哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2014年6月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2014年6月1日(日曜日)
 まるで夏のような暑さだったが、もう6月なのか……。

2014年6月2日(月曜日)
 GMailって、メールをMessage-IDで一意識別していて、同一のMessage-IDのメールは受信しない……という仕様だと今日知った。
 つまり、メーリングリストに送ってプレサフィックスが付けられて送り返されてきたメールは受信できない。
 しかもこの仕様が開業以来問題を指摘されながらもずっと続いているということが分かった。
 つまり、全く改善される見通しはない、と。
 信じがたい。
 阿呆ではないか。

2014年6月3日(火曜日)
 スペインのフアン・カルロス一世国王が退位の意向を示したとか。
 スペイン近現代史は非常に面白くて、学べばためになること請け合いなのですが、日本では余り知られていないのですよね。勿体無い。
 第一次世界大戦を中立国としてやり過ごしたスペインでしたが、戦中のインフレ、戦後の不況、ロシア革命などの要因が絡まり合い、国内では左翼思想の興隆が留まる所を知らず、軍部の独裁政権が失敗、後を受けた左派政権も分解、その後の右派政権もやはり混乱し、第三インターナショナルの後押しで成立した左派大同団結による人民戦線が選挙で圧勝、国王アルフォンソ13世は退位してイタリアへ亡命。ここにスペイン第二共和政が誕生したのですが、右派の弾圧に乗り出した所フランコ将軍がこれに武力で対抗、1936年にスペイン内戦が勃発します。
 人民戦線政府にはソビエトが、フランコ将軍にはナチス・ドイツがそれぞれ肩入れし、第二次世界大戦の前哨戦とも言える戦いが繰り広げられ、人民戦線政府の国際旅団に義勇兵として参加したへミングウェイが「誰がために鐘は鳴る」を書いたり、ドイツから派遣されたコンドル軍団によってゲルニカが爆撃されてピカソ絵を描いたりと、世界史に残る様々な出来事の舞台となりました。
 ともあれ、内戦は結局フランコ将軍の勝利に終わり、フランコ独裁となったスペインは、内戦による疲弊を理由として第二次世界対戦も中立(実態としてはナチに好意的な中立でしたが)を決め込みます。スペインは両大戦を中立で過ごしたんですね。
 フランコ将軍は巧みな外交手腕で戦中・戦後の国際社会を乗り切りますが、一方で右派愛国者でもあった彼は、自らの後継者として元スペイン王家の後嗣を指名。それがアルフォンソ13世の孫、フアン・カルロスでした。
 1975年、フランコ将軍の死を受けてフアン・カルロスは即位し国王となり、そのまま独裁を継承するかと思われた所、なんと立憲君主制による民主化へと舵を切ります。1977年の総選挙、1978年の新憲法によって、国王の権力が強く抑制された民主主義体制が確立します。
 これは独裁政権の後ろ盾だった軍部にとって不愉快な出来事でしたので、1981年民主化に抵抗する軍部の勢力によるクーデターが企図され、テレビ中継が行われる中、兵が議会に突入、発砲し立て籠もるという事件が発生しますが、国王自らがこれを鎮定。
 民主主義の擁護者としての国王の人気は天井知らず。スペインはバスク問題などがありつつも、NATO加盟やEC加盟、1992年にはバルセロナ・オリンピックを成功させ、欧州での地位を築きました。
 2007年のイベロアメリカ首脳会議でベネズエラが誇る独裁者(当時)のチャベスたんの独演会を「どうして君は黙っていられないのかね?」と優しく窘めて人気を博した辺りが国王陛下の絶頂期だったのではないかと個人的に思うわけですが、その後は経済の低迷やら王族のスキャンダルやらで人気が低迷しており、ここに息子へと王位を譲位する決断に至ったもののようです。

2014年6月4日(水曜日)
 そうか。今年は第一次世界大戦勃発百周年か。
 なんかほっとくと第三次世界対戦でも起きそうな勢いだけどな……。

2014年6月5日(木曜日)
 関東入梅の報。

 IVDに登録された異体字の対応関係を検討するために、ちょっとDBで検索して画面に拡大表示したいなーと思った所でハマる。
 一日かかって、もういいや、と投げる。


2014年6月6日(金曜日)
 自民党の土屋正忠議員が議会で「気持ち悪くて読む気にもならないような劣悪な表現をやっているものを保護する必要はない」と発言なさったそうな
 実際のところ“気持ち悪くて読む気にもならないような劣悪な表現”とはまさにこの土屋議員のような発言を指すわけですが、権力が表現の美しさや劣悪さなどを分別し始めれば、行き着くところは、とどの詰まり検閲です。
 実のところ、名作のためには幾多の凡作がなければならず、数多の駄作の屍の上にしか成立しません。エロ漫画を描いていた人が一般誌に移り、傑作を飛ばすことは珍しくないわけで、彼の主張はそういったキャリアパスを鎖す行為ですから、彼自身が言う「豊かなところでどんどん創作活動をやって」という「豊かなところ」を破壊するわけです。
 畑の豊作を謳って塩を撒くくらいには頭のおかしい行為なのですが、本人には分かっていないらしい所が恐ろしいところです。彼は、塩を撒いた後になってから「実りがないのはおかしい」と叫ぶのでしょう。

2014年6月7日(土曜日)
 映画を観に行こうかと思っていたのだが、雨に負ける。

2014年6月8日(日曜日)
 「合掌造り集落近くで巨木倒れ車を直撃というニュースは、本来ドライバーが死ななくて良かった……という感想で終わった筈なのですが……。

 トヨタ2000GTだと……!
 木が倒れた所に総生産台数が300台かそこらの2000GTが通りがかるって、どんな確率だよ……。
 28歳のドライバさんは精神的に再起不能じゃねぇの?

2014年6月9日(月曜日)
 雨の予報に長傘を持って出かけたのだけど、帰宅までの間に役立つことはなかった。
 そういうこともあるさ……。
 きっと明日は役に立つ。

2014年6月10日(火曜日)
 個人的には学歴に重きは置いていないのですが、統計の結果はある意味非情だな、とか「3年で中卒者は6割強、高卒者は4割近くが離職…学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2014年)(最新)」を読んで思った。
 “学歴”に問題があるのか、“学歴”の原資たる学力に問題があるのか、はたまたそれ以外の構成要素に問題があるのかは分からないけれども、現実は現実として受け止めないといけないだろうなぁ。

2014年6月11日(水曜日)
 先月に続いて今月も「中国軍機による自衛隊機への接近について」という発表がなされているわけですが、中国側に自重を期待するのは無駄なんでしょうな。中国はかつて米軍機と衝突事故を起こしているくらいなので、自衛隊相手に手控えをする理由もないでしょうし。
 このままだと中国が第三次世界大戦の引き金を引きそうな感じなんですが、中国自身は判ってるんですかねぇ。国内問題が大変で、それどころじゃないのかも知れないけど。

2014年6月12日(木曜日)
 「フジ番組、西之島に50メートルまで接近 気象庁再警報とかいう記事を見て思うわけですが、本質的に雲仙普賢岳の時から進歩がないよな、と。
 安全に取材する方法は幾らでもあったんですよ。国土地理院は無人機で撮影を行っていますし、人が近づくのが危険なら、ラジコン飛行機でもロボットでも、やり方は色々あるんです。
 にも拘らず、有人の船舶を島に接近させるというのは、取材クルーに加え船の乗組員も危険に晒す行為で、人命軽視も甚だしい限りです。

2014年6月13日(金曜日)
 職場で新たに購入されたPCが、電源投入後のPOSTできずにビープ音鳴らして起動しないというトラブル。
 最近珍しいよね……。
 とか思いつつ、ビープ音の長短によるエラーコードを確認しようとマニュアルを掘り出してみたが、薄いマニュアルには何も書いてない……おお、詳しいマニュアルはPDF化されてHDD内に格納されているそうな。
 ……だから起動しねぇんだっての。
 幸いにもというべきか、同型機を2台購入だったため、ちゃんと動いたもう一台のマニュアルを参照し、「電源を確認して下さい」「メモリモジュールを確認して下さい」という手順に沿って蓋を開けたら、メモリモジュールが外れかかっていた。
 「輸送時の衝撃で外れたのかねぇ?」と訝しく思いながらも、挿し直して電源投入で起動。
 それにしても、紙のマニュアルに書くべき内容を間違っているのではないかという気がしないでもない……。

2014年6月14日(土曜日)
 寝たり起きたりしているうちに一日が過ぎていった。
 怠惰な一日。

2014年6月15日(日曜日)
 「装備品開発、独と調整へ=戦車技術の相互提供など−防衛省とかいう景気のいいニュースが飛び交っておりますが、先だってトルコとの共同開発案件が頓挫したばかりですので、糠喜びにならないよう、気をつけて欲しいものです。
 ドイツのレオパルトIIといえば世界一ィィィィ(売上)な戦車な訳ですが、度重なる改修によって重量の増大が問題になってきている所。10式戦車の軽量さが売りになれば良いですねぇ……。
 個人的には10式戦車をそのまんま売った方が良いのではないかと思うのだけど。

2014年6月16日(月曜日)
 最近の若い子はフロッピーディスクを知らないというネタを読みながら頭のなかで再生されるパップラドンカルメの歌。
 本当に洒落じゃなく、フロッピーディスクのアイコンの意味が判らなくなる日が来てるんだな……。
2014年6月17日(火曜日)
 職場で、「ここにPC連動電源タップがあれば便利なのに……」と思った設置場所に、何故か箱に入ったまま未開封のPC連動電源タップが放置されていた不思議。きっと妖精さんが予め用意していたに違いない。
 まさか配線の改善が数年間も放置されていたなんてことはないと信じたい。

2014年6月18日(水曜日)
 朝から作家ダニエル・キイスの訃報を聞く。16日に86歳でお亡くなりになっていたとか。
 代表作「アルジャーノンに花束を」と言えば知らない人はいないという位有名な作品。何度も映画化されただけではなく、ラストシーンはネットミームとしても流通しています。
ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください。
 無知の幸せと知る不幸、急激に上り詰めそして崩壊していく知性。指の間から砂のようにこぼれ落ちる幸せ。
 なんて素敵な作品じゃないか。

2014年6月19日(木曜日)
 個人的に仮想戦記は余り好きではないのですが、理由の一つが、科学・技術基盤を甘く見過ぎているから、というのがあります。
 最近読んだ作品に、異世界に転移した日本が10年でGPSを整備するとかいう話があって、頭おかしいんじゃないかとか。
 GPSは固有名詞だからGNSSって言えよ的突っ込みから始まって、米国ですら1978年に射上げを始めて測位漏れが起きない数が揃ったのが90年台初頭の話。現代なら原理がわかっているのだからもっと早くできるのではないかとの突っ込みには、逆に準拠楕円体ジオイドもわからない異世界で衛星だけ射上げて何をするつもりだと言われるのがオチ。
 GNSSは衛星だけで成立しているのではなく、地球の大きさや形状(準拠楕円体・ジオイド)についての情報が別にあることが前提となります。そういった情報は長い年月をかけて地理学者や惑星科学者たちが計測を続けて作り上げたものです。
 他にも座標系の問題もありますし、重力定数やら惑星・衛星の大きさやら、地磁気の問題やら、調べるべきことが多過ぎます。人類が数百年かかって計測してきたものを、数年でやれというのは無謀というものです。
 コストに関しては言うまでもありません。GPSの維持コストは毎年4億米ドル程と言われていますが、現在は米国が全額負担しています。全く米国様には足を向けて寝られませんな。
 でまあ、こういうことを知っていると、10年でGPSとか言われると、無理無理と突っ込んでしまうのです。

2014年6月20日(金曜日)
 病院へ行って午前中終了。

 午後には「春を背負って」を観てきた。
 木村大作監督の無茶な撮影風景をドキュメンタリにするために映画を撮っているとしか思えないシリーズ。
 原作では奧穂高だった舞台をわざわざ立山連峰最高峰に変え、標高3,000mの山小屋で、例によって例のごとくCGなしの体当たりロケ。
 阿呆である。(褒め言葉)
 きっとメイキングは本編の百倍面白いに違いない。


2014年6月21日(土曜日)
 「超高速!参勤交代」を観てきた。
 うーん……。
 思っていたより遙かにコメディ時代劇で、恐らく原作を圧縮して映像化したんだろう唐突だったり辻褄の合わない部分があったりして、もっと笑い飛ばす作品だと思い決めて観るべきだった。
 ただ、そのコメディを楽しむためには参勤交代や江戸大名についてのそれなりの知識が必要という、ちょっとおかしな側面があるのですよね……。

 所謂「河野談話」の検証結果「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯〜河野談話作成からアジア女性基金まで〜」が公開された模様。
 以前もどこかで書いたような気がするけど、韓国や中国では、政治的正しさと学術的正確性が等価と看做される傾向が強く、故に、河野談話が事態の学術的正当性を担保しているかのように考えられている節がある。
 実際のところ、両者は別物で、政治は政治でしかなく、政治上の都合であのような文言となったものについて、学術的な正当性を求めるのは無理筋だと思うのですがねぇ。


2014年6月22日(日曜日)
 渦中の東京国立博物館へ。
 東洋館と平成館だけをちょっとだけ堪能する。

2014年6月23日(月曜日)
 テレビ番組がサッカー一色なのは已むを得ないにしても、朝のニュース番組がサッカーになってしまうと、情報收集に支障が出るんだが……。天気予報とか。
 マルチチャンネル構成でサッカーを裏に回して放送するとかの対策が望まれる所。
 ニュースとサッカーだと重要度は明白だと思うんですけどねぇ……。

 スーパーコンピュータランキングTOP500の更新がありましたが、中国の天河二号が三期連続の首座。日本の京は4位。全体にトップクラスの動向は安定気味。ただ、TOP500全体のコンピューティングパワーは増加しているので、技術の普及によって底上げがあったと見るべきか。
 現在、37位までが1 Peta FLOPS超マシンというのは、時代を感じさせる……。


2014年6月24日(火曜日)
 上手く動かない、と言われた機械を私が立ち上げると普通に動く不思議。
 きっと日頃の行いであろう。

 最近は天気予報を聞くと大抵「大気の状態が不安定」という節回しが日常で、そのうち「今日の大気の状態は安定しています」と言われるようになる日も近かろうと思うわけですが、東京西部では今日雹が降った模様。
 職場のある五反田でも、雷鳴が轟いたり豪雨が襲ったり。
 にも関わらず、帰る時には傘が要らないくらいだったんだよねぇ……。


2014年6月25日(水曜日)
 「「事業用自動車事故調査委員会」の発足について」と、高速バス等の事故が相次いだ事を受けての専門調査機関が発足の運びとなった由。
 個人的には、“事業用”に限らず、交通事故は第一にはこのような事故調査機関で調査を行い、行政処分を課すようにすべきで、“犯罪”として司法手続きを行うのは悪質性の高いものや故意の犯罪に限るべきであると考えています。
 というか、自動車運転に「業務上過失」を問うのはどんなもんかと思うのよ……。あれって、殆ど確率論だぜ。
 あと、自動車や運用組織だけではなく、道路(国土交通省)や信号・標識(警察&公安委員会)も対象にして欲しいものです。事故を誘発する作りになってる道路に、皆様憶えはありませんか?

2014年6月26日(木曜日)
 次期政府専用機は777の300ERに決まったそうで
 順当過ぎてつまらん。
 A380で入札する根性のあるスカイマークはいなかったのか(まてこら)。

 遅れながらも進んでいるMRJですが、飛行試験初号機にエンジンを搭載、と。
 しかし初物のエンジンだけに、不安は募ります。
 どうか無事に上がってくれますように。


2014年6月27日(金曜日)
 午後から体調が悪く、脂汗が引かなかった。
 ああいう時、かなりマジで「サイボーグ化したい」とか思うね……。
 サイモン教授でも良いけど。

2014年6月28日(土曜日)
 W3C CSSのエディタであるfantasai女史を迎えてのCSSの勉強会(?)へ。
 内容は……「こんな変なデータが来た時に、デフォルトではどう解釈すべき?」って感じの想定問答。
 しかしなんっちゅーか……日本語組版の話ではなくて、HTML/CSSに取り入れられた日本語組版用のタグやプロパティが多言語で、しかも目的外使用された想定だったので、どう組んでも問題が起こりそうな話だった。
 まあ、そういう場合にどうDefaultするか、という話なんだが……。
 本来特定言語のための機能なのに、実装されてしまえば何に使われるかわからない、か。Unicodeにも通ずるところだな。
 いい勉強にはなった。

2014年6月29日(日曜日)
 コトノハカフェ第二回「チベット語をフィールドワークする」に参加。
 私が知っているチベット語の特徴ってラサ方言の特徴だったんだなー……。
 本日のゲストはアムド方言を主に研究しておられる研究者だったので、チベット語の各方言の差異など、非常に興味深い話が聞けた。
 しかし、喋って通じないレベルで違うのであれば、最早別言語にしてしまっても良い気がするのだが……。
 実際、南部方言であるブータンで話されるチベット語はゾンカ語と呼ばれるわけでして。
 ああ、政治だな。

2014年6月30日(月曜日)
 痛みが出てよく寝れなかった。
 スケジュールを見ると今週末も来週末も忙しいな……。