ライブレポート

January.9.1999

 1999年の1月9日、渋谷Egg-manで行われたクレヨン社ライブのレポートです。
 折りからの大寒波で日本海側や西日本の交通網が大混乱に陥っていた中でのライブとなってしまい、前回が颱風だっただけに、クレヨン社ってもしかして天候に恵まれてないのかと勘繰ってしまったりして。渋谷も凄く冷えこんでいて、待っている間中寒さに震えることになってしまいました。
 この日実は、ライブの前にクレヨンファクトリーの掲示板で呼び掛けがあって、事前にささやかなOFF会がありました。しかしクレヨン社好きの人って、音楽の趣味の傾向が良く似てるんですねぇ……。
 これまでのバンド形式から打って変わっての少数精鋭ライブでした。


地球のうた
柳沼さん、いきなりとちる(笑)。楽屋ではしゃぎ過ぎたとかで、いきなり第二フレーズで声が出なくなってしまう柳沼さん。場内はやんやの大喝采。

流石打ち込みだけあって、風の音や鳥の囀りなど、「地球のうた」って感じでした。

ユーラシアの風
アルバム未収録曲の中で一二を争う曲。モンゴルの大平原を想起させる雄大な曲。今回は打ち込みのスネアが利いていて、チンギス・ハーンの大遠征みたいな感じでした。

歌った後に、今日は柳沼さんの高校卒以来の友人が来ていると紹介がありました。どうか女子校時代の悪行をばらさないようにとステージからお願いしてました。なんとなく興味があったりして(笑)

オレンジの地球儀
女子校時代の自分を想って作った歌だそうです。
アルバム収録版よりも弦楽器系の音やオルガンといったノスタルジックな音あいになっていて、なんかポップな賛美歌(?)みたいな雰囲気になっていたりして。

次は、なんと「秘蔵VTR お宝映像」大公開! “幻の”クレヨン社プロモーションビデオ。『いつも心に太陽を』のプロモーションのための予算が出て、加藤さんが手作りで、凝りに凝ったために、なんと〆切を大幅に超過して、『いつも心に太陽を』が発売されて三ヶ月もしてから完成したといういわく付きのシロモノだそーで。

いつも心に太陽を
で、その“幻のプロモーションビデオ”とともに演奏されたんです。最初に加藤さんの家の豚の蚊取り線香入れから始まって、部屋の中をぐるり巡って、アルバムに。歌の間次々とアルバムがめくられて、色んな子供たちの姿が映し出されました。
この写真は柳沼さんや加藤さん、それに友人知人親戚に加え近所の小学校まで動員して撮影した物だそうです。白黒やカラーや、本当にいろんな顔が映っていました。
一番最後に大口を開けた子供時代の柳沼さんに、「今(=当時)」の柳沼さんの大口を開けた顔が重なる演出は拍手もんでした。
勿体ないからファンクラブとかで通信販売してみればいいのに(笑)

メンバー紹介がここでありました。

キーボード&マニュビレイタ:高橋寧
『世界で一番好きだった』と『模型風景』でレコーディングエンジニアをなさっていた方。今回はキーボードと、Macintoshを担当しておられたようでした。
ヴァイオリン:小西浩子
クレヨン社ライブではお馴染の方。10キロの減量を果たし、お美しくなられて、「最近上がっちゃうんです」(加藤氏・談)「紅一点ですからね」(柳沼女史・談)。

そして、加藤さんの新兵器発表!
ヤマハサイレントチェロ! 買ったまま放置されていたチェロに変わって、エレクトリックチェロを手に入れた加藤さん。伴奏は嫌だと主張する加藤さんの念願のソロ楽器。
最近お気に入りの曲を一曲……ってNescafeのテーマ。「自称、違いの分かる男・加藤秀樹でございました」(柳沼女史・談)。

絵のない絵本
三拍子の物悲しい曲。この曲がクレヨン社のお二人の出会いの曲っていうんだから、なんともはや。

辻ヶ花浪漫
お正月ということで日本調の曲を……と、いうことで選曲したそうです。でも春の恋の歌。

浅き夢見し
ライブでは初登場だそうです。
アルバムでの歌詞で「えにしにゆれる」の部分が「緑にゆれる」と校正ミスがあったそうです。もちろん正しくは「縁にゆれる」です。良く似てますがね。
で、もう一つ「痛み」にも「都市風景(タウンスケイプ)」が「都市風景(タウンケイプ)」になってるとのこと。
ピアノの激しい曲調にアレンジされていて、恋は恋でも、熱すぎて青い炎が音もなく上つような雰囲気でした。

悲しみの引力
逆にこちらはアルバム版より静かなアレンジ。
苦しい恋愛をしている人も、ためにならないことはないと思うしかないと、柳沼さん。

子供が消える日
柳沼さんのマンションの側に学習塾があるそうで、最近の子供たちは夜十時まで勉強している。そして塾がはねたらコンビニへぞろぞろと移動し始めるとか。最近の子供たちは本当に大変ですねぇと柳沼さん。
そこまでして勉強なんてするもんじゃないってのにと思うのは、僕の傲慢かな?。 チェロのソロパートで加藤さん、とちる。かなり落ち込んでいました。

風の時代
加藤さんが今度はハモニカを吹いた曲。
この曲を聞くと、なんとなくいつも淋しくなる。

青空観覧車
シングルカットのみだったアルバム未収録曲。学習教材のコマーシャルソングだったそうで、「みんなのうた」にでも使えそうな曲でした。シングルの方では子供たちのコーラスが入っていたそうです。
ここで前のプロモーションビデオに出ていた子供の中で、二人ほど芸能界入りしている子がいるという話が。八〜九年経っているってのは、そういうことなんですよね、と。

夜間飛行
やっぱり未収録曲っていい曲が多いよ。早く次のアルバムが欲しいっていつも思ってるんだけど、今回もまたその話はナシ。それどころか、今回は次のライブの予定も定まってないときたもんだ。

誰にだって朝日は昇る
加藤さんって、演奏中はもう没入状態で、目を閉じてノリノリで演奏してるんですよ。どっかのプロレスラー見たいな風体の(失礼!)加藤さんが目を瞑って演奏していると、確かにそう見えるんですが……。 柳沼さんが加藤さんを見て「恐い」と一言。加藤さん、傷ついたんじゃないかな?(笑)

ノラ
初っ端に「迷子の迷子の仔猫ちゃん、あなたのおうちはどこですか?」なんてライブならではのアレンジが利いていた曲。キーボードに戻った加藤さんのソロパートもあって、拍手喝采。 でも「やっぱりコワい」と柳沼さん。

心には銀色のナイフを持て
ここ数回、毎回歌われている曲。本当にいい曲。「帰る場所をなくしてから、僕はこの街を愛した」なんてフレーズにはゾクゾクします。

東京夜景
アンコールの一曲目。いつもなら12月のライブでやる曲なんだそうですが、去年は12月にライブがなかったので、「これがないと歳が越せないという人のために」、時季外れのクリスマスの曲でした。
クリスマスソングとはいえ、別れの曲。

懐かしい駅で電車を降りて
今回、アンコールは二曲ありました。その二曲目が、これ。これも僕は初めて聞く曲でした。数年前のライブで一度演ったことがあるとか。
終わってしまった愛を、懐かしむ曲。東京夜景の次に来たことを考えると、もしかしたら続きの曲なのかな?