哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2004年11月分

Caution!
このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、並びにパーソナルメディア社は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2004年11月1日(月曜日)
 ええと、国立科学博物館のグランド・オープンが明日、と。
 実は、新館増築分のエリアに、まだ中身がスッカラカンの時に入ったことあるんだよね。あそこがどんなふうにディスプレイされているのか楽しみ。

 福井県の山本雅俊副知事が、10月15日に開催された第60回東海北陸ブロックPTA研究大会で「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの1万4000人は不良品」と発言したと報じられました。
 私はもう十年も東京シューレなどAlternative Educationに関ってきている人間なので、学校に行かない子供が不良品だとは思いません。学校へ行かないことは、人生の選択だと思っています。学校に行ってこそ身に付けられるものがあり、学校へ行かないからこそ手に入れられるものがある。つまりそういう関係です。
 実際に学校に行かない子供たちが苦しんでいるのは、公教育側からこのようにして貼り付けられるレッテルに対してなんです。中には、自分自身で自分を「不良品」と看做してしまい苦しむ子供もいます。登校圧力に苛まされ、自ら命を絶ってしまう子供もいます。
 私は、学校へ行くことが子供の権利であることが広く知らしめられ、学校へ行くことも、学校へ行かないことも、等価の選択肢として子供の意志で選び取れるようになることが大切だと思っています。

 一応念のため補記しておくと、別に教育を受けなくていいといっているわけじゃないよ。ただ、公教育・学校教育だけが教育じゃないと言っているだけ。憲法第26条は教育を受ける権利と、子女に普通教育を受けさせる義務を規定しているのであって、公教育受講の義務を定めているわけじゃない。教育基本法第4条を見ても、「学校へ行かせろ」とは書いてない。あるのは「9年間の普通教育」なわけ。
 これは、実は教育の基本で、子女の教育権は親権者の属性であって、学校や地方公共団体にはないんです。つまり、手ずから子供に9年間の教育を施してもいいし、もしあなたが富豪なら、子供のために専属の家庭教師を雇ってもいい
 公教育ならこれがタダ!というのが、法律の趣旨なんです。
 子供がもし学校に馴染まないというのであれば、学校を代わるとか、あるいは学校へ行かずに他の教育、家庭教育やその他Alternative Educationを選択するのも、親の教育権のうちなんです。
 そして教育を受ける権利については、誰もがその能力に応じて等しく保証されねばなりません。実は日本ではこれが今一番危機に瀕しているんだったりするんですが。

 サマワの自衛隊宿営地に再び攻撃があり、こんどは物資保管用のコンテナが被弾しました。
 自衛隊がこのまま派遣期間を延長してイラクに留まる場合、今後ますます攻撃が増加するでしょうね。これに対して政府はどうするつもりなんでしょうか。とりあえず自衛隊はヘリと対迫レーダを持ち込む気らしいですが、じゃあそれらで射撃地点がわかたっとして、どうすんのよ。ヘリで追い回すの? 機銃掃射でもするの? 応戦の果てに敵を殺すのかね?
 もちろん自衛隊は軍事組織ですから、攻撃を受ければ反撃しますし、概ね味方の犠牲より大きな損害を相手に与えることができるでしょう。でもそれで多分自衛隊によるイラク復興支援は終わりでしょうね。
 はっきり言えば、引き際だと思います。装甲車と機関銃で武装している集団に攻撃を仕掛けてくる人間がいるところは、普通は戦争状態と言うのだと思います。


2004年11月2日(火曜日)
 国立科学博物館に行ってまいりましたです。
 朝の9時から(笑)。
 改めて宣言するのも恥ずかしいものがありますが、私は科博が大好きです。そりゃもう、小学生の頃から、上京する機会があれば必ずと言っていいほど行っていました。妹と弟が母と連れ立って恩賜上野動物園へ行くのと別れて、一人で科博へ入り浸っておりましたよ。
 私の科学的常識はこうやって形作られたのです。
 今ではすっかり常識人。ほら、科博の中を隅々まで解説できます。
 それはともかく、ここ数年来続けられていた新館の増築分の完成公開日だったんですわ。しかしその代わりと言ってはなんですが、本館がこんどは工事のために閉鎖されてしまいました……。
 本館が閉鎖されてしまっているので、本館一階の入り口ならびに地下一階の出口は使えませんので、旧みどり館があった所にプレハブが建てられて、そこが出入り口ならびにミュージアムショップとなっておりました。ちなみにプレハブの名称が「みどり館」でした……。
 一般展示のみならタダで入れる「友の会」会員なので、会員証を見せて入り口を素通り。
 エントランスでPDAの貸出を行っていたので、500円で借りました。館内各所に仕掛けられた赤外線マーカからの信号を受けて、展示品の解説を画面に表示したり音声で研究員による解説を聞いたりできるという、どこかで開発していた奴と丸っきり同じ創案になるものです。ただしPDAはHPiPAQでOSはWindowsCEでした。プラスチックの外装が被せてあったのになんでわかったかというと……途中でガイドアプリがダウンしたからだよ! 3回も! お蔭でリセットボタンを3回も押す羽目になった! しかも3時間くらいで電池切れた! 何考えて機種選定したPanasonic!(科博新館の電子展示周りは松下が請け負ってた)
 しかも操作性が悪い! タッチパネルとボタンの併用なんだけど、これはタッチパネルは使わないで、十字ボタンとABボタンとかにすべきでしょう。ぶっちゃけ、PSPでも使った方が正解だったんじゃないの? たとえUCでももっとマシなものになったと思うぞ。
 PDAガイドの音声は多分WMAだと思うんですが、ビットレートを相当落としているようで、かなり耳障りでした。内容は面白かっただけに、音質もうちょっと改善できんかなぁとか思ってしまいましたわ。
 PDA以外には、ID、PWが表面に印字されたICカードが入り口で貰えて、館内各所のキオスク端末にくっつけると、後日自分がどこ回ったか確認できる、と……。早速なくしてしまいましたが(^^;
 キオスク端末は日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字)・日本語こども用の5種類から表示が選択でき、ICカードに言語登録できるようになっていました。なんかこれもどっかで見た着想だよなぁ。まあいいんだけど、広まること自体は。個人的にはアラビア語が欲しいと思いましたが……難しいかなぁ。スペイン語とフランス語は余裕があったら用意したら良いと思いました。
 でもやっぱり展示初日からコンテンツブラウザが落ちてデスクトップむき出しになってたり、IEの「ページが表示できません」表示なってたりする端末がちらほらあるってのはどうかと思ったり思わなかったり。そんなところまでどこぞの実験博物館の真似しなくてもいいのに……。
 展示は隨分力が入っていました。常設展こそ力を入れて、というのが今回の標語だったそうですが、よく練られた展示だと思いました。ただ、巨大な展示が多い古生物・絶滅哺乳類のコーナーは、流石に綺麗に並べるわけにはいかなかったようで、相当苦しそうでした。地下3階などはよくよく見ると旧みどり館のものが綺麗になって置いてあったり(笑)。
 全体的に教育的展示に方針転換したせいか、取り壊した各館にあった收蔵物を全ては展示していません。特に貴重な標本や名のある標本、いわく付きの展示物などが見当たらなかったのは、科博歴20年以上の人間としてはいささか寂しかったです。屋上はハーブ園と太陽電池があったんですが、日時計はやっぱりなかったし
 しかし朝から人がそこそこいたけど、午後に入ると団体さんが連続で押しかけてきて大変でした。多くは高校生以下でしたから、頭も悪かったしなぁ……。
 週末は混むと思いますので、覚悟して行った方が良いでしょうね。

 プロ野球新規参入は楽天が選ばれました。正直、7球団でもいいじゃんとか思いますが、ライブドアには是非来年、再来年の参入を目指して頑張ってほしいです。必要なら力くらい貸しますから(笑)。
 さて、実は次の懸案事項が待ってまして、日米韓の三箇国のプロ野球による「スーパーワールドカップ」(ならびに日韓のアジアチャンピオンズカップ創設)の協議が5日にあって、三箇国のコミッショナーが会するのですが……なあ、根來さんまだ辞めへんの?


2004年11月3日(水曜日)
 世界はどうやらもう4年間、あの御仁と付き合わねばならないようです。
 他所様の国の選挙制度にとやかく言うのはなんですけど、国際監視団からも改善提言があったようですので、もう少しなんとか考えてはいかがなもんでしょうか。
 ま、日本も他所の国のことを言えた義理ではありませんけども。

2004年11月4日(木曜日)
 富士通サムスン対決に続いて、こんどは松下LGのPDP特許侵害訴訟合戦ですか。報道によるとクロスライセンス交渉が決裂したためだそうで。
 LGのを見る限り、全面対決やる気満々って感じですが、勝算の方はどんなもんなんでしょうね。前回の富士通の時ほどには、日本側の正当性が感じられないんですが、不思議なことに。多分松下がきちんと情報を公開していないせいだと思うんですが。

2004年11月5日(金曜日)
 電撃の配本日ぃ……。なんだかんだで計12冊ほど購入。

 IBMSGIかと熱い注目が集まっているTOP500ですが、IBMがBlue Gene/Lで70.72テラFLOPSを達成したと報道発表がありました。
 わお。
 米国の意地が炸裂してますね。

 ここんとこ、熱がでたり関節が痛かったりしてて、ローテーションってわけでもあるまいに、今日は頭痛になった。一遍に済ませてくれりゃいいのに……。


2004年11月6日(土曜日)
 ライオンズ身売りですか。日本一になったチームが身売りっつーのも、やるせない話ではあるよな。これであとはジャイアンツが身売りすることにでもなれば、日本の球界も少しはマシになるんだろうか。

 米大統領選の電子投票にまつわるトラブルをあちこち見て歩いているのですが、凄まじいものですね。ストレージの容量が溢れて過半数の票が「どこかへ行ってしまった」とか、そもそも投票機が起動しなかったとかいうトラブルまであったらしく。
 選挙ってのは民主政治の大事なプロセスなので、遺漏なきよう細心の注意が払われないといけません。電子投票は将来的には普及するものであろうと思いますが、現時点ではまだまだ実験段階のものであると言わざるを得ないのではないでしょうか。
 他所の国の話ではなくて、日本でも地方選挙に電子投票制度が導入され始めていますが、投票機が本当に信頼に足るかどうか、今一つ確信が持てません。
 例えば通常の選挙の場合、投票管理者の立ち会いの下、最初の投票者二名が投票箱が空であることを目視で確認します。私も一度経験していますが、電子投票ではこれにあたる行為が基本的には不可能です。常日頃からノートPCを持ち歩いているとかいうならともかく、普通の人には記録用ストレージが空であるかどうかを確認する手段がそもそもありません。この点、物理媒体の良さってのは確実にあります。
 米国のように選挙管理委員がそもそも党派旗色を鮮明にしているという国や、日本のように誰がどうやって選挙管理委員を選出しているのか知らないという国で電子投票を行うのは、なかなかスリリングな状況を生み易いのではないかと思います。


2004年11月7日(日曜日)
 イラクがほぼ全土で非常事態宣言ですか……。撤退の口実くらいにはなるかなぁ。
 これ以上付き合うことに、本当にメリットがあるのかどうか、冷静に判断して欲しいよ、ホント。
 私が恐れているのは、自衛隊に犠牲者が出ることではなく、自衛隊の反撃によってイラク住民に犠牲者が出ることだったりする。

 ああ、なんか内圧が高まってる感じ。ぱぁっと小説でも書いて発散できるといいんだけど。


2004年11月8日(月曜日)
 漸く頭の中でこねくり回していたものが、満足のいくところまで形を持ってきた。あとは文字にして書き表すまで。

 そういえばTRONSHOWのレジストが明日1000時からだ。しかしシアタースケジュールの公開とレジストが同時ってのは、困るだろう……。

 Times higher educational supprimentが「The World's Top 200 Universities」というランキングを出していたので、ちょっと興を唆られて読んでみました。
 評価項目は、大学間(学者間)による評価、外国人講師比率、留学生比率、講師/学生比率、論文参照数/講師比率の五項目。主として自然科学分野における評価ということになります。
 ざっと見ると米国勢が圧倒的ですね。200校のうち63校を米国の大学が占めます。続いて英国勢が30校、ドイツ17校、豪洲14校、仏蘭各8校、カナダ7校、日本6校って感じです。ちなみにリストアップされているのは29箇国。なんとなく英語圏に多少の偏りがあるんじゃないかと思われなくもないのですが、それにしてもよく引用される論文を多く送り出しているという実績は確かです。
 日本の6校は、東大(12位)、京大(29位)、東京工大(51位)、阪大(69位)、東北大(153位)、名大(167位)。校数は少ないのですが、平均得点は案外高いですね。少数精鋭主義的とでも言いましょうか。(スイスなんかも2校だけですが、平均得点は異様に高い、とか)
 トップのレベルは高いが、大学数を考えると広汎なボトムアップが必要なのではないか。そんな風に考えさせられる結果ではありました。

 富士見ミステリーを4冊と、ハヤカワ文庫を1冊


2004年11月9日(火曜日)
 スーパーコンピュータTOP500の更新がありました。新ランキングでは、タイトルホルダー地球シミュレータが3位に後退、2年半ぶりに王座が交替しました。日本勢では14位に理研のSuper Combined Clusterが上位に入っているのが目立つくらいですかね。メーカー別でいくと、IBMの圧勝ですな。続くのがHPですか。
 この辺が、昨日の大学ランキングじゃないですけど「地力の差」ではないかと思うんですよ。
 トップの成績ももちろん重要なんですけど、平均の高さがもたらすものもまた別にあるのではないかと思ったりするんですよ。
 もちろん、平均を高くすることを目的にされても困るんですけどね。

 とりあえずTRONSHOWのレジストやったんですが……、シアタースケジュールが完全じゃないから、申し込みようのないのもあるなぁ。


2004年11月10日(水曜日)
 中国海軍所属と見られる潜水艦が宮古列島の多良間島近海の日本領海内を潜航し、これに対し内閣総理大臣が海上警備行動を発令、自衛隊が動いております。
 潜水艦が領海を無害通航するには、浮上して識別旗を掲げねばなりません(国連海洋法条約第20条)。ですんで、今回のように潜航した場合は第19条にある無害通航の要件も満たしませんので、敵対行動とみなされ、撃沈してしまっても国際法上の問題はない筈です。っつーか、潜水艦ってそーゆーもんですが。
 最近中国の方々は戦争をしたくてしょうがないような雰囲気ですので、一発原潜でも沈めて警告するってのは駄目ですかね?
 日本側として気になるのは、海上警備行動命令が出るまで3時間近くかかったことです。相手に害意があれば、この3時間は致命傷になりうる時間です。報道によれば、防衛庁側の要求に対し官邸の事務方が渋ったとのことですが……
 じゃあ首相の判断が信頼できるのかといわれると、イラク派遣について「自衛隊が活動している地域は非戦鬪地域」と言い張っている人ですからねぇ。まともに考えて非常事態宣言が出てるような土地は戦鬪地域と言っても過言ではないと思いますよ。
 対米協力も大切でしょうが、国としての理非は弁えてもらわないと困るよ。

2004年11月11日(木曜日)
 昨日の潜水艦問題の追補。
 さて最近大活躍の自衛隊なんですが、防衛予算が削減されようかという状態だったりします。財務省が財政難を理由に、通常戦力削減を軸とした1兆円規模の防衛予算削減を求めているのですが、見ての通り日本は現在馬鹿な隣国がじりじりと圧力をかけてきている状態ですので、ここで通常兵力を減らすのは愚策です。艦艇も減らせと言っていますが、イラク派遣の関係で、今日本の近海の防衛はかなり手薄になっていて、ここでさらに戦力を削られては守れるものも守れなくなります。
 元凶はミサイル防衛構想(BMD)にあることは、改めて説明する必要もないとは思います。ミサイル防衛構想では潜水艦の追跡はできませんし、海上警備行動は取れません。災害派遣で土木作業をすることもできませんし、スクランブルだってかけられません。そのくせ1兆円もかかるってのは、何かの冗談のようです。
 金がかかるわりに弾道ミサイルしか防げないミサイル防衛構想を10年くらい棚上げにして、とりあえず通常戦力による防衛網の強化を第一とすべきではないかと思うのですが、今の政治家にはその程度の理非を弁える能力もないのか。

 外電で、アイリス・チャン氏の自殺が伝えられています。『The Rape of Nanking』の著者の方ですが、まあなんにせ、日本の“南京大虐殺大好き”な左翼の方からも内容の間違いを指摘されるような内容の本で、日本でも色々話題になった本ではあります。
 なんせ日本語訳が出なかったくらいだからなぁ……。できれば生きて自分の本の間違いを訂正して欲しかったが、しょうがないね。
 南京と、その他中国各地における虐殺だとかなんだとかを、本気で調査する組織を作るのはかなり困難ですよ。何しろ中国の両岸政府が徹底的に資料提供に応じるというのが大前提なもんで。
 正直言いますと、やった方がいいです。後腐れなくなるし。
 でもその結果、中国政府が崩壊しかねないという問題が残るんですよねぇ。どちらがより大きな嘘をついているか(どちらが真実を述べているか、ではない)という問題で、恐らく事実を詳らかにした時に、より大きな打撃を受けるのは中国政府でしょうから。日本は差し引き得になるでしょうから、資料提供には積極的になるでしょうなぁ……。でもあの紙の山から必要な資料を探し出すのは、本当に大変なんだよ……。
 外務省外交資料館とか、防衛研究所資料閲覧室とかって、本当に沢山の戦時の資料が保存されているんですが……保存されているだけなんだよ……(爆)。あの紙の山と格鬪した日々は遠くなった……。というかあの紙の山との格鬪が嫌で私はデータベースに走って、そのための日本語文字コードを整備するための多言語処理研究の……ぐばッ(血反吐)。

 アラファト議長が亡くなりましたか。イスラエルのラビン首相と二人でノーベル平和賞を受賞したこともありましたっけ。ラビン首相は当のユダヤ人によって暗殺され、その後のアラファト氏の評価も二転三転しました。結局は、あの二人でいて初めてなったオスロ合意だったのだなぁと。
 ところでイスラエルでは彼の死を歓迎する向きがあるようですが、人の死は悼むもので、内心どう思っていても、口に出すべきではないと思うのだが、これも文化の違いか。


2004年11月12日(金曜日)
 HOT WIREDの『ニューオリンズの教会にいる「オタクの守護聖人」』という記事を読んで、世の中には奇矯な守護聖人もいたものだと……。
 日本で言えば神社の祭神のようなものだと思うのだが(宗教的なものなので、一致する概念がないのは当然だ)、はて、日本ではコンピュータやヲタクを祀った神社ってあったろうかとひとしきり思案するも答えはでない。ネットワーク上には「神」と呼ばれる人が沢山いるようだが、真面目に神社の祭神にまで登り詰めた人はまだいない、ということだろうか。
 コンピュータを祀る神社は将来できそうな気もするが、ヲタクを祀る神社は難しいような気がする。なにせヲタクというのは少数民族の集合体なので、一柱では足りないような気がするのだ。いや、あるいはその神はヲタクのあらゆる属性を一身に集めた抽象的存在なのかもしれないが、それはそれで派閥抗争のタネになりそうだ。
 まあ放っておいてもあと数十年もしたら、有明辺り、妙な付喪神になってしまいそうな気がしないでもないのだが……。

2004年11月13日(土曜日)
 朝6時半から渋谷の映画館の前の行列に並んでいる自分がいた。
 いや、新海監督新作の前夜レイトショーの整理券配布だったんですが、一体何なんでしょうね。9時半からの配布予定で、朝の6時半には40人以上並んでるってのは。木枯らし1号が吹きすさぶなか、2時間半もスペイン坂にたむろっておりましたよ。
 予定より早く、午前9時から交付が始まったのですが、なんか後ろを見たら100人以上並んでいたよ……。

 テクノスーパーライナーの実用艦三井造船で進水したそうです。就航は来年秋頃の予定だそうですが、現在25時間半かかる小笠原への道のりが、17時間程度になるそうです。
 小笠原は今日本で最も「遠い」地区の一つです。空港がないので、定期便はフェリーのみ。それも25時間半ですからね。空港建設は自然環境問題の関係で頓挫したままです。
 急病人などの搬送には海自US-1Aが使われています。後継機のUS-1A改が開発中。個人的にはわざわざ空港を作らないで、新明和に旅客タイプの飛行艇を造ってもらえばいいじゃんとか思いますけど……。
 それはともかく、なんだかんだいわれつつ、意地で開発が続けられてきた感があるTSL。やはり大切なのは継続なんだなぁと思いました。個人的には荒天時の走波性に興味がありますね。


2004年11月14日(日曜日)
 画伯書けと言われてしまったわけなのですが……。
 「CMカット機能「著作権法違反も」 日枝・民放連会長についてです。
 民放連の会長が、定例会見でCMカットなどが“著作権法に違反する可能性もある”と言って、CMカットのみならず、録画者による再編集などを禁じる方向の研究部会を作ることになった、とかいう話。
 最近の知財地主の典型例で、放送系ではエアチェック否定など、自分達の商売が客商売であることを見事にすっ飛ばした、イカレた発言ですね。自分達が選択される側の存在であることに目を瞑り、著作権法を振り回して市場の方を自分達に合わせようという考えが、とっても棍棒主義的です。
 何度もこの日記で書いているのですが、著作物商売というのは利用者あっての商売ですから、利用者にそっぽ向かれたら干上がるしかなくなります。他の商売でも同様ですが、基本的には顧客満足度を上げて行くことが重要です。
 この発言の裏側を推測するに、民放各社にとって「顧客」とはCMのための広告宣伝費を出すスポンサーのことであって、テレビの前で番組を見てくれる視聴者は客ではない、ということなのでしょう。金銭関係から考えると一面真実ではあるのですが、しかしよく非常に視聴者を馬鹿にした話で、番組選択権がこちらにあることを無視しています。であればきっと次はこう言い出すことでしょう。「一度見始めた番組のチャンネルを途中で変更するのは著作権法違反だ」とかね。
 では、番組とCMを一体とした著作物として保護が可能かという点ですが、私は難しいと思います
 番組とCMは誰がどう見てもそれぞれ別個の著作物ですから、それらの組合わせを著作物として看做す場合、編集著作権ということになると思います。しかし著作権とは「芸術性」を保護対象としているため、この「番組本体とCMの組合わせには芸術性が存在する」ことが認められなければいけません。東京キー局と地方局で挿入されるCMが違うことはよくあることですし、再放送時に違うCMとなることもあります。DVD/ビデオにCMが挿入されないのはどうしてでしょうか。これらを「芸術性」で説明するのは極めて困難であると私は考えます。
 事実として、CMを打つためのスポンサー料金は番組との組み合わせではなく、基本的に放送時間帯によって決定されます。そこになんの番組が放送されているかとは関係なく、「何時台に流されるか」が重要であると言うことです。果たしてこのような制度で成り立つ番組/CM組合わせに「芸術性」を問うことが妥当と言えるでしょうか?
 続いて、ではなぜ著作権法を持ち出してまで、このスポンサー制度を維持しなければならないのか、という点に考察を進めてみます。現行の制度は、時間帯によって視聴率=訴求力が決まっている、という前提に依拠して成り立っています。しかし、ビデオデッキや、とりわけ大容量のHDD/DVDレコーダなどの普及は、エアチェック/タイムシフトを容易なものとし、その結果「時間帯による訴求力の大きさ」というものを規定することが極めて困難になります。
 これは二つの点で問題になります。一つは、CMがどのくらいの人の目に留まったかを正確に算出することができなくなり、広告効果を判定することが困難になります。二つには、前項に従って広告料金を決定することが困難になります。タイムシフト視聴した人が何人いるのか、その中でさらにCMカットをする人は何人いるのか。そんな統計はどこにもありません。このまま事態を放置すれば「○○時台は○○人がTVを観ていて、うち○○局は視聴率○○%で、30秒のCMを打てば○○人の目に留まることになります」…という計算が成り立たなくなってしまいます。
 正確な広告宣伝効果をスポンサー側に提示できないとなると、スポンサー側としては評価ができませんからお金を出す正当な理由がなくなります。幸い最近は他にも沢山の広告媒体があり、下手するをTVよりも広告効果が高かったりするわけです。実際、ターゲットがある程度限定できるなら、アーケードゲームの背景に看板でも立てた方が効果が見込めるのは事実です。
 かくして放送局側としては、收入を確保するために、なんとしても現在のビジネスモデルを守る必要があるわけです。しかしそこには最終選択権を持った利用者、即ち視聴者の利便性は全く考慮されません。あくまで知財地主の都合だけです。
 末端視聴者には、チャンネル選択権どころか、それ以前の問題として「TVを観ない」という選択肢もあるんです。ただでさえ、今は娯楽が多く、何もテレビばかりが選択肢ではない現状で、最終選択権者に不自由を強いれば、他の選択肢に流れていくだけとなり、最終的に自分達の首を絞めることになるでしょうね。

 普通なら、技術進歩によってビジネスモデルが崩れるってんなら、すぐさま別のビジネスモデルを摸索するもんじゃないのか、と思わなくもないのですが、みんな揃って法律を盾に消費者抑圧に走ろうっていうのが、凄いよ。


2004年11月15日(月曜日)
 昨日書くつもりだったのに書けなかったことなど。
 「住基ネット:講演中止 後援の総務省が注文付けとありまして、PacSec.JP/CORE04で予定されていた住基ネットに関する発表が中止になっていたそうです。
 当日発表される予定だったスライドはこちらにあるのですが、何らかの脆弱性が発見されたことは推察されます。
 まさか総務省の方々が危険性を秘密にすれば安全が保たれる、なんて考えているなんてことはないでしょうね。総務省や各地方自治体に充分な対処能力があるのであれば、既に判明している脆弱性に対しては対策が講じられている筈であり、公開されること自体には大きな問題がない筈です。可能性としては、今回判明した脆弱性が対処困難なものである可能性、即ち現時点でも脆弱性が存続していることが考えられます。
 失敗学の見地からすると、こういったペネトレイション・テストの結果は可及的速やかに評価し、対策を講じ、最後に公開して類似事故の発生を防ぐのが良い筈です。もし総務省にそれができないというのであれば、住基ネットの運営母体としての能力に疑問があるということになります。

 JAXAが開発を計画していたHTVが米国でも採用されるかもしれない、という話が報道されてましたね。現時点で影も形も、射上げのためのロケット(H2Aの能力向上型)すらもない段階で喜んでもしょうがないんですが、日本の宇宙開発に金が回ってくるかもしれない、というのは純粋に朗報だと思います。


2004年11月16日(火曜日)
 「21世紀COE・次世代ユビキタス情報社会基盤の形成 第二回シンポジウム:自律的移動支援プロジェクト」に顏を出す。盛況だった。

 昨日、神保町で竹居さんと遭って話し込んだのだが、その中で竹居さんがこんなことを言った。
「日本人は宗教に寛容だ」
 私はこれに異論を唱えた。
 日本人は決して宗教に寛容ではない、と。
 例えばちょっと考えて欲しいのだが、あなたの職場(なり学校)なりに、全くの生まれも育ちも日本人という人で、ただ信教がイスラム教という人が来たとする。当然のように金曜日を安息日として休み、日に5回の礼拝うち、日中の2回を社内(学校内)で行う。食事に誘うと「ごめん、今ラマダンでさ」とか言われたりする。給食のある小学校で、給食はハラムだからという理由で毎日お弁当を持ってくる児童が出ることを、想像できるか、実際に起きたとして許容できるか……。
 寛容というのはそういうことだと思う。
 何もイスラムだけじゃない。キリスト教の中にも非常に戒律が厳しい宗派もある。よく話題に上るところでは、エホバの証人なんかが挙げられる。その他マイナーな宗教・宗派になればなるほど、一般社会の中で共存できる可能性は低くなる。
 逆に日本では今、もの凄い勢いで不寛容が浸透しつつあるのではないか、と危惧する。
 小さな所では「登校拒否」や「ひきこもり」「ニート」に対して寛容であろうという意見が報道から姿を消しつつある。「不祥事」や「犯罪」「不法滞在」に厳罰を求めてはいないだろうか。「少数派」に対してその特異性をあげつらい、嘲笑うような番組を笑って観てはいないだろうか。


2004年11月17日(水曜日)
 とりあえず紺野キタの新刊「SALVA ME」をGet。

 ドラフトの目玉、ダルビッシュ有はファイタースですか。楽天野球団が獲りに行かなかったのが、やや疑問ですね。地元密着型を狙うのであれば、獲っといて損はないと思ったのですが……。一場選手の場合、自由獲得枠を使わないでも大丈夫だったでしょうし(非道)。

 NASAX-43Aがマッハ9.8という記録を出したそうです。今年の3月にマッハ7を出していたのですが、再挑戦にして最終目標マッハ10を目指しましたが、僅かに及びませんでした。もっとも、結果は実に偉大です。なにしろ、マッハ10近辺でスクラムジェットエンジンが機能することが分かったのですから、これは大切です。
 スクラムジェットエンジンというのは、極超音速域でしか動かないエンジンでして、今回も前回もそうなんですが、B-52爆撃機からX-43Aを先端にくっつけたペガサスロケットを射出、ペガサスロケットの力でマッハ5.5くらいまで加速して、そこから漸くX-43Aの自力で加速を始めるという仕様です。実用機で使用する場合には、低速域で使用する他のエンジンとの組合わせが必要になります。亜音速くらいの場合はターボファンジェットエンジンが効率的ですし、亜音速から遷音速、超音速域であればターボジェットエンジンが、M3〜M6くらいの場合ラムジェットエンジン、そしてM6以上の世界で漸くスクラムジェットエンジンの出番ということになります。もちろん、飛行機に4種類ものエンジンを積み込むことはできないので(そんなことしたら重くて飛べない)、巧い方法を考えないといけないのですが。
 ちなみに日本のJAXAでは「複合サイクルエンジン」という、エジェクタージェットからラムジェット、スクラムジェット、ロケットまで一機でこなす夢のようなエンジンを研究しています。夢のようなエンジンなので、実現するまでには悪夢のような時間がかかると思いますが、実現すればそれこそ宇宙への距離が格段に縮まることでしょう。
 問題は、本気でそこまで研究開発費と時間を費やし続けられるか、そっちの方ですな。
 なお、NASAのスクラムジェットエンジンの研究は、X-43Aで終了するらしいです。


2004年11月18日(木曜日)
 富士見ファンタジアを9冊、ファミ通文庫を5冊、合計14冊と。

 「全裸の男が車運転、次々はねられた自転車の5人死傷とかいうニュースがありまして。
 多分状況から見て、覚醒剤じゃないかなぁという推測は成り立ちますね。服を脱ぎ捨てて暴行・暴走等の行動に走るのは覚醒剤使用者の典型的行動です。
 問題は、覚醒剤の使用が認められた場合、「心神耗弱」ということになってしまい、刑法第39条2項が適用されることなんですね……。ちなみに覚せい剤取締法での覚醒剤使用の最高刑は10年以下の懲役のようです。覚醒剤使用の上に殺人ということになれば、厳罰を以って臨みたいところなのですが、そこに先程の「心神耗弱」条項が絡んできてしまうわけです。
 刑法39条の規定については、かねてから色々議論のある所ではあるのですが、下手を打つと人権問題に発展しかねないところがなかなか難しいところです。


2004年11月19日(金曜日)
 「雲のむこう、約束の場所」を先行レイトショーで観てきました。
 良い作品でした。終わり。
 ストーリーそのものは、ハッピーエンドっぽく見せてるけど、実はかなり殺伐系でしたな。プロローグに最後收束する物語ですが、そう考えると非常に乾いた喪失感があります。
 人の一生には、本当に輝く瞬間がある……けど、それはほんの一瞬なのだと、流れる時間が教えてくれる。そんなことを感じた物語でした。

 余談。
 300席の劇場埋め尽くして立ち見まで出るレイトショー。
 集まった連中は一癖も二癖もありそうな、見るからにゆんゆん飛ばしていそうな奴等がごっそり。俺の後ろにはこの日のために大阪から駆けつけたデンパ
 渋谷のスペイン坂というロケーションに相応しくない光景でした。


2004年11月20日(土曜日)
 昨日本屋に行かなかったので、MF文庫Jを3冊程拾ってくる。
 他にも、ヨコハマ買い出しの12巻とか、夢路行全集の10〜12巻とか。12巻は「鈴が鳴る」だったんですねぇ。入鹿先生を久々に読んでちょっと幸せ(笑)。
 さて、明日はコミティアなのですが、Million Meansにはなんと新刊の予定があります! 一年三ヶ月ぶりの新刊ですなっ(爆)。
2004年11月22日(月曜日)
 FTRONの忘年会は12月12日ですか。TRON SHOWが平日開催なので、時期が少々ずれるのはしょうがないですかね。

 昨日はコミティアで、徹夜明けで突入してヘロヘロ。文芸関係のサークルを回る気力も殆どナシ。困ったもんです。挨拶回りだけでもと回り馴染みのサークルさんで本を買えば、「その本前回買ってましたよ」とか言われる始末。
 新刊にゃ誤字脱字が……(涙)。
 ええい。それでも出ないよりマシだと割り切ったんだから……割り切ったんだから……でも物悲しいところもアリ。
 ただ、久しぶりに猛烈に書いて思ったんだけど、私やっぱり書くの好きだわ。なんでここ一年も書いてなかったんだろう。

 IT Mediaに「テレビコマーシャル時代の終焉」というコラムが出ました。私が書いたものなんかよりよっぽどよく纏まっている上に深い考察がなされていますね。なるほど、と。
 相手を選ばず無分別に垂れ流すタイプの広告というのは、費用対効果という点では本来的に厳しいものがあるんだなぁと。資本力があって効果なんて厳しくは気にしないというならいいんでしょうが。
 いかにCMを意味のある情報と受け取ってくれる人のところへ送り届けるか、というのは、販促では本当に苦労します。私が手伝った某CDではユニット名がユニット名だけに、DM受け取った人から「怪しい会社からの詐欺か何かと思った」とか言われましたもんねぇ。10年以上前のファンの住所にDM出すのも凄い冒険でしたし(^^;
 受け取ってもらえない情報はゴミでして、SPAMみたいに送信費用がほぼタダならともかく、何らかの金銭がかかる以上は、効率良く効果的にというのは広告主にとっては大きな願いだと思います。放送業者側は、そっちの方を考えた方が良いでしょうねぇ。


2004年11月23日(火曜日)
 昨日突然Sio姉御からハイキングの招集があって、馳せ参じた勇者は総勢四人。主宰のSio姉御、風間さん、新婚なのに細君はGLAYのコンサートへ行ったとかで留守番予定だったミツルんに私。
 新宿から青梅特快で御嶽駅へ。御嶽駅からバスで御岳登山鉄道滝本駅へ。滝本駅から御岳山駅へケーブルカーで移動。
 御岳山駅付近の土産物屋で、それぞれ思い思いの買い物を済ませる。
 適当なところで出発。まずは御嶽神社へ。
 神社を適当に見て回って、日ノ出山方面へ出発。13時ちょいころに日ノ出山に到着し、ここで昼食。続いて三室山へ。針葉樹のところは足場が瓦礫で歩きにくく、広葉樹帯では朽ち葉が積もって歩きにくく、どっちにしろ歩きにくかったなぁ。登山道の右と左で広葉樹・針葉樹が綺麗に別れているところでは、広葉樹が手入れされていない針葉樹林帯へ侵食している様を観察できたりした。紅葉は全体として、まだ今一歩ってところでしたか。でも綺麗でしたけどね。
 三室山から降りている最中に、ミツルんが「空気の匂いが変わった」と指摘する。もの凄い湿気で、雨でも振ったのかというくらい。足元も泥濘るんで、余計歩きにくい。ゴルフ場を左手に見ながら登山道を降り、梅公園を横目に歩き、日向和田駅へ。日没前には帰りの電車に乗れました。
 とりあえずスモークチーズの塊と、干芋一袋、それに豆腐の味噌漬が本日の收穫品でした。

 うひぃ、疲れた。


2004年11月24日(水曜日)
 moetan IIですか……。もうどうでもいいです好きにして下さい。

 中日新聞より、「防衛庁、F4後継機選定へという記事。
 F-4EJ改の後継にF/A-22ですかっ。
 この話題は8月8日10日に採り上げているのですが、まさか本当にF/A-22を検討対象に挙げてくるとは……。
 この辺、周辺問題も絡んでるんでしょうか。
 自衛隊の規模縮小が財務省との折衝の上でも避けられそうにない状況では、より高性能な機体を配備したいという要求が出るのは必然というものでしょう。もしかしたら、韓国空軍にF-15E仕様のF-15Kが導入されることが決まった影響もあるのかも知れません。韓国は現在軍拡の真っ最中でして、来年度の予算も20兆8200億ウォンとか言っています。公称GDPが721兆ウォン(2003年)ですから、2.8%くらいか? 日本のGDPが500兆円くらいで防衛予算が単年で5兆円弱(中期防全体で25兆円を要求)。純額では日本の方が二倍以上の額面になるのですが、経済規模を考えると韓国は結構軍事費比率が高い国と言えそうです。(日本は韓国に比して国土面積も大きけりゃ人口も遙かに多いので、軍の規模が大きくなるのは当然なのですが)
 当然のように中国も昨今、Su-27シリーズの導入を着々と進めているわけでして、いかに「戦鬪中の撃墜が、就役以来ゼロ」という、俄には信じ難い戦歴を誇るF-15であっても、今後新規の導入には不安が残る、ということなのでしょうか。
 東亜の軍拡競争には、日本も一枚噛んでいるところがないでもないので、単純に他国を非難できるわけではないのですが、このまま不毛な競争ってのも嫌な話だよなぁ。

 米大統領選挙は実はまだ終わっていない……。
 と書くと何事かと思われるでしょうが、実際問題として、制度上終わってないんだからしょーがないんですよ。
 米国の大統領選挙は間接選挙で、11月2日に行われた選挙は大統領選挙人を選ぶための選挙で、ここで選ばれた大統領選挙人団が承認されるのが12月7日、大統領選挙人団が大統領ならびに副大統領に投票するのが12月13日、それが開票されるのが来年1月6日というスケジュールになってます。最終的な就任は1月20日。なかなか大変ですな。
 大統領選挙人の選任ならびに投票については各州に任されていますが、殆どの州では勝者総取りになっています……が、毎回の選挙結果を見ていると、何でか知らないんですが、裏切り者は出ているようです
 というわけで、今回の大統領選挙には、きっと第2幕、第3幕があるんじゃないかと密かに期待しているのです。とりあえず先週は、ニューハンプシャー州の一部で再集計が始まったという報道があって、なかなか楽しませてくれると喜んでいます、個人的に。
 2000年の大統領選挙は連邦最高裁が裁定を行いましたが、果たして今回はいかなる結末が待受けているのでありましょうか。

 私は常識人だから区別できるぞ>「病理解剖」「司法解剖」「行政解剖」


2004年11月25日(木曜日)
 茅田砂胡の新刊Get & Read。

 日経バイトの12月号のP122に「Best Way」というQ&Aがあって、初っ端の質問が「見た目が綺麗な無償フォントを手に入れるには」。
 憤死しそうでした。
 モリサワの基本7書体パックが4万かそこらで手に入る時代にさ、この質問はねぇ……。
 フリーのシステム用フォントとか、基本的な用途に提供するとか言うならともかく、オプショナルに「綺麗な」フォントを求めるのに金を惜しんではいけないと思う。
 強く強く思う。


2004年11月26日(金曜日)
 「水面に残る岩、最南端・沖ノ鳥島に民間初上陸ですって。
 ああ、私も一度行ってみたいんだよな、沖ノ鳥島
 小説のネタとして、沖ノ鳥島の周りにメガフロートを浮かべてロケット発射基地を造り、付帯設備と人員をこれまたメガフロートに住まわせて、無理矢理沖ノ鳥島を居住地として既成事実化する、というのを考えたことがあるのですが、メガフロートの計画そのものが中断してるもんなぁ。メガフロートは当時低迷していた鉄鋼需要を掘り起こす目的があったんですけど、その後中国経済の発展によって鉄鋼需要が急速に回復。それどころか供給が追い付かなくなってしまい、メガフロートなんか忘れ去られてしまったという……。(余談ですが、日産がこのあおりを喰らって操業の一部休止を余儀なくされております
 それにしても、この時期でも気温28℃ですか。北回帰線の南にあるだけはありますな。

 あちこちでコメントを求められたりしたので。
 「「日本語力」低下 4年制私大、国立さえ… 「留学生以下」お寒い大学生という記事があちこちで話題になってるんですが、なんかこう、的外れな意見が多いような。
 この記事の要目は、「リメディアル教育をすれば学生は伸びる」点でしょ。つまり、やりゃぁできる学生が、じゃあなぜできないのか、ということに思いを致さないといけないと思います。学ばない人間ができないのはある意味当然で、学ばないでできたら異常な人ですよ。
 大学側の問題としては、「国語力が中学生レベルの受験生を合格させている」ことについて指針をもっているのかという点です。記事中でも触れているように、多くの「国語力が中学生レベル」の学生は、補習教育によって国語力を向上させることが可能ですので、入学試験において評価する必要性がない、というのは一つの説明です。しかしその場合は補習教育をカリキュラムに組み込むことが必要になります。それを行っていなければ、唯の無策と糾弾されるでしょうね。
 高校側の問題としては、大学入学後に補習教育を行わねばならないような学力の生徒を卒業させているばかりか、あまつさえ大学入試に送り込んでいるという点で、教育品質を問われると思います。学校には、その教育成果としての卒業生の質を保証する義務があると私は考えているので、学校側の無責任体質にはほとほと呆れるばかりです。個人的にはこちらの方がより罪が重いと考えます。
 もっとも、教える方にしても「小学生用の漢字書き取り、正答率47%の教員ら免職・大阪市なんて記事が踊るくらいですので、そちらの方から問い直す必要があるのかもしれません。免職は結構なんですけど、定年も間際になって発覚するってのは明らかに変だろうよ?
 最後に学生の問題ですが、学生自身がそれで問題ないと思っていること自体は責められません。社会圧力による必要がない限り、人間技能を身に付けようとは普通は思わないものですし、必要がない技能を身に付けるには人生は短すぎます。極端な喩になりますが、現代社会で磨製石器を作る技能などは、極一部を除いて必要ないわけです。問題は、必要とされた時にそれを学ぶ準備ができているか、そちらの方です。
 漢字なら国語辞典や漢和辞典を引けば良いし、数学であれば高校の教科書を引っ張り出すのも良いでしょう。知らないことは恥ではありませんが、知ろうという意欲がなければそれは問題です。私などは、自身の漢字書き取り能力に自信がないので、普段からポケット辞書を持ち歩いていたりします。家に帰れば大漢和が待っています。ニュースを見ればソースを探したくなり、ソースを見ればまた関連研究を探したくなる……という循環構造が日常生活の一部になっている感があります。


2004年11月27日(土曜日)
 ウクライナがてんやわんやの様相。
 とはいえ、その問題の発火点たる大統領選挙が不正だったのか有効だったのかを判断するに足る情報はないねー。EUの選挙監視団がいちゃもんつけたらしいので、何らかの問題はあったっぽいけど、具体的な情報はナシ。
 そもそもウクライナってどこよ? というと、ロシアの東、黒海に面した国で、ポーランドやルーマニアにも国境を接した、軍事の要衝。クリミア半島を領土に持つ、といえば、要は火薬庫ですな。国土面積は日本の1.6倍で、人口は日本のざっと1/3くらい。歴史上独立していた期間が短い国なんだけど、ここの独立運動が東欧に及ぼした影響は大きいね。ちなみに陸軍総兵力14万4千人、海軍1万8千人、作戦機392機、ヘリコプター133機って、数だけなら自衛隊並みだなぁ。
 親米・親露派の代理戦争的な側面も見え隠れするんですが、しかし米国は他所の選挙にとやかく言えるような状況だったのだろうかと……。
2004年11月28日(日曜日)
 羽村まで親戚の家に。
 こういう機会でもないと、平気で十年くらい不義理してしまう人間だからなぁ>自分。
 しかし行った先でWindows Updateを実行している自分の姿というのは、場所が変わっても環境が変わっても逃れられない何かという奴があるということなんだろうかと、星でも眺めながら自問自答してみたり。

2004年11月29日(月曜日)
 最後の山場を迎えている仕事を切り上げてから、映画を観に行った。
 「SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW」。
 すげーイイ映画でした。
 1939年のニューヨークを襲う巨大ロボット! 立ち向かうは私兵を組織する正義の味方・スカイキャプテン! 謎の光線を放つロボットに、カーチスP-40ウォーホークが挑む!
 レトロフューチャー魂溢れるお約束の限りを尽くした、極B級映画ですよ。「正シヒ娯楽映画」ですよ。ツッコミ不可なのですよ。
 B級好きなら外せない一本ですね! 今年のB級映画は「スチームボーイ」で決まりかと思ってたんですが、こいつはお約束度と馬鹿っぽさでは上を行きますな。
 英国海軍カッコイー!(馬鹿)

2004年11月30日(火曜日)
 「リコール不正のメーカーに新車発売認めず、厳格審査へ。実は暫く前から取り沙汰されていて、俎上に乗せようかどうしようかと迷っていたのですが、方針が本決まりになったらしいので。
 個人的には反対です。
 件の新制度によって、自動車の欠陥が減少する、あるいは欠陥発覚後の対処が早くなる、もしくは欠陥隠しそのものが減少するというのであれば、相応の効果を認めるところです。しかし、新型車の審査を厳格化するというのであれば、全てのメーカの全ての車輛に対して行うのが最善であり、問題メーカだけを重視するのは些か効果に欠けるところがあろうと思います。
 現在の制度は、
  1. 欠陥の全くない自動車を設計することは不可能に近い
  2. 事前審査で新型車の欠陥を見拔くこともまた不可能に近い
  3. よって事後に発見された欠陥については速やかに改修対処することによって前者の責任を問わない
ということですから、2.項である審査を厳格化してもやっぱり欠陥車輛が発生することは不可避であり、効果は疑問と言うことになります。問題は3.項をいかに速やかにかつ確実に行うかではないでしょうか。
 ましてや、欠陥を含んだ新型車が審査を通過すると言うことは審査する側の能力にも限界があるわけで、対処能力が不足している連中に今以上の権力を与えることは、ロクでもない結果を招来することになるでしょう。
 もし当該メーカに対処能力がないと言うことでしたら、それは新車以前の問題で、会社に業務停止命令を出し、走行禁止命令を出してでも、市場にある車を回收せねばならないでしょう。
 個人的には、警察庁などとの連携により、事故発生車輛の統計的偏差を見て自動車研究所辺りに調査命令を出し、その結果から改修/回收命令を出せるようにする、などの方が良いように思います。

 Winny関連裁判で、主犯二人のうち、まだ判決が出ていなかった方の判決公判が今日あったようです
 主犯については言い逃れ不可能な著作権法違反だと思うのですが、弁護士がいかに弁護戦術とはいえ「開発者の方が責任は重い」とか主張するのはどうかと思いますよ。

 フィリピンとのFTA交渉が纏まって、看護師労働市場の部分開放が合意されたそうです。
 いやー、来るべき時が来ましたな。今後日本人の寛容さが真剣に試される時がくるでしょうよ。楽しみでなりません。
 個人的には、日本の労働市場の解放はいずれにせよ不可避であると考えます。豊かな日本に向かって、正規の労働者が職を求めてやってくる時代が来るわけです。そのときに、日本はいかにして彼らの人権を守り、日本国民の雇用を守るか。それが問われるわけです。