哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2004年12月分

Caution!
このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、並びにパーソナルメディア社は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

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2004年12月1日(水曜日)
 12月ともなりますと、商店ではエンドレスクリスマスソング状態になってしまって、ついついメロディーに合わせて口ずさんでしまったり。
♪Away in a Manger, no crib for a bet〜
だとか
♪You better watch out, You better not cry〜
とかとか、
♪Dashing through the snow, In a one horse Open sleigh〜
とか。
 でも最近だと、下手に口ずさもうものなら、「著作権法違反だ、御用だ!」とか言って捕まりそうだもんなぁ。
 しかし、子供の頃に英語で覚えてしまった曲って、どうやっても日本語では出てこないんだよな、不思議不思議。

2004年12月2日(木曜日)
 AZOZ blogに「PETAが極秘撮影した"牛の大量殺戮現場"の動画が公開される」ってニュースがあって、「またかPETAか」と。
 記事にもあるんですが、以前KFCの下請け養鷄場での屠殺方法が非人道的だとかで告発したことがあります。
 屠殺方法に人道も非人道もあるまいにとは思いますな。食肉ですから、衛生的か非衛生的かというのなら理解できますけど。
 理解不能なPETAの主張はともかく、槍玉に挙げられたAgriProcessor社がNew York Times紙に対して「ユダヤの法律では事前に牛を気絶させる事を禁じている」と述べたというのが面白いですね。日本人にはあまり縁がありませんが、ユダヤ教には「カシュルート(Kashrut)」と言う食事・食物に関する戒律があります。カシュルートに沿った食べ物のことを「カシュル(Koshr)」と言って、PETAの主張はこのカシュルにいちゃもんを付けた形になったと、New York Timesでも見出しになっていました。
 カシュルートの中には肉類について、その適切な処置方法が定められており、この屠殺方法を習得した人をショヘートと言います。ざっくばらんには、頸動脈を一刀の元に切り裂いて殺し、充分に血拔きをすること、となります。
 大雑把なところは旧約聖書のレビ記11章を読むと、あれは食ってはいかんとかこれは食ってもよいとか、色々書いてありますので一度読んでおくとよいでしょう。血が不可というのもここに書いてあります。細かい部分はタルムードを参照すると書いてあるそうです。私もタルムードはきちんと読んだことないもんで(だって日本語に完訳されてないんだもん)。
 まあ、実際にイスラエル在住のユダヤ人でも厳格に守っている人は聖職者かよほど敬謙な人だとは聞きますが、それでも食習慣的に豚は食べなかったり肉類と乳製品を食卓に並べないといったレベルの禁忌ではあります。
 件の動物愛護団体の人達が結果的にカシュルートにケチを付けた形になったのは、他人事だけに隨分笑えます。正義と正義のぶつかりあいです。片や人道、片や宗教を持ちだして己の正義を貫かんと、馬鹿馬鹿しいまでの鬪争を繰り広げることになるのではないかと。
 馬鹿はいいのですが、傍観者としては他山之石としたいところです。知ってりゃ起こさずに済むトラブルってありますからね。

 宗教との対立、というと、米国のGallup Organizationから「Third of Americans Say Evidence Has Supported Darwin's Evolution Theory」なんて世論調査が出てましたね。米国でダーウィン進化論を信じる人は1/3、という話なんですが、最初この記事を見たときは「“ダーウィンの”と限定したらそれでもいいかも」と思ったんですよ。今は色んな進化論がありますのでね(もちろん、必ずしもダーウィニズムと対立するわけではなく、多くは相補関係にあるのですが)。しかし調査報告全文を読むと、笑ってばかりもいられないかなぁと。
 適応と選択による自然淘汰がダーウィニズムの根幹で、この部分については科学的には殆ど疑問の余地はありません。問題は進化の方法論で、ダーウィンが「種の起源」を著した頃には遺伝子もDNAも知られていなかったので、その辺はどーしょーもないことで、最新の科学で補っていく必要はあります。つまり「ダーウィンの」という限定の範囲によっては、私ですら「それはちょっとね」と思うところはあるんですよ。
 現在では突然変異やらウィルスによる遺伝子の書き換えやら摂取による混淆まで、ありとあらゆる原因が挙げられているので、どれが発現し、どれが選択されるかなど、それこそ「神のみぞ知る」ってものですな(笑)。
 そういう充分な科学的知識に基づいて答えを選択しているなら良いのですが、何しろ
Just your opinion, do you think that Charles Darwin's theory of evolution is —

  1. a scientific theory that has been well-supported by evidence
  2. just one of many theories and one that has not been well-supported by evidence
  3. don't you know enough about it to say
という設問で、1.が35%、2.が35%、3.が29%ですよ(無回答1%)。1.か2.を選択的に選んだ人はまあ良いとしましょうや。別に2.が科学的でなかったとしても、何らかの思想的あるいは宗教的信条に基づいているんであれば無碍にすることもないんでね。でも3.つまり「よくわかんないので答えられない」が3割いるってのはどうなってんのよ?
 両方教えて好きな方を取らせれればいいじゃん、と思うのよ。鱠を吹いて「よくわかんない」馬鹿を生み出す方が問題だと思うけどねぇ…。
 で、設問その2がもっと凄い。
Which of the following statements comes closest to your views on the origin and development of human beings —
  1. Human beings have developed over millions of years from less advanced forms of life, but God guided this process
  2. Human beings have developed over millions of years from less advanced forms of life, but God had no part in this process
  3. God created human beings pretty much in their present form at one time within the last 10,000 years or so
で、1.が38%、2.が13%、3.が45%……!(無回答4%)
 「Human being」が「HOMO SAPIENS SAPIENS(現代人)」だけのことを指すのか、それとも「HOMO」属を指すのか、それ以前の原人猿人を含むのかという定義の問題はありそうですが、それでも3.はねーだろーよ。「HOMO SAPIENS SAPIENS」だけでも4万年は確実って言われてる御時世に……。
 キリスト教と現代科学って相容れないものなんだろうかと思ってしまいますわな。こんな社会だと、科学的知見を持てる人間ってのは、ある種異端者になるんじゃないでしょうか。私などのように科学的常識が脳内の大部分を占める人間には生きにくい社会のような気がします。
 力尽きそうですが、第3の設問に逝き行きます。
Which of the following statements comes closest to describing your views about the Bible —
  1. the Bible is the actual word of God and is to be taken literally, word for word
  2. the Bible is the inspired word of God but not everything in it should be taken literally
  3. the Bible is an ancient book of fables, legends, history, and moral precepts recorded by man
 1.が34%、2.が48%、3.が15%、無回答3%。
 ……キリスト教が主要宗教の国だからこんな結果なんですかねぇ。でも日本で「般若心経に書いてあることは本当だと思いますか?」とか設問作ったら、どんな結果になるでしょうかね。「知らねーよそんなの!」とか言われて終わりかなぁ(普通の人は般若心経の訳文なんて読まんか)。「悟りを開けば一切の苦痛から解放される」というのが大体の意味なんですが(まあ仏教だし)、悟りを開いたら幸せも無くなるような気はしますなっ(爆)。
 言っておきますが、科学が全てだと思うのは危険です。似非科学に捉まる人は、科学万能論者であることが多いです。科学には限界もあれば分からないこともあります。しかし現在最も広く客観的(間主観的)に成立する観念は科学しかないのですよ。その立脚点と方法論と歴史と経緯と問題を知悉することだけが、次への階梯へ進む道だと私ゃ思ってます。

2004年12月3日(金曜日)
 毎年恒例のFTRON忘年会の申込は、FTRON「伝言板」、もしくはSYSOPのリチャード・王さんへ直メールで。
 申込は12/10までとなっとります。

 愛知万博トヨタパビリオンで公開される搭乗歩行型ロボット「i-foot」が報道に対して公開されたとかで、写真が載ってましたね。いいなぁ、あれ。ガワつけて腕つけたらがんばれ!!ロボコンみたいじゃん。
 まだトヨタのページには情報がないんですけど、コンセプトにしても楽しくて笑えるよ。


2004年12月4日(土曜日)
 office氏の裁判の第5回公判の傍聴録が「ちせのぺーじ@せきゅりてぃ」にあったのでざっと眺めてみた。
 うーん。
 なんというか、こう、「大丈夫なんか、この裁判?」っていう思いがまず先に立ちますね。裁判長裁判官である青柳勤裁判官は刑事畑の人ですが、コンピュータ関係に詳しいようには見えません。担当検事も多分そうです。弁護士も怪しい。この公判で証人として呼ばれた篠田陽一北陸先端科学技術大学院大学教授の説明を理解できたんだろうか。
 そもそもの不正アクセス禁止法の条文がかなり怪しいって点があるんですが、これについては法案を提出した官僚も、審議した国会議員も、よくよく理解していなかったのではないかとの疑いはあります。
 公判中で篠田陽一教授が“特定電子計算機とはサービスを提供するプロセス(群)であると解釈しないと矛盾を生じる”旨を発言しているのは全くもって尤もな話で、この際物理的なコンピュータ装置一式を指してしまうとえらい騒ぎになってしまいます。下手をすると、殆どのhttpアクセスが不正アクセスになりかねません(笑)。この辺のことはそれ程コンピュータに詳しくない私でも理解できる範囲のことなのですが、どうも傍聴記録を見ていると理解されていないらしく。
 私ゃoffce氏のやったことについては、間違いであったろうとは思うのですが、不正アクセス禁止法で裁くのもどうかと思っています。
 かくしてこの裁判の行方を興味深く見守ってはいるのですが、果たして判決文がまともなものになるのかどうか、非常に不安です。

 人民日報日文版より「対中円借款停止の議論について回答 外交部報道官という報道が。
 ここでいう「対中円借款」というのはODAのことであろうと思われますが、これに歴史を持ち出すとはいい根性ですなぁ(笑)。以前化学兵器の処理費用についても中国国内で「賠償」と報道していたことを採り上げたことがあるんですが、中国は対内的に日本からの供与や援助を、ことごとく「賠償」と説明しているのでしょうか。
 そういうことやってるから、対中感情が悪くなっていくんでしょうが……。


2004年12月5日(日曜日)
 先週に引き続いて、羽村へ。
 颱風一過(?)なのか晴れ渡った空に、最終的に「夏日」を宣言される陽気の中、てくてくと駅から歩くこと20分。玉川上水を越える。上着なんかいらねーじゃん……。
 先週は別件で出かけたところ現地で突然PCの面倒を見ることになって手も足も出なかったので、出直し再戦だったりする。とはいえ、準備といってもアップデータ他を焼いたCDを持っていったくらいなんですが。
 XP SP2のパッチ当てから始まって3時間コースでした。往復の時間入れると6時間か!(爆)
 「「仕事でパソコン、家でもパソコン」——IT技術者が悲鳴」なんて記事を思い出したり。
 いや、俺ぁ技術者じゃないけどな。

# 念のため書いとくと、友人や親戚のトラブルシュートが嫌なわけじゃない。どっちかというと、そーゆーロクでもない商品を平気で売りつけている連中の方が嫌なわけ!


2004年12月6日(月曜日)
 ああ……中期防は財務省案が通りそうだというニュースが。
 恐ろしい…なんて恐ろしいことだ……。
 中韓両国が軍拡に走っていて、中国に至っては威嚇行動まで起こしているような最中に軍縮だなんて……この国のトップは頭がイカレてるんじゃないか?
 日本の国情を考えたら、軍備なんて今の倍でも足りないくらいなんだけどなぁ……。少なくとも、周辺国が軍事的野心を抱かない程度の軍事力は必要なんだけど、政治家には説明能力がなく、財務官僚はソビエト崩壊(何年前の話だよ)を盾に軍縮に精を出すわけですか。憲法改正して正式に軍隊持つしかないのか?
 大学の基礎教養に防衛学とか組み込んでくれないものか。

 ちなみに、日本の軍事費は額面では世界5位ですが、経済規模比でいうと138位ですな。すぐ上にスイスがいますが、国の規模とスイスには海軍がないことを考えると(だって海ねーもん)、日本が異様に低いことがお分かりいただけると思います。
 異様に低い軍事力が周辺国に余計な軍事的野心を抱かせることもあるんですから、その辺気をつけて欲しいです。

 なんか先日も似たような話をしたんですけど、こんどはNewsweek誌で「聖書の内容を信じるか?」みたいな世論調査をやったようです。
 別に67%の人が聖母マリアの処女懐胎を信じていても別に一向に構いはしないのですが、なんというか「幸せな人達が多いのね」って感想を抱きました。でも僕はそんな幸せな国では生きていけません。
 多分、戦前の日本も似たような状況だったのではないかと思いますが、そう思うと、現代日本で生まれたことを感謝したくなりますね


2004年12月7日(火曜日)
 TRONSHOW 2005初日。
 会場が地下と七階ってのはいくらなんでも離れ過ぎではないでしょうか……。
 展示そのものには技術職でもない私が興をそそられる道理もなく、13時からの「オープニングセッション」が最大の楽しみでした。
 しかし、13時スタート17時終了の「オープニングセッション」って何よとは思いますなっ(笑)。
 内容は、月に一度は坂村先生の講演を聞いている身としては、さして目新しいものもなく。
 第2幕以降の、ゲストを招聘してのトークセッションは、坂村節が炸裂してましたね。少々の前後の矛盾なんて気にしなーい(笑)。だってT-Engine Forumは「みんななかよし」だからー(壊)。
 順風満帆だからか、体制や社会に対して言いたい放題ですね。今が華よ、今が。
 あー面白かった。
 で、明日は午前中だけセッションのために会場入りの予定。

 電撃の配本日だったので、TRONSHOWが跳ねた後、飯を漁りに行く駄目人間ズと別れて単独行動。神保町で12冊ほどと、富士見ミステリーを1冊だけ。電撃は「マージナル・ブルー 空曜日の神様」が見つけられなかったし、富士見はそもそも全部揃ってなかったなぁ。
 それと、ハヤカワの新しいコミック文庫で、ふくやまけいこの「東京物語」が再刊されたので購入。大都社版を持っているので購入する気はなかったのですが、書き下ろしと未収録作があったので敢え無く陥落。


2004年12月8日(水曜日)
 TRONSHOW 2005二日目。
 朝会場入りすると、いきなり大名行列と正面衝突しそうになって、慌てて方向転換。先生と目を合わせると何をさせられるかわからない。三十六計逃げるにしかず。
 B2シアターに入って「TRON多文字応用グループの活動」を待っていたら、講師の松為さんに発見される。
「小熊さん、聞くことないんじゃありません?」
 そんなことはないでしょう。よく分かりませんが(爆)。多分新しい知見はあったような気がします。

 TRONSHOWからの帰りに今日も神保町へ。
 昨日手に入れられなかった本を漁書。

 対照的ともいえる二つの記事がありました。
 一つは毎日インタラクティブからで「携帯端末:本や新聞を読む時代が来るのか」。
 もう一つはHotwiredから「若年層のネット移行で、紙媒体の新聞・雑誌が絶滅する?」です。
 毎日の記事は、記事の送り手たる新聞社側からの見方を表していて、後者のHotWiredの記事は読み手に焦点が当たっています。結果的に前者では「紙は絶対になくならない」と書き、後者では「印刷メディアは姿を消すだろう」と書かれているわけです。どちらの記事が正しいか、については余り興味がありません。ただ、前者の記事を見るにつけ、私が文藝家協会に勤めていた2002年時分から新聞各社の姿勢が基本的に変化していないのだと確認するばかりです。
 そのうち新聞社は、「新聞紙面は全体として一個の著作物だ。個別の記事を独立して読むのは著作権法違反の疑いがある」とか言い出すんじゃないでしょうかね。
 読み手側の意識も行動も変化しているのに、送り手側が旧態依然とした様式に拘っているわけで、このままでは誰もが不幸になる結末が招来されるのではないかと、些かならず不安に思います。
 Hotwiredの記事を一読すれば瞭然ですが、かつては新聞紙面を取捨選択するくらいしか選択の余地がなかったニュースの受け手は、現在より能動的な方法で記事を收集し、採読し、考察し、時には再発信します。記事は単品でバラ売りされ、その質が問われます。紙面の組版という制約による記事の長さの制約もなければ、新聞社側の都合による見出しの大小も関係ありません。ネット側の読者は自らの興味のあるニュースのより詳細な記事を求め、それに応じるサイトがアクセスを増やすわけです。
 現状問題は、このアクセスに対して料金を課金する方法がないことであり、またそれに呼応する必要を新聞社側が感じていないことではないでしょうか。折角のインタラクティブメディアなのに、それを活かしきれていない苦悶が見え隠れします。
 今はまだ、Hotwiredが報じるようなニュースリーダーは少数派かもしれません。しかし世代交替が進むにつれて、「ニュースはタダ」という観念が成立した時、既存のニュースメディアはどのような方法で生き残っていられるのか、実に難しい問題だと思います。


2004年12月9日(木曜日)
 TRONSHOW 2005最終日。
 最後のシアターセッションで、ふと隣を見たらH32さんがいた。ゆざさんもいたしな(笑)。
 シアターが終わった後に、三日間、坂村先生と出会わないように逃げ回っていた話をしたら、H32さんが「あと15分あるよ。時効直前で捕まる犯人だっているんだし」と不吉な言葉を。
 B会場を出たところで怪しいπちゃんと遭遇。怪しい荷物を抱えて怪しげなデンパをゆんゆんトバしていた。そして閉会7分前。πちゃんと喋っているところに坂村先生登場!
 なんてこった! 最後の最後の最後に捕まっちまったーッ!
 しかし急いでいた坂村先生は「また今度な!」と言い残して風のように去っていったのでありました。ふう。

 TRONSHOWが跳ねた後、東京シューレへ。
 毎回肩書きが違う人、と言われてしまった。でもそれって俺のせいじゃないよね(そうか……?)。


2004年12月10日(金曜日) part 1
 NIFTY TRON FAN FORUM忘年会受付けは本日まで。

2004年12月10日(金曜日) part 2
 TRONSHOW 2005の雑感など。
 BTRON Clubなどでお馴染、BTRONファンの最長老ことI原さんが、オープニングを含むセッションに登録していないと聞いて、びっくり。理由が「携帯から登録できないから」と聞いて、二度びっくり。私ゃケータイを持っていない人間なので気付かなかったのですが、どうやらTRONSHOWの参加登録はケータイからはできなかったらしい。
 もう一つ、関係者でこの人を知らぬ人はモグリとまで言われるかもしれないPhinlodaさんが、自身のblogで「アンケートに何度も同じことを書かされるという現実」と書いていて、深く賛同。
 実際のタグは写真のようなもので、長さ約7cm、幅1.2cmってところ。厚さは約3mm。中には日立μチップが入っております。受付で、受付け番号を人間が読み取ってテンキーから入力して、このタグを配っておりましたよ。確か去年はWeb上に表示されるQRコードを印刷して持って行くんじゃありませんでしたっけぇ〜(退化してる?)。会期も終わったし、暇があったらタグを腑分けしてみようっと。
 今年は会期が平日ということもあって、展示の方が実に閑散としていましたね。でも“大名行列”の多さは目に着きまして、坂村先生も越塚先生も案内に忙しそうでした。まあ、“大名行列”が多いってことはそれだけお偉いさんたちが足を運んでいるってことだから、一概に悪いことじゃないんだよな。注目されている時にこそ、売り込まねばならないというのはTRONが20年の中で学んだことの一つだろうし
 問題は、陽が当たらなくなったときに地道に研究開発を続けられるか、ってところなんだよなぁ

 昨日遭遇したと思ったら、やっぱり今日呼出しを喰らった。


2004年12月11日(土曜日)
 あー。なんだか北の国に経済制裁をしろと喚いている連中が多いんですが、本気でしょうか? いや、別に私ゃいいんですよ。どっちかといえば武力で潰しちまった方がそろそろ損得で得になるんじゃないかって考えているくらいなんで。ただ、その後の問題をどう片付けるか頭が痛い、と思っていますが。
 既に北は「経済制裁は宣戦布告とみなす」と言っているわけで、日本側としても戦争突入を覚悟の上で行うということになるのですが、その辺わかってんのかねぇ。被害者の家族も、議員さんたちも。
 その割にはイラクへの自衛隊派遣延長とか、やってることがちぐはぐだと思うけど。経済制裁の発動前には、自衛隊に万全の体制を取らせるのが為政者の義務だろうから、海外に派遣中の自衛隊などはそれこそ全部呼び戻しておかにゃならんと思うのですが。
 だって、戦争する気なんでしょ? まさかこの国に生まれて、「経済制裁が武力侵攻を招くとは思わなかった」なんて言えないよねぇ。ABCD包囲網という名の経済制裁に締め上げられて真珠湾を奇襲したのは、僅か63年前のことだもんねぇ。

 BBC発「We will be able to live to 1,000」。
 なんかものごっつぅ怪しい風体のドクトルが「人間は近い将来1,000歳まで生きられるようになる!」とか言ってるんですけど、その予想の当否はともかく、何の抵抗もなくこういうことを喋れるっていう精神構造が凄いよ。やはり科学者たるもの、こうでなくっちゃ。
 言うまでもないんですが、寿命が1,000歳まで伸びた日にゃ、人口問題、食糧問題、エネルギー問題なんぞであっという間に火達磨状態になりますな。経済・社会システムも大幅な変更を余儀なくされるでしょう。
 それでも人間「できる」ことを実現してこなかったためしがないので、こういう超楽観的な科学者なりなんなりが実現しちゃうんだろうなぁ。


2004年12月12日(日曜日)
 アキバに寄ってコミケカタログなんぞ購入しつつ、阿佐ヶ谷へ向かう。NIFTY TRON FAN FORUMの忘年会へ。ほぼ定時に現着してみたらほぼ全員が既に揃っていて、おかしいなと思って時間を確認してみたら、腕時計が10分ほど遅れていました。
 ゼンマイ時計め。
 トルコ料理なんぞ頬張りながら余人には理解できない会話が飛び交い、店の人からは「何の集まりなんですか?」と訊かれる始末。人外の饗宴に引いておられたのではないかと思われ。
 3時間ほど飲めや歌えの乱痴気騒ぎ(大袈裟)を繰り広げ、その後、ルノアールに河岸を移して二次会(?)。アルコールなし、煙草なしって辺りが健康的ですなぁ(笑)。

 雑談の中で出た話題で、スペースコロニーが実現化したら、主要産業は農業になるだろうという話が。
 宇宙には資源がないので(空気も水もないがな)、最も手軽な産業は空気と水と光があればなんとかなってしまう農業なんだよなぁと。水(=酸素と水素)については彗星を長期計画でトラップすることによって確保できるけど、鉱業資源は宇宙では全くといっていいほど手に入らない。月にも鉱物資源はあるけどそれはあるというだけで、鉱脈をなしていないので、採掘は絶望的なほど効率が悪くなるはず。アステロイドベルトから有望そうな小惑星を見つけ出して採掘するなんてのは、冗談みたいな話だし。地球上のように、異様に含有率の高い鉱脈なんてものは、宇宙にはない
 となれば、当面農業で食い繋ぐことになるだろうなぁと。
 しかしそれはそれで、オニール型コロニーの内側に延々続く稲穂の群れってのも、壮観な光景ではあるんだよな(笑)。
 北米大陸の地下水が渇水でもしないかぎり、地上の農作物と価格競争ができるとは思えないのだけれども。

 明日は坂村城に出仕の日。


2004年12月13日(月曜日)
 坂村城に出仕の日。
 晴れていたので自転車でGo! 片道23kmくらいを1時間20分ほどかけて。今回道を把握したので、次回はもうちょっと早く着くかもしれない。

 はい?
 ていうか、超漢字全体を一つのアプリだと思って使えばいいんちゃう? 巨大なアイデアプロセッサみたいなもんじゃん。
 ごちゃごちゃした内容の調査とか研究とかを手ぇ付けたところから片付けて実身にしといて、最後にまとめて実身仮身ネットワークにして提出〜、って感じで使ってます(これだと図表の再利用もすごく楽だし)。文字とか図形とか仮身とか、データ形式を考えなくていいのが楽です。手軽ですし。もっとも、WordとExcelとPowerPointでも同じようなことはできると思うのですが……昔やろうとしたらOLEがどうこうとか訊かれて、なんか知らんけどディスクアクセスしっぱなしになったなぁ。でも今なら主記憶も仮想記憶も外部記憶も逝ぬほどあるから、もしかしたら快適に動くのかも知れない。
 個人的にはユビ研の仕事は基本的に超漢字上でやっているので、提出物も全部TADで、開いた仮身などでハイパーリンクしまくった文書を提出していたりします。果たして受け取った側は全部のドキュメントを読んでいるでしょうか……。


2004年12月14日(火曜日)
 プロ野球関連の話題をいくつか。

 ジャイアンツの球団代表特別補佐に長嶋一茂氏が就任したよし。
 一茂氏ってのは選手時代から結構不遇な人でねぇ、個人的には平均は満たしていた選手だと思っていたけど、とにかく親の後光が邪魔になった人という印象が強い。何しろ僕の世代は長嶋茂雄のプレーを直に見たことはないので、彼に何をそれ程強く求めているのか、理解し難いものがあった。プロ野球選手としてみた時に、あんな年で引退するような選手じゃなかったんじゃないかなぁという思いはある。
 その後はタレント活動の方に行ってしまって、阪神タイガースのユニフォームを着たりしていたわけですが、指導者としての資質が試されることはなかった。まあ、多分幸いなことなんだろう。
 此度、球団代表特別補佐という職に補されたわけですが、とりあえず現状は海のものとも山のものともつかない人選という気がします。まあ、あまり期待せずに見守りたいです。

 さて、近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併に伴って、新球団オリックスバファローズに確保された旧近鉄の岩隈投手が、オリックスバファローズではなく楽天ゴールデンイーグルスへ行きたいと言っている問題について、パシフィックリーグ会長が2005年一年はオリックスでプレーして、来シーズンオフに移籍を話し合いたい旨を発言しました。
 個人的にはさっさと移籍させた方がいいと思いますけどね。やる気のない選手なんて有害無益でしょ。下手したら、成績を落としかねないし、それがチーム成績にも直結しちゃうんだから。士気を維持するのも球団運営側の仕事の一つなんだから、インセンティブなりなんなりで岩隈のやる気を引き出せないというのであれば、トレードなりなんなりを認める方が良いでしょうよ。それでもし他の選手も雪崩を打つようであれば、この合併話が最初から選手の支持を受けていなかったということで、それはそれで上層部の責任なわけだしね。
 まあ、世の中には業績悪化は社員が働かないからだと言い切った人もいましたけどね、昔……。


2004年12月15日(水曜日)
 スイスのチューリッヒ発ロイター電で、「Swiss train upheaval runs like clockworkなんてニュースがありました。1982年以来の時刻表改訂にも拘らず、スイスの鉄道は時計のように正確だ、という記事なんですが……そんなもんがニュースになるんだったら、年に2回の定期改訂に加えて季節ごとの臨時列車は当たり前、イベントに合わせた特別列車の編成まで「日常茶飯事」という日本の鉄道は、毎日が号外ですな(笑)。
 こんな記事がロイターに掲載されるってことは、日本国外に於いては鉄道などというものは定時に運行されないのが当たり前であり、スイスや日本が特殊なのだということが分かります。
 そういえば、もう何年も前になりますが、ブラジル移民の伯父が数十年振りだかでに来日した際、新幹線の指定席を取っていたのに列車を乗り間違えたことがありました。伯父が言うには、ホームに行ったら列車がいたから乗ったとのことで、そんな分単位で新幹線が走っているなんて思いもよらなかったとのことでした。多分、そんなもんなんでしょう。
 もっとも、彼を標準的な日系ブラジル移民とすることには、関係各方面から異論が噴出しそうではありますがね……。

 スクールランブルの7巻が出てたんですが……この作品って、どこから来てどこへ行くのか、本当に見えない作品ですよね…。

 本田技研ASIMO新型になりました。3km/hで走ることができるようになったと言っていますが、個人的には腰回転軸の追加がトピックかと思いました。
 歩行の動画を見ているとわかるのですが、足運びとは逆に上半身を振って慣性モーメントを打ち消しながら歩いています(いわゆる逆足歩行)。腰関節を採り入れたのはP3改の頃でASIMOの発表と同じ頃だった記憶があるので、隨分時間がかかったなぁ。それだけ難しかったってことでしょうけども。
 しかし本当にこのまま昔考えた「現実世界へのアクチュエイタ」って方向に進まないかなぁ。
 個人的には「ヒューマノイド・アクチュエイタ構想」って呼んでるんだけど、例えば坂村先生のPAPIみたいに最初からアクチュエイタを組み込んだ住宅ならともかく、一般の住宅をあと付けで電脳住宅にしようと思えば、センサーネットワークとサーバコンピュータはどうにかなったとしても、アクチュエイタは簡単にはいかない。そこで、人型ロボットであるASIMOを動かし、暑くなったら窓を開け、雨が降ったら窓を閉め、連絡があれば風呂を焚き、電灯を燈して回らせる。
 なんか4年前から言っていることに進歩がないのは、私の頭が進歩していないのか、世間様が進歩していないのか、一体どっちなんだろうねぇ……。


2004年12月16日(木曜日)
 富士見ファンタジアの新刊を4冊ほど。そういえば昨日はスーパーダッシュの新刊を1冊買っていたっけ。星界の戦旗の新刊は、早ければ明日かなぁ?

 なんかライブドアのホリエモンが「早ければ3年以内、遅くとも5年以内に民間企業による有人宇宙飛行の実現を目指す」とか言ってますねぇ……。商売になるのかどうかが難しいところですよ。民間企業、それも製造業でもないサービス業者がこういった分野に参入してくる時代になったんですね。もっと宇宙へ近付きたいと思っている人間からすると、もうちょっと国が後押ししてくれないものかと思わなくもないところです。

 中国と日本の関係が冷却化してますね……。何事もなければいいのですが。


2004年12月17日(金曜日)
 ファミ通文庫を5冊ほど。

 当初予定通り、地底へ行ってきました。
 4月にも行った「TOKYO GEO-SITE PROJECT」の第3弾です。レポート書いたら疲れたよ。
 明日は銀座のSONYビルQRIOでも見に行こうかなぁ。


2004年12月18日(土曜日)
 と、いうわけで、銀座のSONYビルQRIOを見に行きました。試作段階のSDR-3は初公開じゃないかな?
 運動プログラムの方も進化を続けているらしく、ダンスで腕を振り回して生まれたモーメントを膝で吸収していたりと、見方によってはとても興味深いものでした。新しい歩行も見れたし。
 個人的にはやはり「爪先」を持たせて欲しいなぁ。そうすればもうちょっと歩き方の自由度が上げられるんだけど。
 会場で流されていた各種ビデオは、どれもこれもとても興味深いものでした。
 耐久試験といって昼夜兼行でひたすら歩き続けるQRIOとか(笑)、対衝撃試験といってばたばた倒されるQRIOなんかは、ロボットの悲哀を感じさせられました(嘘)。来るべきQRIO労組結成の暁には、きっと「僕らはこんな酷い扱いを受けてきたんだ」と証拠物件になるでしょう。指の部品の展示があったりして、五指が全部別々に動くんだねぇと感心してみたり。
 インドの学生を相手のイベントは、インド人学生の反応が楽しくて。“インド人もびっくり”とはこのことか(爆)。
 個人的に、とても欲しいのが、QRIOのダンスを收めたDVD。結構いい感じで売れると思うんだけどなぁ……。

2004年12月20日(月曜日) part 1
 川口某所で打合わせ兼忘年会が午前2時まで。帰り際には細雨降ってたよ。寒ぃ。

 やっぱり一流の危機管理ってのは、「危機的状況にそもそも陥らない」であって、「危機的状況に陥ったのを手際よく立て直す」ってのは二流の仕事だよな。そういう点では私ってどーしよーもなく二流であって、一流になりたいと思いつつも果たせない自分に苛立つものがあったりなかったり。「小熊さん大活躍」って誉めそやされるのは困り者で、「給料泥棒だねぇ」って言われるのが理想なわけじゃないですか。
 理想通りに進む物事なんてないって思ってるから、何かあったときのことを考えて準備しておいたり頭の中で予行演習を繰り返したり策を講じておいたりするわけですけど、全てが無駄に終われば此れ幸い、出番がなければ万々歳、お役御免は無上の喜びってもんですな。速やかに隠居すべし、ですよ。役立たずでありたいと望む自分がいて、それを果たせず不本意ながら力を発揮してしまい、さらにそれが喜ばれるってのは、心理的には重いよなぁ。
 自分の仕事が無くなることに全力を傾ける仕事ってのもどうかとは思うのですが、でもまあ、それが世間様の幸せのためなんだからしょーがないよねー。

 こんなこと書いてると、また友人たちからツッコミを喰らいそうですが……。


2004年12月20日(月曜日) part 2
 とりあえず森岡浩之の「星界の戦旗IV 軋む時空」をGet & Read。
 本当に次は早く出るんだろうな……。

 最近、人民網日文版が面白いですねぇ。中国の対日政策の迷走ぶりが目に浮かぶようです。
 中国側はこれまで「お詫び」だの「賠償」だのという用語を駆使して日本から援助を引き出してきていたわけですが、いい加減日本がそれに疲れたのか飽いたのか、最近の右傾化を受けたというわけでもないでしょうが、日本側が中国側の言い分を唯々諾々とは聞かなくなってきた、と。困ったことに中国としては国内に向けて日本を悪者とする“正史”を長らく敷いていたために、日本が中国に対しこれまで行ってきた援助などを“賠償”として正当に評価しない傾向があり、悪く言えば「日本になら何やってもOK」的な世論を醸成してきてしまったんでしょうな。この辺は韓国も同様ですが。
 名を捨てて実を取ればいい話であれば極めて単純な話で、日本の内政問題には口出ししない代わりにODAは引き続きお願い、と頭を下げてしまえばすむ話なんですな。しかし恐らく世論はそれを許さないのでしょう。我が国正義と長年国民を煽ってきたツケを中国側は払わされている形になっているわけです。
 日本は日本で、軍事衝突が50年近くも事実上絶えていたためか、なんか火遊びに夢中になっている気がする。ここに来て軍を減らすことが良い方向に向かうとは、周辺諸国との緊張状態を考えると、徒に不安定要因を増やすだけのように感じます。

 そう言えば最近気になっていたのですが、来年度予算の財務省原案が出来上がっています。現在復活折衝がちゃんちき行われている頃かと思いますが、この辺の原案他の資料財務省のサイトで公開されています。
 相変らずシャレにならない予算だと思うのですが、さて、省庁別に見たときに実は一番金使っているのは、内閣府を除くと(防衛庁他を含むので)厚生労働省なんですね。そんで総務省財務省が予算額で続きます。
 本当はこの辺の圧縮が必要なんじゃないかと思いますが……。
 気になっているのは厚生労働省で、実は予算の殆どは恩給や社会保障費などの削減が難しい項目なんですよね。しかし社会保障費の圧縮、あるいは増加の抑制はどうしても必要ですので、何らかの方法を考えていかねばならないことは間違いないと思います。しかも一方では医療問題については大規模な予算投入が近い将来必要であること間違いなし、という状況も待っています
 特効薬などない話ですが、これ以上膨れ上がらないように未来を見据えて手を打って欲しいものです。つまり、予防衛生や公衆衛生なんですがね。予防衛生や公衆衛生って派手さがなくて効果もすぐには現れないので軽視されがちですが、医療費の全体圧縮を考えたら必須の項目だと思うのですが……最近かなり軽視されているようですな


2004年12月21日(火曜日)
 MF文庫Jを5冊と買いそびれていたものをちょこちょこと。

 先日、授業中に携帯電話でメールを出している子供がいる、という話を聞きました。携帯電話の麻薬的習慣性…という方向に話が向かいかけたので、ちょっと待った、と制止しました。
 「ベル友」という用語に聞き覚えはないでしょうか。
 恐らく既に多くの人の脳からは零れ落ちているのではないかと思いますが、90年代中頃に下は中高生くらいからの若者層に見られた現象で、四六時中公衆電話とポケットベルでショートメッセージを交わし続ける交友関係が一時期話題になったことがあります。ちなみに90年代末になりポケットベルはPHSに取って代わられ、そして最終的に現在のケータイへと移行して行きます。
 こうして見ると、要は技術が変わっただけで、人間の行動様式としての「コミュニケーションツール依存症」とでも言うべき状態が連綿と継続しているだけ、という見方が成立します。さらにこれを敷衍すると、「子供の長電話」であり、かつての「ペンパルブーム」もこれに分類しても良いのではないかと考えられます。
 これは技術の問題ではないのではないか、というのが私の考えで、恐らく人間が普遍的に持っている何かがこの現象の下敷きになっており、その発露が「所構わずケータイメール」なのではないか、と考えているわけです。別の切り口を見せれば、「何時でも何処でも誰とでも」という人間の要求を叶えるために技術が進歩した、と。
 このような考えに立つと、道具であるところの携帯電話を無闇に取り締まっても無駄で、人間の行動原理を解き明かし、有効な対策を講じない限り、手を替え品を替え、同様の現象が繰り返されるだろうと思われるわけです。
 よく世情を観察すれば、「「mixi依存症なんです」——ソーシャルネットで人生が変わった26歳女性」なんて記事が見つかるくらいですんで、これってやっぱり人間側の問題なんですよ。


2004年12月22日(水曜日)
 先の防衛予算折衝の長く苦しい戦いの中で認められた「武器輸出三原則例外」で海自の護衛艦の輸出が認められそうな気配だそうです(「中古護衛艦の輸出、政府が検討…「3原則」例外で)。予算が厳しいんですからまだ使えるものは大切にしないといけませんよね。
 実を言えば、日本の護衛艦や潜水艦については、諸外国から売却の打診が過去何度もあり、日本政府が断り続けてきたという経緯があったりします。潜水艦なんぞは、建艦能力維持のために他国では考えられないほど早いペースで退役させ続けていて、「もったいない」との指摘は内外からありました。
 とりあえずシンガポール、マレーシアが相手ということですが、台湾やフィリピンなど、欲しがる国は多いでしょうなぁ、あの辺で。韓国もそう言えば昔自衛隊から潜水艦を買いたいと言ったことがあったような気が。
 記事を見る限り、「いしかり」型や「ゆうばり」型、ちょっと大きめで「やまぐも」型が対象っぽいんですが、しかしこのペースで地方隊の艦を削って、沿岸防備は大丈夫かね……。軍艦(に限らないけど)ってのは、必要になってから作っても遅いんだけどねぇ……。
 国防の問題はともかく、これまで無為に廃棄されてきた装備が第二の人生を送れると言うことなら歓迎です。他にも売れそうなものは自衛隊に色々ありますので、どんどん売っ払って欲しいものです。

2004年12月23日(木曜日)
 韓国の韓国科学技術院(KAIST)ASIMOクラスのロボットを開発した旨、報道がありました。HUBOというそーです。
 ほんの僅かな動画で見る限り……下半身のアクチュエイタの出力が全然足りてない感じですなぁ。制御系の処理速度も一杯一杯な感じ。全身制御はしてないな。歩行中に腕振ってるけど、モーメントが全然殺せてない。頑張ってなんとか動歩行は実現してるっぽいんですが、ASIMOやTPR程の完成度はないねぇ……。見栄えではHRP-2といい勝負ですが、中身は全然追い付いていませんね。
 まあ、後続がいないのも悲しいものですので、是非とも頑張って追い付いてきて欲しいものです。ロシアもやってるけどな。

 技術系の話題が続きますが、8月に採り上げたクローン猫ですが、第1号が5万ドルで売られていったそうです
 私には倫理的な問題とかはまーったく分からんので、猫でも犬でも好きにすればいいがな、と思う程度ですが、絶滅危惧生物の類であれば、こういう技術を使ってでも保護したい、あるいは絶滅した動物を生き返らせたいと考える人間はいるかもね。
 ところでこのクローン製造会社(?)であるGenetic Saving and Clone社なんですけど、なんで日本語サイトがあるんでしょーか。


2004年12月24日(金曜日)
 最近日記がやけに短い気がする。おかしいな。執筆時間は着実にこれまで以上にかかっていることが多いのだが……。

 本当はNortia Order TAD Working Groupの打合わせのはずだったのだが、人頭が揃わなかったのでそのままカラオケに。3時間ほど歌う。クリスマス・イブということで、冬っぽいのとか雪っぽいのとかイベントっぽいのとか歌ってみる。
 で、家へ帰る途中、おつとめ品を漁ろうと深夜営業スーパーに入ったら、既にクリスマス関係のポップやデコレーションを撤去して、正月飾りが進行中であった。
 なんか何年か前にもツッコんだ気がするのですが、だからクリスマスって明日だろうと。
 いやね、私ゃ別にクリスチャンでもなければ教条的宗教論者でもないし、“酒を呑む口実は何だっていい”的な日本のスタイルは大好きだけど、こういう宗教的寛容さと単なるデタラメを混同するような社会には、やや苦いものを感じるわ。

 で、キリスト教が最大勢力で、かつ思想信条に大きく影響していることがアンケート調査からも明らかな米国の方では、「“苦し”この夜…Xマスの祝い方巡り、米で議論過熱なんて見出しが踊っていたりします。政教分離ってのは、特定宗教に阿るような政策の禁止を謳うもので、宗教的行事への公費の出費を戒めるものだとは思うのですが、病的に追求することがそもそも不可能なものでもあるんですよ。ちょっとアレな例ですけど、無縁仏を火葬にしたら、あとでムスリムだったことが分かって揉めたなんてことがあります。イスラムでは火葬は御法度なのは分かるんですが、じゃあどうしろというのだということになりますわな。もし最後まで身許が分からなかったら、無縁仏としてどっかのお寺に葬られることになるんですがねぇ。
 つまり、限度というか“適当”な線引きがあるんですよ。
 もちろんその“適当”な線は、国民の合意の元に形成されるものですので、様々な議論があって然るべきではあります。ただその議論の中で忘れてはいけないのは、宗教的寛容さなんですよ。自分が信じる信教を大切にするが如く、他者の信教をも大切にすること。その前提を失ってしまうと、この手の話は教条主義的宗教裁判になりやすいんですよね。
 なんで無神論者で無宗教な私がこんなこと書かねばならんのかと不思議でならんです。


2004年12月25日(土曜日)
 昨日書き忘れたけど、角川スニーカー文庫を4冊。それとこがわみさきの新刊を本日Get。おお、初めて「1」なんて付いてるよ。

 いつぞや野村総研の「マニア消費者層はアニメ・コミックなど主要5分野で2,900億円市場」という報告について、IT Mediaに「“オタクマーケティング”の時代到来?——NRIに聞く「オタク市場の力」」という記事が。
 面白いな、と思った点がいくつかありました。
 “オタクは「理想像を追求する『情熱』『消費』『創造』のスパイラル」”というのは、なるほど、と思いました。
 私ゃオタクじゃありませんけど周囲にオタクな人は多いので、その行動様式を見ている限り、これは見事に当てはまりますね。映画の先行レイトショーのためにわざわざ大阪から上京してくるヲタなんか、典型ですよね。「ほしのこえ」の時だって、トリウッドに通い詰めてセリフを殆ど全部憶えて挙げ句の果てに用語辞典とか作っていたひととかいましたもんねぇ。情熱を傾けて消費し、さらに同人誌制作の方へ突っ走って行くのがオタクなのですね。
 んで笑ったのが、“「オタク市場に物を売りたければ、オタクになるか、オタクのフリをして決してボロを見せないことが必要」”という節。ゲラゲラゲラ。
 まあ、ハンパな品質の商品は買わない連中ではありますからねぇ。
 まてよ、そういう「品質の満足を追及する」という観点で語ると、W. E. Demingが唱えるところのクウォリティによる商品競争力が発揮される市場を形成するためには、各市場においてオタクは購買層に必要な存在ということになるのではないだろうか。
 購買層に影響力を持つ一定割合のオタクが、商品品質に極めて厳しく接し、それをフィードバックすることによって商品が磨かれ、チープレイバー(低廉な労働力)によって造られたより品質に劣る商品の蔓延を防ぐ。この構造が浸透しないと、市場は基本的に価格競争一辺倒になってしまいます。
 とすると、アニメ、コミックの輸出による“オタク文化の輸出”は長期的展望に立つと、高品質商品の購買層を育てるという意味で戦略的に重要かもしれないぞ……。


2004年12月26日(日曜日)
 「黒人差別をなくすページ」。
 タイトルからして「あっち向き」のページかと思いきや、逆に「あっち向き」の人々を笑うページでした。Good job!
 私に言わせると、あの手の「差別狩り」に躍起になる人たちの思考回路には何か根本的な問題があるんですよ。対症療法にそれなりの意味があることを認めるに吝かではありませんが、対症療法は所詮対症療法であり、根治療法にはなり得ません。そのことを理解していない行動は、無益どころか有害ですね。
 ただ、根治といっても、差別感情を持たずに生きることは不可能ではないのかもしれませんが、極めて困難です。私にはとてもできません。ですから、できるだけ事物の判断にそういった悪感情が入り込まないよう、注意するくらいしかできません。
 人の心の問題ですからね、看板を取り締まって取り繕っても、結局何も変わらなかったりするんですよね……。

2004年12月27日(月曜日)
 最近、報道に「ドンキ」って単語が乱舞してて、なにかと思ったら「ドン・キホーテ」の略だったんですね。じゃあ、類似の圧縮陳列をやっている店舗は「ドンキのようなもの」になるのか?

 自動車運転免許の更新に行ってきました。かなりおまけしてもらいましたが、眼鏡直さないと駄目だよと言われましたわ…やっぱり(ガックシ)
 眼科医に行ってきちんと測定からしないと駄目だな、こりゃ。
 それはともかく、優良ドライバーなので講習は30分、道交法の改正のポイント(携帯電話の使用不可など)などをさらっと説明されたくらい。これなら教本だけ渡して何もしなくてもいいんじゃないかとか思わないでもないですな……。いや、知ってるよ、免許刷り上がるまでの時間が必要なんだってことくらい(^^;
 個人的に言わせてもらうと、道交法改正のポイントも重要なんですけど、それよりこういう機会を活かしてBLS(Basic Life Support:一次救命処置)の訓練をすべきじゃないのかって思いますが。ああいう訓練って、何度も何度も機会がある度に訓練しないといけないものですよね。交通事故においてBLSの有無がもたらすものは大きいはずです。
 あと、教本に自転車に関する記述が少なすぎる。
 実を言えば、国の政策レベルで自転車をどうするかきちんと定まってないところがあるので致し方ないところはあるのですが、それでも都レベルとかでできることはあるだろうとは思いますね。歩道を走るのをやめさせるとか、あるいは路肩にきちんとした自転車道を作るとか、夜間の点燈に注意を促すとか。とりあえず「左側通行の徹底」をするだけで大分違うと思いますけど。


2004年12月28日(火曜日)
 コミケの前日設営に行く予定だったのに、朝右肩の筋を違えてしまった。日常生活に大きく影響はしないのですが、机や椅子を担いで歩くのは些か難しいと判断せざるを得ませんでした。無理して悪化させたらなお悪い。
 オイラもトシかね。

 「本気でパワードスーツづくりに励むアラスカの青年」という馬鹿気たニュースが。
 写真を見ると……デケぇよ、これ! しかも赤色で角まである!
 しかも本人のWeb Siteまで見ると……あんた日本の巨大ロボットアニメ大好きなんだろう! ミエミエだっ!
 日本のスコープドッグ製造も負けてはいられません。動力を付けましょう、動力を!(競ってどーする)

 スマトラ沖地震に伴う津波被害が各地で報道されており、国連は史上最大の被害であるとし、先進各国からの援助を求めております。
 で、津波に乗じて、インドネシアのアチェ地方にある刑務所から、囚人200人余が逃亡した、なんてニュースが。塀の一部が瓦解してしまったのでしょうかね。
 災害時に刑務所は收監されている囚人の保護に当たらなければならないことになっています。しかし、刑務所の対処能力を超える災害が発生した場合、どうしたら良いのでしょうか?
 日本の場合、監獄法第22条に規定があり、一時解放することができます。24時間以内に最寄りの監獄あるいは警察署に出頭すれば、お咎めなしということになっております。江戸時代も、大火となれば牢を空けていたそうです。ただ、この条項が本当に適用されたという話は現代ではとんと聞いたことがなく、阪神淡路大震災のときの神戸刑務所ですら、囚人が一時解放されたとは聞いていません。戦時中にはあったようですけど。
 自然災害より戦災の方が酷いってことですかね……。

 中国で竹の花が咲いたそうな。
 古来凶兆として知られるものだけに、嫌気がさすね。


2004年12月29日(水曜日)
 コミックマーケット雪の陣。
 冬コミに雪が降るなんて、ついぞ記憶にないけれど……ここ数年、降られることは多くなったねぇ。かつては「コミケの日は晴れる」とまで言われた神通力があったものだけれど。きっと規模が拡大し続けた結果として参加者の濃度が希薄になったのが問題なのであろう(ホントか?)
 それはともかく、雪降ってるのに始発待機咬ます程粋人ではないので、開場後に重役出勤するつもりでいたら、川口某所へ行くことになって、朝っぱらから雪の中を自転車ダッシュ。ゴアテックスのコートが素敵(爆)。
 待機行列が無くなった頃を見計らって現着し、西館からてろてろとチェック済みサークルを中心に流す。一応過去の巡回データを流用している関係で、A館東123外周なんかも結構チェックがかかってたんだけど、この辺は午後に行って行列がなくなっててかつ本が残っているところをトローリングするに留める。どうしても必要ならアキバの同人ショップに明日からでも並ぶわけで……。
 会場巡回中に館内放送で、りんかい線がJR埼京線新宿駅での信号故障のため、ダイヤが大幅に乱れていると伝えられた。なんとまた、よりにもよってコミケの日、つまりりんかい線にとっては年に二回の書き入れ時に信号故障とは、ツイてない話だね
 そんなわけで、帰りは水上バスを利用しました。雪降る東京湾をクルージング……と書くとなんか幻想的な雰囲気のようにも思えますが、吹雪いて碌に風景も見えやしないわけで、ああ雪は鬱陶しいと思うばかりでした。降雪地帯出身者にとって雪ってのは大概そういう物です。
 コミケットには全国津々浦々から参加者が集合するので、参加者の半分位は「東京に来て雪が見れたラッキー!」とか思ってて、残りの半分位は「なんで東京まで来て雪に降られんといかんのじゃ!」とか思ってることでしょうね。明日の予報は曇り。降らなければいいのですけれども。

 なんか最近外交カードの切り合い状態陥りつつある日中関係ですが、今日もまた「靖国解決なしに決定せず 新幹線で中国全人代副委長なんて記事が踊っとります。要は新幹線を買ってもらいたかったら靖国で譲歩しろと言っているわけですが、日本国内には中国に新幹線技術を輸出することについて慎重な意見もあったりするわけで、日本にとって大きな痛手にはならないという見方もあります
 ま、日本と中国の政治的衝突はどっちにしろ近い将来不可避だと思われますので、この辺で心行くまで本音を叩き付けあえば良いのではないですかね。軍事衝突に至らない程度に。

 そういえば反日では中国に並ぶもう一方の雄(笑)、韓国ですが、日韓国交正常化交渉の議事録などが裁判所の命令で公開される運びになったとか……。ていうか、韓国では日韓基本条約に附隨する様々な協定をこれまで公開してなかったのか? 「日韓基本条約の関係諸協定,日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)」とか見れば、賠償請求権がお互いに存在しないことなんで、明々白々じゃん。第2条3項にきちんと書いてあるっしょ?
 まさか韓国で公開されてなかったとは思わないが……思わないが……もしかして本当に公開されてなかったんか?


2004年12月30日(木曜日)
 コミケット67終了。参加者の皆様、ご苦労様でした。
 今年のコミケットの特筆すべき点はやはり「雪」でしょうが、それに附隨して気になったことがありました。コミケットのルールの「持ち込み禁止物」によれば、「伸縮性を問わず、30cm以上の長物」が禁止物に指定されています。にもかかわらず、会場内外に於いて50cm以上の長さを持ったアルミや軟鉄製の棒状物を持ち歩いている人間が大量に発生していました。実際、階段などで先端を向けられるなどして危うい思いもしました。
 なんですが。
 私はコミケやハイキング時の雨具としてポンチョを愛用していて、その利便性に高い評価を与えているのですが、もう一点、コミケの規則に反しないという点も考えています。
 傘は明白にコミケ持ち込み禁止物に該当すると考えますので、以降のコミケではきちんと使用禁止をアナウンスすべきではないかと思います。

 コミケが跳ねた後、イトノくんと愉快な仲間たちに誘われて忘年会に。場所は……秋葉原のメイド居酒屋「ひよこ家」(苦笑)。一般人の私はこれまでアキバ界隈に群生するという謎のメイド喫茶やらなにやらにはとんと縁がなかったわけですが、これにてメイド喫茶初体験でございました。なんでもイトノくんは昨日も一昨日も会場近辺の特設メイド喫茶に行っていたらしい。
 なんだかなぁ……。まあ、彼はメイドスキーだからいいんだけど。

 コミケが終わると、一年が終わった感じがしますよね。まあ、もう一仕事あるんですけども。


2004年12月31日(金曜日)
 弟が家にやってきて、おっぱじめることは「COWBOY BEBOP」のマラソン試聴会(爆)。23時半頃に観終わる。年内に終わって良かったよ(炸裂)。
 兄弟二人で餅食って蕎麦食って酒呑んでという、なんとも平和な大晦日でした。