哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」

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西紀2020年9月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。


2020年9月1日(火曜日)

9月に入ったかと思ったら30℃切りとか、寒暖の差が急激過ぎるんじゃないですかねぇ。いや、過ごし易くて良かったけども。

これで涼しくなるのかと思えば、明日はまた30℃越えの真夏日とのことなので、今日一日の事の様子。


2020年9月2日(水曜日)

雨が降ったせいもあるのか、30℃以上という割には過ごしやすかった一日。

されど湿気が凄く、エアコンは除湿で大回転なり。

汗が乾かないこんな日は、気づかないうちに熱中症になってたりするから要注意だな。でもそういえば、今年は塩飴の類を買ってないな……。


2020年9月3日(木曜日)

韓国が開発しているKFXの最終組立の動画が公開されたとの由。

見た目はステルス性を意識しているのですが、実際にはステルス性は高くなく、性能的には4.5世代戦闘機を標榜していて、第5世代F-35より廉いことを売りにしているようなのですが……西側の4.5世代機はF-16が市場を席巻していて、これを何らかの形で上回らないと市場的成功は難しいのではないでしょうかね。

そして第5世代機のF-35は量産効果によって価格がどんどん下がっており、en.wikipediaの記述によればF-35Aのユニットコストは7,790万米ドル。82億円程と大変お安くなってしまっています。逆に当初軽量安価な戦鬪機として開発されたF-16は年々価格が上昇し、現在最新鋭のF-16Vではユニットコストが6,400万米ドルなんて推定値が出ていたりします。これより廉い4.5世代機となるとグリペンくらいしかなく、フランスのラファールとてユニットコストは6,880万ユーロですから、純粋にF-16Vに市場で勝つのは難しいのが実情です。

別にKF-Xを腐しているわけではなく、これだけの戦鬪機を自国開発できる所に至ったのは大変な努力の結果ですし、この段階での動画の公開というのも一種のセールスパフォーマンスでしょうけれども、果たして思惑通りに外販が可能かと言われると難しいのではないかと思わざるを得ないのです。


2020年9月4日(金曜日)

被爆資料2万点がほぼ死蔵 長崎原爆資料館」とかいう記事がありまして。

そりゃぁ学芸員が二人ではどうにもお話にならんのと違いますか。(しかも2名に増えたのも2015年でそれ以前は1名だったとか……)

こう言ってはなんですが、資料の收集・保存・整理にはヒト・モノ・カネが必要で、それが充当されていないのであれば、記事のようになるのも致し方ないというか。(なお、広島の方は学芸課員だけで19名)

マトモに考えるならば、原爆の被害を後世に伝えるために必要な施設を用意し、人員を配置し、予算を確保するものだと思いますが、どうにも長崎市は、ひいては長崎市の有権者は、そういう施策を怠ってきたご様子。政令指定都市である広島市とは予算規模が異なるという面もあろうかとは思いますが、かかる事態を等閑視してきたと言われても致し方無いかと。

いや、あるいは広島の長岡省吾氏こそが、両者の分岐点だったのかも知れませんが……。

広島の運営団体に一緒に管理させた方が良いんじゃないか、って言われますよ、これはそのうち。


2020年9月5日(土曜日)

颱風接近に付き明日は雨の予報だったので、天気が保っている間に買い物に行って保存食など多少買い込んできたりして。

それにしてもここのところの颱風は、列島側に曲がらないで、朝鮮半島方向に北上してばかり。太平洋高気圧の問題なのかも知れないけど、颱風が雨を運んできてくれないと、今度は渇水が心配になるわな……。


2020年9月6日(日曜日)

一日天気は降ったり止んだり、って感じだった。

気温よりも湿気が耐え難く、エアコンの除湿モードが大活躍。洗濯物を乾かすにはこれしかない。

ちょっと最近、何の気なしに「金本位制」をtwitterで検索して地獄を見た。

いや……ちょっと……マジですか……え?

現在の貨幣制度は管理通貨制度であり、本位貨幣ではない、ということは、その好悪に関係なく厳然たる事実なんですが、まさか本位貨幣への回帰を訴える人があんなに多いとは。驚きを通り越して恐怖を感じましたわ。

本位通貨制はわかりやすいですけど、とっくに失敗して破綻した制度でもあるわけでして、今は管理通貨制度の下、我々は発行母体(=政府)の信用や強制力を担保に紙切れや金属塊を通貨として使用しているわけです。

本位通貨制度では通貨の価値は政府とは無関係に成立しますが、管理通貨制度では通貨は政府が生み出している紙切れに過ぎません。それ自体には独立した価値はなく、その価値は政府が保証しています。従って政府の信用が失墜すれば通貨は紙切れに戻りますし、政府には時に通貨を切り替えて過去の通貨を使用不可にするなんて暴挙も可能になるわけです。

まあ確かに管理通貨制度というのは柱のない空中庭園のような不安定さを感じるものではあるのですが、だからといって既に失われた柱を再建しようだとか、その価値を固定化しようだとかという試みは、有害無益ではないですかねぇ……。歴史の必然として今があるわけでして。


2020年9月7日(月曜日)

久しぶりにほぼ完全なるブルー・スクリーンに遭遇。

やはりWindowsは光学ドライブ周りに脆弱性があるよなぁ……。

光学ドライブへのアクセス中に光学ドライブが応答をしなくなったりといった異常時に、かなりの確度でOS毎死んでしまう。どうもUDFの実装辺りになにか問題があるんじゃないかという気がしてならない。


2020年9月8日(火曜日)

今度はkindleが……。

前回から3ヶ月。今回も内部のデータベースかインデックスが損傷したと思しき挙動。やはり内部のフラッシュストレージの書き込みが限界なのかもなー。

この秋にe-ink kindleの新製品が出るんじゃないかと思ってて、そこまでは持たせたかったんだけども。


2020年9月9日(水曜日)

渋谷のユーロスペースへ行って映画「はりぼて」を鑑賞。

2016年のチューリップテレビ(TUT)のスクープに端を発する富山市議会政務調査費不正疑惑、これをTUT自身がドキュメンタリ化したTV番組「はりぼて~腐敗議会と記者たちの攻防~」(2016/12/30放送)の劇場版です。

実に硬派なテーマでありまして、政治の腐敗を突く地元テレビ局の闘いを描く……!と書くと大変お堅い作品のように思われますが、極めて残念なことに登場人物たちにそこまでの貫目がなく、市政報告会を実際にはしなかった、資料印刷代を着服した、懇親会(宴会)を市政報告会と偽った、カラ出張をした……という戯劇水準で推移。議員たちも言い逃れ、すっとぼけ、逆ギレ、雲隠れと多彩な技を繰り出してきますが、全く大物感はなく、小物の猿芝居に終始します。隠蔽工作もなにも突かれる端から馬脚を現し、ばたばたとドミノ倒しの如く辞任は14名に。

記者達と一緒に自民党議員の不正を追及していた議員が自らも不正をしていたり、出直し選挙を率いて当選した長老議員がその数日後に不正発覚したり、怒りも露わに声を荒げる議員がストーカーで略式起訴されたりといった小話も含め、実にどうしようもない話が立て続きます。

出てくる不正議員が誰も彼も皆んな等身大で、口が裂けても「巨悪」などとは言えない。懐かしい富山弁でまくし立てるオッチャン達は、最初こそ議員らしく記者を煙に巻いたりしていたものの、化けの皮が剝がれればどうしようもなく普通のオッチャン達でありまして、そんで支持者のオッチャンオバチャンたちとの距離もとても近いもんだから、起訴された一部の人もいたけれども、最後はナアナアになっていってしまう。

このままコメディ映画で終わるのかと思っていた最終盤、この案件を当初から追っていた砂沢記者が報道部から社長室へ左遷されるシーンが飛び出す。そして五百旗頭キャスターは退職……。果たして市議会議員からの圧力か、はたまた会社の忖度か……

あと、テーマ曲が大変よろしいですね。なんというか、間の拔けた感じが良く表現されていたと思います。

年頭の「さよならテレビ」と並んで2020年のベストTV系ドキュメンタリではないですかね。


2020年9月10日(木曜日)

今更ではあるけれども「【尖閣衝突事件10年】前原誠司元外相「菅首相が船長を『釈放しろ』と言った」」とかいう記事が。事件の起きた2010年当時から「こんなの誰が信じるんだ?」のレベルの話でしたし、検察の発表文からして圧力がかかったことを暗に示していましたし、その後の動画流出事件を誘発し、現在に至る尖閣諸島問題に深刻な影響を与えました。

当時も言いましたが、国益を考えて超法規的措置を取るなら取るで、政治家が判断して泥被らなきゃ駄目なんです。それを圧力をかけて検察の判断、つまり忖度させたわけですよ。

民主党の残党どもには、自民党を「忖度」とか言って批難する資格ないですよね。むしろお前らがパンドラの箱を開けたんだと……。

変な言い方ですが、民主党政権は結果としてその後の自民党政権に「ああ、ここまでやっても構わないんだ」という悪い免罪符を与えたんですよ。それに乗っかる自民党も自民党ですが。


2020年9月11日(金曜日)

日本の次期主力ロケットとして開発が進んでいたH3ですが、ここへ来て「H3ロケットの開発計画の見直しについて」とスケジュール延期の発表。

NHKの記事によればことし5月に行ったエンジンの試験で、燃焼室と呼ばれる部分で、長さ1センチほどの割れ目が14か所見つかったほか、燃料を送り込むターボポンプと呼ばれる機器の内部でも、ひびが入っていることが確認されたということです。とのこと。

不安視されていたLE-9だけに、ここへ来てのトラブルに「とうとう来たか」という感想。

本質的に大型化に向かないとされるエキスパンダーブリードサイクルによる大型液酸・液水エンジンという技術的挑戦を含んでいたわけで、何も起きなければむしろおかしいくらいでしたから、ある意味で想定内というかなんというか。

ただ、問題は日本国内に留まらない影響が発生することでして。

先だって退役したH-IIBロケットで射上げられていたHTVですが、これの後継たるHTV-XはH3-24L(LE-9×2、SRB-3×4、L型フェアリングの構成)で2021年に射上げる予定だったのですよね。HTVはISSの運用に関わる補給を担う関係上、影響は日本だけに留まらなくなるわけです。

初物の宇宙機を初物のロケットで射上げようとするなよ……的な思いがないわけではないのですが(リスク分散とは)、HTV-Xのスケジュールをどうするのか、要注目ですね。


2020年9月12日(土曜日)

朝方から右下の埋伏智歯が痛み始め、一体何事かと。

鼻水もズルズル出ていたので、これは智歯の問題というよりも体調不良に伴うものではないか?と考え、歯医者に行くのは様子見にして、体調回復に努めることにする。これで駄目なら歯医者に行くつもりで……。

ただ、以前も痛みが出たことがあって、その時の診断で、拔くとしたら口腔外科行きと言われているのでなぁ……。


2020年9月13日(日曜日)

まだ鼻水は止まらないけど、体調が落ち着くに連れて智歯の痛みは引いていった。

なんだろう。渋谷で黴菌でも拾ってきたか……?


2020年9月14日(月曜日)

日テレ系のNNNドキュメント放射能が、見えた 可視化で分かること」は酷い番組だった。

これ、止めることはできなかったんですかね?

番組タイトル直後に番組で紹介する動植物の放射線像はスズメバチの巣(2018年採取)をのぞき2011年から2015年に採集した物を撮影しており、現在のものではありません。とか福島の農畜産物、海産物は全品目で検査が行われ、ほぼ全てで放射性物質は検出されず、基準値を超えたものは出荷されていません。なんて注意が流れるような番組とか、放送する側が既に風評被害を惹起しかねない番組だと自覚していたとしか思えないんですけども。

さらにさらに、番組中でオートラジオグラフィーを用いると、放射線が強い場合は短い時間で像が浮かびますが、放射線が弱い場合は数ヶ月かけることもあるといいます。また可視化するため画像のコントラストを調整することがあり、別の画像同士を比べて濃さの違いで線量の大小を分析することはできません。って言ってるのに、二匹のブラックバスを比較して表示したりと、作り手の理解力というか知能にかなりの疑問があります。(大体、イメージングプレートを使った放射線像では自然放射線すら撮影できる)

そもそも「放射能が、見えた」という文言の辺りで察しはつくわけですが、放射線像で見えているのは放射能ではないよね?と。本当に放射能を摑みたいなら核種と量が問題になるわけで、それらについては詳細な分析に回す必要があり、番組中でもゲルマニウム検出器を使って核種を割り出していました。有り体に言えば、放射線像という技術の特性とその使い道として、番組は明確に間違っているわけです。そしてそのことに番組内で言及している!(作り手側に自覚がある)

恐らく科学的正確性についての疑義が内部で検討され、そのためにテロップ・ナレーションによる何度とない注意喚起となったのでしょうが、そんなに何度も言及するくらいなら徹底的に修正するなり放送を諦めるなりしろよと思わずにはいられませんでした。


2020年9月15日(火曜日)

先日kinoppyをインストールしてみてですね、そういやぁ遠い昔に紀伊國屋のアカウントは作ってあったはず……と思ったのだが、不幸にもパスワードが思い出せない。

下手に試行してアカウントロックされてもつまらないので、パスワードリセットにメールアドレスを放り込む。よしよし、メールが送られてきたぞ。そんでパスワードリセットページに遷移して……。

パスワードリセットのために秘密の質問が提示されたんだけど、こんなの設定した記憶ないぞ! いやまてこれは孔明の罠だ(錯乱)。

思いつく限りの答えを放り込んでみるがどれもNG。一体どうなっているのか……。

こうなったら仕方ない。改めて紀伊國屋のログインページから、昔良く使っていたパスワードを入力してみる。

ログイン成功であった。

いかんなぁ……。パスワードの使い回しが危ういという話になってから、あちこち変更して回っていたんだけど、未だに旧いパスワードのままになっているところがあったか。

どうも最終利用は2005年のことだったようだ。15年は放置していた、と。

というわけで、ごりごりと登録情報を更新する。そこで分かったのだが、どうもこの15年の間に「秘密の質問」が用意されたらしく、当然その間ログインしていなかった自分はそんなもの設定されておらず、設定していないものを要求されるという無茶苦茶な仕様になっていた模様。

うーん。古い登録ユーザを後生大事にするのもの良し悪しだな。

ところでkinoppyですが、電子書籍サービスを利用したかったのではなく、実はkinoppy viewerがepubビュワーとして出来が良いという話を聞きつけたためだったんですね。しかもViewerプログラムだけが独立している。自分でファイルの関連付けを変更できる人にとっては、大変勝手が良いプログラムです。

暫く超縦書と併用してみて、その内本格移行するかも知れず。


2020年9月16日(水曜日)

内閣総理大臣指名選挙が実施され、菅義偉氏が内閣総理大臣に選出されたそうな。閣僚人事を見ると、なんというか派閥調整型だなぁ的な。

菅総理自身が無派閥で党内基盤が脆弱であるため、自分を支持してくれている派閥に配慮した人事をしなければいけないというのは理解できるのですが、果たしてこれで指導力を発揮していけるのかは疑問が抱かれるところ。

とは言え、中継ぎだと思って登板した首相が思いの外長く政権を担うことって、過去にもありましたからね……

まあ、全てはこれからなんですが。


2020年9月17日(木曜日)

なんか米国から「防衛費をGDP比2%にしろ」とかいう話が飛んでくる。

まあ、理解はできる話なのですが。

無茶苦茶使えという意味ではなく、適切な規模の支出水準がその辺りに存在する、という話ですな。

世界の国別軍事費を見ると、西側諸国の中では米国がやはり突出してしまっています。PAX AMERICANAの終焉が時間の問題と言われるようになって久しいわけですが、こうなると米国の庇護下にいた国々は、いわば米国と肩を並べて戦うことを要求されるようになってくるわけです。

場合によっては、米国が頼りにならないこともある、という前提で。

となると、事実上の最前線国家(フロントライン・ステート)である我が国としては、中国、ロシア、北朝鮮の侵略意図を単独で挫く程度の軍事力が必要になる、ということでもあります。なかなかしんどいですな。

そしてもう一つ関連する問題として、米国や西側諸国の軍需産業の混乱があります。特に米国において兵器開発の体系に混乱が生じており、かつてのように米国製兵器を導入することに困難が生じつつあります。これはエコシステム(生態系)の崩壊という形で進行しているのですが、主に冷戦終結後の急速な軍事費の抑制によって生態系が破壊され、気がついてみたら兵器を開発する能力が毀損していたという残念な現象が起こっているのですよね。そのため、兵器の新規開発においては生態系の構築から必要となり、結果として開発費が膨れ上がり、議会がそれを見咎めて開発費が削減され、そのために開発期間が伸び……という悪循環がかしこに見られます。

しかしエコシステムの維持のためには定期的かつ定量的な兵器開発の発注が不可欠であり、これを維持するために投入される予算は有限であることから、米国から巨大な軍事費が削減されていくと、高価で高性能な兵器の開発体系そのものが喪われる可能性が否定できないのですよねェ……。


2020年9月18日(金曜日)

なんか米国務次官が台湾を訪問しているとかで、中国が発狂しておりますな。

わざわざ台湾上空を通過するようにロケットを射上げる軍事演習を行う哨戒機を飛ばす戦鬪機をADIZに侵入させる……。ついでに日本に対しては「台湾と関係を深めるな」と警告、と。

どんだけ繊細なんだよ、ガラスのハートか?と思わずにはいられません。

まあ、一つの中国という建前が脅かされているというのは事実ではありますし、それに対して抵抗しなければなし崩し的に台湾独立へ向かってしまう可能性もあり、そうなれば香港やウイグル、内蒙古の問題に飛び火しかねないわけで……というか、もう無理じゃないかと思うところもあるわけですが。

ウイグル族の強制収容断種問題や内蒙古でのモンゴル語教育の廃止など、同化政策というか民族浄化に突き進んでいる姿は広く認知されてしまっているので、この政策を撤回するかしない限り、中国への圧力は強まりこそすれ、弱まることはないと思われるところ。

しかし……気持ちは分からなくもないところなんですが、少数民族を圧殺して漢民族化を進めれば、世界からこういう扱いを受けることになるのは分かりきっていただろうに……と思わずにはいられません。まさか経済的・軍事的大国になればなんだって許されるようになる、と思っていたわけでもないでしょうに。


2020年9月19日(土曜日)

医師法違反の罪問われたタトゥー彫り師 無罪確定へとなかなか各所への影響の大きな最高裁判決が出ていた。そう長くもない判決文ですので、全部読んでも良いくらいですが、記事も丁寧に解説していますね。

これまで刺青を彫る行為は厚労省の通達によって医行為とされ、医師免許を持たない彫師が罪(医師法違反)に問われてきました。ところがこの度その判断が最高裁で覆され、刺青を入れる行為は医行為とはみなされないとなりました。

大きな柱は以下の二点ですね。

  1. 医行為とは、医療及び保健指導に属する行為のうち、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為をいう。
  2. ある行為が医行為に当たるか否かについては、当該行為の方法や作用のみならず、その目的、行為者と相手方との関係、当該行為が行われる際の具体的な状況、実情や社会における受け止め方等をも考慮した上で、社会通念に照らして判断する。

体調不良等を発端として医師の診察を受けて治療を受けるといった選択決定がなされたわけではなく、飽くまで顧客の要望に応じて入墨したのであり、またその施術は装飾的、美術的なもので医学教育においてこれがなされているわけでもない。刺青を入れてくれる医者がいるわけでもない。よって刺青の施術は医療関連性を欠き、医行為には当たらない、という判断に。

記事にもあるように、これまでの厚労省や警察の見解と異なる結論が最高裁で導かれてしまい、多方面への影響が及ぶことでしょう。実は刺青以外でも、ピアスショップで穴を開けて罪に問われた事例や、アートメイクが医師法違反に問われた事例などがあり、珍しいところでは植毛治療は医療行為であるとされたケースも。

勿論、これらは人体に意図的に傷を付け出血など一定の被害を与える身体侵襲行為であって、感染症などの危険性が附隨することは疑いなく、一定の医療知識を持った有資格者によって行われる方が安全であろうことは論を俟ちません。しかしその規制を医師法17条によって行うことは(少なくとも刺青においては)不当である、と判断されたわけです。

かくして厚労省の通達から警察の取り締まりまで、既存の規制体系を大きく変更することが必要になったわけです。略式起訴で30万円の罰金刑を最高裁まで持ち込んだ結果は、上を下への大騷ぎですな。

ただ、判決文の最後に附記されているように、タトゥー施術行為に伴う保健衛生上の危険を防止するため合理的な法規制を加えることが相当であるとするならば,新たな立法によってこれを行うべきタトゥー施術行為は,被施術者の身体を傷つける行為であるから,施術の内容や方法等によっては傷害罪が成立し得る。わけで、現状を放置するではなく“安全な刺青(等)の実現(一定の規制)”を行うべく、立法措置が模索されることになるのではないかと思われる次第。(国会が本当に動くかどうかは分からないが)

ついでに本件、判決文にも「タトゥー」という用語が用いられ、「刺青」や「入墨」といった語を用いていない。「タトゥー」という語を「刺青」よりも広い概念を持つ語として使用しているのではないか?と思われるところがあり、その辺に「刺青を入れるのはヤクザ者」という通念から離れた判断といえるのかも知れない。


2020年9月20日(日曜日)

なんか菅政権では携帯電話料金の値下げが政策目標の一つらしく「携帯代「国際水準に近く」 総務相、値下げ努力促す」とかいう記事が舞い踊っております。

しかし、経済原則・市場競争で決定しているものを政治権力で値下げするとなると補助金の拠出くらいしか手がないように思えますが。

携帯電話事業というのは、設備負担の割合が大きい事業です。人の住んでいるエリアをカバーできるように基地局を全国に設置し、基地局同士を通信回線で結び、交換器を介して通話を接続し、他社(これは固定電話も含む)との接続も保障しなければなりません。利用者の手元のスマホなどは正に端末であり、事業の本体は見えない部分の設備であると言っても過言ではありません。

現在4社目となる楽天モバイルが日本の携帯電話事業に参入を開始してますが、カバーエリアを見ると自社で提供できている範囲はまだまだ狭く、殆どが既存のauに依存していることが分かります。

カバーエリアが狭ければ当然のように市場から見たときの魅力が薄いわけですから契約者が増加しないわけですが、一方で提供範囲を広げるためには設備投資を続けなければいけないという、業績が上向くのが先か失血死が先か、みたいな努力を強いられるわけです。大手3社の寡占状態だというのは因果が逆で、「全国規模で設備を網羅できるのは大手だけだ」というべきなんですな。NTT系のDoCoMo、KDDI系のau、旧国鉄系新電電(日本テレコム)を前身とするソフトバンクという3社は、それぞれ全国規模で設備を整備できるだけの力があったわけです。

このように設備投資(イニシャルコスト)が重い事業の場合、構造的にコスト削減が難しいため、競合が激化すると共倒れになったり、会社が減って寡占が独占へと進行したりして碌な結末には結びつきません。設備の保守点検(含む災害対応)のみならず、新技術の研究開発への投資を怠ると商品(サービス)が陳腐化して顧客離れが起きるなどの虞もあって、なかなかランニングコストを減らすことも難しいのです。

それでも市場規模が拡大し続けているというのであればともかく、総務省自身が示す通り、市場は安定している傾向(有体に言って市場は飽和してる)にあります。言い換えれば大きさの定まったパイを3社で取り合っているというのが現状ですので、これを4社、5社と増やすと一社あたりの利益が減っていくという悲しい事態に陥ることは容易に想像がつきます。かかる状況下で新たな事業者が参入し、健全な競争が行われる環境づくりを真剣に考えるのは至難ではないかと思います。この状態で政策的に無理やり料金の値下げなどを行えば、企業は安定性や冗長性、耐障性等を犠牲にするであろうと推測されるところです。

勿論政策的施策によって市場を拡大に転じさせることができるというのであれば話は別でしょうが、土地が広がるわけでも人口が増加するわけでもないですからね。みんながみんな、携帯電話を二台以上持つようになるわけでもないでしょうし。通信量は増えるでしょうが、それとは逆に通話料を値下げしろと言われている話でして……。

可能性があるとしたら、携帯電話各社にとって負担の重い設備投資を国が肩代わりすることでしょうかね。今も基地局建設等に補助金は出していますが、これを一層進めて上下分離式とし、携帯キャリアと国が共同出資するユニバーサルサービス企業に基地局、交換局、専用回線を担当させ、現在の携帯会社は全部MVNOにする、といった方策が考えられますが、そこまでドラスティックな構造改革をするのは大変だと思います。


2020年9月21日(月曜日)

国勢調査の回答をインターネットから。

これでいいのかと不安になるくらい簡単に終わってしまった。

前はなんかもっと面倒だった気がしたんだが……。いや、簡単になったのは良いことだし、ウェブサイトのデザインも誘導がスムーズだったし、何の問題もないんだが……。


2020年9月22日(火曜日)

颱風が接近してきて、明後日辺り関東にもやってくるとかいう話になったので、カップ麵など保存の効く食料品を買い込みに行ったりして。

夕刻から雨という予報だったのが、時間を置くと夜から雨になったので追加で買い物に行き、更に雨は夜中からになり……。

結局颱風自体もかなり東に逸れる予報になっていった。

まあ、無駄になるものじゃないからいいんだけども。


2020年9月23日(水曜日)

颱風はどんどんと東に進路を取るようになり、直撃は避けられた模様。

しかし気温は下がるし、雨はしとしとと降るしで、なんか久方ぶりに過ごしやすい感じ。半月前は死ぬ程暑かったのにな……。

断念したイージス・アショアの代案として洋上案を呈示するとか。

元々艦載することによる様々な制約を取り払う目的で陸に揚げたのに、再び海に戻すのは米軍じゃなくても合理的ではないと思うわけですが、これ最初から政治案件ですからねぇ……。振り回される自衛隊がかわいそうというか。

3案のうち一番手っ取り早いのは洋上リグ型でしょうね。特に規模の制約が小さいのが魅力で、艦船ならばレーダーVLSCICといった設備の規模や位置が艦体の寸法によって制約され、また艦船として運用するための設備・人員とともに要求されるわけですが、洋上リグであれば、要は地上に取るはずだった用地を海上に人工造成するようなもんですから……。沖合近くなら電力も電線引っ張っても良いですし、人員の居住区も広く取れます。

勿論完全に陸上の施設と違って上下水道などは引けないので自力でなんとかしないといけないわけですが、それを含めても“どうしても洋上でなければならない”というならば、これが一番制約が小さいかと。

逆に可用性汎用性を求めるなら護衛艦型、特にイージス艦増勢が良いわけですが、これは海上自衛隊の規模拡大が伴わない限りは行わない方が適切でしょう。逆を言えばやるならば海自の予算・人員拡大が前提となります。イージス艦はそれ自体が高価でもありますが、乗組員の数も多く、運用コストも嵩みます。これを増やすならば海上自衛隊そのものの拡充を行わない限りは無理があるからです。

しかしイージス艦が、例えば4隻増勢するとなれば現在8隻の海自のイージス艦が12隻となってミサイル防衛に従事していない艦の自由度が増し、敵性国家に対する圧力となるわけです。

どれを選ぶのかは分かりませんが、個人的にはそれ程までの労苦を背負ってまでやるものか?という気がしないでもなく……。


2020年9月24日(木曜日)

ADSL終了のお知らせから光(VDSL)への切り替えが発生することになり、ルータを色々調べていたりして。最近の流行はIPoE / IPv4 over IPv6らしいけど、手持ちのルータは対応してないのよね。そのためだけにルータを買い換えるのもアホらしいけど、何かもう幾つかメリットがあればなぁという感じで。

しかし調べていくと特にメリットがないことばかりが見えてくる……。

今のルータが壊れるまではこのままでいいかなぁ。


2020年9月25日(金曜日)

なんか米国で大統領様が選挙で敗けてもタダでは下野しない!と言っているらしく、話題になっています。

米議会では共和党が火消しに走っているようですが、トランプ大統領はもう一期続ける気満々なようです。まあ、選挙で勝てば問題ないんでしょうけどね。

別にバイデンさんが良いと思っているわけではないのですが、感染症対策に失敗して死者20万人以上を数える大統領が未だに半数近い支持を集めているというのには驚きです。

それだけ米国社会の分断が進んでいるということなのか、民主党に余りにも期待感がないのか。確かにトランプ続投は嫌なんだけど、じゃあ代わりがバイデンというのはなぁ……というのは感じますからね、私ですら。

超個人的にはアメリカ合衆国大統領には軍将校の経験者が望ましいと思っています。いくら文民統制で統合参謀本部の補佐があると言っても、世界最大の軍事力の最高指揮官なんですから、軍務経験があった方が望ましいと思うのですよねぇ……。


2020年9月26日(土曜日)

電子書籍の整理に使っているCalibreがバージョン5になってとうとうビュワーが日本語縦書に対応。

v4になった時に表示するところだけは対応したものの、スクロールができなかったため「読み進める」ことができなかったのですが、v5にしてとうとうきちんとページ送りができるように。心なしかビュワーの起動も早くなっているような。

ついでにPython 2によるプラグインのサポートが打ち切られてPython 3のみになった関係で、動作しないプラグインが出たりして、当面v4系とv5系を併用することになりそう。


2020年9月27日(日曜日)

6月7月NHKスペシャルで放送された「戦国」のBS完全版「大戦国史」が放送されたので拝聴。

50分×2の番組をスタジオパートをなくして未公開シーンを追加して120分に仕立てただけあって、情報量はNスペ版より多いです。……が、新しい視点が加わったとか言うのではなく、Nスペの視野角をそのままにネタを増やした、という印象。

欧州の情報も多少増えたのですが、飽くまで西・蘭についての描写が増えただけで、それ以外の国々やその背景といった所はすっぽりと拔けたままです。特に、キリスト教の宗教世界の内部分裂や対立を描かないといけないと思うのですが、その点は断固として無視している模様。手を出したくないのかもしれない。

ローマ教皇庁の腐敗から宗教改革が起こってヨーロッパ内で宗派間対立が激化、カトリックでは対抗宗教改革が起こり、その中心的存在としてのイエズス会とその世界戦略があるわけですが、そういった辺りには一切触れずに番組中にイエズス会の旗を掲げる場面を写すあたり、知ってて無視しているという感じです。世界宣教をキリスト教の目的という感じに番組では描いていましたが、どっちかというとイエズス会の世界戦略だったのですよね。

そしてオランダ(と英国)が宗教と商売を分離する下りも、実はマックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」あたりに指摘されるように、宗教的な側面を拔きにして語ることはできないのです。

描きたくなかったんだろうなぁ。

描きたくなかったといえば、奴隷貿易についても徹底してこれを排除していて、葡西蘭のどの国においても奴隷については一切言及なし。地上波ならばまだしも、衛星ならば奴隷貿易について何かしら描写があるものかと期待していたのですが……。いっそ清々しいほどに無視。

当時の日本の貿易・外交において重要な要素なんですがねぇ……。

秀吉はキリシタン禁令を出したことだけがクローズアップされましたが、むしろ秀吉は国内での人身売買の禁止を何度となく布告していることでも知られます。戦国の世を終わらせ、惣無事令を出した秀吉にとって人狩りによって耕作民を失い荒廃した土地を復活させることが急務だった面があり、土地からの人間の流出を食い止めようとしたと考えられます。その点で奴隷貿易による日本人の流出は、これを禁ずる他なかったと言えます。

なお、秀吉は朝鮮出兵で朝鮮人を奪ってくることについては問題にしていなかったようなので、人道云々ではなく、飽くまで日本国内の土地を耕す人、という観点であったものかと思われます。(感覚的には人返し令に近い)

秀吉の人身売買禁止政策は当然南蛮人による奴隷貿易にも及ぶわけですが、これについてイエズス会も働きかけを行い、ポルトガルなどは1595年に中国人及び日本人奴隷の売買を禁ずる法律を制定していたのですが、ちっとも守られなかったようです。なおこれに先立ち宣教師ガスパール・コエリョが「日本人奴隷商人が南蛮人商人に対し奴隷を売るのが悪い」という論理を展開したそうで、これもまた秀吉の勘気を買ったものと思われるところ。

まあその辺が絡んで、やるなと言われたことはやらない、商人として信用できるオランダ人が最終的に出島に残ったというのが事の顚末なわけですが奴隷を拔きにして語ると宗教だけが悪のように見えてしまうのですよね。

意欲的な番組だっただけに、第一歩として評価したい反面、やはりもう少し何とかならなかったのかという思いが拭えないところです。


2020年9月28日(月曜日)

アルメニアアゼルバイジャンが領土を争っているナゴルノ・カラバフ紛争ですが、久しぶりに火を吹いている模様

なんせ百年前から続く歴史ある係争地ですからねぇ……。

前回はアルメニアが実質的勝利を納め、ナゴルノ・カラバフ地方を「アルツァフ共和国」として独立(日本は未承認)させることに成功しましたが、今回は用意周到に準備したアゼルバイジャン側が押しているご様子。

ちなみにアルメニアはキリスト教アルメニア使徒教会が主要宗教で言語は印欧語系のアルメニア語。一方アゼルバイジャンはシーア派を中心としたイスラム教が主要宗教で言語はチュルク語系のアゼルバイジャン語

民族問題が絡んでいるので余計面倒なんですね。

しかもアゼルバイジャンに至ってはジュネーブ諸条約追加議定書締約してないときた。主に民間人、民用物の保護を定めた追加議定書なので、これが守られないとなると紛争は一層悲惨なことになりかねません。

しかしトルコ゠ギリシャもそうですが、いよいよ力による国境変更が否定されない選択肢として浮上しつつありますね。日本も他人事ではないので堪らない話です。


2020年9月29日(火曜日)

「原神」公式、PC版の“スパイウェア疑惑”についてコメント ゲーム終了後も起動していたのは「不正パッチを防ぐため」」うはぁ……。

なんというか、今何年だっけ?みたいな感想を抱くわ。

ソニーBMGが問題を起こしたのは2005年だっけ? 最早教訓など忘れ去られたのか、あるいは中国というお国柄では問題にもされないような話だったのか。

アンチチートという動機は理解できなくもないのだけれども、それを実現するために許される範囲ってのはあるんだよなぁ。ゲーム起動中だけならともかく、非起動時もずっとシステム監視して改竄を見張るのはNGだべや。


2020年9月30日(水曜日)

NHKの歴史秘話ヒストリア戦国マネーウォーズ」は、NHKスペシャル戦国(1)(2)」、BSプレミアム「大戦国史」(日記)と同ネタ同素材を使いまわした番組。

この辺の番組素材の再利用体制は、NHKのNHKたる所以ですわな。他の民放ではこんなんやってないもんなぁ。

しかし素材こそ使いまわしていますが、内容については別の監修者が入ったのか、多少変わっているところがありましたな。例えば銀山開発について、前の二番組では番組の構成上家康がクローズアップされていましたが、本番組では秀吉の銀山開発という風に変わっていました。にもかかわらず、やっぱり石見がスルーされて佐渡が採り上げられたのは、映像素材の関係でしょうかねぇ。戦国時代の銀山といえば普通は石見が先に名前が挙がると思うんですが。西洋の資料に出てくるのも石見ですし、佐渡の開発は実質的に17世紀に入ってからなんですよね。

あと、日本からの銅の輸出について触れていたのが良かったかな。銅の輸出が多くなるのは江戸時代に入って金銀の輸出に制限をかけてからですが。また日本の銅(棹銅)は薔薇色に輝くその色合いが特色だったようです。

日本の戦国時代を大航海時代を背景とする国際経済との関係性で描くという意欲的な取り組みですので、とりあえず第一弾としては評価したいとは思います。しかし、当時の重要商品である「奴隷」についてこれを完全に黙殺するなど、不備も小さくありません。

とかく、戦国武将や宣教師という人間を話題の中心に据えようとするのは、この手の歴史番組の悪いところでしょうね。折角当時の世界経済と日本経済の関係を採り上げるのですから、人間よりもシステム、流通等を主眼にして欲しいところです。

今後の進展に期待です。