哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2014年8月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2014年8月1日(金曜日)
 台湾南部の高雄でガス爆発とみられる爆発事故が起き、死者20名以上負傷者250名以上の大惨事になっている模様。

 現時点では原因や機序は明らかではないが、石油化学系のガス管から漏れたガスが他の管路に入り込んで火が着いたという推測が述べられているところ。
 化学系の災害は本当に恐ろしい。日本から協力できることがあれば良いのだが。

2014年8月2日(土曜日)
 ヨコスカサマーフェスタへ。
 まず海上自衛隊の横須賀基地へ行って、一目散に潜水艦を目指す。

 今年の目玉、潜水艦上甲板公開は普段は見ることもできない潜水艦、しかも最新鋭のそうりゅう型潜水艦ということもあって凄まじい人出で、待ち時間は2時間〜3時間というアナウンス。
 しかし炎天下で長時間の行列に並ぶのには慣れているのだ。(なんでやねん)
 というわけで、二時間以上の待ち時間を経て乗ってきました潜水艦。

 乗った人がみな足元の吸音タイルをぺたぺた触っていたため、何かの儀式のようにすら見えた(笑)。
 硬質ゴムのような手触りで、吸音タイルと船殻の間には隙間があった。

 ハッチ類にはカバーがかけられ、厚み等が分からないようになっていた。

 潜水時排水量が4,000tを超える世界最大級の通常動力潜水艦ですが、見た目はコンパクト。水中に没している部分が多いせいもあるでしょうけど。

 ところで、横須賀基地には陸上自衛隊もやってきていて、車輛を展示していました。

 結構な人気で、装甲車では操縦室へ人を立たせての記念撮影なんかもやってました。例年だとトラックとかだったのですが、戦鬪車輛を持ち込むとは陸自も結構本腰を入れて参加しているのかもしれません。
 この後炎天下を歩いて米軍基地の方へ。気力体力が尽きて、写真は殆ど撮らなかったのですが、とにかく肉だらけという印象でした。

 こんな肉の塊を一個単位で売ってるんですが、とても食べきれる量じゃないよ、これ。「ハーフポンドホットドッグ」とか、なにか間違ってる。

 何がパーフェクトなのかよく分からない食い物とか。
 水分補給しようと思って飲み物を売っている売店へ行ってお茶を所望したら、ソーダとアルコールしかないと言われてみたり……。
 アメリカ……。

2014年8月3日(日曜日)
 昨日の疲れもあって一日家でぐったり。

 夜のNHK BS1スペシャルにオリバー・ストーンが出てたんだけど、なんでNHKはああもオリバー・ストーン推しなんですかね?
 オリバー・ストーンの「Untold history of the United States」は傑作だと思いますが、それでもオリバー・ストーン(とピーター・カズニック)の史観に基づいた一歴史講話に過ぎないわけです。学ぶべきものがあるとしたら、「政府(や権力・権威)が語る歴史を鵜呑みにするな」「自分で学び、自分で考えろ」ということであって、オリバー・ストーンを信奉することではないわけなんですが、NHKの制作側はそれが理解できていない様子なのが気になる。NHKがやっていることはオリバー・ストーンを新たな権威にしているだけで、何の生産性もない。
 NHKが真実オリバー・ストーンに学ぶのであれば、これまで焦点を当ててこなかった歴史の事実や、別の側面に光を当てるなどの、新たな歴史ドキュメンタリの作成ではないかと思う所。
 今年も戦争ドキュメンタリが沢山放映される夏が来た。良作を望む。


2014年8月4日(月曜日)
 昨日近隣の本屋を回って見つからなかった新刊を、職場の近くの書店で発見する。
 特に言うべきこともない気もするけど……結局品揃えという点で大型書店に対抗できない街の本屋は、競争力という点でどうにも解消できない差を付けられている気がする。

 「「ありえない」半永久エンジン、NASAの研究で動く」……なんか物理法則に反している気がする……。
 作用/反作用に依らずに推進力を得られるとなると、世界が変わってしまうぞ……。


2014年8月5日(火曜日)
 トップニュースは「「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断」ですかね?
 “吉田証言”が虚偽であることは既に各種研究によって明らかになっている所ではありますが、大元であった朝日新聞がこれを認めたことは、一つの区切りにはなるでしょうかね。しかし、各方面への影響が大きな事件でした。(何分あちこちで“証拠”として採用されていますので……)
 ただ、日本と韓国の間に横たわる“強制連行”問題に於いては、“吉田証言”自体は今や大きな争点ではないと私は思っています。
 問題なのは、歴史的事実の存否に拘らず、史料批判を経ない“証言”が政治的に証拠として扱われる風潮を作ったことであり、それによって引き起こされた混乱に歯止めが掛からなくなったことです。というか、どうやって收拾つけるのかね。

2014年8月6日(水曜日)
 「テレビが視聴者の現実認識に与える影響−ワイドショー等、番組タイプ別の培養分析−」(CiNii)は非常に興味深い内容であった。もうちょっと新しいと良かったけど。
 というか、後継研究を探したほうが良いか。
 ワイドショーを好んで見る層ってのは、何やら現実認識が怪しい層ではないかと思えてくる。

2014年8月7日(木曜日)
 『三菱自動車の相川社長「PHVの車種拡充」とかいう記事を見て思うわけですが、このままだと三菱自工なくなるかも知らんねぇ……。
 とんがった車を開発し、ブランド価値を上げるってのは三菱自工くらいの規模の自動車会社としては多分正しい戦略なんだけど、そのためにはコアなファンを摑んで離さないクルマづくりが必要なわけ。
 じゃあコアな三菱ファンが求める車って何よ?となると、そりゃあんたランエボとパジェロに決まってるわけで、その両者が妥協なきヘビーデューティであることが前提だと思うんだけど、両者がパッとせず、売れ筋はアウトランダーとRVR、ミラージュとか言われると、目指しているところと実現できているところの間の乖離が大きすぎる気がします。
 スバルやマツダが「偏った」方針で成功を收めつつあるのは一面朗報ですが、三菱はこれに乗り切れていない感じがあります。
 もっと「馬鹿じゃねぇの?」(褒め言葉)って感じの車を作る必要があるんじゃないかと思います。
 個人的には電気自動車に邁進しているところは好感触なのですが、このままだと芽が出ないうちに会社が終わってしまいそう。

2014年8月8日(金曜日)
 先日「慰安婦関連の名称変更は社会的合意必要=韓国外交部という記事があって、どういう経緯だったのかとソースを探して韓国国立国語院のサイトなどをうろうろしたのですが、見つけられず。
 なもんで、報道ベースの論評になりますが、どうも「慰安婦碑」は韓国語で「위안부 기림비」と書くらしいのですが、「위안부」は「慰安婦」で最後の「비」は「碑」であり、途中の「기림」に問題があると。
 これ漢語じゃないっぽいんですが、どうも「優れた業績や精神、偉大な人物を賞賛する」という意味を含んでいるそうで、碑の趣旨に合わないということのようです。
 また、「慰安婦」についても、先の朝日新聞の特集でもありましたが、韓国では慰安婦や挺身隊、女子勤労動員を混同して議論を発散させる傾向が強いため、全部をぶち込む魔女鍋的用語としての「慰安婦」を「従軍犠牲女性」に変えようという話のようです。
 個人的に「従軍犠牲女性」という名称は悪くないんじゃないかと思いますね。

 昔ある人が、航続力の短い電気自動車が高速なんか走れるのか?という問いに、こんな冗談を返しました。
 高速道路に給電用の架線を設置して、電気自動車はそこから受電するようにすればいいじゃないか!
 時は流れて2014年。
 「シーメンス、トラック用架線給電道路をカリフォルニアに建設」。
 Oh, No...


2014年8月9日(土曜日)
 横浜まで「美しいひと」を鑑賞に出かける。初日ということで監督舞台挨拶があった。
 韓国人被爆者はともかく、連合軍捕虜被爆者の証言は非常に珍しい。その存在は知っているが、被爆体験を見聞きすることは稀だ。私としてはそこが主眼。
 残念ながら、時が経ち過ぎたな、という印象。
 ドキュメンタリにはなっても、歴史学にはならないというか。
 勿体無い。せめてあと20年早くインタビューができていれば……。
 本でもないかな。

 続いてGODZILLAを観て来る。
 んー。
 賛否両論あるのは分かるけど、1998年のアレよりは遙かにマシだし、観れる映画。細部に色々突っ込みどころもあるけれど、エッセンスは良く抽出していると思った。
 カメラのフレーミングとか、実に好み。
 人間の営為なんかどこ吹く風で、敵と見定めたMUTOに向かって驀進するゴジラとか、非常に宜しい。
 苦言があるとすれは、その細部にもう少し拘って欲しかったところかな……。


2014年8月10日(日曜日)
 昨日外出したので、今日は自宅でビデオの消費。天気も悪かったしね。
 で、録画を消費する中で確認したら、昨日の「知られざる衝撃波〜長崎原爆・マッハステムの脅威〜」がエラーで撮れてなかった。なんだろ……?

2014年8月11日(月曜日)
 電車が空いている月曜日。
 天気は曇りがちながらも、暑い……。

 昨日の件だが、どうも颱風情報で番組そのものが流れたらしく、18日に放送日が移転していた。

 いよいよNHKでも報じられたのだが、サルの自撮り写真に著作権は存在するかという深淵な問題。
 問題の写真はこの辺とかこの辺
 霊長類研究チームに同行したカメラマンが、カメラを奪われてサルによっておもちゃにされてしまい、取り返した所、何百枚というピンぼけ写真の中に、見事な自撮りが含まれていた、というもの
 さて、これが事実であるとすると、この写真を撮ったのは飽くまで件のクロザルであって、このカメラマンではないのであるからして、残念ながら著作権は認められないだろう。少なくとも現行法体系では、人間以外に著作権が認められるとは思い難い。
 ただ、これは深淵なる問題を含んでいて、例えば野生動物写真の中には、カメラをセットしてセンサでシャッターが切れるようにすることはままあり、この場合その写真を「撮った」のは誰か?という問題に発展しかねない。最近ではバイオロギングといって、野生動物に小型カメラ(やデータロガー)を括りつけてその行動を撮影・記録することは広く行われており、ではそれによって撮影された画像や動画には著作権が存在し得ないのか?という問題にも至ろう。
 本質的な定義から言えば、著作権法は思想又は感情を創作的に表現したものを守る法律なので、単なる監視カメラ画像には著作権は成立しない。よってバイオロギング動画にも、大凡著作権は成立しない、ということになる。だってそれは偶然の産物であって、人間の思想や感情が入り込む余地がない。
 しかし同時に、そう言った記録を取るためには、現地は赴き、カメラを構え、偶然にシャッターチャンスが訪れるのを待つなり、野生動物にカメラを取り付けてはデバイスを回收したりといった手間が発生しており、それらの行為は正当に対価が払われるべきでもある。そうしなければ、誰もそれをしなくなってしまう。
 個人的には、“著作権”とは違った枠組みによる解決が望ましいのではないかと思うところだが、複製費用がタダみたいな時代には、難しい問題ではある。


2014年8月12日(火曜日)
 朝、NHK BSの国際ニュースでBBCニュースを見ていたら、「アルコールにもタバコと同様の警告表示を義務付けよう」とか言ってる議員グループがいるとか言ってて、暫し呆然とした。
 いやまあ、それで人類が酒の誘惑に打ち勝つことができるのであれば、人類は隨分昔に酒造という技術を失っていたんじゃないかねぇ。

2014年8月13日(水曜日)
 世界のニュースを見ていると、ウクライナ、ガザ、シリア、イラク、リビアと、火消しが全く間に合いません。西アフリカではエボラが一向に收まらないし。
 西欧諸国って火付けるだけ付けて逃げるし……。
 正直、一体どうすれば良いのか、私には見当もつきませんな。

 USBのType-Cコネクタの仕様が確定したそうな
 仕様書を眺める限り、よくよく考えられてるな、という印象。リバーシブルになったのが一番嬉しいけど、接点の数が片面12本×2で、これまで一本だったVBus(電源線)とGNDが各四本に増強されている辺りが、電源端子としてのUSBの将来を物語っているようです。
 あと、ID端子がないので、ON-THE-GO用途には使えないっぽい感じです。折角だからON-THE-GOも包含してしまえば良かったろうに……。


2014年8月14日(木曜日)
 「入管法違反で男性を誤認逮捕 茨城というどうしようもないニュース。
 うわあ、って感じ。
 誤認逮捕も何も、何の証拠もなく見た目が日本人っぽくないからという理由で逮捕したに等しい。
 一方で、日本国内では実は日本国籍を有することを証明することが案外と難しい。一番確実なのは日本のパスポートを持ち歩くことだが、結構紛失リスクが大きい。
 EU諸国などでは顏写真入りIDカードが普及したりするのだが、日本では普及していない。
 “国籍”は制度的なものなので、取得要件を満たせば取得できる。顏つきが日本人でなかろうが、日本国内で出生していなかろうが、日本語が喋れなかろうが、関係ない。
 日本にも、公的な身分証は必要になるのではないか。今後、移民を受け入れるならば特に。

2014年8月15日(金曜日)
 コミケ一日目。
 平日ということを忘れて電車の所要時間を読み違え、危うくサークル入場に間に合わないところだった。
 新刊はなく、まったりと過ごした一日。

2014年8月16日(土曜日)
 例年二回行われる韓国大統領による反日芸ですが、昨日の夏の芸について一部の報道で
パク大統領の演説は、日本政府がいわゆる従軍慰安婦の問題を巡って謝罪と反省を示した河野官房長官談話の作成過程などの検討結果を公表したことへの批判は避けるなど、抑制的なトーンにすることで、この問題の解決に向けた安倍政権の対応を促すものとなりました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140815/k10013826351000.html

と、韓国側の譲歩があったかのような記述が見られたため、全文を確認してみようと青瓦台のサイトへ行ってきました。
 うーん……。比較のために、去年の演説も確認してみました。  何か進展している感じはなく、所謂「良識的日本市民説」が消えた辺り、もしかしたら現状を正確に認識しているのかも知れず。
 韓国側からの何らの提案もなく、ただ一方的に日本に解決を求めている内容で、これで外交になるんだったら国際社会は楽でいいな、と思うわけですが韓国側はどのような成算の基にこのような発言を繰り広げているのか、解せません。
 日本語訳がないあたり、実際には日本を相手にしている発言ではなく、韓国国内向けのプロパガンダなのかもしれませんが。
 ただ不思議なのは、韓国メディアにおいて大統領のこの演説が「譲歩」と看做されているらしい、ということです。
 解せぬ……。
2014年8月17日(日曜日)
 コミケ三日目。
 しかし私の本番はコミケ後に、川口にて。
 疲れた体に鞭打って、自転車にVAIO Zを積み込んでクレヨン社の作業にお出かけ。
 1.2kgに4coreのマシンで何やるかというと動画のエンコードという辺り、実にアレ気である。
 それにしても、三日間酷使した脚には充分な力が入らず、漕げども踏めども速度は上がらず。実に切ない思いをした。
 以前は三日間を終えた後に20kmとか走っても平気だったものだがなー……。若くないってこういうことかと。

2014年8月18日(月曜日)
 夏休み。
 朝起きて、御飯食べないとな……と思っているうちに昼になり、お腹空いたなぁと思っているうちに夕方になり、所用を済ませることを優先している間に時間が過ぎ去っていき、ようやく朝食にありついたのは16時であった。
 それはもう朝食とは言わない。

2014年8月19日(火曜日)
 「“自然・科学への関心” 日本は低くという記事があって、ああ、なんというか、まあ、うん、って感じ。
 東日本大震災以後、非科学というか、トンデモを信奉する一派が目立って仕方がない。
 人類の多様性の問題から一定程度ああいうのが沸くのは仕方ないにしても、権力を与えない努力は必要だと思うのですねん。特に、枝葉は払えるなら払わないと、養分を供給してしまいますからね。
 そういうわけで、日本はもっと自然科学への興味を持つ方が、良い社会を築けると思うのです。

2014年8月20日(水曜日)
 なんか広島の方で豪雨による土砂崩れで大惨事とか。
 以前に比べて気候が“激しく”なって来ている感があり、一時に大量に、という気象現象が増えている印象。
 そういえば米国でも南西部で洪水が起きているようで……。アリゾナ州やニューメキシコ州などの、普段降らない土地で大雨が降って家が流されてる映像とか流れてる……。

2014年8月21日(木曜日)
 自宅近くにある「お札と切手の博物館」に行ってきた。
 というか、この建物、以前は政府刊行物の販売所だったんだが、数年前に博物館が市ヶ谷から越した来たもの。市ヶ谷の頃に一度行った筈なんだが、記憶なし。大学に入ったばっかの頃だからな……。
 ともあれ、特別展「お札のかたち、お札のもよう〜様式の世界史〜」をやってるというので、自転車で出かけてみた。
 個人的には専門分野的に江戸時代の藩札や、明朝での手形などが興味深かった。
 というか、これらの出現に係る背景事情を知っているのが支那と本邦だけなので、他の展示の場合解説一辺通りのことしか分からんというか。
 博物館の性格的に「紙幣」だけが対象で、硬貨がないため、片手落ちの感はあるんだよねぇ、ここの展示って……。
 大抵の文化圏では貨幣は硬貨があって紙幣が出てくるものなので、紙幣登場時の貨幣の発行・流通体系を知っていないとイマイチ楽しめないのですよね。

2014年8月22日(金曜日)
 足の裏を見たら巨大な肉刺ができていた。

 昨夜のNHK「昭和の選択 第1回 「国際連盟脱退 松岡洋右 望まなかった決断」」はなかなかに面白い番組だった。
 司会の磯田道史から加藤陽子、井上寿一、小谷賢と本職の歴史学者がずらりコメンテータに並ぶとか、ちょっと他にないんじゃないか(苦笑)。
 芸能人とか文化人をゲストに呼ぶくらいなら、やはりこのくらい専門家を並べた方が、制作費的にも内容的にも素晴らしい物になるという一例ではなかろうか。
 日本の国際連盟脱退の緊迫の舞台裏を採り上げた番組だったのですが、私も外交史をやっていたので分かるのですが、現地で交渉をやっている外交官と、その報告を受ける本国の温度差というのは実に大きなものがあり、勿論最後には本国の訓令によって本国の意思が貫徹されるわけですが、結果が必ずしも思わしくないという印象を抱いています。
 外交において、やはり「相手」を取り違え、「空想上の相手国」と相撲を取ってしまう危うさは、現代にも通じるものがありますな。


2014年8月23日(土曜日)
 外付けHDDにアクセスできなくなる。
 HDDご臨終か?と思ったのだが、様子を見ているとどうもHDDはきちんと回っていて、エンクロージャ(HDDケース)が怪しそうな雰囲気。
 こういう時はエンクロージャを変えて確認するのが常套手段なのですが、便利な裸族のお立ち台は会社に持って行ったままだったので、取り敢えず使っていないエンクロージャを引っ張りだして来る。
 が、ここで電源ケーブルが見当たらない。米国から個人輸入したブツなので電源端子が特殊だった。なんとかケーブル類をぶっ込んだ箱からACアダプタを探しだすと、USBケーブルを探す。最近ミニ端子やマイクロ端子ばっかりだったもんで、フルサイズのB端子を持つケーブルが見当たらない……。なぜか5mもあるケーブルが見つかったが、仕方ないからそれを使う。
 元のエンクロージャをバラし、HDDを取り出し、さて、別のエンクロージャに突っ込もうかな……と思ったら既にHDDが入ってる。へ? なんじゃこれ? seagateの1.5TB?
 既に中身を忘れてしまったHDDのことは忘れて、問題のHDDをエンクロージャにぶち込んで電源をONに。無事HDDは認識された。ファイルにアクセスも出来る。壊れたのはエンクロージャであることが確認された。
 それ程古いエンクロージャだった訳でもないのだが、ここの所暑かったからなぁ、とか思いつつ、この際なのでUSB 3.0仕様のエンクロージャを注文した。

2014年8月24日(日曜日)
 夏休み最終日。

 「無人図書館、実験へ 司書おかずICタグで管理 神奈川 という記事があって、そうか、秦野市民にとって図書館とは無料貸本屋と同義だったんだな、と。
 本が山と積まれていればそこが図書館かと言われればさにあらず、司書がいなければただの書庫、否倉庫に過ぎない。
 ランガナタンを引き合いに出すまでもなく、図書館とは成長する有機体であり、ただ本を積み上げただけでは成長する有機体にはならない。本を分類し配架し案内し、そしてレファレンス・サービスが提供されなければ、それは図書館足り得ない。
 利用者が求める一冊を、利用者が本の森で歩いて探すのであれば、それは図書館ではない。
 恐らくこの実験は一定の成果を上げるだろう。それ故に、それで“節約”されるものが図書館の真髓であることを私は悲しく思う。


2014年8月25日(月曜日)
 仕事帰りに本屋で「江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統」を拾ってくる。
 “江戸しぐさ”なるものが捏造・偽史であることはWikipediaにすら書かれている程度のことなので、今更ではあるが、本書は“江戸しぐさ”の成立過程を詳らかにし、公教育への浸透に警告を鳴らしている。
 まあ、今の政権の肝いりで作った「教育再生実行会議」やそこに影響を与えている「TOSS」とかいう組織がどうしようもないという面はあるにしろ、トンデモと親和性の高い連中を教育改革に携わらせる害悪は、殆ど説明不要ではないかと。
 本書でも書いてあるが、別にオカルトや心霊が悪いわけではない。それはそれとして楽しむことは誰にも否定されない。
 ただし、それを公教育に科学として持ち込むことは、決して肯定されない。
 そういう意味では本書の姿勢に賛同するものではある。

 しかし、些か気になる点があった。
 調査を進めてから、また改めて書きたい。


2014年8月26日(火曜日)
 昨日の件。
 本の主題ではないのだが、個人的に気になる点があって確認の手間を折ってみた。
 本書第六章に文部科学省と国語審議会では、社会・地理などの教科書・教材に用いる中国語の地名から漢字表記を廃し、カタカナ表記に統一する方針に向かっているという下りがあるのだが、確認が取れない。
 確かにかつて文部省の国語審議会では「中国の地名・人名の書き方に関する主査委員会」を設けて本件を検討していたことは事実である。しかし、結局答申には至らず、「中国地名・人名の書き方の表(建議)」という形で残るばかりで、現在の文化審議会国語分科会の「国語分科会で今後取り組むべき課題について」に検討項目として載ってはいない。この問題は亡霊のように何度か審議の途中で持ち出されてはいるのだが()、その都度、審議の中で棄却され、答申までは辿り着いていない。要は、そのような主張が一定程度審議会内部にはあるが、多数を占めるまでに至ってはいない、という状況である。
 次に組織的な問題であるが、現在「国語審議会」という名前の審議会は存在しない。国語審議会は2001年に廃止され、現在は文化審議会国語分科会がその任を担っている。というか、そもそも文部省が文部科学省に再編された際に旧文部省下の審議会が文化審議会に纏められたので、そもそも「文部科学省」と「国語審議会」が並立するわけがないのだが、校閲は仕事をしていなかったのか、著者の事実誤認が素通りしている。
 最後に、スコープの問題である。国語審議会にしろ文化審議会国語分科会にしろ、教育分野はその対象ではない。教育を担当するのは中央教育審議会であって、国語審議会/文化審議会国語分科会はより広範な国語政策を担当する。もちろん、委員の中には教育関係者もいるが、審議会全体としては教育についての細かい口出しは越権であると考えられている節がある。先にも挙げた「国語分科会で今後取り組むべき課題について」に教育のことなど一つも入っていない。
 以上のことから、「江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統」に書かれた当該部については、まさに偽史の捏造であると考える次第である。

2014年8月27日(水曜日)
 「国立大から教員養成系・人文社会科学系は追い出されるかもしれない」や「教育系・人文社会系不要論の問題点について」といった、暗い話題が届く。
 実のところ首相が学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。と言い放っており、「実用」に程遠い人文科学系研究者は、このままでは居場所を失うであろうことは、容易に想像できる。
 人文科学系の研究は実用的ではない、という意見には否定すべき要素があまりない。正確には経済的な利益に寄与しない、とか、GDPに寄与しない、とかそんな所だろうが、取り立てて目くじらを立てるところでもない。とまれ、人文科学系の研究が、金銭的收入を産むことは少ない。
 しかし、では人文科学系研究は無駄なのだろうか。価値の無い物なのだろうか。
 答えは否だ。
 昔米国にてフェルミ研究所の計画が連邦議会の両院原子力委員会で審議された時、「国家安全保障に役立つのか?」との質問に対し、建設を主導し、後に所長となったロバート・ウィルソンがこう答えたと記録されている。
その意味では、この加速器は、我が国の国防には直接には役立ちません。しかし、我が国を守るに値する価値を持つ国にすることに役立ちます。
 分野こそ違え、人文科学系の研究は、国の価値を高める。
 東博へ行って様々な美術品を鑑賞し解説に頷くとき、国会図書館で公開された古典籍を眺めて古の時に思いを馳せる時、この国はこの社会は、確かに価値を上げるのである。
 コンクリートと鋼鉄で築き上げられ、毎日製品を送り出す工場ばかりが立ち並ぶ国は、経済的には豊かも知れないが、それは“代替可能な工場国家”に過ぎない。我が国を我が国たらしめているもの、それこそが我が国の価値の源泉であり、文化というものであり、それを研究し、分析し、広く知らしめるものがなければ、存在しないのと同じである。
 砂漠の下にどれ程の遺跡が埋まっていようと、掘り出され研究され公開されないのであれば、そこはやはり砂漠なのである。
 私はこの国の文化的豊かさを維持するためにも、人文科学系の研究はその豊かさを維持しなければならないと信じるものである。

2014年8月28日(木曜日)
 朝、腰痛がひどく、起き上がれなかった。
 鎮痛剤が效いてくるまで寝転がり、やや遅れて出社。

2014年8月29日(金曜日)
 「軟式高校野球:最長二十六回突入 崇徳−中京 継続試合……。
 どこかにスコアねーの? 26回とかになったら、もう交代要員残ってないんじゃなかろうか。
 そんな状態で延々と試合を続けるのは、あまり良いことには思えないけどなぁ。
 タイブレーク方式の導入を真剣に検討すべきなんじゃないかと思います。

2014年8月30日(土曜日)
 角川文化振興財団主催の「東アジア漢字データベース・シンポジウム」に出かけてくる。
 シンポジウムには角川歴彦氏自身が8時間も正面最前列で聴講する熱の入れようであった。
 で、最後に歴彦氏が語ったところから再構成すると、角川内部で新字源を改訂したいという要望があったが、それに応えることが経営的には難しく、そこで財団の方に吸い上げて文化事業として辞書のDB化をやらかそうとした。そのためのケース・スタディとして日中韓台欧の漢字DB作成者を呼んでシンポジウムを行った、と言った感じ。
 付き合わされた方は大変だけど、これで歴彦氏も頂の遠きを、道のりの険しきを思い知ったことであろう。

2014年8月31日(日曜日)
 火事に見舞われる。
 なんかやけに消防車が走り回っているな、と思っていたら、午前0時過ぎに火災警報器が鳴り響き、焦げ臭い臭いが漂ってくる。
 廊下に出てみれば、もうもうたる煙。
 「避難して下さい!」の声や、逃げ出す人々、隣家の窓から映る炎。
 こりゃまずい、と自宅に一旦戻り、最低限必要なものだけを持ちだして避難。
 マンションの周りをぐるりと回ってみると、どうやらバイク駐輪場が燃えているようで、ガソリンに引火したのか爆発音と共に盛大な火焔が立ち上っていた。
 火元が自室から近く、これはウチも放水喰らうかも知れんな……と、その場合の損害を考えていたところ、徒歩五分の距離にある消防署から消防車が到着し、放水を開始。見る見る裡に、炎が收まっていく。
 これは大丈夫そうだな……と安心し、実家に連絡でもしようかと思ったら、携帯電話を持って出てこなかった。なるほど、危急の時にアレを持ち出さないと不便であるな……。
 消防署による消火活動とともに人命検索も開始され、家族を呼ぶ声が響き渡る。
 野次馬と話をすれば、どうやらこの近辺で今夜三箇所目の出火らしい。不審火……要は放火だろう、と。
 結局消火活動は午前2時頃まで続き、就寝できたのは午前3時という有り様だった。

東京・北区で5件連続放火か けが人も
8月31日 6時06分

30日夜から31日未明にかけて、東京・北区でマンションの駐輪場にとめてあったバイクや自転車のほか、マンションの外壁などが焼ける火事が5件相次ぎ、住民3人がけがをしました。
警視庁は連続放火事件とみて捜査しています。

31日午前0時すぎ、北区豊島で「マンションの駐輪場から煙が立ち上がった」と近くに住む住民から119番通報がありました。
東京消防庁で消火にあたりましたが、10階建てのマンションの駐輪場にとめてあったバイク12台と自転車10台、それに駐輪場の天井やマンション7階部分までの外壁などが焼け、住民の30代の男女3人が煙を吸ってのどの痛みなどを訴え、このうち2人が病院に運ばれました。
この現場の周辺では、30日夜10時半ころから31日午前0時半ころまでの2時間ほどの間に、バイクや自転車が焼ける火事が合わせて5件起きていて、このうち北区神谷にある団地の駐輪場ではバイク4台と自転車13台が焼けました。
いずれの火事も半径500メートルほどの範囲で起きていることから、警視庁は連続放火事件とみて捜査しています。