哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2004年6月分

Caution!
このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、並びにパーソナルメディア社は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2004年6月1日(火曜日)
 6月1日はデンパの日(片仮名で書くなよ)。

 昨日起訴された47氏の保釈が決定されたのですが、検察がこれに準抗告を行い、執行停止になっているようです。つまり、まだ代用監獄(ぶっちゃけ、警察署の留置場)にいるということになります。
 勾留が認められた時点でおかしいとは思うのですよ。だって、事の起こりの逮捕劇から半年、47氏は任意の事情聴取には応じていた訳ですし、ノートパソコンなどの機材は全部押收されてしまっていたわけです。証拠の隠滅のしようがない、というのは勾留事由開示の際に弁護団側が指摘した通りです。警察署内という心理的肉体的圧力のかけやすい場所に外界から隔離し(彼は接見が制限されている)、警察にとって都合の良い自白調書に署名させたいのではないかと勘繰ってしまいます。
 せめてちゃんとした拘置所に移して欲しいものです。

 Winny関係で、また新たな訴訟が一件おきました。北海道警の警官の、仕事に使っていた私物のパソコンから捜査資料がWinnyで流出した事件がありました(4月30日発表)が、その被害者となる流出した資料に載っていた人が、北海道を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたそうです。
 事件の経緯からして、北海道警が当初被害者に行った説明が間違っていたとは思いませんが、正確でもなかったんでしょうね。Winny上では相変わらず流れているわけですから。
 どんな裁判になるやら。

 訴訟じゃないんですけど、Winnyの利用を激しく煽っていたネットランナーですが、朝日新聞の取材に対しソフトバンクパブリッシングの広報は「ウィニー自体は違法ではないと考えるが、著作権法違反が広がっていると認識しているので、違法だと疑われるファイルのやり取りは掲載せず、使用方法の紹介にとどめてきた。今後も倫理的な編集方針を守る」と答えたそうな。
 ネットランナーの編集姿勢については、私は別件で2002年に苦言を呈しているくらいなので、その「倫理的な編集方針」とやらは私とは相容れないものであるように思えます。

 ソフトバンク系の編集方針って、よく判りませんよ。例のYahooBB!の顧客名簿流出事件に関ったとして新たに捕まった二人のうち一人がPC Japanでライターをしてたっていうんで、雑誌を休刊にしたり、IT Mediaから記事を削除してみたり。
 清い正論としては判決が確定していない段階でのこのような処置は如何なものかと思いますし、実利的には容疑者当人が書いたセキュリティ関係の記事は非常に参考になると思われるので是非読みたいものです。

 参院を通過して、衆院文部科学委員会で審議中の著作権法改正案ですが、原案通り可決成立する見通しだそうです。
 一体この国はどこへ向かおうとしているのやら……。


2004年6月2日(水曜日)
 昨日の47氏の保釈の件ですが、準抗告はその日のうちに却下されて、夜に保釈になっていたそうです。

 殆ど死に体の様相を帯びてきている三菱自工ですが、現行車種のほぼ全ての車種にまつわるリコールとは、また豪快な…。この際だから膿は全部出した方がいいのですが、膿を出しきるのが先か会社が死ぬのが先かって感じになりつつありますね。
 国土交通省ちゃんと仕事してたんですかね。
 人間の死体を埋めたら、その上に犬の死骸を埋めておけとはよく言われることですが、逆の立場に立つと、掘る側は当然それを弁えて、犬の死骸が出てきたらもっと深く掘らないといけないわけです。
 ついでに言えば、手品師が右手を見せたら左手の動きを追え、というのと同じで、三菱自工と同様の病巣が他社にもありはしないかと目を光らせるのも大切です。
 そのために税金払ってんだから、仕事しろや。>役所


2004年6月3日(木曜日)
 子ブッシュ大頭領は、空軍士官学校の卒業式で言いました。
「Like the Second World War, our present conflict began with a ruthless, surprise attack on the United States. We will not forget that treachery, and we will accept nothing less than victory over the enemy.」
 おい。本当にコイツ同盟国の首領なのか?
 うちらの父祖のことをテロリスト呼ばわりしてるようにしか見えんのだが……。
 ちなみに次の段落はもっと凄くて、なんか米国の同盟国やめちゃおうかって思うくらいでした。はい。
 「I can forgive, but I cannot forget, is only another way of saying, I will not forgive.(許すことはできるが忘れることはできない、というのはつまり、許せないということだ)」なんて至言が英語にはありますが(by Henry Ward Beecher, 1813~1887)、自分達の記憶をどうこうする代わりに、相手国を粉砕して業火で燃やして二度と復活させないのが米国流というわけか。

 方々で懸念の意を表明……というより赤裸様に反対されていた著作権法改正案ですが、本日衆院本会議で可決・成立しました。
 いよいよおかしくなってきてます、この国の著作権。
 この新しい法規制で利益を得るのは、海外アーティストの国内盤を手掛けるレーベルや、国内アーティストを海外に売っているレーベルなど、要するに音楽屋さんであって、実際の著作者や実演家は直接的な受益者ではないですね。これが一昔前なら、こういったレーベルがなければアーティストだけでは販路などなかったので、両者の利益はほぼイコールだったのですが……。
 日本の周辺諸国みたいに所得も低けりゃ人件費も廉いところのCDと国内盤を比較されたら堪らんという言い分は一応理解できるんですが、でもそれって結局価格でも内容でも勝負できないって言ってるようなもので、そんな商業を保護せんとあかんとは思えないですなぁ。
 価格で勝負にならないのであれば価値で勝負しないといけない筈だろう?


2004年6月4日(金曜日)
 話題性はあるかもしれないけど、重大事件じゃないと思うのですが、世間の扱いは違うようです。先日佐世保で起きた小学生による同級生殺害事件なんですが。
 珍しいことは珍しいし、被害者・加害者両者の家族親族にとっては痛ましい事件ではあるのですが、それだけだよな、と。
 社会的重要性という点ならば、パトカーに追われて踏み切りに入って電車に衝突とか、そういう事件が立て続いていることの方がよっぽど重要です。ここ半年ばかり、パトカーに追われた挙げ句の事故がほぼ毎月起きてるんですけど、いい加減どうにかならないのでしょうか。
 警察が悪いというより、明らかに逃げる方が悪いんですけど、こう立て続いていると、何か本質的な問題があるのではないかと考えたくなります。
 事故を起こした本人が死ぬだけなら自業自得、流行語的には自己責任なのかも知れませんが、交通事故ってのは大抵他者を巻き込みますので、まさに洒落にならない。今日のは快速列車に衝突しているわけで、一歩間違えれば被害がどこまで広がったことか……。
 放送局も、カッターを自粛してる暇があったら、パトカーに追われた時には素直に捕まって弁護士を呼んだ方が良いと啓蒙して下さいよね。
 最近、自動車教習所などで「交通犯罪者になったときの対処法」とか教えた方がいいんじゃないかとか考えています。たとえ人を轢いても(車を運転する以上、確率的に起こりうる)、逃げたらそれだけで罪が重くなる。車を停めて被害者を確認して必要ならBLS、警察と消防を呼んで車の誘導を……とかの手順を纏めて教えておくというのは、有効なんじゃないかなぁとか。
 何となく、この社会が清すぎるのが問題の一部なんじゃないかと感じていましてね…。「やっちまった……オレの人生これで終わりなんだ〜」ってのは、どう考えても健全な社会じゃないからね。

2004年6月6日(日曜日)
 昨日はBTRON Clubから徹夜カラオケまでの標準コンボセットをこなして、朝帰り。

 レーガン元大統領が亡くなったそうな。享年93歳。晩年、アルツハイマーに冒されていることを公表したのが、記憶に新しい。
 強いアメリカを掲げ、カーター政権における融和策をひっくり返し、ソ聯のゴルバチョフ書記長との軍縮など、色々記憶に残る大統領ではあった。

 なんか米国コロラド州で、1インチの鉄板(後日注:0.5インチの鉄板2枚の間にコンクリを流し込んでいたそうな)を溶接したブルドーザーで男が街を暴れまわったとかいう奇天烈なニュースが。報道によると、街の区画問題に怒った挙げ句の行動ということなんですが……そこまでやるか、普通? いや、普通じゃないからこんなことしたんだろうけど。
 使われたブルドーザーはキャタピラー社D9。総重量48トンとかいう化け物ですな。これに装甲つけて特攻、と。
 ブルドーザーはコンクリ工場、タウンホール、銀行、図書館、地元新聞社を破壊し、途中制止しようとした警察を粉砕し(そりゃ粉砕されるだろう)、最後に身動きができなくなったところで警官隊の銃撃を受けて沈黙したとか。
 なんというか、どーしょーもない事件でした。


2004年6月7日(月曜日)
 あれ? 私のところできちんと動いているモノが、ターゲットマシンで動かないのはなんでや……?(ほぼ一日終了)

 土曜の飲み会で、MTHELの話が俎上に乗ったのでちと調べてみました。

 まあ、一応開発会社による宣伝ですから話半分としたとしても、大したもんですなぁ。
 先日亡くなったレーガン元大統領によるSDI計画によって始まった対空迎撃レーザー砲の研究開発は、なんだかんだいって中距離のロケット弾やら榴弾やらを撃ち落とすところまでは来たわけです。何事も「継続は力なり」ですね。
 しかしこの技術が軍事面に与える影響は大きいですなぁ。ミサイル類による攻撃が高率で防げるとなると、兵器はまたもや原始的に質量攻撃主体になるのではないかと……。

 長年の技術開発の精華といえば、HSST東部丘陵線の試験走行が始まったそうですね。元の開発母体が日航だったなんてもう誰も覚えてないんじゃないか? 日航から名鉄だったかに売却されたときの売却額が異様に廉いとかで、ぐっちょんぐっちょんの政治問題化してたなぁ。
 悪い技術じゃないとは思うのですが、果たして花開くか徒花として散るか……?

 読売新聞に「交通違反摘発→警察官にもみ消し料→贈賄現行犯で逮捕なんて記事があった。
 どーしよーかって思うね。
 この若者というか馬鹿者が現金を差し出した辺り、二重に問題です。一つは法律違反が端金で何とかなるものだと考えていることと、警察は金で揉消してくれるものだと認識していることの二つです。
 これまでは、「法律違反が金で何とかなるものだと考えている」人でも、金を渡すのは議員さんだったり知事だったり大臣だったりしたわけですよ。んで、そちらから圧力がかかってハラホロヒレハレ、と。警察そのものは金で動かない組織である、という最低限の共通意識が残っていたわけです。額だって2万円じゃ効かねーしな……。
 つまりこの馬鹿者は、「自分の違反は2万円程度」と認識し、かつ「目の前の警官は金で揉消してくれる」という思いを抱いていたということになります。
 恐ろしい話だ。良くも悪くも、近年の警察への信頼低下が引き起こした事件といえましょう。
 これがこの馬鹿者個人の問題であればまだいいのですが……

 4月に勃発した富士通サムスンとのプラズマ・ディスプレイ・パネルの製造特許訴訟ですが、和解となったようです。一体どういう和解内容だったかは秘密だそうですが、口ぶりを見ている限り、サムスンが折れたというのが内実かな。
 相当旗色悪かったのかなぁ?


2004年6月8日(火曜日)
 本屋に並んでいた新刊を、殆ど問答無用で引っ掴んで会計。合計18冊。どんなペースで読めばいいんだか。

渡辺さん、「拘束で苦痛」と提訴=イラク撤退求め500万円請求
 イラクへの違法な自衛隊派遣のために身柄を拘束され、苦痛を受けたとして、市民団体メンバー渡辺修孝さん(36)が8日、国を相手に自衛隊派遣差し止めと慰謝料500万円の支払いなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 外務省が帰国の航空費用の一部として請求した約2万3千円(215米ドル)の支払い義務がないことの確認も求めた。
 渡辺さんは会見し、「サマワ市内は住民が射殺されており、非戦闘地域ではない。武装組織は『イラクに軍隊を派遣した日本人だから拘束した』と言っていた。3日間銃を向けられ、活動の場も奪われた」と語った。
 訴状によると、自衛隊のイラク派遣は、「非戦闘地域」に活動を限定したイラク特措法や憲法に違反しているほか、国は外国で身柄拘束された邦人を保護する責務があり、費用負担は当然と訴えている。
 渡辺さんは4月、フリー記者安田純平さん(30)とともにイラクで一時拘束された。 (時事通信)
[6月8日19時1分更新]
 今日ほど、日本で言論の自由が保証されていることについて、その意味を骨身に染みて思い知ったことはありませんでした。
 ええ、自由ですよ、自由。思想信条信教の自由に言論行動の自由ってもんでしょう。
 素晴らしきかな自由!(ヤケクソ気味)
 彼の人の行動を表現するのに、日本語に拙い私にはこの言葉の外に適切な言葉を見つけられません。
「無恥。」
 はあぁぁぁぁ……(溜息)。

 そう言えば、以前採り上げた悪徳商法? マニアックス」v.s. 株式会社ウェディングの件ですが、先週(株)ウェディングが民事の請求を放棄したとか。刑事の方も告訴を取り下げようとして失敗してあたふたしてるみたいだし、間が拔けているというか見苦しいというか。


2004年6月9日(水曜日)
 朝起きたら、フローリングの床で寝ていた。
 昨晩の記憶を遡るに、買ってきた本をとにかく減らそうと頑張って読書をしていたのだが、床がひんやりと気持ちよかったので床に寝転がって読んでいた。どうやらそのまま沈没してしまったらしい。
 全身の関節は痛いし、咳はでるし微熱はでるし(阿呆)。大人しく家で寝込みましたとさ。
 ところで、薬を買いに薬局へ行ったら、薬剤師のおばちゃんにやけに栄養ドリンクを勧められた。そんなに顏色悪かったんだろうか……。

 NHKの“その時 歴史が動いた”が日露戦争100年記念(?)で二〇三高地攻略戦を扱っていた。
 日露戦争、就中旅順攻囲戦の主立った印象は、どうしても司馬遼太郎の『坂の上の雲』に由来するところが大で、凡将(あるいは愚将)乃木希典と伊地知幸介参謀にその犠牲の責任を帰することが多いわけですが、今日の番組を見て、それを統括する大本営の方にも充分に問題があったんだなぁと改めて思いました。
 つまるところ、20世紀初頭のプロジェクトXだった、と。
 大本営には情報処理能力がなく、第三軍司令部は無能、しかし兵卒は黙々と闘い、ついには旅順要塞を落とすことに成功したのだった!!
 ……。
 いや、どこらへんが美談なんかな、と。
 しかし今日の番組で旅順要塞のCGを見ましたが、一言で言って、攻略し難い。航空戦力と戦車なしでこれを叩けと言われたら、「帰っていいですか?」って答えるでしょうね(日露戦争時点では、航空戦力も戦車も存在しません)。時間制限がないのであれば、地雷と機雷で旅順を完全封鎖して包囲籠城戦に持ち込むのが一番上策でしょう。陥とすなんて考えない方が幸せになれます。
 それを落とせといわれたわけだから、乃木希典も貧乏籤ではあるよね
 一番迷惑だったのは、死んだ将卒なんだけどさ。


2004年6月10日(木曜日)
 天気予報は降らないと言ったので、自転車で出勤。しかし……湿度100%超えてたんじゃないか?
 自分の体が本調子じゃないことを思い知らされただけだったような。

 忘れていたんですが、SafariについてはGenesisさんから既に報告を受けていたんですよ(^^; しかし自分の目で見てないので、本当に正しいかどうかまで判断できずに保留してあったという。とりあえずきさらちゃんの報告をもってページを書き直しておきました。

 あ〜、やっぱ本調子じゃないや。
 寝よ。


2004年6月11日(金曜日) part 1
 法務省が「人名用漢字の範囲の見直し(拡大)に関する意見募集」を始めました。皆さん頑張ってレビューしましょう(笑)。
 しかし、「当該漢字が専ら「常用平易」と認められるか否かの観点から選定を行った。漢字の意味(人名にふさわしいか否か)については一切考慮しなかった。」というだけあって、いきなり「癌」なんて漢字が入っていたりして結構いい感じ(笑)。他にもよくよく見ると、表外漢字字体表のいわゆる康煕字典体であって、JIS規格票の例示字形ではないものがちらほらあったりして、素晴らしい! 招来される混沌が目に浮かぶようだ!!(少し壊れてます)
2004年6月11日(金曜日) part 2
 そういえば、坂村先生の新しい肩書きがこんなところにもあったりするという話が先週あったんですが、深宇宙探査って何をするんですか、先生?
 土星軌道の外側までユビキタスネットワークでも張り巡らせるんでしょうか。

 で、法務省の追加文字案を見てて、幾つか感想。(今の段階ではあくまで感想)
 第1第2水準から採録したってことだけど、実際には「いわゆる康煕字典体」が使われているので、第1第2水準の規格票の例示字形とは違う字形が掲示されています。
 勿論、それらは全て包摂されているので全く問題ないことになっています。
 実際の現場じゃ問題出まくりでしょうが、とにかくJIS的には無問題です。
 ここに掲示された字形は概ね某住基ネット統一文字コード表なんかに入っているものなので、行政の現場で外字コードの雨霰になったとしても、取り敢えず運用も可能でしょう。
 しかし社会的な出版物ならともかく、住基ネット文字コードみたいな大がかりな外字システムを持たないような所で、問題がでまくるでしょうなぁ。顧客情報とかで、ゴネる客とかいるだろうし。
 あと、何文字増やそうと常用平易の基準がどこにあるかについて、行政側が線引きを先にしとくことが既に無理なんじゃないかと思います。今回のにも入ってませんが、南極探検で有名な白瀬中尉の名前である「矗」とか、水戸黄門の「圀」なんかは、凄く微妙だし……(特定事例だが常用平易っぽい)。
 究極的には戸籍法第50条の改正を行わないといけないのですが、こういう場当たり的な文字の増加で何とかなる問題ではないのではないかと思います。
 一案としては、先にも挙げたような「過去に人名としての用例があるものは、基本的に受け容れる」というものですね。ただ、やり過ぎると江戸時代の洒落本から持ってくる馬鹿とか出そうだけど。


2004年6月12日(土曜日)
 日記の日。
 アンネ・フランクの誕生日であり、彼女の日記がこの日から書き始められたことに由来する……んだそうだ。確認しようと思って「アンネの日記」(完全版)を探したのだが、何故か見つからない。棄てる筈はないので、書庫のどこかに紛れてしまったものと思われる。
 まあ、必要ならまた買えばいいか……。
 オランダは1940年にドイツ侵攻を受けてドイツ支配下に入り、当然のように国内でユダヤ人狩りが行われるようになった。これまた当然のように囚われたユダヤ人は強制收容所に送られた。強制收容所の中では人為的な虐殺から飢餓や栄養失調、疫病の蔓延などによって極めて多くのユダヤ人が冥門へと押し込まれた。
 戦後この行為はC級戦争犯罪「人道に対する罪:即ち、戦前又は戦時中為されたる殺人、殲滅、奴隷的虐使、追放、其の他の非人道的行為、若は犯行地の国内法違反たると否とを問はず、本裁判所の管轄に属する犯罪の遂行として又は之に関連して為されたる政治的又は人種的理由に基く迫害行為。」とされ、多くの関係者が処罰された。
 余談ながら、ドイツでは現在もホロコーストの否認が罪とされており、下手にこの件に論評すると後ろに手が回ったりする。言論の自由ってのはどの辺にあるのか、なかなか難しいという話。まあ、アンネの日記偽作説を流布する人もいますからねぇ……。
 1942年、戦時下のアムステルダムで、外に出ることもできない隠し部屋の中で、3家族(だったと思う)での共同生活。思春期真っ盛りのアンネが抱いた様々な感情が吐露された日記に、それでも希望が中心なのが微笑ましくも痛ましい。

 希望といえば「日本子ども社会学会」での調査によると、一日の終わりに「明日もきっといいことがあると思うか」という問いに「よく思う」「わりと思う」と答えた子供は、男子が30.3%、女子が35%なんだそうで。設問を見ないと調査そのものについての論評はできないけど夢も希望もない子供って増加傾向にあるんですかねぇ? 子供に夢や希望を与えるのって、衣食住に教育に加えて大事なことだと思うんですけれど……。

 子供といえば、厚生労働省によれば、合計特殊出生率が1.29と過去最低を記録したと報じられていましたね。折角通した年金法案の、その算出根拠が崩れたという流れで。
 個人的には年金がどうこうなんざどうでも良くて(いや、良くはないが)、純粋に日本の人口政策ってどうなってんのよ?と思うわけさ。
 国として日本の未来図ってものを国は描いている筈で、その中には人口やら人口構成比ってのも含まれていて、そりゃ無茶な未来図も困りますが、納得できる範囲で政策による誘導が行われる筈なんですよ。
 産業・雇用政策、外国人労働者の受け容れ政策、年金・保険政策、医療政策、教育政策、言語政策、治安・国防政策などなど、人口ならびに人口構成比が関る問題は多いわけで、「日本の人口はどのくらいが適正か」とか「合計特殊出生率はどのくらいを維持したらよいか」とか「人口構成比は制御してよいのか」などなど、議論の重要性は高いと思うんだけど、あんまり真面目に議論されてる雰囲気でもないよなぁと。
 もっとも、この問題について私は全くといっていいほど貢献してないしする予定もないという人間なので、あまりとやかく言ってもしゃーないんだけど。

 東大阪で、パトカーに追われて信号無視して交差点に突っ込んだトラックが軽乗用車と衝突、軽乗用車に乗っていた男女が死亡。
 憤るほかないな、もう!
 最近、同種の事件が多すぎます。
 もちろん、逃亡する方により大きな問題があることは承知の上ですが、警察としても、後方からの追跡と同時に、連係して先回りによる封鎖を行うなどの対策が必要でしょう。
 他にも事件分析として、追われた運転手がなぜ逃亡を図るのかの調査研究も必要でしょう。
 私の価値観では、長崎で同級生を殺した児童の精神をどうこう論うより、よっぽど重大な問題なのですが、どうも世間様ではそう思っていない人が多いらしいです。

 どうもここの読者には好きそうな人が多そうなので、紹介。
時計代わりの海老サンド——目的外応用技術会議『ノットコン』報告」。
 技術革新会議「NotCon」は「おそらく技術が本来目指していたのとは異なること」への応用に焦点を当てているそうです。
 まあ、サンドイッチの具の腐り方から経過時間を推測する機械ってのは、確かにアレではありますな……。


2004年6月13日(日曜日)
 ついに来るべきものが来たって感じですかね。
 大阪近鉄バファローズオリックス・ブルーウェーブとの合併話。もちろんこのあとオーナー会議を経たりしなければならないので、本決まりではないとはいえ、もうこの流れは止まらないでしょうね。
 近鉄球団としては、どこかの低能オーナーのせいでチーム名売却やらサラ金スポンサーやらを得ることができず、こういう仕儀になったわけで、直接的には球団経営の失敗とはいえ、どこぞの低能オーナーには言いたいことも山のようにあるでしょう。
 全体としては、元々日本の球団経営が会社広告としての性格を強く持っているため、親会社が支出する広告宣伝費での活動を続けてきており、球場が伽藍堂だろうが閑古鳥だろうがお構いなしの放漫経営、金回りが良かったバブルの頃には新規球団の加入のハードルまで上げて仲良しクラブを構築し、不況になって首が回んなくなりました、誰か買ってと言えども買い手もつかず、という、自業自得じゃん、という言葉しか出てこない辺りが涙を誘います。
 しかも今や日本プロ野球米メジャーのファーム状態といっても過言ではなく、よい選手は巨人に盗られるかメジャーに獲られるかといった有り様。
 ま、数十年来の無為無策のツケとしか言い様がないので、どこぞの球団を含めて、真剣に再生策を模索して欲しいものです。
 プロもアマも、な。

 「システムドライブに Program というファイルを作ると…
 似たような話が先々週うちでもあったなぁ。作ったアプリケーションがLFNに対応してなかったために想定通りの動作をしてくれなくって現場で応急対処、なんて話が。


2004年6月14日(月曜日)
 多国籍軍に自衛隊を独自の指揮権を持ったまま参加させるとか、戯けたことを言っていますね、首相様。私ゃ一介の文科系常識人に過ぎませんがその言い分が非常識だってことくらいは見当がつきますよ。
 軍が軍として動くには、統一された指揮命令系統が不可欠です。多国籍軍が編成された場合、当然司令部は米軍を中心として編成されることになりますが、この司令部の麾下に入らない部隊なんぞ存在するだけ邪魔ってもんでしょう。ROEが違うというレベルじゃないんですから。
 ましてや、指揮下に入りながら日本政府が別途の指揮権を持つなんて、悪い冗談だと思われます。軍の命令系は上から下への単純序列が基本です。間違っても命令系を複数にすべきではありません。部隊が混乱します。
 参加するなら指揮下に入るべきだと思いますし、できないなら参加すべきじゃないと思います。個人的には、参加すべきではないと思います。双方にとっていい迷惑になる可能性が大きいので。

 有事法成立の日に。


2004年6月15日(火曜日)
 米国務省が出した人身売買についての年次報告書で日本が「防止基準を満たしていない国」に指定され、「監視対象国」のリストに入ったとかあちこちで報道されてますね。
 2点程言いたいことが。
 第一点。
 これ、あくまで米国の都合で書かれたもので、当の米国のことが対象外だったりする素敵な報告書です。自らを省みるのに使うのは良いでしょうが、米国に阿るために使うのはどうかと思います。ちなみに米国が望んでいる使われ方は後者であると思われますが。
 米国務省は他にも「Country Reports on Human Rights Practices」なんてのも毎年出していますが、中国なんぞはこれに対抗して国務院新聞弁公室が毎年「米国人権記録(Human Rights Record of US)」なんてものを出して、しかもなかなか馨しい内容だったりしますね。
 中国のやり方が是か非かというのはともかく、このような報告書が、ある特定の政治的意図の下に書かれていることは念頭において読まないといけないと思います。
 んで、その上で第二点。
 人身売買と単純に言いますが、不法入国者問題や外国人労働者問題、非合法買春の問題が複雑に絡んでますねぇ。悪い言い方をすると、病巣は非常に根深く、表面的な「人身売買」を取り締まっても切りがなさそうです(勿論取締はしなければならないが)。
 就労ビザの取得のための異様に高いハードルと、日本への出稼ぎ願望、日本国内の低廉労働力への需要、さらに非合法産業としての買春産業の活況などが絡み合っていて、完全な解決など見えそうもないです。
 法律作りました、取り締まりました、地下に潜りました、見えなくなりました、万事解決、って感じになりゃしないかと……。

2004年6月16日(水曜日)
 朝のNHKニュースで、エルピーダハイニックスのDRAMに対し関税賦課措置を求めて提訴したと報じられていました。(エルピーダの広報
 個人的に気になったので、ちょっと調べたのですが、ハイニックスについては米国とEUが既にダンピングを認めて同様の処置をとっているようです。
 日本では初めての事例ってことで注目されているだけで、ハイニックスのダンピング自体はニュースというほどのものでもなかったのですかね?
 というのも、一日適度にニュースを追いかけていて思ったのですが、いわゆるコンピュータ系の雑誌・出版社のニュースサイトの反応が鈍いんですよ。普通の新聞社の経済面の方が圧倒的に敏感に記事にしてるんです。
 私が知らなかっただけで、既に業界の常識で改めて記事にするほどのものでもなかったのか、それともコンピュータ系の雑誌・出版社の取材体制に問題があるのか……。

 中村正三郎のホットコーナー大阪近鉄バファローズオリックス・ブルーウェーブの合併に絡んで、「ジャイアンツをセ・パ2チームに分けよう」なんてアイデアが載っていて、凄いアイデアだ!と感心しきり。
 あんな宝の持ち腐れやってるくらいだったら、パ・リーグにも巨人一球団作った方がいいよね、確かに。別れても巨人だから、パ・リーグ球団待望の巨人戦! 放映枠だって取れるだろうしいいこと尽くめじゃん。
 問題は、巨人がセ・パ両リーグを制覇してしまった場合ですが……。

 cnet.com Japan経由、レッシグBlogより「科学と有用な技芸の発展を促すためにオリジナル
 溜め息しか出ない話だねぇ。
 著作権を守ること自体に異議があるわけではないのだけれど、公益にそぐう著作権のあり方はもっと摸索されて然るべきだと思う。


2004年6月17日(木曜日) part 1
 だから、私はソッチ系のヒトじゃありませんから、「とらぶる! Meたん OSたんオンリーイベント」だとか「超漢字タン」とかタレこまれても困るんです……。
2004年6月17日(木曜日) part 2
 「バトルロワイアルII」のDVD発売が無期延期だとか。
 例の佐世保の触法少女の影響なんですが……堪らんわ。
 恐らく「次の事件」を未然に防ぐための措置なんでしょうが、①精神鑑定はやってるけど実は佐世保の少女は特殊例ではないと思っている②とにかく責任を押し付ける相手を必要としている③BR公開時に反対した議員さん達が欣喜雀躍している、とか嫌な想像しか出てきません。
 そんなことしても意味なんかないだろうに……と思うのですが、どうなんでしょう。実は効果があるんですかね?>放映中止とか発売中止とか
2004年6月18日(金曜日)
 一応書類上の契約期間は明日までだけど実質今日までの給料生活。
 職場の皆様からささやかな送別会を開いていただいて、餞別を戴いたりして。
 一年半の間に、いつのまにか「小熊さんは変なことを何でも知っている」的な誤解が蔓延し、最近では怪しい話題が私の方に振られるという不可解な現象に直面しておりましたが、終わってしまえば何もかも素敵な思い出です。
 なんかここのトップページまでは辿り着いた人が何人かいるらしいけど、まだこの日記は見つかっていないらしい……。

2004年6月19日(土曜日)
 昨日のことになりますが、ソフトバンクBB(株)からIP電話の発信記録が漏洩していたそうですね。
 電話の発信記録は通信の秘密に属し、電気通信事業法で厳しくその取り扱いにまつわる義務が述べられています第4条ほか)。漏洩したことそのものも勿論問題ですが、第28条にある報告義務もソフトバンクBBは果たせていませんねぇ……。
 当初から廉かろう悪かろうで売っていた会社ですんで、恐らく敢えて選ばれた方々は承知の上の話なんでしょうから、部外者である私がとやかく言うべきことではないのかもしれませんが、悪貨が良貨を駆逐する様を見るのは心が痛みます。

2004年6月20日(日曜日)
 いつもの面子で出所祝い(?)カラオケ。
 勿論、“いつもの面子”である以上何のヒネりもないわけもなく、今回はずばり「Lavcaを試す!」という目的がくっついてたり。
 TaitoのX2000系の通信カラオケシステムなんですが……なんというか、音は綺麗だし基本機能はきちんと作ってある。けどそれだけ、って感じ。
 かつてのX2000といえばアニソン特化、という性格付けがあったけど、それすらも今やHyper JpyCyber DAMだって遜色ないほど集めちゃってるわけで(40,000曲以上という規模になったら、少々の違いがなんぼのもんじゃい、という気はする。漢字問題に似てるな)、最早特徴とは言えなくなってて、じゃあ残るものはと思ってみても、電子歌本があるわけでなし、BGVに元映像ソースを使っているわけでなし、ユーザインタフェースが格段に良いわけでなし、とJOYやDAMの「数の力」に対抗し得るだけの“何か”の持ち合わせはないのですよ。
 基本の部分はきちんと作ってあるだけに、何か突出した特徴でもないと駄目だろうなぁと。
 あと現行機種で歌ってないのは、UGAくらいかなぁ。UGAにはクレヨン社の「地球のうた」が入ってるのと、70,000曲という傑出した曲数を誇っているので、一度試しておきたいんだが、果たしてどんなもんだか。
2004年6月21日(月曜日)
 地球シミュレータ強し……!
 というわけで、半年に一度のスーパーコンピュータTOP500の発表がありました。2位に凄いのがつけていますが、とにかく、猛追を躱しての5期連続の首位は堂々たるものです。
 しかし日本はどちらかといえば一点豪華主義で、全体としては上位には米国勢が集合しています。頭は取っていますが、地力では劣る、といったところでしょうか。
 次回11月に、果たして地球シミュレータは首位を維持し続けられるのか、注目です。

 昨日のことになりますが、UnisysのLZW特許が日本国内でも消滅しました。……した筈です。米国では去年無くなってますので、まさか日本Unisysだけが延長するとは考えにくいので。
 この特許の問題では、うちのサイトでもGIF画像を全部PNGに変更したりと、散々面倒をかけさせられました。したがって、特許が切れたからといってPNG画像を全部GIFに戻すなんて阿呆なことはしません(笑)。
 知財権の保護が必要だということ自体は分かってるんですけどね、こういうサブマリン特許みたいなやり方は規制すべきではないかと思います。
 他にも最近ではMPEG-4関係など、特許が普及の足枷になってしまっているものが散見される状態です。
 特許には年限があるので、ごうつくばって“酸っぱい葡萄”になってしまえば物笑いの種として後世に伝えられましょうが、近年では酸っぱい葡萄になったのは制度が悪いからだと言う輩が多いようで困ります。

 知財権でも著作権の方は混沌というより何やら破滅的な方向へチキンレースをしているように思えます。
 私なんぞは著作物なんてものは利用されてなんぼだと思っているので、不当な利用を禁じるくらいでいいと思っているんですが、時流は正当な利用以外を禁じる方向へ流れていますよね。


2004年6月22日(火曜日)
 世界で初となる、民間機での有人宇宙飛行が達成されました。今日は記念すべき日です。
 達成したグループは、米国のScaled Composites。飛翔体名はSpaceShipOne
 ニュース関連リンクは呑んだくれ画伯のところが充実していますので、そちらをどうぞ。
 もちろん、宇宙へ行ったとは言え、マーキュリーばりの弾道飛行で、高度100kmへ行って帰ってきただけですが、それでも民間の力で宇宙の底まで行けるようになったことは、賞賛せざるに能わざるものです
 次は目指せ第一宇宙速度、人工衛星ですね! これまで以上の困難が伴いますが、是非とも挑戦して欲しいものです。
 あー、なんかグッズ買っちまおうかなぁ〜。

 第一宇宙速度なんて簡単に言っちゃったけど、今回の速度は秒速1kmくらいですので、軌道速度まではまだあと8倍くらいの速度を出す必要があるんですよね。実は宇宙ロケットって奴は、高度を稼ぐためではなくて、軌道速度を出すためにあれだけの燃料を積んでるんです。高度を上げるのは、空気抵抗を減らすために過ぎません。
 衛星軌道に乗る、というのはそれだけ大変なことなのです。
 無人ロケットによる打上げも、今の日本は色々あって進んでいません。本当ならH-2Aに拘らずにΜ-Vで打上げるとか、やった方が良いんですがね。
 大型ロケットで2年に3回くらいの打上げよりも、小型〜中型ロケットで年に3〜4発打上げた方が技術政策的にはメリットが大きいと思うのですが、どうなんでしょうか。最近は民生部品を使った小型衛星も多いので、わざわざH-2Aピギーバックを待つよりも、適当な品質(=確率的に失敗する)のロケットを数射つってのも必要ではないでしょうかね。


2004年6月23日(水曜日)
 Winny作者・47氏の著作権法違反幇助容疑による初公判は、9月1日に決定しました。

 イラクで拉致されていた韓国人民間人・金鮮一氏が殺害されました。斬首の上、死体にブービートラップが仕掛けてあったそうです。アル・ジャジーラに届いたビデオには斬殺シーンもあったそうですが、放送はしていない模様。
 このように、今イラクにいる外国人は、米英軍に直接関係のあるなしを問わず、こういう事態に巻込まれる可能性を孕んでいます。
 命が助かっただけで良しとせにゃならんような状況下で、あまつさえ国を訴えるような輩がいることを、とても残念に思います。


2004年6月24日(木曜日)
 参院選の公示があって、立候補者が揃いましたが……東京選挙区、候補者見てもなぁ……誰に票を投じたものかと…はあ。
 元都知事を含め、絶対入れない、という人が何人かいますので、消去法で絞りこんで、最後は賽子でも振りますかねぇ。
 比例代表は……うーん。

 海の向こうから、AOLの顧客情報が流出したとかいうニュースが。今のところ件数不明ですが、世界最大規模の漏洩になりそうですねぇ。
 犯人は別の従業員のアクセスコードを使って犯行に及んだとのことで、一体誰がどのように責任を負うのか興味深いところではあります。

 ロイター電なんですが、「Other nations gaining on US in air power -generalで、なんか2月に行われたインド空軍との合同訓練「Cope India 04」で、インド空軍のSu-30米空軍F-15cが安心できる状況ではなかった、というとなんか微妙な表現ですが、要するにいい勝負になったんでしょう。
 まあ、Su-30といえば80年代の終わりに生まれたSu-27を原型とし、近代化を繰り返した機体で、技術世代的に言えばF-15Eかそれより新しいくらいなわけで、いい勝負になったからといって驚くほどのことでもないですな。
 なんか記事でインタビューを受けてるHal Hornburg大将F/A-22とかF-35を早く導入しようぜぇって感じでえらく政治的な発言をぶっ放しておりますが、それはともかく、日本としても安穏としていられない状況ではあるのですよね。
 Su-27系というと、近隣では中国が導入国です。対して日本はこれまたF-15Jを200機以上導入している、世界最多導入国だったりします。これがいい勝負という話になれば、極東地域の軍事バランス、ひいては外交問題にも発展しかねませんな。
 とかく費用対効果では圧倒的にSu-27系の方が優れている分、日本の次期主力戦鬪機の選定には慎重を期す必要があるでしょうね。


2004年6月25日(金曜日)
ドデカミン 雨が降ったせいで、蒸し暑い日でしたね。
 自販機で見掛けてつい買ってしまったのが、アサヒ飲料のドデカミンDrink。要するにオロナミンCのゾロ飲料なんですが、「ファイトバクハツ飲料」という煽りといい、500mlの容量といい、類似商品中最大級の破壊力ではないでしょうか(苦笑)。

 参院選の候補者の情報を見ていて思い出したんですが、確か参院選って定数配分が違憲寸前じゃなかったっけか?
 1月以降、定数配分が是正されたという報道も聞かないので、前回のままなんだろうが……いいのかよ、それで。
 究極的には、参議院の存在意義とかそう言ったものを明確にしないといけない問題ではあるので、今ちょこちょこと定数を増減させたからといってどうにかなる問題ではないんだけど、無為無策ってのも困るんだが。ちゃんと仕事してるのかなぁ……。そりゃぁ確かになくてもいい議院ではあるんだけども(爆)。

 で、参院選の直前ではあるんですが、財務省が、国の借金が700兆円とかちょっと信じられないような発表をしてます。一年で34兆円くらい増加してますね(ぶばっ)。
 与党に投じるか野党に投じるかとか言ってる場合じゃなくなるんじゃないか、そのうち……。


2004年6月26日(土曜日)
 朝、何のために目覚ましをかけたのか忘れて、二度寝してしまう。
 燃えるゴミの日だってばよ。

 漸く読書に充当できる時間が増えてきたので、積読だった『25歳の艦長海戦記—駆逐艦「天津風」かく戦えり』(森田友幸著/光人社刊)を処理した。
 弱冠25歳、海軍大尉でありながら駆逐艦艦長……というと大拔擢のようにも思えるが、実は補任された駆逐艦天津風は艦首3分の1を喪った補修艦。速力半減、戦鬪能力は4分の1以下。それを内地まで回航しろという命令に、果たしてこの新任艦長はいかに立ち向かったか……という感じの自伝。
 戦中のプロジェクトXというか。
 より上位の軍政、戦略、戦術レベルで完全に失敗している状況下で、個艦レベルの奮鬪努力がいかに空しいかということを強烈に訴えてくる本でした。努力は貴いし、命がかかっているから全く不真面目ではないのですが、それ故に悲劇的というか喜劇的というか……。
 より上位の問題が引き起こした末端の悲劇として読み取るのが良いのかなぁ。

 やっぱり東十条から歩くことになった。


2004年6月27日(日曜日)
 『マネーボール』(マイケル・ルイス著/中山宥一訳/ランダムハウス)を読んだ。
 目から鱗の、発見に溢れた本だった。
 英語の副題「The art of winning an unfair game」というのが良い。不公平なゲームに勝つ方法、ときた。
 ここで言う「不公平なゲーム」というのは、メジャーリーグ球団経営における選手の年俸のこと。要するに、某球団のようにキョーレツなオーナーの下、潤沢な資金で世界中から選手をかき集めれば強いチームができる、というヤリ方に対抗する「経済的な球団経営」についてのルポなのだ。
 舞台となっているのはオークランド・アスレチックスヤンキースの3分の1の総年俸で毎年のようにプレイオフに進出している、希有なチームだ。
 本で描かれる球団経営、とりわけドラフト候補の絞り込みやトレード獲得選手の選定時の評価基準は、えっと一瞬驚くものの、冷静に考えれば確かにその通りだと思わざるをえないものばかりだ。
 全面的に首肯できるところばかりではないものの、資金に余裕のない球団が勝利を目指す時、いかなる方法を以って事にあたるべきか、という指針にはなると思う。

 この本で提示された、ある意味とんでもない「評価」は、打者は選球眼(出塁率)が第一、長打力が第二、その他の能力は後回し。投手に関しては与四球、被本塁打、奪三振が投手の能力を評価する項目、などなど。バットがボールに当たったら、それがヒットになるかアウトになるかは、ある意味「運」であって守備力が介在することは殆ど無い。犠打や盗塁やヒット・エンド・ランなどは勝利に貢献しない、などはデータが示されてしまえば確かにその通りと降参するしかない。
 野球を主観的に見ず、とことん客観的に数値だけで評価することに異論を挟む向きもあるだろうが、それはファンとして楽しむのと、効率的経営を追求するのと、立場が違うからしょうがないだろう。

 日本ではバファローズブルーウェーブの合併に絡んで再編案が飛び交っていますが、一度に全てはどうにもならないにしても、いい加減プロ・アマ間の選手流動性の確保なんかは必要だと思う。人材をもっと有効活用できる選手市場が必要だと思う。
 大体、プロ野球選手なんて特殊能力保持者みたいなものなんだから、プロを引退してもアマ選手としてプレーする、あるいは高校野球や大学野球の指導者など、本来引く手数多であってもおかしくないのに、日本ではプロを引退したら即野球廃業みたいな状況になっている。
 プロで通用しなかったからアマに戻る、などというのも数年前までは不可能だった。今でも条件付きだ。ちなみに更にそこからプロに再復帰する、なんてのも漸く前例ができたくらい。
 人材の高流動化が前提になければ、唯のリストラになって有為の人材を野に放つことになりかねないと危惧しています。


2004年6月28日(月曜日)
 イラクの主権が暫定統治当局から暫定政府へ委譲されたと。30日の予定を突如繰り上げての委譲劇。その直後にCPA長官は軍用機で出国と言われると、それって仕事放っぽり出して逃げたんと違うかと思ったりしますが、どうなんでしょ。
 暫定政府の方も、このあと年末に総選挙を実施という、私だったら匙投げて不貞寝すること請け合いといった仕事をやらされるとあって、意気軒昂というわけにもいかなさそうだし。

 選挙といえば参院選が近付いてるわけですが、是非参院選の前に読んでおきたい本として、「反社会学講座」なんてのがあります。知っている人は知っている、「スタンダード 反社会学講座」の書籍版ですが、データが更新されていたりするので、改めて読んでも面白い本です。
 ちなみに、この本の内容はデタラメです。
 ではなぜデタラメな内容の本に意味があるかというと、社会学的手法をそのまま踏襲してデタラメな結論を導いているからなんです。
 つまり、社会学的手法は正しいかもしれない結論をも導けるが、デタラメな結論も導けるのである、と示している訳です。
 物の見方を養うのに、こういう出鱈目さはどこか不可欠だと私は感じています。もっとも私はまともな人間なので、できるだけマトモなことを舌に乗せようと日々苦労しているのですがね。

 で、マトモじゃない話。
 cnet.com Japan経由、レッシグBlogより「DRMで保護された憲法オリジナル
 著作権のない公文書である米国憲法を電子ブックにして著作権管理機能を付与して売る。
 著作権法の精神はどこらへんに見出せるのであろうかと激しく悩む。
 そんなものはない、と断ずるのが最も簡単だが。


2004年6月29日(火曜日)
 国立国語研究所より、第3回 「外来語」言い換え提案(中間発表)
 今回は結構順当かな。
 この日記の場合、こういった外来語がそもそも少ないので、あまり影響ないんですけどね(苦笑)。
 別段、わざと難しい言葉を使おうという意図はなくて、個人的に日常の範囲内の用語で記述しているだけなので、多分私の生活範囲に英語語源の単語があまり存在しないのでしょう。

 スキャナ動かしてPhotoshopいじってInDesign叩いてエディタ開いてメール送って調べものしてPerlこねまわして……本読む暇もありゃしない。
 無職って忙しいわ……。


2004年6月30日(水曜日)
 正義はいずこにあらんや
 本当に武力行使が必要なのは、こういうところだと思うわけよ!

 ライブドアバファローズの買收に名乗りを上げたそうですね。経営規模を考えると、大丈夫なんかいな、と思うのですが、より大きな決断をさせられるのは球界側でしょうね。
 元々買收先が無いことが原因の一部だったわけですから、ここで手を挙げる企業が出てきたことは、本来歓迎せねばならんわけです。しかし、あの組織は何故か非合理で奇天烈な行動を取ることが多く、今回もまた、どうなるか分かったもんじゃありませんね。
 私は、もっと真面目に球団のことを考えてくれと言いたいですね。球界なんて大きなことは言いません。自分の球団をいかにしたら黒字に導けるかを、もっと真剣に考えて欲しいです。そのことを突き詰めていけば、自然と球界全体のことを考えられるようになります。作物を育てるのに、土壌から考えられるようになるように、ね。
 あと一つ期待しているのは、ライブドアなら先日紹介した「マネーボール」ばりの経営をやってくれるんじゃないかというところです。

 時事通信で、「ホログラムで外国人登録証=偽造中国人を逮捕−愛知県警」という報道がありました。
 技術の進歩って凄いなぁ(呆れ顏)。
 たしかEUユーロ紙幣日本の新紙幣がホログラムを使っていたと記憶しているけど、本当に鼬ごっこだねぇ。
 日本の新紙幣は年末から流通する予定だけど、新技術もどのくらい保つのやら。