哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2012年8月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2012年8月1日(水曜日)
 倫敦五輪には特に興味のある種目もなく、時差もあって無関係な日々を送っていたのですが、ちょっと興味を引くニュースがあった。
 水泳女子400メートル個人メドレーで金メダルを獲った葉詩文選手の話題。
 葉選手はこの試合で4分28秒43の世界新記録(ちなみに日本記録は4分35秒96)で優勝したのですが、最後の50mを28秒93と、男子選手より速く泳いだとして話題に。
 表にするとこんな感じ。
WEMENMEN
MedalistYE ShiwenLOCHTE Ryan
TimeRankSplitTimeRankSplitstyle
50m28.85428.8525.62225.62Butterfly
100m1:02.19533.3455.02129.40
150m1:37.53335.341:26.19131.17Backstroke
200m2:11.73334.201:56.86130.67
250m2:50.53338.802:31.04134.18Breaststroke
300m3:29.75239.223:06.53135.49
350m3:59.50129.753:36.08129.55Free style
Finish4:28.43WR128.934:05.18129.10
 人間距離を泳いで疲れてくればタイムは落ちていくわけですが、それでも最後のスパートでは残る力を振り絞るのか、最後50mはどちらもタイムが上がっているのが分かります。全体としては男子が圧倒的に速いわけで、これだけでドーピングを云々するのは早計でしょうね。
 葉選手は序盤4位5位と余り振るわない順位だったのに、驚異的なスタミナでもあるのか、距離が伸びるに連れて順位が上がっていくタイプだ、というのは間違いないようです。もしかしたら遠泳とかの方が向いているタイプなのかも知れません。

2012年8月2日(木曜日)
 電氣新聞に「北海道電が今冬の需給見通し 予備率2%以下に」と、かなりヤバ気な記事が。
 北海道は内地と異なり電力需要のピークが冬に訪れること、その需要内訳も事業用というよりは暖房需要が多いことから供給力だけではなく供給量でも不足を来す見通しと、今すぐにでも泊原発の再稼働を準備し始めないと、冬場に輪番停電という余り結果を想像したくない事態に陥りそうです。
 私個人としてはかなり危機的状況ではないかと思っているのですが、北海道新聞は「電力より安心だ」と言って「泊抜きの準備を入念に」と言っており、現地の見解とはかなりの差異がありそうです。そういえば、北海道9区選出の某議員反原発デモに参加していたようですし、実は現地では楽観的見通しが立っているのでしょうか。
 内地住民の私には窺い知れない方法により、もしかしたら道民は電気なしで冬場を過ごす方法を既に見出しているのかも知れませんね。
 それが犠牲の少ない方法であれば良いのですが。

2012年8月3日(金曜日)
 なんか中国海軍の少将閣下が「大国としての責任、わが国は3—5隻の空母が必要」とぶち上げておられるそうな。
 中国が「大国の責任」とやらに目覚めるのは悪いことばかりではないのですが、果たすなら軍事面よりまず国内の人権問題とか政治問題、環境問題を解決して頂きたいと思わずにはいられない所。国力増進に伴って軍事力を整備するのも一面正しいのですが、戦力の遠方投射能力を整備するとなれば、周辺国に対し無用の緊張を与えましょう。
 当然のことながら、中国の軍事拡張は周辺国との軍拡競争を招き、最終的には碌でもない結果に至るだろうと予想される所です。
 さても、碌でもない結果になるだろうとわかっていても、軍拡競争に参加しないといけない日本の悲しさよ。
2012年8月4日(土曜日)
 倫敦五輪男子柔道で日本が金メダル無しに終わり、報道になっている様子。
 正直言えば、東京五輪でヘーシングが優勝した時から、いずれ来るべき時がやってきたのだ、という話に私には思える。
 柔道は国際スポーツとなることを選び、正しく日本の手を離れたのだ。柔道の巣立ちは、ある意味で順調に進んでいる。
 のジョーク記事ではないが、公正なルールに基づく競技の中では、発祥国だからといって勝ち続けられるわけではない。寧ろ、一国が常に強い状態を崩し、どの国にもどの選手にも公平に優勝を狙えるよう、ルールが改正されていく。
 無論、発祥国としての矜持を持つことは否定しないが、それ故に勝て、とは言えない時代にあるのだと私は思う。

 「尖閣諸島問題:日本からエスカレーションを仕掛ける愚かさ」というblogエントリがあり、私も基本的に同意する所。
 この問題は中国側が挑戦者で、日本側が受けて立つ側の有利を持っている。下手に騒ぎ立てて問題を大きくするのは日本にとっては利が薄い。淡々と挑発を受け流し、対処し続ける我慢強さが求められます。
 そういうわけで、いきなり問題を大きくしよう、燻っているところに火を放とう、という考え方には同意できません。
 寧ろ金を集めたなら、海保の人員・船舶を増強し、ローテーションを楽にしてやる方に使いたいものですね。


2012年8月5日(日曜日)
 放送を観てはいなかったのですが、TBSの「報道特集」で先月28日に「被爆者の血清を保存 知られざる放射線研究機関の実態」という、かなりアレな内容の番組を放送したらしく当事者の放射線影響研究所抗議文を送付したそうな。
 放射線影響研究所やその前身となった原爆傷害調査委員会が必ずしも被爆者の救済のみを目的としていないことは認めざるを得ませんが、しなしながらその研究結果がICRP等での放射線防護基準の策定に大きく貢献していることもまた、紛れも無い事実です。
 これらの研究が真摯に行われたことを疑うような姿勢は軽々に取るべきではありませんし、またであればこそ、相応の根拠と自信と覚悟を以って報じたのでなければなりません。
 少なくとも私の見た範囲では、番組制作陣は、何らかの特殊な、主流ではない考えに基づいて、内部被曝の危険を必要以上に大きく見せようとした疑いがあります。

 こうした番組の問題を検証するためにも、図書館による放送録画って有用だと思うんですけどもね。


2012年8月6日(月曜日)
 朝の天気予報で雨が降るというので傘を持って出たものの、ちょうど出社・帰宅時間帯には降らず、デッドウェイトに。

 5月26日に中国深圳で発生した、中国BYD社製電気自動車“e6”タクシーの、交通事故(追突)による炎上事故の報告が出たそうで
 電池が爆発したんじゃなくて、高圧回路のショートだから大丈夫だよ、というのもよく分からない訳ですが、遮断回路があったとしても、事故の様態によっては作動しないこともあり得ますからね……(参考)。
 ちなみにe6のカマを掘った車は日産GT-Rだったそうな。


2012年8月7日(火曜日)
 「ついにBMW ActiveEに試乗!」はなかなか興味深いblogエントリだった。
 回生ブレーキだけで停止まで行ける、というのは、電気自動車なら確かにアリなのだが、問題はその操作系をどうするか。今のところ日本ではブレーキペダル協調型が主流だけど、BMWはアクセルを戻しただけで回生を目一杯利かせていく方向らしい。(協調ブレーキの特許問題が絡んでいる可能性もあるが)
 将来どちらの方が主流になるかはわかりませんが、ワンペダル化とかあったら面白いでしょうな。

2012年8月8日(水曜日)
 「EU、すべての新車に自動ブレーキを義務付けへ」とあって、実際にその效果が金額で示されると凄いもんだな、と。
 スバルのEyeSightがかなりの装備率だと「開発中止の危機を乗り越えヒット商品に、「EyeSight」成功の原動力とは」にも書いてありましたが、事故防止、損害軽減に有意に效果があるのであれば、保険の掛け金の割引なども期待できるかも知れませんね。
 とまれ、交通事故が減れば、それはとても良いことです。
 今の日本では、交通事故を一回起こすと人生終わりになりかねませんし。

2012年8月9日(木曜日)
 例年ならコミケの前日設営に行く日だが、今年は通院のため、不参加。
 病状は一応改善の見通しということで、鎮痛剤が常用から頓服に。
 それにしても、待合で「空飛ぶ広報室」が読めてしまうというのは何とかならんものか。
 次の検査は二週間後。

2012年8月10日(金曜日)
Jコミ内田美奈子の“BOOMTOWN”が公開されたぞ」
「なに!? あれって何年前の作品だっけ……?」
 そんな会話が交わされたコミケ一日目であった。

2012年8月11日(土曜日)
 体調が必ずしも万全ではない上に雨まで降るとあっては、重役出勤するしかねぇべ?と午後からコミケ会場にまったり出かけたら、マイミクさんが先んじて私が欲しがりそうなCDを買っておいてくれた土曜日。人の情けが身に沁みるねぇ。

2012年8月12日(日曜日)
 コミケ三日目。入場フリーになる時間を見計らって出立。東京駅から臨時バスで会場入り。
 糸野君に頼まれて企業ブースで買ってきたOVERDRIVEの「Go Go Nippon! 〜My First Trip to Japan〜」を引き渡そうとしたら本人不在だったので、とりあえずブツだけを店番氏に預ける。
 次いではくほー氏のサークルへ出向いて、昨日nyから受け取った御村りょう兵齊步 歡樂當兵日誌」を見せに行くが、これまた不在だったので、とりあえず店番氏に預ける。
 身軽になったところで、ぽつぽつとサークル巡りをする。
 昼時になっていたので、人気サークルなんかは殆ど完売御礼状態。落ち穂拾い的にうろうろと。
 15時頃に撤退する。
 夏が終わった。
 明日帰省。

 Genesis先生の言う核を持つことがコストとして引きあわないような時代を作れるのかという視点が、反核平和主義者の大多数に欠けている視点だと思うわけ。
 例えば、現時点での核兵器は、殆どが弾道ミサイルに搭載した形で運用されているのだけど、これが安価な弾道ミサイル防衛システムによって無效化、あるいは著しく效果が削がれればどうだろうか。日本がそれを開発し、死の商人よろしく世界中に販売しまくれば、核の效力を削ぐことになり、それは核軍縮へと繋がったりしないだろうか?
 語ったり伝えたりというのも否定はしないし、それなりに重要だとは思うけど、それだけでは核兵器の縮減は成らないと私は思う。


2012年8月13日(月曜日)
 妹一家の帰省に合わせて帰省。
 午前中から洗濯機を回して洗濯物を片付けて、午後になって出発。夜に到着。
 レアアイテム扱いされながら、甥っ子達と温泉に行く。
 明日は弟一家を含めて家族写真を撮るという段取り。

2012年8月14日(火曜日)
 というわけで、両親と妹一家、弟一家+私の総勢11名で写真館に。
 こういう機会でもないと写真を撮らないので、葬式用写真の定期更新と割り切って参加してるんだけど、まあ、賑やかなこと。学齡児童2、学齡未満3うち乳児2という構成なので、一瞬たりとも大人しくしていない(苦笑)。
 その後全員で食事……となると、最早暴風雨の中のキャンプ。
 家帰ったら疲れて昼寝してしまった。
 かくして東京に帰る。待っていたのは、宅急便の不在票であった。

 そういえば夏の甲子園が始まっているわけですが、昨日の済々黌対鳴門戦で、所謂「ルールブックの盲点の1点」があったそうで
 野球のルールブックは縷縷百条以上からなる複雑精緻な代物で、プレイヤですらルールをしっかりとは把握していないことが珍しくありませんが、今回については、済々黌の選手がルールを知った上で仕掛けて、鳴門高校側が見事に嵌められたという点で、特筆すべきものがありますね。
 素晴らしいことです。


2012年8月15日(水曜日)
 敗戦記念日。

 なんだか、香港の活動家さんが尖閣諸島の島に上陸したとかで、合計14人を不法入国で逮捕したそうな。
 ま、あの島は日本の支配下にあるので、日本側が事を荒立てる必要が皆無なので、粛々と法に則って対処すれば良い案件。下手に“超法規的措置”など取ろうものなら、余計混乱するからね。
 前総理はその辺の堪え性がなかったわけですが、現総理は如何かな。

 えーと、韓国の大統領?
 いい加減、内国的事情に対日外交を持ち出すのは止めないと、日本側から見切りつけられるよ?


2012年8月16日(木曜日)
 昨日のNHKスペシャル終戦 なぜ早く決められなかったのか」は実に含蓄に富んだ番組であった。
 陸海軍の国外駐在武官からの情報で、陸海軍が比較的早い段階でヤルタ密約を知っていたことを中心に、和平交渉の最前線に立った外務省が情報面で聾桟敷に置かれていたという感じで番組が編集されていたのだが、どっちかというと、ソ連参戦の情報が軍部の何処まで上がっていったか、どのレベルまで共有されていたか、を丁寧に追いかけるべきであったし、その際の連絡の判断を誰が行ったかを検証する方が番組として有益だった筈だが、コメンテータ達は情報共有がふんだららという方向に向かってしまった。
 コメンテータの一人が明治の頃は情報共有が巧く行っていたと言っていたが、ではどのような変化によって、同じ制度下の昭和において情報共有が巧く行かなくなったのかを検討すべきなのではなかったか。
 そこへ踏み込まず(踏み込めず)にセクショナリズムがうんたらと言われても、それは観念論ではないかと思うわけです。
 同じ制度が巧く行っていた時期と巧く行っていなかった時期があるのだとすれば、何かの違いがそれを生んでいる筈で、その事こそが、知るべき学ぶべき事柄であると私は思います。
 WHYではなく、HOWを。

2012年8月17日(金曜日)
 先日あったAdobeのAcrobatのバージョンアップで、こちらの作業に支障をきたすレベルのエンバグがあったので、Acrobatをロールバック……するには、アンインストールしてせっせとアップデートパッチを当て続けなければいけないのであった。
 なにこの苦行?

2012年8月18日(土曜日)
 Gigazineに「A4サイズの紙1枚に1MBのデータを印刷してバックアップできるソフト「PaperBack」を実際に使ってみました」なるエントリがあって笑った。
 A4一枚で1MBか。多いのか少ないのか……。
 しかし、デジタル記録メディアの寿命の短さを考えると、和紙に顏料インクで印刷したデータの方が、遙かに長持ちしてしまいそうな疑いはないでもない。
 ところで、このエントリではなぜか読み取りの際に画像をJPEGにしている。謎だ。御存知の通りJPEGは空間周波数の高い画像を圧縮するとモスキートノイズが出るので、文字や、このようなQRコード等には決定的に向かない。最初からBMPで読みこめば良かろうに……。
 どのくらいのノイズ耐性があるかのテスト目的なのかもしれないが。

 圧縮ノイズといえば、五輪の中継で、やはり水泳などは、水飛沫でブロックノイズが出まくってましたな。
 ああいう小さな要素が複雑に動く画像は、動画圧縮の苦手とするところで、圧縮法評価のテスト映像にも使われているくらいですから、已む方ないといえばそこまでなんですがね。


2012年8月19日(日曜日)
 魚釣島に上陸した馬鹿が湧いたらしい。しかも都議だとか県議だとか。外交問題の解決を内政の延長線上でしか考えられない奴は政治家になるべきじゃないと思う。
 中国じゃ反日デモが暴徒化しているし、お互い内政が荒れまくると、最後は衝突せざるを得なくなるぞ。

2012年8月20日(月曜日)
 朝日新聞本日の天声人語が実に香ばしい。
 何が何でもオスプレイ批判に繋げたいのだろうが、例えば世界初のVTOL戦鬪機であるホーカーシドレー・ハリアーなど、当初複座型がなかったため、最初の頃は戦鬪機パイロットにヘリコプタの操縦訓練をさせて、いきなり単座の実機に乗せて飛ばしていた、なんて話があったりする。ハリアーは滑空着陸ができず、垂直着陸しかできない機体のため、最初の一回目の着陸は誰もが一発勝負だったという恐ろしさ。
 そんな無茶苦茶な、と思うかも知れないが、それでもハリアーの利点が欠点を上回ると考えられたため、配備は続けられた。事実、このハリアーはフォークランド紛争において大きな役割を果たすことになる。
 ちなみにハリアーは改良型が現在も米海兵隊で使用されているが、これのクラスA事故率はなんとオスプレイの三倍強に上る。(参考
 ちなみに日本国内での配備先は岩国基地で、今やオスプレイ反対運動の最前線だったりする。
 真っ当な思考力の持ち主であれば、より危険な航空機(ハリアー)が飛び交う中で繰り広げられるオスプレイへの反対運動は、珍妙不可解なものに見えるだろう。少なくとも私にはそう思える。
 ある事態、事象が異常であるというには、平常の状態を知っていなければならないと思うわけだが、どうもそういった基本を踏まえない頓珍漢な言動が世論を煽っている嫌いがある。
 良くない傾向だと思うのだが。

 「「もっと銃を」米銃依存社会の恐怖」というエントリを見て思うのだが、国民の武装については、国家の様態というか成り立ちが深く関与するので、自国の常識は他国には通用しないことが多い。
 しかし、一般論として言えば、武器が蔓延っている社会では、犯罪に容易に武器が用いられる。安定した社会を築くために一定程度武器の流通を抑制すべきである、とは言えると思う。
 問題はこの「一定程度」の線引を何処に置くかである。ミサイルや重砲を合法的に個人で所有できる国はないと思うが、じゃあ下はどの位まで規制すべきかについては、結局のところその国の国民の合意に基づくとしか言えない。
 そこにはその国の成り立ちとか社会の現状、そして国家の理念などが絡んでくる。
 米国は元々無法地帯に開拓民が入殖して文字通りゼロから築き上げた国であり、自分の身の安全は自分で守るのが当たり前だった時代の意識がまだ強いのではなかろうか。
 スイスは、国家の理念として永世中立を貫くために国民皆兵制が長らく要求され、結果として一家に一挺アサルトライフル、なんて状態が(議論はあるものの)続いている。
 日本では戦国時代の終わりに刀狩と称される兵農分離政策が推し進められたことが知られるが、当時は些細な喧嘩が刃傷沙汰に発展することは珍しくなく、村落単位の揉めごとを武力解決することも多々あり、豊臣〜徳川治世下にかけて喧嘩禁止令が度々布告されていた。
 勿論武器の規制だけで武力抗争がなくなったわけではなく、江戸時代を通じて裁定制度や幕府役人による裁きなどの制度が整備され、最終的にカチコミが減少していった。
 当たり前だが、不満があったら武力で解決、という社会は、維持コストが高くつく。個人個人が治安コストを負担するより、社会全体で治安コストを分担する方が廉く付くのは言う迄もない。しかしそのためには個々人の持つ「暴力」を統治機構に預ける必要があり、それらの暴力装置が恣意的に市民に向けられることがない、という信頼が必要なのではないかと思うのであった。


2012年8月21日(火曜日)
 ここの所続いているロシアの宇宙事業の失敗について、産経に「ロシアで相次ぐ衛星打ち上げ失敗、人材流出や高齢化が影響という記事が。
 宇宙分野において、ロシアがソビエト時代の遺産を食い潰しかけているという話は数年前から巷間に囁かれている所だったので、記事そのものには新味はないのですが、他山の石とすべき記事です。
 財政難に際して出費を削るのは致し方ないのですが、科学技術分野においては、その影響が現れるのは20年後とか、そういうスパンになります。一時研究費用を削っても、それまでの蓄積がありますから、影響は直ぐには表れません。しかし変化は深く静かに進行し、枝葉が枯れ、誰もが変化に気づく頃には根っこは腐り落ちていると言った具合です。
 日本の科学技術分野も、久しく弱体化が訴えられているところです。このまま推移すれば、近い将来、日本もロシアのように、技術を失うことになるかも知れません。

2012年8月22日(水曜日)
 ImageMagickのバージョンを上げたら、微妙に挙動が変わっていて、回避策を模索して右往左往。
 長大なコマンドが更に伸びていく……。

2012年8月23日(木曜日)
 病院へ行くと、何か一日のやる気が失われるよね、と思う今日この頃。
 待合室で観ていた甲子園決勝は、大阪桐蔭が春夏連続優勝を決めた。
 っていうか、大阪桐蔭のエース・藤浪って、色々と反則級の選手じゃね? 高校生で身長197cmとか……。他の選手と並ぶと、一人だけスケールが違って見えるんですけど。

2012年8月24日(金曜日)
 日本と韓国の外交上の問題について。
 韓国が日本からの親書を、用語上の過誤があり受け取れないといって突き返してきたことについて、明治初頭の書契問題を想起した人も多いと思う
 明治維新が成り、日本での政権が交代したことを李氏朝鮮へと伝える日本の国書に、「皇」だの「敕」だのといった、中国の皇帝(当時は清朝)にしか使えない語が用いられているとして、李朝側が受け取りを拒否したもの。
 それが原因で日本留守政府内で征韓論が吹き上がってしまい、その後明治六年政変等を経て、雲揚号事件から不平等条約である江華島条約による李氏朝鮮の強制開国へと繋がっていくわけだが、第一歩目の掛け違いが悲劇を齎した歴史的事例という奴である。
 近代国家としての体裁を整えることが死活問題であると認識し、隣国との「外交」を確立せんとした明治日本と、あくまで前近代の「通信」の延長線上でしか物事を捉えていなかった両国間の摩擦は、最終的に武力という形で解決を見たわけだが、李氏朝鮮側にもう少し情勢への危機感があれば良かったのにと思わずにはいられない。
 さて、では何故日本はそこまでして李氏朝鮮を開国させようとしたのか?と言えば、安全保障のために他ならない。
 日本にとって、朝鮮半島が、少なくとも敵対的環境にないことは、日本の安全保障上重要である。良く言われる文句だが、「朝鮮半島は日本に突き付けられた匕首」なのだ。
 当時既に中国は西欧列強の手に落ちつつあり、ロシア帝国が南下政策を続けている状況で、御一新間もない日本としては、何としてでも朝鮮に防波堤になって貰いたかった(言うまでもないが、李氏朝鮮側にはそんな義理はない)。そのために日本は、開国以降硬軟様々な手を尽くし、果ては戦争までやらかした朝鮮を併合し、日本本土並みの発展を望むべく、大規模な投資を行い、インフラ整備に邁進したのだが、その甲斐もなく今に至ってしまった(改めて書くが、朝鮮側から見ればありがた迷惑な話である)。
 ではこの際だから断交しようか、という意見も見られるが、個人的にはそれもどうかと思う。朝鮮半島が敵対的になってしまった場合、日本海側の海運や水産業は大打撃を受ける可能性が高い。李承晩政権期の事を思い起こして貰いたいが、日本海や東シナ海が紛争の海になってしまう可能性は決して小さくない。
 また、距離が近い分奇襲を受ければ被害は小さくないだけに、九州北部や対馬の防備を一層固めねばならず、その費用負担は重くのしかかってくることになる。「自由と繁栄の弧」の最前線が日本になってしまい、軍事的圧力は一層増すわけだ。
 正直、どうしてこうなった?という気もしなくもないのだが、根本的なところでは、日本の繁栄のために韓国が防波堤になってやる義理がそもそも何処にもないという問題が横たわっていたりするわけで……。
 困ったものだ。

 i-MiEVリコール国交省情報)。i-MiEV/MINICAB-MiEVプログラム改修、それぞれ発表。
 確か2010年まで、i-MiEVのバッテリユニットはGSユアサでパッケージングされて三菱自工に納品されていたので、GSユアサ側で問題があったんだろうなぁ。


2012年8月25日(土曜日)
 半年前に見そびれていた「ルート・アイリッシュ」をまだ上映している映画館を見つけたので下高井戸まで。
 うーん……。期待を下回る出来というか。

2012年8月26日(日曜日)
 アポロ11号に乗り、月に最初に降り立った人類となったニール・アームストロング氏が亡くなった
 深くその死を悼むものである。
 しかしその一方で、1972年のアポロ17号以降、人類は誰一人として月に降り立っていないことから、このまま推移すれば、そう遠くない将来に「月に降り立った最後の人類死す」という報道を聞くことになるのだと気づいて慄然とした。
 僕達が子供の頃思い描いていた未来図には、そんな、「人類は月に行けなくなる」なんて予定はなかった。

2012年8月27日(月曜日)
 ベネズエラから「世界最大級の製油所で爆発、26人死亡 南米ベネズエラという報。
 愈々来るべきものが来たか、と言った所。
 1999年のウゴ・チャベス大統領就任以来、ベネズエラは石油関連事業の国有化を推し進め、外資が次々と撤退した。天然資源からの收益は国民、特に貧困層へと手厚く再分配され、チャベスたんの社会主義的政策の下、医療や住宅、社会福祉の充実が達成された。
 一方で、石油事業への再投資は縮小され、新油田の開発、既存施設の改良、点検、補修といった費用は削減されて行き、效率の悪化、稼働率の低下、小規模な事故の頻発が数年前から問題となっていた。このまま行けば、いずれ取り返しのつかない事故が起こるんじゃないかね、と思われていた手前、驚きは少ない。
 当たり前だが、油田は掘り尽くせば涸れるし、プラントは稼働させれば老朽化する。市場は様々に動いているので、新たな需要(石油関連なら、例えば硫黄含有量を減らせとか、オクタン価を上げろとか)が生じ、先を見越しての商品開発も必要だ。そういった「当たり前」な事業継続のための費用を出し惜しみしたんだから、行き着く所は事業の破綻であろうことは予定調和というものである。
 チャベスたんの低能を笑うのは簡単であるが、しかし一方の我が国でも、原子力発電所が軒並み停止する中、火力発電所や水力発電所の定期点検を先送りして無理くり稼働させていることは、よく知られている。破綻の時はひたひたと近づいてきているが、その足音が聞こえない人達も、少なからず存在する
 他国を笑う前に我が国を省みなければならないのは、非常な苦しみである。

 昨日の朝日新聞に「自衛隊、外国軍に技術支援 6カ国対象、ODAの枠外で 」という記事があるとはくほー氏に教えられて、記事を読んでみた。
 中国の軍事的圧力に晒されている東南アジア六箇国に技術支援を行うと言うもので、朝日の論調としては、議論もなく事が進められている、というものだった。
 現在、東アジアにおける紛争の火種は中国で、中国の軍事的伸張に対して軍拡でこれに対抗しようとしているが、経済的な問題等もあり、なかなか抗し得ないというのが悩みの種になっている。
 説明するまでもないが、南シナ海は日本にとって海上輸送線の通る重要な海域で、この地域の軍事的均衡が崩れれば、日本の安全保障を直撃する。
 となれば、当該各国を軍事援助し、軍事的均衡を図ることは全く平和のためであって、いかなる誹謗を受ける余地がないと思料する。防衛省に専門の部局を作って、外務省と合同で積極的にやれば良いと思う。

 中国の軍事的圧力に対抗する必要があるのは何も東南アジア諸国ばかりではなくて、まさに我が国も矢面に立っているわけでして、領土的野心を隠そうともしない中国に対しては、防衛力の強化が当面不可欠です。
 特に、日本の西南部は島嶼が多く、空海連携、空中・水上機動力の確保が重要です。昨日の総火演に海上自衛隊のP-3C哨戒機が参加した事例もそうですし、陸自が水陸両用走行車両AAV7を取得するとの報道もそれに沿ったものでしょう。場合によっては自衛隊へのオスプレイ導入も視野に入ってくるでしょう


2012年8月28日(火曜日)
 北京において丹羽中国大使の乗った車が走行妨害を受け、停車した所で国旗を奪われるという、19世紀級の事件が起きたそうで、中国外交部が「関係部門が真剣に調査している」とのコメントを出した。環球時報もこれを批難する社説を掲載した様子。
 百年ほど前、当時の清朝において、排外主義の高まりが沸点を超え、北京において外国の外交官(杉山彬日本公使館書記官ならびにクレメンス・フォン・ケッテラー独公使)が殺害されるに至り、列強各国が連合軍を構成し、外交使節並びに居留民保護のために出兵した件が、義和団事件として知られている。
 義和団の騒乱に乗じて列強の圧力を跳ね除けようとした清朝の思惑は外れ、清は完膚なきまでの敗北を喫し、北京を制圧された下、北京議定書という城下の盟を結ぶに至った。
 国内に駐箚する外国使節は、相手国の代表者であり、その公用車は言ってしまえば動く領土である。これに対する攻撃を許せば、国の体面は愚か、主権に関わることは明白である。(他国の主権を尊重しない国は、当然逆に主権を尊重されなくなる)
 日本国内でも時折、大使館や領事館へ攻撃を加える馬鹿が湧くが、このような勘違い馬鹿は速やかに逮捕拘禁した上で刑務所へ送り込むのが良い対応というものだ。国家主権を危うくするのは、決して軽い罪ではない。

2012年8月29日(水曜日)
 通院のために年休。ほぼ毎週だな、ここんとこ。でも次は暫く間が開く筈。

 「都構想法が成立=大阪など8地域、特別区可能に」と、道府県に特別区を設置できる法律が可決成立、と。
 個人的には悪くないと思っているのですが、人口に制限があるのか。どこぞの県の某市のように、県の1/3が一市で占められている所とか、どうにかすりゃ良いのにとか思ってたんですが。
 あと、どうでもよい事が気になる口なんですが、新しく編成される特別区は一般的に市と同格になるので、その名称は既存の自治体と重複しないことが望ましいとされます。しかし、例えば「北区」「中央区」などのように、固有性が非常に薄い名称の区が全国に点在し、これが特別区に格上げとなると問題になりそうな予感があります。
 個人的にはそんな阿呆みたいな名前を付ける奴が悪いと思うわけですが、これを機会に東西南北中央と言った区名は廃止したらどうかと思いますね。
 自分の住んでいる区だけに!


2012年8月30日(木曜日)
 年頭くらいから話題になっていたB-CAS破りのですが、愈々B-CASカードの全交換という話が持ち上がってきた模様
 B-CASカードは外付け暗号/復号化コンピュータですんで、これを更新することによってより強力な暗号を使用することができるわけですが、この国に一体何枚あるか分からない(億は超えてるんじゃね?)を交換するというのは控えめに言っても大作戦だと思いますな。
 報道では有料放送の契約世帯だけと言っていますが、有料放送各社の契約世帯の重複関係とか、誰か把握してるんですかね?

 テレビといえば、今日はnasneの再発売日でして、とりあえず秋葉原で拾ってきて繋いでみました。
 で、DTCP-IP経由でPCからも見れるんだろう……と思って色々試してみたんだけど、PC上のDTCP-IPクライアントからでは巧く再生できなかった。
 VAIO用の専用ソフトならなんとかなるんかなぁ?


2012年8月31日(金曜日)
 朝、NHKのニュースで「原発事故 遺伝子への影響を調査へ」と聞いて、無駄なこともするもんだと思ってたのだが、産経では更に「福島で「全ゲノム解析」 被曝調査で環境相表明」となっていて、ひっくり返りそうになった。
 既にあちこちから反論が上がっているが、二つほど紹介してみる。
 全身の細胞のDNAが損傷するくらいの放射線を浴びたのであれば、それはもう手遅れといって良い。現代医学ではほぼ手の施しようがない。幸いなことに、今般の事故では、それほどの量の被曝をしたという話は見られない。
 であれば、上のblogにある通り、やるべきことは地道な健康調査であって、ゲノム解析などではないのは、真っ当な科学的思考力があれば明らかというものだ。

 昨日開幕も初日雨でノーゲームとなったIBAF 18U Baseball World Championshipですが、本日第1ラウンドの実質一日目(昨日の試合は予備日へ)がプレイボール。日本はカナダと戦い延長10回で敗北
 うーん……。
 先発した大谷(花巻東)が誤算な感じで、先制点を上げながらもエラー絡みで逆転され、後を継いだ大塚(九州学院)が好投する間に再逆転、このまま2点差で逃げ切るかと思われた9回裏に同点ホームランを浴びてしまい、タイブレーク制の延長戦で敗れる。
 チーム力で劣っている印象はなかったし、守備はともかく、攻撃面では初回、日本がやりたい放題の印象だったので、楽勝かと思いきや、こういう敗け方もある、という野球の怖さを感じた一戦。
 やっぱ高校野球も普段から木製バットで試合しようぜー。