哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」

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西紀2020年2月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。


2020年2月1日(土曜日)

本日午前8時(日本時間)に、英国のEU離脱が発効したらしい。

これから12月迄が移行期間となり、英欧間の貿易協定締結に向けた協議が行われ、新貿易協定が発効したら、EUと英国の間に税関が復活することになります。

とは言え、北アイルランドは地続きのアイルランドとの間での自由な通行を維持するため貿易特区のような扱いになって、むしろ英国本体との間に距離が生まれてしまいます。また残留派が多数だったスコットランドでは再度独立の機運が高まっています。

12月までの移行期間の間に十全な貿易協定が結ばれなければ、欧州の自動車産業など英国を含んだサプライチェーンを構築していた業種にとっては小さくない痛手となることでしょう。

これは終わりではなく、始まりなのですな。


2020年2月2日(日曜日)

新装成った調布駅で降りる用事があったわけですが、あの京王線の橋本行きと八王子行きが複雑に平面交差していた面影は既になく、地下二層式になったプラットホームは大変わかり易くなってました。

京王線ってホームドアをまだ整備中らしく、調布はあったけど途中の駅駅はなかったりと、まだ途上感があり。ホームドアに慣れちゃうと、やはり素通しのホームは怖く感じますね。昔はそれで当たり前だったんですけども。


2020年2月3日(月曜日)

なんか首が回しにくいなぁとか思ったら、右顎下部にちょっと違和感。熱はないけど、要注意かなぁ。

ここんとこ出歩くときにマスクはしてたけど基本的に気休めだものねえ。


2020年2月4日(火曜日)

JR東がQRコード乗車券を導入する計画を発表してから色々議論が続いているのを見ていたのですが、既に導入されている九州での経験から視覚障害者に優しくない、との意見を見た。

なるほどね。磁気乗車券は読取り側が両面に読取り機を持っているし、RFIDはそもそも表裏が関係ない。個人的には、QR乗車券はネットワークが活きていることが前提になる方が辛いかな、と思っていたので、新しい視点だった。

工夫するならば両面印刷で発券ってことになるだろうけど、読取り装置との位置関係が光学的に限定的なのは工夫が厳しいかも知れない。(NFCほどアバウトじゃないし、磁気切符のように吸い込んでもくれない)

この上さらにネットワーク断絶状態では使えないとなるとなぁ……。メリットは分かるんだけど、都心のような規模で導入するのは躊躇いが出るかも。

磁気切符もRFIDもその媒体自体にデータを書き込めるので、実はネットワーク断絶状態でも出入場が出来るんですよね。というかSuicaやPasmoといった交通系カードは自動改札機がスタンドアローン状態でも稼働するようシステムが設計されています。それに対してQRを使うシステムの場合どうしてもサーバ側で出入場を管理するので、ネットワークが断絶すると記録が確認できなくなるんですよねぇ。次世代通信網がどの程度の信頼性を持つかにもかかってきますが……。


2020年2月5日(水曜日)

米澤穂信の〈小市民〉シリーズの新刊が出ていたことに今さらながら気づいてkindleで購入。

なんでタイトルが「冬季限定~」じゃないんだろう?って思ってたら、短編集だったのね。

それにしても11年振りだったとは……。


2020年2月6日(木曜日)

昨日から渺々と風が吹いて気温が急降下。

立春は過ぎたんだけどねぇ。

しかし雨の気配はなく雪は降らない様子なれども、東京は初氷を観測。

観測史上最も遅い初氷だったとか。


2020年2月7日(金曜日)

大方の専門家から無理筋だろと思われていたコインハイブ事件ですが、なんと高裁で逆転有罪判決。被告は上告すると。

個人的には一審の事件当時、プログラムコードが社会的に許容されていなかったと断定することはできずという方が適切だと思いますが……。

というのも、技術的にはWebのポップアップ広告や自動再生スクリプトと同様なので、これらが軒並み違法とされかねないからです。事後に登場時未知の技術の社会的許容性を判じ得るというのは、技術開発を萎縮させると思いますし、判断の「不正性」については疑問もあります。

が、これ、最高裁でひっくり返せますかね……。


2020年2月8日(土曜日)

新型コロナウイルス性肺炎で湧いている世間では、例年の季節性インフルエンザが低調とか

なんだかんだで毎年推計1万人くらい亡くなっている病気なので、これが低調なのは歓迎すべきことでしょう。

できれば毎年、今年のような防備が取れれば、このくらいには抑えられるという話でもあり……。ワクチン接種、手洗い、うがいの励行など、今後も続けたいとことです。

ところで米国では逆にインフルエンザが大流行しているということで、こちらはコロナウィルスよりも手をつけるべきことがあるだろう的な……。


2020年2月9日(日曜日)

ものもらい再び。前回の目薬がまだ残っていたからとりあえず点眼してみる。


2020年2月10日(月曜日)

NNNドキュメントで放送された「カネのない宇宙人 信州 閉鎖危機に揺れる天文台」は本当になんというか、この国の科学研究の未来はお先真っ暗といった感じの内容だった。

野辺山天文台が減り続ける予算の中、人員を削減し、食堂を閉鎖し、ついには本館すらも閉鎖して、それでもなんとか観測だけは続けようと四苦八苦する様子が赤裸々に描き出されていました。

恐ろしいことに、これ短縮版らしいんですよね。

元々テレビ信州で50分枠で放送されたものをNNNドキュメントに合わせて24分に再編集したものらしいので、フルサイズ版はこの倍のボリュームでこの問題を追いかけたわけで、見るのも辛いだろうな……。

やはり財政出動をしてでも教育や学術研究の充実を図るのが正解だよなぁ。


2020年2月11日(火曜日)

先月、中国はWHOへの台湾のオブザーバ参加を妨害していると書きましたが、この非常時にいよいよWHOも中国の言いなりになってばかりはいられなくなったようで、台湾を「台北」名義で参加させることになった模様

とりあえず一歩前進ですかね。

ただ、本質的には、伝染病と戦ってる最中に面子なんか持ち込むなという話であり、台湾の伝染病対策に責任が持てないんならせめて邪魔をするなという話であり。

政治が通用するのは人間の話で、病原体には関係のない話でして、そうやって権力を振り回している間にも事態が進行してしまうのだ、というのが今回の反省です。

自由な情報伝達、意見の発露ができない社会は、このような自然災害リスクを強く内包するのだと、強く訴えたいところですね。つまり、中国のような情報統制社会はリスクなのですよ。そしてそのようなリスクを抱えた国が、日本の周囲には多過ぎるのです……。


2020年2月12日(水曜日)

これまで特に名前のなかった新型コロナウイルスによる肺炎等の病気に、WHOによって「COVID-19」と名前がついた由。また、同時に国際ウイルス分類委員会によってこれまで仮称「2019-nCoV」とされてきたウィルスには「SARS-CoV-2 (Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2)」という正式名称が与えられたそうな。

日本では「新型肺炎」と素っ気なく呼ばれていましたが、外国のメディアではWuhan diseaseだとかWuhan Pneumoniaだとか武漢の名を冠して呼ばれていましたな。

病気の名前に下手に地名を付けると、その地域特有の病気だという誤解が生まれたり、果ては出身地差別に繫がったりと碌なことがないので、このような名前が付けられたことは良しとすべきことでしょう。

ただ、臨床例の増加と研究の進展によって色々分かってきたことも多く、このウィルスが大変厄介な性質を持っていることも明らかになりつつあります。完全な封じ込めは難しいかも知れません。

対抗薬の開発も進んでいるので、最終的にはそちらに期待するのが有力なのかも知れません。


2020年2月13日(木曜日)

JAXAが次期主力ロケットとして開発しているH3、その第一段ロケットエンジンになるLE-9のクラスタ噴射試験が成功したとかいうニュース

世界最大のエキスパンダー・ブリードサイクルエンジンで、元々大型化には難があるとされる方式だけに、本当に15tもの推力が出るエンジンが作れるのか不安なところもあったわけですが……順調そうなのは良いことです。


2020年2月14日(金曜日)

「全編ワンカット映画」として話題の「1917」を観てきました。

アカデミー賞の撮影賞、録音賞、視覚効果賞を獲ったというだけあって、その撮影技術はまさに圧巻、驚きの一言です。

よく言われることですが、舞台と映画・テレビの違いは“カット”の存在です。一度幕が上がれば終劇まで走り切らなければいけない舞台とは違い、“撮影”というプロセスの入る映画やテレビではシーンごと、カットごとに撮影して後で繋ぎ合わせる、さらには不要な部分を切り捨てるといった編集作業を行うことができます。

かつてはフィルム長の物理的制約から撮影可能時間に限界があり、映画というものは1分程度を上限とするカットで構成されるのが常でしたが、そういった限界がなくなった現代では、長回しという技術が比較的採用されやすい技術的環境にあります。しかし長回しによる撮影は当然ながら途中でミスったらもう一度最初からになりますし、役者、撮影クルーにとっても負担の大きいものです。近年ですと「サウルの息子」などが有名でしょうか。

さてこの「1917」も前評判通り長回しを多用しカットの繋ぎ目を可能な限り誤魔化し、ほぼ全編ワンカットのように見せています。(実際には主人公が気絶している時間などがあるためいくつかの幕に分かれていますが)

とにかく長回しによる映像世界への没入感は素晴らしく、あってなきが如き筋書きなど気にならなりません。

きっとこの作品のメイキングはとても面白いに違いないと確信させられる映画でした。


2020年2月15日(土曜日)

なんとかギリギリ感染経路をトレースできていた国内のCOVID-19ですが、とうとう感染経路不明の市中感染者が出てしまいましたなー。ただ、その経緯は少々アレなんですが……。

市中感染は起きていない、という前提で検査対象を絞らずに、もっと早くに検査をしていればと悔やまれるところです。もっとも、検査体制にも限度があるので、無闇矢鱈と検査範囲を広げることが難しいのも理解はしているのですが。


2020年2月16日(日曜日)

時事の「【地球コラム】22歳の元日本人女性軍曹が兵役後に考えたこと」が面白かった。

イスラエルは女性にも兵役がある世界でも珍しい国ですが(他にはスウェーデンがある)、日本では生の声が聞けることは少ないですからね。

近代国民国家における兵役は、国の主権者たる国民が国防の義務を負うというものですから、前近代国家における統治者による強制とかいうものとは意味合いが異なります。なにせ国民に兵役を科す国家の主人はその国民なのですからして。

軍は国家における最大の暴力装置であり、国の意思を強制する機構ですから、これを等しく国民が担うことの意義は(日本では余り語られませんが)欧米ではちょくちょく話題となります。国民国家の軍隊は国民によって平等に負担されるべき、という意見ですね。

先出のスウェーデンやスイス、オーストリアといった中立政策を旨とする国ではいざという時に他国の支援が期待できないこともあり、徴兵制が国民投票の結果維持されたり復活したりしています。また、志願制となって“プロの軍人”化が進むことによる社会と軍の乖離が取り沙汰されることも見受けられます。

勿論それは良いことばかりではなくて、特に経済・社会面に与える影響は大きく、2~3年の間、学業や就労を中断してキャリアを途絶えさせることの不利益はよく知られており、韓国のように富裕層の兵役逃れが社会問題化することもあります。

日本ではどうも兵役とか言うと戦前の赤紙による召集令状が想起されるせいか、否定的な側面ばかりが取り上げられ、機構としての徴兵制をきちんと勉強して発言する人すら少ないのが残念なところです。


2020年2月17日(月曜日)

横浜港のダイヤモンド・プリンセスから米国人乗客が米国がチャーターした旅客機で帰国、と。ただしうち14名が既に陽性反応だったとか。陽性でなかった人も米国でさらに14日間検疫されるらしいので、本当にこの時点での脱出が良かったのかどうか。

中には船内に留まった人もいるそうですが、どちらが正解とも言えないところです。

今のところ検出も余り精度が高くないのかウィンドウ・ピリオドが思いの外長いのか、一度は陰性とされた人が後で陽性に変わるケースも見受けられるので、なかなか上手く体制が作れないですよね。

未知の病原体との戦いは本当に難しい。


2020年2月18日(火曜日)

ヤマト運輸、いすゞ「エルフEV ウォークスルーバン」モニター稼働開始。神奈川県藤沢市に1台導入」とか。

ヤマト運輸の専用車といえばトヨタのクイックデリバリーが有名ですが、今は製造が終了しているのですよね。

個人的にこのような専用設計車は大好きで、特にクイックデリバリーはこの完全に一般での使用を考えない極端な形態が異彩を放っていたわけですが、その後継として入ったのがストリートスクーターWork L BOXではなぁ……と。いや、クイックデリバリーに比べて乗用車に近く運転し易いんだろうというのは分かるんですけどね……。まあ、あと免許種別の関係で普通免許で転がせる車のサイズが下がってきたというのもあるんでしょうし。(今回のエルフEVは準中型免許だそうですから)

今回のはウォークスルーで荷台との行き来が出来るという、いかにもなところが好印象です。

どうせならEVならではの設計というのも見せてもらいたいところですが、それはまた将来に期待、ってところでしょうかね。


2020年2月19日(水曜日)

乗組員不在の巨大な「幽霊船」がアイルランドに漂着」とかいう話題があって、この21世紀にこんな話もあるんだなぁ、とか。

本来的には船主が責任持って何らかの処分をしないといけないんでしょうけども、費用もかかりますし、その能力がない可能性もあります。そういう時って誰が後始末をしなければならなくなるものか。やはり旗国でしょうか?

海岸に漂着したのは不幸中の幸いと言うべきでしょうか。碌でもない所で沈んで暗礁になったり、あるいはその重量で重要施設を破壊したりせずに済みそうですから。


2020年2月20日(木曜日)

北朝鮮政府のマルウェア7つをアメリカのサイバー司令部が正式公開」とかなんとか。

とりあえずこうやって「指名手配」されたものはまだ楽でいいよなぁ的な。

マルウェアの技術も日進月歩?で、この前の三菱電機の事案ではウイルス対策用管理サーバーが踏み台にされてファイルレスマルウェアを走らされるとか、これどうやって防ぐねんな?みたいな話になってきてますからね。これまでのファイルシグネチャによる検知はほぼ不可能で、ヒューリスティック検知やMicrosoftがやってるような人工知能での学習とか、そっちへ行かないと駄目なのかも知れませんな。

そのうち、サードパーティのアンチウィルスソフトって死滅するかも……。


2020年2月21日(金曜日)

COVID-19が突如韓国でアウトブレイク。日本国内の感染者数を一気に拔き去って行きました。何が起きたのかと思えば、新興宗教団体を舞台に感染爆発を起こしてしまったとか。

日本でも三重県で新興宗教団体が痲疹の温床になった事案が昨年ありましたが、こういう科学・医学と対立するような宗教ってホント困りますよね。もっとも、科学・医学を縦横に駆使して毒ガスや生物兵器を作ろうとした某団体もありましたので、親和性が高ければ良いというわけでもないわけですが。

ともあれ、日本も決して笑っていられる話ではなく、過去に既にやらかした事例があるわけですから、むしろ宗教的行事をも自粛する、教義よりも医学的な指示に従うよう指導するなど対応をお願いしたいところです。


2020年2月22日(土曜日)

一本化されるNHKオンデマンドの利用コースについて、案内のメールが来てた。現在「見逃し見放題パック」「特選見放題パック」の二本立てだった視聴コースが「まるごと見放題パック」に統合される、と。

ただ、NHKオンデマンド、昨今今ひとつラインナップの拡充が遅い感が……。まあ、配信契約が簡単なものは出し尽くしたんだろうなー。特にスポーツ関係番組はまずオンデマンドで配信されません。スポーツの放映権は色々と権利が面倒なので、恐らく配信のための契約が取れないのでしょう。

個人的にはNHKアーカイブスで公開しているような番組は可能な限りNHKオンデマンドでも配信して欲しいのですが。

そういえば3月からは新たにNHKプラスというサービスも始まるのですが、なんかバラバラなんでうまいこと統合することはできなかったものですかね……。


2020年2月23日(日曜日)

令和最初の天皇誕生日。

COVID-19が原因で一般参賀は中止、と。

そういえば即位パレードも災害で延期されてたよなぁ。

なんかツイてない印象。


2020年2月24日(月曜日)

去年の八月に放映されたNHKスペシャル全貌 二・二六事件~最高機密文書で迫る~」ですが、これきっとBS1スペシャルで完全版が放映されるヤツや、と思って感想を書かずにいたのですが、完全版が昨日放映されてた。

NHKスペシャル版より20分延長されて、事件中心人物達の遺族のインタビューなんかが増えていた印象。

基本、「海軍側から見た二・二六事件」ですわな。

陸軍にしろ海軍にしろ、事ならずと決定的になってからの組織防衛の逃げの打ち方が素敵ですね。

責任論に終始して、誰がやったかだけが問われ、どうしてそんなことになったのかについては目が向けられなかったことが、最終的に国家を破綻に追い込んでいったのではないかという気がしてなりません。

当時の大日本帝国には、国を改良していくための制度的余地が少なかったのですよね。特に大正デモクラシーの失敗が祟っていました。政治(帝国議会)に期待が持てなくなった結果があれだったのではないかと思わずにはいられません。


2020年2月25日(火曜日)

韓国に続いてイタリアでCOVID-19のアウトブレイク。詳細は不明ながらもイランでも感染が広がっている模様。

先月末に中国が海外ツアー旅行を禁止した時には、既に遅かったんだろうなぁ。日本国内でのウィルスの分析からも、複数の経路で日本へウィルスが侵入した痕跡が指摘されています。

現代における人やモノの動きの激しさを考えると、潜伏期間が長いという特徴が封じ込めを難しくしていることは想像に難くありません。中国から直接ではなくても、中国や先進国程の体制を整えられない国を一度経由してしまえば、水際防禦は相当難しくなります。そして既にインドやイランといった、網目の粗い国での感染が報告されているのですよねぇ……。


2020年2月26日(水曜日)

IOCが東京五輪の開催是非の判断は五月下旬と言ったとか報じられておりますな。

5月下旬かー。

本家中国や日本では收束に向かっているんじゃないかと思われる時期なわけですが、問題はそれ以外の地域ですな。現在イタリア、イランでアウトブレイクが進行中ですが、米国でも流行不可避と当局が警告しているなど、世界の多くの地域は「これから」だったりします。

当然、日本で收束したからといって海外から人を招けば元の木阿弥になりかねないわけで、五月下旬というのは厳しい線ではないかと思います。


2020年2月27日(木曜日)

安倍首相が突如、来週3月2日から2週間学校を休校にして欲しいと“要請”して大変な騷ぎに。

まず「要請」であって「命令」ではないのは、政府にはそのような命令を出す権限がないのですな。以前も菅元首相が原発の停止を「要請」したことがありましたが、それと同様に何の権限もなく責任も取れないのにやらかした感アリです。

ちなみに、COVID-19の感染拡大防止に効果があることは間違いないです。

しかし、です。

学校閉鎖が始まった帯広で子供が自宅にいるために看護師が出勤できなくなり、外来診療を取りやめた事例が発生したように、共働き、片親世帯が増えた現代において、学校や学童保育の持つ子供を預かる機能が停止すると、結局は労働力が減損されます。回り回って、事態への対処余力を損なうわけで、果たしてこのデメリットがメリットに見合うのか?が心配されるところです。

学校での感染拡大が既に始まっている、広がっている学校・地域では已むを得ませんが、全国一律で行う程の危機的状況では、まだない、と私には感じられます。

別報によると専門家会議の検討を経たものではなく、安倍首相の政治判断ということですので、その得失の天秤を専門家が計った上での判断ではないというところが心配されるところです。

社会機能や経済活動を損なうレベルの対策は副作用が大き過ぎるため、慎重に判断されるべきだと思うのですが。


2020年2月28日(金曜日)

なんだか「トイレットペーパーが不足する」というデマが飛んだらしく、近所のスーパーで棚が空になってた。しかも張り紙がしてあって「デマが原因」と告知までなされていた。それでも買ってく奴がいるんだなぁ……。

東日本大震災の直後にも同様のデマが飛んで品薄になった記憶がありますが、遡ればオイルショックの際にも。

人間って学ばない生き物なのか、はたまたデマというものがそれほどまでに強力な利器なのか。


2020年2月29日(土曜日)

昨日トイレットペーパー等が売り切れてたスーパー、今日行ってみたら特設コーナーにティッシュペーパーの箱のピラミッドが作られ、更に空になった商品棚に次々とトイレットペーパーを補充、そして補充する端から持っていかれるという賽の河原の石積みみたいなことをやってた。

すげーなー……。

ところで、デマをデマだと思っていても、デマに踊らされた他人のせいで自分がその商品を買えなくなるかも知れない、と考えて自己防衛的に商品確保に走る行動を経済学では「取り付け均衡」と呼ぶそうで。また、ミクロの合理的な行動がマクロでは不合理な行動となる「合成の誤謬」でもあるわけで、人間って本当に“そういう生き物”なんだなー、とか思うのである。