2022年4月1日(金曜日)
既報の通り今シーズンからナショナルリーグでもDHが導入されることになったMLBですが、DHのルールにも変更が加わった、と発表が。
先発ピッチャーが打席に立つ場合、一人の選手が投手兼DHと看做される、と。(メンバー表上では投手の欄とDHの欄に同一人物名を書く、とされている)
昨年のオールスターゲームでの特別ルールが、公式ルールになったわけですね。
おおよそ一人の選手しか適用先が見当たらないような気がしますが、今後投打二刀流が増加することを期待してのことなのでしょうか。
そうそう簡単に増えるとも思えないわけですが……。(事実日本でもその後現れていないわけでして)
2022年4月2日(土曜日)
あれこれやってるのに最近鳩が寄ってくるな……と鳩との戦いに敗北しつつある予感を抱きつつ、ベランダで隣の家との仕切りの隙間をふと見たら、枯れ枝が大量に集まっている……。
巣か!
ここは雨水の通り道なので雨が降れば水没するんだろうが、こんな所に巣など作られては堪らない。
というわけで枝を撤去。
2022年4月3日(日曜日)
昨日撤去した鳩の巣は、早くも再建の兆しを見せつつあり、鳩の勤勉さに頭が痛い。
2022年4月4日(月曜日)
雨が降って鳩の巣は水没した模様。ザマァ見やがれ。
しかし晴れたら再建を始めそうなので、忌避剤を追加購入することに。
あー、有害鳥獣指定してくんないかなー。
キエフ攻略を狙っていたロシア軍が撤退したようで、キエフ近郊の街では市民を虐殺した痕跡が次々と見つかっていて……ベラルーシでウクライナから略奪してきた品を売りさばいているって言うし、マジでロシア軍蛮族だな……。
2022年4月5日(火曜日)
ロシアはこれ、国際戦犯法廷を開設するか、みたいな話になってきてるな。ロシアが拒否権を持ってる以上、国連で国際戦犯法廷を開設することは不可能だろうけど、何らかの形で国際法でロシアを裁かないとアカンだろう、これは。
それにしても毎朝の国際ニュースで見るロシアのテレビ番組は本当に酷いな……。ウクライナで起きた虐殺は全部ウクライナのナショナリストがやったこととか報道してる。
あと中国もこれに乗っかってる。
ロシアと中国と、その賛同者たちは、世界の敵になりつつあるな。
2022年4月6日(水曜日)
twitterで『「ロシアにおける遵法精神の欠如」という論文がヒドい」という話題が流れてきて、当該論文を当たってみた。
まだ前半部分が終わったところなんだけども、感想として「これはひどい」以上の言葉が出てこない。
ロシアは古代社会か。
日本史だとマジで古代史の段階。日本は古代末から中世初期にかけて商業が発達して手形や為替による決済が始まるし、鎌倉時代中に御成敗式目という形で慣例の明文法化、全国統一化が進んでいくわけですが、ロシアはいわばその前段階で止まっている、と。
勿論日本だって最終的には明治近代化を経て法治国家としての体裁を整えたわけだけど、変な言い方をすれば、それ以前から法は誰にでも(将軍様にも)適用されていた。
ロシアには伝統的に、現代に至るまで(少なくとも論文が書かれた20年前まで)、そのような法治の伝統がなく、むしろ統治の道具として自在に制定、施行、運用される法と、法の枠外としての基底共同体のルールが層を成して根を張っており、これを思考の原型とするロシア人には“遵法精神”というものは期待できないという話になってしまう。
いや、今のウクライナを見ていると全くその通りなんだけどさ。(過去日記)
この日記でも度々自由資本主義経済における「信用」の重要さを書いてきたと思うのだけれども、ロシアにはこれがそもそもない、というのは恐ろしい話で、「戦後」を見据えると非常に難しい問題が残されたのではないかと思う次第。
まだ後半読まなきゃだけど、もっと酷いこと書いてあるんじゃなかろうか……。
2022年4月7日(木曜日)
昨日の論文は全部読み終わったんだけど、本当にどうしようかしらねぇ……という感じ。
自由資本主義経済においては「信用」は非常に重要な価値で、当たり前ですが通過すら信用で成り立っています。売り手と買い手の間に等価交換が保証されるという信用によって取引は成立し、それが破られたときに制裁が加えられるだろうと信じられることによって、不確定な未来をあたかも確定的な将来であるかのように考え、まだ見ぬ未来へ投資することも可能になるわけです。言ってしまえば政府も法も無形の信用を実態とするための機構であり、法の支配は信用を保つためにこそ必要とされます。
しかし、ロシアにはそれがない。
商品経済が地域コミュニティを超えた広がりを持つ時、見知らぬ誰かとの間に商取引を成立させていくためには信用とそれを担保する手段が必要で、それが“西側世界”では最終的に法の支配という形で結実したわけです。そして経済がグローバル化する中で、国際社会に法の支配を及ぼそうという努力がこの三四半世紀に亘り続けられてきた。
そしてその過程で崩壊した旧ソビエトには自由資本主義経済が移植され、これが定着することによって基層部分に信用を重視する社会が定着する……と考えていたんだよな。信用が重視される社会では必然的に絶対的な権力は否定され、王ですら法の下に置かれる法治の社会が誕生する。即ち民主主義である。
……儚い夢だったと言うか。
まあ中国もそうですし、そう簡単な話ではなかったということなんですが、であればこそ、自由資本主義経済の根本部分を会得しないまま、その表層部分で利益だけを得るフリーライダーは許されてはいけないんでしょうね。
2022年4月8日(金曜日)
テレビ点けたらたまたまメジャーリーグの開幕戦やってたんですが、そういえば今シーズンからナショナルリーグでもDH採用なんだっけ。でも、そうなると、アメリカンリーグとナショナルリーグってなんで別れてるんだっけ?的な。
いやまあ、歴史的経緯があるのは一応知ってるんですが、全く同じルールでやるんだったら1リーグでも構わないんじゃないか的な。インターリーグもずっとやってるし、最近だとどっちがどっちのチームだったか混乱してくる。
現行のメジャーリーグはやたらとポストシーズンを増やす傾向にあって、今シーズンもまたポストシーズンの試合が増えて、レギュラーシーズンってなんなんだろう的な……。
もう1リーグ制で東西分割とかでいいんじゃね?
2022年4月9日(土曜日)
なんかロシアのウクライナ侵攻軍に総司令官が着任というネタなんだかなんだか分からないニュース。
これまで総司令官不在で各方面にそれぞれ司令官がいた模様。
確かに経歴は申し分ない人なので、ウクライナ北部からの撤退が既に行われている所からして、軍を再編して東部・南部でクリミアとロシア本土の間に陸橋をかけることに全力を注ぐことになるんだろうかね。
そうなると正面からの力押しになるので、ロシア軍側がどれだけの犠牲を許容できるかにもよるけど、ウクライナは分が悪い……。
ところでロシア軍の階級にはいわゆる准将が存在しないので、上級大将が四つ星、米軍で言う大将に相当しますね。
ややこしく面倒臭いところです。
2022年4月10日(日曜日)
「ウクライナ善戦。ウクライナ自身の理由」という記事があって、この記事ではこの戦争でのウクライナの善戦について、ウクライナ側の要因を書き出しているのですが、その中で教訓として日本も考えないといけない点が散見されました。
2014年のドンパス紛争についてこの紛争での重要な教訓として、ロシアのシンクタンク戦略技術分析センター(CAST)のミハイル・バラバノフは「限定的な紛争であっても、人員・資材・備蓄がすぐに使い果たされた」ことを挙げ、小規模紛争にも十分な備蓄が必要であるとしている。
と書かれている点が、特に気になりました。
日本の自衛隊は近年強化されているとは言うものの、総兵力24万という小所帯の軍隊でして、一応予備自衛官制度はあるにしても全体としては予備兵力に不安があります。
また、武器弾薬の備蓄についても余り多くないと常々言われており、正確な数字は見たことがありませんが、一般論として補給は米軍頼みと言われています。これは米国からも継戦能力の低さが指摘されていたことも過去にはありますので、改善されていると信じたい所ですが、やはり米軍頼みとなるところはあろうかと思います。
日本が今侵略を受けたとしたならば、日米安保に基づいて米国が参戦する筈ではありますが、しかし正面切っての戦争ならばともかく、グレーゾーン事態となると米国の踏ん切りが付くか難しい局面も出るでしょう(というか仕掛ける側はそれを狙うでしょう)。また、米国が既に別の地域で正面を抱えていて、日本に手が回らないことも考えられます。
今般の戦争でもウクライナに世界中からふんだんな補給が続いていることがウクライナの善戦の一助であることは誰も否定し得ないところですが、逆を言えば世界中から支援が届くまでは自ら踏ん張らなければならないこともまた明らかになったわけです。
日本へ攻めかかってくるであろう近隣国の軍事力を考えると、なかなか悩ましいところです。
2022年4月11日(月曜日)
「減塩食を“しょっぱく”感じる箸型デバイス、明大とキリンが開発 電気で味覚を操作」という記事を見て、へー、と。
原理的に“人工塩味料”は作れないとされていて、減塩食品の味わいを出すのは色々苦労があるところなのですが(大抵は旨味を増して対応するんだったような)、電気刺激で塩味を増そうとは……。
こういうデバイスで味覚を騙す技術が進化すれば、そのうち味覚信号だけを送り込んで食べた気になれる装置とか作られるのかも知らんな……。
2022年4月12日(火曜日)
引っ越しに際してガラスのコップを捨ててしまったので、代わりにトライタン製のコップを買ってみたのだが、ガラスに近い透明度と、ガラスを遙かに超える強度、そんで軽量……と言うところまでは事前に分かっていたんだけど、意外だったのは熱伝導が悪いので持つのが楽だし結露もし難いところ。食洗機対応だったのでそこそこの温度まで耐えられる筈。100℃は確実にいける。
何と言っても雑に扱っても良いところは素晴らしいですね。この「雑に扱える」ってのは、余り表に出ない評価だと思うけど、家庭の食器類だと実に素晴らしい特性だと思う。
2022年4月13日(水曜日)
朝起きたら熱っぽくて頭痛がした。
風邪か……。
冷えピタ貼って昼頃まで横になってたら恢復した。
2022年4月14日(木曜日)
ウクライナの攻撃によってロシアのミサイル巡洋艦モスクワが大破炎上したとか沈没したとか。
旧ソ連時代に作られた重武装艦で、写真を見るからに被弾に弱そうなスタイルで、被弾したらダメコンなんて無理だろうなぁ、これ……。
一応当時のドクトリンとしては、甲板上に並べられている長射程対艦ミサイルは長射程であるが故に、敵の射程に入る前に先制攻撃で全弾射耗している……ということだったようです。
世の中そうそう予定通りには話が進まんわけでして。
近年は地上発射型の対艦ミサイルもかなりの長射程になっていて、ウクライナが使用したとされるネプチューンも最大射程300kmとかという話で、水平線の彼方から飛んできます。今回もバイラクタルTB2が活躍したとかいう情報が乱れ飛んでいますので、索敵と標定をUAVでやったんでしょうかね。
それにしても、色々と戦い方の変化が激しくて、自衛隊も今後何年か対策が大変でしょうね……。
2022年4月15日(金曜日)
「「愛犬を助けて」ウクライナ避難者の負担…1日3000円 ペットに「法律の壁」」とかいう報道があったんですが、これは法律の壁というよりは“狂犬病清浄国の壁”というべきなんだよな。
日本は世界でも稀な狂犬病清浄国なんですが、この状態を維持するために飼い犬への予防接種や野犬の駆除など、大きな費用を支払っていて、しかも近年では予防接種に反対する反ワクチン勢が湧いていたりと非常な労苦を伴っています。
先年、台湾がこの清浄国から脱落しましたが、この際に採取されたウィルスの遺伝子解析から、ウィルスが大陸から持ち込まれた可能性が強く疑われています。
一度ウィルスが入り込み、拡散してしまうと、駆除するのは至難の業となります。その間に人間に犠牲者が出ずに済めば良いのですが、出なかったとしても多くの愛玩犬が安楽死させられることになるでしょう。
はっきり言えば、日本への難民申請の段階でペットの検疫についてはきちんと説明すべきで、それを了承できない人は受け入れるべきではないと思います。
あるいは、全額を国が負担するかのどちらかです。
2022年4月16日(土曜日)
ヤマト運輸から「サイクロテック社の「サイクロローター」を用いた理論研究の成果を公開」とか。
あー。
ローターにタワーファンとかに使われてるシロッコファンを使うのか。そんでインペラが可変角になっててサイクリック・ピッチを変化させて掃気の向きを制御する、と。最低3つあれば六軸の動きを制御できそうだけど、このコンセプトでは6基で制御と。
まあ理屈上できなくはないけど、効率面ではどうなんだろう? この大きさで積載30kgって、ヤマハFAZER Rと変わらないわけで……。
うーん……。
普通にQH-50みたいな二重反転ローターとかで良いんでは?と思ってしまうのは私がアレだからだろうか?
2022年4月17日(日曜日)
晴れた日曜日ということで自転車漕いでお買い物。
わざわざぐるっと大回りして、やや遠くのお店まで行ってみるなど。
……そして、買ってくる筈だったティッシュペーパーは買い忘れてしまうのである。
間拔け。
2022年4月18日(月曜日)
この春から復活したNHK「ドキュメント20min.」の18日放送「ウクライナ語で叫びたい」が良かったですね。
ロシア語を母語としていた家族が2014年を境に父がロシア語をやめてウクライナ語に。それでも戦争が起こるまでは、己のアイデンティティの喪失を恐れてロシア語でもいいじゃん、的な姿勢を取っていたのが、戦争を期にそれまでロシア語で喋っていた友人との会話もウクライナ語へとシフトしていく……。
「プーチンはむしろウクライナ化を推し進めている」という言葉が示唆的ですな。
言語アイデンティティの問題は非常に繊細な問題を孕んでいて、さらに今回は言語ナショナリズムの問題も絡んでいて、しかもロシア側の要求事項の一つとなっているなど、個人の問題、社会の問題、国の問題、戦いの問題と何層にも問題が絡まり合ってしまっており、解きほぐすのは困難極まります。
しかし戦後のことを考えると、言語ナショナリズムが興隆してウクライナからロシア語が駆逐される未来しか見えなくなりつつあります……。
2022年4月19日(火曜日)
手軽にうどんを茹でて昼食にしたところ、汁の味が、なんか違う。随分と濃厚な味に感じる。
汁は自分で作ってるわけじゃなくて、ヒガシマルのうどんスープを使っているので、そうそうおかしな味になる道理もなく、自分の味覚がおかしいのかと首を捻る。
別に不味いわけではなく、また腐っているとかそういうことでもなく、美味しいは美味しいので、要するに「こんな味だったっけ?」という違和感が拭えない状態のまま食べ終わり、使ったパッケージをよくよく確認した所……同社のラーメンスープだった。
なるほど。
2022年4月20日(水曜日)
久しぶりに紙の本を読み始めたのだけれども、横書きの本ということもあってか、ページをめくる指が覚束ない……。どうやって指動かすんだっけ?(まて)
あとうっかり明かりを消してしまったり(紙の本は自ら光ったりしない)、栞を挟むのを忘れてしまったり(紙の本は次に読むときに自動的に読み進んだページが開いたりしない)と、かなりテクノロジーに毒されてた様子が見て取れる。
風呂に持ち込むと紙は湿気るのだ……。
2022年4月21日(木曜日)
カナダがウクライナへM777 155mm榴弾砲を供与するとかの話題が出たんですが。
30門ぐらいしか持ってない……?
ja.wikipediaではカナダ:12門
になってますがこれは配備中だからだろうと思ってたんですが、en.wikipediaの方を見ると合計37門と書いてある。
そんな数で足りるのか……?
カナダ陸軍の装備を確認すると砲兵火力が非常に貧弱……。カナダ陸軍自体が現役23,000名ということで、非常に小世帯。
陸上自衛隊が15万人とか居るのと比べてはいけないのでしょうが、日本の場合FH70だけで300門以上あるわけでしてな(他に自走榴が別にある)。
FH70は後継の19式の配備が始まったこともあり、退役が始まっているところですので、もし先方が欲しいというのであれば、世界のFH70の半分を保有すると言われる日本から供与というのも悪くないのかも知れません。
そういえば陸自の榴弾砲はFH70を19式で置き換える方針とかで、牽引式の榴弾砲は原則姿を消す予定なのですが、牽引式ってなくても大丈夫なんでしょうかね?
2022年4月22日(金曜日)
海浜幕張駅で実験を続けていた“ロボットそば屋”が王子駅にできるとの報を聞いてようようお出かけ。
てっきり外に面したガラス張りの厨房でロボットがうねうね動いているのが見えるんだろうとか思ってたんですが、実際には厨房は店の一番奧にあり、さらにロボットはその一番奧で動いていて、しかも行ったときには折り悪くメディアが厨房内に三脚を立ててカメラ撮影してたもんだから、ロボットなんて殆ど見えなかった。
YouTubeで探したら、動画あった。
まあロボット見学に行ったわけですが、何も喰わずに店に滞留するわけにも行かず、蕎麦を一杯食べてきたのですが、どうということのない駅蕎麦だった。王子駅周辺なら中央口の“きそば”が行きつけ(?)なんですが、敢えて変えようという感じでもなく。
2022年4月23日(土曜日)
知床遊覧船所属の小型観光船「KAZU Ⅰ」が、13時15分頃に船首から浸水し30度ほど傾いているとの通報を最後に消息を絶ち、第一管区海上保安本部が海と空からの捜索を行ったものの日没までに発見に至らず、19時40分に自衛隊に災害派遣を要請、航空自衛隊航空救難団千歳救難隊所属のU-125が捜索に加わったと。
しかし、日没どころか日付が変わる頃になっても船も乗員乗客も発見できないというのは、ちょっと気がかりなところ。
全く見当違いの場所を探しているとかでなければ、漂流物くらいは見つかりそうなものなのだけれども……。
無事であって欲しいが、時間を考えると希望は小さい……。
2022年4月24日(日曜日)
昨日行方不明となった観光船ですが、本日になってようやく遭難者が10名ほど発見されたものの、全員死亡が確認されたとのこと。
通報ではカシュニの滝の側ということだったそうですが、遭難者が発見されたのは知床半島の先ということで、探していた場所が多少違っていた感。
通報時には既にエンジンが停まっていて自力航行ができない状態だったとのことで、潮で流されたのか、それともそもそも通報時点で自分の位置を見失っていたのか。
ともあれ、海保としては該当船は沈没したものと推定とのことで、今後は犠牲者の收容が主任務になることかと思われます。
痛ましいことです。
2022年4月25日(月曜日)
「昭和天皇とヒトラーを動画で同列に」の件、個人的には「致し方なし」と思っていたのですが、なんかウクライナ側が謝罪に追い込まれたようで。
ウクライナも大変だな……。
日本は対露制裁への支持が各国の中でもかなり高い国で、アジア諸国の中では対露制裁の先頭を切っている様相になっているので、ウクライナとしても日本の機嫌を損ねたくなかったという事情はあろうかと思うところですが。
個人的には先述の通り「致し方なし」だと思うのですよね。日本はかつて天皇の名の下に侵略戦争を起こした前科があるわけで、戦犯として扱われなかったとしても昭和天皇の顏がヒトラー、ムッソリーニと並べられても致し方ない、と。
勿論、一定以上の知識がある層にとっては、ファシズム日本の「顏」として昭和天皇の顏を掲げるべきか(あるいは他の誰を挙げるべきか)に疑問を持つことでしょうが、そこまでの知識を非学術の世界で求めるのはかなり困難だろうと思います。むしろ「よく昭和天皇を見いだしたな」というくらいで……。
これが歴史学や政治学で日本を対象としたことのあるレベルになると、当時の日本には独裁者と言えるほどの権力を持った人間はおらず、それが故に誰も強力なブレーキをかけることもできずに、情勢に流され続けて対米戦争にまで至ったという話になってくるわけですが、そうなると一体、ナチ党もファシスト党もいなかったのに日本はどうして全体主義に邁進したのか?という謎めいた話になり、多くの論考がこのあたりについて内外問わず書かれているところだったりします。
そこまで踏まえて物を言えとは言えませんよ。ウクライナ語のWikipediaの「Імператор Сьова(昭和天皇)」の項目を自動翻訳で読んで見ても、戦犯追訴を逃れた皇帝、くらいの書き方なわけで、最終的に御聖断で終戦を迎えたことからしても昭和天皇が大小はともかく権力・影響力を持っていたことは間違いなく、責任を問われるべき立場であったと言われれば否定もできません。昭和天皇が追訴を逃れたのは、結局の所戦後統治の都合としか言いようがなく。
心情的に複雑なものはありますが、それを今戦っているウクライナの人に求めるのは、行き過ぎではないかと思う次第。
ただ……第二次世界大戦(あるいは大祖国戦争)を「ファシズムとの戦争」と定義づけるのもまた、余りにも単純化したプロパガンダなのですよね。だって、そうやって「ファシズムと戦った」スターリンこそが、史上最悪のファシストの一人なんですから。
2022年4月26日(火曜日)
曇り空の中スーパーまで買い物に行ったら、帰りには雨になっていて、濡れて帰ることに。
「東京地方裁判所がマカフィーに約2350万円の支払いを命令 サードウェーブの訴訟を受けて」という興味深いニュースがあった。
多分民法の一般不法行為が適用されたのではないかと思います。記事中にある「信義則」についても、民法の基本原則として定められているものであり、私法の根幹をなす部分です。
日本ではこの通り、人間と人間の法的関係において信義が根幹とされており、信義を損なえばこのように公権力による是正が行われるわけです。別の言い方をするならば、公権力は私人間の信義則を守るために用いられています。
以前書きましたが、自由主義経済では“信義則が守られる”という信用が高い価値を持ちますが、故にそれを毀損する行為に対しては公の介入が行われ、信用の維持が企図されます。そしてこの行為には聖域があってはいけないことになります。信用をいくら損なっても罰せられない特権階級が存在すれば、結果として信用はその穴から水が漏れるが如く、失われてしまうからです。
国王といえども神と法の下にある
という格言で表される「法の支配」は、法の適用について例外を許さない西欧の基本的な理念の一部であり、自由主義経済や民主主義と分かち難く結びついています。
ソ連崩壊後のロシアにおいて自由主義経済が導入されたことは、単純に経済システムが導入されたというだけではなく、法の支配と民主主義とがセットで持ち込まれた……筈だったわけです。(これは中国も同じ)
そして先進諸国の主導による国際社会での法の支配の確立は、国家間の信義則に基づき、互いに不法行為をしないという信頼関係によって曲がりなりにも維持されてきた……と思われていたわけです。
しかし実際には、自由主義経済の成果は得ながら、その存立基盤たる法の支配も民主主義も制限しようというタダ乗りの動きが後を断たず、それに対して強制力を持たない国際社会はついに破綻の時を迎えたのでありました。
隨分遠くに来たものだ。
2022年4月27日(水曜日)
ドイツがウクライナにゲパルトを供与すると言い出して話題に。
また難しい兵器を……。
勿論ウクライナとしては防空兵器は望むところでしょうが、ゲパルトくらい高度な機材になると運用要員の練成も大変になるので、即時投入とは行かないあたりで即効性にはやや欠けてしまいます。なにせ索敵レーダーやら照準レーザーやら、索敵標定射撃追尾とやることが沢山あるため、ドイツ軍では専用のシミュレータがあったくらいでして……。
高価で高度な兵器の割には出番が少ないとして本家ドイツ軍では2010年に運用終了。今回提供されるのは保管されていた物だということで、ちゃんと動くのか、の辺りから心配がありますね。まあゲパルトは輸出されたりしているので、オーバーホールは問題なくできるでしょうが。
あと、自衛隊の場合ですとこの手の野戦高射兵器は対空戦闘指揮統制システムに連接されて、他の高射兵器(中SAM、短SAM、近SAM、携SAM等)と連携して多層防禦を形成するわけですが、自走高射機関砲単体ではできることが限られてしまいます。勿論、ないよりは遙かにマシなのですが。
この手の自走高射機関砲は主に攻撃ヘリを対象とするのですが、ヘリに搭載されるミサイルの射程が伸びた結果、機関砲では射程が足りなくなり、対空ミサイルで置き換えられることが増えてきている、というのがトレンドだったのですが、一方で今度は安価なドローンの登場によって、これを撃ち落とすことを想定して韓国が装輪式の自走高射機関砲を開発していたりしますね。
ロシアが運用しているオルランあたりを撃ち落とすならゲパルトでも良いんでしょうかね。ただ、どちらかと言うと、水平射撃で使われそうな予感が……。
2022年4月28日(木曜日)
少し前のことなのですが、5年に亘るアメリカ軍のNGSWプログラム(Next Generation Squad Weapon Program)が決着して、SIG SAUER社のSIG MCX SPEARが選定された由、あちこちで報じられていました。
このNGSPプログラムでは歩兵用の自動小銃(アサルトライフル)と分隊支援火器(SAW)と汎用機関銃の後継銃を一度のプログラムで選ぼうという野心的なものです。具体的にはM4、M249、M240の後継ということになります。
このプログラムの特徴としては、銃の選定もあったのですが、新しい弾薬をも採用している点が大きく興味を惹かれたところです。現在小銃~機関銃の弾薬は主に5.56x45mm NATOと7.62x51mm NATOが使用されていますが、今回はそのどちらでもない6.8x51mmという新弾薬が採用されました。
5.56mm弾は7.62mm弾よりも小型軽量でより多くの弾を持ち運べる一方で、交戦距離と威力の点で劣るとされ、ジャングルのような交戦距離の短い戦場であれば有利なものの、逆に砂漠や荒野のような交戦距離の長い戦場では不利であると、度々実戦部隊から意見が上がっていたところです。それで近年では5.56mm弾と7.62mm弾のいいとこ取りを狙った中間弾薬がいくつも開発されていたのですが、今回採用されたのSIG社が新規に開発した弾薬でした。特徴としては、これまでの薬莢が通常全真鍮製であったのに対し、薬莢底面をステンレス製にした2ピース構造とすることで、より高い圧力に耐えられるようにし、6.8mm口径ながら7.62mm弾より高威力を出しているんだそうで。
果たしてこれが西側の新標準となるのか、はたまた一時の徒花で終わってしまうのか(米軍の開発では実戦部隊への少量配備まで進みながら最後までXが取れずに消えていくものも結構ある)、西側全体の装備の未来を占う問題ですね。
……日本なんて20式小銃を採用したばっかなんですけどね。
あと、あまり詳細な情報はないのですが、今回のプログラムではXM157という小火器用用の火器管制装置も採用されていて、Vortex Optics社の製品が採用されているそうです。(動画)
こっちも興味深いんですが、秘匿度はむしろこっちの方が高いのかも。
2022年4月29日(金曜日)
雨が降って気温も下がって肌寒かったので、思わずカレー鍋を作ってしまった。冷凍庫に刻んだ白菜が残っていたのを消費したかったというのもあって。
NHKで放送された世界大惨事大全「スペースシャトル コロンビア号 空中分解事故」は、やはりこういう構成がNHKらしいんじゃないかと思った。
スタジオなし、アナウンサーなし、出演者はそれなりに専門的な人、というのはシンプルかつミニマムで良いと思いますね。
NHKにはこういう番組作りを進めていって欲しいと思います。
そういう点では、先日の英雄たちの選択「“円”はこうして生まれた! 大隈重信 通貨改革の七転八倒」は普段歴史番組ではあまり扱わない話題を採り上げていた点が良かったですね。そして普段は喋りまくる磯田先生が専門外ということもあってが静か。専門外となった時に沈默できるのは専門家に求められる資質だと思います。ゲストが元銀行家の作家、経済学者、元財務官僚の法律家と、渋いチョイスだったのも。飯田先生辺りは太政官札の信用度についてMMT解釈を述べておりましたが、このへんは流石と言うか。
やはりNHKには今後とも期待せざるをえないところがありますね。
民法があまりにもアレになってしまったのは何故なのか……。
2022年4月30日(土曜日)
なんかロシアが金本位制に復帰するとかいうネタ記事が飛んでおりまして、ロシアの当局は否定気味ですが、どうも真面目に考えている層もあるらしく。金本位制自体は19世紀から20世紀後半まで存在した制度なので、ご老人にとっては馴染みが深いのかも知れません。
金本位制は通貨の価値を規定量の金と等価とする制度で、その分かりやすさがウリですが、実体経済との乖離が問題になる制度でもあります。制度上通貨と金が等価ということになっているのですが、実際には通貨価値と金の価値は別々に存在し、通貨価値が下落すると人々は兌換紙幣を金貨に替えて簞笥に仕舞い込むようになります。20世紀の金本制が、不況に際して度々兌換を停止していたのはこのためです。
つまり金本位制は、その制度的名目とは裏腹に、通貨価値が金地金の価値より高い状態でなければ機能しないのです。これはローマ帝国でも江戸幕府でも、金貨の価値が金地金より高かった(金貨を鋳潰して金地金にすると価値が下がった)ことからも見て取れます。
現在のロシアの場合、通貨、さらに言えばその裏書きである国家の信用がだだ下がりになっているため、金本位制を実施した場合、皆ルーブルを金に替えて退蔵することになると容易に予測されます。
なので、真っ当な知識のある人間なら実施に移したりはしないと思うのですが、何しろ今のロシアは合理的判断が期待できない程信用がありませんからねぇ……。