哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」

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西紀2018年8月分

Caution!

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守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。


2018年8月1日(水曜日)

8月になると戦争関連のドキュメンタリが増えるので番組チェックが大変だよ。

NHKは結構頻繁に確認してるけど、NNNドキュメントとかFNSドキュメンタリー大賞とかは長期の予定が見れなかったりするので見落としやすいんだよなー。

ただ、近年、どうにも「再現ドラマ」が多く見られるのが困りものなんだけど。読者に優しい番組作りのつもりなのかもしれないけど、概ねドキュメンタリとしての価値を下げる要因だよなー……。


2018年8月2日(木曜日)


2018年8月3日(金曜日)

NHKオンデマンドで古い戦争関係のドキュメンタリが無料公開されてたりしたので、視聴。

新しい番組の方が画像的・演出的には凝ってるんだけど、古い番組は既に亡くなられた人(当時既に高齢だった人)が出演してたりするのが趣深いですね。年代が下がるに連れて、当然ですが、登場する人物は当時非常に若い(十代とかそれ以下だった)人に限られるようになっていきます。それが、古い番組だと戦時に佐官だとか将官だとかという人がまだ存命の頃に撮られてたりするので……。

番組作りの手法は進化しているとは思うのですが、一方で“二度と手に入らない資料”については過去の番組も捨てたもんじゃないんですよね。

ちなみに無料ではありませんが、NHKスペシャルでは「赤紙が来た村」がイチオシです。戦後の資料廃棄によって実態が分からなくなっている徴兵・動員について追いかけている珍しい番組で、資料価値が非常に高い番組です。


2018年8月4日(土曜日)

北朝鮮、核・ミサイル開発継続=「瀬取り」大幅増−国連報告書」とか、実質的な効果はないだろうと言われていた米朝合意がやっぱり無意味だったという予定調和。

ちなみに韓国は石炭輸入を、ロシアは労働者の受け入れを行って北朝鮮の外貨獲得に協力しているそうで、経済制裁の国際包囲網の方も実質的に破綻しつつある模様。

結局北朝鮮の時間稼ぎに振り回されただけ、という、「いつもどおり」の結果に落ち着くんですかねぇ。


2018年8月5日(日曜日)

晴海埠頭にやって来た英揚陸艦アルビオンの見学に出かける。

……午前10時からということで到着したのは1030時だったのですが、既にその時点で待ち時間が2時間とか。

軽く死ねますわ。

隣では海自の掃海母艦うらがが公開。アルビオンの後にこちらも見学してきました。

アルビオンのヘリ甲板では海兵隊の銃器の空打ちをさせて貰えるとあって、大賑わいの長蛇の列。これが列の原因でしたな。個人的にはおおすみ型輸送艦との設計思想の違いが色々見えて面白かった。

露天甲板への車両の移動をエレベータで行うおおすみ型に対して、アルビオンはスロープになって自走するようになってたり、アルビオンの後部ウェルドックが中央に壁があって左右に分割されていたり。

英海兵隊の基本車輛がBvS 10ってあたりが一番驚いた点ですかね。自衛隊ではこの種の装軌車輛を余り運用していませんから……。(非装甲のBv.206は少数運用している)

しかし、東日本大震災に際しては資材運搬車を全国から掻き集めて運用したとかありますので、インフラが期待できない領域ではこの種の車輛は強いんじゃないですかね。自衛隊が全体的に国内のある程度インフラが整った地域を活動域としていることが関係してるんでしょうかね……。

この種の全地形車輛ではロシアのDT-30とかが有名なのですが、やはり国土の大部分が未踏地でインフラ整備に限界のある国ではこのような車輛が重宝されるようです。


2018年8月6日(月曜日)

広島原爆記念日ということで、NHKでも「広島 残された問い 〜被爆二世たちの戦後〜」なんて番組が放映されてた。

うーん……。

科学的な見地から言えば、原爆の放射線が二世以降に与える永続的な遺伝的影響は“検知できない”。当たり前ですが、遺伝子を損傷するのは放射線ばかりではなく化学物質等も影響を与えるわけで、人間の遺伝子は常に損傷し、また修復されているわけです。放射線被曝一つとっても、原爆由来の放射線だろうが宇宙から飛んでくる放射線だろうが岩石に含まれる放射性物質から出る放射線だろうが影響は与えるわけです。そういった他の要因を排除して「原爆由来の放射線」だけの影響を抽出することは、ほぼ不可能ではないかと思われます。

つまり検知できないから影響の有無は結論できない。

これを「完全には否定できないからには国は対策しろ」というのは暴論だと私は思いますね。ぶっちゃけ、他の要因による遺伝的異常と区別できないんだから、特別に補償する根拠がない。(他の異常や傷病と等しく手当しろ、なら理解できる)

しかし本当に、意味もなく再現ドラマを入れる最近の傾向はどうにかならんものですかね。ドラマ仕立てにするのは“演出過剰”じゃないかと思いますね……。

どうにも制作側の思い込みが過剰ではないかと思います。二世以降は「被曝と無関係な一般と同程度の発生率でしかない」と番組では周知する方が科学的に率直な姿勢だったのではないですかね。


2018年8月7日(火曜日)

また石が出てきたので、病院へ行ってCTなど。

Stone

前写っていた石がなくなって別の石ができているという、有り難くもない所見を頂戴する。


2018年8月8日(水曜日)

NHK BSプレミアム「美しき海の墓場トラック島〜戦時徴用船の悲劇〜」はドキュメンタリとして見たときは、ちょっとなぁと思わないでもない部分が。

戦時徴用船については陸軍に傭船されたもの、海軍予備員によって運用されたもの、政府によって徴用されたものと様々で、優秀船舶建造助成を受けて戦時に特設艦に変更される想定がなされた船については通常海軍に徴用されたり、船によっては軍艦籍に編入され、海軍軍人や海軍予備員によって運用されたものだったかと。

細かい制度上の話ではあるのですが、その辺曖昧にすると、ただ単にお涙頂戴物になりかねない気がするわけですが……。

いや、戦時徴用船は本当に悲惨だったんですけどね。


2018年8月9日(木曜日)

前日設営にお出かけ。

やはり気象条件のせいか、少々人数が少なめで、その分余計に時間がかかった。それに環境も酷く悪く……。

900mlのスポーツドリンクのペットボトルを2本持って行ったが、作業終了までに綺麗になくなってしまった。

恐るべし。


2018年8月10日(金曜日)

ぼくたちのかんがえたさいきょうのi18n国家」「「ぼくたちのかんがえたさいきょうのi18n国家」の元ネタと補足」は文化の多様性を感じさせてくれる。

文化的多様性というのは意識して維持しないと、経済的合理性の前に轢き潰されていく運命にある。

例えば1971年までの英ポンドのように1ポンド=20シリング=240ペンスなんて文化は、今や歴史の中にしかない。英国(や欧州)の通貨のあれこれは、通貨発行権が必ずしも国内で独占されていなかったことに由来するが、日本のように通貨発行権は独占されていたのに歴史的経緯から金銀銭の三貨制が江戸時代中残った、なんて事例もあるけど。

ともあれ、多様性というのは大変コストがかかる。多様性維持のコストというのは、意識して支払うようにしないと、碌でもない施策を生みかねないと思うのだよな。人間は、どうも本能的に多様性に対して否定的らしいんで。


2018年8月11日(土曜日)

自殺試みた男が旅客機盗んで墜落させる、戦闘機が緊急発進 米シアトル」というなんとも……なニュース。2015年のアレみたいに客が乗ってなかっただけマシか、くらいな。

ネット上に管制塔とパイロットの交信記録が上がってたりするわけですが、こういう「意図した悪意」に対して旅客機って意外なほど弱いんですよね。まあ、普通はそこまで入り込めないわけですが、今回は整備士だったそうなので……。

こう言ってはなんですが、無関係な人の犠牲が出なかったことだけが、不幸中の幸いでしょうか。米軍のF-15が出撃して備えていたそうなので、色々と不幸なことになる可能性はあったわけで。


2018年8月12日(日曜日)

NHKで放映された映像の世紀プレミアム第10集「難民_希望への旅路」は、なんというか、確かに噓は吐いてないんだけど、番組中に日本が関わる一切の難民が取り上げられてなかったのはなんでなんやろうな?と疑問をぶつけたいところがないでもなく。

ざっと思い付く範囲だけでも、日本の満蒙入殖によって土地を追われた中国人の問題だとか、逆に1945年8月9日以降の日本人避難民の問題とか、日中戦争やその後の太平洋戦争で発生した日米戦鬪域での難民問題。戦後も国共内戦に伴う難民問題や、朝鮮戦争での難民など、日本周辺に限っても相当な難民問題があった筈なんだが……。

もしかしたら映像が残ってなかったのかも知れないけれども、一言の言及もないというのは、実に清々しい態度ではある。

制作側に「難民問題は所詮遠い世界の問題」という意識があったとしたら、残念なことではある。それ以外の部分が悪くなかっただけに、とりわけ。


2018年8月13日(月曜日)

図書館からの帰り道、家まで残り3分程の場所で雷雨に。

雨宿りして様子を見ようかとも思ったのだが、洗濯物を干していたことを思い出して、已むなく雨天突破を試みることに。

僅か3分で下着まで濡れたわ……。

こういうゲリラ豪雨が多くなると、おちおち洗濯物を干して外出も出来ないな。


2018年8月14日(火曜日)

スターリンの葬送狂騒曲」を観てきたのですが……うーむ。

コメディ映画なので笑いどころは何箇所もあるんですが、作品全体としてコメディとして成立しているかと言われると、ちょっと……といった印象。

全体としてはベリヤフルシチョフなんですが、もうちょっとこう、「悪と悪の戦い」といった雰囲気があると良かったのですが、権力掌握に走るベリヤに対し、身の危険を感じたフルシチョフが乾坤一擲の反撃に出てベリヤを倒す、といった感じの分かりやすいストーリーになってて、史学科出身としては、些か単純に過ぎる嫌いがあるな、と。まあ、娯楽映画にそんなもの求めても仕方ないんでしょうけど。

あと、全体的に役者さんが似ていないのががが。


2018年8月15日(水曜日)

PowerShellで別プロセスに複数のコマンドが数珠繋ぎになったコマンド列を実行させたいと思って四苦八苦。

Start-Processコマンドレットを使えば別プロセスでコマンドが走らせられるんだけど、これ-FilePathで指定した一つのコマンド(とそのオプション)しか発行できない。

PowerShell.exeなら-commandパラメータでどんな長いコマンドでも叩き込めるのになぁ〜と思ったものの、こちらはPowerShell上からPowerShell.exeを呼び出しても呼び出し先の処理が終了するまで呼び出し元のPowerShellに処理が戻らない。

かくしてあれこれ試した結果、Start-ProcessでPowerShell.exeを立ち上げて-commandオプションで連鎖した長いコマンド列を送り込むことで解決を見た。

本当にこんな方法でいいんだろうか?


2018年8月16日(木曜日)

イタリアのジェノヴァにあるモランディ橋が崩落した件。

まだ原因究明は端緒に着いたばかりなんだけど、どうにも現地イタリアの報道では「責任論」が罷り通っていて……。責任追及よりも原因究明/再発防止を優先したほうがいいんじゃないの、こういう場合?

イタリアは2012年に地震について安全宣言を出した科学者を有罪にした過去のある国(なお、控訴審で無罪になりその後確定)なので、どうも日本同様に処罰感情が強いのではないかと思われる所。

聞けばイタリアでは近年5年間で5本の橋が崩落しているとかで、そりゃ責任よりも先に優先すべきものが有るんじゃないかと突っ込みたくなるところがないでもないです。


2018年8月17日(金曜日)

先日のPowerShellスクリプト、順調に動いているなーと思ったら突如エラーが。

そして原因を探っていくと……思いもよらない事実が!

PowerShell では、コマンドレットの引数などに使用する引用符 ( "、' など) に、半角文字以外の一部の Unicode 文字を使用することができます。
この影響により、例えば全角の”を文字列として引数に使用する際に意図せず文字列の引用が終端し、引数のエラーになることがあります。

なぜそんな仕様にした!?

エスケープしなきゃいけない文字が増えてる(しかも対処が超面倒くさくなってる)だけじゃねーか。

これで喜ぶ人間っているのか? 本当にいるのか?!

「空白文字としてUnicode空白文字をすべて同一視します」ならまだ理解できる(見えない文字だから)けど、視覚的に区別できる文字を同一視する必要性がどこにあるというのだ……。


2018年8月18日(土曜日)

実家のHDD/DVDレコーダが不調ということで色々調べたのだが、どうにも手立てなく。

今ならSeeQVault対応の外付けHDDに退避、という手もあるだろうけど、古い機種だけに如何ともしがたく。

こういう時に何とかして救う方法があればと思うんだけども、また面倒な権利関係の話になっていくだろうからなぁ……。


2018年8月19日(日曜日)

風が吹いたら凄く涼しく感じるなぁ。というか、このひと月、本当に殺人的な暑さだったから、ちょっと気温が下がっただけで、大変過ごしやすく感じる。

気象情報など確認すると結構暑かったりするんで、注意しないとな……。


2018年8月20日(月曜日)

海外では当たり前の食中毒対策「放射線照射」 消費者にもメリット…日本ではなぜ使えないのか」という記事が産経に。

「海外では当たり前」という程当たり前かと言われると疑問もあるわけですが、一部の人が好のむ生レバー等を安全に食べたいならこれしか方法はないだろうと思っています。確か厚生労働省が研究を始めるとかいうニュースが2012年頃にあったと思うんですが、続報ありませんね。

放射性物質が付着している、というのであれば問題でしょうが、γ線を照射した食品のどこに危険性が生じるのかは、じっくり説明していただきたいものです。

便利なんだからとっとと許可すれば良いのに。(というか禁止する理由がわからん)


2018年8月21日(火曜日)

先週末に「高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数」という記事が話題になって、ただWebからは全文が読めなかったので、週が明けたら都立図書館で閲覧しよう…と思っていたら、土曜日には高地県立大が「高知県立大学永国寺図書館の蔵書の除却について」と声明を発表。

ともあれ、都立中央図書館へ出かけて高知新聞の当該記事(1面/23面)を閲覧してきました。

高知県立大学、となっていますが、話は色々ややこしくて、そもそも高知には県立の高知女子大学と高知短期大学、そして公設民営の高知工科大学があったのですが、2009年に女子大が共学化、2011年以降国公立大学民営化で高知大学と高知短期大学が大学法人化したあと2015年に工科大学が合併、高知県立大学法人が3大学を運営する、という形になっています。ただし、短期大学は廃止予定ですので、近い将来県立大学と工科大学の2大学になる模様。

で、そもそも永国寺キャンパスは女子大学が元々あったところで、これが2010年に池キャンパスに移転。直線距離は7km程で、道程で8kmくらい。地図を見る限り、街中にあって手狭になったので郊外に移転したものかと。また、看護学部や健康栄養学部が高知医療センターに隣接するという立地の便があります。

高知工科大学は元々は高知市の隣の香美市にあって鏡野公園という桜の名所に隣接しているなど、広大な敷地を誇ります。工学系の研究をするならばキャンパスの広さも必要になるので、これもまた分かる立地。

じゃあ永国寺キャンパスの再整備って……と調べていくと、大学法人の本部所在地であり、県立大学の非医療系、工科大学の非工学系の学部を集約する目的がある模様、と。

しかし……写真を見る限り図書館の規模は増大しているように見えるのに、県立大の声明にあるとおり、ディスカッションルーム等に割いたため、收蔵能力的には減少しているそうな。で、減少した收蔵力ならびに将来の増加分の確保のため、大学としては司書や教員の数年がかりの検討によって3万8000冊を除却したもの、と。

個人的に問題点は以下の三つかと。

  1. 新大学図書館の計画が過小だったのではないか
  2. 除却本の選定手続きに問題はなかったか
  3. 除却本の廃棄方法は適切だったか

2.除却本の選定については大学の声明にある通りだとすれば、まあ適切と呼べるのではないかと。すでに図書館の收蔵力が減少することが決まっていた場合、是非もなし、という話にしかならないので。(そもそも図書館において除却自体は日常的に発生している)

とすると問題点は1.と3.しかないわけですが、3.については高知新聞の記事が糾弾していて、県内の自治体図書館が欲しがる本もあったのではないか、というのは、まあ分かる指摘ではあります。学内の教職員には引き取り手を探したそうですが、学外には求めなかったのは反省点かと思われます。しかし本質じゃないよね。

根本原因は新図書館の計画そのものにあって、広さ約1.5倍でありながら收蔵力が減退するというアホな計画を立てて承認した誰かにあるかと。これについては高知新聞もノータッチなので、恐らく大学法人か更に上の県の誰かなんでしょうが、予算の制約でもあったものかとも思いますが、これについて追及がなされて欲しいと思います。


2018年8月22日(水曜日)

NHKの(分類上は)ドキュメンタリー(になっている)「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で「CD開発 “不良社員”たちが起こしたデジタル革命」という番組が放映されまして。

誤り検出と誤り訂正がごっちゃになってましたな。

SONYのPCM-1は誤り検出符号を入れていて、誤り検出をした場合、当該データを捨てて、前後のデータの平均値で穴埋めする、という機構(誤り補正)だった。この辺、番組ではごっちゃにされていた。

そんで後のCDについては誤り訂正についての解説はナシ。番組制作側の理解力を超えたのか?

所詮は“関係者の苦労話”を美談に仕立てる類のドキュメンタリだから余り突っ込むなよ、と言われればそれまでなんだけども。


2018年8月23日(木曜日)

昨夜のNHK「時論公論」で「自衛隊の次の翼は 〜F2後継機問題〜」というネタが振られて、ロッキード・マーチンとのF-22ベースでの共同開発が有力、と解説されていました。

国産開発は費用がかかり過ぎる、と言いながらも共同開発もまた費用が嵩むと言っていて、同じように費用がかかるなら国産の方が国内に金が回るだけマシですよね。(ちゃんとした性能のものができるのであれば)

財務省がF-35Aの買増を主張するのは既定路線として。

10分の番組ですからややこしい話は全部省略されていたわけですが、話の背景には兵器に求められる要求の問題があります。日本の置かれた環境や仮想敵、対抗するための戦略・戦術に基づいた兵器への要望というものがあって、可能であればそれに合致した兵器が望ましい訳です。かつてのFS-Xが揉めた原因の一つです。当時対艦ミサイルを4発積んだ状態で戦闘行動半径450海里などという要求を満たせる機体がある筈もなくF-1に続いて国産でやりたい、という意思が透けていましたな。

しかし問題はエンジンで、F-1もそうでしたが、とにかくジェットエンジンの国産化ができなかった。これには色々ありますが、現代でも最先端の戦闘機用超音速ジェットエンジンを作っているのが西側では米GEP&W、英RR、仏Snecmaくらいしかないことを考えると、当時漸く練習機F3エンジンを提供していたレベルではどうにも輸入するしか手がなく、そして米国にエンジンを握られていた以上、日本に共同開発を蹴る選択肢はなかったという話になります。

最終的にF-2F-16から改造開発、エンジンはGEのF110となり、現在に至っています。

F-2には毀誉褒貶ありますが、それでも貴重な開発経験を積めたことは間違いがなく、またかなりの部分を日本側でいじることができることから、試作機XF-2のテストベッドとしての利用など、余り注目されないところでも役立っています。最近では初号機(#501)が先進統合センサ・システムのテストベッドとして改造されて登場したことが話題になりました。

F-15Jの時には戦術電子戦システムが提供されなかったり、F-2でもFBWソフトウェアが提供されなかったりブラックボックスがあったり、F-35では国産ミサイルが搭載できなかったりとか、外国製兵器の導入にまつわるあれやこれやがつきまといますので、独自の運用や武装を要求することが多い日本としては、国内開発に拘りたい一面があります。少なくとも、開発の主導権を握った共同開発が望ましいでしょう。

ここで問題になるのは、戦闘機の重要なキー・コンポーネントの一つであるエンジンです。

1960年代にジョン・ボイドE-M理論を確立して以降、戦闘機の性能はどれだけ余剰推力を供給し続けられるかにかかっていることが明らかになり、大推力・大推力重量比のエンジンこそが戦闘機を成功させる鍵と位置づけられています。それ故に、F100、F110、F414というエンジンを握った米国は圧倒的な優勢を築き、RRやSnecmaはこれらに比肩するエンジンを今も提供できていません。

米国はF-22用のF119、F-35用のF135と更にエンジン技術を進歩させており現状独走状態にあります。F-22やF-35の高性能の実現には相応のエンジン技術が背景にあるわけです。

当然こういったエンジンが単体で提供されると考えるのは楽観が過ぎます。日本はFS-X時のトラウマが相当深刻だったようで、国産ジェットエンジン開発を1990年代後半以降、細く長く地道に続けてきていました。F3をベースにアフターバーナーを付けたXF5開発しX-2に搭載して飛ばしてみたり、更に大型のエンジンを製造するために必要な製造装置を国の補助金を付けて導入したりと、20年近い歳月を地道にエンジン開発に投資してきたという事情があったりします。

その成果物となるXF9が今年納入され、現在試験に供されています。開発途上に何度か行われた発表を散見する限り、F119に迫る性能を持っている、とされます。事実かどうかは分かりませんが、少なくともこれが今回のバーゲニングパワーの源になっていることは疑いありません。国際共同開発においてもかつてより有利な条件を得られる可能性があるのは、このためと思われます。

こういった事例はかつてのH-IIロケットH-IIAロケットとの間でも見られます。H-IIで完全国産化を実現したために日本側のバーゲニングパワーが優越し、以後リーズナブルに技術を得られるようになった、というやつです。

こういった技術の問題では、自前の技術の有無によって足元を見られる、というのは悲しいことですが事実です。

この20年に渡るエンジン技術への投資を、バーゲニングパワーを得たことで良しとして共同開発に乗り出すのか、はたまたここまで来たのだから更なるリスクを取って全成果を自前で組み上げて自由に改造できる機体を手に入れるのか。そういう判断を政治には求められているのではないかと思う次第です。


2018年8月24日(金曜日)

颱風接近で大風の一日。

淡路島では風力発電の風車が倒壊したそうで……。

過去にも沖縄で風車が倒壊した事例があったりしまして、颱風が襲来する日本では風力発電というのは少なからぬリスクを背負っているんですな……。

幸い、人的被害がなかったから良いものの、大きさを考えると毎度毎度幸運を当てにするのはどうかと思いますからね。

太陽光発電も颱風で地すべり等による被害を受けていますし、まあ、なんにせよどんな発電方法でも一定のリスクはあるという話ですな。


2018年8月25日(土曜日)

首都大学東京の名称を東京都立大学に“戻す”んだそうで……。

えーと

首都大学東京は東京都立の公立大学4校(東京都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学)を統合して2005年に発足した新大学の名称として定められたものですので、首都大学東京に合流した4校の名称のうち1校の名称に「戻す」ってのは、些か用語に不備がある気がしないでもなく。

個人的に「首都大学東京」の名称が良いと思っているわけではないのですが、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学が東京都立大学に吸収合併されたのではなく、あくまで新大学に統合されたという形を取ったため、新名称になった…というのは一応筋が通っているとは思うのですが、どうでしょうか。

どちらにしろ統合に際して校名・法人名変更の事務が発生するので、その際に学校名称を変更するのは、然程の追加負担でもありません。

しかし今回の名称変更は、何らの実体の変更を伴わない、まさに名称変更のための名称変更です。そのために各種印刷物(書類や用箋、封筒に至るまで)の更新を行い、掲示物、ウェブサイト、メールのシグネチャ等の変更を行い、更には道路の看板や案内板の変更まで税金を投入して行うことになります。果たしてそれだけの費用対效果があるのでしょうか。できればその判断に至る材料(所要費用に対する效果)を提供していただきたいものです。

そしてもう一つ。都立大の名称が変わった後の2009年に武蔵工業大学が東京都市大学と改称しておりまして、困ったことに「東京都立大学」と一文字違いのややこしい名称になってしまっています。

今に至ってこれらの不都合を呑んででも果たして改称を行う合理的理由が存在するのでしょうかね……。


2018年8月26日(日曜日)

NHKのETV特集隠されたトラウマ〜精神障害兵士8000人の記録〜」は良い番組でした。

昔、日露戦争における精神障害兵士(廃兵)についての文献を読んだことがありますが、日中戦争・太平洋戦争はまた違った様相がありますね。

北支における戦いの様相が、敵は軍服を着ない便衣兵、敵に捕まれば即銃殺、24時間どこから弾が飛んでくるかわからないという末期のゲリラ戦の様相を呈していたことが番組中で描かれていましたな。対する日本側も、敵が誰かわからないので村ごと焼く、皆殺しにする、という後のベトナムで米軍がやったようなことをやったわけです。そして兵士たちはPTSDを発症する。

人間、同じような状況に陥れば同じようなことをするよな、と。

故・ジョン・マケイン米上院議員の言葉ではありませんが「我々には相違点より類似点が多い」のです。

戦争の規模拡大に比して徴集・召集の拡大が行われ、その結果として適性に欠ける人間をも兵隊とせざるを得ず、訓練体制も崩壊し、更なる犠牲の増大を招くという悪循環構造が大東亜戦争を通じて進行するわけですが、この連鎖を何処かで断ち切れなかったことは、一つ反省点でしょう。

そして、国の要請によって軍務に就き、精神を病んだ方々への対処がお座なりだったことは、もう一つ強く反省されるべき点であると、番組を見て思いました。


2018年8月27日(月曜日)

元女子大学生に有罪=スマホ自転車で死亡事故−横浜地裁支部」という報道。朝日の方が詳しいかな。

2015年の道交法改定で自転車運転者講習などが規定され、道交法違反者への受講命令が出せるようになって以降、自転車の運転についても取締が厳しくなってきていますが、今回は嚆矢とも言うべき公判かと。正直、かつてなら示談になって起訴まで行かなかったと思うのですよね。重く受け止めるべき判例になったかと思います。

ただ、刑法の重過失致死となったのは些かどうかと思うのですよね。まあ、自動車運転処罰法は文字通り「自動車」にしか適用できないので自転車は適用範囲外なのですが、個人的にはこの法律を「車両運転処罰法」に拡充して自転車についても規定を加える方が良いと思います。

本来一般に過失を罪に問うのは法の趣旨に反するわけで、例外規定を振り回すのはよろしくないと思うのです。

あと、厳罰を求める声があるようですが、個人的には反対です。既に被告は大学を退学しているそうですが、これは休学とすべきだったと思います。刑罰は報復ではなく、社会正義の実現と犯人の更生に資するべきであって、被害者やその遺族の報復感情を満足させることを主眼にしてはいけないと思う次第。

この被告人が更生して残りの人生を全うできることを主眼にしたいと思います。刑罰をやたらと重くすると、被告の人生をも滅茶苦茶にして、人生を台無しにされた人がもう一人増えるだけ、なんて話になりかねませんからね。


2018年8月28日(火曜日)

AMD、次期「Zen 2」および「Navi」はTSMCの7nmプロセスで製造へ」とGlobal Foundriesがプロセス微細化競争から脱落する模様。AMDのFabが分社化された製造会社だったわけですが、これでAMDも名実ともにファブレスに。GFの7nmはIBMの事業を買い取ったものだっただけに、これで最先端プロセスはIntelとSamsung、TSMCの3社に集約されたものかと。

しかし、TSMCにしてもSamsungにしても、フロントライン・ステートに工場があるという立地のヤバさがあるわけですが、世界経済に悪影響がなければ良いのですがね。


2018年8月29日(水曜日)

なかなか興味深い話題。

元の記事を図書館で確認してきたわけですが、会議の正式名称もWebサイトも載っていないという、何という役立たずな記事か……。多分これ(Certain Conventional Weapons / Group of Governmental Experts)じゃないかと思うわけだけど。ほんと、リファレンスにならん記事だな……。

人間がAIロボット兵器を破壊するのも、AIロボット同士が戦うのも誰も文句言わないのかなぁとか思いつつ、要は「倫理」の問題ですからねぇ。実利的に言えば、極限状況下での判断力に信頼が置けない人間よりも人工知能の方が戦場における判断は信用できるんじゃないかと私などは思いますがどうでしょうか。人間は自分の命に危険が及ぶ状況下では冷静な判断が難しくなりますし、過剰に自己安全な対処に傾きかねません。無人のAI兵器なら、判断を他者安全側に倒しても壊れるのは機械ですからして。

例えば、赤十字や赤新月の標識を「絶対に」攻撃しない、という制約も、人間ならば難しいところもありますが、AIならば不可能ではないでしょう。生身の人間だったら不可能な行動、例えば光や音で警告を発しながらの攻撃だって無人兵器ならアリなわけで、巧く使えば双方の犠牲者を減らすこともできるかと思うのですがねぇ。

基本的には実用化は不可避と思われる技術なので、せめて無用の憎悪を駆り立てない方向でまとまって欲しいものです。


2018年8月30日(木曜日)

国立教育政策研究所教育図書館 明治期教科書デジタルアーカイブ」「国立教育政策研究所教育図書館 貴重資料デジタルコレクション」が公開されたとか。これと「広島大学図書館所蔵教科書コレクション」を相補的に利用すると、明治から昭和初期にかけての教科書類が色々と閲覧できるわけだ。

だけど実際見ようとすると「館内閲覧専用」とかになってる本もあるなぁ……。まあ、それでも「公開」は「公開」だけども。


2018年8月31日(金曜日)

Twitterで流れてきて知ったんだけど、「もみもみホットケーキミックス」なるものが発売されているらしい。

120gってのが嬉しいですね。普段スーパーで売ってるホットケーキミックスは何分家族向けで量が多く、一度作ると飽きるまで食べ続けないといけない問題がありまして、手を出すときはそれなりに覚悟が必要だったんですよ、私の場合。

120gだと食べきりサイズというか大体2枚くらいで多過ぎないところが有り難い。

洗い物が出ないのも良い所ですが、問題は価格ですかねぇ。