アンケートに答える前に

Caution!
このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、並びにパーソナルメディア社は関与しておりません。

 文字鏡研究会のWebサイトで、「BTORN仕様OS用文字鏡最新フォント及びBTORN仕様OS用文字鏡ツール類の開発に関するアンケート」なるアンケートが始まった。
 これまでNIFTY歴史フォーラム本館19番会議室でのやり取りをごらんになっていない方々にとっては、唐突の感を否めないかと思う。せいぜい、「超漢字3と今昔文字鏡のトラブルにまつわることか?」と類推するところだろう。
 文字鏡研究会はなぜ今になってこのようなアンケートを取るのか?
 この疑問に対する答えを、残念ながら私は有しない。
 また、誰にとってどのような答えが望ましいのかについても、語る口を持たない。
 ただ、以下に記する情報から、各々が自主的に判断して欲しい。


本件についての質問・意見はTRON Crossingへどうぞ


 既にご承知の通り、超漢字3では文字鏡フォントが削除され、文字検索小物やコード入力による文字鏡面の文字の検索/入力が不可能となった。これについては、エーアイ・ネットとパーソナルメディアとの契約の問題であり、基本的にはエンドユーザの関与するところではない。
 文字鏡研究会は、エーアイ・ネットとの契約により、2098年まで文字鏡フォントと各種ツール類を配布する権利を持っている。このことから、エーアイ・ネットとPMCの契約とは無関係に、文字鏡研究会は文字鏡フォント及びツールを配布することができる。現に文字鏡研究会は、紀伊國屋書店から商品として発売されている『今昔文字鏡』とは別に、Windows用、Macintosh用の文字鏡フォント(及びツール)を提供している。
 しかし、超漢字発売以後、これまで文字鏡研究会はBTRON3用文字鏡フォント(及びツール)を提供してはこなかった。
 この件について、NIFTYの歴史フォーラムにおいて文字鏡研究会の古家副会長から説明があった。要約すると、

  1. 文字鏡研究会にはBTRON3用文字鏡フォントを生成する技術力がない
  2. 文字鏡研究会にはBTRON3用文字鏡キャラクターマップを提供する技術力がない
  3. TRON側からボランティアの申し入れがない
  4. 超漢字は漢字を売りにした商品なので、フォントの提供はPMCの商行為に荷担することになり、文字鏡研究会の趣旨にそぐわない
……というものであった。
 特に4点目については、文字鏡研究会において全員一致で提供しないことを決めたとのことである。

 BTRONと今昔文字鏡が手を組むことになったのは、1999年3月9日に東京大学史料編纂所で行われた「歴史学のためのウェブサイト」の会場において、文字鏡研究会の古家副会長が坂村プロジェクトリーダに、直に申し入れたことが発端であった。
 もちろん、これを受けたのは坂村先生であり、実装を担当したのはPMCではある。
 事実関係を整理すると、

  1. 文字鏡研究会がTRONに対してBTRONへの移植を申し込んだ
  2. PMCがB-right/Vに文字鏡フォント他を実装し、『超漢字』として売り出した
  3. 文字鏡研究会はこれを理由にBTRON3用の文字鏡フォントを提供しないことを決めた
  4. エーアイ・ネットとPMCの契約問題により、『超漢字3』から文字鏡フォント他が消えた
  5. 今回のアンケート結果によっては、文字鏡研究会は文字鏡フォント他の開発に着手する
……という具合になる。
 ただし、アンケートの最後にもあるが、「文字鏡研究会は受益者負担を原則」とするため、BTRONへの移植を手掛ける有志のボランティアは、入会金と年会費が必要な文字鏡研究会個人賛助会員にならなくてはならない。

 文字鏡のBTRONへの移植は文字鏡研究会が働きかけたものだし、文字鏡フォントの不提供は文字鏡研究会の決定である。その上で我々は、ボランティア要員たる文字鏡研究会の個人賛助会員を求められているわけである。

 以上のことを踏まえて、アンケートにお答え頂きたい。


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