哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2007年2月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2007年2月1日(木曜日)
 「Vistaの音声機能で悪質コマンド実行の恐れ」っちゅーのは、笑うべき所なのか深刻に受け止めるべき所なのか、悩むな。ツッコミが難しいボケなのかも知れない。

 先月の魚名の変更だが、本気でやっちゃったらしい。
 学界の言い分を読んでいて、ふと懐かしいフレーズが頭を過った。
 「影響は充分に小さい」by 坂村健

 「2007年を斬る: 著作権延長論に物申す 驕るな、クリエーター! 著作権保護は「創作から5年」で十分」ですか。松本零士発言に対するキョーレツなまでの平手打ちだねぇ。
 著作権使用料で食える著作者なんて、ほんの一握りの少数派なんですよ。その少数派が大多数の「一般人」に向かって「俺たちは特別だ」と発言しちゃうってのは、戦術的にどう考えてもマイナス。矜恃の高さは認めんでもないけど、結果として多数派を敵に回しちゃったら、待っているのは民主主義の論理ですよ。参考
 保護期間の延長において、過去これほどまでに異論が呈されたことはありません。死後38年から50年に延長された昭和45年当時とは状況があまりにも違います。少数派は少数派としての自意識を持って、目的のために最善の手段を講じるべきであると思います。


2007年2月2日(金曜日)
 「技術試験衛星VIII型(ETS-VIII:きく8号)通信系ミッション機器の異常について」って、ここまできてそりゃないぜセニョール!
 ウチの実証実験どうなるんだろう……。

 森博嗣氏のblogエントリ「【国語】 縦書き」ならびに「【国語】 縦書き2」が話題になっています。
 縦書きが虚構っぽいかどうかはともかく、私個人は、仕事の文章は左横書きで、趣味の文章(同人誌)は縦書きにしています。仕事の文章はとかく英数字が入る比率が多い関係上、横書きが適しています。一方で、同人とはいえ小説では英数字(やカタカナ語)が入る余地が殆どないのですから、それであれば日本語本来の記法である右縦書きを採用するのが自然です。
 というか、私、横組用のフォント持ってないし。
 現在日本で使用されている本文用書体は殆どが縦書きを想定しており、横書きで必ずしも見栄えがしない、というのは組版を考える上では避けて通れない問題です。AXISフォントのように横書き用の書体も存在しますが、数は少ないのが実情です。
 モリサワリュウミンなどは横に組めないわけではないのですが、仮名のピッチ調整が面倒です。さらに欧文混植となるとフォントサイズ調整やらなにやらが始まって、私のようなシロートの手には負えません。
 新聞となると、そもそも新聞用書体は上下に潰れた横長の形になっていますので、これで横組にしたら間延びしてしまいます。新聞を横書きに切り替えるとなると、フォントの開発から始めなければいけないでしょう。
 要するに合理とかそういう話ではなくて、日本語横組みを高レベル&低コストで実現するための環境が未だ整備されていない、ということなのではないかと。


2007年2月3日(土曜日)
 「墨攻」観てきました。
 小説読んだ方が何万倍かマシです。
 やー、よくもあの小説をあそこまで娯楽映画に仕立て上げたものだ。その点については感心するけど、徹底していない点がなんとも。なんかこう戦争の救いようのなさ的なものを滲ませて終劇ですが、小説版では革離は味方に裏切られて死んでしまうわけで、やるならそこまでやれと(おい)。
 つまり半端なんですな、色々と。
 小説の方が、お奨め。

2007年2月4日(日曜日)
 nyから「魔法言語 リリカル☆Lisp」を日記で紹介してくれとの要請があったので載せる。
 彼の魂に安息あれ。

 画伯が「中国を宇宙テロ国家に認定しよう!!」と言っているくらいの中国のアレですが、なんでも話をすり替えようとしたニュースキャスターが居たそうな。既に沢山デブリがあるから新たに作っても構わないとでも言いたいのか、この局は?

 系列局なんだけど、麻生外相のインタビューが凄いね(1:30くらいから)。
 久間防相の発言が適切だとはこれっぽっちも思わない(むしろ職責を蔑ろにした個人的見解の発露は、大臣として不適格の烙印を捺されることを免れんだろう)が、外相は外相で見事な切替えしでマスコミを封殺。他人の失点を自分の得点にしてしまう手腕は素晴らしい。是非とも今後とも名外相として内閣に座して欲しい。
 それはそれとして、久間防相には処分が必要だと思う。個人としての意見と防相としての意見を混同させるなど不見識も甚だしい。

 舌禍といえば先月の柳沢厚労相発言で野党が国会審議を抛擲しているそうですが、「厚労相発言で世論の反応嘆く=「なかなか行動に出ぬ」−小沢民主代表なんだそうで。ミツルんは隨分憤慨してたようだけど、僕の意見は相変わらず「不謹慎だけど必要な視点」って所。
 酒井さんが追跡調査していたので利用させてもらうのですが、私にも、柳沢厚労省が数理的に正確な認識に基づいて発言しているようにしか見えません。この発言から「産む機械」の部分だけを拔き出して批難を繰り返すのは、見識が足りないといわれても仕方ないのではないでしょうか。
 もっと口悪く言えば、そういう短絡的な感情論こそが、人口問題を数十年来不可蝕問題として放置させてきた原因なんじゃないの?
 人口問題は数十年先を見据えた政策立案が必要とされる問題であり、それには統計的・工学的判断が必要であり、感情論を差し挟む余地はありません。その点において柳沢厚労省の認識は全く正しく、批難すべき点が見当たりません。
 人工子宮の研究が未だ動物実験で生存何日とか言っている段階であることを考えれば、人口を増やすには、女性に子供を産んでもらうしかない。その出産可能な女性の人口が将来的に把握できているのであれば、それこそ一人当たりの出産数を増やすしかない。
 機械という言葉は不穏当であったとは思うけど、上記の考え方のどこに問題があるのか、寧ろ僕が問いたい。


2007年2月5日(月曜日)
 中国のデブリばら撒きに松浦さんが怒りの記事を。
 個人的には単なる宇宙開発だけではなくて、実は中国共産党ですら軍の暴走を止められなくなってきているのではないか、という方を危惧していたりする。軍閥の暴走を疑っているのですよ。

 「星界の断章 II」は3月10日発売予定、と。
 予定通り出るなんて思ってない自分がいる。


2007年2月6日(火曜日)
 この日記は世界の面白ニュース解説ではない
 というわけで(どういうわけだ?)新海誠監督の新作「秒速5センチメートル」は3月3日公開、と。
 チケットは入手済み。
 Yahoo!での先行は見れないなー。

 米国の“Computer”が無くなったApple Inc.と、英国のBeatlesの著作権管理団体であるApple Corps Ltd.の間で係争となっていた商標問題は、とうとう米Appleが商標を持ち、英Appleがそこからライセンスを受ける形になったらしい。
 米Appleは事実上音楽会社だもんなー。
 ところで、英国の著作権法では、音楽の著作権は発表後50年であり、Beatlesのデビューが1962年ですので、5年の2012年を皮切りにBeatlesの楽曲が次々と著作権切れとなっていきます。多分今回の妥結の背景には、そういった事情も絡んでいるのではないかな、と思ったり思わなかったり。

 「京産大入試で出題ミス 数学で正答のない設問とかいう記事に首を捻る。
 解が無いなら「解なし」と書けばいいことであって、それが答えだというのが数学の常識ではないの? 全員正解とする、というのは釈然としない処置。
 堂々と「解なし」と解答欄に書いた受験生はいなかったのだろうか?

 「コンピュータ博物館設立の提言」なるものが情報処理学会から出されたそうな。
 本来であれば科学博物館辺りが收集に当たるべき物事なのですが、科博は全体的に自然科学が中心で、工業技術分野の收蔵品が少なめです。とはいえ、新館2Fの展示は素晴らしいものなのですが。
 科学未来館は最先端科学の展示解説が中心で、古物收集は些か筋違いです。やはりこれは「博物館」の仕事であろうかと思います。
 個人的には科博に専門セクションを設けるのが妥当ではないかと思います。
 実現の暁には、コンピュータだけじゃなくて、ニコンのステッパとか、シリコン坩堝とかも飾って欲しいなー。

 日本の博物館で切実に必要とされているのは、工業技術品についての博物收集を行う公立(できれば国立)の博物館だと思っています。
 例えば、日本はこれほどの自動車生産大国なのに、自動車博物館といえば日本自動車博物館トヨタ博物館も私立博物館ですよ。
 他の工業製品については言うに及ばずです。
 私はコンピュータに限らず、あらゆる工業製品についての一大博物館を国が作ることを望んでやみません。「国立産業博物館」のような。
 ……どのくらいの面積/容積が必要なのかは考えたくありませんが。

 「雑記帳 奇抜な外観のホテル移転へ 東京・上野」ですか。
 ばかけんちく探偵団 でも採り上げられている有名な上野のランドマークですが、解体ですか。
 そう聞いても全然惜しいとは思えない辺りが、この建造物の価値を物語っております。


2007年2月7日(水曜日)
 「“穂”にテンあり。──「P903i」に変な漢字」ですか。GT71228ですね。住基文字じゃなかったかなぁ。
 ま、それはともかく、フォントデータにミスがあったのが、レンダラのクセなのか、見極めは比較的簡単ですが、修正は面倒だろうなぁ。

 朝一のニュースで、ブラジルでの代理処罰公判が大きく採り上げられていました。
 事件は1999年静岡県浜松市で当時高校2年生の女子高生が轢き逃げにより死亡したもの。容疑者は日系ブラジル人で、指名手配はされたものの、事件直後に帰国してしまっていました。ICPO経由で国際指名手配をかけたそうですが、ブラジルは憲法で国外への容疑者引き渡しができないらしく、代わりに刑法により代理処罰が認められていることから、この度日本の検察が作成した書類を元に、現地で裁判が行われることになった由。
 その辺の事情はニッケイ新聞の記事サンパウロ新聞の記事を読むと、内国新聞とは違った切り口があって色々面白い。
 この手の国家間での犯人引き渡しは、色々難しい事情を含んでいるんですよね。日本は米国ならびに韓国と個別に犯罪人引渡し条約を結んでいますが、その他の国々については国際的枠組みならびに条約は存在しません。現在は、前記二箇国以外の国とは、事件毎に引渡し交渉をしています。
 大枠での合意がなぜ難しいか言うと、国家によって犯罪の定義が違ったり、罰の軽重に違いがあったりするためです。特に政治犯と死刑問題は引渡しに大きく影響します。
 日本で殺人事件を起こしたイラン人がスエーデンで発見されたものの、死刑存置を理由に引き渡しを拒否されたことがあります。他にも中国の場合などは、刑罰が日本に比べて遙かに重いため、下手に犯罪者を引き渡すとあっという間に公開処刑などということになってしまい、人権上の問題に発展しかねません。かくして引渡しは常に慎重を要される問題になるわけです。
 これを不服として、外国に情報機関を送り込んで「犯人」を拉致してくる連中もいるわけですが(イスラエルのモサドや、かつての韓国)、ここまでやると外交問題ですからね。


2007年2月8日(木曜日)
 昨日の補遺。
 やはり向こうの邦字新聞の方が、記事の切り口が興味深いですね。日系伯人社会にとってのこの事件・裁判の意味というものを、日本側ももう少し斟酌して報道したほうが良いように思います。
 このような国外逃亡犯問題は今後フィリピン、インドネシアなどからの外国人労働者の流入によって増加することが見込まれます。冷静に、そして以後に役立つ形での経験が必要であります。

 「韓国の08年ロケット打ち上げ、日本は経路把握できずとは、北も北なら南も南だ、と呆れるような記事。
 朝鮮半島から軌道ロケットを打ち上げる場合、どうやっても日本の上空を通過します。これは北であろうと南であろうと地形上致し方ありません。問題は、概ね領空とされる高度10万m以下を横切る場合があることと、ロケットに何らかのトラブルが発生し指令破壊、そこまで行かなくても部品脱落などが生じた場合の安全確保です。
 というか、韓国南端から極軌道に乗せようと南に向かって打ち上げたら、補助ブースタを切り離すのは日本上空ってことになりませんかね? 細かく計算したわけじゃなくてざっと距離を目分量で測っただけなんで、太平洋に落とせるのかもしれませんが。
 正直このまま韓国が打ち上げを強行しようとするならば、日本はMDで撃ち落とすことも視野に入れなければいけないと思います。

 毎日新聞の記事によると、司法制度改革によって法科大学院卒者が大幅に増える法曹のうち、特に弁護士に於いて供給が求人を上回ってしまいそうなんだそうな。
 自衛隊を国軍化して法務士官が必要となるまでもう少し時間がありますからねぇ。今のうちに入隊させておくってのも一つのテではあろうかと思いますが……。


2007年2月9日(金曜日)
 毎日新聞「早い話が:星くずのブーメランは凄いコラムです。このコラムを書いた金子秀敏記者は、少なくとも軌道速度を知らないことは間違いありません。弾道ミサイルを迎撃してもデブリは発生しません。弾道ミサイルは一般に軌道速度を出さないからです。軌道速度を持たない破片は、地表に向かって落下します。
 当然ですね。高校物理のレベルです。
 本件に於いては、批難されるべきはどこまで行っても中国の愚行であります。馬鹿も休み休みにすべきでしょう。

 えーと、「日本の捕鯨船乗組員2人が軽傷=環境団体の妨害行動で−南極海っちゅーのは、どういうギャグですか?
 当然このような行為は犯罪であり、逮捕拘禁して法廷に引きずり出してしかるべき措置をとるべきですな。
 断固として。
 で、次回からは調査捕鯨船にキャリバー50積み込んで、近づく“海賊”には発砲しましょう。


2007年2月10日(土曜日)
 三連休の初日とかで、指定席が取れなかったため、自由席確保の行列を作りながら郷里へと移動。
 新幹線は増発かけてるのに、接続する特急がいつも通りじゃ、ボトルネックができるに決まってるだろう……

 HondaJetがいよいよ本格始動だそうで、NHKで報じられていましたね。できれば日本国内に工場と飛行場を作って欲しかったものですが。
 需要も市場も向こうだってのは分かってるんだけど、それでも、Made in Japanと刻んで欲しかった。

2007年2月11日(日曜日)
 今後もちょくちょく実家に戻るんだったら、ノートPCとAir Edgeでも用意したほうがいいのかねぇ。

 「湖北省鶴峰県で交通事故 32人が死傷」という中国からの事故の記事は、一見すると何の変哲もない交通事故のようでいて、記事を見ると吃驚仰天。
 事故は同県太平郷桑鶴路付近で車が横転したものだが、5人乗りのところに運転手を入れて32人が乗っていたという。というのは一体なんですか? 殆ど「10ft×10ft×10ftの空間に、武装した人間前衛三人後衛三人と、グレーターデーモン五匹が対峙している」みたいな状態?
 中国の道交法には過積載という項目はないのだろうか?

 「「卒業証書は西暦表記で」生徒の要望認めるという報道については、特に思うことはない。
 希望に対応するという佐賀県の姿勢は行政サービスとして、問題があるようには思えない。
 ただ、多少気になるのは、グレゴリオ暦表記を望んだということは、恐らくこの希望を出した家族はキリスト者であったものと想像されるわけだが、恐らく同様の寛容の精神を以って他教の暦の使用も認められるものとすると、たとえばヒジュラ暦(イスラム暦)で発行してくれとかいう希望が出たりすると、日付換算が面倒臭い上に、後々卒業証書を確認する人も面倒だろうという点か。ヒジュラ暦第48周期第17年ラビ・ウル・アウリルの1日卒業とか書かれていても困るんだよな。
 中には太陰太陽暦で丁亥二月十三日と書けとか暦号は皇紀でと主張する連中も出てくるかも知れんし、どこか適当な線引きをと考えていくと、面倒なので元号で統一させて下さいというのもそれなりに説得力があると思う。
 法律で決まってるのは皇紀と元号だけってのは既述


2007年2月12日(月曜日)
 実家で何やってるかと言うと、殆ど肉体労働だったり。
 家の改装を想定して、山のように不用品を捨てているわけですが、不用HDDをハンマーで叩いて壊しているのはどうかと。ていうか、HDDって頑丈だなー。猟銃でもあったら射ち壊したい気分になった。

 昨日の中国の事故について竹居さんから情報提供があり、原文記事によると事故ったのは農用車で、農用車とは要するにトラックのことであると。つまり荷台に山と人を積んでいたということのようです。
 それでもちょっと信じがたい積載量なんですけどね。

 宮崎沖で行方不明になっていたまぐろ延縄漁船の乗組員が無事救助された由、それは幸甚。
 しかし、先に見つかっていた漁船の転覆原因が、白い船にぶつけられたってのは穏やかじゃないな。


2007年2月13日(火曜日)
 実家のゴミを営々と運びつづけて筋肉痛。

 「雲南:ペンキ塗って「山を緑化」に非難・失笑・落胆という記事が話題騒然です。原文記事を見るとその凄さが際立ちます。
 凄いです中国。自然保護なんだか自然破壊なんだか分かりません。何やってるんでしょうか。
 明日も頑張って話題を提供して欲しいものです。

 六箇国協議は中国が意地で合意を取りまとめましたなぁ。
 なんかもう、合意することが重要だ、って感じの合意文書に乾杯。


2007年2月14日(水曜日)
 今回の帰省の最大イベント、粗大ゴミの日。
 早朝から弟と二人で、昨夜のうちにガレージに出していた粗大ゴミを次々と集積所へ運び出す。

 実家の生活で、猫にこき使われているワタシがいる。
 今年で御歳20歳となる老猫は、「に゛ゃー」と鳴いて人を使う。
 猫缶を開けろと言って鳴く。ドライフードを寄越せと鳴く。水を飲ませろと鳴く。戸を開けろと鳴く。トイレを掃除しろと鳴く。挙句には座って膝を出せと鳴く(涙)。私猫アレルギーなんだけどなーっ。

 「核施設「臨時中止」で100万トン支援…北朝鮮が報道ですか。
 どこまで本気か存じ上げませんが、いい加減にしとけよ。
 そうやって内国情報と国外情報の格差を大きくしつづけた結果、どんなことが起こるかなんて、歴史上嫌というほど経験してきているんだから、人類社会は。


2007年2月15日(木曜日)
 本日は燃えるごみの日。父と二人で集積所まで燃えるごみを運搬。

 柳沢厚労相の「健全」発言については酒井さん追跡しているのでそちらへお任せしますが、それに絡んでTBSまたやっちゃったらしい。
 何度も言うのもあほらしいが、視聴者が放送内容の真偽を簡単に確かめられる時代になっていることを、もう少し肝に銘ずるべきではなかろうか
 もっとも、それができないからこそ、再発しちゃうんだろうけど。

 地元新聞を読んでいたら、TV番組「発掘あるある大事典」の番組捏造問題に絡んで、「あるある大事典」を本にしたもの(なんだかんだで10冊あるそうな)を閲覧制限とするかどうか富山市立図書館が頭を悩ませていると記事があって、啞然とする。
 アホか。
 記事の後ろの方に県立図書館のマトモなコメントがあったが、図書館が本の内容を理由に閲覧制限を判断することは、図書館の自由に悖る。
 中身が捏造ではいけないというなら、UFO本もミステリーサークル本もネッシー本も全部閲覧制限じゃ。ソ連時代の左翼系の本も捏造だから閲覧制限にしよう。あれが捏造だと知らずに信じてしまう人がでたら大変だ。戦前の文藝報国会時代の文芸作品も軒並み閲覧制限だな。というより文学作品は全て創作だから(以下略)。


2007年2月16日(金曜日)
 今日から確定申告スタート。
 電子申告でも挑戦してみようかと思ったけど、電子証明書の辺りで投げ出してしまう。なんかもう、全国民の十指指紋を登録管理して、指紋リーダで個人認証するとかできんものか。

 昨年強制退去が命じられることとなったイラン人一家のうち、日本国内の短大への進学が決まっていた長女について、在留許可(留学ビザ)が下りるそうな。とりあえずその判断には賛成。ついでに、長女の国内身元引受人を引受人とする次女の在留許可も下せるよう、解釈を進めてほしい。日本生まれの日本育ちで、日本語を母語としている小学生をイランに“送還”するのは、些かならず体裁が悪い。
 日本は今後このような問題に数多く行き当たるはずで、そのことは既に「予定された未来」です。生粋日本国民として、小さからぬ関心を抱いて事の推移を見守りたいと思います。

 防衛省空軍大佐一等空佐が読売新聞の記者に内部情報を漏らしたとして憲兵隊警務隊の捜査を受けた事件が、なぜか国民の知る権利とか報道の自由とかに関係する話題として報道されている。
 だ。
 防衛相の会見にもあるが、報道の自由と機密漏洩の問題は全く別物であって、同列に論じることがそもそも間違いだ。報道側が取材するのは(合法的な範囲内であれば)取材の自由というものだが、同時に自衛官には国家公務員として、また事実上の軍人として、守らねばならない秘密があり、それが疎かになれば国防が脅かされる。そのせいで国が乱れるようなことにでもなれば、報道の自由も知る権利もへったくれもなくなる。
 寧ろ報道側としては国家公務員の守秘義務違反を強く指弾すべきであり、読売新聞社の取材姿勢に疑問を呈するべきではないかと考えるのだが、どうなのだろうか。
 報道を制限すべきだなどとは露ほども考えないが、報道自身が守るべき則を守ることができないと周囲から判断されれば、待っているのは法による規制ではないかと思われる。
 私はそんな世界には住みたくない。


2007年2月17日(土曜日)
 東京に戻ってきて、まず家の掃除をしている自分がいる。

 実家では殆ど猫の世話係。
 実家の老猫は実はもう私より長くあの家で暮らしているもので、完全にヌシ常態。私は下僕扱い。
 主な要求は下記の通り。

  • 餌(缶詰 and ドライ。餌箱の前で鳴く)
  • 水(洗面台に飛び乗って鳴く)
  • 試食(人間が食事を始めるとやってきて少し分けろと鳴く)
  • 外へ行く(戸の前で鳴く)
  • ブラシ(まとわり付いて毛を梳けと鳴く)
  • トイレ掃除(トイレまで人間を誘導して鳴く)
  • 座って膝を差し出せ(父がいない場合のみ。父の座布団まで誘導して鳴く)
  • 撫でろ(炬燵に座ると乗ってきて、喉元を撫でろと鳴く。テレビを観て手が疎かになると咬む)
 猫アレルギーの人間にこれだけやらせるんだから非道い猫だよ。

 玄人志向から玄箱/PROが出るとアナウンスが。OSがフラッシュになったのは良いですなー。カーネルも2.6系だからXFSが使えるだろう。
 難点はSATAってとこくらいか。うちにはまだSATAがないんだよなー。

 「鉄拳6」がPS3互換基板で提供されると聞いて、「NAOMIかよ」と思ったのは一応秘密。

 そう言えばサイバーダイン社のHAL-5ですが、色々商品化が進んでいるようで。
 介護する人にはいいんだろうけど、ウチの場合は、介護される母が上半身が全く健康なので、寧ろ下半身のみモデルとかを自分で着けられるようにした方が良いのではないかなどと思ったり。
 その方向なら、HALよりも松下のREALIVEのようなものの方が向いてるかなー。
 どちらにしろ、あと何年もしない裡に、老人Zの時代は本気で来そうな感じではあるな。


2007年2月18日(日曜日)
 春節。

 色々一週間溜ったあれやこれやを片付けに東京をうろうろ。結構歩いたなー。午前雨だったもんで歩いたんだけど、午後から晴れやがった。
 それにしても……わずか一週間と少し東京を離れていただけなのに、近所で建物が無くなってたり新しく建ってたりするのはどうにかならんものか(^^;

 余談だが、行動範囲が綺麗に某マラソン大会と重ならなかったため、一度も交通規制に遭うことなく終わった。


2007年2月19日(月曜日)
 「F-22は売れません、か。
 致し方ない。F-XはF-15FXで凌いで、次期F-Xは自国開発するしかないね。
 はぁ、また金かかるなぁ。
 でもこれでいい加減分かったろう。本当に必要なものは自分達で作るしかないんだ。

 「ゲーム史上最弱のキャラ」というエントリがあって、「そんなの常識だろ」と思ったら、そうではないと。
 ああ昭和は遠くになりにけり。


2007年2月20日(火曜日)
 「Elderly motorist stunned by switch to right-hand traffic -- in 1967」と聞いて笑う。
 記事中にもありますが、「Dagen H.」として知られるスェーデンでの道路通行の逆転は1967年9月3日に行われており、これは交通が発達した国で最も最近に行われた左右転換の事例の一つで、非常に稀な事例です。他には本土復帰後の沖縄が1978年7月30日に右側通行を左側通行に変更した「730」などの事例があります。
 ともあれ、このような大規模な社会インフラの変更には事前に周到な計画が練られ、長い時間をかけて周知徹底を行い、最後には一定時間道路交通を遮断してまで行われる大事業なのですが、不幸なるかなこの79歳の男性(67年当時は49歳?)の所までは情報が届いていなかったようです。
 Holmsjoeという町から40年間外に出たことがなかったと主張するこの男性、よくもまあこれまで事故を起こさずに済んでいたものです。ていうか、余程車が少ないのか、その町は。

 敢えて記事を無視して考えると、この男性は軽度の痴呆症認知症を発症しているのではないかという疑いがありますね。日本でも時折老人ドライバーが高速道路を逆走したりして事故を起こしていることを思い起こしていただけると良いかと思います。
 認知症は単に記憶力が減退するだけではなくて、空間把握能力なども喪失しますので、左右が分からなくなったりするのです。恐らくこの男性もその類ではなかったのではないかと。
 いくら40年間町から出たことがなかったといっても、道路標識類は全て逆になっていますし、更に言えば国内で販売される車も左ハンドル車になっている筈なので、全く「知らなかった」とは思いにくいのです。

 米国と韓国の間で何やら「So Far From the Bamboo Grove」という本が話題になっているらしい。
 日系米人ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ女史の自伝的小説で、戦後の満洲からの引上げ時の苦難を描いた小説らしいのですが、これが学校の副読本に採用される例が増えており、そのことに反対する運動が起きているそうな。なんでも、本土へと向かう日本人を朝鮮人が襲うシーンがあるのが良くないらしい。
 歴史学徒として言わせて貰えば、それの何が問題なのですか、と。満洲や朝鮮半島から本土へ引上げる日本人を、中国人や朝鮮人が襲ったことは歴史的事実であり、その点は覆しようがありません。日本軍の蛮行を描くのと同じくらいの熱意で韓国人や中国人の凶行を教えることに反対する理由はどこにもありません。ついでですのでナチのホロコーストを語るのと同じくらい米軍/連合軍の無差別爆撃にも言を及ぼすともっと良いでしょう。
 一般論としての戦争の残虐さというものを超えて、“人間は如何なる行為を行い得る存在であるか”は、歴史学徒に於いては論評拔きで受け止めねばならないものであり、目を背けることも、耳を塞ぐことも許されません。以前も書いたのですが、「歴史とは下劣さと残酷さの織り成した一枚の布であって」換言すればゴミ溜めのようなもんです。そんなものを眺め続けてもなお絶望に囚われない強靭な精神の持主を歴史家と言います。
 ですので、年若い少年少女に歴史の汚泥をもろに浴びせかけることが教育上・精神衛生上良いことかどうかについては、議論があろうかと思います。大学史学科で新入生への通過儀礼というならともかく、小中学生くらいには少々刺激が強すぎるのではないかとは感じますな。
 もっとも、私を見れば分かる通り、人は歴史家に生まれるのではなく、学問して歴史家になるものでありますから、全ての子供を歴史家の精神を持つ立派な人間に教育することも不可能ではないのかも知れません。

 「「教育現場を知れ」文科省が若手官僚を学校教員派遣へっちゅーのは、基本的には歓迎すべきことではないかと思います。何らかの成果が生じるまでに20年ほどかかるでしょうけれど。
 どこかの省でもボランティアに行かせるなんてことを始めていたような。
 まー、必ずしも上に立つ人間が全ての業務を知っていなければいけないわけではないのですが、一年でもやってみれば、その仕事の問題点なり改善点なりは見えてくるでしょう。そしてそういった経験が、将来活かされるならば、悪いことではない筈です。
 厚生労働省は介護士やら派遣事務やらをやってみると良いのではないかな。ケアハウスや訪問介護で心身共に疲労してみたり、身分を隠してテンプスタッフとかに登録してもらって派遣先で苛められてみれば、色々思うこともあるでしょうよ。


2007年2月21日(水曜日)
 画伯が大好きであろうと思われる世界面白ニュースに「異常な中国語学習ブーム」という記事があった。
 まあ、アラビア語と中国語が重要な言語であるという点について異論はありません。ただ、アラビア語については既述の通り、正統アラビア語と俗語(方言)の違いが大きくなってきているため、どのアラビア語を学ぶか問題が起きそうです。中国語については恐らく標準語たる北京官話を学習するのでしょうが、漢字がネックとされています。個人的には所詮6,000字くらいじゃないか、虎の穴にでも放り込めよとか思いますが、軍ならともかく公教育でそれは難しいのかも知れません。
 ただ、外国語を学ぶこと自体は奨励すべきことです。今後の推移を見守りましょう。

 そういえば先日、国の成長力底上げ戦略構想チームがジョブ・カード制度とかを提唱していたのを聞いて思ったんですが、職安での教育訓練で外国語をもっと力入れてみたらどうですかね。それも英語じゃなくて、ポルトガル語とかタガログ語とかインドネシア語とかアラビア語とか。
 EPAによってフィリピンやインドネシアから労働力が流入しているのに受け入れ態勢がアレなもんですから、そういう機会でも利用して、少しでも言葉を喋れる人を増やしたらどうなんだろうとか思ったんですが。
 瀬戸内海の無人島に官製の外語訓練学校とか作って、官費で18ヶ月徹底的に外国語を叩き込むコースとか作ったらそれなりに面白いんじゃないかなー。そんでそのまま国立翻訳所とかにしてしまうとか。

 最近、Googleのサーチエンジンに改良が加えられたのか、フレーズ検索の結果に大量のノイズが入るようになって、使い物にならなくなった。
 例えば「明治一代男」と日本語のみでフレーズ検索をかけると検索結果が36,600件とか出る。最初方はきちんと「明治一代男」が引っかかっているのだが、後ろの方へ行くと「好色一代男」がひっかかってたりする。
 面白いことに、lang_jaを取っ払うと5,430件に件数が減る。
 常識的に考えてこの結果は異常なわけだが、どうも特に取り沙汰されている気配はないので、私だけが違和感を感じている問題なのかも知れない。

 あれ? Googleの結果が直った。
 どこかに変なサーバが紛れているのかなー?
 でもここ一週間くらいおかしかったんだが……。


2007年2月22日(木曜日)
 島根県によると、竹島の日、らしい。

 新年早々議論を呼んだ毎日新聞の「ネット君臨」だが、それに絡んで「佐々木俊尚 ジャーナリストの視点」に毎日新聞側を取材した毎日新聞「ネット君臨」取材班にインタビューした」というエントリが掲載されました。
 一読して感じた印象は、「取材する側」としての新聞社の強者の無意識でした。信頼されるソースたることこそが重要なのに、その点が無条件で保証されていると思っているようです。
 ワンサイドゲームだった時代は終わったと以前にも書いたわけですが、相変わらず新聞社の意識の方だけは変わっていないようです。多分末端の記者の方がもどかしい思いをしているのではないか、なんて思ったり。


2007年2月23日(金曜日)
 今月頭の代理処罰に続き、二件目が立件される見通しなんだそうですが、容疑者が逃亡しようとしたので拘束(逮捕)されたそうな。
 なんかこの容疑者、確か先日のクローズアップ現代で無罪だと主張していた記憶があるんですが、まあ、現地司直が適切な対応をしてくれたということなんでしょう。
 ブラジルとだけではなく、ペルーとも代理処罰を検討しているようですが、大統領が替わってフジモリ元大統領の訴追も無罪になりそうな様子も関係しているのですかねぇ。代理処罰などは相互主義が原則ですので。

2007年2月24日(土曜日)
 H-IIA F12射上げ成功♪
 F6の指令破壊以来、6回連続成功ですね。

 熊本の慈恵病院が設置を求めている、育てられない新生児を受け入れる「赤ちゃんポスト」を巡って、様々な議論が渦巻いている模様。
 感情は感情として、病院がこれの設置を構想する程度に新生児の遺棄は行われているのであろうし、コインロッカーに捨てられるくらいなら病院にポストがあった方が良いだろう。
 積極的に賛成するというほどではないが、必要性はあり、合理的であり、反対する理由はない。
 政治家はポストそのもののことを議論するのではなく、ポストが必要な社会的背景を論じ、対策を講じるべきであり、マスコミも議論をそちらへ誘導するのが建設的だと思う。

 先日報告したGoogleの怪異だが、やはり時々似たような現象が発生する。
 全てのサーバではないのだろうが、おかしな結果を返して来るサーバがちらほらいるようだ。(スクリーンショット1,2,3

 「Symantec Security Response Weblog: Hello Screen Saver, Sayonara Files」……えーと。
 ネタの解説はnyGenesisさんに求めれば良いのか?


2007年2月25日(日曜日)
 日本時間の24日未明に、英国で高速列車の脱線事故があったらしい。確か日本から新幹線系の車輛を輸出していた記憶があったので、ちと探ってみた所、Virgin TrainsのVirgin Pendolino Class390というフィアット/アルストムの車輛らしい。事故原因はまだ不明ながら、原因は車輛ではないような感じで報道されている。

 自転車に乗って、OpenSky 2.0展を見に行く。
 「ナウシカ」に出てくるメーヴェのようなものを作って空を飛んじまおうという暴虎馮河なプロジェクトなんですが、エンジン拔きの滑空機から、いよいよジェットエンジンを積み込んだモデルで空を飛ぶんだそうな。
 動画を見ている限り、グライダーとしての安定性はイマイチっぽい感じ。いずれはコンピュータでも付けて動的制御とか咬まさないと、エンジン付けたらまともに飛ばないんじゃなかろうかと思ってみたり。
 しかし世の中変なことをする人は色々いるものだ。

 そうかそれは常識なのか。


2007年2月26日(月曜日)
 伊吹文科相が「大和民族がずっと日本の国を統治してきたことは間違いない」「日本は極めて同質的な国です」などと発言した、らしい。調べた限りどの新聞も共同電の引き写しらしく、どのような文脈でそのような発言がなされたのかは分かりませんでした。
 なので、以下はあくまで文字面レベルでの論評ということで。
 「日本は極めて同質的な国」というのは、枕に「現代の」という一文を付ければ、間違いではありません。見方にも依りますが、公用語が一つで事足りていて、日本全国どこへ行っても日本語で事足りるし、文化的に異質な集団も少ない。ただしこれはあくまで近代以降の同質化政策の果てに我々が得たもの、享受しているものであって、元からこのような状態であったわけではありません。標準語運動などは戦後かなり力を入れて行われた分野であり、方言の消失などの副作用を生みながら遂行された政策でした。このような人為的な作用の結果を自然状態であるかのように語ることは、危険な誤解を招きやすい、と危惧を抱きます。
 「大和民族がずっと日本の国を統治してきたことは間違いない」という一文に関しては、民族の定義によるんじゃないかと思いますな。つまり「日本の国を統治してきた民族を大和民族とする」とか定義すれば、循環定義になるけど間違いではありません。古典漢語の「民族」という用語は現在の部族・種族に近いのですが、現代の用語としてethnic groupとして使われているものと考えると、それは“幻想の共同体”であり実体が無いだけに学問的用語には細心の注意が払われないといけません。(使用そのものに問題があるわけではない:参考
 が、政治的には恣意的に使われる用語の筆頭でもありますな。
 早い話が、「民族」という単語を口に出す政治家には気をつけたほうが良い、と考えます。

 「日韓共作歴史教材、3月に同時出版 10年がかりとかいう記事があり。
 先年出版された朝鮮通信使の副教材は良くできていたと思ったので、多少期待。
 この本は、日本語版よりも韓国語版の方により大きな意義があると私は考えている。韓国は言論が自由な国ではない。法制的にも、社会的にも、だ。法制的には韓国は未だ休戦中の準戦時国家であり国家保安法なんて法律が施行されていたりする。社会的には反日国是であるからして、「親日派」というレッテルは殆ど犯罪者扱いである。韓国以外の歴史・経済学界では主流となっている植民地近代化論を韓国国内で展開することは、命の危険を孕んだ勇敢な行為、ということになってしまう。
 一体これはどこの全体主義国家の話かという感じだが、困ったことに対馬海峡の向こう側の国の話である。
 朝鮮半島の動静が日本の安保にとって重要である、というのは、古今変わらない地理的問題で、かつてはそれ故に日本は半島を領土化したことまである。もっとも、現在の国家間の外交枠組みを考えれば将来的に日本が再び朝鮮半島を領有化する、というのは夢想にしても現実味が無い。となれば外交的に友好関係を構築するにしくはないわけで、現在の反日全体主義国家体制を多少なりとも緩和する方向での工作は、やっておいて損は無いだろうと思う。
 「北」? 知らんがな、そんなの。

 「医療版の「事故調」 厚労省が検討という記事が。
 以前海難審判庁のような行政審判が望ましいんじゃないかな、と考えたことがありますが、記事を読む限りそこまで踏み込んだ内容では無い模様。


2007年2月27日(火曜日)
 君が代伴奏裁判の最高裁判決が下り、原告敗訴。ごくごく当然の判決だと思います。

 総務省が「「住民基本台帳法施行規則の一部を改正する省令案」に対する意見の募集について」とパブリックコメントを募集しているのだが、中身が凄い。

第二十一条の二 法第三十条の八第三項に規定する総務省令で定める軽微な修正は、次のとおりとする。
一 常用平易な文字(戸籍法第五十条第一項に規定する常用平易な文字をいう。以下この号及び第二十七条の二第一号において同じ。)以外の文字の常用平易な文字への変更に伴う氏名又は住所に係る記載の修正
二 文字の同定に伴う氏名又は住所に係る記載の修正(前号に該当するものを除く。)
(住民票の記載の軽微な修正)
第二十七条の二 法第三十条の十一第九項に規定する総務省令で定める軽微な修正は、次のとおりとする。
一 常用平易な文字以外の文字の常用平易な文字への変更に伴う氏名又は住所に係る記載の修正
二 文字の同定に伴う氏名又は住所に係る記載の修正(前号に該当するものを除く。)
 つまり、氏名・住所に異体字などが含まれていた場合、「軽微な修正」として職権で「修正」できるようになるんですね!
 凄いや。
 これでもうワケの分からない人名異体字に振り回されることもなくなってみんなハッピーになれるんですね!
 ……。
 いや、なんか「勝手に書き換えられた!」とかいう裁判が頻発してしまいそうですけど。
 該当者のnyミツルんに感想を聞いてみたい気分だ。
 個人的には合意が取れる範囲でなら文字の統制もありかな、とは思うのだが、恐らく「ウチぁ先祖代々この字を使ってンだ。余計なお世話だ引っ込んでろスットコドッコイ!」的な反応もありえようと思う。それどころか「えーと、以前情報処理の都合とかで一点しんにょうの『辻』に変えられたんですけど、今度は二点しんにょうの『辻』に戻るんですか?」みたいな事例も発生しそうだ
 やはり世界皇帝以下省略ではなかろうか。

 なんか韓国から日韓トンネル関係の発言が伝わってきている(1,2)。元々は統一教会がぶち上げたという曰く付きの計画なのだが、メリットの多くは韓国側にあって、日本側にはない。
 韓国は本来大陸に繋がった半島国家であるが、現状、大陸との連結側である北側が敵性国家となっており、地面こそ繋がっているものの交通は遮断されており、地政学的には島国に近い状態になっている。一方で反対側の海洋方向を見ると、太平洋への出口は日本によって塞がれており連絡・交通の便が宜しくない。
 然るに、日韓境界である対馬海峡に海底トンネルを通し、鉄道を敷設すれば、物流面に於いて大きな転換が図れる、というわけだ。
 だが日本としてみると、なんで行き止まりの国に向かって海底トンネルを掘らにゃならんのだ、ということになって、あまり都合が宜しくない。北が崩壊して中国と地続きになった暁の話ならばともかく、現時点では、亡民流入に歯止めが利かなくなるだけではないかという気がする。
 日本としては、掘るならば寧ろ宗谷海峡と間宮海峡だろう。
 宗谷海峡にトンネルを通して樺太に、そして間宮海峡にもトンネル(橋でも良いが)を通してシベリア鉄道に連絡すれば、欧州までの鉄道輸送が可能になる。ロシアの国内情勢にもよるが、マラッカ海峡への物流依存が軽減できるわけで、やる価値はそれなりにある。解決しなければならない問題は山ほどあるけど。
 ちなみに宗谷海峡も間宮海峡も、津軽海峡に比べれば水深が浅いので、技術的な難易度は青函トンネル以下であろうと考えられる。


2007年2月28日(水曜日)
 昨晩東京シューレで行われた学生ゼミは児玉勇二弁護士を招いて「いじめ自殺裁判」がテーマで、非常に充実していた。
 私自身は、殆どの時間を、文科省の行動と安全工学/失敗学との関連についての思索に費やしていた。
 文科省によれば、1999年3月から2006年10月まで、いじめによる自殺は一件もなかったらしい。いじめそのものも件数が減っていた、とされている。さすがに昨年末からの自殺の連発によって態度を改め、今年1月に統計を修正した。更に調査方法についても変更を加えた
 さて、安全工学や失敗学といった見地から文科省の行動を見れば、典型的な失敗の隠蔽による事態の悪化を踏襲している。私などからすると「わざとやっているのか?」と首を捻りたくなるくらいに。
 権力を持った上層部が、実態とかけ離れた実現不能な目標を設定し、成果の評価を行い信賞必罰を断行すると何が起こるかというと、数値の改竄や隠蔽、場合によっては達成目標そのものの捏造といった不正直が蔓延る。この種の悪徳が蔓延ると現場の士気が低下し、一層状態は悪化する。昨今の人材流動性の高まりから、優秀な人材ほど先に逃げ出す。正確な情報が上がってこなくなるから上層部は裸の王様と化し、組織は益々弱体化する。
 かくして致命的な破断点に向かって事態は転がり落ちていく。
 これに対して「成果主義の失敗」などと評する向きもあるが、それは論点が違う。
 権力は裸の王様を作りやすいと一般論では解っていても、身に纏う権力、その大小に関わらず、その作用力というものをきちんと認識するのは難しい。第三者機関による調査や、免責・匿名による報告が安全工学で重視されるのは、その難しさが原因にあるのだ。
 キャリア官僚なんて頭良いんだから、そのくらい理解できそうなもんだがねぇ。

 自民党の中川昭一政調会長が中国の脅威を訴える発言を行ったとかで、中国外交部秦剛報道官が反論している。曰く、日本は領土面積が中国の25分の1、人口が10分の1であるのに、軍事費はぼう大である。中国の軍事費は日本の67%、1人当たりでは日本の7%にすぎないとかとか。
 人口には異論はないが、他の点はちょっと気になったので、確認してみた。

 さてまず「日本は領土面積が中国の25分の1」について。

日本と中国の領域比較
領土 領海+排他的経済水域 合計
日本 377,835 km² 4,479,358 km² 4,857,193 km²
中国 9,596,960 km² 877,019 km² 10,476,979 km²
 国防によって守らなければいけない範囲は、狭くは領土+領海であろうが、実際にはEEZを含む合計面積だろう。(経済水域を侵す行為は一般的には侵略と看做せる)
 そう考えると、確かに日本の国土は中国の4%だが、領海は5倍であり、合計では46%となる。「領土」に限れば秦剛報道官の発言は「間違いではない」が、意図的な錯誤を孕んでいる。

 次に「中国の軍事費は日本の67%、1人当たりでは日本の7%」についてだが、これは異論が多い。(というか、異論が多い時点で問題だ)
 中国の「公式の」予算による軍事費は300億米ドル程だが、CIAの推算では800億ドルを超えている。wikipedia(en)の「Military budget of the People's Republic of China」項を見ても、中国の軍事費が「公称値」より低いと見積もっている組織はない。GDP比ともなれば、公式でも1.4%、推算では最大4.2%となる。
 対して日本の軍事費については異論が殆どない。数字はほぼ信用されていて、GDP比も1%でしかない。これが国際的に見ていかに低いかは、CIAのランキングでも見れば瞭然。
 まあ、中国の公称値をそのまま使ったとしても、中国の一人当たりGDPが日本の3〜4%であることを考えると、国民一人当たりでは倍の負担を負っているとも読めるわけなんだが。

 その昔、「覚醒剤じゃないか?」と疑った事件があったのですが、心神喪失で無罪だそうで。統合失調症だったとの鑑定結果がでたとかとか。
 責任能力がないんじゃ罪には問えないとは言うものの、些か憮然とせざるを得ないところでもあるね。
 とりあえず、控訴するかどうか、まず注目。