哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2004年9月分

Caution!
このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、並びにパーソナルメディア社は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2004年9月1日(水曜日)
 Winny事件の初公判が京都地裁でありました。裁判長は氷室真裁判長だそうで。どんな人かあとで調べよう。
 当然のように、47氏側は全面無罪を主張。正面からのガチンコ決戦となっています。
 国内に前例のない事件だけに、諸外国の例が裁判に大きく影響するのではないかと思われますが、米国では連邦第9巡回控訴裁判所が8月19日にGroksterやMorpheusなどのファイル共有ソフトの提供者には、利用者が犯した著作権法違反についての法的責任は問えないとの判断を示しています
 果たして日本での裁判はどうなるでしょうか。国際的な影響が考えられるだけに、慎重かつ適確な判断を望みます。

 ちょっと個人的にどーかなーと思ったニュースがありまして。
 「「単位乱発」記事に真実性 帝京大の請求棄却なんですけども、“1人の学生に1年間で42科目、87単位を与える”って、俺もその一人じゃん……。私は確か帝京大学の1年生の時に82単位を取得している筈です(笑)。2年次には60単位以上取ってたハズなので、最初の2年で卒業必要単位数を満たしましたよ。
 しかも、当時そういう80単位オーバー取得の生活をしていたのは私一人ではなかったんですよ。それはもう、月曜から土曜(当時は土曜も授業があった)まで、びっしり詰まった時間割ができ上がり、ワーカホリックというかスタディホリックな人間にとって、当時の帝京大学は取得単位上限のない天国のような大学でした。
 なので、東京地裁がどう判断したかは細かくは知りませんが、実際そういう一年で40科目以上を真面目に履修し、しかも単位を取得する学生が、帝京大学に複数いたことは確かです。
 もっとも、今回話題に上っている学生が私たちの同類であったとは思いませんけどね。


2004年9月2日(木曜日)
 Winny事件公判の氷室真裁判長裁判官って、バリバリの刑事事件畑だなぁ。大阪地裁で許永中事件だとか雪印事件なんぞを担当している。刑事事件で死刑判決を出したこともある
 正直言うと、著作権の複雑な問題やコンピュータ技術についてどれほどの理解があるのか、また理解する能力があるのか、過去の担当からは未知数です。
 刑事畑の判事って、検察の主張に流されやすい傾向が全体としてあるんですよね。まあ、有罪率99.8%なんて裁判やってりゃ当然ですけど。

 昨日ネタにしようと思ってわざわざ神保町まで出かけたのに書き忘れてしまった。
 初版290万部とかいうお化け商品、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団J.K.ローリング作/松岡佑子訳/静山社刊)が昨日発売されました。それでどんな具合かなと思って神保町まで出かけたわけです。
 一見した感想なんですが、前回に比べて大型書店での取扱が控え目な気がしました。まあ、相当売れ残った書店もあったみたいですからね……。前回も今回同様、再販売価格指定商品でありながら買い取りだったので、販売部数を読み間違って偉い目にあった書店も多かったようです。よって今回は見極めが慎重になったというところでしょうか。正味が通常と同様なら書店の取り分は10%程度と思われますから、入荷した本の一割が売れ残ったら赤字が出る計算になります。
 版元の出荷部数が増えているわけですから、その分多くの書店に分散して行き渡ったのではないかと想像できますが、果たしてどうなのでしょうか。ハリポタ狂騒曲はまだまだ続きそうです。


2004年9月3日(金曜日)
 あなたのところにも、クレヨン社、届きましたか?

 「飛び降り:中2男子生徒がマンション11階から 神奈川という報道に、憤然。
 無理矢理学校に行かせようとして、結果飛び降り自殺で命を失ってしまう前に、なんでたった一言、「学校に行かなくてもいいんだよ」って言ってあげられなかったんだ……!
 学校へ行くのは権利であって、間違っても義務じゃない。親に科せられているのは普通教育を受けさせる義務であって、学校へ通わせる義務じゃない。
 学校へ死ぬほど行きたくなければ行かなきゃいいって、ただそれだけのことじゃないか。

 「韓国、極秘にウラン濃縮…IAEAが査察官派遣とな。IAEAの発表はこちら
 某「ならず者国家」指定済みのイランより二桁も多い量とのことなんですが、隣国としてはたまったもんじゃない話ですなぁ。

 文豪の終焉
 中学生の頃に親に買ってもらった文豪mini5が、私のワープロ体験でした。その機械は延々5年くらいなんだかんだで使用していました。文豪上で書いた小説も、全て引き上げて今はMOの上。
 ちなみに、文豪の辞書登録単語はCP/Mからコマンド叩いて引きずり出して、変換して登録して、今まで延々と継承している(笑)。


2004年9月4日(土曜日)
 ロシア・北オセチヤ共和国ベスランで9月1日、イスラム系と思われる武装集団が中学校(小学校だという報道もアリ)を占拠、生徒教師父兄など1,000人以上を人質に立てこもったのですが、3日、強攻の果てに人質に犠牲者300人以上を出して一応の終結を見ました。
 チェチェンの病院占拠事件の時もモスクワの劇場占拠事件の時も、ロシアは多大な犠牲を払いつつ強攻突入をして事件を解決してきたので、今回も当然そうなることは予測できてました。
 両方とも学習能力ないのか……。

 今日は、久しぶりにカラオケに行ってきた。前回のBクラの時は、二次会すら欠席したから、隨分久しぶりになった。
 歌が下手になってた(笑)。
 それはともかく、Hyper Joy V2にUnder 17が7曲ばかり追加されてたり、ゲーム系やらアニメ系の曲の増補が目に着きました。
 あと、Joy Naviのソフトウェアが更新されて、あの酷評状態からは脱していました。
 もう少し手を入れると大分よくなると思いました。


2004年9月5日(日曜日)
 残された自由時間をいかに満喫すべきかを考えて時間を過ごす……あれ?

 いよいよ、日本プロ野球界の天王山となる週がやってきました。
 東京地裁での合併停止の仮処分申請却下、近鉄株主よる株主代表訴訟も却下と残るは全面衝突ばかりと行った所で、明6日の臨時運営会議で合併が承認される見通し。週中に日本プロ野球始まって以来のストライキへと突入する公算が高くなっています。
 ここまで事態が紛糾した原因は一つではなく、戦犯も一人ではありませんが、敢えて名指しで非難すべき人がいるとしたら、渡辺恒夫前ジャイアンツオーナーであり、にも増して根來泰周コミッショナーです。今回の一件がどのような結末を迎えるにしろ、事態收拾能力欠如を露呈している根來氏には退陣していただきたいと思います。
 アマチュア野球を統括する日本野球連盟も無為無策ですな。日本球界の主導権をプロ野球機構から奪い返す千載一遇の好機、という見方をする人はおらんのでしょうか。
 総じて言いたい。「真面目にやれ」と。
 まあ、これまで真面目にやってこなかったことのツケを払わされているわけで、今更すぐに真面目になれるかといわれりゃそこまでなんですが、プロ野球の、日本野球の、そして世界の野球の未来を見据えて、真剣な議論が必要な時です。

 ところで私が何に憤っているかといわれると、プロ野球球団の集まりであるプロ野球機構の無力っぷりになんですよ。前コミッショナーの川島廣守氏はアマ球界との和解に力を尽くしましたが、一方で逆指名制度やフリーエージェント制度の導入など、現在に続く問題の種を撒いた人でもあります。そして現在の根來氏は法務官僚出身という、非常時に一番役に立たない種類の人だったりするわけです(ちなみに川島氏は公安警察出身)。非常時に必要なのは法律や前例を調べることではなくて、ビジョンを持って球界を牽引することですが、全くできていません。こりゃコミッショナー失格ってものでしょう。
 各球団の代表者が、自分の球団の利益を最大限に考えようとするのは、ある意味当然で、球団オーナーが球界全体のことを考えて発言できる人物だったら、その人は引きずり降ろされても文句は言えません。そんな球団代表者が12人も集まれば決まるものも決まらなくなるし、選手やファンの利益は蔑ろにされてしまいます。それ故に利益調整者としてコミッショナーが存在し、機構が存在するわけです。そのコミッショナーが、選手の利益もファンの利益も考えず、12球団の思惑に乗っているだけとは一体何事でしょうかね。
 利益調整ができないのであれば、プロ野球機構に何の意味があるのだ。仲良しクラブか?


2004年9月6日(月曜日)
 結局ストライキってことになりそうね>プロ野球
 ストライキは支持するけど……なんというか、回避する方法はなかったのかと、言いたいこともないでもない。

 ちょっと仰天したニュース。
全社員の4割が希望退職へ セシール、募集超える応募って、全社員の4割が退職を希望する会社ってどんな会社だよ、とか、4割の人間がいなくなっても業務が廻るってどんな仕事しとったんやねん、とか、とにかくツッコミ所が多すぎて、頭が混乱しそうです。


2004年9月7日(火曜日)
 蒸すなぁ……。颱風が直撃しないだけマシなんだろうけど、不快指数が鰻登りですわ。
 しかし…風速60mってのは、どんな風なんだ? 想像の埒外だなぁ。
 地震の方は、紀伊半島沖、東海道沖と来て今度は新潟かぁ。
 「日本沈没」なんてキーワードが頭を過りつつ、でもイメージとして思い浮かぶのは藤岡弘だったりするあたりが何ともはや。

 選手会日本プロ野球機構(NPB)に対して提出していた通告書に対する回答がNPBからなされたようです。
 報道によると、経営問題について責任のない選手が口を出すな、というものだったようです。
 そりゃ確かに一面そーなんですけどね。他にも選手の年俸を上げ続けた選手会のこれまでの姿勢の問題とか。
 でも、選手の年俸が仮に0だったとしても赤字になってる運営ってのは、そりゃもう選手の年俸がどうこうってレベルと違うし、2チームが合併したら收入は足しただけになるかと言われりゃそれもまたNoなわけでして。
 ブルーウェーブバファローズの球団経営健全化のための努力はそれなりに知っていますが、結果的に効果が上がっていない所から「的外れな努力」であった可能性が否定できないと思います。特にブルーウェーブにおいては
 結局なんだかんだでプロ野球各球団は「巨人様様」で巨人戦の放映権が欲しいから球団数を減らして一リーグ、という底意が見え見えなんですよね。だって引き受け手が名乗りを上げてるんだから、適当に処分してしまえばこれほど問題がこじれることはなく、直に事態收拾できるんだもん。合併が不可避というのであれば、2球団合併、1球団新設でもいいんだし。
 それがどうしても駄目だというのは、パシフィックリーグというリーグを盛り上げることがとうとうできなかったリーグ所属6球団の問題であり、パシフィックリーグを食い物にする形で繁栄を享受したセントラルリーグ各球団の問題であり、とりわけ元凶たるジャイアンツの問題ですな。
 ついでに言えば、そのような流れに歯止めを掛けるどころか後押ししてきた機構の問題でもあり、それを許してきたファンの問題でもあるのですが。
 自戒を込めて、今回の一件は、決着が出るまで見守りたいと思いますです。

 ちなみに私はパシフィックリーグの試合ってあんまり見ません。というか、DH制のあるプロ野球ってイマイチ好きになれん。DH制の意義も価値もわかってるけど、野球の頂上たるプロ野球で採用すべき制度かどうかは、一考の余地があると思う。
 投手に打順が回った時の独特の駆け引き、ってものが好きなんですよ。代打を送るかそのまま打席に送るか、バントか強振かあるいは見送りか。回や点差、打席に入る投手の打撃力や星回り、試合状況などによって判断が別れ、そしてその結果が試合を左右することがなんとも多い! その楽しさを失っているという点で、パシフィックリーグの試合が今ひとつ僕には味気なく感じられるのです。


2004年9月8日(水曜日)
 坂村城へ行った。

 SONYからHDV対応ハンディカムが出たそうで。Victorから既に出ているGR-HD1の対抗馬と言った所か。
 でもこのHDVってフォーマット、あんまり好きになれないんだよなぁ。も書いたけど、シーケンシャル記録のテープメディアで、フレーム間圧縮/可変転送レートを前提とするMPEG 2記録を行うというのはいかがなものか。個人的にはMotion JPEG2000のような形がよいと思うのだが……。
 もっとも、Motion JPEG2000のような規格を使うと、さらに上位の放送用機材との差別化が難しくなり、自分たちの商売を自分たちで壊しかねない、という二律背反は解らんでもないのですが、そういう商売の理屈で技術商品が提供されないってのも困るよなぁ。

 ミツルんが日記で採り上げていたので便乗で日記に。
 ITMediaの「「過去の遺物」になるフロッピー」なんて記事なんですが、実際の所、ごく普通のエンドユーザがFDを必要とする局面は減りつつあるんでしょうね。記事にも触れられていますが、1.44MBというのは、現在のデータウェアの肥大っぷりを考えると、大河をバケツで汲み出そうとする行為にも似ていますな。
 我が家のPCからFDDが未だに無くならない理由は、それが起動デバイスであるから、その一点です。
 起動デバイスと言っても、今ならHDDはおろか光学ドライブやネットワーク経由で起動できるM/Bがごろごろしてる中、FD起動しなければいけない状況ってのも限られてはいますがね。概ねM/BのBIOSアップデートの時くらいですか。
 それでも、年に何度かはお世話になるため、未だに私の家には多種多様な起動用FDが転がっております。
 緊急時の回復用途には全く使わなくなりました。Windows2000導入以降、NTFSにしちゃったので、非常時にDOS起動してもなーんの役にもたたんもので。とりあえず回復コンソールをインストールしといてありますので、大抵の用は足りるしな……。

 さて風雲急を告げるプロ野球ですが、地裁で棄却されていた選手会の仮処分申請ですが、東京高裁でも棄却されました。しかし棄却はされたものの、選手会の団体交渉権についてはこれを確認し、日本プロ野球機構(NPB)に誠実交渉義務があることも同時に認めておりますので、やや前進ってところですか。
 なんせ、プロ野球選手は個人事業主だから労働者じゃないみたいな発言をした奴がいたくらいですからねぇ……。
 一方のオーナー会議の方は踊りまくったのか踊り疲れたのか、来シーズンはセントラルリーグ6球団、パシフィックリーグ5球団、交流戦はナシということになったとか。
 なんか大山鳴動鼠一匹って感じ。というか、あまりの反発の強さにオーナー会議が萎縮しちゃったように見えますな。
 こういう時に指導力を発揮せにゃならんのがコミッショナーなんですが……先のジャイアンツのドラフト前金銭授受の制裁が「訓戒」「野球育成関係団体に制裁金相当額500万円または同額の野球用具の自主的に提供、寄付すること」じゃぁねぇ……。私がコミッショナーなら、自由獲得枠の一年凍結くらいは科しますぜ。


2004年9月9日(木曜日)
 東京シューレの学生ゼミへ行った。
 たまたま博物館の学芸員の方が参加していて、実に面白い知見が得られた。
 図書館分野でも、学校教育と図書館の連携は常に検討されていて、いくつかの実験が試行されている。博物館でも事情は同じようで、“博学協同”というらしい
 私もかつて図書館情報大学なんていう大学に籍を置いていてそれなりに図書館学も修めていたりするわけで、地域の学校との連携が必要だとか知識はあったわけだ。
 しかし、これをがらりと不登校問題の側面から見た時に、図書館や博物館、美術館が不登校児童生徒の居場所として機能するようにすることか、と言われると恐らく否だ。あくまで学校の機能の一部を分担あるいは拡張する形での連携を考えているに違いない。
 しかしよくよく考えてみると、何も公教育(Public Education)との連携ばかりを考える必要もなく、Alternative Educationの一環として図書館や博物館、美術館のあり方を考えた方が良いのではないか、と今日の議論の中で思い付いた。
 ただ、一般の図書館員にしろ学芸員にしろ、教育に関しての知識は限定的で、とりわけ不登校に関する知識が豊富とは必ずしも言えないため、打つ手を間違えると公教育の悪い面を移植されてしまいそうで恐いですね。
 公教育の方は現在“学校復帰”政策を強く押し出していて、それが先日の自殺事件なんかと絡んで来るんですが……もちろん、学校に行きたいという子供を監禁して行かせない親とかいうのは論外ですが、学校へ行きたくない子供の首に縄かけて連れていくというのも無茶苦茶な話なわけで、しかもその学校が現在暴力事件増加、荒廃進行中という状態では、学校に行かせることが必ずしも子供のためになるわけではない、くらいの認識は欲しいんですがねぇ、文部科学省のお役人様方にも。
 公教育は教育を受ける権利を保証するために存在するのであって、子供を囲いこんで高ストレス環境実験をするためのものじゃないんだよ、と。

2004年9月10日(金曜日)
 そういや、明日から航空ジャンク市があるんだよなぁ。行くべきか行かざるべきか、それが問題だ。

 プロ野球ですが、とりあえず今週末のストライキは回避されました。
 球団側と選手会の合意事項は、

  1. 球団合併一年凍結についての再検討を行う
  2. 来季はセントラルリーグ6球団以上、パシフィックリーグ5球団以上で行う
  3. 新規球団の参加条件の緩和を行う
  4. プロ野球構造改革委員会を設ける
 1番については見込み薄なんですが、2、3については話の進行によっては大きな問題になるでしょうね。特にアマチュア球界にとっては。
 これまで加盟料60億、参加料30億とかいう非常識な参入条件が科せられていたために、プロ化を見送ったアマチュア球団は少なくありません。はっきり言えば、企業の広告宣伝としての野球活動を行うなら、社会人よりもプロの方が圧倒的に効果が上がります。それに今では五輪選抜チームもプロ選手だけで構成されていて、アマチュアの地位凋落は著しいものです。
 もちろん、すぐさま参入できるようなものではないでしょうが、しかし日本には、分厚い社会人野球層があり、今すぐにでも参入できるチームがないわけではないのです。
 規制緩和と競争自由化がすぐそこに迫っています。無策のまま突入すれば、最悪アマチュア球界の崩壊を招く虞もあります。
 果たして現在の機構やコミッショナーが、オーナー会の意向を超え、日本の野球全体のためになる判断と行動が行えるかどうか、が試されることになるでしょう。

 今回のストライキ回避に隠然たる影響を与えたのが、先日の東京高裁の判断であろうことは間違いないでしょう。選手会を労組と確認し、機構に誠実交渉義務を認めた判断です。これ以前は何せ選手会を労組と看做さないなどの発言が飛び交い、損害賠償を求めるとかとんでもないことを言っていましたからね。
 そういったオレサマ体質なオーナー会の言行が、選手会のストライキをファンが支持するといった世論を招いたことを少し反省すべきでしょうなぁ……。


2004年9月11日(土曜日)
 あれからもう3年の月日が過ぎたんですね。
 この3年で、世界は良くなったのでしょうか。

 今日のNHKスペシャル「情報聖戦」は隨分救いようのない内容だったなぁ。
 アル・カイダ他のイスラム系過激派組織が、プロパガンダのために作っている映像ソフトを巡るドキュメンタリだったんですが、これまでも自分の頭で考えない人たち向けの扇動策としてニュース映画やラヂオを使ってきたわけですが、控え目に言っても大がかりな設備を必要とする映画、ラヂオ、テレビに代わって、CDに焼かれた動画が利用されてるって話。技術の進歩は、ちょっとしたお金で制作編集スタジオを構築することを可能にし、ネットワークはそれらの拡散を手助けしている……。
 まあ、技術そのものに善し悪しはないので、結局はどう使うか、どう対処するかの問題になるんですが、最終的には教育しかないんでしょうな。それも、きちんと疑問を抱き、その疑問を独力で調べ学び解決していくような教育が……。
 そんなのって……(無言)。


2004年9月12日(日曜日)
 風邪ひいちゃいました、ゲホゲホ。

 9日に、北の中国国境付近両江道金亨稷郡で爆発があったとかで、外信が騒がしいですね。一部では茸雲が目撃されたとかで、すわ核実験か、と。9日は朝鮮の建国記念日だったので、タイミングとしては核実験もアリかも知れませんが、それだったら大々的に報道するでしょう。インドもパキスタンも何が嬉しいのかってくらい放送してましたからね、あの国なら国を挙げてのお祭りくらいするでしょう。
 茸雲そのものは大規模な爆発に付隨して発生するもので、核爆発に限りません。通常爆薬でも、数百トン単位で爆発させると発生することがよく知られています……とはいえ、滅多に見ることはありませんけどね。弾薬庫の火災誘爆事故などで発生した例が、ビデオなんぞに撮影されていたりします。
 ま、核実験なら放射線が出たり放射能が周囲に飛び散ったりしますし、地震計に記録される波形も独特なものになるので、観測網に引っ掛からない可能性はゼロです。で、今の所そのような観測データが得られていないので、まず核実験ではないだろう、と。
 だからといって安心という話ではなくて、問題はこれが純然たる事故であったのか、何者かの意図が介在した事件だったのかと言うことですね。前回の爆発事故も微妙な時期だったんですが、今回もまた建国記念日だけに微妙ですなぁ。反体制派によるテロだとしてもおかしくない。
 彼の国の国家体制に緩みが出てきていることは確かでしょうが、あのように巨大な応力のかかっている大堤防にとっては、僅かな緩みが蟻の一穴となって大決壊に繋がりかねません。彼の国を取り巻く日中露韓の4箇国にとっては、国家崩壊こそが恐れるものですからねぇ。
 その昔Henry W. Beecherは「この世で最悪なのは無政府状態」と仰りましたが、全くその通りでしてね。あんな政府でもないよりゃマシなんですな。現状、北朝鮮という国は日米中露韓5箇国にとって緩衝地帯として必要とされている以上、何とかして軟着陸させんといかんわけですな。


2004年9月13日(月曜日)
 今度は指火傷してるし……。

 よく覗いている「海外ボツ!News」に「米空軍新兵募集ビデオを見て……」なんて記事があって、米空軍の新兵募集ビデオが採り上げられてたので、私も見てみました。
 ふえ〜。よく練ってるねぇ。
 「就職口」としての米軍の存在を強くアピールしてる感じですか。まあ、米軍くらい巨大な軍隊になると、前線で戦ってる奴等よりも、後方だとか事務だとか、直接戦鬪には携わらない連中が多くなるしね……。特に空軍だと、パイロットより整備の人間の方が多くなるし。
 総合一流企業“米軍”って感じです。
 翻って我が国を見ますと、自衛隊の場合コレだもんなぁ。
 いえ、悪いわけじゃないですよ、タブンね……。
 そういえば、土曜のNHKスペシャルで、アル・カイダはラップミュージックで募集やら扇動やらやってたなぁ(笑)。どっちが先進的なんだか。

 戸籍法施行規則の改正は27日だそうで……。


2004年9月14日(火曜日)
 韓国の一連の「核疑惑」が、かなりヤバい方向に進行してますね……。IAEAへの申告を行わずに金属ウラン抽出、ウラン転換実験、高濃縮ウラン精製、プルトニウム抽出と、これは国家単位で核兵器製造のための技術蓄積のために行ったと看做されてもしょーがないね。
 韓国のニュースメディアの中には、「日本には許されていることがなぜ韓国はやったら駄目なんだ」みたいな論調があるんですが、何を考えてるんですかね。日本は確かにウラン濃縮もプルトニウム抽出も許されていますが、一方で世界で最も多くのIAEAの核査察を受入れているんですよ。今年になってやっと統合保障措置で査察回数が減ることになりましたが、そこに至るまでの日本の努力は、そりゃもう大変なものでした。
 ま、そんな日本ですらバケツでウランを臨界させる馬鹿が出るんですがね(爆)。
 イランの核査察問題でIAEAと国連と米国がすったもんだしてる最中にこの体たらくですか。しかも今回の理事会じゃ北の方も俎上に上ってるってのに南北両国が懸案事項とは、東洋のバルカン半島かよ。
 ただでさえ東アジアは軍事バランスが微妙なんだから、阿呆なことはせんで欲しいわ。

 読売新聞に「低学力ほど中退率高い…高校対象に異例の研究なんて記事が。これは是非とも報告本文を取り寄せて読んでみたいな。
 学力と経済力の関係については、漠然と、例えば東大入学者の親の平均年收が……なんて話がゴシップになったりして、それなりに不公平の存在が匂わされてはいましたが、「経済的な環境と学力に強い関連がある」と結論づけられるとはなかなか凄い調査です。しかし何となく調査が教員の「心証」に依っている所が多いように見られるので、実際の調査の現物を読んでみたいものです。


2004年9月15日(水曜日)
 「骨占い」なんてやってみたり。
あなたは 頭蓋骨(ずがいこつ) です。
【頭蓋骨タイプの特徴】
最も頑丈で強固な造りとなっている。あなたはそんな頭蓋骨です。
何事にも屈することのないあなたは、希に見るほどの正義感を持っているため、いつも中心的存在のようです。
しかし、頭蓋骨に対する衝撃が致命傷になりかねないように、あなたの一直線な性格は取り返しの付かないことにもなりかねません。
たまには休憩して冷静に考える時間を取ってみましょう。

【相性の良い相手】
鎖骨の人と相性が良いようです。
鎖骨を探せ!


【相性の悪い相手】
海綿体の人と相性が悪いようです。
海綿体は避けろ!
 ツッコんでいいか? 海綿体は骨ぢゃねぇ……

 栃木の兄弟誘拐殺害死体遺棄事件。容疑者の供述が二転三転して定まりません。こういう複雑な状況では報道にはもっと気をつけるべきではないかと、報道を見ていて感じます。
 容疑者は「生きたまま川に突き落とした」とか供述しているということですが、であれば通例、死因が溺死になるはずで、肺に水が入り、死体は沈み、浮かんだ状態で発見されることはありません(死体が腐敗してガスが溜れば浮かびますがね)。
 というわけで、「中州に打ち上げられたような状態」という遺体発見状況を考えれば、殺害後に死体を遺棄した可能性が高いと推測されます。溺死体は川底を転がることになるので、生活反応のない傷が残り、この点は検視で瞭然としている筈です。解剖すりゃ肺に水も入ってますしね、まず間違えようがないんです。この辺も常識ですね。
 ですので、現状、容疑者の供述の信憑性の方を疑う方が適切だと私は考えます。
 にもかかわらず、「生きたまま突き落とした」などと容疑者の供述を鵜呑みにするような報道と反応が多いのが気にかかります。
 あと……あまり気持ちの良い話じゃないんだけど、容疑者も実父も、その他関係者全員が「加害者」である可能性があるんだよな、この事件。

 なんか楽天がプロ野球参入に動くそうですね。
 ライブドアが参入に向けて動いていて、シダックスは静観の構えながらも、隙あらばと言った所。
 存外面白くなってきたじゃないか。この際他のアマ球団もどんどん加盟申請してみてほしいですな。
 以下余談。
 最終的にパシフィックリーグ5球団が確定してしまった場合、1節につき1球団が必ず試合なしとなりますので、その球団を対象にアマチュア球団との交流試合を組むというプランが考えられます。
 あと、セントラル‐パシフィック交流戦については、国際試合期間に行うということにすれば、日本代表チーム編成時の各球団の戦力不均衡を吸収できるメリットがあります。
 現在の野球日本代表チームは、オリンピックとその予選だけがプロ選抜チームで、それ以外の国際試合についてはアマチュア選抜チームということになっており、事実上「二つの日本代表チーム」が併存しています。
 ちなみに、野球の三大国際大会といえば、オリンピック、ワールドカップ(旧世界選手権大会)、インターコンチネンタルカップの三つです。オリンピック、ワールドカップはそれぞれ4年毎で、2年ずれています。インターコンチネンタルは2年毎でオリンピック、ワールドカップの間の年に開かれています。結果的に、毎年三大大会のどれかが開催されているわけですね。来年はインターコンチネンタルですよ〜。

 最近久しく見ることがなかったエラーメッセージを見ました。
 相手先のメールサーバから、「user is over quota」と返ってきて、こりゃまた珍しいなぁと。
 ストレージの大容量化が、いつぞやの軍拡競争のように進行している昨今では、メールボックスの容量もギガバイトだとか、サービス提供側の神経が狂っているのか私が遅れているのかわかんないような数値が乱れ飛んでいて、もしかしてテレビ番組の録画ファイルを添付して送るんだろうかと用途も悩む所大ですが、そんな時代に見るエラーメッセージとしては、なんだか懐かしいものに出会ったような、それでいて何か巨大な間違いを犯したかのような、そんな気がしました。
 幸い、相手の別アドレスを知っていたため、無事復旧に漕ぎ着けましたが、そのアドレスが死んでいた場合、電話番号は知らない相手だったので、残る知っている個人情報である所の現住所に対し、電報を打つことになる所でした(笑)。
 案外、電報って便利なんですよ。今じゃウナ電扱いにしなくても、大体当日中に届くしね♪


2004年9月16日(木曜日)part 1
 左手に火傷を創ったばっかだというのに、今度は右手に裂傷を負っている私……。
 場所が悪かったために、絆創膏が固定しにくく、固定テープが手首にまで回ってしまって、まるで大怪我のようだ。

 昨夜栃木の兄弟誘拐殺害死体遺棄事件について「溺死じゃないみたいだから死体遺棄じゃない?」みたいなこと書いといてなんですが、今朝になっていきなり「栃木兄弟誘拐:隼人ちゃんの肺に水 「生きたまま」裏付けって記事が出ててびっくり。
 検死解剖してなかったんかい!
 いや、もうその辺の事実確認を怠った私が全面的に悪いのですが、14日の昼頃に遺体が発見されていたので、てっきり14日中には検死解剖が監察医の手で行われていたものとばかり思っていました。栃木って監察医制度がないのか……?
 というわけで、昨日の記述について、「溺死は疑わしい」と書いた点について、撤回いたします。
 しかし……毎日新聞、なんかシンクロすること多いな……。


2004年9月16日(木曜日)part 2
 「トロン協会平成16年度のグループ活動状況について」……。なんかもう9月終わりそうだけどな……。

 半ば趣味、半ば仕事の資料を、東京都の図書館 蔵書横断検索で検索すると、見事に地元である北区立図書館がスルーされて非常に嫌な気分。すぐ隣りの豊島区足立区荒川区あたりには入っていたりすると、なおさら。昔住んでた府中の市立図書館なんかもきちんと入ってたなぁ。
 まあ、北区立図書館というと「世界の中心で、愛をさけぶ」を25冊所蔵とか、頭がおかしいんじゃないかと思うような選書をやっていることで有名ですので、期待するだけ無駄なんでしょうけど。「バカの壁」を29冊買い込むくらいなら、俺が必要としている本の一冊や二冊入れてくれと。
 こういう、ベストセラーを沢山入れて貸出実績を積み上げることが利用者サービスだと勘違いしている図書館って、実際の所多いんですかね? 北区立図書館は非常に有名ですけど。
 はっきり言えば、住民サービスとしての公共図書館に、館数以上の複本が存在することそのものが異常といえます。一館に一セットあれば事足りるんですよ。
 図書館は貸し本屋じゃない!
 「住民が求める本をより借りやすい状態に」という姿勢の現れであると言えば聞こえは良いのですが、これでは単なる大衆迎合です。図書館、とりわけ公共図書館はUNESCO Public Library Manifesto和訳)にあるように「High quality and relevance to local needs and conditions are fundamental.(質の高い、地域の要求や状況に対応できるものであることが基本的要件である。)」なのです。
 もちろんベストセラーを選ぶなとは言いません。しかし、20冊以上も買い込む必要もまたないと私は思います。本当に読みたいのであれば代金を払って買うべきであり、新刊書を買うほどでないというなら古書店に行けばよく、それすら嫌なら悠長に図書館で順番を待てば宜しいことなのです。図書館は「誰もが求める一冊の本」も「誰かが求める一冊の本」も差別してはいけないし、するべきではないのですから。
 図書館の選書は本の価値、とりわけ長期的な視野に立った「誰かが求める一冊の本」に対して重点が置かれるべきであって、せいぜい数年で熱の冷めるベストセラーを大量購入することは、図書館の可能性を狭めていると私は考えます。その「誰もが求める一冊の本」を15冊余計に買う金で、「誰かが求める一冊の本」を收蔵できる可能性を15回失っているという言い方をすればお分かりいただけるでしょうか。
 内容の価値など一々判断していられないという図書館側の事情も理解できないではないのですが、出版から5年後10年後、絶版になり、市場で手に入らなくなった本を探し求める人が行き着く所が図書館でなくてどうするのでしょうか。図書館に行ったら、まだまだ書店に並んでいるシリーズものが各巻20冊ずつ並んでいた、なんて税金の無駄遣い以外の何物でもないと思いますけどね!

 ライブドアプロ野球機構に加盟申請を行ったそうですね。本拠地は仙台! ダルビッシュ獲得か?!(笑) 是非とも「みちのく球団」を名乗って東北六県をドサ廻りして下さいまし。
 一方で楽天も来週中にも加盟申請をするとかで、風雲急を告げています。これでもう2〜3企業出てくると、現体制は事実上瓦解状態になるなぁ。
 一方で、選手会と機構の話し合いは困難な様子。先週の交渉の時に選手会側の「甘さ」が気になっていたんだけど、やっぱりその辺で揉めたなぁ。
 根來コミッショナーは独自案を提出してストが決行されたら辞任するとか言ったそうですが、そりゃあれか?心置きなくストライキしてくれという意味か? 彼が辞任するのは大変結構なことなので、そんな声明は抑止力にも何にもならんて。
 その根來さんは来季からのライブドア、楽天の参入について時間的問題から困難との見解を示しているようですが……ふむ……個人的に言わせてもらえば、不可能じゃないな、と。
 現在9月。最大2箇月で球団の陣容を整えるのは極めて困難です。引っ張る社長だけではなくて、プロ野球実務経験者を会社に引き拔き組織としての球団を整え、設備を確保し、GMを起用して選手をかき集め、監督、コーチ、トレーナー、スコアラーにバッティングピッチャーやブルペンキャッチャー果てはスカウトから用具係に至るまで、揃えねばならないヒト・モノは多岐に亙ります。
 これらの全てを2箇月で揃えることは不可能にしても、最低の陣容はドラフト前に構築し、少なくともキャンプ・インまでには全てを揃えなければなりません。関係者は休む暇どころか寝る間もなくなるでしょうね。実現すれば「プロジェクトX」間違いなしです。
 常識的に考えれば一年かけて組織を作るべきですが、ここは攻手ですからね、時は金なりですか。
 果たして話はどこへ向かうのか。楽しみです〜。


2004年9月17日(金曜日)part 1
 昨日のことですが、国連のアナン事務総長がBBCのインタビューに対し、「the US-led invasion of Iraq was an illegal act that contravened the UN charter(米国主導のイラク侵攻は国連憲章に反して違法である)」と語ったそうな。
 その前の13日に、パウェル米国務長官が米上院政府活動委員会でイラクから大量破壊兵器が発見される可能性は低いと証言したのに続いての爆弾ですな。
 小泉首相は現在メキシコに外遊中ですが、さっさと米国支持を掲げてこの戦争に突入した首相と与党の責任は問われて然るべきでしょう。

2004年9月17日(金曜日)part 2
 丸石自転車、二度目の不渡り……。
 世界でも指折りの老舗自転車メーカだけに、自転車部門だけでもどこかの企業が買收してくれないものだろうかと……。

 日本の野球が混沌の渦に叩き込まれている今日この頃ですが、世界の方も動きがありました。
 MLBが主催して行われるというスーパーワールドカップですが(注:IBAF主催の「ワールドカップ」とは別物)開催がほぼ本決まりになったようです。開催方法を巡って日本、韓国と揉めていたのですが、合意が持たれたとのこと。
 開催は2006年の予定。
 果たしてそれまで日本のプロ野球は生き残っていますかね?
 っていうか、IBAFMLBの対立の構図ってことになるのですが、なんか観戦意欲が萎えるなぁ……。
 よく知られているように、現在IBAF主催の国際試合にMLBは選手を参加させていません。理由はよく知りません。
 IBAFとなぜそこまで仲違いしたいのか理解し難いのですが、IBAFは嫌だから自分たちが主催してワールドカップを開いてしまえ、という辺りが無茶苦茶というか唯我独尊というか商魂逞しいというか。
 個人的には、日本のプロ・アマ問題もありますが、国際的なプロ・アマ問題として、今後の両者の力関係を占うものとして注目してます。

 きさらちゃんが日記でブラックジャックルールなんて話を紹介していたので、少し考えてみました。
 言い得て妙だとは思うんだけど、結局は定義の問題かな、と。
 プロとアマの境界が実力にあるとすれば金銭授受は二義的な問題となり、「ブラックジャック・ルール」は簡単に成立します。しかしプロ/アマの境界が金銭授受にあると定義すれば、無償で仕事をする者はすべからくアマチュアであってプロではないということになります。
 後者の定義に従う場合に「職業として技能を揮っている人間が、無償でその技能を提供した場合、それはプロかアマか」ということが問題になるのでしょう。一般的にはそういうのは「ボランティア」と呼ぶのではないかと思いますが。
 ボランティアに必要なのは金銭ではなく満足です。懐を満たすのではなくて心を満たすことが求められます。心の満足は、技術的挑戦だったり純然たる趣味であったり知的好奇心だったり崇高な使命感だったりするでしょう。
 ただ、活計として選んでいる仕事において「心の満足」を理由に無償で仕事を受けるのは、職業倫理的な問題を孕みはしますね。趣味となれば他人を納得させられないことが多いでしょうから「客/雇用主を納得させられないルールで仕事を受ける」ことのリスクはつきまとうでしょう。「アイツは仕事を選り好みする」というのは、あまり良い評判とは言えません。それでも相手を無理矢理屈伏させるだけの力量があれば別ですが。
 そういう意味で「ブラックジャック・ルール」というのは当意即妙と言えますね。
 世間様から広く認知され容認されているボランティア(災害救助や戦災復興など)なら問題は少ないんですがね……。


2004年9月17日(金曜日)part 3
 その日はいつもと同じ土曜日だったけど、たった一つ、プロ野球だけが足りなかった……
 そんな日記の書き出しを考えてしまいました。
 とても残念です。
 せめてストライキを打つからには、最良の結果を残すべく、関係者には最大限の努力を期待するものです。

 プロ野球機構コミッショナーの根來さん辞任するそうですが、願ったり叶ったりだ。とっとと辞めてくれ。
 根來さん自身が無能な人だと思ってはいません。“平時の人”が“戦時”に巻込まれた感はあるでしょう。就くべきでない時にその職に就いていた、不遇の人だったのかもしれません。しかし、その職に補されていた以上、最大限の努力を払うことが、職務であったろうと思います。
 一ファンの目から見て、根來氏の行動は“最低限”を上回るものではありませんでした。
 事ここに至った以上、速やかに事態收拾能力を持つ新たな人材にコミッショナー職を譲り、混乱の收拾に役立って欲しいと思いますので、根來氏の辞意を歓迎いたします。

 一連の動きを見ていた時に、機構、球団、選手会、ファンの四者のうち、際立って球団側の「身勝手さ」が目に着きました。
 突然の球団統合の発表、その後の迅速な動きは見事の一言でした。何としてでも来シーズンは一リーグでという、皮算用にギラついた「もう一つの合併」の摸索。
 しかし逆風下に置かれてからの動きの悪さもまた特筆ものでしょう。
 統合にはあれほど迅速に動いた彼らが、新規参入については「来年からは無理」と言い切るなど、その熱意の量に大きな差を見せます。こういう所が目に着き鼻に突き、ファンの心は選手会側に動いたのではないでしょうか。

 一方の選手会にも、私は小さくない問題があったと思います。
 何しろ初動が遅すぎました。
 交渉テーブルに着くまでに時間がかかり過ぎ、それが球団側の独走を許し、ひいてはストライキに突入する遠因となったことは否めません。せめてもう半月早く動いていれば……。
 団交が始まってからの交渉の甘さにも、隨分やきもきさせられました。もちろん彼らはプロ野球選手であってネゴシェイターではないので縦横無尽な交渉術などというものを期待してはいませんが、もうちょっと交渉に長けた人間を選手会で雇用するなり起用するなりしてほしいと思ったことが一再ではありませんでした。
 昨日球団側から出された「試算」についても、報道に乗った部分だけでも“数字のマジック”が隨所に使われていたことが私にですら読み取れるようなものでした。球団を合併して設備も人員も半分になって、それで赤字が最低半分(=1球団分)にならなくてどうするのよ。ちなみにまともに考えると観客動員も半減するので(笑)、赤字率はそれだけでは殆ど変化しないでしょうよ。球団合併+交流戦で黒字になるならともかく、赤字幅が圧縮されました、なんてタチの悪い冗談みたいだ。それは球団が存続しても合併しても大差がないと言っているのに等しいのではないでしょうか。
 そう言った点をあっさりとその場で見拔くくらいの人材が、交渉にはどうしても必要なんですよ。
 今回の交渉を経て、選手会も変質していかなければならないと思います。


2004年9月18日(土曜日)
 avexがCCCDの採用について、これまでの完全CCCD化から弾力運用へと態度を変化させたのに続き、SONY MusicもレーベルゲートCDを廃止する方向で検討に入ったと報道されました。
 日本で最初のCCCDが発売されたのが2002年3月でした。
 この日記で一貫して私はこれらの銀の円盤について、末端音楽利用者の利便性を著しく損ない顧客満足度を下げるものであり、原盤権者自身の首を絞めるものだと訴えてきました。
 結局彼らを翻意させたものは、iTunes/iPodに代表される、ユーザの利便性を充分に考えた新しいネットワーク連携蓄積型のオーディオ機器の普及だったようです。
 普通に考えりゃ当たり前の話です。値段が廉く利便性が高く、その上スタイリッシュ(笑)とあっては、顧客満足度で勝負になりません。しかもアイデア自体は別にAppleの創案したものでもなく、チャンスは等しく音楽業界の前にも転がっていました。そこにオツムが回らなかった辺りが、日本の音楽業界の病巣といえるのではないでしょうか。
 連中が考え方を根本的に改めたとは思いませんが、なんとかこのまま音楽を聴く人達の利便が拡大する方向に進んで欲しいものです。

2004年9月19日(日曜日)
 予備校時代からの友人の結婚式の日。西の地での話なので、祝電だけ。

 ミツルんが「引っ越し屋の梱包資材を不足させた男」という新たな称号を得たらしい。先年帰京の折り「引っ越し屋の握力を崩壊させた男」という称号を得ているミツルんであるからして、今頃の開梱作業で「引っ越し屋に音を上げさせた漢」に昇格しているかも知れず。

 先日発表になった新PSXのDESR-7500にちょっと気が惹かれていたり。初代機で不満だった箇所が隨分解消されていて、物欲がチクチクと刺戟されるなぁ。
 発売後に日経エレクトロニクスあたりで分解記事が出るだろうから、それを見て中の構造が美しかったら、本格的に考えよう。初代PSXは購買意欲が失せるほど中の構造が美しくなかったから。

 コミッショナー辞めて、“消費者機構日本”の会長になるんですか>根來さん
 あなたにとってプロ野球コミッショナーとは何だったのですか?
 プロ野球のない日曜日は、寂し過ぎます。


2004年9月20日(月曜日)
 野球が観れるこの喜びを、忘れてはいけないんだと思う。

 「ハードディスクレコーダーからのコメントスパム攻撃」って、わお。
 東芝のHDD/DVDビデオレコーダRD-XS40は設定によってanonymous proxy化してしまうようです。(RD-XS40自体が何かしているわけではない)
 しかしこれって、小説のネタにもならん話だなぁ(笑)。東芝としては、早急に対策を取った方が良いでしょうね。
 去年だったか、WindowsNTサーバを搭載したXEROXのコピー・プリンタ複合機がNachiに感染してネットワークをダウンさせたなんて話があって、メーカーも大変だなと思っていたものですが、今後のユビキタス社会とやらはなかなか大変な時代のようです。

 avexSMEのCCCDからの撤退に絡んであれこれ考えたり調べたりしていて、ちょっと奇妙な数字を見つけまして頭を悩ませることに。
 去年のavexの経営指標グラフなのですが、売上高は2001年をピークに減少傾向にあり、このことが2002年3月のCCCD導入へとavexを誘導したと考えられます。要するに「売上の減少は違法コピーのせいであり、違法コピー対策としてCCCDを導入することにより、売上の減少を食い止めることができる」という説明になります。しかし実際には2003年の売上高も同様に減少しており、一見して効果を認めることができません。2004年の数字はこちらで参照できますが、73,896百万円となっていて、これまで以上に減少しています。この間、avexはすべてのタイトルをCCCD化しているので、CCCDが売上対策になっていないことは間違いないと思われます。
 ではCCCDにはどういう意味があったのかとなるのですが、その点は先日のプレスリリースで「違法コピー/ファイル交換への対策」「著作権利用者への著作権の啓蒙」であったと述べられています。そして両者とも一定の効果があったとされています。
 であるとすると、「CCCDは違法コピー/ファイル交換対策には一定の効果があったが売上減少には効果がなかった」ことになり、「売上の減少と違法コピーの間の因果関係は薄い」という結論が導かれることになります。
 一方でCCCDにまつわる問題については、avexではありませんが「いわゆる「コピーコントロールCD」に関する質問主意書に対する答弁書」が大勢の見解と見て良いのでしょうかね。何の回答にもなってないような気がしますが。少なくとも消費者利益を守ることは国の仕事ではないと考えられているようです。avexにしても「一定の成果をあげることができた」と言っているくらいなので、大同小異でしょう。もっともavexの場合「一定の成果」の中には自身の売上減少も含まれるのですから、ハンガーストライキみたいなものなのでしょうけど。
 avexに話を戻すと、avexの各種指標の中で際立って目についたのが、営業利益率、経常利益率の急激な低下です。営業利益率は2001年の14.9%から2002年には11.9%に低下、2003年には8.8%にまで低下しています。2004年には4.7%にまで落ち込んでいます。これはちょっと尋常な状態ではありません。しかもこんな状態で従業員数は増え続けている! 販促費も管理費もそれ程変化してないのに?? ちょっと待て、どうなってるんだ?!
 事業拡大に伴い人員を増やしたというなら分かるんですが、事業規模が拡大どころか縮小しているのに人員だけ増えてるって、そりゃ経営になんか問題あるんじゃないか?
 こういった数字からは「経営の失敗の責任を違法コピー問題にすり替えてCCCDを導入した」ように見えます。違いますかね?


2004年9月21日(火曜日)
 ドイツで話題の映画「Der Untergang」ですが、国内配給はGAGAだそうで。公開が待ち遠しいなぁ。
 ドイツでは未だに刑法や反ナチ法などによって、ナチス・ドイツ時代の中立的検証ができないままです。もちろんナチを賞揚するつもりは毛頭ありませんが、ナチが憎けりゃ用語まで憎いとばかりに、ナチ用品、衣装、旗、音楽、果ては「SS」などの略称に至るまで規制するというのは、いささか常軌を逸しているように見えます。
 本来すべきことは、ナチを叩き潰して穴を掘って埋めて蓋をして“悪は滅んだ”と曰うことではなく、暗闇に向けて目を凝らし自らをも飲み込まんとする怪物と対峙することなのです。
 もっとも、それが為し難いことであるからこそ、それができる人間を「歴史家」と呼ぶわけですが……。

 栃木兄弟殺害事件で、栃木の児童相談所が犯罪を未然に防げたのではないか、との非難に晒されていましたが、今日、正式に栃木県児童家庭課長が「県南児童相談所の対応に問題があった」と認めたそうです。
 報道によれば、情報共有のための書類整備の不備、訪問による生活実態調査の不履行などが問題になっているようです。
 もちろんそれらが行われていれば事件が未然に防げた可能性は高いのですが、ではなぜそれらが行われなかったのかを類推する時、「対応策」として取られた処置が浮かび上がります。今回の事件の反省から、栃木県は児童相談所の児童福祉司を二名増員するとしています。これはつまり、人員不足が原因の一端を占めていることを暗示しています。
 実は今年1月に発覚した大阪岸和田の中3男子虐待事件以降、児童相談所への通報が増加、これに伴い児童相談所の仕事が激増しており、人員の不足が各地で深刻化しているという事情が背景にあります。ついでに栃木県の児童福祉司数が不足気味であったことは、別報で報じられていました。
 これらの情報を総合するに、もちろん直接的な原因は個々の書類不備だの連絡不行き届きだの確認ミスだのではあるでしょうが、仕事量に対する人員不足という問題があったのではないか、と考えずにはいられません。こういった組織の編成段階におけるミスが、後々、末端において回復不能な事件の引鉄を引いている場合、責任はもっと上部でも取られないといけないでしょう。

 プロ野球労使交渉再開は明日からですが、あちこちで動きがありますね。
 スポーツビジネスという視点から球界を眺めると、必要とされているのは「不公平の是正」なんです。野球に限らずスポーツビジネスは試合の興業を売り物にしている以上、本来的に一チームでは興業ができません。対戦相手が必要なわけですよ。魅力あるチーム作りと同時に、魅力ある対戦相手が必要なのです。
 この辺履き違えると、どこぞの金満球団のように綺羅星の如くスター選手をかき集め1強5弱体制を築かんとするわけですが、これは結果的に試合ならびにシーズン、リーグの魅力を損ない、中長期的には野球の人気を減衰させることになります。
 「魅力ある試合」をできるだけ数多く提供するためには、リーグ内の戦力をある程度拮抗させねばならず、「魅力あるシーズン」を演出するためにはできるだけ多くのチームが最後まで優勝争いに参加できる体制が求められます。ここに至って、単純に「勝てば良い」という単球団視点とは違ったリーグ全体、あるいはプロ野球界全体の演出を考える視点が必要とされるわけです。
 当然、たかが一球団のオーナー風情がこのような大所高所に立った施策を立案できるわけもなく、これらを担う職としてリーグ会長ならびにコミッショナーという職が用意されているわけです。
 セントラル・パシフィック両リーグ会長ならびにコミッショナーは、各球団の戦力均衡を不公平にならないように図り、一方で選手の移籍の自由をある程度保証し(これは労働選択の自由を守るためでもある)、シーズンをできるだけ長く楽しんでもらえるように優勝決定のシステムを考え、さらに長期的にプロ野球あるいは野球全体の人気を維持し、より高めるための施策を考案し実施に移すことが求められます。
 それだけの見識と実効力を持った人間を、その地位に据えること。それが今、球界側に求められていることです。


2004年9月22日(水曜日)
 「34年ぶり、両目に明かりともる 万博公園「太陽の塔」の記事の写真なんですがね……。
 怪獣が目から怪光線を発射してるようにしか見えんっちゅーねん。コラージュで炎に包まれる街でも合成したら完璧。

 私の故郷で月ノ輪熊が出て二人ほど怪我人が出たらしい。 熊自体は毎年のように人里に降りてくるんだけど、今年はやけに熊が多いんだそうだ。うちの両親も山に山菜取りによく行くので、心配だな。
 電話で聞いた所、今年の山は夏の暑さのせいか実りが悪く、それで熊が頻繁に人里に降りてきているらしい。
 そういうわけで県内あちこちで熊が連日出没し、結構な被害が出ている模様。
 互いに不幸にしかなれない関係ってのも、悲しいものね。

 東京都が「青少年の性行動について考える委員会」を開催し、中学生以下の性交渉を禁ずる条例の制定に動くんだそうな。
 うーん。
 なんどかこの日記にも書いてますけどね、日本における性感染症の蔓延は、極めて大きな問題です。先日にも「若い男性16%が性感染症 対策必要と札幌医大教授という報道があり、無症候感染者による感染拡大が懸念されている所です。
 ですが、対策というのは効果的かつ有効的なものを施行しなければならないわけでして、中学生の性交渉を条例で禁止することがこの対策に役立つのかと言われると、どんなものかと思います。どちらかといえば札幌医大の塚本教授が言うように、学校教育の場できちんと教育した上で、中学、高校の健康診断に性感染症の診断を織り込むのが適当なのではないでしょうか。
 そりゃ条例一つ作って“禁止だ!”とやった方が楽ですし金も時間も人手もかからないんですけど、効果もそれなりだろうとしか思えません。児童買春禁止法が児童売買春の防止に対し本質的な抑止効果がないのと一緒で、どうやったってやる奴はやりますし、下手に規制すると地下に潜ってなおさら手が付けられなくなるんですよ。手間と金を惜しんで条例を作るより、地道で時間がかかっても啓蒙と教育こそが、この場合早道ではないかと思います。
 ところで東京都のエイズ対策費なんですが、95年に6億3千万、97年には6億1千万だったそうですが、02年2億3千万、04年は2億2千万と10年で3分の1になってます。カネの規模だけで判断するのは公正ではないとは思うのですが、エイズも性感染症に含まれますので、昨今の性感染症の蔓延には“人災”の側面が強いのではないですかね?


2004年9月23日(木曜日)
 なんかつい先日も休みだった気がしたんだが……。

 NHKクローズアップ現代で「よみがえる動物園 〜北海道・旭山動物園の挑戦〜」という題目で北海道旭川市旭山動物園を採り上げていました。旭山動物園については、今年、恩賜上野動物園の入場者数を越えたことが報道されていて、一体どのような展示を行っているのか興味があったので、非常にためになりました。
 旭山動物園では「行動展示」と呼ばれる、動物の自然な行動を来園者に見せる手法で好評を博しており、そういったアイデアがどこから生まれたのか、どのように実現されたのかが私の注目点でした。
 番組で紹介された小菅正夫園長は、どうやら飼育係上がりの園長らしく、恐らくこれが鍵だと私は思いました。小菅園長の動物に対する熱意、愛情、そしてそれらを伝えたいという意欲、それらが奇跡的なまでに阻害されなかった。また、飼育展示係と名前を変えられた飼育係の方々も、そういう上司の下、動物に注いでいる愛情を、来園者へのサービスに上手く転換していました。
 小菅園長の、動物にとっても楽しい、動物たちの好きな行動を喜んで見て貰えるように、という考え方は、人間の教育にも通じる所がありましたね。
 ただ、その……結局人か、という問題は感じました。できればこれをシステムとして、小菅園長が定年を迎えた後でも継続していけるような体制作りとか、そちらの方も考えてほしいと思いました。

 プロ野球労使交渉は、機構選手会が妥結、今週末に設定されていたストは回避されました。以後の交渉の主役は、現在加盟申請を行っているライブドアならびに楽天へと移ることになります。
 しかし楽天はなんでまたライブドアと同じ仙台を本拠地にして申請したものかね? 私だったら絶対に避けるけど……なにか確執でもあるんだろうか。国内でまだプロ野球球団が置けそうな所といえば、四国が空白地帯ですね。徳島なんかは高校野球の強豪がありますんで、プロ野球球団を新設するなら結構狙い目だと思いますけど。他にも鹿児島なんかも悪くない。どちらも地元経済規模では仙台より見劣りしますがね。
 個人的にはスワローズあたり鹿児島に行ったら面白いかもとか思ってます。だってほら、「つばめ」だし(謎)。在京球団を減らすのはプロ野球にとって必要なことでもあるので、この改革の気運の中、ヤクルト球団は考えても良いんじゃないでしょうかね。
 北陸? 無理だろ、あそこに球団なんて……。


2004年9月24日(金曜日)
 これほど見識というものが感じられないインタビューも珍しいな……。

 あまり詳しくは報道されていないようなのだが、バグダッドで今月16日に米国人2名、英国人1名の計3名がテロ組織に拉致され、20日に米国人ユージン・アームストロング氏の断首殺害映像が公開され、次いで21日米国人ジャック・ヘンスリー氏の殺害声明が流れ、英国人ケネス・ビグリー氏が昨日公開されたビデオで生々しく助命を訴えている。
 そして今月7日に誘拐されたイタリア人女性シモーナ・パリ女史とシモーナ・トレッタ女史の殺害声明が22日に流れた。今の所、真偽は不明。
 苛虐の連鎖、とでも言うのだろうか。
 テロが卑劣な行為と呼ばれるのは、自身が受けた仕打ちをより弱いものに対して転嫁するからである。戦うべき相手に直接は立ち向かわず、テロリストは自分たちより弱いものを標的にする。その上で自分たちはさも戦ってございと言うわけだ。
 米国は様々な力(軍事力を含む)で弱い者を虐げるが、虐げられた者たちはより弱い者に狙いを定める。ではその犠牲者はどうするだろうか? やはり自分たちよりさらに弱い者を苛める。
 これは“イジメの連鎖”に奇妙な相似を見せる。次の日には誰が「弱者」になっているか分からない、無限連鎖だ。
 この連鎖を断切ることこそが、本来の“テロとの戦い”ではなかろうかと漠然と思う。


2004年9月25日(土曜日)
 先月来考えていた著作物の値段とは何か、とちょっと掘り下げてみます。考えがきちんと纏まっていない所もありますので、乱文失礼で。直接の発端はてつまよしとうさんに「最近のライトノベルに、一冊500円の価値があると思うか?」と問われたことですが、元々ぼんやりと考えていたことではあります。
 さて、現在店頭で売られている媒体收納著作物、つまり書籍やCDやDVDですが、こう言ったものの値段付けは、著作物の価値を反映していません。これは私自身本の編集に関ったり同人誌を作ったり果てはCD制作に関ったりした経験から断言しますが、著作物商品の価格は、その著作物の価値ではなく、商品媒体の製造販売コストを基準に決定されます。著作者は、その製造販売コストから、定額を著作権料(印税)として受け取る、という形態が定着してます。
 この価格決定体系は、果たして適当といえるのでしょうか。
 かつて、商品媒体の製造、流通に巨大な資本の集中が必要であった時代においては、最終商品の価格決定権は著作物取扱業者(出版社や音楽レーベル)が独占していても、さしたる問題はありませんでした。印刷所を建てるにもプレス工場を造るにも、資本の蓄積が必要で、当然それを償却するためには独占的な販売権(頒布権)を認めることが適当であり、それがなされなければ著作物が利用者の手に届きませんでした。著作者、業者、利用者の間の力関係は圧倒的に業者が中心でしたし、それが当然と認められていたからです。
 また、著作物を媒体と切り離して流通させることができないことが、媒体を統制する者の主導権を確実なものとしていたのでしょう。その上で、商品媒体を製造して販売する側から見れば、本の中身が小説であろうと乱数表であろうと、CDの中身が歌であろうと空電の録音であろうと、製造販売にかかる手間は大して変わりません。彼らにしてみれば、内容の価値判断は価格設定に必要はなかったのです。
 しかし現在は、コンピュータ・ネットワークの整備によって、媒体を持たないナマの著作物に接することができるようになりました。利用者側の価値判断において「著作物の価値」と「媒体の価値」を区別して比較することができるのです。
 かくして市場において著作者と利用者の間の直接的取引関係の構築が可能になった現在、これまで価格決定権を独占していた著作物業者は、変革を余儀なくされています。つまり、彼ら自身の商品価値を市場において利用者に問わねばならなくなったのです。
 著作物取扱業者自身の価値というのはどこにあるのでしょうか。例えば「ネットで無料公開の『9.11委員会報告書』、書籍版もベストセラーのようなものが分かりやすいでしょうか。公にwebサイトで無料で公開されている報告書(公文書なので著作権はない)を編集印刷製本しただけですが、にもかかわらず$10の価値がでています。内容物とは違った価値が、書籍という媒体に存在すると考えられているわけですね。
 書籍やCDやDVDの価格の決定には、固定費や変動費といった、ある意味非常に分かりやすい数字的な要素が絡みますが、では内容物である著作物の価格はどのように決定されるのでしょうか。通常のアニメーションのように、スタジオを持って制作を行えば、前述のような固定費・変動費他に基づく計算ができるでしょう。しかしミュージシャンが作詞したり作曲したりという行為は原価が計算できませんし、小説家にしても明確な必要経費が存在するわけでもありません。なぜならこれらは芸術的行為であり、商業的行為ではないからです。
 芸術の値段とはどう決まるのか? 一品物の絵画や美術品などの価格は、多くは競売会で付けられる瞬間的な「時価」しか存在しません。国立美術館のロダンの像に値札は付いていないのです。となれば、やはり小説や音楽といった芸術についても、明確な定価は存在せず、売り手・買い手の合意に基づく「時価」だけが価格となるのではないか、と考えられます。
 例えば、言葉は悪いのですが、30年前の流行小説で今では誰も読まなくなった作品や、20年前の流行歌で今いま誰も聞かなくなった歌は、「時価」ゼロという言い方ができるでしょう。逆に、200年前の作品でも、現代でも読み継がれ、歌い継がれる作品には現在以って相応の時価が設定される、と。
 問題はこの「価格決定システム」が現在は存在しないことですかね。
 価格決定システムがあれば、例えば書籍の場合、ページ数や部数といった変動費や出版社の固定費から算出される媒体価格に、著作物の価格を上乗せして定価を構成する、といった形に移行できるのではないかと考えるのですが、うーん、かなり甘いかな。

2004年9月26日(日曜日)
 「球界再編:根来コミッショナー 辞任前に球界批判って、ねえ……。
 球界への批判はある意味妥当だとは思うが、根來氏はその批判の内容を改善できる立場にいた人間なのだから、口で吠えるより行動で示すべきだった。故に彼の批判はいかに妥当であろうとも聞き入れられない。

 MLBの方でイチロー選手がシーズン最多安打記録を作りそうだと話題になってますが……いや、その前にマリナーズの成績をどうにかしろよと。アメリカンリーグ西地区で首位と29ゲーム差のぶっちぎりの最下位で、リードオフマンが一人気を吐いてるって状態なんですけど。
 野球は9人(アメリカンリーグはDH制だから10人だけどな)でやるものです。一人成績がいい打者がいたからといって勝てるものではありません。もちろん、1番から8番までスラッガーを並べても優勝できるわけでもありません。
 25日終了時点のイチローの打撃成績を見ると、確かにH安打)250ってのは傑出しているのですが、それに対してホームを踏んだ回数、すなわちR得点)は98で、多い方ではありますが突出して多いわけではありません。アメリカンリーグでは30位タイということになります。ということは当然のようにLOB残塁)が多いという推測が成り立ちます。
 こういう計算をしてみました。塁上に留まるのは、概ね H + BB四球) + HBP死球) - HR本塁打)の場合です(HRは自力で本塁に生還してしまうため)。細かく言うとE失策)による出塁を加えないといけないのですが、記録がないので省略(^^;
 これに対してのR - HRの比率が他力生還率とでも言うべき数字になります。
 R=98、H=250、BB=47、HBP=3、HR=8ですので、(R - HR) / (H + BB + HBP -HR)=0.308、イチローが塁に出た場合、31%程度の確率でしか本塁生還しないということになります。
 これがヤンキースのトップバッター、デレク・ジータの場合、約39%の生還率になっています。ジータの打率は.290ですが、Rは107でイチローより多いんですね。(ちなみにヤンキースにはRが100以上の選手が5人おります)
 野球は、ホームラン以外の場合、打ったバッターと得点するランナーが違います。そのため、どれほど塁を埋めていても打者が打たねばランナーは生還できず、逆にランナーがいなければホームランを打つ以外で得点することはできません。
 イチローの凄さについて文句はないのですが、マリナーズというチームはイチローを活かしきれていません。「宝の持ち腐れ」という言葉が浮かび上がってきます。来季、どのような補強をするのかは分かりませんが、一歩間違うと「放出した方がマシ」という結論が出そうで恐いですよ。


2004年9月27日(月曜日)
 「Saddam to Declare Candidacy for Iraqi Elections(サダム・フセイン氏、来年のイラク総選挙へ出馬表明)だって。サダム・フセイン氏の弁護士ジョバンニ・ディ・スティファノ氏によれば、サダム氏の立候補を妨げる法律は現在のイラクには存在しないのだそうで……。
 冗句だとしたらよくできてるし、真実だとしたら笑うしかないな。
 なにしろ「解放」前のイラクにおいては、100%の得票率で大統領に信任されていた氏であるからして、当選する可能性は小さくない。なにしろ実績は折り紙つきだ。彼の統治下末期において、確かに経済封鎖などで困窮していたことは確かだが、少なくとも治安は保たれていた。多くの市民が「あの頃は良かった」と思っていること請け合いだろ。
 サダム・フセイン元大統領に清き一票を!(笑)

 さて、今日から戸籍法施行規則が改正され、延々法務省で審議されていた人名漢字の拡張が実施に移されました。
 私個人の意見は何度も述べているとおり、戸籍法第50条の廃止です。私には、法制度で人名を統制する必然性を全く感じられないからです。
 最高裁の判例によれば日本人には「通称使用の自由」があるんだそうで、人格権としての氏名決定権は認められているのに戸籍法施行規則で使用文字が制限されることについては、「通称使用でなんとかなるから」と、夫婦別姓議論と同じような見解が出されていたりします。
 そうであるならば、私は戸籍に番号だけでもいいよ
 戸籍に載っている情報が、あくまで人定のための情報であり、それ以上でもそれ以下でもないというなら、人定のために氏名を用いる必然的理由もなく、生まれた順に番号を付け、名前は勝手に名乗るようにすればよろしい。「戸籍記載の氏名」と「通称」などという妙な区分があるからいけないのです。
 メリットは色々あります。夫婦別姓議論をしなくても良くなります。自由な名前を名乗りたいという裁判が一切なくなります。僧籍を取得したり名跡を嗣いだりしたときも、氏名変更を裁判所に届ける必要がありません。電子戸籍における膨大な外字処理が不要になるので、行政事務が簡素化されて、税金の節約にもなるでしょう。
 大体、「通称使用の自由がある」とはいえ、実際に就学、就業において通称使用が認められることは少ないのが現状です。芸能人の芸名や、作家、音楽家の筆名などが比較的広く受容れられていますが、ではごく普通のサラリーマンが、「俺、明日から通称使うわ」とか言って戸籍氏名と違う名前を使うことを会社で認められるでしょうか? 多分無理でしょう。
 諸悪の根源は「人名漢字が制限されている」ことであり、この制限がもたらしている様々な問題を解決するには、原因の除去が妥当であると考えます。
 私は「人名漢字で「矜持」使えず、小学教諭が国家賠償提訴なんて裁判が金輪際起きないような社会になってほしいと思っているのですよ。


2004年9月28日(火曜日)part 1
 VirginグループVirgin Galactic社を設立し、SpaceShipOneの技術を買って、宇宙飛行旅行に乗り出すんだそうです。値段がいくらになるか見当もつきませんが……。
 しかしなぁ……軌道速度がでない飛翔体で宇宙の底まで、っていう「宇宙飛行」のにどのくらいの価値があるもんだろう?
 「それでも俺は行く!」とか言い出しかねない人のリストが脳裡を過ったり過らなかったり。

2004年9月28日(火曜日)part 2
 元西武の石毛さんが、四国に独立リーグを作るとかいうニュースが流れていますね。果たして、いかなる仕儀になりますことやら。
 野球は暫く目が放せそうにありません。

 理研が原子番号113番・仮称「ウンウントリウム」を発見したと発表してますね。まだ未確定なので、今後の確認に期待ですが、なんでも「ジャポニウムと名付けよう」とかいう動きがあるそうな。マジンガーZかよ……。(マジンガーZで出てきたのは「ジャニウム」ですが)
 どうせならニッポニウムにしよーぜー!


2004年9月29日(水曜日)
 朝のNHKニュース「おはよう日本」内の「まちかど情報室」で「工夫を凝らして“本との出会いを”」という番組を放送していたのを目にしました。
 その中で紹介されていたBOOK246の仕入担当氏が、本屋の役割として「思わぬ出会いを演出すること」というようなことを言っていたのが印象に残りました。
 私は今日本屋へ行ってきましたが、目的の本は既に検索済みで、それどころか店頭在庫の確認までして用意周到に出かけました。同じ労力をかければamazonに注文することなど容易いことで、家から一歩も出ずに本は買えますわな。大体、颱風21号が接近してきている最中に、わざわざ電車代払って出かけて行くのは物好き以外の何者でもないですよ。
 でもですね、やはり目的の本だけではなくて、目的の本が並んでいるコーナーに、他にどんな本が並んでいるだろうかと、そこにはもしかしたら私の知らない本がひっそりと埋もれているかもしれないと思うと、やはり書店まで足を運びたくなってしまうのです。結局それで予定外の本を買い込んできてしまったりして、散財する訳なんですが……。今日もそうやって以前読んでなかなか興味深かった歴史学者さんの新刊を見つけて買っちゃったし(^^;
 この点、esブックスbk1、amazonなどは超大型書店に比べると一歩劣る気がします。
 amazonの場合、本を選ぶと、“この本を読んでいる人は他にこんな本も読んでいます”とリストアップされますが、困ったことに「それ全部読んでるよ」とかいう場合も案外あったりして、やはりイマイチ感が拭えないところがあるんですよね。それに、人文系の専門書だと扱ってない本も結構あるし。
 神保町に比較的近いところに住んでるもので、仕事で資料が必要になった時も、「とりあえず八木書店と一誠堂と小宮山書店寄って、最後に山陽堂書店でも覗いてくっか」とか、大体どこへ行けばいいか分かるってのも、私の場合大きいかも。

 ところで、どうでもいいことなんですが、神保町の小さな専門古書店、たとえば文華堂とかを案内するとよく知ってるものだと感心されることが多いんですが、同じ案内でもこれがアキバの小さな専門パーツショップ、たとえばネオテックなんかだと呆れられたり変人扱いされることが多いってのは、どういうことなんでしょうかね。
 なんとなく差別的扱いを受けてる気がするんですよ、主に私が。


2004年9月30日(木曜日)
 津和野ユビキタス観光ガイド、ねぇ……。どういう経緯で決まったものやら。

 IBM米ローレンスリバモア研究所に納入すべく開発を続けているスーパーコンピュータ・Blue Gene/Lが、とうとう地球シミュレータをLINPACKベンチマークで凌駕し、非公式記録ながら計算速度世界一の座に踊り出ました。
 記録は36.01テラflops。地球シミュレータが35.860テラflopsですので、これが11月のTOP500の更新で公式に認められれば、Blue Gene/Lが首位となり、地球シミュレータの2年に及ぶ覇業は途絶えることとなります。
 現在1万6,000プロセッサ構成のBlue Gene/Lは、最終的に13万1,072プロセッサで360テラflopsの性能を出す予定だそーです。

 SMEからレーベルゲートCDの廃止が正式にアナウンスされました。
 ところでこのプレスリリースからは、レーベルゲートCDの運用を今後どうするのかは読み取れないのですが、大丈夫なんでしょうか。レーベルゲートCDは、単なるプロテクトだけではなくて、専用ソフトウェアを使ったパソコンへのダウンロード制御機構を備えていて、オンライン認証機構を用いてダウンロード販売やら何やらを行っていました。
 この認証を司る「レーベルゲートCDサーバ」は、変な言い方ですが、レーベルゲートCDが存在する限り稼動していないと利用者が困ることになるので、SMEがどのような対処をするのか聞いてみたいものです。
 往くも泥沼、戻るも叶わず……という底無し沼に飛び込んだのはSMEの自己責任ですが、最後に泥被るのは利用者なんだよな、こういう問題っていつもいつも。