2021年6月1日(火曜日)
先日NHKのBS世界のドキュメンタリーで放送された「ステルス 戦闘機とレーダーの技術戦争」、なんかちょっと不可思議な印象を受けていたんだけど、制作がフランスだったので、納得。
ステルス機の歴史をホルテンHo229から説き起こすあたり非常に趣味的ですが、その後もU-2やらA-12/SR-71といった機体が紹介されるとか、一般にF-117を嚆矢とするステルス戦闘用航空機に限らない話題を提供してくれています。
B-2が1飛行時間あたり100時間の整備が必要とか、無茶苦茶な話もありましたが。まあB-2は同じ質量の金より高いという、そもそも頭おかしい機体ですからね。後継のB-21を早く見てみたいもの。
そしてなんといってもラファールをステルス機として紹介するあたり、フランスだなぁと。流石にステルス機として設計されたものではない機体に後付けでステルス性を付与した、と解説していましたが。
現在最も広く配備されているステルス機というと自衛隊も配備しているF-35になるかと思われますが、実際にどの程度の実力があるのかは、軍機の壁の向こう側となっています。しかし、同機を運用するイスラエルがイランを好き放題に空爆していることを鑑みると、どうもロシア製の対空システムはF-35を捉えられていないのだろうと推測できます。
いずれはロシアのシステムも対応するにしても、現時点ではステルス性の方が上回っている様子、と。
そりゃ各国はステルス機の開発に邁進しますわな。(それを80年代には実用化していた米国の凄さが際立つわけですが)
しかし当然ステルス機が主流になると今度はそれを迎撃するためのシステムに力が注がれるようになるわけで、その辺のシーソーゲームは今後も続くのでしょう。(恐らく米国はそのあたりでも先行しているものと思われる)
2021年6月2日(水曜日)
「イラン海軍最大級の艦船、出火後に沈没 オマーン湾」とか。
まああれやね。
革命防衛隊がやらかした件に対してすかさず強かに反撃するあたりイスラエルですね。絶対にやられっぱなしにはならない、やられたら必ずやり返す、という鋼の意志を感じます。
しかもお互い非正規戦。
そこを通航する船舶にエネルギー供給を依存している国としてはマジ勘弁して下さいって感じですが、このままエスカレーションし続けた場合、日本はどうするんでしょうね。
日本関係船舶も既に攻撃を受けているわけでして、全く他人事ではないのですが。
2021年6月3日(木曜日)
雲仙普賢岳の火砕流災害から30年だそうで、報道各社が記事を公開していたのですが、なんというか自分たちの責任を自覚してないような記事が多かった印象。
1991年6月3日の火砕流で亡くなった43名のうち、報道と無関係な死者は、それこそ火山学者のカティア&モーリス・クラフト夫妻とグリッケン氏を含めて数名。あとは無思慮な報道とそれに巻き込まれた犠牲者と言って良いかと思います。
避難勧告区域に入り込んで撮影を続ける報道陣に対して最後まで避難を呼びかけていた警察官、報道記者が住人が避難した住宅に入り込んで盗電・電話使用を行ったことから見回りをしていた消防団員、報道にチャーターされていたタクシーの運転手。いずれも、報道各社が殺したと言われても言い訳できますまい。
ただ、当時、90年代くらいまでの時期というのは、事故・災害の現場に報道が傍若無人に入り込み、刺激的な写真・映像を撮影することが求められた時代でもあったことは、記憶しておくべきことではないかとも思います。
御巣鷹山の日航123便墜落現場に入り込んで遺体の散乱する現場写真を載せた写真週刊誌が覇を競い合い、報道各社は争って衝撃的な絵面を求めていた時代でもありました。それが最終的に行き着いたのが、阪神・淡路大震災だったのではないかと思います。某社会派ニュースキャスターなどが現地入りして配慮のない報道を行ったことで、なんというか、潮目が変わったように思います。そういえば自衛隊への風あたりが大きく変わったのも、あれ以来とされます。
あれから30年。社会は大きく代わり、報道各社に求められる倫理性も変わってきたと思います。そのことに自覚的であって欲しいと、思わずにはいられません。
2021年6月4日(金曜日)
先月、台湾のワクチン購入契約を中国が妨害している、という話があったのですが、それを受けて日本から、当面使う予定のないアストラゼネカ製ワクチン(ウイルスベクターワクチン)を無償提供する、という話が持ち上がっていて、6月中にも……という話だったのですが、あっという間に話がまとまって、本日日航JAL809便で台湾へ空輸されていったそうな。
日本は現状でもファイザーとモデルナのmRNAワクチンを全国民分契約済みなので、国内製造したアストラゼネカ製ワクチンを死蔵しておくくらいなら有効活用しようというのは適切でしょうな。
問題は中国でして、台湾のワクチン確保を妨害する一方で、中国製ワクチンの供与を申し出ていたそうなので、一人北風と太陽をやろうとしていたら太陽役を日本にかっ攫われた形になり、不快感を表明しておりました。個人的にはそんな真似するなよと思いますが。
とりあえず今回124万回分で総量は未定。7月以降に台湾国内でのワクチン製造体制が整うということですので、二、三ヶ月程の間のことになりそうです。
アストラゼネカのワクチンは日本国内で製造ですが、日本国内で開発されているワクチンについては現在治験中で、どこが一番手で出てくるかまだ分かりませんが(アンジェスがPhase 2/3に進んでいるということですが)、できればmRNAワクチンの開発・製造能力は国内に欲しいところですね。そうすれば、新たな感染症へのいち早い対応が可能になるかと思われます。(国内製造は第一三共がやってるらしい)
mRNAワクチンは今回の疫禍で人類が手にした強力な武器で、今後の予防体系を一新する可能性を秘めています。既に汎コロナウィルスワクチンだとか、汎インフルエンザワクチンといった夢の様な話が飛び出してきていて、恐ろしいことに癌より難しいと言われていた「風邪」が駆逐される可能性すら出てきています。
また、ワクチンだけではなく、それを定期的に全国民に接種する体制作りも課題の一つですね。日本では集団接種がなくなって久しく、国が音頭を取って予防接種を行うことが出来ていないところが見受けられます。今回のワクチンも効果は半年か一年か、ともかく時間限定と思われるので、定期的な接種が必要になるでしょう。次回以降はきちんとした体制の下、円滑に接種が進むよう、制度づくりが求められる所です。
日本は、経験のない事態には弱いところがありますが、逆に一度でも経験したことならば高い対応能力を見せるところがあるので(特に災害対応など)、今回を奇貨として次に繋げたいところですね。
2021年6月5日(土曜日)
電子書籍のEPUBフォーマットは実態としてはXMLファイルや画像ファイルを格納したZIPファイルなのですが、一点「mimetype」ファイルが無圧縮で先頭になければいけない、ということになっています。
これが原因で、EPUBファイルを解凍してそのまま通常の圧縮ツールで再圧縮をした時にフォーマットエラーを出したりすることがあるのですが、その辺はUNIX/Linux上のzip等で作成する方法は広く公開されています。
しかしこれがWindows上となると、専用のePubPackなんてGUIソフトがあったりして、コマンドラインからなんとかする方法がなかなか見当たらなかったりしたのですよね。うちでは普段から7-ZIPを使っているので、できれば7-ZIPのコマンドラインだけで完結すると有難いなぁと以前から思っていたのですが、7-ZIPだと「先頭に無圧縮でmimetypeを置く」のが難しいらしく、なかなか方法が見つからなかった。
で、ようやく本日海外のフォーラムで方法らしきものが公開されているのを見て、自分でもやってみたら、できた。できたんですが……。
mimetypeを「!mimetype」などの別の名前に一旦変更しておいて、mimetype以外のファイルを圧縮したあと、改めて、
7z a -tzip ..\ebook.epub .\!mimetype -mx=0
7z rn ..\ebook.epub !mimetype mimetype
……て感じで圧縮ファイル内でリネームするという方法だった。なんじゃそりゃ。
しかしやってみると確かにこれでできてる。バイナリエディタで見てもファイルの先頭にmimetypeが無圧縮で並んでる。7-ZIPはリネームされたファイルを先頭に持ってくるとかいう挙動をするのか?
Bad Know-howじゃねーの、これ……。
2021年6月6日(日曜日)
「エルサルバドル大統領、世界で初めてビットコインを国の通貨として認める法案提出へ」とかいう報道が。
エルサルバドルは現在自国通貨を発行しておらず、米ドルを法定通貨としています。外国通貨を法貨としている国はそれほど珍しくもなくて、自国通貨の信用負担が困難な経済規模の小さな国ではよく見られます。しかしその場合でも、他国(この場合は経済力が強い国)の通貨を採用することが殆どで、国家の裏付けのない暗号通貨を法貨とするのは、実現すれば初めての試みということになるかと思います。
ただ、上手く行くか、という話になると難しい面もあろうかと思います。
通貨には幾つもの役割がありますが、特に決済手段としての通貨という側面に着目すると、その価値が安定的であることが求められます。通常年2%程度のインフレ(価値下落)が念頭に置かれますが、ビットコインの価値は、投機対象ということもあって乱高下しています。ちなみに米ドル-日本円の為替レートの変動幅は大体1日1~2円程度です。世界的に大きな事件が起きても10円も動くことはありません。が、ビットコインは一日に1BTCあたり何万円という単位で価値が変動します。一般の法定通貨でもハイパーインフレなどが起こると朝つけた値段を昼には変更するなんてことが起こるそうですが、そのような状況下では安定した決済が行えず、大抵の場合外貨で決済したり物々交換まで退行したりといった現象が起こります。
通貨価値が安定しないと支払いのための値付けが一定させられなくなりますから、通貨としての利便を損ないます。一時期日本でもビットコインでの支払いをする店舗がありましたが、余り普及しなかった理由の一つではないかと。
法定通貨を自国で発行しない場合、通貨の安定は他人任せになります。米ドルの価値は米国政府と連邦準備制度理事会が責任をもって安定させていますが、ビットコインにはその主体がありません。完全にビットコイン市場の流れに身を任せることになります。
また、他国との取引でも通貨として受け取って貰えるかどうか不明瞭なところがあります。外為での取扱いも不明瞭です。中国のように国内金融機関での取扱いが禁止されている国もあります。
とまあ、様々な面から実現しても苦労は多いだろうと推測されるわけですが、それでもなお、大きな一歩となる可能性はあるかと思います。
2021年6月7日(月曜日)
体調不良で寝込んでいた一日。
2021年6月8日(火曜日)
「「子どもへのワクチン接種やめろ」電話殺到 12~15歳に接種の町に「殺すぞ」脅迫も、業務に支障」とかいう記事があって、虚構新聞なら良かったんですけどねぇ、京都新聞だった。しかもちょっと調べたらネット上で犯行声明を上げている人達がわらわらと……。
頭痛い。
自分一人、何らかの信条に依ってワクチン接種を拒否するのであれば、一応愚行権の範囲であろうと思いますが、接種を希望する他者を妨害すれば、それは威力業務妨害罪でしょうな。本来的には予防接種が個人の健康ではなく集団免疫の確立を目指すものであることを考えれば、個々人のワクチン接種の拒否は社会全体を危険に陥れる行為なので愚行権の範囲を超えるとも思えるところですが、その辺は「許容範囲」があるので難しい判断です。
個人的にはこの手の行為は実際に行ったものより行為を使嗾した者の方が罪が重いと思っているので、公衆衛生毀損罪とか同教唆罪といった罪状を作る方が良いように思えます。
しかし本当に「ワクチン接種ジレンマ」だなぁ……。
2021年6月9日(水曜日)
Windows Updateの日だったので、この際と思い、メインマシンを21H1に更新してみた……ら失敗した。
ほげー。
サブマシンでは問題なく更新できていたのに何が問題だ?ともう一度更新作業をやってみて注意していると、再起動時に何やらコケている様子。
むむ。これはデバイスの初期化辺りか、と見当をつけて、USB接続のデバイスを外していくと、プロセスが走り始める。
ありがちなやつである。
USBデバイスはかなり安定してきているとは云うものの、やはりコントローラやハブ、デバイス、ケーブルの組合わせが無限と言いたくなる程あって、さしこみ-いのり-えいしょう-ねんじろ!
とカント寺院で灰になるくらいの確率でトラブルに遭遇することはあるわけです。
まあそれでも活線挿拔ができるので楽ではあるのですが。
2021年6月10日(木曜日)
朝日新聞アピタルに「積極的勧奨控え8年 HPVワクチン効果、国内外で報告」という記事が掲載されていて、大反響を呼んでいました。Twitter上のコメントはまさに「お前が言うな」一色です。
あまりの内容に、本紙ならもう少しマトモなんではないかと淡い期待を胸に図書館で紙面を確認してきたのですが、副反応を出した被害者に対して医療者が心ない言葉をかけたとかなんとか、むしろもっと酷かった。
HPVワクチンの問題については「概ね朝日新聞のせい」という立派な論文ができあがってしまうくらいには責任があるはずで、もちろん今からでも普及に尽力するのは当然ですが、その前に4番目の委員会を作って自社報道を検証すべきじゃないんですかね?
たまたま本日の一面を見たら値上げの布告が載っていましたが、今のままならいずれ消えていく運命にあるんじゃないかと思いますな。
2021年6月11日(金曜日)
NHKに「ワクチン廃棄防止へ 冷凍庫の温度自動監視システム導入 埼玉」という記事があったわけですが。
自分が同じ要求をされた時に、これを思いつくだろうか、という点で非常に勉強になるソリューションですね。
「冷凍庫の温度自動監視システム」を考えろと言われると、つい冷凍庫のシリアルインタフェース(もしくはGPIBとか)からステータスを取得できるだろうか?とか考えてしまいがちですが、人間用の7セグ表示をWebカメラで読み取って画像認識で数値を読み取るとか、力技だけど正しいというか、「これで良いのだ!」という感じ。
これならば、例えば冷凍機の機種が変わっても、大抵の場合人間用のインタフェースは存在するのですから、カメラを向ける場所を変えれば済みますし、プロトコルの違いを意識する必要もありません。ワクチンの種類が変わって冷凍庫が冷蔵庫に変わったとしても対応できるでしょう。
もっとも、画像認識プログラムをクラウドに投げているとかになると、ネットワークが途絶したらどうすんだみたいな問題は出てきますが、数字を読むくらいなら今時ローカルでも走るでしょうからね。
いやはや、こういう出来合いのものを組み合わせてなんとかする工夫というのは、時に思いもよらぬ成果物を生むものです。
2021年6月12日(土曜日)
散髮に行ったら、マスクしたままカット、なんて様式になっていた。
理容師さんが器用に紐を避けて鋏を入れてくれたけど、マスクで隠れるのは口元だけだし、耳に回る紐さえ回避できればできなくもないんだなぁ……。
それにしてもクリーンルーム並の空気清浄度!みたいな怪しい宣伝文句が付いた空気清浄機が鎮座ましましているのはちょっと……という気分になるのであった。だって換気のために入り口ドアは開いてるんだぜ。一体何をしてるんだろうという気分にもなる。
2021年6月13日(日曜日)
なんかG7でオリンピックやります宣言してきたらしく、あれだね、対外的に公言することによって退路を断ったつもりなんだろう……。
五輪が開催できるかどうかという話であれば、別に開催すること自体は可能だと思ってる。問題はその結果として起こるであろう諸問題にどう始末をつけるかについて、どうにも政府の方針が見えないことであって。
尾身先生らの「自主的研究」によって、開催を行えば国内のCOVID-19感染状況が悪化するのが、科学的には強く予想されるわけで、であれば当然、やるというのならばそれに対する対策を用意した上で行わないといけないわけです。
……が、見えて来ないんですよねぇ、対策。
現在医療資源はワクチン接種に投入されている関係で、“次の感染爆発”に備えた準備が進んでいるとは言いがたい状況です。他国の事例を見れば、恐らく接種率が60%くらいまで進むと感染の流行自体はかなり收束するのではないかと予測されますが、それはどう考えても秋頃の話で、五輪には間に合いません。
どうもその辺の「予想される未来」に対する過度に楽観的な姿勢が見え隠れするのが気になる所です。
2021年6月14日(月曜日)
昔「Windows 10が最後のメジャーバージョン」って言ってた気もするわけですが、24日に「次世代Windows」の発表があって、さらに現行Windows 10の保守期限が2025年までとされた、と。
Microsoftがこの種の約束を反故にすることは珍しくないし、またこの辺りの方針転換の速さ、変わり身の速さは評価すべき点もないではないので、拘ってもしかたないのですが、半年に一度の大型アップデートではできないような更新をする、ということなんでしょうかね。
あるいは最近、Microsoftの提供するサービスから「Windows」の文字が消えていっているということなので、商品名を「Windows」でなくすのかも知れず。
流石にLinuxへの移行ということはないと思いますけれども……。
ただ、Microsoft社内では以前から「Windowsの次」を担うOSの研究開発は行われていたので、どうせならNTカーネルから新規開発の次世代カーネルに完全移行するとかの、あっと驚くような話題を提供して欲しいものです。
2021年6月15日(火曜日)
今年2月から3月にかけて相次いだみずほ銀行のシステムトラブルについて、第三者委員会による調査報告書が出たとの報に接し、どれどれと眺めてみた……んですが、PDFで167ページもある報告書で、簡単に読めるもんじゃないよこれ……。
とりあえず、ざっと読んでみたわけですが、この報告書では2月28日、3月3日、3月7日、3月12日の4回にわたったシステム障害を「本件障害」として取り扱っているのですが、原因は全部異なり、運が悪かった面もないではないように思えます。特に3月3日と3月12日の障害は、それぞれ別のハードウェア障害を起因としており、これを未然に防ぐことはできなかったとは思います。
逆に3月7日の事例はプログラムの仕様書に初期化処理を書き落として、それがリリースまでの全段階で見落とされたというどうにも弁解のしようのないものでした。
ただ、どれも共通しているのは、障害発生の後の対処、復旧作業がマズかったことで、事態を全体的に把握して対応を指揮統率するHQの不在・存在感の薄さや縦横の連携の悪さ、部門ごとに自分の担当範囲の原因究明・問題解決に没頭してしまい、さらに原因を究明しないまま場当たり的な措置を取って事態を悪化させるなどの混乱が起こっています。
でもまあ仕方ないんですよ。何しろ重大故障時に必要な故障統制の役割を担う部門が欠落した可能性がある
と書かれてるくらいで、そもそもHQがなかったようなので……。そうなると現場の要員にできることは、目の前の問題に対処することだけになります。
28日の事例ではプレスリリースを出したかったけど担当者に諮っても返事が来なくて何時間もロスをしていたり……。こういう時には執行役員などの権限持ちがその場で独断専行する必要があるわけですが、何しろ非常対策プロジェクトチームが開催されたのが17時とかなので……(障害発生が9時50分頃)。むしろ各店舗で独断専行して被害を軽減した事例があったと書かれていたくらい。
全体としてみても、仕様の確認、負荷の検討、プログラム試験、異常時の想定、各種訓練など全般にわたって不足していることが窺え、事業継続計画のペーパープラン化が強く疑われます。
なんというか、前途多難だなぁ、という感じ。
なにやら報道によると今回の一件でみずほのCIOは退任することになるらしいですが、これだけやらかせば致し方ないでしょうな。そしてまた、後任の人がちゃんとできるのかと言われると、報告書のまとめにこのように、本障害には、過去の障害事例との共通項がいくつも認められ、かつ、その一部は再発防止策の中で謳われた事項であるにもかかわらず、再度同じ原因により障害が発生しており、危機対応力やITガバナンス等の面に根深い問題があることを窺わせる。
なんて書かれちゃってるくらいなんで、個人の力が及ぶところなのか心配ではあります。
どうも企業風土として危機対応に真剣ではないところがあるようなのですが、これは修正するのは大変だと思います。
訓練というのは、掛け捨ての保険のようなもので、何事も起きなければ無駄になるしかないものです。真剣にやらなければ意味がないのですが、効果がある訓練をしようと思うと事前の準備から事後の検討まで相当なヒト・モノ・カネを費やす必要があります。通常業務にも支障が出るので、防災訓練がおざなりになっていくのと同じで、手を拔き始めると止めどなく形骸化していくわけです。
それを堰き止めさらに現実味のあるものに変えていくのは、特に担当執行役員の強い意思と指導力が必要になるのですが、果たしてみずほにそれが可能でしょうか。答えは10年もしないうちに出るでしょうが……。
2021年6月16日(水曜日)
「Windows 11のUI・起動音・壁紙などがリーク情報から明らかに」とのことで、“さよならすべてのWindows……”とはならなかったようで。
しかし見た目やUIをいじるのはやめてくれないかなぁ。内部構造なんてどれだけいじり倒しても構わないけど、操作系が変わると教育コストが嵩むってのに。
そしてあれこれ情報を探っていくと、Haswell以降必須とかいう情報が流れてて、うちはCore2Duoとかまだ現役なんじゃが……。メインマシンはIvy BridgeだしタブレットはAtomだし一番新しいのはApollo Lakeのファンレスという辺りで、近年は完全に低消費電力方面に振ってたから、困ったもんだなぁと。
でもファンレスは正義だから仕方ないんですよ。
ともあれ、これでそう遠くない将来においてメインマシンの更新は確定。どこかの段階で機種選定を始めないとなぁ。
2021年6月17日(木曜日)
防衛省防衛研究所が公開したNIDS Commentary「経済的相互依存と戦争-理論の整理と解説」が大変興味深い内容だった。
“自由貿易によって戦争は回避される”という古典的な理想論は現在様々な研究の果てに、“経済的相互依存は戦争の可能性をある程度低減させる。ただし状況によってはむしろ戦争を促進してしまう”という複雑な意思決定システムの考察へと進歩しているのですが、それを簡単に解説した文章。
日本と韓国、中国と台湾などを念頭に置いて読むと、なかなか味わい深く、戦争の危機が迫っていることを感じさせる良い内容です。
「ここまで強く迫れば相手は妥協するだろう」と思って強く出たら、相手の限界点を踏み越えてしまい、相手国が退かなくなっちゃったんだけど今更こちらも後には退けないとか、間拔けにも程がありますが、でもしばしば起こるんですよね。
2021年6月18日(金曜日)
正式名称がよく分からないながらもCOVID-19の専門家が集まった有識者一同が、東京オリンピックに向けた提言を大会組織委員会と政府対策本部に提出したと。
五輪をやるなら、無観客がベスト。客を入れるならばより厳しい基準で、という話なんだけど、個人的にはそこまでやらなきゃいけないなら、いっそ五輪を中止すりゃ良いのにとしか思えなかった。
ここまでのリスクを負って開催する意義は、私には見い出せません。
政府が何故ここまで前踣りになって有観客開催を目指しているのか理解ができませんが、実際にやったら後始末が大変でしょうね。デルタ株の影響がない、という一番楽観的な想定は、恐らく現実味がないので、デルタ株の影響アリで人流増加のパターンが“もっともあり得る”未来じゃないかと思うんですが、もうグラフ見ただけで気が遠くなりますわ。
オリンピック・パラリンピックの最中に緊急事態宣言なんて事態に陥るのは、御免被りたいところです。
あと2ヶ月早くワクチン接種が始まっていれば違ったんでしょうが、現状では、中止or延期が最上、次善が無観客、観客を入れて開催は下策だと思います。
2021年6月19日(土曜日)
川口行。
普段から良く呑んでる人って、このパンデミック状況がかなり辛いらしいという話を聞けた。生活様式を変えなきゃいけない、というのは、ストレスを伴うのだろうなぁ。
2021年6月20日(日曜日)
Base64エンコードしてHTMLに埋め込んだインラインイメージを逆変換してバイナリにする必要が出て、ブラウザ経由でやっても良いんだけど大仰だよなと思ってPowerShellスクリプトを組み始める。.NET FrameworkにBase64エンコードのメソッドがあるんだからデコードもあるだろ、と思って探せばすぐに見つかったのでポチポチとスクリプトにする。
このくらいならコマンドラインに直でも良かったかなぁ……。
2021年6月21日(月曜日)
東京五輪組織委員会が有観客での開催を決定とか報道で聞いて、あの提言を一体どういう風に読んだんだろうか?と大変訝しく思う。
あの提言を読んだ上で観客1万人もしくは収容人数の50%を入れて開催とか、どうやったらそれで感染拡大を防げるのか、見当もつかない。実際、具体的な方策についてはノープランらしいので、一体何がどうなっているのか……。
このタイミングでなんですが、東京の実効再生産数が1を超えたんですよね。どうするんでしょうか……。
2021年6月22日(火曜日)
PowerShellスクリプトを組んでいたら、妙なエラーを吐いたので調べていくと、Test-Pathが想定外の動作をしていて、Falseを返してくる(ハズ)の入力でTrueが返ってきていた。
なんじゃそりゃ?と思って調べていくと、どうもこれバグじゃねぇの?的な。
いや、設計ミスか……。
普通にPathを使うとワイルドカード文字が展開されてしまうので、文字列によっては実在するパスと一致することがあり得る。つまり、LiteralPathを使えってことだな。
それにしても、ファイル名からMIME Typeを取得するMimeMapping.GetMimeMappingメソッドなんかが.NET 5以降廃止になっているとか、一体どういう了見なのか……。明らかに困るだろう?
2021年6月23日(水曜日)
夫婦別姓を求める裁判が最高裁大法廷で判断されるというので、ちょっと驚きとともに見守っていたのだけれども、前回の判断を覆すまでには至らなかった。
しかし判決文は凄い有り様で、全49ページ中2ページ目以降に裁判官の意見が記されるという異論反論の嵐。これは相当揉めたんじゃないかのう……。15人の裁判官のうち、反対意見が3名(宮崎裕子、宇賀克也、草野耕一)、3名が補足意見(深山卓也、岡村和美、長嶺安政)、意見が1名(三浦守)で7名が何らかの形で意見を述べているので、次か次の次辺りで違憲判決出るんじゃないかという予感がしますね。
個人的に三浦守裁判官の意見が凄くて、途中まで読んでると、あれこの人反対意見(つまり夫婦別姓に賛成)なんじゃない?と思ってたんだけど、最後の最後に「でも現行規定に基づいたら手続自体は適法」という凄い内容だった。まあ、確かに立法措置が取られていない以上、役所の窓口が勝手するわけいかん、という見解には同意せざるを得ないところではあるが……。いや、これでいいのか、本当に?って言いたくなる。
ところで旧姓を通称として使用することによって制約が緩和されている面があるが、それは同時に夫婦同氏であることの合理性を失わしめている、という見解は卓見だと思った。
とりあえず、明確に反対した裁判官が3人、違憲だけど届出の受理は命令できないが1人、覆すまでには至らないが3人という状態の上で、立法政策と裁判所の判断は別次元の問題(つまり別に夫婦別姓を違憲としたわけではない)という話なので、結局問題は立法府に戻っていくのであった。
それにしてもPDFのままだと非常に読みにくい。構造化文書にして欲しい、切に。
2021年6月24日(木曜日)
「「陛下は開催で感染拡大しないか懸念と拝察」宮内庁長官」という凄いネタがぶっこまれてきました。
現行憲法において天皇は政治的権能を有さず、国事行為と公的行為を儀礼的に行うことになっております。従ってオリンピック組織の名誉総裁を務めていても実質的権能を有しません。実質的権能がない名誉職であって唯々諾々と儀礼をすれば良い…のではあるのですが、では個人としての天皇に政治的意見がないのかというとそんなわけはないわけで、しかしそれは実を伴わない、と法制上されています。
実態はどうなのかという話になると、明仁上皇陛下の二度のビデオメッセージ(1,2)に見られるように、政治的影響力がないわけではない…というより、厳然と「ある」と言うべきでしょう。しかしそれは法に裏付けされた絶対的なものではなく、世論や空気によって形作られる無形かつ根拠なき影響力、権威というものです。法に根拠がないので、一度発動してしまえば反対も撤回も難しく、あらゆるものを押し流してしまう危険性すらあります。
それ故にこの天皇の力は振るいどころが難しく、先に上げた退位のお言葉にしても、実際のビデオメッセージが流されるまでに様々な情報が小出しにされ、世間の反応を窺っていたものと推測されています。今回のコロナ禍においては、ご進講受けたことを公開し一部言葉を添えるなどという形で、反応を窺っていたようです。
今回の「宮内庁長官による上意の拝察」は言ってしまえば観測射撃みたいなもので、世論と政府の反応を見るための探針です。なので食らった国の側も「宮内庁長官の考え方」と公的には返答せざるを得ません。本物の上意ですとは言えないし、言ったからといって何ができるわけでもないのです。当然天皇には政治的権能はないので、これによって政策が変わってもいけません。
ここからは難しい鬩ぎ合いです。法的根拠なき権威ですので、政府がこれを無視することについて何らの責任が発生するものではありません。しかしでは本当に無視できるのか?と言われるとなかなかに難しいでしょう。かと言ってこれによって政策が転換したという証拠を残すこともまたできないわけです。
今回は飽くまで「宮内庁長官の言葉」であるというのも、その辺の引き際というか落とし所を考えた上での形式でしょう。本当に天皇陛下が直にお言葉を発すれば、どちらも引込みがつかなくなりますので、恐らくそれがあるとすれば、全てが決まった後のことでしょう。それこそ、譲位のお言葉のときと同じように。
しかしこうして世間の動きを見ていると、この21世紀の日本にも良くも悪くも天皇の権威が生きているんだなぁと実感させられます。史学、政治学、社会学等の研究対象ですよね。
2021年6月25日(金曜日)
Windows 11発表~。
リーク版で言われていた通り、対応CPUはAVX2以降となる模様(Intel / AMD)。さらに32bit版もなくなると。ということは必然的にWin16が終焉するということでもあります(今までサポートしてたことの方が凄い気もするが)。
これはかなり思い切って環境を切ってきたなぁ……。(流石にアプリケーション・プログラムは古くても動くだろうけど)
これでうちにはWindows 11が動くPCがないことははっきりしたので、新PCを導入するかどうかを含めて検討に入らないといけないなぁ。
今のところWindows 10のサポート期限は2025年10月14日。Windows 10終了まであと1,571日、1,571日しかないのだ!(定型句)
2021年6月26日(土曜日)
接種券届いたー。
でも接種予約ページにログインしようとしてもエラーになるのであった。
なじぇ?
5回連続で失敗すると番号がロックされてしまうらしいので、一旦様子を見ることに。
月曜日にでももう一度やってみよう。
2021年6月27日(日曜日)
昨日午後から体調が悪く、熱を測ってみたら37.4℃とのお達し。その後体温は上がり続け、38.3℃まで上がる。
本日になっても状況はあまり改善せず、一度は36.6℃まで下がったもののまた38℃台にまでぶり返すなど、体温が乱高下する一日。
恐らく痛風の全身症状だと思うのだが、このご時世だと行きつけの医院に転がり込むこともできぬ。(土日だから休みだけど)
2021年6月28日(月曜日)
今回のCOVID-19疫禍においてファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチンが強力な威力を発揮していますが、一方で独キュアバック社のmRNAワクチンは治験で有効性を示せなかった、と。一方でNovavax社の組換えタンパクワクチンはファイザー・モデルナのワクチンに匹敵する效能を治験で示している、と。
つまり「mRNAだから」效くという話ではなく、また「組み換えタンパクワクチンだから」效かないという話でもなく、なにやら別の要因、例えば「プロリン2置換法」が関係しているとかいう話なのだろうか。
詳しい研究は今後、だろうけども、不思議な話であることよ。
とりあえずワクチン接種1回目の予約が比較的近場で取れたのは良かった。
2021年6月29日(火曜日)
先週末のNHKスペシャル「パンデミック 激動の世界(12) 「検証“医療先進国”(後編)なぜ危機は繰り返されるのか」」を観たんですが、問題認識の所は凄く的確だったのに、対策の方に移ると途端に奇天烈な方向に突っ走るのはなんでなんですかね……?
「医療大国」日本が今回のCOVID-19禍に上手く対応できなかったのは、医療拠点一つ一つが小規模で薄く広く展開されていたことにより拠点単位での対応余力が充分に抽出できなかったこと、医療制度が経営的視点からの合理化で平時に適応特化していたことなどの分析は見事でした。そしてそれらが平時における豊かな医療アクセスを支えていたときちんと説明していました。有事に医療資源の配分をトップダウンで変更することが難しいという事情も語られました。
そこまでしておきながら、なぜか解決策として、必要のない診察を減らすとか、埋もれている医療資源を発掘するとか、有事になったら資源の配分を最適化するとか、より一層の効率化という方向でしか解決策が出てこないのはなんでなんですかね。何か政治的事情でもあるのだろうかと疑ってしまいそうになります。
番組で解き起こした問題点を解決するならば、民間医療施設の思い切った集約・大規模化、非常時対応余力の平時からの確保、それらを含んだ医療制度の見直しという辺りに着地すると思うのですが……。民間病院の再編は難しいというのであれば、国立病院機構や自衛隊病院などを有事の対応余力と位置づけて、これらの病院は平時の稼働率をぐっと下げておき、通常ではない伝染病や災害、戦災への対応の準備・訓練をさせておく、といった方法でも良いと思います。
ともあれ、この問題を解決するならば、真っ当な方法としては、国費を投入しての医療資源の余力確保である、というのは疑いないところ。右にあるものを左に持って行ってなんとか……で收まらない問題だという認識がありながら、基盤そのものを強化しようという順当な結果が出てこないのは、本当に、どうしてなんですかね?(別にイスラエルようになれとまでは言わないが)
2021年6月30日(水曜日)
梅雨時の天気を睨みながら、週末を待たずに都議選の期日前投票を決断。
自宅最寄りの投票所へ行くと、なんとそこは北区の大規模ワクチン接種会場でもあって、ご老人が投票所の隣に列をなしていた……。
まあ、こんなに皆さん接種に積極的ならば、集団免疫も遠からず実現するんではないですかね。
ところで、都議選北区選挙区は定数3に対して5人が立候補。自民、公明、共産、都民ファ、維新というラインナップなんですが、戦略的に誰に投票すりゃ良いんでしょうな。