哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

西紀2022年5月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。


2022年5月1日(日曜日)

雨の中ゴミ捨て場まで移動したら……雨樋パイプから盛大に水が漏れている現場に遭遇。いや、これは雨漏りじゃなくて、雨樋の外側を伝った雨水が、雨樋の曲がっている所で真っ直ぐ飛び出してるんだ……。

そのパイプもいかにも後付したような塩ビパイプで外壁を伝っている。

この建物の改装過程で一体なにがあったのやら。


2022年5月2日(月曜日)

夕刻、洗濯物を取り込んで畳んでいたら外から雨音が……。

間一髪であった。

朝の予報では晴れだったんだけど、雷注意報が出ていて、午後くらいから晴れのち雨に変わってたんだよな。

天気予報の更新頻度が高いのは良いんだけど、結果として取得した情報の有効期限が短くなっているのはいただけないものがあるなぁ……。


2022年5月3日(火曜日)

財務省が「携帯対戦車ミサイルがあれば戦車いらないよね!」と言い出して話題になっております。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、日本もNATO並みに防衛費をGDP比2%台へ上げようという議論を与党がしているところに財務省は相変わらずですなぁ……。

携帯対戦車ミサイルは確かに歩兵によって運用され、戦車や装甲戦闘車輛を破壊することができるのですが、ウクライナはそれを一日500発とかのペースで射耗しているわけでして、それを考えると効率の悪い戦い方であることは察することができます。そもそも生身で戦車の近くまで接近する時点で命懸けですが、外せば即反撃を受けてしまいます。ウクライナはロシア戦車に対抗するだけの戦車がないからこそ、このような手段を採らざるを得ないのであって、これを成功例として受け止める財務省の知性は信じ難いものがあります。

また近年はこういった対戦車ロケット・ミサイルに対抗するアクティブ防禦システム(APS)が実用化されつつありまして、盾と矛の相互進化はまたこういったミサイルへの対応策を生み出しつつあります。ロシアは現在まだこの手のAPSをまだ配備していないのでウクライナでジャベリンが猛威を振るっておりますが、日本が将来的に対峙するであろう仮想敵国がこれを持たないという前提で物事を考えるのは楽観が過ぎると思います。

それよりも今回の戦争の大きな教訓は、やはり何と言っても制空権・航空優勢である、というところに尽きるのではないかと思います。

ロシアとウクライナの双方がどちらも航空優勢を取り切れないため、凄惨な地上戦が繰り広げられてしまっています。変な言い方になりますが、ロシアが開戦劈頭の攻撃でウクライナの防空網を完全に破壊していれば、その後の展開は違ったでしょう。また逆にウクライナがウクライナ上空の航空優勢を掌握していれば、ロシアの地上軍は空からの攻撃で駆逐されていたと思われます。現在両者は自勢力圏の上空からなんとか敵を排除している、といった様相で、故にどちらも主導権を握るに至っていません。

日本はこのことこそを教訓として、たとえ侵略を受けても航空優勢を取り続けられるような体制作りが求められると考えるところです。


2022年5月4日(水曜日)

「NHKプラス」、「Firefox」での視聴が不可能に 5月23日から」とか報じられていて、NHKプラスMozilla Firefoxで視聴できなくなるそうな。3月にはpaypay銀行がFirefoxをサポートから外したと報じられたところで、WebブラウザサポートのBlink一極化が進行してますな。

StatCounterの最新調査でもGoogle Chromeのシェアが突出して高いことが見て取れ、Firefoxは8%と落ち込んでいます。

World Web Browser Share
Source: StatCounter Global Stats - Browser Market Share

対応の工数を省きたいという制作側の意図も分からなくはないのですが、世界がBlink一色になっていくことに、かつてのブラウザ戦争を知る世代としては危機感を覚えます。

ユーザがどのブラウザを使うかはユーザの選択に任されるべきですが、一方でHTML等のWebの技術標準はW3CWHATWGが策定しているもので、本来ブラウザに固有のものではありません。勿論、HTML5のフル実装は未だ道半ばなのでブラウザによって対応されている機能、されていない機能があることは事実ですが、特定のブラウザのサポートを外す明確な理由になるとは考え辛いものがあります。

むしろMozillaは「危険な機能を敢えてサポートしない」ことが知られており、ユーザ側からすると積極的に選択する理由も存在するわけで、このサポートを敢えて外されるとなると、なにか危険なコードを走らせているのか?と邪推したくもなるところです。

特にNHKは公共放送であり、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるよう放送法第15条)使命を負った組織なわけで、そのような公共の団体がFirefoxを排除することの意義は、極めて重いと思う次第。


2022年5月5日(木曜日)

消費者庁から排除命令が出て裁判で争った挙げ句見事に大幸薬品が敗れた“空間除菌”を謳う「クレベリン」ですが、結局「大幸薬品、「クレベリン」めぐり謝罪 景表法違反認める」と全面降伏の様相に。

やれやれ……と思っていたのですが、なんと報道によると同社の担当者は「商品の販売は継続する。これまでの商品の返品は受け付けない」と述べた。んだそうで、思わず「え?」と聞き返したくなる。

まあ、そりゃ売るのは商業活動の自由でしょうけど、一体どんな品目として売るんですかね。お守りとかの類でしょうか? パワーストーンとか、そういう感じの。

別に神社がお守りやお札を売るのは違法ではありませんから、大幸薬品がクレベリンを売っても違法ではないでしょうが、一応は製薬会社なんですから、チャームの類を売るのは如何なものかとは思いますね。


2022年5月6日(金曜日)

昨年、kindle端末に新たな統合検索機能が搭載されたのですが、既存の機能別検索機能の方がノイズが少なく有用だったので最近まで使っていませんでした。ところがいよいよ既存の検索機能が廃止されてしまったので已むなく新機能を使い始めたのですが、端末内・Amazonのkindleストア内、webを横断検索するのはまあ許すにしても、端末内の検索結果がおかしい。本来出てくる筈の結果がヒットしないことがある。全くヒットしないのならともかく、ヒットするものもあるので困っていた。

どうなっているのだろうとあれこれ試しているうちに「日本語の濁点・半濁点を含むふりがな(読み仮名)文字列」がヒットしないのだと明らかになってきた。

最終的に推測した原因は、kindle端末内にあるアイテムの読み仮名情報は(恐らく)Unicode NFD正規化を行い、濁点・半濁点付きの仮名は基底文字と合成文字(濁点・半濁点)に分解され、合成文字は無視されるが、検索入力欄から入力された仮名文字列はNFD正規化を経ないため、濁点・半濁点付き仮名が混じった時点でヒットしなくなる、というものだった。(濁点・半濁点を抜いた清音だけの文字列で入力すとマッチする)

恐らくこの処理は、欧文の検索において(ソフトウェアキーボードから入力が難しい)ダイアクリティカルマークを無視してアルファベット列のみを一致させる目的があると考えられるのだが、これを日本語に適用すれば何が起こるかは日本語話者であれば容易に予測がつく。

いや、日本語話者にテストさせれば一発でバグ報告が来るだろうと思うのだが……。

日本語入力周りにも明らかなバグがあったりしているので、日本語環境化でのテスト、やってないんだろうなぁ。

kindleの新UI版、もう半年も色んなバグを報告してるんだけど、完成度が低すぎる。


2022年5月7日(土曜日)

アップデートしたオープンソースアプリケーションがアンチウイルスソフトの誤検出に悩まされたり。

仕方ないので窓口から検体を提出してみた。これで対応してくれるのかなぁ。

できれば例外処理はしたくないところなんだけど、当面は例外指定しとくしかないか……。


2022年5月8日(日曜日)

イーロン・マスク氏がこのまま低出生率を放置すると日本が将来存在しなくなる。それは世界にとって大きな損失だ、と発言したとか。

Elon Musk's tweet

少子化・高齢化を日本の政治が放置気味であることについては色々な原因が考えられるところですが、個人的には現在の日本の政治の中枢に浸透している日本会議系の思想が“現実への対処”を阻害していると認識しています。残念ながら日本会議の思想を前提とする限り、少子化・高齢化は止まりません。これらの問題に対して有効な対策を打とうとすると、日本会議の思想的前提を放棄することが必要になり、結果として有効な対策を打つことができないのですね。

それはともかくとして、では日本が消滅することがどのように世界にとって不利益か、というのは、これまた難しい問題で、日本の価値など「西方キリスト教会系ではない主要国(G7国)」というだけで、ほぼ全てが説明できてしまいます。この価値がどれほど高いか?についてはこれまた大変説明が難しく、“多様性”それ自体の意義に近いものがあります。

“果たして西方キリスト教国以外の国が先進国足り得るか?”という問題についての雄弁な回答であり、“主要国”が西方キリスト教による世界支配とイコールではないという明確な事実であり、近代文明は多様性と共存できることを力強く訴えています。

多分に日本国内に於いては何の価値もない意義なのですが……。


2022年5月9日(月曜日)

対独戦勝記念日ということで何かロシアに大きな動きがあるのでは?という観測もあったようですが、特段の出来事はなかったようで。

プーチン氏の演説も相変わらずと言うか。完全に因果が逆転してますよね。ロシアがウクライナに攻め込まなければ、西側諸国だってここまでウクライナに肩入れすることはなかったので、どう見てもロシアの愚行が招いた自業自得なわけですが……先行きは暗いですな。

ウクライナ側が自国の損害を公式に発表していないことからロシア側の被害が目立っていますが、実際の所ウクライナも相当な物的・人的損害を受けている筈でして、戦後のことを考えると頭が痛いところです。

それでも西側諸国からの援助を受けられるであろうウクライナはまだマシでして、ロシアに至ってはどうなることやら。一部で囁かれているロシア連邦崩壊論も現実味を帯びてくるでしょうね……。

戦局は全体的に膠着気味なのですが、どうやら米国時間の本日付けで、レンドリース法にバイデン大統領が署名するそうです。無限とも言える兵器庫を手に入れたウクライナ軍を相手に、ロシア軍はどこまで戦闘を続けられますかね。


2022年5月10日(火曜日)

買い物に行って、冷凍食材だから最後に籠に入れよう……とか思ってたブツを買い忘れて帰ってくるなど。

「赤信号」を「青信号」だと錯覚させる自動運転車へのサイバー攻撃 中国などの研究チームが脆弱性指摘」とかいう記事があって、やってることは物凄いんですが、これって“サイバー犯罪”の範囲に入るのかなぁ的な……。

人間用の信号というI/Fを自動運転車もそのまま利用しているところが脆弱性の基ではあるのですが、これって信号機から自動運転用の信号を別に出すとかすると避けられそうな気も。

尤も、全国の信号機を自動運転対応に変更するというのは途轍もなく費用と手間と時間がかかるので、簡単なことではないのですが。

それよりなにより、運転者に向かってレーザー発射したら自動運転車でなくても事故るよねこれ、という問題がそもそも……。


2022年5月11日(水曜日)

Windows Updateの途中でサブのノートPCがブルースクリーンを出して頓死。

RAIDコントローラがイカレたと訴えてディスクアクセス不能となってOperating System Not Foundな文鎮に。

10年選手だからなぁ……とか思いつつも、一旦冷ましてからもう一度電源投入したらなんとか立ち上がってくれた。

でももう駄目だな。後継機の購入を考えないと。


2022年5月12日(木曜日)

米国のCOVID-19による死者が100万人を突破したそうな

単純に数が多いだけじゃなくて、人口十万人あたりで見ても米国は高い。

Cumulative deaths attributed to Covid-19 in US, Japan, European Union, UK and Russia

どう見ても米国の公衆衛生政策の失敗としか思えませんが、米国ではあまり政策レベルの失敗を追及する動きがないようなんですよね。不可解なことに。

米国の報道を見ていると、未だにマスク着用やワクチン接種で甲論乙駁の様相を見せていて、米国人約327人に1人が新型コロナで死亡みたいな状況でも、なお適切な政策が取り切れないところが見え隠れします。

しかし、かつて一度は痲疹を根絶宣言を出せるまでに駆逐したような公衆衛生の優等生だった米国が、ここまでの惨禍に見舞われるとは、日本も他山の石としなければならないでしょうね。


2022年5月13日(金曜日)

発注した商品が、注文が確定した後になって、入荷は7月中旬以降とか言い出してキャンセルを連絡するも応答なし。

どうなってるんだとヤキモキしてたら、Webインタフェース上でキャンセル表示が出て一安心するなど。

それにしても購入時には2~4日で発送とか書いておいて、いざ注文確定してから在庫ありませんでしたとか、どういう在庫管理してるんだまったく。


2022年5月14日(土曜日)

雨なのに気温が高くて扇風機で風を送っても熱風になる一日だった。

エアコンの除湿を使うかどうか迷うなど。

当初午後から日が差すという予報だったのだけれども、時々刻々と変わる気象情報を見ていると、晴れ間は見えそうになかったので、洗濯物はコインランドリーで乾燥機を使うことに。

これはこれで良かったけども。


2022年5月15日(日曜日)

気温がぐっと落ち着いた一日。というかこういう乱高下はしんどい。

なんか北朝鮮がいきなりCOVID-19の国内発生を認めたと思ったら、あっという間に患者が30万人とか。なんか隠しきれなくなってから公開された炎上プロジェクトみたいですが、これはこれで深刻です。

韓国がワクチンの提供を検討してるそうですが、日本も国内で備蓄しているワクチンを供与すべきでしょう。

反対の意見もあるようですが、あれでは変異株を育てる培地みたいなもんなので、こんな状況で北朝鮮を放置したら日本に程近い国で次々と変異株が発生しかねません。なんとしてでもここで潰すのが安全保障上必要です。

問題がないわけではないのですが、優先順位的には支援するしかない、というあたり痛し痒しですね。


2022年5月16日(月曜日)

今日はさらに気温が下がって肌寒いくらいだったなぁ……。

思わずカレー鍋作っちまった。

沖縄復帰50周年ということで色々特番が組まれたのは良いんだけど、基地問題を語る番組でもウクライナへの言及はないとか、色々と番組が「定型化」している感。

もちろん、近年自衛隊のスクランブルは那覇基地が最も多くなっているとか沖縄の置かれた安全保障環境がかなり悪化しているという現実も無視するとか。

沖縄の置かれた状況は国際情勢を反映したものなので、それを無視したら空念仏になるんだよねぇ……。


2022年5月17日(火曜日)

宇宙空間で人工衛星アンテナを3Dプリント 三菱電機が樹脂と専用プリンタを開発」との記事があった。

軌道上で3Dプリントか。

記事にも書かれているように、大口径のアンテナは衛星が持って上がるのが難しいものの一つで、近年では太陽電池パネルと並んで折り紙数学を応用した折り畳み技法の開発が盛んな部品の一つです。

これが衛星軌道上で3Dプリントできるとなると、折り畳めないほど巨大なアンテナや、あるいは形状的な自由度高いアンテナが実現しますね。きく8号のように巨大なアンテナは地上設備が貧弱でも通信ができるなどのメリットがあるわけですが、一方でやはり持って上がるのが難しかったわけですが、これが実用化するとさらに巨大なアンテナでも軌道上で作成することができるようになるかも知れないわけです。

期待が高まる技術ですね。


2022年5月18日(水曜日)

久しぶりに晴れたのでいそいそと洗濯を。

そしてベランダで干している時に気づいたのだけど、据付の物干し竿受け、高さが調節できるんだ……。

どうにも竿の位置が低いな、と思ってたんだけど、下げられていたからだったのか!

転居して半年も気づかなかったとは。


2022年5月19日(木曜日)

維新の国会議員が「三角関数より金融経済の基礎を学校で教えろ」と国会で主張して話題になっておりますね。

三角関数を知らずに金融経済が理解できるのか?というツッコミが多数飛んでおりますが、一方で出身がみずほ銀行ということで「あっ、察し……」という反応もちらほら。

先進国では現在中等教育(日本では高等学校)が義務化あるいは無償化される流れにありまして、それは即ち複雑化した社会システムへの適応に相応の知識が必要になったからという事情だったりします。その日本でも高校進学率は全国平均で95%を超えています(資料)ので、社会における必須知識となっています。現下の状況では無償化は必須と考えますが、日本政府の腰が重いことは謎ではあります。

それはともあれ、高等教育(大学以降)で学ぶための基礎づくりという観点からしても、三角関数などは高校で学んでおくべき必須教養の一つであることは異論がなく、また基礎のないところに金融経済の知識など身につきようがないわけですから、件の主張は空中楼閣を建てるようなものだと思いますがね。

とは言え維新という政党は大阪で散々“基礎を破壊して見栄えの良いハリボテを作る”ということを繰り返してきたので、これが国政に影響を持つことの害を感じずにはいられません。


2022年5月20日(金曜日)

国産ロケット打ち上げ設備、大幅拡充へ…ロシアの凍結で世界的な発射場不足に対応」とか威勢のよい記事があったわけですが、問題は山積してますがねぇ……。

記事に出てくるH3ロケットがメインエンジンLE-9の開発難航によって遅延しているという問題を除いたとしても、種子島宇宙センターは商業衛星の射場としては条件が悪いです。

商業ロケット射上げはロケット自体を射上げることが目的ではなくて、ペイロード、つまり衛星を射上げてナンボです。そして顧客からしてみれば、ロケットの性能はあまり重要な要素ではなくて、価格や信頼性、そして利便性が物を言います。種子島が劣っているのは利便性です。

例えばESAがアリアンロケットの射上げに使っているギアナ宇宙センターなどは最寄りのクールー空港から一直線の道路で結ばれてますからねぇ。輸送機を使って衛星を運び込むなら時間をかなりギリギリまで攻めることができます。普段はもっと設備の良いカイエンヌに空輸するみたいですが、そこからでも60kmばかりの大きな幹線道路が通っています。

米国のケネディ宇宙センターに至っては敷地内に4,500m級の滑走路がある始末。

一方の種子島は、種子島空港は滑走路長こそ長いものの、島の中央にありまして、島の南端の宇宙センターまではかなりの山道を挟みます。船舶の港も最寄りは島北西部の西之表港島南西部の島間港。ここから延々島を縦断横断して夜間ロケットを運ぶ姿は、画にはなりますが商業射上げ施設としてはどうよ?という話になります。

というわけで、衛星の運用者から見ると種子島って利便性悪いんですよね。そして島の地形的に、どうにも解決しないんですよね、これ。

日本みたいな土地では中々理想的な射場ってのは難しいことは難しいのですが、それにしてももうちょっと良い条件の射場があらまほしけれ、と思わずにはいられないのです。


2022年5月21日(土曜日)

先日、次期戦闘機の開発について産経が「<独自>次期戦闘機、日英共同開発へ BAEと協力、伊も参加」と飛ばしていたのですが、その後時事NHKなど他社も後追い報道を始めたので、まあ事実だろうな、と。

記事によればロッキード・マーティンがブラックボックスを譲らなかったご様子。日本側の次期戦闘機への要求には“改修の自由”が高い優先度に入っているので、条件が折り合わなかった、と。

それでBAEなのですが、BAEもF-35の開発には大きく関わっているので技術力はあるでしょうが、単独実績がないという不安はあります。

BAEが絶賛開発中のテンペストとの技術協力・一部共用化でしょうが、テンペストとは色々と前提が違うと思うので、共同開発と言ってもM-346Yak-130みたいに、同一のスタディから個別の機体を開発するようなことになるんじゃないかなぁと予想するところです。

本当の意味での「共同開発」、つまり予算やリスクを持ち合うところまで行くのかは不透明ではないかと。共同開発の失敗例は、それこそ数限りなくあるわけでして……。


2022年5月22日(日曜日)

NHKBS世界のドキュメンタリーで「ワグネル 影のロシア傭兵部隊」とウクライナでも話題のワグネル社を採り上げた番組を放映していた。

この手の民間軍事会社はWWII後だけでもエグゼクティブ・アウトカムズからブラック・ウォーターまで色々と過去にやらかしてきた関係で、西側では近年モントルー文書などにより規制がかかり、適正化が進んでいる……と良いなぁ。

とまれ、国際法上曖昧な存在であり一種の隙間産業である“民間軍事会社”をロシアはむしろ積極的に“活用”しているわけですね。曖昧であるが故に、汚れ仕事の隠れ蓑としてうってつけである、と。

信義則に反するよなぁ。

国際社会における信用の重要性はこの日記でも何度も書いている通りなんですが、どうもこれらを運用している側の人間にとって、冷戦はまだ終わっておらず、“敵”との間に信用などないようなんですよね……。


2022年5月23日(月曜日)

依存度高い日本は大丈夫か IEは6月16日サポート終了だが移行措置「完了」16%」とかいう記事があったんですが、そんでIE依存から脱却した先がChrome依存だったら救いがないよなぁ、とか。

“特定のブラウザに依存したWebサービス”が問題だったのであって、“IEに依存したWebサービス”が問題だったのではない、という理解が広まらなかったらしいことは、現在広まりつつあるChrome依存を見ると察することができるわけでして、何年後かは分かりませんが、同じことが繰り返されたりするんじゃないかなぁと心配ではあります。

難しいのは難しいんですけどね。

「仕様に即しているのに正しく動作しないのはブラウザの実装が間違っているからだ!」と言ってエンドユーザが納得してくれるわけがない、というのもまた事実でして、動作検証の手間を考えたら最も広く使われている環境を優先せざるを得ない、という事情もまた経済原理として理解はできるのです。

Webサービス企業としてGoogleはChromeの開発に注力し、GoogleのWebサービスとの親和性の高さのためにChromeが選択される。そうして上がったシェアを背景に、他のWebサービスもChromeを優先的にサポートする……。

そう考えていくと、GoogleとChromeをどこかで切り離さないといけなくなるのかも知れないなぁ。


2022年5月24日(火曜日)

バイデン大統領が日米首脳会談後共同記者会見で“台湾防衛にYes”と答えたと話題に。

当然、中国は強く抗議。

今般のウクライナ戦争が中国の対台湾政策にどのような影響を及ぼすのか、及ぼしているのかについては未だ不明瞭な点も多く、見通せないところではあるのですが、一方で西側諸国からは「中国は武力による現状変更をやる」と確信されたということは間違いありません。

隙を見せれば中国は台湾へ武力侵攻することは疑いなく、今も機会を伺い、その能力の涵養に努めている。

そう確信するに至らせたわけです。そして中国はこれを否定する術を持ちません。

2014年のウクライナ以降で分かったことは、ロシアや中国のような権威主義国家に対しての譲歩・妥協は一切がミュンヘンである、ということです。バイデン大統領の強い姿勢も、それを学習したものではあるのでしょう。

しかし民主主義国家においては軍人もまた国民であり有権者であるため、兵の命の価値が高く、これを損なうことになる軍事行動はどうしても決断しにくい弱点があります。一方で権威主義国家において兵の命は廉く、支配者にとって容易に賭けることができるチップです。先のワグネルを含め、この非対称性が問題の解決を難しくしているわけですが、容易に解決つかんよね、これ。


2022年5月25日(水曜日)

さて、日本が防衛費を増額すると公約したと話題なわけですが、問題はどう増やすかですね。

理想を言えば防衛国債なんかを創設して、日銀に買わせて防衛費に充当する、というのが良いやり方だと思うのですが、難しいでしょうかね。安全保障分野に関してはWTOの政府調達協定の例外事項であることから防衛費は国際調達を強制されない数少ない使途となるので、これをできるだけ国内企業に回すのが経済的にも理に適っているのですが、これについては購入するモノによりけりなので……。

陸海の兵器であればかなり国産化が進んでいるので増勢すれば日本企業が潤う部分が大きいのですが、問題は航空機関係ですね。こればっかりは……。(しかして真っ先に必要になるものだったりして)

C-2やP-1のように、開発自体は国内でも、部品単位ではかなり輸入部品を使っていることもあるので。(これは陸海の兵器もかなりありますが)

ちなみに、円建て国債はいくら発行しても国がデフォルトしたりはしない、というのは、財務省自身が認めているところなので、一体何が日本をそれほどまでに財政健全化に走らせているのか、全くの謎です。インフレ率が高まって危険というのなら分かるのですが、日本はデフレですし、ぶっちゃけ円を発行しなければいけない局面にあるので、防衛費増額が必要なら利用すべきだと思う次第。


2022年5月26日(木曜日)

NHK放送技術研究所一般公開へ砧まで。

何年ぶりだっけ?という感じでしたが、やはり年々“選択と集中”が進んでいることが感じられる展示でした。4K/8Kは分かるんですが、3Dへの注力は、本当にそれで良いのか的な部分がないでもなく……。別に悪いわけじゃないんですが。

圧縮・伸長技術では、H.266/VVCMPEG-H 3D Audioが結構展示で動いていたのが目に付きました。

VVCはNHKがかなり研究してきた超解像処理を規格に盛り込んでいて、ベースレイヤ(BL)の情報にエンハンスドレイヤ(EL)を足して解像度を上げる、といった処理ができるようになっています。BLで2K映像を送ってEL情報を補完して4Kに、といった使い方ですね。特に8Kともなると実験放送こそ始まっていますが、ご家庭に8Kモニタが普通に置けるようになるにはまだ時間がかかると思われます。4Kは徐々に普及が始まりつつある、といったところでしょうか。ですので、4K/8KをこのようなBL+ELで実現する、というのは悪くない手法でしょう。

ただ、実際に展示されていたデコーダの出来はあまり良くありませんでしたが……。肉眼で見てノイズがかなり顕著というのはいただけません。

VVCはエンコーダの役割も大きいとのことで、今後の技術発展に期待という面もあるのだそうな。

3D Audioはぶっちゃければマルチトラック音声を放送局側から送って末端側でミックスダウンしようという話で、音声の言語切替なんかが強く想定されている用途。アニメなんかでも画像は一緒で音声だけ言語を3種類くらい送る、といった需要は、欧州なんかでは強いと思われ。

地上波で4K/8Kを放送するための変調方式の研究では1024QAMとか大丈夫かこれ?って思うようなものも展示されていたり。

まあ、あと3D系は……来場者の人気は集めてましたけども、キュラーレンズやインテグラルレンズを使った3DはNHKの十八番とも言える技術ではあるのですが、今ひとつどこで使われるのかよく分からない所はありますよね。何十年もやってるので、技術的完成度はかなり高くなって来ている印象はあるのですが……アプリケーションがないのも相変わらずと言うか。

ただまあ、こういうのもあってこそのNHK技研だと思うので、黒歴史にしないで今後とも海のものとも山のものともつかない技術開発に邁進して欲しいものです。


2022年5月27日(金曜日)

ロシアがウクライナにT-62を持ち込んだと一部で話題に。

まあ一部の途上国ではまだ現役ではあるのだけど、西側から兵器供与を受けているウクライナの戦場に投入するのはどうなんだろ。ないよりマシなんだろうけどさ……。複合装甲でもない鋳鉄装甲の戦車って、鉄の棺桶とどのくらい違うんだろうか。

en.Wikipediaによると22,700輛も作ったらしいので、沢山保管されているのでしょうが、こんなものまで投入しなければならなくなったロシアの事情は察するに余りあります。戦わされる兵士たちも気の毒な話ですな。


2022年5月28日(土曜日)

総火演をネットで鑑賞。

色々見どころがあったのですが、74式戦車が意外と頑張ってたなぁ、と。74式 & 90式10式 & 16式という組み合わせが多かった印象。10TK & 16MCVはデータリンクができるそうなので、組み合わせて使うのが筋なんでしょう、きっと。

16式は現在自衛隊で編成が進んでいる即応機動連隊や偵察戦闘大隊の対戦車戦力なわけですが、本州から戦車戦力がなくなることを考えると、データリンクで闘う場面はかなり少なそうな気も……。いや、必要になった10式を戦略輸送するんだろうけど。

砲迫では19式装輪自走榴弾砲が初の射撃展示。FH70と一緒に出てきたので、射撃準備の早さ、撤收の早さが強調されていました。ただ以前もちょっと書いたのですが、空挺などのためにM777を一部導入するというのはアリじゃないかと思いました。FH70はCH-47で輸送できましたが、19WHSPとなると空輸するにはC-2を持ってこないといけないので……。

でも一番良さげだったのは99HSPだったけどな!

登場が予告されていたオスプレイは、固定翼モードでフライパスして、暫くいなくなったと思ったらヘリモードで登場して、転換は見せてくれなかった。着地して歩兵を展開させていた。なお、昨年から登場の汎用軽機動車はCH-47からのご登場だった。

あと目立った装備というとやはり中多ですかね。もともと中MAT重MATの後継ということもありますが、その多用途性から色んな局面で使われるため、出番が多くなったものかと。財務省は01軽MAT推しのようですが、やはりせめてこのくらいじゃないと、という所はあります。

その他で興味が惹かれた点と言いますと、空自のF-2からのJDAMによる対地攻撃の誘導を陸自が行っていたりとか(米軍では空軍の管制班が陸軍に帯同する)、上陸作戦の支援火力調整所が海自の艦内に設置される想定になってたりと、統合運用が進んでいる様子が窺えました。

しかし……ここ暫くの間、想定はずっと南方島嶼だったんですが、来年あたり突如北海道に戻ったりしないだろうな?


2022年5月29日(日曜日)

真夏日。

あちーよ……。

余りの暑さに思わず床屋に飛び込んで散髮してしまった。


2022年5月30日(月曜日)

なんかマウスの調子が悪い一日だった。

マウスのハードじゃなくて、オプションボタンへの機能割当ユーティリティがおかしい感じ。ユーティリティソフトを立ち上げてキー割当をした直後はきちんと動作するのに、暫くするといくつかのボタン(に割り振られた機能)が正しく機能しなくなる。

おかしいなぁ。なんか変なソフトがバックグラウンドで走ってるんだろうか……。


2022年5月31日(火曜日)

防衛研究所が防衛費の増額を訴える書を著したと聞いて、件の「東アジア戦略概観 2022」をダウンロードしようとしたんだけど……サーバが重くて一向に落ちてこない。

已むなく超久しぶりにIrvineを引っ張り出してダウンロードを開始……ってリトライ回数が50回を超えてもまだ終わらない。明日の朝まで走らせておいてみるか……。

TOP500が更新されて、日本の「富岳」がトップ陥落という報道が目立ちましたな。まあそれでも2位をキープはしているのですが。

スーパーコンピュータの性能寿命はおおよそ5年とされるので、2021年に稼働を開始した富岳が比性能を落としていくのは順当なので問題でもないのですが、議論されるべきはポスト富岳でしょうね。

全体のスーパーコンピューティングパワーに占める日本の比率も余り改善はなく、やはり米国が圧倒的に高い。日本は一点豪華主義というかなんというか、富岳の次が19位ですからなぁ……。

あと気になったのは、インターコネクトに名前を見るようになった「Slingshot」でしょうか。HPCでは計算ノード自体の速さも重要ですが、それらを結ぶインターコネクトの速さ、遅延の少なさが大きくない制約になります。

これまでHPCのインターコネクトというとInfinibandが多くて、日本は独自のTOFU Interconnect Dとかを開発していたのですが、HPEのSlingshotが上位に増えてきた印象。

CPUは相変わらずIntel/AMDのx86系が強い。ARMは富士通のA64FXがちらほら。そんでPOWER。次回あたりPOWER10が見れるんだろうか。

あー、でもコロナと戦争でどうなるかわかんないところもあるか……。