JASRACへの楽曲使用許可申請の仕方

Dec.1st, 2004

 音楽(だけではなくて、知的生産物一般)には「著作権」があり、著作権者以外の人間が音楽を利用しようとした場合、「有料・無料を問わず」(重要)、著作権者の許諾が必要です。実際に著作物を使用した時に使用料が必要かどうかについては場合によって異なるのですが、音楽著作物の多くはJASRAC(日本音楽著作権協会)が管理しており、ほぼ一元管理と言っても問題ないくらいの制度が整っています。
 うちのサイトでは、「青空観覧車」のページなどでJASRACに利用を申請し、許諾を得ています。
 私は職業上こういった手続きに慣れていましたが、ごく普通の方々も気軽に申請出来るように、楽曲使用許可申請のやり方などを纏めておきたいと思います。


まず最初に

 繰り返しになりますが、著作物の使用には、有料・無料を問わず、著作権者の許諾が必要です。要するに著作権者から「いいよ」って言ってもらえばいいわけです。でも誰もが著作権者(クレヨン社の場合は柳沼さんと加藤さん)に直接申請をしたら、著作権者は許諾のための事務仕事で手一杯になってしまいます。そこで音楽業界ではJASRAC(日本音楽著作権協会)をはじめとする団体・企業が著作権者からの信託を受けてその仕事を代行しています。
 クレヨン社の場合、ホリプロ時代の49曲と「心には銀色のナイフを持て」の計50曲がJASRACに信託されています(細かいことを言うと、原盤権者がNHKになっている「手の中の魔法」がまた別にあったりします)JASRACが運営する検索サービスJ-WIDで確認することができます。
 ここでリストアップされた50曲+αについては、JASRACで許諾をとれば、Webページ上に歌詞を載せたり、MIDIファイルを作って置いたりすることができます。ここに載っていない曲については、現在はクレヨン社のお二人に直接交渉するしかありません。しかし直接交渉は敷居が高いですし、何よりレコーディングに忙しいクレヨン社のお二人の手間と時間を取らせてしまうため、できれば控えたいというのがファンの心理でもあります。柳沼さんによれば、未信託の楽曲についてもできるだけ早く登録したいとのことですので、今しばらく我慢しましょう。
 J-WIDで利用したい曲が見つかったら、作品詳細表示を確認して、印刷しておきましょう。ここに出ている「JASRAC作品コード」が申請の時に必要になります。

J-TAKT

 JASRACでは、オンラインでの楽曲使用申請システム「J-TAKT」を運営しています。
 このページから申込の手順に従って手続きを進めると、あれよあれよという間に許諾まで辿り着いてしまいます(笑)。いや、こんなページ作らなくても良いくらい。
 まず、JASRACに自分自身を登録しなければなりません。これは最初の一回だけです。私たちファンの場合は、非営利でかつ多くは歌詞の掲載だけですので、情報量収入ナシ、広告料収入ナシ、ストリーム形式でリクエスト回数報告不可能は報告不能、その他確認事項はすべて「いいえ」になります。
 申込人としての登録が終わると、許諾申込内容登録になります。
 ホームページの名前だとかURL(アドレスのことです)、あなたのハンドルネームなどなど。「ストリーム形式」で「情報量収入も広告料収入もない」を選ぶことを忘れないで下さい。それと、曲数はあとで追加が可能ですので、本当に必要な分だけにしましょう。
 利用開始月は、注意事項にもありますが、月単位ですので、基本的に翌月からの申請をするのが得策です。
 利用期間は12箇月が良いかと思います。逆言うと、一年ごとに更新しなければいけないのですが……。料金は「非商用配信の場合で包括的利用許諾契約によるときの使用料早見表」を参照すると、一曲辺り年1,200円(税拔)。月だと150円になります。10曲以上になると一曲ディスカウントされますが、より多くより長く許諾をとればオトクになります、一応。
 さてここまで来るとやっと利用予定作品の入力になります。ここで、前に出てきた「JASRAC作品コード」が必要になります。Webページに載せようと思っている曲のJASRACコードを間違いなく入力して下さい。
 ここまでくればあと一息です。
 各種確認を済ませて、登録手続きを終了です!
 最後の「登録手続き完了」の画面は間違いなく印刷して残しておいて下さい! パスワードはここでしか表示されません!
 そしてもう一つ、「音楽著作物利用許諾申込書(インタラクティブ配信)」という画面が表示されます。これを印刷して下さい。
 「J-TAKT 登録確認」というタイトルの確認のメールが送られてくれば、登録はOKです。

申請書の郵送

 登録手続きが終わった所で表示されている「音楽著作物利用許諾申込書(インタラクティブ配信)」を印刷したものには、申込人氏名としてあなたの名前と住所と電話番号他が記載されている筈です。
 そこの「印」の所に、捺印して下さい。別に実印じゃなくても、三文判でOK。でもシャチハタは避けた方が良いでしょうか。
 捺印した申請書を、
〒151-8540 東京都渋谷区上原3-6-12
社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)
 送信部ネットワーク課J-TAKT係 御中
へと送って下さい。普通郵便で大丈夫ですが、不安な方は配達記録郵便などを利用されるとよいでしょう。

使用料の払込み

 申請書を送って数日すると郵便でJASRACから「J-TAKT 許諾通知」というメール(前のメールと違いますよ!)が届き、追っかけ郵便で「音楽著作物利用許諾書」という紙と振込用紙が送られてきます。
 気をつけて下さい! この時点ではまだ許諾手続きは完了してはいません
 同封の払込用紙で、郵便局またはコンビニエンスストアでお金を振込むと、漸く許諾マークがダウンロードできるようになります。お金の振込がJASRACに確認されない限り、許諾マークはダウンロードできません。
 この許諾マークをダウンロードして、あなたのページにぺたっと張り付けて、ようやく全ての手続きが終了です!
 お疲れ様でした。これであなたのページに歌詞や楽譜を載せることができます。

さいごに

 「こんな面倒臭い手続きなんてやってられないよ」と思うかもしれません。「1,200円なんて払っても払わなくても大差ないんじゃないか」と思うかもしれません。でもこういう一つ一つ、小さな積み重ねがクレヨン社の、そしてアーティスト全体のために必要なのです。
 クレヨン社を応援するつもりで、お願いします、手続きをしてみて下さい。