ライブレポート

October.17.1998

 1998年の10月17日、渋谷Egg-manで行われたクレヨン社ライブのレポートです。
 颱風10号の近付く生憎のお天気で、しとしとと降りつむ雨の中、行列は前回より少な目。柳沼さんも不安だったらしく、少し前に上のコンビニに行ったら、お客さんが少なくて不安だったとか。でも、最終的には前回と同じくらい入ってました。固定客ってこういうのを言うんでしょうかねぇ。
 今回はチケットのナンバーが60番と結構前の方だったので、ちゃんと座って聞くことが出来ました。


模型風景の街
第一部はアコースティック編成で、パーカッション、チェロ、バイオリン、それに加藤さんのシンセという構成でした。アルバム『模型風景』の代表曲ですね。
しかしこれ以後アルバム出てないんだよね……。

ここで、柳沼さんが春の終わりから体調を崩してしまい、夏のライブを飛ばしてしまい、それでもファンが付いて来てくれて有り難いというお話しがありました。その程度で見放したりしませんって(苦笑)
で、40度の熱を出してしまったときに役に立ったのが「冷えぴたシート」「熱さまシート」であったそうで。特にどっちかのお徳用が使い心地が良かったと力説しておられました。

かぼちゃの馬車
夏から秋へと……で始まる三拍子のスローな曲。これって恋歌だったんですねぇ。柳沼さんが言うまで抜けてました。……考えてみるとクレヨン社ってそういう曲多いな。あまり情熱的とは言えないけど。

柳沼さんが病気で苦しんでいた夏に、加藤さんが歌手デビューを果たす、話。デビュー曲、宮川村音頭。村おこしのための村民歌を作ったら好評で、そのまま音頭も作ったら、仮歌で入れておいた加藤さんの声が気に入られて、そのまま「センセイにお願いします」とか言われてそのまま決まっていた演歌歌手をキャンセルしてレコーディングに。「悪い気しないですね」(加藤氏談)「フトドキな話ですね」(柳沼女史談)。
11月7日8日に三重県宮川村で、櫓の上で歌うんだとか。舞台衣装として着流しを作るんだとか言ってました。

メンバー紹介がここでありました。

チェロ:山岸くみ子
150年もののチェロを操るおねいさん。素晴らしい低音でした。
ヴァイオリン:小西浩子
クレヨン社ライブではお馴染の方。なんでも10キロの減量を果たしたとか。
パーカッション:立石潤三
凄く沢山の打楽器を用意していました。どうやって音が出てるのか不思議で不思議で、よく立石さんの方を見ていました。

ユーラシアの風
僕は初めて聞いた曲でした。モンゴルの大草原がイメージされる、涼やかな曲。カラオケで歌ってみたいよぉ。

ここでダイエットの話。寝込んでいるあいだに5キロも体重が増えてしまった柳沼さん、頑張ってライブまでに2.5キロ落としたとか。食事日記をつけないと、必ず太ってしまう。ダイエットをする時は、必ず食事日記をつけようという話。
それと、ダイエットするとカルシウムが不足気味になるから注意しましょうという話が。

夜想曲
やっぱりクレヨン社の恋歌って、激しくないけど、とっても深い、じわっとくるような曲が多いと思う。

夜間飛行
距離を越える恋を歌ったこの曲も、もう恋というよりは愛の歌だよね。弱さより強さを歌うあたりがクレヨン社的だと思う。

ここでメンバー追加。第二部へ移行です。

ドラム:臼井和義
ベース:金城浩樹
ギター:首藤高広

夕映えのグラウンド
ピアノとパーカッションだけから始まって、バイオリンが加わり、最後にバンド系が加わって、どんどん感じが変わった曲。バイオリンがドラムやベースに被さっちゃって聞きにくくなっちゃったのが残念。

夏、柳沼さんの中学時代の同窓会があったとか。残念ながら出席できなかったけど、写真を貰ったとか。思い起こすと、小学中学とほとんど男の子と口をきかなくて、高校も女子校だったので、あまり男の人と喋らなかった。この年になっててらいなく話せるようになったとか。
クラス会には行きましょう、というお話。

ベストフレンズ
この曲は、聞くといつもしんみりしてしまう。僕は、中学高校と、友人が本当に少なかった。これは僕が人付き合いが下手だということもあったけど、それ以上に僕自身が友人を欲しがってなかったせいだと思う。その数少ない友達とも、ほとんど縁が切れている。

途中、加藤さんがシンセの音色を切り替え忘れたそうな。全然気づかんかった。なんか加藤さんが焦っていたのは見えたけど。

柳沼さん、スリを目撃するの巻。リハーサルの帰り、埼京線で帽子を目深に被ったおばあさんを発見。一番ぎゅうぎゅう詰めの時に乗ってきて、ちゃらちゃらしたお姉さんの側にぴたっとついた。しばしして、お姉さんがばっぐをぐいっと引いた瞬間、電車が急ブレーキをかけ、おばあさんとお姉さんの間に空白が。その空白には、背中ごしに回されたおばあさんの手! 集まる注目! 良く見るとおばあさんは男だった! 女装のスリだった。池袋についたとたん、老人とは思えないダッシュで逃げて行ったそうです。
ショルダーバッグなどは自分でしっかり管理して、「罪人を作らない努力をする」。

柳沼さんがOLの頃、鞄のデザイナをしていた頃、世界に一つしかない試作品の鞄を切られて中身をすられたことがある。ここで教訓。「ショルダーバッグは手提げにした方が安全!」。

柳沼さんは若い頃、満員電車でスカートも切られたそうです。ところが会社にいつも奇抜な格好をして行っていたものだから、誰もスカートを切られたのに気づかなかった。ここで教訓。「いつもから奇抜な格好をしていれば恥をかかない」(そんなんアリか?)

フードつきのコートを着ている人はゴミを入れられるから注意、との話も。「ゴミ被りましたからね」(柳沼女史・談)。

誰にだって朝日は昇る
明日は絶対に今日とは違う一日だ。だから一日一日はとても大事で、無駄になんかできやしない。生きるってやっぱり覚悟のいることだと思う。

ノラ
これも明日を希望で埋め尽くす歌。今日が駄目でも明日があるさ。でもその明日は今日精一杯やったからこそやってくる。

動物好きの加藤さんの動物談義、荒川で釣ってきた鯉を飼うの巻。
魚を捌くのが上手くて、釣った魚は食べる主義の加藤さん、食べようと思って荒川で鯉を釣ってきた。鯉や鮒は泥を持っているので、泥を吐かせようと思って浴槽に水を張って、一週間くらいすればいいかなとか思っていたそうな。ところが心配になって、蓋を一日30回も開けて見る。
そのうち餌をやるようになって、そうすると可愛くなっちゃって、食べようか飼おうか迷っていたある日。出かけて帰ってくると、鯉が跳ねて浴槽から飛び出していた。当然、瀕死。慌てて加藤さんは鯉を浴槽に戻して空気入れで空気を送り続けた。そして、元気になった鯉を次の朝迷わず荒川に帰したそうである。
教訓。「釣った魚に餌やるな」。

Hearts
都会の生活は、僕にはとても性に合っていて、寂しいとかあまり感じたことないんだけど、人によってはこの乾燥したコンクリートジャングルが辛いと感じる人もいる。
自分の舵取りを自分でしっかりしてないと、ここではあっという間に自我が消えていく。

加藤さんの動物談義その2。鴨を絞めるの巻。
薫製を作るのも得意な加藤さん、鴨の薫製を作ろうとして近くにたむろしている鴨を捕まえようと画策した。近くの小学校が鴨を餌付けしていたため、鴨は警戒感が薄くなっていた。朝早くに餌と鯉を掬う網をもって出かけて行った。
すると思いのほか簡単に網に掛かってしまった。「疑うことを知らない鴨だったんですね」(柳沼女史・談)。持ち帰って鯉の二の舞になることを恐れた加藤さんは、心を鬼にして、その場で鴨を絞めることにする。そしていざ絞めようとしたら、鴨と目が合ってしまった。「鴨ってのは白目がないんですよ。そのつぶらな瞳でこう僕を見るんですよ」(加藤氏・談)。目が合ってしまった加藤さん、「ごめんよ、さよなら」と手を放してしまったそうです。
教訓。「鴨は目を見ずに絞めろ」

少年の時間
これも都会の歌、かな。時に自分を見失いがちな都会の少年の歌。いつか青春は終わって、日常を泳ぐことになる。変わっていく自分を、まだ許せない日々が誰にでもある。

砂の迷路
コンクリートジャングルなかでもがく曲。情報が氾濫する色のない世界。一体どちらが本当の世界なのか、混乱する叫び。

心には銀色のナイフを持て
僕の心情ってどっちかというとこの曲に近いかもしれない。孤独に安らぐ心を持ってしまった人は、都会が似合っているのかもね。故郷の暖かさは、僕にとって苦痛だ。

風の時代
僕にも「風の時代」がありました。いや、今でも「風の時代」かもしれない。何よりも自分のことが大事で、傷つくくらいなら傷つける方がいいと、本気で考えていた。
いつか老人になって、若い日を苦々しく思い起こすことが僕にできるだろうか。