哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

西紀2022年8月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。


2022年8月1日(月曜日)

トヨタなど商用車連合が電池交換式EV検討、ヤマト運輸と電池開発」とかいう記事があって、電池交換式電気自動車は見果てぬ夢だなぁ、と。

過去に何度か提案されたことがあって、実証実験まで進んだこともあるのですが、結局のところ実用性に乏しくて実現してないのですよね。

台湾のgogoroみたいに二輪の軽スクーターで実現している例はあるのですが……。

この日記でも過去に何回か言及している(2019年5月2021年3月等)ので改めて技術的問題を論じることはしませんが、実現のための得失はかなり難しい所にあると思います。

トラックのような貨物車両だったら、むしろトレーラのような形でバッテリ車を牽引する方がまだ実現性が高いんじゃないですかね。


2022年8月2日(火曜日)

米国のナンシー・ペロシ下院議長がアジア歴訪の途中で台湾(中華民国)を訪問するかも知れない、として緊張感が高まっていましたが、本日正式に台湾を訪問。

マレーシアのスバン空港を先行き不明のまま飛び立ったC-40(B737)はフィリピンあたりで行き先を台北松山空港に設定、人民解放軍中華民国国軍、そして米軍がスタンバイする中、23時45分(JST)ころに着陸した模様です。

直前まで強い抗議続けていた中国としては全く相手にされていない様相になったわけですが、果たして中国はどのような対抗措置を講じてくるでしょうか。

ロシアによるウクライナ侵攻によって、武力行使の現実味は高まっています。一方で中国がかの戦争をどう評価し、受け止めているかは窺い知れません。ただ、「やれる」と彼らが判断した際には、間違いなく軍事力が行使されるだろうと信じることができるようになりました。つまり我々は、常に中国に「台湾侵攻は無理だ」と思わせ続けなければいけないわけです。外交的にも、軍事的にも。

嫌な世の中ですね。


2022年8月3日(水曜日)

朝日新聞に「「太陽が地球のまわりを回っている」35%が信じる ロシア世論調査」というネタなのかマジなのか分からない話があり、ソ連時代の党首脳が聞いたら泣いて喜びそうだよな、とか。

最近だと米国でも地球平面説信者がパーセントオーダーでいるらしいので、日本での反知性主義などを鑑みても全世界的傾向なのかも知れませんが、力の限り抗っていきたいものです。

しかしロシア、なんでこんなことになっちゃったんだろうな。詳細の検討は戦後になるだろうけど、非合理や非科学が蔓延して良いことなんて何もないと思うのだけれども。


2022年8月4日(木曜日)

腕時計を衝動買いしてしまった。

といっても何万円もするものではなくて、凄く廉いやつ。

CASIO MRW-200H-2B2V

CASIOのMRW-200H-2B2Vという、所謂“チープカシオ”という奴で、3,000円もしない。

普段遣いの時計としてはSEIKOのSNZ389K1(自動巻き)とCITIZENのBM8180-03E(太陽電池)を使っていて、取り立てて不満があるわけではないのですが、SNZ389K1は重いのとメタルバンドが熱かったり冷たかったりと着用環境を選ぶのと、BM8180-03Eは案外と華奢で自転車に乗っててコンクリで擦ったらガラス面に瑕が入ってしまったりと蛮用に耐えない面があって、もっと雑に扱っても良い時計を探していたところ、目に留まったのがMRW-200H-2B2VとMRW-200H-2B3だった。どっちも同じムーブメントなので最後はデザインで決めた。

思った以上にチープな感じで、とても軽い。着けてるのを忘れそうなくらい軽い。風防もガラスじゃなくてレジン系(つまりプラ)。超安っぽい。ぶっ壊しても惜しくない、という点では文句なし。それでもちゃんとベゼル回るんだよな、これ……。

ただ、やはりベルトは流石にチープが過ぎてベロベロな感じだったので、余っていた18mm幅のNATOストラップに替えてみた。

MRW-200H-2B2V with NATO band

何というか、実用品というか時計なんて時間が分かりゃいいんだよ!的な「道具」という印象がマシマシになった。自転車転がす時とかは今後これで行こうかと思う。転倒してアスファルトで擦っても惜しくないのが大変宜しい。

若干の不満点としては、ライトも蓄光塗料もないので、暗い所での視認性が悪いことですかね。値段を考えれば妥当としか言いようがないのですが。

それにしても、使ってる時計が3本とも輸入品になってしまったのは何故なんだろうか……。


2022年8月5日(金曜日)

Unicode.orgが提供しているuconvを使った変換をちょっとやってみようとICU経由でWindows用バイナリを入手したんだけど、どうにもcodepage failedが出て走ってくれない。

入力がUTF-8じゃ駄目なのかとUTF-16を食わせてみたり、BOMが必要なのかと捻ったり、途中でWindowsがコードページ変換をかけているのかと思ってあれこれ試したりしたがどうにもならず、最後にどうにでもな~れ、という気分でShift-JIS文字列を投げたら通った。

デフォルトはANSIコードページだった。

死にそう……。

PowerShellはv7から内部でUTF-8を標準にしてるので、コードページ違いが発生していたわけだ。

とりあえずPowerShell 7から呼ぶ時は-f UTF8と入力文字コードを明示することで回避できることがわかった。


2022年8月6日(土曜日)

通院日だったんですが、待合で待っている間にも電話で発熱を訴えてる方に「本日の発熱外来の予約は埋まっています」て対応してたりとか、熱があるのに直に来院した患者さんを丁重に追い返したりとか、地獄のような様相だった。


2022年8月7日(日曜日)

例年ながら原爆関係のドキュメンタリが多いここ数日なのですが、やはり民放系ドキュメンタリは「もうアカン」感じ。思考停止に陥って“反核運動フィルム”から一歩も先に進めてない……。NHKがまだしも被害・惨禍に焦点を当てているのが比較的マシになってしまっているレベル。

別にその手の“運動”を否定するつもりはありませんが、福島第一の風評加害の件など、善意に基づいていれば何やっても良いわけじゃない、というのは近年指摘される所。誤った情報の流布、恐怖の扇動、運動自体の自己目的化、といった点が強く検証される時代なわけです。「その運動は正しいやり方か?」「科学的に間違っていないか?」「目的整合性があるか?」「付随的損害を発生させないか?」などが問われる時代に、過去のやり方を踏襲し、ひたすらに伝統芸能化していく核兵器廃絶運動を肯定的に描く神経というのは、思考停止としか言いようがなく。

「核兵器廃絶運動は正しい」という絶対基準を立てて権威化を推し進めた戦後の広島の到達点でしょうかね。その“絶対的価値観”を自己検証できるようになればよいのですが、難しいでしょうね。


2022年8月8日(月曜日)

2日ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を期に始まった中国の軍事演習ですが、7日に終了する予定だったのが延長戦を実施、と。

どうにも政治的意図が摑めないというか、何のためにやっているのか中国自身が掌握していないんじゃないか的な。

ペロシ訪台阻止が目的ではないのは間違いありません。それだったら事前にやらないと意味がありませんし、それこそ実力でC-40の航路を捻じ曲げる必要があったでしょう。しかしそれはせずに、議長が離台してから始めているあたり、相手が米国ではないことは窺い知ることができます。後に発表した「対抗措置」も、何というか、痛手になる程のものでもありません。

相手が台湾だとすると、正に“北風と太陽”であって、やればやるほど台湾側の態度が硬化するだろうことが予想できます。昨今の香港の状況を見て、積極的に中国に統合されたいと願う民主主義国家の国民は少ないでしょう。そもそも台湾側も議長も“現状維持”を望んでいることを明言しているので、激しく反応するのはどう考えても悪手です。

そして世界に対するアピールであるならば、今の情勢ではロシアの影を見る人が多いでしょう。中国は意に沿わない国に対して武力を行使することを厭わない無法国家であると。

そして日本のEEZにミサイルを撃ち込んで「日本のEEZ」との主張を受け入れないと言い放ったりするところを見ると、最早国際条約も慣行も守る気がないという姿勢を顕にしておりまして、日本側の態度も一層硬化させています。もちろん中国が国連海洋法条約を実質的に破棄していることは南シナ海判決を無視していることからも明らかではあったのですが、ここまで赤裸様に日本の権益を侵害することに無頓着となると、日本は実力を以て自国の権益を守らざるを得なくなります。

総じて言えば中国に何の利益があるか伺い知れない演習であるということになり、恐らくは中国首脳部が「面子を傷つけられた」とかいう精神的な理由から始められているのではないか、と推測されるわけでして、そんな頭の固い老人のプライドのために動員される軍人さんたちも災難だな、なんて話になりかねません。

中国は台湾の武力統一を常々肯定していて、そのための準備を着々と進めています。空母を就役させ、強襲揚陸艦を建造し、海空軍他の連携を高めています。中国は「できる」と思えば間違いなく台湾へ侵攻するでしょう。ウクライナへ攻め込んだロシアの現状を見る目も西側諸国とは異なっている筈で、「この程度の制裁なら目的を達するまで耐えられる」「ウクライナへの供与ために備蓄を放出している米国は弱体化している」などと確信すれば、容赦なく台湾に手を伸ばすでしょう。そうならないようにするためには、最早実力を以てするしかない、という段階に至ってしまっている。そう周辺国に理解させることになったのが今回の演習だと思います。

言葉が通じない相手というのは、本当に厄介です。なんせ力しか理解させられるものがないんですからね……。

ところでそのペロシさんに会わない、という決断を大統領が下した韓国ですが、国内外から大きな反響を呼んでいるようです。韓国の伝統的な外交方針である中立外交に沿ったものだと評価するものもあれば、失望した、過ちだ、というものもあり。

正直言えば、民主主義と自由経済を奉ずる西側諸国からすると、最早韓国は「向こう側の国」という感じです。彼らはいざという時に頼りにならないし、むしろ同盟内において獅子身中の虫として害になりかねない。米国では未だに「最後にはこちらに付くだろう」という楽観論もあるようですが、どちらが優勢になるかが決定的になるまでコウモリ外交を貫こうとするんじゃないですかね。

韓国はかつてそれで国を滅ぼしたわけですが、ロシアの例を見るまでもなく、国の性質というものはそう簡単には変化しないものなのでしょう。


2022年8月9日(火曜日)

NHKスペシャル「そして、学徒は戦場へ」を観ていて、大学と政治の間で板挟みになって大学からも政治からも敵視された橋田邦彦が、ついにその文部大臣の職を抛った後、彼がなんとか堰き止めていた学徒出陣への流れに大学側が抗し得ず流されていく様は、何というか、「ごん、お前だったのか」染みた寓話的展開でしたな。

就学年限短縮などを押し付けてくる文部大臣が、実は必死に学徒出陣を押し留めていたという……。

戦後、戦犯として逮捕される際に自殺されたそうで、悲劇としか言いようがありません。

学徒出陣についても過去に多くのドキュメンタリが制作されているのですが、何というか物語的悲劇性にばかり注目されて、“教訓を読み取る”ところまで踏み込んでいないことが多く、本作も例に漏れませんでした。

残念ですね。

“兵役”というのは何も兵隊になって命を危険に晒すことだけを意味するわけではなく、総力戦の時代においては“適材適所の徹底”がその要諦となります。当時稀少だった高等教育を受けた人間にはそれなりの仕事をしてもらわなければならないのであって、特攻隊員になって命を散らされては大損です。

人の命に軽重を付けるのかと言われそうですが、そうまでしないといけないのが戦争、とりわけ総力戦という位相でして、人的資源には有している技能や資格に応じた部署・役割を与えられないといけないわけです。

日本はこの点が非常に宜しくなかった。皆平等に義務を果たせと「等しく兵隊になること」が要求されてしまい、国力を最大限戦力に転化することが追究できなかった。

本来、そのことが反省点だと思うのだけれども。


2022年8月10日(水曜日)

このタイミングで内閣改造ですか……。

旧統一教会と関わりの深い議員を外したとかいう話ですが、余り身体検査は徹底されなかったという話もあり、単なる安倍派外しとかいう風聞も聞こえてきますが……。

本当なら旧統一教会系だけではなく、カルト系の偽装団体と政治との接近を等しくチェックしないといけないのだとおもうのですけれどもね。


2022年8月11日(木曜日)

晴天だったので洗濯をして、洗濯物を干してちょっとお出かけ。

戻ってきた時にふと地上から自室を見上げると……洗濯物が足りない……。

もしかして風で飛ばされた? それともベランダに落下した?

と恐る恐る自室に戻って洗濯物を確認したらば、風で煽られた洗濯物が物干し竿に巻き付いていた。

熱帯低気圧が颱風に変わるか変わらないかという気象情報が出ていて、風が強い一日だったが、これから数日、天気は荒れ模様のご様子。


2022年8月12日(金曜日)

久しぶりの友人に会いに池袋まで出向いたのだけれど、今の住居って池袋へのアクセスが良いんだなぁ。結構な頻度で池袋直行のバスが出てる。池袋での降り場は地下への入り口の直ぐ側。そのまま地下街を通って目的地まで行けてしまった。これ雨の日とか便利だろうな。

帰りもバスを使って帰ってきたのだけれども、地上の様子を碌に見ることもしなかった。

池袋も久しぶりだったから、少し観光でもしてくりゃ良かったか。

ハンズがなくなってからとんと行かなくなったな……。


2022年8月13日(土曜日)

コミケ一日目サークル参加。

今回搬入・搬出に佐川急便を使ったのですが、完全予約制、事前決済or電子マネーのみ、現金取扱ナシという潔い姿勢でしたね。個人的には悪くないと思います。

会場内での電波状況も一昔前に比べれば大分改善されていて、インターネットへの接続も問題ありませんでした。これならサークルでの電子決済も今後広まっていくかも知れません。

ただ……佐川急便について言えば、そこまでしているのに現場でのオペレーションが今ひとつで、行列ができてしまっていたのが大変残念でした。

多分に荷物の寸法・重量の計測が時間喰ってるようでしたが、事前申し込みなのに現場で寸法測ってどうすんのかというのはありますね。要検討でしょう。ぶっちゃけ、ああいう場では全部同一、個数だけで決めるの特別料金でも良いと思います。(あるいはヤマトのように着払いのみ対応とか)

颱風が近づく中だったので早仕舞いして帰宅。帰宅後に風雨が強くなって、判断の正しさを実感したりして。


2022年8月14日(日曜日)

空自の次期戦闘機、イギリスと共通機体で開発…輸出視野に防衛装備移転3原則の改定検討という記事が出て界隈が沸いていた。

これまでも共同研究の話は出ていたのですが、そもそも論として日本の次期戦闘機と英国のテンペストでは想定される機体の大きさが違い過ぎて、共同で研究した成果をそれぞれの機体に反映させるとか、モジュールレベルでの共通化が行われるくらいだろうと思われていたのですが、共通の機体を開発という、ちょっと想像していなかったところへ飛んでいきましたね。

こう言ってはなんですが、日本の次期戦闘機はこれまでの研究の過程からしてF-22とタメを張るかそれ以上の機内容量を持つ、戦鬪機としては大柄な機体であることが予想されています。一方でテンペストはこれまで発表されたモックアップやCGなどからするとF-22よりやや小柄な機体であると考えられていました。

これらの違いは、用兵思想の違いや防衛環境の違いに基づく要求の違いから導かれたもので、この辺りをすり合わせるのが軍用機の国際共同開発の難関と言って良いところです。参加各国の要求がぶつかり合い、ユーロファイターの計画からフランスが離脱してラファールを独自開発した故事などが思い起こされるところです。

逆に明確な目標が共有できる場合は、トーネードジャギュアのような成功例がないでもありません。

日本が次期戦闘機の研究開発過程においてとにかく重視してきたのが「十分な拡張性」と「改修の自由度」でした。5月ロッキード・マーチンからBAEへ協力企業が代わった際にもその点が譲れなかったものとされています。

であれば、共同開発においてもこれらの条件が譲歩されたとは考え難いため、英国側の要求が日本に接近したか、あるいは派生機で英国側の要求を満たせる(例:トーネードADV)と判断されたということなのでしょう。

しかし……下に陸地のない大洋の上を長距離進出し、長時間滞空して防空戦をする制空戦鬪機とかいう、他に類を見ない日本の要求に近づくって、あり得るんですかね……?


2022年8月15日(月曜日)

韓国では毎年8月15日に大統領が反日芸を見せるのがここ十数年来の恒例行事となっていたのですが、今年就任した新大統領閣下が何を言い出すかと注目されていたのですが、なんと突如日本との関係改善を訴えるという多方面に困惑を呼ぶ演説をして話題をさらっております。

この直前に支持率が30%を切り、大統領就任半年で残り任期のレームダック化が叫ばれ、支持率の下がった韓国大統領がやることと言えば日本を糾弾することに依って求心力を得ることでしたから、てっきり謝罪と賠償を求める定例句が並ぶものと思っていたのですが。

それが自由を求め、自由を守り、自由を広げ、また世界市民と連帯して自由に対する新たな脅威と戦い、世界の平和と繁栄を成し遂げていくとかかつて私たちの自由を取り戻し、守るために政治的な支配から脱すべき対象だった日本は今、世界市民の自由を脅かす挑戦に立ち向かい、共に力を合わせて進むべき隣人とか言い出したんですから、中々の方向転換具合です。

韓国は長年“バランス外交”を標榜し、米国に代表される自由民主主義陣営と、権威主義国家である中国を両天秤にかけて来ました。朴槿恵元大統領が2015年の中国の戦勝70周年記念パレードに出席するなど中国への接近を赤裸様にし、文在寅前大統領は“三不一限の誓い”を立てて中国への隷属を表明したとされていますロシアによるウクライナ侵攻に際しては、西側諸国が次々とロシアを批難し、制裁を発表する中、動きが鈍かったことが指摘されています。

そんなこんなで、米国を中心とする自由民主主義陣営諸国からは、韓国は“信頼されざる仲間”“獅子身中の虫”“あちら側のスパイ”みたいな扱いを受けつつあるわけですが、この段に至って方針転換を図ろうとしているのか、はたまた傾いたバランスを立て直そうと反対方向へ分銅を乗せているのか。

まあなんですな、よしんば韓国大統領が本気で自由民主主義陣営に立つことを決断したのだとしても、最早韓国にはそれを実現するだけの外交的資源が残っていません。内国的な政治力もほぼ消失しているので、「意見表明」以上の力を持たせるのは難しいのではないかと思います。

何度か書いていますが、強制力のない国際社会においては、各々の国家が夫々約束を守ること、その実績を積み上げることによって信用を勝ち得、信頼されることによって外交力を得るわけですが、韓国はその“バランス外交”と対日強硬策によってその外交力を蕩尽し尽くした状態にあります。特に2015年の慰安婦合意を破綻状態に持ち込んだことと2018年のレーダー照射問題は深刻な外交上の機能不全を惹起しており、当面の期間において問題が解決される見込みがありません。

対日外交はこれらの問題が解決されない限り一歩も先に進まないでしょうし、これらの問題を解決するには韓国側に多大な政治的な資源が必要になりますが、支持率が30%を切ったとか復帰したとか言っている尹大統領には、最早その力がないのです。恐らく韓国という国には時間も足りないことでしょう。

詰みです。


2022年8月16日(火曜日)

NHKスペシャルビルマ 絶望の戦場」、大変良かったですね。2017年放送の「戦慄の記録 インパール」の続編とも言えるドキュメンタリ。

ビルマの戦いは……旧日本軍の悪いところを集めて煮詰めて結晶化させたような有様で、牟田口木村といった“名将”の逸話にも事欠きません。

番組中で紹介された英第14軍司令官ウィリアム・スリム司令官の言葉が痛烈ですな。

日本軍指導者たちには根本的な欠陥があるように思える。それは「道徳的勇気」の欠如である。彼らは自分たちが間違いを犯したこと、計画が失敗し練り直しが必要であることを認める勇気がないのだ。
(Defeat into Victory)

もちろんこれは英国側から見た見解であって、日本側には日本側なりの見解があるわけですが、誤ちを修正できない、という点では同意せざるを得ません。これについては日露戦争時には既に萌芽が見て取れますので、日本軍における構造的欠陥であったものと察せられます。

実のところ大日本帝国の制度的欠陥は何も陸軍に留まるところではなく、海軍は元より政府に至るまで、様々な所に制度上の問題が見て取れ、現代的な感覚からするとどうしてこれで回っていたのか?と首を傾げる部分もあるのですが、どうも内地の制度的欠陥を“外地”で“適当”に処理するなどの裏技が色々あったものらしく、また“法外の存在”である元老の重石が効いている間はそれなりに纏まっていたものの、最後の元老西園寺公望が力を失って以降は、大日本帝国は分解しながら空を飛ぶ飛行機のような有様になっていたように思います。

そのような国では、情勢に流されて戦争に突き進むことはできるし、状況に対応することもできるのですが、一度動き始めた組織(含む国家)の方針を捻じ曲げ、修正することは大変困難だったわけです。

特に“損切り”は平常でも困難な判断になるわけですが、当時の日本においてはいっそ不可能と言って良かったでしょう。

さて、最終的に番組は戦争の悲惨さを強調し、多くの下級将兵、軍属、民間人が犠牲になったことを強調して終わるわけですが、そのように「戦争は悲惨だ」というあたりで止まっている番組作りも、そろそろ変え時ではないかと思わないでもない所。ここ暫くの間に放送された太平洋戦争のドキュメンタリ番組では、ウクライナが挿入されるものが散見されました。戦争は悲惨だ、戦争はしてはいけない、と繰り返すだけでは、実際に起こる戦争の前では無力であるという問題と向き合わねばならないのではないかと思う次第。

ただ、史料的番組としては大変良かったのでBS1スペシャルで100分版作ってくれないかなと期待しています。


2022年8月17日(水曜日)

「珍機で北米~アンカレッジ~日本」就航目指すLCC、突然の計画変更 背景にロシア問題…ナゼ?」という記事があって、そんな影響も出るんだなぁ、とか。

記事中にも触れられていますが、双発機はエンジンが一発止まった時に、60分~以内に辿り着ける範囲に空港がなければいけないことになっています。この60分~というのは、元は60分だったのですが、エンジンの信頼性が上がるに連れてETOPSという形で延長が認められてきたからです。

これによって三発機の経済的な価値はどんどん下がっていってしまい、現在旅客機として運行されている三発機は殆どなくなってしまいました。DC-10/MD-11L-1011も飛んではいますが、旅客はやってませんね。ダッソー・ファルコン7X/8Xはビジネスジェットですが珍しい新造の三発機です。

ともあれ、双発機では定められた一定の範囲内に空港・飛行場を入れながら飛ばねばならないという制約上、太平洋をひとっ飛びというわけには行かず、アンカレッジ経由でアリューシャン列島千島列島に沿うように飛ばねばならないわけでして、そうなるとカムチャツカ半島の近くを飛ぶ必要に駆られます。

今の御時世だと、どうしても古い事件を思い出してしまいますよね。

このまま世界が分断された時代が戻ってくると、ETOPSを気にせず飛べる機体に一定の需要が戻ってきたりするんでしょうか。


2022年8月18日(木曜日)

NHKニュースウォッチ915日に放送された特集「“平和”とは何か 日本の中高生とウクライナから避難してきた学生たちが“戦争をなくすため”の議論を重ねた夏」が話題を呼んでましたな。

NHKニュースウォッチ9 2022年8月15日 特集のスクリーンショット

武器をたくさん供給したら いつまでもたっても戦争は終わらないと思うが?という質問が凄いですね。“戦争”という形而上の存在を悪として認識しているせいで、ウクライナで現在進行中の“現実の戦争”に理解が至っていないんですなァ。

せめて“侵略は悪”ならまだ良かったんでしょうけども、戦争を一律に悪としてしまうと、暴力で人権が踏み躙られるのを看過することになるのですよね。特にロシアはウクライナ人を遠く東の果てに移送したり、無抵抗の民間人を虐殺したりということをしているので、武力による抵抗を止めればウクライナ人に待っているのは物理的あるいは文化的絶滅なんです。

この世界には、本当に止むに止まれぬ生存のための鬪争があって、そういう場合には、時に命すら賭けて抵抗しなければいけないことがある、というのが、ロシアが見せてくれた世界の一面ではないかと思います。また中国が香港で見せているのも別の例です。命は助かるかも知れないが、自由に物を言うことも、政治活動の権利も失い、ただ国家に従順に生きることを強いられる。

それは「人権を喪失した人間になることを受け容れるか?」という重たい問であり、歴史上多くの人が血を流してきた問題なのです。

質問者は高校生ということですが、大人になる前に厳しい現実と向き合い、念仏平和主義の限界を知ることができたことを喜ぶべきかな、と思いました。


2022年8月19日(金曜日)

韓国では政権が交代すると前政権の悪事を暴いて前政権幹部(時には大統領自身)を追訴するというのが恒例行事なのですが、その一環として様々な機密が暴かれることがありまして、今回もそんな一幕。

2018年12月に起きたレーダー照射問題について、日韓両国間の協議が不調に終わった翌年2月に、韓国は日本の哨戒機に対して積極的にレーダー照射を行うことを認める、明らかにCUESに反する指針を出していた、と。しかも軍側の懸念を他所に政治側で強行。

文在寅政権における国際感覚、外交感覚の欠如は多くの負の遺産を韓国に齎しましたが、酷いものですね。

後始末をさせられる現政権が可哀想になるくらいですが、残念ながら已む方なく大韓民国という国家として責任を取るしかないと思います。そうしない限り韓国の外交上の信用は回復しません(必要条件)。それだけでは解決しませんが(十分条件ではない)。

もちろん前政権だけではなく、その前の政権も、さらにその前の政権も外交上の失点を重ねていたので、文在寅一人が作り上げた問題ではないのですが、どちらにしろ現大統領が解決を求められるわけです。

勿論、解決を諦めて事態に流されるまま漂流するのも一案でしょう。どうせ個人の力では解決できない程困難な問題になってますしね。国家全体で責任を取るというのもアリでしょう。

日本としては外交・防衛上、韓国は恃みにならない、と割り切るしかないのが悲しいところですが、状況が単純になって良かったというアーヴ的な見方をすべきかも知れません。


2022年8月20日(土曜日)

クロネコヤマトで宅急便を出すのに複写伝票が手元になかったのでC2を使って伝票作ってコンビニに持っていったんだけど、店長呼ばれた挙げ句「複写伝票に書き写して貰えますか」とか言われてしまう。

コンビニで受け付けてるって書いてあるんですけど、と説明してなんとか手続きをして貰ったけど、こういうの困るよねぇ……。

困るのはどっちだって話なのかもしれないけど。

やはり集荷までして貰えば良かったのか。(でもそれだったら伝票すら要らなかったりして)

そういう意味では半端なサービスなのかもしれない。


2022年8月21日(日曜日)

首相がCOVID-19に罹患とか。先に農水相が罹患していたり濃厚接触者が出たりしておりましたから、正直閣僚の誰が罹ってもおかしくないというか時間の問題だったというか。

現在進行中の第7波において医療崩壊が起こっていることが報じられるところですが、首相はこういうときでもちゃんと医療が受けられるんですから良いですなぁ。

COVID-19の2類相当から5類への変更が取り沙汰される昨今ですが、正直申し上げまして時期尚早としか。

インフルエンザの流行が検出できなくなるくらいの対策をしていてこの流行具合ですからね。とても5類の病気じゃないですよ、今の段階では。

米国みたいに抗体保有率が6割に届く、なんて国ならそれなりに対策を緩めていくこともできるんでしょうけど、そのために積み上げた犠牲を考えると真似したくないですよね。

ワクチン接種率ももう少し上がらんものかと思いますね。

ところでワクチン接種率、沖縄とか大阪が顕著に低いわけですが……ああいう知事を選ぶ有権者が主流というのが問題なんですかね?


2022年8月22日(月曜日)

雨が降るや降らざるや、って感じの天気で、予報も雨になったり曇りになったりと安定しない。

洗濯物も溜まっていたので、曇が続きそうなタイミングでコインランドリーへGo!して乾燥機回してきた。

その時間でスーパーでちょっと買物。

フジパンのマイクラフトベーカリーシリーズ、半完成品を売って、ご家庭のオーブントースターで最後の仕上げをするというコンセプトが気に入っているのですが、私のよく行く範囲内のスーパーで最近取り扱いが減っていて、あちこち探すも見つからない……。

ヒット商品だという話なんだけど、商品入れ替えの時期かなんかなのかね。

こういう食品は通販での取り扱いもあまりないようなので、店頭に並ばなくなると、なんというか、幻の鳥を探せ!みたいな状態になっちゃうよなぁ。


2022年8月23日(火曜日)

ふと財布の中を見たらバイクラッド500円硬貨が入っていた。初見かな。

BiClad 500 Yen Coin

流通開始が昨年11月とのことなので、私のところまで回ってくるのに10ヶ月かかったか。

先日某所で現金で買い物をした時にお釣りで貰ったものかと思われる。最近現金で買い物って殆しなくなったからなぁ……。

そういえば、セブン銀行のATMはFeliCa系の電子マネーへのチャージができるのでよく利用するのですが、一度現金を経由しないといけないのが難点ですね。キャッシュカードで現金を引き出して、改めてPASMOにチャーのためにATMへ現金を投入する、という二度手間がかかる。これ、どうにかならないもんですかね……。


2022年8月24日(水曜日)

政府 原発7基 再稼働目指す方針確認 次世代の原子炉開発検討へ」とか。

まあそれしかねーべ、と。

再生可能エネルギーの中でも特に太陽光と風力は制御できない発電でして、発電量はお天気任せ、人間の側の需給と合わせるためには大量のバッファが必要になる一方、そういうバッファ設備に関しては事業者が負担しなくて良い構造になっています。

電気は大量に備蓄することが難しいため、需要の変動に応じてオン・デマンドに出力を調節する必要があるのですが、太陽光と風力はそういった用途に向きません。同じように出力の調節が難しい原子力ですが、これは逆に一定の出力でずっと発電し続けられるわけで、安定性が全く違います。

なので以前から言われるように、ベース電力の部分を原子力が担当し、調整部分を火力、さらに瞬発で必要な部分を水力が担当するという電源構成が選ばれてきたわけでして……。

ここに「制御不能な不安定電源」を接続することの意味を、電力自由化は検討していなかったんですよね。多分に数字上の電力需給能力が勘合することだけを見ていたのではないか、という気がします。

実際の電力需給の動きを考えれば、太陽光や風力に補助電源以上の役割を与えるのはかなりのリスクになり、安定運用のためにはより大量のバッファが必要になるわけです。

昨今の炭酸ガス排出規制などのことを鑑みても、今後数十年は原子力発電に頼らざるを得ない、というのが現実的な所ではないかと思います。

個人的には次世代の本命は核融合発電ではないかと思っていますが、果たしてその頃に実用化しているかは未知数です。


2022年8月25日(木曜日)

携帯電話の機種変更をして3Gのガラケーとおさらばし……ガラホがやって来た。無料で交換できる一番安い機種なので、ぶっちゃけ3Gケータイと何も変わらん。むしろ機能が減ったくらいだけど、どうせ電話とメールくらいしかしないので何ら問題なし。

外部接続端子がUSB Type-Cになったので、以前使ってたケーブルが全部廃棄になったことくらいかなぁ。

充電用アダプタが結構大きくてゴツいなぁと思ってたら、USB PD対応品だった。PDで給電しなきゃいけないほど電気食うんかコイツ?と思ってマニュアル見てみたけど、5V 1.5Aって書いてあって、バッテリ容量も1,680mAhなんで大したことない。完全にオーバースペックやな……。他機種との共通化のためだろうなぁ。

ともあれ、これで3G停波対策は一応完了ということに相成った。


2022年8月26日(金曜日)

グリペンが売れない理由、優れた品質や価格が決め手と勘違いしているため」とかいう記事があって、これ、他山の石ですよね、って感じ。

日本も近年防衛装備輸出に力を入れているところではありますが、正面装備の輸出には至っていません。(レーダーなんかではちょこちょこ実績があるんですけどね)

買う側にも買う側の都合がありまして、購入した後の消耗品の補充ですとか、保守補修、場合によっては改修ですとか、そういった要望に手際よく応えてくれるか?という辺りが重要になります。また政治的に利害が対立しやすい国からの購入となりますと、ちょっとしたことから禁輸措置をかけられる虞が拭えません。

西側先進諸国ですと人道問題には結構厳しい目が向けられるので、そういった問題を国内に抱えている場合、導入を決断しにくいところがあります。兵器の輸出入に関してはそういった問題には目を瞑ってくれるという約束が欲しくなるところです。

また、兵器はどうしても戦略、戦術の上で用いられる道具ですから、ある国で問題がなかったものでも、別の国では問題が生じることもあり、そういった時に迅速に対応して貰えるか、その信頼があるかはどうしても確証が欲しいところです。

日本で欧州製の兵器の導入が比較的少ないのも、過去にそういった面で苦渋を舐めた経験があるからで、最近では米国も輸出手続きがアレだったり調達するはずだった部品が後回しにされたりしたものですから、日本では国内開発が盛んになっているという側面もあったりなかったり。

ともあれ、兵器の実力や稼働率は国防に直結してしまうので、どの国も慎重にならざるを得ず、その取引きの中で信用を高めようとすれば政府によるトップセールスが不可避なんですよね。それは別の見方をすれば、顧客の防衛政策に関与するということであり、大きな責任が伴うことで、状況によっては否応なく事態に巻き込まれることを意味します。

高度な兵器を売るというのは、そういうことなのですよね。


2022年8月27日(土曜日)

電子書籍を買ったら、同じページが重複してるのを見つけて報告するなど。

ノンブルが違っていたので、全く同じではなかったのだけれども、一体どういう経緯でこういうミスって起こるんだろう。ノンブルを打つ作業中に気づきそうなもんだけど……。(自動で打って確認しなかったとか?)


2022年8月28日(日曜日)

クレヨン社行き。

新PCの導入について話をするなど。

そういえば私の持ってるSony時代のVAIO、来年3月で添付ソフトのアップデート止めるよ、って連絡来てたなぁ。


2022年8月29日(月曜日)

ケータイが新しくなったところで色々とマニュアル等を読んだりしてたら、ドコモメールってPCから送受信できるのかー、と今更ながらに知って、あれこれ設定を弄り回してThunderbirdで読み書きできるようにしてしまう。

その過程でWebインタフェースもあることを知って、こちらも使えるようにしてみる。

で、ブラウザメールからメールを出そうとして、文字コードがUTF-8と表示されていたので、「やはりメールの文字コードはISO-2022-JPだろ?」と思って変更しようとプルダウンを押したら……「Shift-JIS」との択一だった。

メールにShift-JISを流すのは悪と言って良いと思うんだけども、ドコモの感覚は本当によく分からん。長いことRFC違反を放置してたりとか。

個人的には当初のSMTPが7bit系であったことから、日本語を送受信するならISO-2022-JPを使うのは理に適っていたし、今後も伝統として末永く受け継がれるべきだろうと思うし、また8bitが許容されたESMTPを前提とするならばUTF-8が良いだろうと思いますね。

なにせShift-JISはその上に載っている文字セットがCP932なのかMac-Japaneseなのか、はたまたそれ以外なのか分からないという根本的欠陥があり、ぶっちゃけ使うべきではありません。

まあ恐らくその辺がShift-JISが選択肢になっている理由だとは思うのですが、デフォルトがUTF-8になっていたところに彼らの良心を感じるべきなんでしょうかねぇ。


2022年8月30日(火曜日)

2017年に報告していた電子書籍のエラーが修正されていることに気づいた。

森岡浩之『星界の紋章I』紙書籍/電子書籍比較

これの左側が以下のようにきちんと修正された。

森岡浩之『星界の紋章I』電子書籍修正版

更新データのメタデータを確認してみたりしたんだけど何も修正事項について記述がなく、タイムスタンプもわからないので実際にいつ修正されたのかわからないのだけれども、2018年にはまだ修正されていなかったので、ここ3年の間のどこかで修正されたものかと。

ただ……こんな修正に年単位の時間がかかる早川書房って……という想いはないでもない。

せいぜい1ヶ月程度で修正してほしいなぁ、こういうのは。


2022年8月31日(水曜日)

朝、ゴルバチョフ氏の訃報が流れていた。

ソ連最後の最高指導者としてウクライナ情勢をどう見ていたのか、あるいは病床で情勢を知ることなく逝ったのか。

単に一つの国家を滅ぼしたのみならず、冷戦という一つの時代に終止符を打った人物であるだけに、その残り香の戦争とも言える現況をどう捉えていたのか、聞いてみたかった。

残念ではあるが、91歳とあれば大往生であろう。

合掌。