2021年8月1日(日曜日)
2日から東京都の周辺3県と大阪府に緊急事態宣言が拡大されるそうな。北海道、石川、京都、兵庫、福岡には蔓延防止等重点措置、と。
前回も前々回もそうでしたが、どうしてこの政権は手遅れになってから手を打つんですかねぇ……?
現状の各種指標数値を見る限り、2週間後に感染が收束方向に向かっていることを予想させるものは何もないわけでして、恐らく今後も急速な感染拡大が続くと思われます。
ワクチン接種によって65歳以上の高齢者の感染は減っていますが、実数は増えているということで、これは率の低下を上回る母数の増大を示しています。これは20代30代の「重症化しにくい」年代でも同じことで、率が低くても母数が増えれば実数は増大し、現実問題として東京都は空き病床が足りません。
都知事は自宅療養を勧めているそうですが、自宅療養であってもモニターはせねばならんわけで、そのための人員がどこから湧いて出てくるのかと……。
2021年8月2日(月曜日)
ETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」は久しぶりに凄いドキュメンタリを見た、という感想。
元々日本には「精神科特例」という特例があって、精神科病棟は医師・看護師の定数がそれぞれ1/3、2/3になるという特例があるのですが、そのような精神病院をCOVID-19が襲うとどうなるか……という“不都合な真実”が赤裸々に描かれていました。
カメラが中心になるのは都立松沢病院ですが、ここに東京中の精神病院からCOVID-19患者が搬送されてくる。しかし各病院の状況は余りにも劣悪で……。
精神科特例の存在からも分かるように、日本の精神病棟は療養施設と言うよりは隔離施設でして、医師・看護師の数から言っても設備面から言っても、このような強力な感染症に対処するのは困難です。
しかしそのような状況が放置された結果、入院患者の人権が著しく侵害される事態が惹起されていたというのは、これは現代日本の話なのかと戦慄を禁じえません。多くの患者を簡易トイレ一つの鍵のかかる狭い部屋に閉じ込めるなど、病院としてそんなことして良いのかと……。
日本の精神病院が、治療か回復・社会復帰ではなく、社会からの隔離を目的としてきたことを、反省し改善しなければいけないと感じさせる良い番組でした。
2021年8月3日(火曜日)
「8番らーめんの「野菜らーめん 塩」がカップラーメンになって登場!」とな。
8番らーめんは主に国道8号線沿い(≒北陸道)に展開しているチェーンのラーメン店ですが、太麵が特徴です。私の太麵好きはこれが原点なのではないかという気もします。個人的なイチオシは塩バターですね。
で、ローソンで販売ということで家の最寄りのローソンへ行ったら、並んでなかった。
仕方ないので近所のローソンを調べ倒して店舗ハシゴして探してきましたわ。
カップ麵ながらも8番っぽさは十分感じられたと思う。やはりバターが必要であろうとは感じたが。
2021年8月4日(水曜日)
政府が2日に「重症者以外は自宅療養に」という方針を示したせいで、あちこちで大混乱が起きていますね。
まず大前提として、病院の病床は、これ以上は大幅に増えたりはしません。また宿泊療養施設に関しても、上積みは難しいでしょう。
であれば、感染者数の激増によって入院ができない患者さんが増え、自宅療養に回される。これは「結果」、あるいは現実への対応であって、政府が意図した「方針」とは言えません。単に「そうせざるを得ない」だけです。
泣こうが叫ぼうが医療資源は湧いてこないので、トリアージによって選別するしかなくなってしまったわけです。
宿泊療養施設であれば最低限看護師・保健師が観察してくれますが、自宅療養であればそれすらも期待できません。一人暮らしであれば、状態が激変して身動きも取れなくなれば、あとは死を待つばかりです。
しかしそれももう「仕方ない」のです。だって宿泊療養施設すら足りないし、人的資源も足りないし、言ってしまえばこの段階においてできることはもう殆どないのですから。行政の仕事は「こうならないようにする」ことですから、こうなったらもう後は被害を少しでも食い止めるために全力を尽くすだけというものでしょう。
一つあるとすれば、自衛隊の野戦病院を展開して宿泊療養施設の代わりにすることでしょうか。それなら、少なくとも一箇所に集めて観察することだけはできます。ただ、展開場所として使えそうな施設は使用中ですけどね。
2021年8月5日(木曜日)
本日到着だと思っていたAmazonの荷物が、明日着予定になってた。今東京は五輪の関係であちこち交通が規制されていたりして、配送業も大変そうだなぁ。
ここ数日酷暑というのも生温い状況になっていますが、こんな最中に屋外で競技しなきゃいけない選手の皆さんも大変だよな。
五輪選手だけじゃなくて、高校総体とか甲子園とかもあるので、こういうのに関しても今後考えていかなきゃいけないだろうなぁ。(全部屋内でやるとか?)
2021年8月6日(金曜日)
単三形の充電池を1本、充電しようと充電器にセットしたところ、突如全てのランプが点滅を始める。
これは故障か?!と慌てて電源から拔いて、暫くしてから再度やってみたけど同じ症状。
ご臨終か……と思いながらも、型番から取扱説明書をWebで検索してみる。今や存在しないメーカなのであまり期待していなかったのだが、吸収した会社のWebサイトの中に取扱説明書があった。
そして、全ランプ点滅の症状は……「充電する場所の温度が高い、または低い」「0℃~40℃の場所で充電を行う」。
まさかのオーバーヒートであった。で、涼しげな場所へ移したら動いた。
東京の夏は過酷である……。
2021年8月7日(土曜日)
なんか一部では8月6日なのに原爆特番がなかった!と言われていたNHKですが、別に年中いつやっても良いと思いますけどね。
今日のETV特集「日本の原爆開発〜未公開書簡が明かす仁科芳雄の軌跡〜」は中々良い出来でしたね。どうしようもない再現ドラマがなければもっと良かった。
仁科芳雄博士は日本陸軍主導の原爆開発に携わった原理物理学者として知られていますが、その研究開発は最初から原爆が目的ではなかった、という話。
燃料資源の乏しい日本がその調達を外に求める過程で戦争が起こったことを考えると、核分裂反応のエネルギーを動力源として利用したいと考えるのはごく自然で、当初それが目的だったというのは不自然な点はないと思います。ただ同時に、それは当時の技術では背伸びのし過ぎというか手が届かない目標だったこともあって、より妥当な、手の届く目標として、そして逼迫する戦況からの要望として、爆発という形で利用するという方向へ変わっていったこともまた宜なるかなという感じです。
なんか最後はETVっぽく、軍から金をもらって研究をすれば最後は戦争に加担することになるんだ的な教訓でまとめようとしていましたが、一方で仁科が軍に近づいた理由であるところの研究費の欠乏という問題は等閑視されていたように思います。現代も軍事研究に関してやたらと潔癖主義を取る大学・施設側と、とにかく研究費が手に入らないと研究が止まってしまう現場の研究者で意見を異にする状況が見られるわけですが、要するに潤沢に研究費を投入できる環境を維持しないとこの手の問題は時代を越えた普遍性を持ってしまうという話でもあります。
私だったら、研究者が軍事研究に近づかずに済むように、潤沢に研究費を国費で出すべきだと、番組を纏めるでしょうね。
2021年8月8日(日曜日)
颱風が接近しているせいか、湿度が高くてやりきれない一日だった。エアコンの除湿が大活躍。
2021年8月9日(月曜日)
朝は雨で午後からは大風という荒れた一日。
最近VDSLの接続が不安定で、サポートに連絡したらとりあえずVDSLモデムの交換と相成った。送られてきた交換品と現行品は……全く同じ型番。モデムだけ交換しようかとも思ったけど、一応本体と電源、スプリッタを交換してみた。
これで状況が好転すれば良いけれど。
2021年8月10日(火曜日)
Nスペ「原爆初動調査 隠された真実」は戦後の「政治」に翻弄される原爆影響調査の姿が描かれた、中々の出来映えのドキュメンタリでした。
米陸軍のグローブス少将についてはあまり詳しくないのですが、この人の政治的な手腕というか豪腕と言うかがマンハッタン計画を成功に導いたわけですが、さらに戦後は核兵器を「きれいな兵器」とするために残留放射能調査の結果などを隠蔽していたという、単なる軍人の枠に收まらない活動をしてますな。
一方のソ連の方も中々で、クズマ・デレビヤンコが事実に反して被爆地は報道されていたほど恐ろしい状況ではない
という報告書を書いた理由が、スターリンが私的な会合で「原爆は報道されているほど恐ろしくない」と言ったから、というのがとてもソ連。指導者の言葉は政治方針になり、政治方針に沿わない事実は捻じ曲げられるわけです。
素晴らしきかな社会主義国家。
現場から正しい情報が上がってこなくなったら政治はお終いだよなぁ、と自戒を込めて思いますね。
2021年8月11日(水曜日)
ここんとこ五輪のせいかテレビ番組の移動がちらほらあって、レコーダが自動追従するのは良いんだけど、結果として録画時間が重複して録画失敗というのが数件あった。
どういう組合せの時に破綻するのか、マニュアル読んでもよく理解できない……。どういう構成になってるんだろうか。チューナとエンコーダ/デコーダだけじゃなくて内部バスの転送限界やプロセッサの処理限界とかも絡んでるのかな、これ?
特にBlu-rayドライブを動かしている時に制約が大きい感じがあるなぁ。AACS絡みで処理が重いんだろうか、とか。
わかりにくいのは良くないと思うんだけど、関係する要素が多くて複雑なんだろうなぁ。
2021年8月12日(木曜日)
「東京の感染拡大 制御不能な状況」なんだそうで。
いやまぁ、こうなるのは見えていたと言うかなんというか。“現在の状態”は大凡2週間から10日前の人流状況を反映していて、その時点で人流の減少が感染の收束に必要な程度に満たなかったのだから、結果として感染拡大が続くわけでして。専門家の提言を無視し続けてこの体たらくなんだから、そりゃ尾身さんも「このままでは自宅療養中に亡くなるケース増える」って言いますわ。
人流状況から陽性確定者が増えるまで2週間。そして重症者が増えるまでそこから2週間。大凡1ヶ月の遅延を持って事態が進行していることはとっくに分かっていることで、各種指標値を見ていればある程度の予想が立つはずで、それに基づいて手を打てば……ということなのですが、なんか五輪中に行政って何やってましたっけ?って感じ。
ただまあ、事ここに至っては文句を言っても始まらないわけで、できることと言えば自己防衛だけなんですな。
しかし……スーパーや百貨店で従業員の感染も増えていて、しかも恐らく接客で感染したと見られるというのを見ると、買い物行くのも怖いんだよなぁ。
2021年8月13日(金曜日)
NHKのBS世界のドキュメンタリー「地球温暖化はウソ? 世論動かす“プロ”の暗躍」は色々と楽しいドキュメンタリだった。
この番組、タイトルは上記の通りなんですが、なぜか放送中の画面に表示されているのは「地球温暖化はウソ? 疑念を売るプロたち」となっていた。
ギリギリで邦題変更でもしたんですかね?
中身も中々の代物で、真っ当な科学者たちが科学的な検討の果てに導き出した人間の活動による地球温暖化(気候変動)。それを受けて各国政府や国際社会が対策を講じようという動きに対し、石油企業らがこれを妨害にかかり、「プロのコミュニケータ」を動員して懐疑論を世に広めているというお話。
地球温暖化自体は人の営為を原因とする自然の現象であり、先日もIPCCが第六次評価報告書第1作業部会報告書を出して、科学的にはほぼ確実と言ってよいかと思われます。
勿論科学の常として絶対100%ではありませんし、今後の研究の進展によって内容が修正されることはあるでしょうが、それでも大凡、多くの科学者研究者が合意できる範囲で、気候変動とそれに伴う極端現象の増加が予測されていますので、常識的な政策立案者ならば、これを前提として対策を講じるのが常道ではないかと思います。
この番組に出てくる連中は、この問題を科学や自然の問題ではなく、「政策問題」であると定義し、ロビー活動を展開するわけです。
科学的に正しいかどうかではなく、有権者の一定割合がそれに対して疑念を持てば良い。そうすることによって現実(気象)は変わらなくても政策は変えられる。
当然こういう方策を取るのだから、石油企業らは二酸化炭素が地球温暖化に影響を与えているという科学的事実を認識していて(なんと自社で研究までして内部的には報告されていた)、その上で自社や業界の利益を守るためにロビー活動をしているわけです。
そしてこのやり口が何も今回始まったものでもなく、かつては禁煙運動に対する妨害活動として行われたものと同様であり、なんとコミュニケータのキャストまで一部重複しているという有様。
人間って凄いなぁ、と思わせられるドキュメンタリでした。
2021年8月14日(土曜日)
「五輪=国際動物愛護団体、IOCに馬術競技の廃止求める」とかいう記事があって、どこの阿呆がこんな馬鹿なことを言い出したんだと思って記事を読めばPETAか……。
PETAの言うことなら無視して構わんだろとは思いつつも書き連ねると、馬という生き物は実は野生種がほぼ絶滅状態にあって、現在確認されている野生種は全て人間の家畜が再野生化したものだったりします。馬という動物はその大多数が人間の家畜(経済動物)として存続している動物なので、その利用の場を失わしめると何が起こるかと言うと、その用途に育てられる馬が消え去るということになります。
このような因果から、PETAがやっていることは「愛護」の名を借りた種の絶滅行為であると言えます。
まあ、PETAの考えが足りないのは今に始まったことではないので、今更ではあるのでしょうけれども、そんな意見を取り上げる報道も報道ですわな。
2021年8月15日(日曜日)
NHKスペシャル「開戦 太平洋戦争〜日中米英 知られざる攻防〜」は出色と言って良い出来でしたね。良かったです。
日本では戦後「大東亜戦争」という用語が使い難くなり、代替語として「太平洋戦争」が広く用いられた結果、対米戦争が日中戦争(支那事変)の延長線上に存在するという印象が希薄になってしまいました。
このドキュメンタリは、「太平洋戦争」が中国大陸での戦争の延長線上に生起したことが、蔣介石の日記から軍事外交戦略を繙くことで、明確に示されているという点で近年にない視点を提供してくれていたと思います。
大日本帝国の外交・軍事のグダグダさ(機構的に多頭政治なので船頭が多くて船が山に登っている)に対し、中華民国は独裁者蔣介石による複雑巧緻な戦略で長期持久戦へ日本を引きずり込まんとす。注目してほしいのは、蔣介石は日本を引きずり込む一方で常に“プランB”を用意しており、状況の急変に備えていたことでしょう。
蔣介石も別に全知全能ではないので、見込み違いや蹉跌を何度も繰り返しています。特に第二次上海事変の攻勢の失敗は彼の指導力を大きく損なったことが既存の研究からも知られており、しかし失脚の危機を救ったのは日本の失策であった……など、その後も何度となく日本の失策に助けられて、本人も日記に書いてましたが、天運が付いていたとしか思えない所はありますね。
そしてとうとう日本は二進も三進も行かない状況に追い込まれ、状況打開のために大博打へ打って出ることになるわけですが、これもまた蔣介石(とチャーチル)を喜ばせることになるわけです。これで勝った、と。
さて、謀略の果てに日本を独伊と結びつけて米英とぶつけ、世界大戦を引き起こすことに成功し、最終的に長期持久戦を戦い拔いた蔣介石と国民党でしたが、長きに亘る戦争で国土は荒廃し人心は離れ、国共内戦の果てに大陸を逐われましたとさ、というオチを付けたところはディレクタ氏の見識というものでしょうかね。
全体として良い番組だったのですが、気になる点が2点ばかりあって、一つは中国とドイツの関係が殆ど描写されなかったこと。日中戦争勃発前の国民党軍はドイツから軍事顧問団を受け入れており装備・訓練において支援を受けていました。これによって精強となった軍事力が日本軍を相手にして目標を達成し得ると確信(誤認)させ、前記の第二次上海事変を蔣介石に決断させるに至った要因だったりします。御存知の通り、海軍の上陸(しゃんりく)だけを相手にしている時はともかく、陸軍が上陸し動員が始まると劣勢となり、最終的に敗走する羽目に陥ってしまっています。最終的に敗走したとはいえ、日本側の犠牲も大きく、練度が高かったことは番組中でも紹介されていましたが、これを支えたのが実はドイツだったということが、蔣介石の日独に付くという外交選択肢の背景にあったりするわけです。
もう一点は日本側の政治環境についての説明が殆どなされなかったことで、これについては番組の性格上省略せざるを得ず、また視聴者の大部分が日本国民であり最低限度の歴史的知識を有している前提に立つならば、致し方ない面もあるのかなぁ、と。しかし昭和も遠くなった現在、こういった番組では大日本帝国の権力構造を確認しておくことは、視聴者の誤解を防ぐ意味でも必要だったのではないかと思わなくもなく。
大日本帝国の権力構造上の問題は実質的な最高権力者が不在だったことで、名目上の最高権力者である天皇の下に超然内閣があるものの閣僚は全員親任官で総理に任免権はなく、陸海軍は統帥権の独立を主張して内閣の言うことを聞かず、じゃあ天皇の言うことを聞くのかと言えば二・二六事件を起こしたりする狂犬ぶり。近衛文麿が不拡大方針を示しても、軍はそれを無視して南京に兵を向けることができる国だったわけです。
このような国は外交では以前紹介した文献に示される「コミットメント問題(commitment problem)」が解消できません。政府が外交をしていても、政府以外の機関が政府の統制を離れて勝手をするわけですので、約束が守られる保障が何もなく、当然信用もされません。かくして外交上の選択肢が失われていくことになります。
そして強い権力の不在は損切りを不可能にします。埋没費用の誤謬を振り切るためには判断権者に強い権限が与えられていることを必要としますが、日本にはそれがなかったのですな。
「ここまでコスト(人命、金銭、etc..)を注ぎ込んでおいて後に退けるか!」となった時にこれを止める機構が日本には用意されていなかった。
せめて過ちを繰り返さないようにしたいものです。
それにしてもNHKの今年の大戦関連特番は質が高い印象があるな。先日の「銃後の女性たち〜戦争にのめり込んだ“普通の人々”〜」も「原爆初動調査 隠された真実」「日本の原爆開発〜未公開書簡が明かす仁科芳雄の軌跡〜」あたりはどれもこれまでの番組作りから一歩離れた印象がありますね。良いことです。
2021年8月16日(月曜日)
BS1スペシャル「特攻 知られざる真実海中調査で迫る“最期”」は、以前首都圏情報ネタドリ!で放送された「首都圏から飛び立った特攻隊 最期の1か月」の拡大版かと思ったんだけど、ネタドリ!の方がダイジェスト版だったんではなかろうかと思い直した。
沖縄県の古宇利島に沈む米駆逐艦エモンズの海中考古学調査から始まって、エモンズに特攻した97直協を運用した誠飛行隊に至る一連の流れは、かなり長期間の取材を感じさせます。
しかし立場上そう言わないといけないんだろうけど、戦後航空自衛隊で空将にまで登り詰めた元陸軍参謀中佐田中耕二氏が、特攻の方が効率が多いのではなかったろうか
と戦後供述しているのは苦々しいものですね。その効率の良し悪しを数字で比較してより効率的な作戦を立てるのが参謀の仕事であって、現場の空気を読んで特攻作戦に走るというのでは末期が極まっておりますわ。
まあ、最後のところは、昨日も書きましたけど、そうなる前に損切りして手仕舞いしなければいけなかったという話であり、それができるような機構、システムが備わっていなかったことが大日本帝国の大きな問題だったと言えるんではないでしょうか。そして今の日本にも、その機構は用意されているか?と言われた時に、どうだろうと考えることが必要なのではないかと思う次第。
2021年8月17日(火曜日)
「日本の製粉大手に「前例ない」大規模攻撃 大量データ暗号化 起動不能、バックアップもダメで「復旧困難」」とか、米国で石油大手がやられて大きな被害が出ていましたが、日本でも。
この手のランサムウェアによる攻撃は主にロシアからという話なんですが、当然ロシアはバックレておりまして、犯人逮捕に繋がる様相はなく、被害者はほぼ泣き寝入り状態です。ただ、「反撃」もどこからか行われているようで、事実上活動不能状態に陥ったグループもあるらしく。
今後もこのような犯罪が増えるであろうことを考えると、日本にもFBI式の全国捜査組織が必要になるでしょうね。現状では被害が出た会社の所在地の県警が担当するしかないわけですが、技術的な問題もありますし、外事との連携の問題も発生します。こういう“管轄のない”犯罪を担当するには、現行の自治体警察制度は些か力が細分化され過ぎている面があります。
サイバー犯罪や経済犯罪、外事犯罪などは中央でまとめて面倒を見れるよう、制度の改革を考えた方が良い時期ではないかと思います。
2021年8月18日(水曜日)
俄にロックダウン論が広まっているとかなんとか。
現時点で、日本にはロックダウン(都市封鎖)を実施するための法令は存在しないので、やるとしたら国会を開いて必要な法令の整備から始めなければいけないので、最速でも9月末くらいじゃないですかねぇ。こういうのは事前に準備しとかないといけないことで、必要になってから泥縄で議論しても遅いのですが。
一部では憲法上不可能という意見も見られるわけですが、私はその意見には同意しません。移動の自由に関しては憲法22条が該当するのですが、条文にある通り「公共の福祉」が問題になります。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
「公共の福祉」については法学界隈でも議論があり、近年まで定説とされてきた説に異論が相次いでいたり、最高裁の判例が比較衡量論に走ることがままあったりと一定しないわけですが、原則的には国会での議論が必要であろうかと思います。例えば、現行の感染症予防法第19条には措置入院の規定がありますが、これは個人の移動の自由を制限する(強制的に入院させる)もので、公共の福祉
の具体例になります。
都市封鎖を行う場合、封鎖地区内に住んでいる人間の人権が一律に規制されるという大きな犠牲を強いることになりますので、果たしてそれに見合うだけの「公共の福祉」を設定することができるのかが問われることになるかと思います。
非常事態条項が憲法にあればこういった議論をすっ飛ばせるという利点があるわけですが、どちらにせよ、余裕があるうちに準備しておくのが一番だと個人的には思いますね。
手遅れになってから議論してもねぇ……。
2021年8月19日(木曜日)
夏の戦争特番系も大分消化してきたので、ここまでの感想というと何ですが、少し思ったことをば。
今年の夏の戦争特番は、COVID-19の影響もあってか、そもそも数が少なかったですね。民放では以前流した番組に新たな素材を追加したものなどもありました。番組素材の再利用自体は悪いことではありませんが。
しかしその中でも、この日記で何度か採り上げたように、NHKがやや視点を変えてきているのが目に着きます。例えばですが、ETV特集「ひまわりの子どもたち〜長崎・戦争孤児の記憶〜」は戦後長崎の孤児院を採り上げていますが、原爆については飽くまで背景という扱いで、殆ど触れていませんでした。一方フジテレビ系列(テレビ新広島制作)の「被爆地にたつ孤児収容所~2千人の父、上栗頼登~」は逃れ難く原爆と絡みついた番組になっていました。良い悪いというつもりはないのですが、NHKの番組の方が、より“戦災孤児”にしっかりと焦点を当てた番組であったように思います。
NHKは昨年辺りから、それまでの一面的な“太平洋戦争”の捉え方から脱却した番組の作り手が表に出るようになってきているように感じます。これが全体に波及していくのか、はたまた一時の流行で終わるのか、注目ですね。
2021年8月20日(金曜日)
朝日に「巨費投じたのに、なぜ失敗 米国がアフガン支援で報告書」という珍妙な記事がありまして、本当なら原文に当たるべきなんでしょうがそこまでの根性がないので記事ベースで。
南ベトナムの失敗を語ってるのかと思いましたよ私ゃ。
いくら9.11に端を発する対テロ戦争が事前準備なしに始まったとはいえ、あれから20年です。途中で修正する機会はあったと思うのですが……。
当時のタリバン政権にウサマ・ビン・ラディンの引き渡しを求めたのを断られたのがアフガニスタン侵攻の発端だったと記憶しているのですが、結局ウサマはパキスタンで殺され、アフガニスタンに樹立した民主政権は米軍の完全撤退を待たずに砂上の幻の如く消え失せてしまい、再びタリバンが国の大部分を掌握し、一方で北部を地盤とする元第一副大統領らは武装して対立姿勢を強めるという、時間が巻き戻ったような様相です。
20年というのはおぎゃーと生まれた子供が成人するくらいの時間なわけで、きちんとした計画があれば国の一つや二つ再建できそうな時間ではあるわけですよ。
参考にしてよいのかどうか分かりませんが、1895年に日本の殖民地となった台湾は、大凡20年の時間をかけてほぼ抵抗運動がなくなるところまで鎮定が進みました。逆を言えば20年もかけてようやく次の段階(同化政策)に移ったという話で、真面目に取り組んでもそのくらいかかるという話でもあります。
最初からそのくらい肚を括っていれば、今頃本当の意味でのアフガニスタン独立が達成されていたのではないか……と思うわけですが、結局米国にはそういった長期的かつ地に足ついた異文化国家の運営はできないのだ、ということになってしまいそうです。
残念なことに。
2021年8月21日(土曜日)
winget upgradeを叩いてみたらFirefox ESRの新版が出ているというのでインストールしてみた……のだ……が。
UIがかなり大きく変更されていて、恐らくタブレットや4Kなどの大型ディスプレイ対応なのだろうが、UIパーツ間の間隙が大きく取られるようになった。しかも「UI密度:コンパクト」のオプションが消えている……。
とりあえず「UI密度:コンパクト」はabout:configの「browser.compactmode.show」をTrueにすることで未サポートながら使えたんだけど、他のUI部品の配置は変わらない。
どうしたものかと思って検索してみたら、旧UIを再現する「Lepton」なるツールがあることがわかり、これをインストール。大分以前のUIに近づけることができた。about:configでprotonを無効化しても良かったんだけど、そうすると不具合が出るという話もあったのでこっちを使うことに。
あと、Backspaceでページが戻らなくなった件も、「about:config」browser.backspace_actionを0にすることで復帰させることに成功。
良かれと思ってやってるんだろうけど、ユーザにとって「操作への慣れ」というのは経験という名の財産なので、それを軽々しく毀損するような変更はして欲しくないのだよね。
2021年8月22日(日曜日)
「<独自>アフガンに自衛隊機 邦人保護へ23日にも」と産経他の媒体が報じておりますな。
人員輸送に使われるのはKC-767かC-2でしょうが、現地情勢を考えるとC-2ですかね……。
自衛隊法第84条の4「在外邦人等の輸送」の適用事例となるのではないかと思うのですが、現地情勢が厳しいところへの派遣は初になるかと思います。確か過去4回くらい実施例があったと思うけど、過去一番キツかったのが南スーダンでの大使館員脱出かな。第84条の3が適用されることはないと思いたいところですが、脱出希望者が空港周辺に近づけないとの報もあり、場合によっては輸送機だけでは済まないかも知れませんな。
何にせよ無事に任務を果たし、邦人や現地協力者を脱出させて欲しいものです。
2021年8月23日(月曜日)
BS1スペシャル「マッカーサーが来るまでに何があったのか? 市民たちが見た終戦直後の15日間」は、なんというか、過去にない新規な狙い目が光る反面、実際の番組の出来は残念だったという、なんとも評価が難しい番組でしたな。
これまであまり陽の当たらなかった期間に目を着けたのは良かったんでしょうが、しかし一方で実際にやってみたらとても番組では採り上げられないような内容だったのではないかと……。そんで当たり障りのない部分をスタジオに呼んだゲストに珍しがらせて終わりというか。
別に「進駐軍の不法行為」まで採り上げろとは言いませんが、ゲストの一人が触れていましたが、樺太でまだ地上戦やってたり、満州や朝鮮では日本人が難民化していたりと、仔細を眺めればキツい話だらけで、その中からせめて明るい話題を探したんでしょうが、そのせいでなんとも締まらない番組だったなぁという印象。
もちろんマッカーサーが来てからも日本は激動の状態にあって、その辺は綺麗事では済まないあれこれがあったわけですが、敢えて斬り込んで討ち死にしたという感じですかね。
合掌。
2021年8月24日(火曜日)
22日に報じられた自衛隊のアフガニスタン派遣ですが、先遣隊としてC-2が陸自の誘導輸送隊などを輸送し、その後C-130を2機、さらに政府専用機の派遣を検討しているとか。
誘導輸送隊はブッシュマスターなどの機材を有し、危険度の高い地域で人員を機体のあるところまで安全に輸送するのが任務となりますが、どこで役立つのやら……。
その後C-130で近場の比較的安全な空港まで輸送し、そこから政府専用機、というリレーになるんでしょうかね。政府専用機は天皇や首相の外遊に使われることで知られていますが、一方で実は自衛隊の海外派遣などで人員輸送にも使われていて、エコノミークラスの座席も85席用意されていたりします。
それぞれの任務に合わせての選定なのでしょうけれども、何種類も機材使わずにC-2で全部済ませれば良いのにと思わなくもなく。
2021年8月25日(水曜日)
健康診断。
しかし会場のクリニックの中は大混雑で、どうにも密が避けられない感じだった。待合の席を一つ置きにしても、そもそも座れない数の人間が入ってたら意味ないよねー。
一通りの健診の後に問診で医師に「コロナのワクチン接種受けました?」って訊かれたわけですが、まあお医者さんも毎日何十人何百人も接してるから気になるんだろうかね。二回接種済みと伝えたところ、それは良かったですね、と。
とりあえず当日分かるような異常はなかった。
2021年8月26日(木曜日)
「雌に不妊もたらす蚊を“大量生産”中国の感染症対策」という記事があって、これ自体は「なんだ不妊虫放飼か」で済む話の筈だったのですが、Yahoo!ニュースのコメント欄が酷い有様。
不妊虫放飼は日本でも以前から行われていた実績ある駆除方法ですし、細菌(ボルバキア類)を使った不妊化も米国で実例があります。つまり、中国でやっているという処以外に、目新しい点はないんですね。にもかかわらず、あのコメントは……無知と偏見とはこのような形をとるのだなぁという見事な実例になってしまっています。
生態系への影響を懸念する声もあるようなのですが、不妊虫放飼は生態系への影響が小さい方法であることが知られています。
日本の例ですが、日本にはおよそ100種類の蚊が棲息していますが、この中で人間の血を吸うものが約20種と言われていて、さらにその中で病気を媒介するものは決まっています。日本脳炎であればコガタアカイエカですし、デング熱であれば主にヒトスジシマカです(ネッタイシマカは日本には今のところ定着はしていない)。現代の日本では見られませんが(歴史的文献には登場する)マラリアであればハマダラカという具合です。不妊虫放飼は交尾という生殖行動を使って対象の数を減らす技術であるため、こういった特定の種を狙い撃ちにすることができるのです。記事の中ではヒトスジシマカの名が挙げられていますので、対象はデング熱でしょうか。
通常の自然環境内では一種の蚊が棲息域を支配していることは殆どなく、数種類から数十種類の蚊が棲み分けています。その中の一種が絶滅したとしても、他の蚊などがその空いた棲息域に進出してこれを埋めるため、生態系全体への影響は小さく留められます。これがボウフラが湧く水源への殺虫剤散布となれば、蚊はもちろんのこと、他の水棲昆虫や水棲生物、さらにはそれらが捕食する生物やそれらを捕食する生物への影響が発生し、生態系への影響は大となります。特定一種の生物を選択的に絶滅させ得る技術は生態系への負荷が小さいことがわかります。
ではなぜ不妊虫放飼が広く行われていないのかと言われると、それは非常にコストがかかり、また時間もかかる方法だからです。不妊虫放飼では不妊化した雄を大量に飼育製造して環境中に放つわけですが、当然これには施設設備人員が必要になり、ある程度長期間持続的に行う必要があります。日本で行われた事例では放射線を照射して不妊化しましたが、現在では記事にあるような細菌や遺伝子組み換えなど、様々な技術を用いて不妊化していますが、不妊化が不十分で効果が現れなかったケースも存在します。種によってはそもそも飼育が困難や、大量放飼が害になるものもあり、どんな害虫にも適用できるというものでもありません。(蚊の場合、雄は血を吸わないので放飼しても問題がない)
かつて中国では大躍進政策の中で四害駆除運動をやらかして生態系を破壊し、結果として大飢饉をもたらした過去がありますが、それとは違い、極めて狙いを絞った高コストな方法を選択したところに、過去への反省や、中国の余裕を見て取ることが出来るのではないでしょうか。
2021年8月27日(金曜日)
自衛隊が派遣されたアフガニスタン首都カブールですが、ISによる自爆テロが起きて空港周辺は大混乱。
この状況で空港まで辿り着けた日本人が1名、自衛隊機によって輸送されたそうですが、1名……。そんで27日で外務省も自衛隊もカブールから撤收、と。
陸自の誘導輸送隊が送られたと聞いてたから、てっきり「空港まで」もやるんだと思ってたけど、まさか「自力で空港まで来て下さい。そしたらその先は運びます」だったとはね……。
多くの反省点を残した派遣になったように思います。
2021年8月28日(土曜日)
ポリカーボネート製の耐熱タッパーを落として罅を入れてしまった……気に入ってたのに。
インターネットでメーカ名で検索してみたけど、どうも同じものはディスコンらしい。
で、已むなく変わりの品を探しにお出かけしたのだけれども、どうもしっくり来る品がなく。
なしというわけにもいかないのでとりあえず同じ容量のタッパを買ってきてお茶を濁す。
ううーむ。なんというか、微妙だ……。
2021年8月29日(日曜日)
ブラジルのボウソナロ大統領はネタの宝庫として知られている人なのですが、「「みんな自動小銃購入を」 治安対策でブラジル大統領」というのはまた凄いのが出てきたな。
自力救済禁止の原則ってのは近代国家の柱の一つなんだが……。
国家において暴力を一元管理し、公平にこれを行使することが国民の平等を担保するために必要です。自力救済を広く認めれば、より強力な暴力(武力)を持っている人間が有利になり、拳銃よりも自動小銃を、自動小銃より機関銃を持った人間/組織がより有利になり社会の公平性が保てなくなります。正直者が馬鹿を見て、力を恃むことが常となった社会の行き着くところは、自然状態というものでしょう。
何より、その銃口が自分に向けられる可能性について、普通の権力者であれば考えずにはいられないと思うのですが、その点において、ボウソナロ氏は国民を大変信頼しているのか、はたまた己の周囲を固める警護職の能力を高く評価しているのか、余人には伺い知れないところです。
アルボラーダ宮殿が火に包まれる姿を見れるかも知れないと、地球の裏側から楽しみにするところです。
2021年8月30日(月曜日)
「都内のコンビニで偽札被害相次ぐ 聖徳太子の旧1万円札を模造」とかあって、なんと透かしが入る精巧な作りだった
とか。
単なるカラーコピーというのではなく、透かしが入っていたというのはいただけませんね。日本では通貨の偽造はもちろん犯罪ですが、透かし入りの紙の製造も規制されていて許可制なんです。
聖徳太子というからには恐らくC券でしょうが、発行こそ止まっていますが、現状有効とされている紙幣です。有効であるということは無限通用が法律上義務付けられているので、受け取らないのは難しいのですよね。その場で偽札だと鑑別できれば良いのですが、日本では現金を一々鑑定する習慣がありませんし……。
ともあれ、使用した人だけではなく、製造流通に至るまで、きちんと検挙されて欲しいものです。
しかし、技術の進歩・普及・陳腐化によって旧紙幣の精巧な偽造が可能になるとは、後々まで尾を引きそうな問題ですね……。いっそC券以前の日銀券を無効にしてしまうべきか?
2021年8月31日(火曜日)
「Armの中国合弁企業がArmからの独立を宣言、一部ライセンスや中国市場の顧客をそのまま横取り」という、なんともはや……な話題。
ARMなんて一種の知財企業なので、これを横取りされるというのは企業価値そのものを毀損されているに等しいわけですが、これを是とするのが中国なんでしょうね。
カントリーリスクだなぁ。
現在進行中のARM売却にも影響してくるでしょうし、ソフトバンクは下手を打ちましたね。