哀愁日記
底に哀はあるの。

もしくは、

「常識日記 文科系的日常」


西紀2013年8月分

Caution!

このページはあくまで小熊善之個人の責任において製作されており、坂村健先生及びTRONプロジェクト、パーソナルメディア社、並びにYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は関与しておりません。
守秘義務の関係上、伏せ字になっている箇所があります。伏せ字の中身を御推測なさるのは結構ですが、あてずっぽうの内容を他者に広めて誤解を拡大再生産することだけはないようお願いいたします。

目次 | 前月 | 初日 | 末日 | 翌月

2013年8月1日(木曜日)
 「スマホ電池、容量10倍 信越化学が新材料 3〜4年後に量産」とか、本当かよ?的ニュースが。
 実用化すれば、大きな技術革新になりますね。現在、電気自動車では電池の重量が200kgを超えますが、これが同容量で20kgにできるなら、話が全く違ってきます。100kgの電池で1,000kmも走れるとなると、計算上ではガソリン自動車をほぼ代替できる性能を持つことになります。
 まあ、この手の話は、実際に量産できるかどうか分かってからでも遅くないのですが……。技術的に優れている筈のものが、量産できずに消えていくことはよくあることですので……。

2013年8月2日(金曜日)
 朝から病院。

 夜には、「加藤秀樹監督作品完成披露試写会2013」へ。
 映画を堪能した後懇親会へ。
 そこで、いよいよハイビジョン制作に踏み込みつつあるのだが、現用のPCだとマシンパワーが足りないと相談される。Phenom x6なんだけどなぁ……。
 それ以上のマシンをということになると、ワークステーション級のマシンを用意しないといけない。予算の制約が……。


2013年8月3日(土曜日)
 朝から横須賀に艦を観に行く。
 今年就役したばかりの、あきづき型護衛艦2番艦「てるづき」が一般公開になっていた。

 たかなみ型に比べると、艦橋構造物が大型化してるのと、ステルス性への配慮から舷側の開口部に蓋があるのが印象的だった。


2013年8月4日(日曜日)
 疲れを取るための休養日と位置づけて惰眠を貪る……つもりが、なんだかんだで用事を済ますために出歩いたりして。
 クレヨン社の件でも頭を悩ませつつ、情報を收集したり。予算が潤沢にありゃぁなぁ……。
 こっちは取り敢えず9月のIvy Bridge-Eの情勢待ちって感じにしとこう。

2013年8月5日(月曜日)
 昨日書き落としていましたが、H-IIB F4射上げ成功。
 HTV-4も順調に飛行を続けている。
 さあ、次はイプシロンだ。

 ジンバブエ大統領選挙が挙行され、現職のムガベ大統領(89歳)が6選を果たしたそうである。任期は5年。
 同時開催となった同国下院選挙でも、大統領率いる与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線が圧倒的大多数を確保。憲法改正へ動く様相とか。
 これはもう終身大統領とか、皇帝就任とかが期待されるレベル。
 ハイパーインフレーションが收まってから今ひとつ話題に欠けたジンバブエですが、また熱気を帯びてきたようで嬉しい限りです。

 平成25年版警察白書の要約版によると、統計上刑法犯は減っているのに、世論調査による体感治安は悪化しているとのこと。
 原因については、要は“不安”の増大なんですが、この不安を増幅している人達をどうにかした方が健全なんじゃないかなぁとか思うなぁ。
 児童虐待やストーカー対策については、家庭への公権力の介入や民事不介入原則のために後手に回っている所がないでもないのだが、だからといって警察が両者に積極的に介入するのが良い状態だとも思い難い。警察力はそのような問題に対して強力過ぎる嫌いがある。


2013年8月6日(火曜日)
 「LIXILのトイレ操作アプリに脆弱性 - 使用中に蓋の開閉やビデが行われる恐れ」というニュースが世界を駆け巡っております。
 日本が誇るハイテクトイレがハック可能であるという話題にSlashdotでも議論が白熱しており、日本の技術は地球外テクノロジーだとかなんでトイレに38箇もボタンが必要なんだとか誰がトイレをネットにつなごうと考えたんだとか、絶賛の嵐であります。
 一日本人である私としても、一体誰がBluetooth接続したスマホからトイレを流そうと考えるのか、非常に興味深いところであるわけですが、日本人でもわからないものが外国人にわかろうはずもなく、神秘の国ニッポンの姿は一層厚いヴェールで覆われることとなった模様です。

 沖縄で米空軍のヘリが墜落して、死者1名、負傷者3名を出したそうな。犠牲となった米軍人に哀悼を。
 墜落したのはHH-60ペイブ・ホークだそうですので、捜索救難ヘリコプタですね。
 救難、というと何やら平和な任務のようですが、米空軍における“救難”とは、敵上空で撃墜され脱出した搭乗員を救出するために、敵地に突入して場合によっては戦鬪をして捕虜になっている搭乗員を奪還して生還するという困難な任務を果たす精鋭だったりします。救難員(メディック)はパラシュート降下して強襲して負傷している要救助者を担ぎあげ、追ってくる敵兵を蹴散らしながら救難ヘリとの邂逅点まで踏破するとか、聞いただけで目眩がしそうな任務内容です。
 救難ヘリはこういう任務を支える裏方ですので、当然訓練内容も厳しく、夜間に地形追従飛行とか、一歩間違えば事故になりそうな訓練を行なっています。事故率も残念ながら高めです。
 事故が起きたのは遺憾なことですが、これにメゲずに、任務に精励して頂きたいと思います。


2013年8月7日(水曜日)
 昨日、22DDHが無事進水、予定通り「いずも」と名付けられたわけですが、CNNでも報じられててちょっとびっくり。
The ship, named the Izumo, is classified as a helicopter destroyer, though its flattop design makes it look like an aircraft carrier.
(いずもと名付けられたその艦はヘリコプター搭載護衛艦と分類されます、フラットトップデザインは航空母艦のように見えますけども)
 はっはっは。
 誰がどう見ても単なるヘリコプター搭載護衛艦じゃないですかCNNも冗談が巧いなぁ(棒読み)。

 「慰安所:朝鮮人男性従業員の日記発見 ビルマなどでつづる」「慰安所従業員:日記発見 識者に聞く」「慰安所従業員:日記発見 慰安婦の日常、淡々と 募集の時期は欠落」と、研究者にとっては色々と興味深い文献が見つかったとの報道がありました。今後の研究における一級資料と位置づけられるでしょうね。
 実のところこの問題は、“従軍慰安婦”という定義が困難な用語を用いると議論が発散してしまうため、術語の選択から慎重にならなければいけないのですが、一般にはぞんざいに扱われている感があります。結果として、本来異なる問題が“従軍慰安婦”という魔女の鍋にぶち込まれて煮込まれている嫌いがあります。
 この問題に関わる全ての人に最低限の知識を要求することすら困難な問題ではあるのですが、非常な単純化が齎す害悪は計り知れません。正確な知識と研究は望ましいものです。
 ちなみに“強制連行”について言うならば、「(恐らく)朝鮮半島ではなかった」と言う話であって、大日本帝国外の日本占領地では現地女性への売春の強制があったことは日本政府も認めています。それは間違いない話で、補償も行われました。
 間違っているのは、当時“大日本帝国に暮らす帝国臣民”であった朝鮮人が、あたかも占領地の現地住人であるかのような扱いを受けたと主張していることで、これは色々と誤りを含んでいるのです。日本人と同等の扱いを受けられたと主張するつもりもありませんが、当時の基準で著しい人権侵害や犯罪が行われたという証拠もないのです。
 しかし日本側の韓国への反論が国外で報じられる際に、「朝鮮半島では」の部分が欠落していき、結果として日本のイメージを損なっているのが現状です。
 色々と、面倒なんですよね……。

 なんか米国でまた乱射事件があったらしいんですが。

 えー。ゴミ屋敷の住人がゴミの処分を巡ってゴミじゃない俺の財産だと熱い訴えを鉛弾を以って主張したとのことのよーであります。
 それにしても、会議の出席者が銃で応戦とか、想像されるシチュエーションは殆ど西部劇の世界なわけですが、一体会議で銃をどのように使う予定があったのか知りたいような知りたくないような。
 きっと意見が対立した時に最終解決手段として用いるとか、そういう感じなんでしょうな。
 それにしても最近、この手のニュースが三文記事並の扱いなんですが、大丈夫なんでしょうか米国?

2013年8月8日(木曜日)
 「銅剣鋳型:滋賀で出土 国内例なく、中国式に類似」という面白そうな話題。
 沿海州から日本海側へ直接渡ってくるルートが当時既にあったのかねぇ。
 昨今では稲作(水稲)は朝鮮半島を経由せずに支那南部(揚子江下流域)から直接日本に伝来したことなどがほぼ確実になってきており、支那→半島→日本というかつて信じられていた単純な伝播の構図は最早成り立ちません。
 恐らくこれも「多様な伝播経路」の傍証の一つとなるのでしょう。
 夢が広がりますね。

2013年8月9日(金曜日)
 SNSが馬鹿発見器というのはほぼ定説になりつつありますが、「若者のモラルの低下続々 今度は中学生の飲酒画像」という記事を見て、「「うちら」の世界 24時間残念営業」「私のいる世界 ひきこもり女子いろいろえっち」を思い起こす。
 どうやらこの日本では、学歴というか知能レベルによる国民の分断が進んでいるらしい。

2013年8月10日(土曜日)
 ここ数年、長期の休みの前に病気を拾って、休みの間中寝て暮らすことが増えているのですが、今回も見事に前車の轍を踏みました。
 週頭から体調がおかしかったのですが、金曜夜に病院へ行くと、抗生物質を処方されて安静を申し渡されました。
 病院で体温を測ったら見事に熱があった。
 全くどうしようもない話です。
 というわけでコミケには不参加となりました。

2013年8月11日(日曜日)
 お盆休み前ギリギリに届くか?と言われていたパーツが届いたと自転車屋から連絡があったので、微熱はあったものの炎天下自転車屋まで自転車を引っ張っていく。
 部品を組み付けて貰い、その後家まで試走し、その他交換しようと思っていた部品を取り付けたり取り外したりして調整しては試走して調整しては試走してを繰り返していると天候が悪化してきて家に逃げ込む。ギリギリで調整は終わった。
 その後、雷鳴と共にゲリラ豪雨が襲い掛かかって来て……すぐに去っていった。
 この天候、日本の夏の風物になるんかいな……。嫌やな。

2013年8月12日(月曜日)
 昨日のNHKスペシャル「自衛隊と憲法 日米の攻防」は、狙いを絞ったといえば良いけど、悪く言えば視野の狭い番組だったなぁ……。日本の外交を対米国に限定してしまっていて、二国間外交とその他、みたいな扱いになってしまっていた。
 日本の国際軍事活動への参加には確かに米国からの作用が強く働いたけれども、“小切手外交”への批難は何も米国からのみ受けていたわけではなくて、冷戦後の国際秩序の中で日本が有力な立場を築けなかった原因とか機構とかも、もう少し丁寧に採り上げて欲しかったな、と。
 もっとぶっちゃけると、世界有数の経済大国となった日本が平和への只乗りを許されなくなった事情、ってやつを。
 あと、集団的自衛権がどういったものなのかについて、説明が殆どなかった気がする。この点は大丈夫なんだろうかね?

2013年8月13日(火曜日)
 七夕。
 日中、外を歩いたら「おや、今日は涼しいのかな?」と思った。後でニュースを見たら、東京は4日ぶりに猛暑日とならず、最高気温は34℃であったという。
 何かがおかしい……。

2013年8月14日(水曜日)
 そういえば先日、インドが建造中の空母「ヴィクラント」が進水したそうな
 これまでインド海軍は英国やロシアの中古空母を購入して運用してきましたが、ここへ来て初の国産空母ということになります。無事就役すれば、ですが。
 まあ、なんというか、現在の想像図通りに出来上がるならば、過去に余り見たことがない設計ですからして……。野心的な設計と言えなくもないわけですが。
 正直、インド海軍が空母を運用する利益というものが見え難いのですが、何らかの利得があるから巨費を投じているのでしょう。非同盟諸国と称していても悪く言えば軍事同盟を結ぶ相手の居ない国なので、そういうものが必要になるのかもしれませんし。

2013年8月15日(木曜日)
 NHKスペシャル「シリーズ日本新生 戦後68年 いま、"ニッポンの平和"を考える」は、興味深い内容だったんだけど、コメンテータや議論のために呼ばれた人達の標本抽出法をもう少し考えるべきだったんじゃないかなぁと思わなくもなかった。多分、意図的にほぼ同数にしたんだと思うんだけど。
 テレビでの抽出放送分だけじゃなくて、議論全部を頭から終わりまで録画したものをwebで公開するとかしたら、もっと面白かったのに。
 ただまあ、NHKでも防衛力強化が云々される時代になったという意味では感慨深いものがある番組であった。

2013年8月16日(金曜日)
 青空文庫発起人の富田倫生氏の訃報が飛び込んできた金曜日。
 かつての仕事でお会いしたこともある方ですが、著作権延長に反対し、今般のTPP交渉においても、著作権の延長、非親告罪化に警鐘を鳴らしておられました。
 彼が生み出した「青空文庫」は、まさに著作権というものの存在意義を問い、文化芸術の発展のために必要な物は何かを示し続けました。
 今、青空文庫は日本の電子書籍業界にとって、また海外における日本語学習者にとって、評価しきれない程の価値を持っています。
 富田氏の偉業に敬意を表し、追悼の言葉と致したいと思います。

 「「はだしのゲン」を閲覧制限という話題が一世を風靡しております。
 「はだしのゲン」から残酷描写を省いたら作品として成立しない気がするわけですが(まて)、私はこのような表現規制には根本的に反対です。言い出したらキリがないからです。
 最近では某映画の煙草の描写にいちゃもんを付けた団体がありましたが、このような正義や清さ、美しさを創作の場に要求する傾向は、民主主義の本質である言論表現思想信条の自由を扼するものです。
 はだしのゲンで描かれたものは、確かに極めて残酷で、残忍です。しかしそれは殊更に中沢啓治が酷薄な描写を好んだことを意味するわけではありません。描こうとしたもの、それそのものが、残酷で残忍であったのです。そしてその事こそが、作者の伝えたかったこと(の一部)であった筈です。
 勿論、格調高い韻文で戦禍の悲惨さ、前後の苦難を表現できる人もいるでしょう。しかし子供にはそのようなものだけを与えておけば良い、という考え方には賛同できません。
 現実はそれ程美しくも清くもないのですからして。


2013年8月17日(土曜日)
 イスラエルの政治家が「原爆追悼式典「うんざりだ」」とか公言したそうで話題になっておりましたな。
 日本人の私でもうんざりするところがあるので、外国人ともなければそのようなご意見を頂くこともあろうかと思います。
 ただまあ、公人としての立場のある方としては、言うべきではないこともあるのではないかと、イスラエルという国の国情を考えると、愚考する次第。
 イスラエル社会がなぜテロの脅威に晒されているか、とかを考えますと、よく言って「オマエモナー」的扱いを受けるのではないかと思われます。

2013年8月18日(日曜日)
 コミティア。
2013年8月19日(月曜日)
 夏休み明けの一日目はWindows Updateで終始した……。

2013年8月20日(火曜日)
 エジプト情勢については、この日記ではあまり触れてこなかったのですが……「エジプト 博物館で文化財略奪と危惧していた事態に。売られるくらいならともかく、今の情勢だと原理主義な人たちが「邪教の文物だ」とか言って燃やし兼ねん。
 私は元々「アラブの春」とかいうものに対して懐疑的な人間だったので、現在の情勢に対して失望など一片たりとも抱くことのない現実主義者です。エジプトについて言えば、ムバラク元大統領を力尽くで引きずり下ろしちゃった時点でもう駄目だろうと思っていました。
 私にはエジプトについて效果の有りそうな処方箋を提示することができません。ただ、優先順位を付けるならば、治安の確保が第一であり、場合によっては民主主義は二の次になるであろう、と思っています。ここに至っては、戒厳令を敷いてでも治安を維持せねばならないかと。
 エジプトの治安が全面的に崩壊した場合、スエズ運河やイスラエルのガザ地区など、連鎖的に事態が悪化し、国外の介入を招きかねません。特にスエズの治安が脅かされた時、国際社会がエジプトの主権を尊重してくれると楽観している者はエジプト国内にはおりますまい。
 主権国家は、他の主権国家から主権国家であると認められることによって主権国家として存在し得るのです。エジプトが置かれている状況は、その瀬戸際でかなり切迫していると私には感じられます。
 様々な事情があるとは言うものの、あれだけ民兵組織だの何だのと武器が一度社会に溢れてしまうと、治安の維持・治安の回復は非常に困難な任務になることが推測されます。
 可能であれば民主的な手続きに従って暴力の正当な独占がなされれば良かったのですが、不幸なことに、モルシ前大統領はその能力がなかったのです……。

2013年8月21日(水曜日)
 「読めない標識「Kokkai」やめます 外国人から苦情」という記事を見ましたが、実はこの問題、それ程単純でもないのですよね。
 “ローマ字表記”は、ラテンアルファベットで記述された日本語であり、日本語が分かる人への表記ということになります。日本語の漢字仮名交じり文は習得コストが非常に高く、特に非漢字圏出身の日本語学習者にとって大きな壁になっています。ただし、口話の方はそれ程でもなく、日本在住の外国人の中でも喋るのは問題ない方は相当数居られます。
 ローマ字表記というのはその様な「漢字仮名交じり文未習得者」への対応という面があります。
 勿論、標識の面積(書き込める文字数)に限りがあることを考えれば完璧な解決策などあろう筈もなく、あちらを立てればこちらが立たない問題ではあるのですが、今回の決定は定住外国人から外国人旅行者に向けた方針の転換であると考えられます。
 まあ、最近は観光立国とか言っているので一概に過ちであるとは言えないのですが、せめてカナ表記を取り入れられないものですかね。

 「日本の中古車、アフリカで爆発的ブーム」という記事を読んで昔を懐かしむ。
 私の郷里・富山県は日本海に面しており、ロシアから材木を運ぶ船がよく来航します。そういった船は帰りに中古車を満載して帰るのが常でした。港近くにはロシア人向けの中古車ディーラーが軒を連ね、国内では売れないような十年落ちとかが激安価格で並んでいましたっけ。
 今般はアフリカですか……。
 実はアフリカの南部には旧英国領を中心に自動車が左側通行をする国が集まっていまして(参考)、右ハンドル車が求められる下地はあるんですな。
 しかしそれにしても……。

 ちなみにザンビア向けの場合、東に隣接するタンザニアのダル・エス・サラーム港で中古車を陸揚げすることになる。そこからザンビアの首都ルサカまでは、陸路で約2000キロ以上。専用トレーラーではなく、購入した中古車を走らせる。引き取り業者に運転を任せることもできるが、中には購入者が自ら運転することもあるという。途中で故障するようなことがあれば極めて危険なため、中古車には高い信頼性を求める。
 それは中古車の信頼性云々以前の問題があるように思うわけだが……。
2013年8月22日(木曜日)
 「はだしのゲン」問題が妙な方向へ迷走を始めているように感じられる件。
 言論表現思想信条の自由を担保する機関としての図書館は、特別の事情を除いて、読書閲覧の自由を守らねばならない。特別な事情というのは、例えば訴訟の果てに他者の権利を著しく害すると司法判断が下された場合など、極少数の図書である。
 学校図書館も、その目的に教育という力点が置かれているとしても、基本的には図書館としての義務を担っており、選書の自由と閲覧提供の自由を維持しなければならない。読む・読まないの選択は、常に読者に委ねられなければならない。
 もしも、議論の主題が「『はだしのゲン』を学校図書館に備えるべきであるか?」であれば議論は選書基準の問題であり、また違った枠組みの話になる。それは「『水からの伝言』を学校図書館に備えるべきであるか?」と同じように、教育的效果を問うことになるであろう。
 公共図書館であれば虚偽の内容を含む書籍もオカルト、宗教的書籍、広告企画本なんでもござれであろうが、学校図書館であればやはり考えねばならない点はある。例えば「ムー」が学校図書館に相応しいかと言われると、予算の枠内でもっと優先されるべき本があるだろう、という話になる。
 しかしこの選書問題は既に通り過ぎた後であり、各学校に「はだしのゲン」が配備されているのであれば、それは自由に児童生徒が閲覧できるようにすることが、図書館の使命である。それは当該書が「はだしのゲン」であるか否かは問わない。「水からの伝言」であったとしても、同じ措置を取るべきだ。
 自分と異なる意見に基づいて書かれた本について、それを制限したいと強く希望する心性は、どちらかと言えば自然なものだ。しかし、その自然な想いを形にすれば、そこに現出するのは検閲の罷り通る、言論不自由社会。ある意見が気に入らない時に、「その意見は気に入らない!」と表明する自由と権利が保障される社会であり続けるためには、気に入らない表現が発行され流通し閲覧される自由が保障されなければならない。
 もし教育的にどうしてもというのであれば、「はだしのゲン」に対して「この本には残酷な描写があります」との注意書きを付けるのが良いだろうし、また「『はだしのゲン』異論」などの本を認めて「はだしのゲン」の隣に置くよう働きかけるのが正道ということになる。
 そういう意味で、「はだしのゲン」を特別視する考えは歪だし、事態の理解として誤った方向へ進んでいる。
2013年8月23日(金曜日)
 秋田書店の読者プレゼント用景品水増し事件が思わぬ方向へ転がっている件。
 元々は、消費者庁から、漫画雑誌における読者プレゼントの景品水増しについて是正措置命令が発せられたことが発端だった。
 これに対して、毎日新聞が景品水増しに関わった社員が懲戒解雇されていたことを報じた辺りから、事態が転回 or 展開していく。
 しかし、微妙に内容の違う記事が何本もあるってのも……まあ、いいか。
 労働団体“首都圏青年ユニオン”からは、解雇された女性社員が解雇後に同ユニオンに加入し、消費者庁へ告発を行ったことが発表された。
 これらの報道に対し、秋田書店は社告を打って反論している。  当然係争中の当事者たる首都圏青年ユニオンからは再反論が掲げられ、事態は泥沼化している。  私は警察でもなければ裁判所でもないので事実関係を知る立場にはないのだが、上記の情報に加えJCASTの「8年前から読者プレゼント水増し 秋田書店「常態化」認めるも、内部告発理由の解雇は否定」辺りを加味して見ると、色々と齟齬は見えてくる。
 まず、証拠不十分等により措置命令の対象にはならなかったが、景品水増しが始まったのは2005年頃であり、告発女性の入社より前である。この点は秋田書店も消費者庁も認めているので、争いのない事実であろう。
 告発女性は2007年に入社。2011年9月より休職。2012年3月末で解雇されている。解雇事由は「多数の読者にプレゼントを発送せず、不法に窃取した」(毎日新聞にある告発女性側の証言)元社員が賞品をほしいままに不法に窃取したこと(秋田書店社告)とあるので、読者プレゼント用の景品を窃取したとの理由である点で両者の供述は一致している。しかしこれはどう見ても刑法犯罪なのではないかと言う気がするが、穏便に済まそうとしたのだと言えなくもない(そういうことは多々ある)。ただ、現時点で公にしてしまっているので警察は事件を“認知”している筈である。
 さて、消費者庁から認定された景品水増しは2012年4月までである。告発女性は2011年9月より休職しているとのことなので、その後半年は水増しが続いていたことになる。ということは、告発女性のみが景品水増しの原因である、という主張は成立しない。秋田書店も社告で両者は無関係であると主張している。しかし告発女性側はこれを事実無根の不当解雇であると訴えている。景品は元から足りなかったのだ、と。
 両者の主張のどちらが正しいかは、最終的に法廷にて決着がつくと思われるが、無責任な外野が観察している限り、秋田書店の主張はかなり苦しい。
 秋田書店で景品水増しについての主張が正しいとすれば、2012年初頭頃に内部調査が行われ、内部にて景品水増しが発覚し、是正対策が取られたのであろうが、その際に景品水増しとは別に景品の窃取が発覚し、これを理由に告発女性を解雇したことになる。ありえないとは言わないが、説明が苦しい気がする。元から足りなかったものがもっと少なくなったからといって、彼女の窃取であると証明する何かがあったのだろうか? 消費者庁の発表文の別表には、発表された当選者数と実際の景品数の表があるわけで、この差分の中に彼女が窃取した数が含まれているのだ、という主張なわけだが。
 そんなの消費者庁の調査の段階で分かりそうなもんなんだが……。
 無論可能性の話で言えば可能性はゼロではないだろうが、蓋然性という面からすると、景品そのものが足りない理由を「彼女が盗みました」と言って責任逃れをした誰かが内部にいるんじゃないの?という気がする。
 ま、全ては法廷で明らかになるだろう。

2013年8月24日(土曜日)
 一時期の酷暑が治まってきた気がする……気のせいかも知れないが。
 ただ、天候は相変わらず滅茶苦茶な感じで、夕立と呼ぶのが憚られるようなゲリラ豪雨はどうにかならんものか。
 今日も自転車の途中で降ってきた時には肝を冷やした。幸い、ちょっと濡れる程度で済んだけど。
 涼しくなってくると、自転車に乗りやすい季節なんだけどなぁ。

2013年8月25日(日曜日)
 「さよならタマちゃん」で、本編を読んだ後、カバーを剝いでちょっと安堵した。本編で凄く気になってたけど、体裁上結果がわからないままかと思ってたんで。

2013年8月26日(月曜日)
 「はだしのゲン:閲覧制限を撤回…松江市教委」だとさ。
 なんというか、しなくてもいい議論だった気がするわ。
 図書館の機能や役割が、教育委員会レベルで理解されていないことが分かったことだけが收穫か。

2013年8月27日(火曜日)
 久方ぶりのISASの新型ロケット“イプシロン”は、射上げ19秒前に異常が発見されて射上げシーケンスが停止。本日の射上げは中止となりました。
 システムが異常を検知して自動停止。
 実に素晴らしいですね。
 ロケット射上げはかくあらねばなりません。
 特に固体ロケットは点火したら後は燃え尽きるまで制御できませんので、火を付けてしまったら後は祈る他なくなってしまいます。
 止められるなら止めて、問題を確認して原因を究明して対策を施して再度の射上げに臨む。
 これが正しいやり方ってもんです。

2013年8月28日(水曜日)
 シリア情勢が緊迫の度を深めております。
 以前から何度となく上がってきた化学兵器の使用が、ついに確実と言われるようになり、西側先進各国が武力介入姿勢を見せています。ロシア、中国は相変わらず反対していますし、また国連事務総長も慎重な姿勢を崩しておりませんが、このままであれば国連を無視しての武力行使に至ることは疑いないかと。
 しかし、よくわからないのがシリア政府軍側の化学兵器使用で、今のこの時点で化学兵器を使用する利益が何もないのに、一体何を目的に使用したものか。露中の援護射撃で国際社会は動けないと踏んだのか……。
 後気になるのは武力介入の規模ですね。本音を言えば大兵力で一気に叩き潰すのが上策なのですが、そうはならないでしょう。
 戦後の混乱を思うと、頭が痛い話です。

2013年8月29日(木曜日)
 最も権威ある英語辞書として知られるOxford English Dictionaryのオンライン版に、この夏新語として「emoji」が採録されたそうな。
 そうか。複数形は「emojis」か……。(遠い目)
 先日も「絵文字、米国でも浸透=日本発のメール文化と伝えられたところであり、今後の浸透と発展を予想するコラムに、実に暗澹たる気持ちに浸ることができました。
 日本語環境においてこのような絵文字が発達した理由については確たる研究がないようなのですが、妄想するなら、手書き時代から手紙などの私文書において記号やイラストを文中に配置することが珍しくなく、その文化がケータイに持ち込まれた挙句のことだったのではなかろうかと。
 日本人は記述システムの表語性の高さに馴染んでいて、発音を介さない文字交換に抵抗感が少ない点も指摘できるかもしれません。
 近代言語が正書法を整備し、唯一の誤りのない綴字法を確立するために血道を上げてきたことを考えると、逆行というか、真っ向からその意義を否定するような所業ですが、その曖昧さと奧深さが日本語の豊かさの源泉なのであると取り繕い、Unicodeはこれで豊かになったんだよ!と主張して色々なことを終はりにしたいところです。

2013年8月30日(金曜日)
 苦心惨憺の末、漸く手に入れたチケットを握りしめ、所沢航空発祥記念館への旅に出た。

 米Planes of Fameより貸し出されたゼロ戦52型の展示もいよいよ終わりということで、タキシングを見物に行った次第。
 18時からの最終回は、なんと直前になって雨が降ってくる生憎の空模様の下で行われた。
 栄エンジンの爆音に、プロペラが巻き起こす後流の轟音。巻き上げられる砂塵、飛んでくる砂粒、排気ガスのオイル臭。雨衣に点々と残る油の跡は、漏れたオイルが後流に飛ばされたものか。
 機体はこの後分解整備を受けて、再び船に積まれて米国へと帰り、エアショーで空を飛ぶことになる。
 PoFの担当者は、整備を続けてあと30年は飛ばしたい、と言っていた。遠い未来まで、その翼が大空に輝かんことを。

2013年8月31日(土曜日)
 暑さがぶり返した土曜日。
 暑い中ひいひいいって秋葉原までケーブルを買いに行くが、目当ての物がなかった。
 おお、何たることぞ……。