哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2008年4月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2008年4月1日(火曜日)
 映画「靖国 YASUKUNI」の上映が危機に瀕しているそうな。バルト9に続いて、都内上映予定館が全て上映を取りやめ。銀座シネパトス演ってくれると思ったんだがなぁ。
 かつての「バトルロワイヤル」の時もそうだったんだけど、議員さん方の言論表現の自由への不見識は何も変わってませんなー。言論表現の自由に対してあっさり影響力を行使してしまう辺り、この国の先行きに暗雲を感じてしまうわ。
 問題作ってほどの問題作だとも感じないんだけどなぁ。問題だっていうなら「日本鬼子(リーペン・クイズ) 日中15年戦争・元皇軍兵士の告白」なんかの方がよっぽど問題だったと思うが……。
 ともあれ、内容に賛同するにせよ反駁するにせよ、映画を観ないと始まらないわけで、その視聴機会を失わしめた点において、私は言論表現の自由の危機ではないかと思います。

 そういえば先月MiAUから日本ユニセフ協会への公開質問状について、間接的ながら回答があったらしい。直接的な回答については「時間的なキャパがない」そうで。
 ユニセフ協会の回答は、ちょっと「はいそうですか」と納得できる内容じゃないな。


2008年4月2日(水曜日)
 風邪引いた。寝る。
2008年4月3日(木曜日)
 この風邪を「フォント風邪」と命名しようなどと考えている今日この頃。

 NHKオンデマンド正式発表。
 とりあえず「クローズアップ現代」とか対象になると嬉しいねぇ。
 それまでに光ファイバーに切り替えた方が良いかね?

 「ソウル市、犬を食用家畜に分類する方針示すという、どこかからキャンキャン吠え声が聞こえてきそうな話題。
 私などは最近かなりいい加減になってきたので、「いいじゃねぇか韓国人が犬を食おうと濠洲人がカンガルーを食おうと、日本人が鯨を食おうと、食文化ってもんだろう。互いに尊重し合おうぜ。ラァブアンドピィスだ!」とか思ってしまうわけですが、その辺理解しない人たちって居ますからね。


2008年4月4日(金曜日)
 相変わらず体調は芳しくない。
 症状は徐々に遷移して、関節の痛みに。
 なんか纏めてこないで、一つ一つ順繰りに来るんだよなぁ。
 栄養取って寝るのが一番か。

2008年4月5日(土曜日)
 午前中からあちこち用事を済ませるために出歩く。花見日和の良い天気。
 入学式があったのか、制服の子供とめかし込んだ母親の群れがいたり、あるいは春休みの最後の休日だからか、行樂地へ向かうと思しき家族連れを頻繁に目にした。
 花見も、ソメイヨシノは今週が最後だろうか。
 体調の調整を兼ねてまったり過ごした休日。

2008年4月6日(日曜日)
 川口にて、花見。

2008年4月7日(月曜日)
 昨年英内務省から予告があった刀狩り令は無事実施に移された
 実の所これ、「日本刀の形をした大型ナイフ」の規制なんですよね。
 なので、日本できちんと鍛造された日本刀は対象外だったりして。

 東京新聞に「山手線ホーム 可動柵設置へ 転落防止 3年内めど着手 17年に全駅へ拡大として、JR東日本が遅まきながら対策に乗り出すことが報じられています。
 先日も京都市営地下鉄で電動車椅子の転落事故が報じられていましたが、ホームドアは転落事故に対する非常に有效な解決策です。
 技術的に難しいところが多多あることは承知の上ですが、できれば設置の方向で進めて欲しいところです。

 日経の「海外からの単純労働者受け入れ推進を、同友会が提言」という記事は経済同友会の「日本の活性化と競争力強化に向けて 〜世界に開かれた日本の創造のために〜」を指しているのではないかと思うのだけど、一読して反対。
 外国人労働者を受け容れることによって発生する社会コストの増大について、現時点ですら殆ど手当てらしい手当てがない、しかも問題が表面化してから十年以上の歳月が流れているというのに、それらの問題がまるでなかったかのような顔をして「外国人労働者の受け容れ」などと言われても、お前らちょっと待て、としか言い様がない。
 取り敢えず今ある問題を解決してからにしてくれ、と。


2008年4月8日(火曜日)
 産経電によると、“忠犬ハチ公”が、リチャード・ギア主演でハリウッド映画化なんだとか。調べてみると、タイトルは「Hachiko: A dog's story」らしい。
 別に「Shall we dance?」をリメイクしようが「南極物語」をリメイクしようが構わないとは思うわけですが、何分想像力が貧困なものでして、舞台がニューヨークになってグランド・セントラル駅あたりで人待ちをする犬の話になるんでしょうか。
 それはそれでなんか違うような気がするんだよなァ……。
 第一、忠犬ハチ公の舞台である渋谷って言ったって、話は昭和初期でありまして、まだまだ渋谷が住宅地だった頃の話。五島慶太が渋谷から線路を引いてばりばりと仕事をしていた頃です(東横線の開業が昭和2年)。ハチ公の話が美談化されて定着したのが昭和7年頃で、井の頭線が開業するのが昭和8年で、ハチ公の銅像が建ったのが昭和9年。ハチ公が死んだのが昭和10年。飼い主が死んだのが大正14年なので、渋谷の歴史から言えば「渋谷が繁華街になりつつある頃」の話だったんですね。
 だからこそ、駅まで主人を迎えに行く忠犬、なんて話になるわけなんですが……。今の渋谷を思い浮かべてはいけないわけですな。

 産経が「前代未聞の画数順で入場 北京五輪開会式とか書いていたわけですが、確かに総画数順ってのは近代五輪史上初かも知れんけど、ソウル五輪のときはハングル順だったと記憶しているし、アテネ五輪ではギリシャアルファベット順だった。そうそう目くじらを立てるほどじゃないよね。
 ちなみに東京五輪の時は、アルファベット順だったらしい。
 そのうちアラビア語圏で開催されたら……とか考えると、なかなか楽しいものがありますなっ。


2008年4月9日(水曜日)
 巷では、“エクストリーム聖火リレー”という競技が大いに賑わっている由。善哉善哉。

2008年4月10日(木曜日)
 今朝はJR中央線が変電所火災で、JR山手線がレールの亀裂による信号故障により、それぞれ遅延をしていたものだから、朝の交通機関はとんでもない状態だった……。
 ちなみに私は、目黒駅から五反田まで歩きました。
 どうせたった一駅。迂回経路を使うのもアホらしい。

2008年4月11日(金曜日)
 眠い……。

 スバルが軽自動車から撤退するそうな
 富士重工ってスバル360で名を上げた会社だっただけに、寂しいところも。
 でも、そうすると完全に5ナンバーの車なくなっちゃうんだなぁ。
 あと、電気自動車のR1eどうすんのよ、と。


2008年4月12日(土曜日)
 なんか「プリウスに騒音は必要?…車の静かさ防止法案とかいう面白おかしい記事が。
 自転車で走っているときに並走車から「ウイィィィーン」って感じの自動車らしからぬ音が聞こえて、なんじゃと思って右を向いたらプリウスだった、なんてことがありました。
 でもハイブリッド車じゃなくても、高級乗用車だと、徐行してるとエンジン音が殆ど聞こえない車種ありますよ。タイヤノイズの方がエンジン音より響く、なんて嘘みたいな車があります。
 視覚障害者にとって危険だから音を出すように、というのは分からない提案ではないのですが、巧く設計しないと、同じ音があちこちから聞こえて余計に混乱するかも。かといって、車輛毎に固有の音を出せというのも難しいだろうし……。
 とりあえず電気自動車は、インバータが音階を奏でるようにすると良いだろう。
 伝統的な解決策としては、「自動車の前を旗を振って走る先導員」を導入するというのもアリでしょうな。

2008年4月13日(日曜日)
 昨日から風邪がぶり返して寝たり起きたりの生活。
 世の中は何か変わったかのう?
 ジンバブエ情勢は……うむ。良い具合に暗澹としておるな。

2008年4月14日(月曜日)
 今日も朝から鉄道乱れまくり。
 京浜東北線が人身事故。連動して山手線、横須賀線、東海道線に遅延発生。
 東京メトロ千代田線が車輛点検。常磐線に波及。
 都営地下鉄新宿線で車輛点検。京王線へ波及。
 京成電鉄が信号故障。都営浅草線へ波及。
 東急東横線が急病人搬送。接続代替路線へ波及。直通路線へ連鎖波及。
 朝礼始まったときに所員が半分もいなかったというオチ。

 先の週末に開催されたロンドンマラソンにアフリカからマサイ族の戦士6人が井戸掘りの資金を集めるためのチャリティーで参加。伝統衣装に鎗と盾を持って5時間24分47秒で完走したそうな。
 井戸掘りの資金が集まったかどうかは、定かではない。

 映画「靖国 YASUKUNI」の行方が渾沌として来た。靖国神社が境内における撮影許可を遵守していなかったとして通知書を送付
 出演する刀匠もなにやら異議を唱えておられる様子
 このままでは問題が法廷鬪争化しかねませんな。
 公開前にこのような問題に発展してしまったことを残念に思います。
 公開後、衆目に触れてから問題が起こる分については、私はなんの問題もないと思いますが、現時点では公開されていない作品について、取材を受けた側が異論を述べており、第三者としては判断材料がありません。
 個人的な本音を言えば「とにかく観たい」わけですが、このまま下手に法廷鬪争となり、被写体の人権保護が申し立てられた場合、監督の意図した形でこの作品を鑑賞することは不可能になるでしょうね……。

 毎日新聞に「入学式:入学金未納、式に出さず 新入生2人、別室待機−−千葉の県立高という記事があって、最後の尾木直樹法政大教授のコメント極めて機械的、官僚的対応。学校側は2人だけではなく、生徒、保護者に謝罪すべきだに頭を悩ませる。
 高校は義務教育ではなく、学費は生徒(一般的にはその保護者)が負担する。故に、期日までに費用を用意できなかった場合は、教育を受ける機会を失う。
 このことは事前に説明されており、また経済的問題があれば事前に相談もできた。ちなみに高等学校の入学金の貸付制度がある市町村も少なくないので、用意できない、というのは実際問題としてかなり考えにくい。
 さて、その上で件の高校の対応を考えたとき、これは全く批難に値しないと私は考える。どう見ても生徒側の落ち度で、救済手段も複数あったんだもん。


2008年4月15日(火曜日)
 「権利者データベースの氏名表記にガイドライン、著作権協議会が発表」とかいう記事を見て思うわけ。
 なんで今さら漢字コードでは「JIS第2水準」範囲内で文字を用いることなのか。というか、今まさにVistaの普及によってJIS X 0213字体が到来しつつあるのに、何を好き好んで混乱の芽を撒くような決定をするかなぁ。
 ちなみに、私がかつて在籍した頃の某団体では、X 0208+補助漢字であとは外字だった。

 元調査まで当たろうと思っていたけど辿れなくて、孫引きで。
 kirai blogの「The least religious countries」というエントリでPitzer大学Zuckerman准教授の研究が紹介されていて、それによると日本は世界で5番目に非宗教的な国らしい。
 上位を見るとスウェーデンヴェトナムデンマークノルウェー、日本、チェコフィンランドフランス韓国エストニアといった国が並んでいる。
 この時点で調査のやり方に問題があったんじゃないかという疑いが濃い。特にスウェーデン(国教持ち)やフランス(カトリック教国)が上位というのは理解しがたい。
 また、グラフの青い色が「無神論者」で赤い色が「無宗教者」らしいが、両者の違いも分かりにくい。というか日本は無神論者ばかりで無宗教者が殆どいないという結果だから余計違いが分からないのか。
 恐らくこの「無神論」の「神」はキリスト教的唯一神のことを指しているのではないかと思うわけだが、この辺調査の際に用語を間違えるととんでもない結果になりそうだ。
 下のコメント欄では過去の日本におけるキリスト教の弾圧された歴史とか、日本における宗教行動のいい加減さなどが語られているが、そう言った問題があるにせよ、先ずは調査方法をきちんと検討しないとこの種の調査は読みづらいと思った。

 あらりあさんが憤っているACCS
 私はむしろ、内容によって削除対象を選別する権限がACCSにあると考える方が危険だと思うがなぁ。恣意的に削除・非削除を弁別するより、機械的かつ無慈悲に行動するのがACCSのあり方として正解ではないかと。
 ACCSを腐すよりも、消された問題のビデオを再Upするにはどうしたらよいか、を考える方が健全ではなかろうか。
 この場合、出演した僧侶と放送した関西テレビに直接許諾を取り、明示的なクレジットを入れた動画を改めて作成し、YouTubeに放流するというのが、筋だろうか。
 むしろ関西テレビが自らやっちまったほうが、名を上げられるだろうね。


2008年4月16日(水曜日)
 BPOによる「光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見」を読む。
 7時間以上に及ぶビデオを見た上での的確な指摘は実に興味深い。
 制作、取材のために相当な人的資源を投入しているにもかかわらず、できあがった番組は凡庸で浅薄なものであるという批判は痛烈だ。
 しかしネット社会(ブロゴスフィア)も似たり寄ったりな問題は抱えていて、世にblogは五万とあれど、多樣な意見は実は表出しておらず、むしろ多様性は失われる傾向が強い。むしろ放送局にはBPOなどがあるが、ブロゴスフィアは統制不能だというところで、最悪ケースの被害はこちらの方が大きくなるのではないかと思わんでもない。

 Windows XP SP3が近々出るらしいとかいう報道があるが、はてさて。RCまで行ってたっけ?


2008年4月17日(木曜日)
 「史上初、宇宙からの始球式」というからてっきり衛星軌道からヤンキー・スタジアムにボールを投げ込んだ(おい)のかと思っていたのに……。
 がっかりだよ。

2008年4月18日(金曜日)
 “エクストリーム聖火リレー”において日本ステージのスタートポイントである善光寺がこれを辞退するという大技が決められた模様。高得点が期待されます。

2008年4月20日(日曜日)
 善光寺にイタズラ書きがなされたと。
 低レベルな争いだ……。

 土曜日はBTRON Club
 会長法話において、きしもと君と共に「お前が悪い!」と名指しで指弾される(苦笑)。
 うっひょー。

 その後、食ったり呑んだりの果てに御徒町で徹夜カラオケ。
 初音ミクオンリーというかなりアレなカラオケ。

 朝帰りで仮眠を……と思ったら撃沈してしまい、国立科学博物館新宿分館のオープンラボをぶっちぎってしまう。
 泣けるっ。


2008年4月21日(月曜日)
 経産省の4月18日付「消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」にて、I/OデータのNAS「HDL-160U」が採り上げられたと報じられていた。I/Oデータのプレスリリースはこちら
 NASは基本的に電源入れっぱなしで運用するものだけに、原因究明・事後対策など、注意深く見守りたい。

 日本郵船所有の原油タンカー“高山”がイエメン沖で不審船からの攻撃を受けて船尾に被弾。燃料漏れを起こしているという。“高山”は自力航行が可能。
 未確認情報ながら、ロケットランチャーのようなもので攻撃されたそうな。海域からして、海賊じゃなくてテロリストの可能性が高いな。
 これが日本のシーレーンの実情なんだよね……。


2008年4月22日(火曜日)
 昨日のタンカー襲撃の件で、朝日の「相次ぐ海賊、対抗策は放水程度 タンカー被弾の海域という続報。
 どう解決したいのか分からん記事だ。
 日本が責任もって自国のシーレーンを守ろうと思えば、必要な軍備は今の数倍になるよね。ロケットランチャーとか装備している連中の前に海保を押し出すのは色々無茶だし……。いや、しきしま級の巡視船を多数装備というなら問題ないけども。
 単独はいかにも無茶なので、多国間共同でというならば、現在インド洋に派遣している海上自衛隊の任務を拡張して、補給任務だけではなく、全面的な海上治安活動への参加を考えるのが良い、ということになる。
 朝日新聞は反対の立場なんじゃないかと思わんでもないのだが……。
 軍を派遣しない民間的な方法としては、特別法によって重海上武装を持った民間軍事会社を設立して、有料で日本船を“警備”するとかいう方法が考えられようかと思うが、個人的にはこっちの方が余計倫理的に問題がありそうな気がする。

 過去にこの日記でも採り上げた山口県光市母子殺害事件の差し戻し控訴審が判決公判を迎え、被告には死刑判決が下された。弁護人は上告。恐らく最高裁で覆ることはあるまい。
 事件から9年。長すぎると感じる。

 昨年12月に話題にした、ベルギーで作られたという「フランダースの犬」についてのドキュメンタリーを、とうとう入手。いやー。丸3ヶ月以上かかりました。
 で、視聴したところ、はっきり言って面白かった。
 読売新聞の記事は的外れも良いところで、記者が本当にドキュメンタリーを観たのかかなり疑問。
 このドキュメンタリーが描き出しているのは、日本人がどうこうというのではなく、フランドル人に押しつけられたイメージを巡る悲喜交々でした。
 元々「フランダースの犬」がベルギーとは関係のない英国人の手になる作品で、それが世界を半周する裡にどんどんベルギー・フランドル地方とは関係のない話になっていき、アニメに至っては舞台の描写は殆どオランダ。ベルギー人(の中のフラマン人)が、日本人が中国人として描かれるくらいの違和感を抱いていることが見て取れました。
 日本人がアントワープのノートルダム大聖堂で涙するのは、言ってしまえば壮大なる錯誤の果てに存在する、誤解と偏見に基づいた感動という、あんまりと言えばあんまりな事実関係が浮き彫りにされてました。敢えて喩えるなら、中国人の書いた日本を舞台にした小説の翻訳が欧州で大ヒットして、聖地巡礼の客が法隆寺に引きも切らないというくらい。
 幸いというか強かというか、ベルギー人は半ばそのことについて正しい理解を求めることを放棄して、日本人に対して大らかに対応しているように見えましたが、どこかで誤解は糺すべきなのかも知れないと思わないでもない、些か考えさせられる作品でした。


2008年4月23日(水曜日)
 一杯本を買い込んで読み耽っていたら、日記を書く時間が無くなった。
 まあ、こんな日もあらぁな。

2008年4月24日(木曜日)
 「「三丁目の夕日」を現実に 舞台の東京・港区が事業 昭和の懐かしい街並み」とかいう記事を見て、人間の忘却能力のことを考える。
 昭和三十年代といえば四日市喘息などの公害が表面化した頃であり、そして公害規制が殆どなかった最後の時代です(公害対策基本法の成立は昭和42年)。大気も水も大地も汚されまくり、昭和39年のオリンピックに向けて東京は大建設ラッシュ。現在問題になっている石綿だって盛大に使われていました。
 犯罪状況も凄まじく、法務省の昭和35年版犯罪白書によれば昭和34年の殺人事件の発生件数は2,683件。ちなみに平成18年の殺人の発生件数は1309件。半分以下です。特にコメントしませんが、強姦は6,140件(S34)→1,948件(H18)です。強盗が5,192件(S34)→5,108件(H18)とほぼ横這いですが、実はこれは1997年以降“強盗”の基準が変更され、それまで“窃盗”であったものが“強盗”に繰り込まれたことなどがあります(殺人や強姦は基準が変更しにくい)。
 大阪のあいりん地区では暴動がひきもきらず、34年、35年は安保鬪争で学生が国会に押し寄せて樺美智子が圧死、炭鉱では三井三池争議が勃発していました。
 これらを再現するとなると、なかなか凄まじいものになるだろうな。
 ともあれ、記事に言う“昭和三十年代の日本”というのは団塊世代の想い出の中で美化された、一種の別世界の話なんでしょうな。

 先日サイバーダイン社がHALの量産工場を建てると記事になっていましたが、一方でホンダも「歩行アシスト」なるものを作っているそうで。
 母が事故で骨盤やってるんで、こう言うやつはちょっと気になりますね。将来的に使うようになるかもしれない。


2008年4月25日(金曜日)
 自由の国フランスから「「ナチス占領下の陽気なパリ市民」写真展に非難の嵐という腐乱臭漂うニュース。
 問題の展覧会について私は何も意見を言うべき立場にはないのですが、歴史学徒として、フランス市民の反応は実に硬直的だと思います。
 フランスの正史に於いては、ナチ占領下のフランスではド・ゴール率いる自由フランスに導かれ、レジスタンス運動が各地で展開され、不服従が貫かれたことになっているのは存じていますが、それは正史であって、言ってしまえば神話・伝承の類です。日本史で言えば「15年戦争はA級戦犯たちが起こした」と主張するくらいには荒唐無稽です。
 実際にはナチに積極的に協力した人たちも少なからずいましたし、消極的な協力者は遙かに多かったでしょう。戦後積極的な協力者を吊るし上げて「禊ぎ」が終わったことになっていることも存じていますけど。
 私に言わせれば、ナチ占領下のパリで“平穏な日常”を送った人たちがいたこともまた事実であると思います。そこに笑顏があっても、なんの不思議もないではないですか。
 誰もがシモーヌ・ヴェイユのように死ねるわけではないのですよ。

2008年4月26日(土曜日)
 エクストリーム・聖火リレー長野ステージは思わぬ低得点に終わったそうな。

 昨夜、NASが突如警告音を上げてシャットダウンした。
 総毛立つ恐怖っ。
 再起動してからガリガリとジャーナリングを起こしている音。
 何事もなかったかのように再起動。
 うーん……。

 最近の硫化水素自殺について。
 にも書いたけど、WHOによる「PREVENTING SUICIDE A RESOURCE FOR MEDIA PROFESSIONALS」を真剣に検討すべきだと思う。


2008年4月27日(日曜日)
 HDDの価格を見に秋葉原へ出たら、なんじゃこの人出は?
 知らない間に秋葉原の観光地化が進み、どうやら休日ともなると行楽客で賑わうようになってしまったらしい。
 マハーポーシャがチラシを配っていた頃が懐かしヨ……。

 青山学院大学アレについて。
 大学長が謝罪とかいう事態に陥っているようですが、ご本人は雲隠れの様子。
 でもこの人、炎上はこれが初めてじゃなかった気がするけど。
 著書の実践でもやってんのかね。

 山口の衆院補選は民主党が取ったか。
 福田首相の低支持率に歯止めがかからないのはともかく、民主党もそれほど伸びてないんだけどねぇ。


2008年4月28日(月曜日)
 明日休日?とか思っちゃって、嗚呼、昭和は遠くになりにけり、と。
 そりゃそうだ。もう20年も前に終わったんだもんな……。

 十和田湖でH5型鳥インフルエンザ検出。
 要注意、経過観察。

 そういえば今年も痲疹が流行の兆しを見せているらしい(昨年1,2,3,4,5)。
 果たして昨年の轍を踏むや踏まざるや。医療機関の準備状態については識者に期待。


2008年4月29日(火曜日)
 昭和節。

 十和田湖の鳥インフルエンザは強毒性だった模様。
 家禽への感染防止対策へ。

 国連安保理に、ソマリア沖の海賊問題への対応を求める決議案が提出されたそうな。
 当該海域での武力行使を含む対策を講じるよう、各国に促すそうですが、日本が果たすべき役割も小さくないでしょうね。


2008年4月30日(水曜日)
 かくして4月は終われり。

 「硫化水素の自殺法「有害情報」指定へ 警察庁、削除促すという記事を読んで、憤慨する。
 行政が「あれは有害」「これは有害じゃない」と決めつけて情報を統制し始めれば、行き着くところは言論封殺でしょうよ。化学の教科書や学会誌も規制するかね?
 勿論、硫化水素による自殺を推奨するような言動はもとより慎まねばなりませんが、それは権力によって押しつけられるものであってはいけないのです。この点、メディアがWHO勧告などを真剣に検討せず、情報を垂れ流し続けてきたことが、自身の首を絞めることになるわけです。
 ついでに言えば、硫化水素を生成させる手法についての情報を規制しても、本当に死にたい人は練炭でもロープでも使って自殺するでしょうから、自殺の抑止とするには些か效果が弱いと思います。副作用が激甚である割には、效果が期待できない悪令の類であろうと思います。

 毎日新聞の「読めば読むほど:ルビめぐる葛藤を読んで考える。
 最後の小噺的なオチはともかく、どこまでルビを振るかは、執筆者・編集者にとって常に悩ましい問題だ。読めるか、読めないか、に加えて、読んで欲しい、といった願望まで絡む。
 しかしそれはともかくとして、新聞という媒体の特質を考えれば、総ルビへの移行が望ましいのではないかと思わなくもない。今後外国人労働者が増えれば特に、ルビは教育的見地からもあった方が良いだろう。