆手で弓持ってる奏者がいたら、すごく邪魔だろうな、とは思う。
 左利き用が比較的多いのはギター、それもエレキギターだろうけど、それ以外の楽器ってのは大抵逆用はない。トロンボーンみたいにベルとスライドの取り付け角を変えればOKってのは少数派だろうな。鍵盤が逆順になったピアノとか……?(笑)

 向きがあるといえば電池には正極と負極があって向きを確認しなければいけないのですが、「電池の+と−を気にせず入れられる技術、Microsoftが発表」とかいう新技術が。
 消費者ってのはどこまで馬鹿でも許されるんだろうか……。
 個人的には「逆向きには入れられない電池ボックス」とかの方が良いと思いますよ、教育的に。
 電池が最初から逆刺し自在という設計で作られていたのならともかく、電池には極性がありそれは回路に到るまで影響を及ぼしている。極性を合わせるという基本を意識させなくなるのは、はっきり言って危険だ。
 世界中のすべての電池利用家電がこのシステムを導入するというならともかく、そうでないというのであれば、利便不便ではなく、基本を疎かにするようなものは良くないと私は思うのだ。


2010年7月3日(土曜日)
 年次のISASのオープンラボではやぶさのカプセルが展示される、と。

 「こんにゃくゼリーの窒息、重症率85% 消費者庁分析なんて記事を読んで、何と誘導的な見出しを付けるのかと。
 窒息事故4137件のうちたった7件しかない蒟蒻ゼリーの重症化率なんて、統計的に何の意味があるんだ。
 真面目に反論しようかと準備してたら、他所に先を越されたので、リンクしとく。


2010年7月4日(日曜日)
 i-MiEVを個人で購入した勇者のページ
 今後が楽しみなサイト。

 ちょっと出かけたら見事に雨に降られて濡れてしまい、夏場だからと油断していたら体調がおかしくなってきた……。


2010年7月5日(月曜日)
 なんか入ってたらしい>はやぶさカプセルに微粒子 宇宙機構、成分を分析へ

 「台湾のデジタルアーカイブ計画の全体図(ぽいもの)」を見ながらこれは凄いなぁと感嘆しつつも、中にはこんなのもあることについて多少思うところがないでもない。それでいいのか台湾。
 勿論、残すべき文化であることを否定するつもりは毛頭ないのだが。
 日本もとっとと国会図書館に漫画分館でも作って大々的な收集とデジタル化に邁進して欲しいと常々思っているけどさ。
 これだけ大々的なデジタル化作業の中で、ノウハウの蓄積が進んでいるらしいのは素晴らしいことです。
 日本では70年代からマイクロフィルム化をやっているのに碌でも無いフィルムの作成が続けられたことを考えると……。
 ちなみにマイクロ化資料の使えなさで最もありがちなのが、露出の間違い。特に文字資料は可読性を高めるためにコントラストを高めに設定してあるものが多いのだが、戦前戦中の、朱の罫線にブルー系のインクで印刷された資料が経年で滲みを生じたものなどがマイクロ化されて、見事な「黒っぽいなにか」を撮影しているものなどは結構見受けられる。現物を見るとインクの濃淡や活字の凹みなどがあるので文字が判読できるのだが、マイクロではただの染みになっていたりする。
 マイクロフィルムにありがちなのは、利用によって付いた傷。特にロール物はスライドする方向に線が入る。酷いものになると読めなくなる。これについては、マイクロフィルムの原本はネガで保管され、そこから閲覧用のポジをデュープして作っているような所では、再度ネガからポジを起こして対処する。そうでない所ではお察し下さい。


2010年7月6日(火曜日)
 「入ってみたい幕末組織 新入社員「新撰組」、管理職「海援隊」」とかいう記事があって、新入社員どもは皆して士道不覚悟で切腹だな、とか(苦笑)。
 新撰組にしろ海援隊にしろ、イメージ先行なんだろうなぁ。

 「i-MiEV 静かな車はこわい?」で、自転車に気付かれなかったという話。
 本件は基本的に自転車側の問題だとは思いますが、事故が起きてしまえば大きく傷つくのは自転車の方ですからねぇ。厄介な話です。
 しかし、私自身自転車乗りですが、これまで街でi-MiEVやプリウスと遭遇しても、存在を感知できないほど静かだという実感はないんですよねぇ。それなりに特徴的な音はしてますし……。
 やはり社会に電気自動車が増えていけば自然に解決するんじゃないかという気が……。


2010年7月7日(水曜日)
 「日韓戦後処理は不十分=「改めて決着必要」−官房長官……。
 アホかぁぁぁぁぁぁっ!
 法律的正当性は法治国家の根幹だ!

2010年7月8日(木曜日)
 昨日の官房長官の記者会見はビデオが出てますな。

 共同に「中国軍事費は公表の1・5倍 軍幹部、初めて認めるとかあって、なるほど、「国防費」と「軍事費」という別の概念で内部処理していたのか、と。
 こういう国が隣にいるということは、忘れないでおきたいですね。


2010年7月9日(金曜日)
 「「日本で看護師」断念の帰国続々…漢字など壁とか。
 試験を英語でやっても駄目なものが日本語で合格する可能性は限りなく低いわけでして、お帰り頂くしかないのではないか。読売の記事は、来日看護師/介護福祉士は日本語以外の能力が十全である、という前提に立って書かれていますが、実際の所その前提が疑われる実態がありまして、その点について全く言及していない点が不可思議です。
 「先ず隗より始めよ」との格言もありますので、読売新聞社こそ能力と日本語の両方に問題がある外国人労働者でも雇ってみたらどうでしょうか。見たところ、能力と日本語の両方に問題がある日本人労働者は抱えておられるようですので……。

2010年7月10日(土曜日)
 うっかりこちらの日記では紹介していなくてBクラの呑み会で突っ込まれたのですが、「船型原発 ロシアで第1号が進水式」とかいうネタが先月末にありまして……。
 いやまあ、ネタなら良かったんですが、マジなんですよね、これ。
 原子力発電所と淡水化プラントを船というか艀に積んだもので、自航能力はないっぽい
 でまあ、ロシア僻地で電力供給が足りてない所に曳航して接岸して発電所にしよう、という暴虎馮河な計画。
 一号機「アカデミック・ロモノーソフ(Академик Ломоносов)」は極東に配備される由。
 考える奴も考える奴なら、実行に移す奴も実行に移す奴だと呆れ返る代物なわけですが、ロシアだからしょうがない。
 ロシアだからしょうがない……。

2010年7月11日(日曜日)
 午過ぎに、投票所へ赴く。
 何故か行列が……。単に受付業務が滞っていただけだったが(苦笑)。
 子供連れの若い夫婦が「なんで記入場所が二ヶ所に別れてんの?」「さあ?」とか言い合っているのを聞いて、絶望的な気分に浸る。選挙区と比例区の違いが彼らに理解できるのだろうか心配だ。

 夜、速報を見ている限り、民主大敗と言って良い内容になってるけど、今後の国会運営を考えると頭が痛い。
 民主党にまともな国会運営能力がないのは野党時代の戦術からして明らかなんだけど、捻れ国会を前に現実策に転換できるかどうかが、今後の国政の鍵と言うことになってしまいますな。
 期待薄だけど。


2010年7月12日(月曜日)
 菅内閣が短期短命の選挙管理内閣となるのは就任時からの既定路線だから、何も驚く必要など無いと思ってたんだけど、そうでもないのかね?

 先月末に富山の小学校のグラウンドから焼夷弾が発掘されて白煙を上げるという事件があって、富山も空襲を受けているので、不発弾が出てくることもあるわな、と思っていたのですが、朝雲新聞では焼夷弾ではなくて発煙弾になってた
 大差ないといえば大差ないんだろうけど、焼夷弾と発煙弾では危険性の度合いが全然違うので、どっちの記事が正しいのかやや気になるところ。当初はE48黄燐焼夷弾だと思ってたけど、処理してみたら違ったとかいうことだろうか? でも処理中の写真見ると、焼夷弾相手の格好でもなさそうなので、最初から地元新聞の誤報なんだろうか。

 Wiiリモコンに対抗する技術として、Xbox 360KinectPS3PlayStation Moveを投入するらしいのですが、両者のアプローチの違いが興味深いな、と。
 PS MoveがWiiリモコン同様に、スティック状の端末を持たせるのに対して、Kinectはカメラで人間のモーションそのものを捉えようとしています。スティックがない方がユーザに取って簡便であろうという発想ではないかと思うのですが、私に言わせるとそれでは具体的な動きしか入力できなくなるだろうな、と。
 WiiリモコンやPS Moveコントローラは、確かにそれ自体にセンサを組み込んだ入力機器であるのですが、同時に「見立て」を行うための小道具でもあります。噺家の扇子ですな、要するに。
 高座の上で噺家の扇子が千変万化を見せるように、WiiリモコンやPS Moveコントローラはゲームというコンテキストの中で様々な道具に見立てられ、振り回されるわけです。
 Kinectは技術的には素晴らしいのでしょうが、残念ながらこの「見立て」による抽象的な入力を得意としません。
 逆にダンスのような全身運動の場合は、四肢(特に下半身)の限定的な位置関係しか検出しえないWiiリモコンやPS Moveコントローラには限界があります。ですからダンスゲームやある種の音ゲーなどではKinectが有利な場面が想像できますが、しかしそれ以外の局面においてゲーム内で示されるコンテキストへの介入方法が限定されてしまうように私には思えます。
 Wiiスポーツの中のボウリングゲームは、お年寄りが椅子に座ったままでも遊べますが、これをKinectでやったらどうなるでしょうか?
 つまり、そういうことなんですよ。
 ただ、この「見立て」の考え方は特に日本文化論に於いて言及されることの多いものなのですが、もしそれがWiiリモコンを見た日米両国の開発陣の考え方の違いに繋がっているとしたら面白いですね。


2010年7月13日(火曜日)
 WIREDに「NYの風物詩「爆発するマンホール」とその研究」とかあって、いや、普通マンホールは爆発したりせんだろう、と思っていたのですが、「Manhole Explosion」というキーワードで検索をかけてみてびっくり。向こうでは本当によくあることらしい。
 日本ではマンホールが爆発したとなると結構な大事件扱いで、年に一件見るか見ないかくらいの頻度だと思っていたのですが、ニューヨークではよくあることなんですか……。
 世界、所変われば、ですなぁ。
 個人的には「次に爆発しそうなマンホールを特定する研究」よりも、絶縁被覆を改良するなり防爆設備に交換するなりして事故が起こらないよう対策に費用を投じる方が良いと思うのですが……。

 「i-MiEV 回生ブレーキは「ブレーキ」か?」とあって、これはi-MiEVが回生協調ブレーキを搭載していないことに由来する問題だね、と。
 通常のガソリン車を改造したi-MiEVのブレーキシステムは基本的にガソリン車のそれを踏襲しており、フットブレーキは回生とは関係のない油圧ブレーキとなっています。
 似たような機構としては大型車に積まれている排気ブレーキがあると思いますが、これについてはかつてはブレーキランプが点灯しませんでした。ブレーキランプは飽くまでブレーキペダルを踏んだ時に点灯するものとされていたからです。そう言う意味では、現在の通常車輛のエンジンブレーキも、ブレーキランプは点灯しません。ともあれ、排気ブレーキについては法改正によって現在はブレーキランプを点灯させても良いことになり、昨今排気ブレーキでもブレーキランプが点く車輛が増えております。
 ですので、強力な回生ブレーキを掛ける時にブレーキランプが点灯するようにする、というのはアリかも知れません。
 ただ、個人的には回生協調ブレーキの導入の方が正道だと思います。


2010年7月14日(水曜日)
 これはひどい>「NHKが作成した『内閣支持率のグラフ』が酷い
 担当者は小学校の算数からやり直すべき。

 米時間13日を以て、Windows 2000 / XP SP2のサポートが終了。
 Windows 2000は困る人も多そうだな。というのも、XP以降の非サーバ向けWindowsはTCPセッションの数が制限されているので、それが問題となってXPへの移行ができないケースがあるから。もっとも、その場合はWindows Serverを使えというのがMSの公式回答となるだろうが、値段見て物を言えと……(苦笑)。
 でもその一方で、Windows XPのダウングレード権が2020年まで提供ってのはなぁ……いくら何でもという気がする。

 昨年発表されていたヤマハ復活の電動スクータですが、本日正式発表があった模様です。
 4月には本田技研も電動スクータを発表しており、二大メーカの揃い踏みですね。そのうち比較記事でも出てくるかな。
 しかし、パッソル以来の技術的蓄積があるとはいえ、隨分と軽いなぁ。


2010年7月15日(木曜日)
 召還教師リアルバウトハイスクールが、14年のシリーズに幕。

 昨日発表のヤマハEC-03が新聞各紙の紙面を飾っていましたね(朝日)。

 本田技研のEV-neoと比べると、推定車重125kgのEV-neoに対し、EC-03が56kgと、圧倒的な軽さが目に着きます。業務用と個人用という違いがフレーム強度の違いとなって表れているのでしょうか。
 電池は18650を112本詰め込んで、容量0.7kWhとのこと。個人的にはバッテリが固定になって取り外せなくなったのが痛い。マンション住まいだと、駐車場に電源がないので、バッテリが取り外せないと厳しいと感じるのだけど、従来モデルのユーザーからは航続距離増加に対する要望が強くまた女性ユーザーが持ち歩けるバッテリー重量は6kgが限界ということもあって、固定化となったようだ。
 あと、回生ブレーキは装備しないそうで、その辺、今後の課題でしょうかねぇ。


2010年7月16日(金曜日)
 インドから、インドルピー(INR)の通貨記号を決めたとかいうニュースが。インド財務省サイトにはまだ公式発表なし(最終選考までは情報があるけど)。Wikipediaには既にエントリが。そのうちまたUnicodeに收録されることになるんだろうなぁ。
 そう言えば何年か前にロシアがルーブルの通貨記号作るとか言ってた気がするけど、あれはどうなったんだっけ?

 「電子書籍端末の自動ワードラップ処理で「作品が台無し」、米有名詩人Billy Collins氏が激怒」とかいう記事があって、苦笑した。
 三行詩が4行で表示されたら、そりゃ怒るだろうよ……。技術者はtercetとか知らんのだろうかなぁ。
 文芸出版に於いては詩歌の掲載には非常に気を遣っていて、編集側による改行位置の勝手な変更は厳しく戒められるところです。著者が字下げや空行にも意味を与えていることが往々にしてありますし、改行位置など表現の一部であることは論を待ちません。
 そういう意味では詩とは二次元的な表現であると言えるかも知れません。
 それを、HTML的なリフロー上等なフォーマットで出版すればどうなるか、予想可能だと思うのは私が文芸出版を経験したからなのでしょうか。

 BDレコーダが普及している世界の特定地域では、コンシューマ向けも出るかも知れないと言われていたBDXLですが、件の特定地域ではまずレコーダが出ることになったようです
 まだコマーシャル製品もPC用ドライブも出てないっちゅーに……。
 しかし100GBって、BS HiがDRモードで520分も記録できるんですけど、何を記録したらいいんでしょうかね。


2010年7月17日(土曜日)
 一日中、ただひたすらに原稿を読んでいた一日。
 ファミレスでドリンクバーでコーヒーをお代わりしながら赤ペン握って原稿を捲っていると、妙に充実感があるから困る。

2010年7月18日(日曜日)
 夏コミ入稿前の時期はこんなもんだよね……って、他人様の原稿ばかり見ているというのもどうかと思うが。

 「露極東で人骨3・5トン、495人分 スターリン期の粛清犠牲者ですか……。相変わらずロシアは単位が違うのう。
 ちなみに前の呑み会でネタにしましたが、ロシアはアムネスティ分類によると事実上の死刑廃止国になるそうですが、昨年一年で4,150人が獄死しているそーです
 死刑がないなら獄死させてしまえば良いじゃない、とエカテリーナ様が仰ったかどうかは知りませんが、ロシア的合理主義というのものはこういうものなのかも知れないと思わずにはいられません。


2010年7月19日(月曜日)
 茄子ちゃんに率いられて、ボーマス。
 前夜が3時寢だったので、帰宅後に倒れるように寢たら、次起きたのは夜も更けてからだったという罠。

2010年7月20日(火曜日)
 本来の海の日だ、というわけでもないけど、年休消化日。
 わざわざWOWOWと契約してビデオレコーダに溜め込んだ「ザ・パシフィック」やら「バンド・オブ・ブラザーズ」を視聴。
 素晴らしい。
 「敵としての日本兵」が日本人から見ても不満のないレベルで描かれていることに感動する。
 ついでに、BS Hiのスターウォーズも消化。ダース・モールの撃剣がハイビジョンで見れる幸せ。それと、これって相当計算し尽くされて編集されているフィルムなんだなーと、ハイビジョンで見てわかった。

 「エコカー戦線激化 トヨタのPHV、300万円以下で発売へ 安価設定で他社EVに対抗とかいう記事にトヨタはエコカー戦略について、短距離をEV、長距離を燃料電池車と位置付けているなんて書いてあって、どんなもんなんかのう、と。
 実は私は燃料電池車に光明を見いだせていません。燃料電池は技術としてはそれなりに好きなのですが、燃料電池で車を走らせるという形態は、一般的にはならないのではないかと思っているのです。
 ぶっちゃけ、液体燃料を使うのなら、シリーズハイブリッドで事足りるんですよ。シリーズハイブリッド化によって内燃機関は最高効率帯での定速運用が可能になりますから、燃料電池の変換效率が馬鹿みたいに高くなるとかいう事情でも起きない限りは燃料電池が互していくのは難しかろう、と。炭化水素系の液体燃料を触媒で改質して水素を得て燃料電池で……という方式に限ると、さらに效率は落ちてしまいますし。
 別方面から見ると、炭化水素系液体燃料を使うということは、現在のガソリンインフラを利用できる反面、その問題も引き継いでしまいます。つまり、「燃料を運ぶために燃料を消費する」という、根源的な問題です。燃料を輸送するために消費される燃料は結構馬鹿にならないらしく、全体としての效率を上げにくくしてしまっています。勿論、これは純粋水素などを使うようにし、各ステーションで個別に水素を精製するようにでもすればいいのでしょうが、それでは既存インフラを利用できるという利点が失われてしまいます。そんなことするくらいなら、充電ステーション造って普通の電池車で走った方がマシです。
 というわけで、私個人は、炭化水素系燃料による燃料電池車というものに、あまり大きな期待を抱いていないのです……。


2010年7月21日(水曜日)
 梅雨が明けたと思ったら連日真夏日の東京ですが、ロシアでも今年は猛暑だそうで「ロシアも猛暑、飲酒で水死?1か月で1200人とかいうニュースが。
 酒飮んで水に入ったらたこ八郎でも死ぬわけで、ロシア人もやっぱり死ぬわけですな。
 この暑さはロシアの自然環境にも影響を及ぼしており、泥炭層に火が着くシベリアで森林火災は立て続くわで、ロシア航空森林消防隊は大忙しの様子。
 ちなみにこのロシア航空森林消防隊は、火災現場に先遣隊が飛行機で駆けつけパラシュート降下、後続部隊がヘリボーンで合流して森を斬り開いて消火活動を行うという豪快な部隊。米国各地にも似たような組織はあったりするわけですが、広大な国土に人の住まない土地が多いと、やることが豪快にもなるのですな。

 サーチナに「中国人が日本に抱く「10の誤解」とその真相」なんて抄訳記事があったので、元記事を探してみたところ「中国十个关于日本的误解」のようだった。

  1. 日本は侵略戦争について謝罪していない
  2. 日本の教科書は中国侵略を記述していない
  3. 靖國神社の撮影には死の危険が伴い、日本の恐怖と暴力を反映している
  4. 在日中国人には犯罪がない
  5. 「掲秘日本軍妓的軍事訓練」という記事
  6. 「日本教科書裡的侵華戦争」という記事
  7. 日本は軍国主義国家である
  8. 中国が日本製品をボイコットすれば、日本を破産に追い込める
  9. 韓国人は日本製品をボイコットしている
  10. 日本人は世界で最も道徳に欠ける
 5.と6.がイマイチよく分からなかったので調べてみたところ、其々の標題を持つ写真が中国で出回っているらしかった。
 「掲秘日本軍妓的軍事訓練」の方は……慰安婦じゃないよな、姿形からして。多分に当時行われていた軍事教練であろうとは思うのだけど、細かいところは不明。まだ小銃を持っているところからして、戦況がまだ比較的良好だった時期のものだろうけど。
 「日本教科書裡的侵華戦争」は、今の教科書じゃなさそうだな。戦中なら、こういう教科書もあったかも知らんけど。ただ、全てが嘘ではないことは、知っておくべきだと思うね(全てが真実だとも言わんが)。

2010年7月22日(木曜日)
 なんか金賢姫が来日しているそうで、警備が厳しくなったりしているわけですが、何をしに来たのかと思っていたら「横田さん夫妻「特別新しいものない」 金元死刑囚と面会とかなんとか。
 1987年の大韓航空機爆破事件で逮捕されて以後北と切り離された元工作員が最新の情報など持っている筈もなく、政治的プロパガンダ以上の意味が全くないわけですが、一体誰が何のためにお膳立てしたんでしょうかね……。

 富士重工日立製作所が開発していた鹿島灘沖の洋上風力発電所が本格稼働開始とか
 そう言えば三菱重工だったかは、更に風車をメガフロートに載せて沖に展開しようとか、暴虎馮河なプランを出していた気が。


2010年7月23日(金曜日)
 米軍が開発していた対空レーザー砲が標的の撃墜に成功したとか言う記事が。
 32kW連続発振の固体レーザーとか、なんか正気を疑うような数値ですが、これは久々の艦隊防空への技術革新になるのでしょうか。
 レーザー自体は光速で飛びますが、索敵/照準の方はそうはいかないので、完璧とは言い兼ねるでしょうが、艦隊の防空能力が飛躍的に高まると、対艦番長擁する日本としては一概には喜べませんね。
 やはり最期は潛水艦による魚雷攻撃か……。

2010年7月24日(土曜日)
 コミケカタロムを買ってきて中を見てみたら、データ形式が変更されていた。
 これまではカタログの各ページデータをスキャンしたPNGファイルがページ分入っていたのだが、これが各サークルカットごとのPNGファイルに改められていた。
 これは、カタログそのものの制作体制が変化したことを暗示している。
 これまでのカタログは、各サークルカットを手作業で照合し、台紙に張り付けページ版下を作成していた。その版下をスキャンした物が、去年までのカタロムデータだった。
 しかし今回各サークル毎にファイルが別れたと言うことは、前段階、つまりサークルカットの照合段階でスキャンがなされ、データベース化されたことを窺わせる。
 いつかこうなるだろうと常々思っていただけに、感慨深いものがあった。

2010年7月25日(日曜日)
 「ロシア、飲酒運転を完全禁止 大統領が法案承認」というニュースの中の飲酒しなくても血中にアルコールが多く存在する人というフレーズにGenesis先生それは二日酔いというんじゃないのか、常考とツッコんでいましたが、敢えて個人的には、ロシア人なら常に血中にアルコールが検出されてもおかしくないと思うのであった。
 あれだよ、血液が不凍液化してるんだよ、きっと。
 ロシアは寒いからね(棒)。

2010年7月26日(月曜日)
 「【仏国ブログ】フランス人が日本で運転を体験「左右反転に注意が必要」」とかいう記事があったのだが、この元ネタblogの著者は英国に渡ったことがなかったのだろうか。
 というか、どうもフランス人という人種は、世界には車が左側を走る国があるということを知らないことが常らしく、フランス人建築家が設計した汐留の電通本社ビルの車寄せが右側通行で設計されているというアホな話は一部で有名である。まともな建築家がこのようなミスをしでかすとは信じがたいのだが、それより途中で誰も気づかなかったのかと。
 とまれ、英国には「Tenez la gauche」とフランス語の看板があちこちに立っているそうなので、やはりよく分かっていない人が多いのではないかと思われる。
 もっとも、この世には更に凄まじい話もあって、「左側通行のままではリムジンが入れない」「じゃあその通路だけは右側通行ね」とサヴォイ・ホテル前の広場だけを右側通行にしてしまったなんて事例が英国にはあったりするから油断がならない。

2010年7月27日(火曜日)
 辻本清美前国土交通副大臣が、社民党を離党。
 社民党の連立政権離脱時の態度を見ている限り、副大臣ポストに執着があったようなので、恐らく遠からず民主党に合流することになるのだろう。
 これを権力欲の発露と見るか、現実主義への転換と見るかは、悩ましい所。

 NASAの衛星を使った世界森林地図を見ると、先進国にあるまじき日本の森っぷり。さすが、国土の2/3が森林と言われるだけのことはある……。
 しかしこうして見ると、砂漠でもないのに見渡すかぎり森林のない地域というのも世界には各地にあるようで、一体そこはどうなっているのかと多少気にならんでもない。フィリピン北部とか、もう少し緑がありそうなものだけど……。

 「中国:武装艦で威嚇「拿捕の漁船解放せよ」 一触即発の海とかなんとか。
 中国はそういうことをする国だ、という理解を広める点では評価できる記事かもしれないが、それに対抗するためには何が必要かを考えていくと頭の痛い記事ではある。
 中国の軍事的伸張について他人事ではない我が国だが、選定が遅れている次期戦闘機(F-X)がまた遅れると、読売が「空自FX、調達費計上見送り…有力候補開発遅れとして報じていた。
 一部ではF-2追加調達か?とまで言われている現状、これ以上選定を遅らせるのは得策とは思いにくいのですが空自の人たちにはちゃんと見通しがあるんでしょうかね……。すごく心配。


2010年7月28日(水曜日)
 「iPad所有者は「利己的なエリート」:調査結果」。
 うむうむ。さもありなん。
 私のように言論表現思想信条の自由をこよなく愛する人と、あのような板っ切れを珍重する人種は相容れないのだな。

 千葉法相が死刑執行
 特筆すべきは、法相自らがその執行に立ち会ったことでしょう。
 千葉法相は人権派弁護士として知られ、国会議員時代には死刑廃止を推進する議員連盟に属し、死刑廃止に尽力してきた人物です。そのような経歴の方が法務大臣に就任し、その後も死刑執行命令書に署名されていなかった件について、過去国会議員としての主張と、国務大臣としての職責をきちんと別けられないような方は、大臣たる資質に欠けるのではないかと思います。と私は書きましたが、千葉法相はやや遅ればせながらも、その資質を示したと言えるのではないでしょうか。
 私は死刑存置派であり、特別予防論(の一種)を採ります。甦生を期待できない、もしくは甦生に要する労力が得られる利益に見合わないと考えられる場合に、これを社会から排除することによって再犯可能性を排除せしむ、というものです。故に私は終身刑を否定します。
 しかしだからといって死刑廃止派を否定しているわけでもなく、議論の上でより良い社会を探れれば良いと思っています。何しろ私は言論表現思想信条の自由をこよなく愛しているもので。
 ただし、譲れない点としては民主主義と法治主義の是認です。
 この両者において合意できなければ、残念ながら議論の相手とは成り得ません。手続きが民主的でなくても良いというならテロリストかテロリスト予備軍として扱わざるを得ませんし、法治主義を共有できないとなれば死刑を議論する意味が最初からなくなってしまうからです。


2010年7月29日(木曜日)
 朝日に「初代iPodナノ、過熱のけが4人に なおリコールせずという記事。
 所詮アップルだからなぁ。
 MicrosoftにしろAdobeにしろJustsystemにしろ、不具合情報を送れば(対応できるかどうかはともかく)返事くらいは来る。Appleはバグを報告しても返事すら来ない。当然バグは放置されたままだ。
 相手が個人であれ国であれ木で鼻を括ったような対応をするという意味では一貫した姿勢と看做すこともできようが、基本的に客を客とも思っていない会社なのだから、そのように応対するのが理に適っていると私は思う。
 経産相は速やかに消費生活用製品安全法に基づき危害防止命令を発するべきでしょう。

 「漢詩は俳句に勝てない? 文化バトル敗退の理由」とかいう記事を読んだ。
 世界に広まっている「HAIKU」が、日本の「俳句」と同じものと看做し得るかについては議論の余地が大いにありそうな気がするわけだが、俳句が世界に広まっていることだけは確かだな。
 では漢詩が世界に広まらないのは何故かと言われても、事実上本国でも滅んだ文化だから仕方ないんじゃね?というくらいか。実際、趣味としてでも漢詩を詠む人が中国に何人いるのかと。
 中国人に取って漢詩というのは古典であって、慣れ親しんでいるものとは言い難い。それは詠むだけではなく、読む時点でも色々と制約がある。
 近代に成立し、更に制約の緩い川柳などという形で身近にある俳諧とはまた違った位置づけではないかと思った。
 漢詩は日本でも知識人の嗜みとされていた時代が確かにあったのだが、大正時代に新聞から漢詩欄が消えてしまったように、漢文教育の衰退とともに漢詩の嗜みも失われて久しい。今では高等学校の国語の授業で、僅かに漢文をやる程度だ。
 もっとも、この科学技術隆盛の時代に唐詩選でもあるまいという意見は否定できないところではあるのだが、一方で日本語の特性に基づく問題として、漢文の知識の薄れが問題を生じさせてきているな、と最近実感することが幾度かあった。
 同訓異字の書き分けが、なってない文章が散見されるのだ。
 例えば「きわめる」と言った場合、「極める」と「究める」では意味が違う。「うかがう」でも「伺う」のか「窺う」のか「覗う」のかで、意味が違う。「はる」と言っても「張る」のか「貼る」のか、それとも「脹る」のか、使い分けが必要なのは言うまでもない。
 無論、かな漢字変換ソフトが懇切丁寧に書き分けを例示してくれるものもあるだろうが、基本的には書き手が気を付けねばならない。しかるにこれらを適切に使い分けるためには漢語の知識がどうしても必要になる。その時書きたい単語に対して、同義の漢語を思い浮かべれば、大抵その漢字が訓に当てられるからだ。
 これは日本語が、高度な抽象概念の表現を漢字や漢語に任せ、和語にはあまり手を入れてこなかった歴史の上にこうなっているのだが、結果として複雜怪奇で多様性に富んだ表現を手に入れた一方で、使い手の力量が如実に反映される側面も持ってしまったわけだ。
 私はこの日本語の曖昧さと混沌さを愛しているけど、これは駆逐されるべき悪弊であると考える人達もいる。かつて戦後に断行された国字改革はそういう考え方に基づいていて、その考え方には一定の利益が確かにあった。しかし余りにも悪影響が大きかったと、私は思う。

 しかし、毎朝の「新 漢詩紀行」とか、どのくらいの人が観ているものなのだろうか。
 毎日録画している私は極少数派だろうという気はするのだが……。


2010年7月30日(金曜日)
 28日にホルムズ海峡を通過中だった商船三井の石油タンカー「M.STAR」が爆発事故を起こした
 現状、事故原因は明らかになっていないが、外部から攻撃が疑われているそうな。
 今のところ何とも言えないのですが、ホルムズ海峡は日本のエネルギー輸送の頸動脈とも言えるポイントだけに、事故ではなく「襲撃事件」ということになれば、日本経済に与える影響も小さくない。ホルムズ海峡を通過せずにアラブ首長国連邦やサウジアラビアからの原油を運び出すことはできず、そこの通過に際しての船舶保険の掛金が上がれば、それは原油価格に跳ね返る。それは最終的に日本の消費者の負担となるわけだ。シーレーン防衛が大事であるという理由の一つ。
 ただの事故で終わって欲しいが……

 JAXAより「種子島周辺におけるロケット打上げ期間等の見直しについて」の発表がありました。
 日本の軌道ロケット発射基地は種子島と内之浦ですが、歴史的経緯から漁業権問題があり、射上げ可能時期が限られていました。
 ロケットはいつでも好きなときに射上げられるわけではなく、積荷である衛星にとって適した軌道要素を得られるよう、時期・時間が決定されます。これが制限されることが射上げにとって良いことの筈がありません。
 ここに積年の問題が一つ解決したことは喜ばしいことだと思います。
 ただ、これが解決したからと言ってロケットの受注が直ちに増えるとは思いませんけどね。


2010年7月31日(土曜日)
 と、いうわけで相模原のISASに行ってきた。
 イプシロンロケットの講演などを拝聴してきた。
 はやぶさのカプセル展示は、相模原市立博物館の方で。
 列は博物館内から敷地内をぐるぐる回って敷地外へ出て一旦大通りまで延びて折り返してISAS前まで。2時間半待ちとか案内員が叫んでいる。所々に「今後の公開予定」という張り紙があり、頼むから別の日に行ってくれと言わんばかり。
 ま、こちとら炎天下に二時間半くらいなら慣れてるけどね。